JP2011085097A - 動弁装置およびこれを備えた内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】動弁装置においてアクセルシャフトのこじれを抑制し、気筒間における3次元カムのスライド量のばらつきを生じさせないようにすることを目的とする。
【解決手段】本発明は、複数気筒にまたがって延設され、各気筒の3次元カム13がスライド可能に装着されたカムシャフト11と、カムシャフト11と平行に配置され、軸方向にスライド可能に支持されたアクセルシャフト51と、アクセルシャフト51に固定して設けられ、アクセルシャフト51のスライドに伴って各気筒の3次元カム13をそれぞれスライドさせる複数のアクセルフォーク42とを備え、アクセルシャフト51は、互いに径方向に微動可能に結合される複数のシャフト部52、53により分割構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動二輪車あるいは自動車等における内燃機関において、アクセル開度に応じてバルブリフト量、リフトタイミングおよび作用角を可変制御する動弁装置およびこれを備えた内燃機関に関するものである。
この種の動弁装置によれば、カムシャフトに支持された、いわゆる3次元カムを軸方向にスライドさせることにより、バルブリフト量が無段階に可変制御される。更に、少なくとも2気筒を並列配置した複数気筒の気筒ごとに、係る動弁装置を有し、多気筒化に対応したものが知られている。
例えば、特許文献1に開示された自動二輪車のエンジンには、車幅方向に並列に2つの気筒が配設されている。このエンジンには、各気筒に対応して配設された3次元カムと、各3次元カムを回動させると共に軸方向のスライドをガイドするカムシャフトと、各3次元カムを軸方向にスライドさせるアクセルシャフトと、3次元カムとアクセルシャフトとを連結するアクセルフォークと、アクセルシャフトを軸方向に駆動するアクセルモータとを備えている。そして、アクセルモータが作動することでアクセルシャフトに形成された送りネジが、アクセルシャフト自体をスライドさせる。アクセルシャフトのスライドによりアクセルフォークが各3次元カムをカムシャフトの軸方向にスライドさせ、バルブリフト量、リフトタイミングおよび作動角を無段階に可変制御する。
しかしながら、特許文献1に開示されたアクセルシャフトは、2気筒間に亘って配設されているために長尺になってしまう。このような長尺のアクセルシャフトの場合、アクセルシャフトに形成された送りネジに径方向の力が加えられたときに、こじれが発生しやすい。また、アクセルシャフトの送りネジは径方向のガタが大きいために、アクセルフォークに大きな負荷がかかったときにアクセルシャフトに倒れが生じてアクセルシャフトの軸受け部分に引っ掛かりが発生してしまう。
一方、特許文献2に開示された自動二輪車のエンジンは、車幅方向に並列に配設された3次元カム同士が連結ロッドによって連結されている。したがって、アクセルシャフトを短くして一方の3次元カムのみをスライドさせることで他方の3次元カムも連動してスライドする。このようにアクセルシャフトを短く構成することで、上述したようなアクセルシャフトの送りネジのこじれやアクセルシャフトの倒れの発生を防止することができる。
特開2005−155484号公報 特開2005−188502号公報
しかしながら、特許文献2に開示された自動二輪車のエンジンでは、アクセルシャフトのスライドが一方の3次元カムと連結ロッドとを介して他方の3次元カムに伝達されるために、一方の3次元カムと他方の3次元カムとでスライド量がばらついてしまうという問題がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであって、複数気筒それぞれにおいて3次元カムをスライドさせて、各気筒のバルブのリフト特性を連続可変するようにした動弁装置において、アクセルシャフトのこじれを抑制し、各気筒間における3次元カムのスライド量のばらつきを生じさせないようにすることを目的とする。
本発明に係る動弁装置は、複数気筒それぞれにおいて3次元カムをスライドさせて、各気筒のバルブのリフト特性を連続可変するようにした動弁装置であって、前記複数気筒にまたがって延設され、各気筒の3次元カムがスライド可能に装着されたカムシャフトと、前記カムシャフトと平行に配置され、軸方向にスライド可能に支持されたアクセルシャフと、前記アクセルシャフトに固定して設けられ、前記アクセルシャフトのスライドに伴って前記各気筒の3次元カムをそれぞれスライドさせる複数のアクセルフォークとを備え、前記アクセルシャフトは、互いに径方向に微動可能に結合される複数のシャフト部により分割構成されていることを特徴とする。
また、前記アクセルシャフトを軸方向にスライドさせるアクセルシャフトスライド機構を更に備え、前記アクセルシャフトは、2つのシャフト部により前記アクセルシャフトスライド機構と前記アクセルシャフトスライド機構に近接したアクセルフォークとの間で分割構成されていることを特徴とする。
また、前記アクセルシャフトは、前記アクセルシャフトスライド機構に結合される送りネジが形成された第一のシャフト部と、前記複数のアクセルフォークを固定した第二のシャフト部とにより分割構成されていることを特徴とする。
また、前記第一のシャフト部または前記第二のシャフト部の一方に雄スプラインが形成され、前記第一のシャフト部または前記第二のシャフト部の他方に雄ネジ部が形成され、前記アクセルシャフトは、前記雄スプラインと嵌合する雌スプラインおよび前記雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されたジョイントナットにより、前記第一のシャフト部と前記第二のシャフト部