JP2011086454A - 電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置 - Google Patents

電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011086454A
JP2011086454A JP2009237394A JP2009237394A JP2011086454A JP 2011086454 A JP2011086454 A JP 2011086454A JP 2009237394 A JP2009237394 A JP 2009237394A JP 2009237394 A JP2009237394 A JP 2009237394A JP 2011086454 A JP2011086454 A JP 2011086454A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
electron
substrate
emitting device
focus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009237394A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5210281B2 (ja
Inventor
Masahide Goto
正英 後藤
Hiroshi Hagiwara
啓 萩原
Toshikatsu Sakai
俊克 堺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Broadcasting Corp
Original Assignee
Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Hoso Kyokai NHK, Japan Broadcasting Corp filed Critical Nippon Hoso Kyokai NHK
Priority to JP2009237394A priority Critical patent/JP5210281B2/ja
Publication of JP2011086454A publication Critical patent/JP2011086454A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5210281B2 publication Critical patent/JP5210281B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cold Cathode And The Manufacture (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Image-Pickup Tubes, Image-Amplification Tubes, And Storage Tubes (AREA)

Abstract

【課題】ゲート電極とフォーカス電極とが同電位になって所望の電子ビーム径が得られなくなることを回避するとともに、回路構成を簡素化することができる電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置を提供すること。
【解決手段】表示装置10は、冷陰極基板20と、アノード基板30とを備え、冷陰極基板20は、基板21と、この基板21上に順次形成されたカソード母線22、絶縁層23、ゲート電極24及びフォーカス電極25と、開口部26と、エミッタ27とを備え、フォーカス電極25は、誘電体であるシリコン酸化膜で構成され、電荷が注入されると、注入された電荷を半永久的に保持し、エレクトレットとして機能するようになっており、45度のテーパ形状を有する。
【選択図】図7

Description

本発明は、電子放出素子、特に電子ビーム集束にエレクトレットを用いた電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置に関する。
従来、発光装置や表示装置、撮像装置、電子顕微鏡等において、電子銃を含む電子放出素子やそのアレーが利用されている。一般に電子放出素子は、電子を放出するカソード電極と、その近傍に配置され電子をカソード電極から引き出すためのゲート電極と、カソード電極から放出された電子を集束するためのフォーカス電極とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
他の構成としては、発光装置のようにフォーカス電極を必要としない構成や、電子顕微鏡のように熱電子を取り除くためのサプレッサ電極と電子を加速するための加速電極とを含む構成もある。さらには、特殊な用途ではゲート電極やカソード電極以外の多数の電極を含む構成もあるが、簡単に説明するため、カソード電極、ゲート電極及びフォーカス電極を備えた電子放出素子を例に挙げる。
カソード電極には、主に加熱によりエネルギー障壁を下げて電子放出を得る熱陰極やそれに電界を加えることにより電子放出を得るショットキー陰極、先端の曲率半径を小さくする、あるいは薄い絶縁体中に高い電界を与えることにより、トンネル現象を利用して電子放出を得る冷陰極がある。熱陰極ではタングステンなどの高融点金属を利用したフィラメントや多孔質金属に酸化バリウムなどを含浸させた含浸型があり、ショットキー陰極では酸化ジルコニウムなどを針状タングステンに付着させたものがある。冷陰極では、金属を円錐状等に加工したスピント型やカーボンナノチューブなどの炭素系冷陰極、ポーラスシリコンを用いた弾道電子放出型などがある。
ゲート電極やフォーカス電極には、一般に金属部品や金属薄膜が用いられる。その導体の配置とそれらに与える電位により作り出される電子放出素子近傍の電場は、カソード電極から放出した電子の量、方向、速度に影響を与える。その際、カソード電極、ゲート電極、フォーカス電極の間には、絶縁物を挿入し、互いの電極が短絡しないようにすることで各々、独立の電位を設定することを可能にしている。絶縁物には、ガラスやセラミクス、ベークライト、テフロン(登録商標)などの部品や薄膜が用いられる。カソード電極を接地電位とし、ゲート電極には正の電位を設定することにより、カソード電極とゲート電極との間に作り出された電界によってカソード電極から放出された電子が引っ張られる。そしてフォーカス電極に負の電位を設定することにより、ゲート電極を通過した電子がフォーカス電極の電位によって静電集束され、所望の径を有する電子ビームが得られる。
特開2006−012665号公報([0006]〜[0010]、図1)
しかしながら、従来技術においては、各電極間に設けられた絶縁物の形成不良により電極間で短絡が起こることが多かった。特に、カソード電極に冷陰極を用いた電子放出素子において、電子放出素子をアレー状の形態に加工したものでは、ゲート電極とフォーカス電極とが短絡することが多かった。その理由は、比較的平滑な基板上に形成されるカソード電極とゲート電極との間の絶縁薄膜に比べて、ゲート電極とフォーカス電極との間の絶縁薄膜は、その形成時にゲート電極の平面度の影響を受けやすいので、形成不良が起こりやすいからである。他方、電子放出素子がアレー状でなくとも、熱陰極やショットキー陰極などを用いたものでも、こうした絶縁物の形成不良による電極間の短絡が生じることがあった。
ゲート電極とフォーカス電極とが短絡した場合、フォーカス電極がゲート電極と同電位になるため、フォーカス電極に対して、電子を集束させるために必要な電位を与えることができず、電子ビーム径を十分に絞れなくなる。その結果、表示装置においては色再現範囲の減少やコントラストの低下などの原因となり、撮像素子や電子顕微鏡においては解像度の劣化の原因となる。
また、従来技術のものでは、カソード電極、ゲート電極及びフォーカス電極にそれぞれ別の電位を与える構成となっているので、各電位を各電極に与えるために別々の電源回路の構成が必要であった。その結果、従来技術のものは、回路構成が煩雑になって回路構成に要するコストが増大するという課題があった。
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであり、ゲート電極とフォーカス電極とが同電位になって所望の電子ビーム径が得られなくなることを回避するとともに、回路構成を簡素化することができる電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置を提供することを目的とする。
本発明の電子放出素子は、基板上に順次形成されたカソード電極、絶縁層、ゲート電極及びフォーカス電極と、前記フォーカス電極の表面から前記カソード電極に至る開口部と、該開口部によって露出されたカソード電極上に形成され電子を放出する電子放出部とを備えた電子放出素子であって、前記フォーカス電極は、電荷が注入されエレクトレットとして機能する誘電体で形成されたものである構成を有している。
この構成により、本発明の電子放出素子は、エレクトレットとして機能する誘電体で形成されたフォーカス電極を備えるので、ゲート電極とフォーカス電極とが同電位になって所望の電子ビーム径が得られなくなることを回避することができる。
また、この構成により、本発明の電子放出素子は、フォーカス電極に電源を供給する必要がないので、回路構成を簡素化することができる。
また、本発明の電子放出素子は、前記開口部が、前記フォーカス電極において前記電子の進行方向に沿って開口長が長くなるテーパ形状に形成されたものである構成を有している。
この構成により、本発明の電子放出素子は、電子ビームをより強く集束することができる。
本発明の表示装置は、電子放出素子と、透光性を有する透光性基板と、該透光性基板の一方の面上に順次形成された透明電極及び蛍光体とを備え、前記電子放出素子が前記蛍光体に対向配置された構成を有している。
この構成により、本発明の表示装置は、エレクトレットとして機能する誘電体で形成されたフォーカス電極を有する電子放出素子を備えるので、ゲート電極とフォーカス電極とが同電位になって所望の電子ビーム径が得られなくなることを回避するとともに、回路構成を簡素化することができる。
本発明の撮像装置は、電子放出素子と、透光性を有する透光性基板と、該透光性基板の一方の面上に順次形成された透明電極及び光電変換膜とを備え、前記電子放出素子が前記光電変換膜に対向配置された構成を有している。
この構成により、本発明の撮像装置は、エレクトレットとして機能する誘電体で形成されたフォーカス電極を有する電子放出素子を備えるので、ゲート電極とフォーカス電極とが同電位になって所望の電子ビーム径が得られなくなることを回避するとともに、回路構成を簡素化することができる。
本発明は、ゲート電極とフォーカス電極とが同電位になって所望の電子ビーム径が得られなくなることを回避するとともに、回路構成を簡素化することができるという効果を有する電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置を提供することができるものである。
本発明の一実施形態において、計算機シミュレーションの対象とした表示装置のモデルを示す図 エレクトレットを設けていないときの、計算機シミュレーションによって求めた等電位線を示す図 エレクトレットに20Vの電位を与え、45度傾斜させたときの、計算機シミュレーションによって求めた等電位線を示す図 エレクトレットに0Vの電位を与え、45度傾斜させたときの、計算機シミュレーションによって求めた等電位線を示す図 エレクトレットに−20Vの電位を与え、45度傾斜させたときの、計算機シミュレーションによって求めた等電位線を示す図 エレクトレットに20Vの電位を与え、傾斜させないときの、計算機シミュレーションによって求めた等電位線を示す図 本発明の一実施形態における表示装置の構成を示す概念図 本発明の一実施形態において、冷陰極基板の作製後にフォーカス電極への電荷注入工程を行う場合の表示装置の作製工程図 本発明の一実施形態において、図8に示した電荷注入工程を放射線によって行う場合の説明図 本発明の一実施形態において、冷陰極基板とアノード基板との接合後にフォーカス電極への電荷注入工程を行う場合の表示装置の作製工程図 本発明の一実施形態において、図10に示した電荷注入工程を放射線によって行う場合の説明図
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の電子放出素子を表示装置に適用した例を挙げて説明する。
まず、具体的な実施形態を説明する前に、静電場における電子の軌道を調べる計算機シミュレーションを行った結果について説明する。図1は、計算機シミュレーションの対象とした表示装置1のモデルを示している。
図1に示すように、モデルとしての表示装置1は、カソード母線2、カソード母線2上に形成され電子を放出する略円錐状のエミッタ3、エミッタ3から電子を引き出すゲート電極4、電荷を半永久的に保持させた誘電体であるエレクトレット5、電子を捕捉するアノード電極6で構成されている。この図では電荷を保持させていない誘電体については図示を省略している。
図1において、エミッタ3は、底面の半径が0.8μm、高さが1μmの略円錐状(図示は半断面図)としている。このエミッタ3は、先端が5nmの円弧で、先端以外は、カソード母線2上のエミッタ中心から0.8μmの点を原点とし、横方向をX、縦方向をYとしたとき、Y=1.5Xで表される曲線としている。ゲート電極4の厚さは0.2μmである。エレクトレット5は、長さが21/2μmで45度に傾斜している。エミッタ3の中心からゲート電極4及びエレクトレット5の端面までの距離は0.75μmである。ゲート電極4の下面からカソード母線2までの距離は0.8μmである。ゲート電極4の上面からエレクトレット5の下端までの距離は0.5μmである。カソード母線2からアノード電極6までの距離は1mmである。以上の構成において、カソード母線2の電位を0V、ゲート電極4の電位を60V、アノード電極6の電位を1kVとし、エレクトレット5の電位を可変して計算機シミュレーションを行った。それにより得られた等電位線のデータを図2〜図6に示す。
図2は、図1に示したモデルにおいて、エレクトレット5が無い場合の等電位線を示した図である。この場合、図示のように、エミッタ3付近の等電位線が、エミッタ3からアノード電極6(図1参照)に向かう方向(以下「上方向」、その逆を「下方向」という。)に凸の形状をしていることが分かる。すなわち、エレクトレット5が無い場合、エミッタ3から放出された電子は発散する軌道を進行することとなるため、電子がアノード電極6側に向かうに従って電子ビーム径が太くなることが分かる。
次に、図3〜図5は、それぞれ、エレクトレット5の電位を20V、0V、−20Vに設定した場合の等電位線を示している。図3〜図5において矢印で示した部分を見ると、等電位線が下方向に凸の形状をしていることが分かる。このため、エミッタ3からの電子ビームが集束されることとなる。また、図3〜図5に示すように、エレクトレット5の電位を低くするにつれて、矢印で示した部分の凸の形状が急峻になることから、電子ビームがより強く集束される。
次に、図6は、図1に示したモデルのエレクトレット5を傾斜させないでゲート電極4に平行に配置し、エレクトレット5の電位を20Vとしたときの等電位線を示している。エレクトレット5に同じ電位を与えて45度傾斜させた図3の結果と比べると、図6に示した矢印付近では等電位線の凸の形状が若干緩やかになっているが、下方向に凸の形状は維持されているので、エミッタ3からの電子ビームは集束されることとなる。また、エレクトレット5をゲート電極4に平行にした構成にすれば、エレクトレット5を傾斜させたものに比べて製造プロセスを簡略化することができる。
以上のように、計算機シミュレーションにより、エレクトレット5を用いても通常のフォーカス電極のように電子集束を行うことが可能であることが分かる(シミュレーションソフト:ELFIN(エルフィン)、株式会社エルフ製)。
次に、本実施形態における表示装置について説明する。
図7に示すように、本実施形態における表示装置10は、冷陰極基板20と、アノード基板30とを備えている。なお、図7においては、冷陰極基板20とアノード基板30との間に設けられ両者を保持するスペーサ、表示装置10の内部を真空封止するための封止材等の図示は省略している。
冷陰極基板20は、本発明に係る電子放出素子を複数備えたものであって、基板21と、この基板21上に順次形成されたカソード母線22、絶縁層23、ゲート電極24及びフォーカス電極25とを備えている。また、フォーカス電極25の表面からカソード母線22まで開口する開口部26が設けてあり、開口部26により露出したカソード母線22上にはエミッタ27が形成されている。
基板21は、例えばガラスや酸化膜付きのシリコンウェハなどで構成される。基板21上に形成されるカソード母線22は、例えばクロム、ニオブ、アルミニウムなどにより構成される。このカソード母線22は、本発明に係るカソード電極を構成する。
絶縁層23は、例えばシリコン酸化膜、アルミナなどで構成される。ゲート電極24は、例えばニオブ、クロムなどで構成される。本実施形態では、カソード母線22の厚さを0.3μm、絶縁層23の厚さを0.8μm、ゲート電極24の厚さを0.2μmとしている。
フォーカス電極25は、例えば、誘電体であるシリコン酸化膜と、このシリコン酸化膜の表面を被覆する防湿膜としてのシリコン窒化膜とで構成される。ここで、シリコン酸化膜は、電荷が注入されると、注入された電荷を半永久的に保持し、エレクトレットとして機能するようになっている。電荷の注入については後述する。
この構成により、ゲート電極24と、フォーカス電極25であるエレクトレットとが短絡しても、短絡部近傍の電子を除き、誘電体であるエレクトレット中のほとんどの電子はゲート電極24に移動しないため、ゲート電極24とフォーカス電極25とは同電位にはならない。したがって、正又は負の極性の所望の電位をフォーカス電極25に保持させることができるので、短絡により電子ビームの集束径が影響を受けることはない。
開口部26は、カソード母線22上に絶縁層23、ゲート電極24及びフォーカス電極25を順次形成した後、例えばエッチングによりフォーカス電極25側からカソード母線22が露出するよう形成されたものである。露出したカソード母線22上に形成されるスピント型のエミッタ27は、例えばモリブデン、ニオブなどで構成される。エミッタ27の高さは1μmである。このエミッタ27は、本発明に係る電子放出部を構成する。
本実施形態におけるフォーカス電極25は、1.5μmの厚さで形成され、開口部26の開口側(アノード基板30側)において1μm×1μmの45度テーパ形状を有している。換言すれば、開口部26は、フォーカス電極25においてエミッタ27が放出した電子の進行方向に沿って開口長が長くなる形状に形成されている。フォーカス電極25にテーパを付加したのは、図2及び図6を用いて説明したように、ゲート電極24の上面から0.5μmの位置において、フォーカス電極25を水平とするよりも傾斜させた方が電子の集束をより強くできるためである。
本実施形態における表示装置10では、従来技術のように金属部品や金属薄膜によってフォーカス電極25を形成する場合に比べ、電位を与えるための配線の構成が不要となるため、例えばエッチングによりフォーカス電極25に任意の角度のテーパを付加することが簡単に実現できる。テーパの角度は、前述の45度に限定されず、ゲート電極24に対して0度(水平)〜90度(垂直)の間で自由に設定が可能である。また、図示した直線状のテーパに限定されず、角度が連続的又は段階的に変化するテーパ(例えば緩やかに丸められた形状)であってもよい。
アノード基板30は、透光性を有する基板31と、透光性を有するアノード電極32と、蛍光体33とを備えている。基板31は、例えばガラスで構成される。アノード電極32は、例えば厚さが0.2μmのITO(Indium Tin Oxide)電極で構成される。蛍光体33は、アノード電極32上に例えばRGB(赤、緑、青)各色の蛍光材料が1μm程度の厚さで塗布されて形成される。なお、基板31は本発明に係る透光性基板を構成し、アノード電極32は本発明に係る透明電極を構成する。
次に、誘電体であるシリコン酸化膜を備えたフォーカス電極25に電荷を注入して保持させる手法について説明する。
誘電体であるフォーカス電極25に例えば電子による負電荷を保持させる際には、従来から用いられているコロナ放電法や、電子照射、イオン照射、放射線照射などが利用できる。この際、フォーカス電極25に与える電位は利用する方法によって異なるが、照射時間やグリッド電位、加速電圧などによって制御することができる。
また、フォーカス電極25に電位を与えるための電荷注入工程は、冷陰極基板20の作製後に行う場合、冷陰極基板20とアノード基板30との接合後に行う場合、真空封止後に行う場合が考えられる。
図8に、冷陰極基板20の作製後に電荷注入工程を行う場合の、表示装置10の作製工程を示す。まず、(1)冷陰極基板20を作製し、(2)例えば放射線照射により、フォーカス電極25に電荷注入を行う。次に、(3)冷陰極基板20と、基板31上にアノード電極32及び蛍光体33が形成されたアノード基板30とを対向するよう配置して、両基板間をスペーサ40で保持し接合する。最後に、(4)内部の空気を排気して真空にし、封止して完成する。
図8の(2)に示した電荷注入工程としては、放射線照射を用いる方法の他に、空気中でコロナ放電により発生したイオンによってフォーカス電極25に電位を与える方法や、冷陰極基板20を真空中に配置し、電子ビームによってフォーカス電極25に電位を与える方法も用いることができる。
図9に、図8に示した工程においてフォーカス電極25に電位を与えるための電荷注入として、放射線照射を用いた例を示す。グリッド電極42と、ゲート電極24との間に電界を発生させた状態で、X線43が空気中に照射されると空気が電離し、両極性のイオン(正イオン、負イオン)が生成され、負イオンが電界の作用によりゲート電極24側に引き寄せられることで、フォーカス電極25に負電荷が注入されてエレクトレットとなる。例えば、X線43のエネルギーを3kV〜9.5kV程度、X線源41からフォーカス電極25までの照射距離を10mm、フォーカス電極25とグリッド電極42との間隔を3mmとし、グリッド電極42に−30V、ゲート電極24に0Vのバイアス電圧を与え、X線43を300秒程度照射すると、フォーカス電極25に−20Vの電位を与えることができる。
図10に、冷陰極基板20とアノード基板30との接合後に電荷注入工程を行う場合の、表示装置10の作製工程を示す。まず、(1)冷陰極基板20を作製し、(2)冷陰極基板20と、基板31上にアノード電極32及び蛍光体33が形成されたアノード基板30とを対向するよう配置して、両基板間をスペーサ40で保持し接合する。次に、(3)放射線照射により、フォーカス電極25に電荷注入を行う。最後に、(4)内部の空気を排気して真空にし、封止して完成する。
図11に、図10に示した工程においてフォーカス電極25に電位を与えるための電荷注入として、放射線照射を用いた例を示す。アノード電極32と、ゲート電極24との間に電界を発生させた状態で、X線43を照射すると、X線43はアノード基板30を透過する。透過したX線43は、冷陰極基板20とアノード基板30との間の空気を電離し、両極性のイオン(正イオン、負イオン)が生成され、負イオンが電界の作用によりゲート電極24側に引き寄せられることで、フォーカス電極25に負電荷が注入されてエレクトレットとなる。
フォーカス電極25に電位を与えるための電荷注入工程は、真空封止後にエミッタ27から放出された電子により行うこともできる。この場合、エミッタ27から放出される電子ビームの軌道が、フォーカス電極25に戻るように、アノード電極32とゲート電極24の電位を適切に設定することで、エミッタ27から放出された電子によりフォーカス電極25に電荷を注入することができる。
また、各電極の配置や電位、所望の電子ビームの集束径に応じて、フォーカス電極25の電位を最適値に設定することができる。例えば、図1に示した各要素の配置や電位を適用した場合、アノード電極32において直径280μmの電子ビーム径を得たい場合はフォーカス電極25に+20Vの電位を与えるのが好ましい。同様に、150μmの電子ビーム径を得たい場合はフォーカス電極25に0V、24μmの電子ビーム径を得たい場合はフォーカス電極25に−20Vを与えるのが好ましい。
以上のように、本実施形態における表示装置10によれば、エレクトレットとして機能させることができるシリコン酸化膜を用いてフォーカス電極25を構成したので、ゲート電極24とフォーカス電極25とが同電位になって所望の電子ビーム径が得られなくなることを回避することができる。
また、本実施形態における表示装置10によれば、各電極の配置や電位、所望の電子ビームの集束径に応じて、フォーカス電極25の電位を最適値に設定することにより、フォーカス電極25に電圧供給するための回路構成が不要となるので、回路構成を簡素化することができる。
なお、前述の実施形態においては、電子放出部が冷陰極のエミッタ27である場合において、フォーカス電極25をエレクトレットで構成する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電子放出部が例えば熱陰極、ショットキー陰極等でも同様の効果が得られる。
また、前述の実施形態においては、本発明に係る電子放出素子を複数備えた冷陰極基板20を表示装置10に適用した例を挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る電子放出素子を撮像装置や発光装置、電子顕微鏡等の電子源として適用することもできる。
例えば、本発明に係る電子放出素子を撮像装置に適用する場合は、電子放出素子を複数備えた冷陰極基板20(図7参照)と、透明電極及び光電変換膜を順次形成した透明基板とを準備し、フォーカス電極25を所定の電位のエレクトレットにした後、冷陰極基板20が光電変換膜に対向するよう配置して両基板間をスペーサで保持し、内部を真空封止することにより撮像装置を構成することができる。あるいは、フォーカス電極25に電荷を注入する工程は、スペーサでの接合後や、真空封止後にエミッタ27から放出された電子により行うこともできる(表示装置の場合と同様)。
この撮像装置は、透明基板側から入射する入射光の入射光量に応じて、光電変換膜が生成し蓄積した正孔と、冷陰極基板20から光電変換膜に向けて放出された電子の一部とが再結合することにより流れる電流を映像信号の出力として得る。
この構成による撮像装置は、前述の表示装置10と同様に、ゲート電極24とフォーカス電極25とが同電位になって所望の電子ビーム径が得られなくなることを回避することができる。
また、この構成による撮像装置は、各電極の配置や電位、所望の電子ビームの集束径に応じて、フォーカス電極25の電位を最適値に設定することにより、フォーカス電極25に電圧供給するための回路構成が不要となるので、回路構成を簡素化することができる。
1、10 表示装置
2、22 カソード母線(カソード電極)
3、27 エミッタ(電子放出部)
4、24 ゲート電極
5 エレクトレット
6、32 アノード電極(透明電極)
20 冷陰極基板
21 基板
23 絶縁層
25 フォーカス電極
26 開口部
30 アノード基板
31 基板(透光性基板)
33 蛍光体
40 スペーサ
41 X線源
42 グリッド電極
43 X線

Claims (4)

  1. 基板上に順次形成されたカソード電極、絶縁層、ゲート電極及びフォーカス電極と、前記フォーカス電極の表面から前記カソード電極に至る開口部と、該開口部によって露出されたカソード電極上に形成され電子を放出する電子放出部とを備えた電子放出素子であって、
    前記フォーカス電極は、電荷が注入されエレクトレットとして機能する誘電体で形成されたものであることを特徴とする電子放出素子。
  2. 前記開口部は、前記フォーカス電極において前記電子の進行方向に沿って開口長が長くなるテーパ形状に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電子放出素子と、透光性を有する透光性基板と、該透光性基板の一方の面上に順次形成された透明電極及び蛍光体とを備え、前記電子放出素子が前記蛍光体に対向配置されたことを特徴とする表示装置。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の電子放出素子と、透光性を有する透光性基板と、該透光性基板の一方の面上に順次形成された透明電極及び光電変換膜とを備え、前記電子放出素子が前記光電変換膜に対向配置されたことを特徴とする撮像装置。
JP2009237394A 2009-10-14 2009-10-14 電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置 Expired - Fee Related JP5210281B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009237394A JP5210281B2 (ja) 2009-10-14 2009-10-14 電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009237394A JP5210281B2 (ja) 2009-10-14 2009-10-14 電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011086454A true JP2011086454A (ja) 2011-04-28
JP5210281B2 JP5210281B2 (ja) 2013-06-12

Family

ID=44079255

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009237394A Expired - Fee Related JP5210281B2 (ja) 2009-10-14 2009-10-14 電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5210281B2 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0990898A (ja) * 1995-09-28 1997-04-04 Nec Corp 冷陰極駆動回路およびこれを用いた電子ビーム装置
JPH09512381A (ja) * 1994-01-31 1997-12-09 シリコン・ビデオ・コーポレイション 集束用突条を備えた電界放出構造
JP2005056589A (ja) * 2003-08-01 2005-03-03 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 電子放出素子及び電界放出型表示装置
JP2005174930A (ja) * 2003-12-12 2005-06-30 Samsung Sdi Co Ltd 電界放出素子、それを適用した表示素子及びその製造方法
JP2006012665A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 冷陰極素子及び電界放出型ディスプレイ

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09512381A (ja) * 1994-01-31 1997-12-09 シリコン・ビデオ・コーポレイション 集束用突条を備えた電界放出構造
JPH0990898A (ja) * 1995-09-28 1997-04-04 Nec Corp 冷陰極駆動回路およびこれを用いた電子ビーム装置
JP2005056589A (ja) * 2003-08-01 2005-03-03 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 電子放出素子及び電界放出型表示装置
JP2005174930A (ja) * 2003-12-12 2005-06-30 Samsung Sdi Co Ltd 電界放出素子、それを適用した表示素子及びその製造方法
JP2006012665A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Nippon Hoso Kyokai <Nhk> 冷陰極素子及び電界放出型ディスプレイ

Also Published As

Publication number Publication date
JP5210281B2 (ja) 2013-06-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3774724B2 (ja) 発光体基板および画像表示装置、並びに該画像表示装置を用いた情報表示再生装置
JPH1050241A (ja) 電界放出デバイス収納真空容器
JP2000268704A (ja) 電界放出形表示素子及びその製造方法
JP5210281B2 (ja) 電子放出素子、それを備えた表示装置及び撮像装置
JP2003505833A (ja) 小型電界放出電子銃およびフォーカスレンズ
JP3460707B2 (ja) 電子放出装置及びその駆動方法
JP5111276B2 (ja) 撮像デバイス
JP5159011B2 (ja) 変調電界を生成する装置とその電界放射フラット画面への適用
JP3044609B2 (ja) 表示装置
KR100315230B1 (ko) 전계 방출 표시소자 및 그의 제조 방법
KR100846503B1 (ko) 전계방출소자의 에이징 방법
KR20070041989A (ko) 전자 방출 표시 디바이스 및 이의 제조 방법
JP2002260524A (ja) 冷陰極電子源とそれを用いて構成した撮像装置、表示装置
Choi et al. Carbon-nanotube (CNT)-based triode X-ray tube design by using computer simulation
JP2015118853A (ja) 電子放出素子および電子放出装置
JP4169496B2 (ja) 受像管装置
JP4796529B2 (ja) 撮像装置
JP2008171777A (ja) X線イメージ管
Xie et al. A novel approach for focusing electron beams using low-cost ceramic grid [field emitter arrays]
US7615918B2 (en) Light emission device with heat generating member
JP2005317534A (ja) 電子放出表示装置
KR100330154B1 (ko) 전계 방출 표시 소자
TWI250819B (en) Method for making a field emission display
JP2011044385A (ja) イメージ管
JPH05205665A (ja) 画像表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120314

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121030

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130129

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130222

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160301

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5210281

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees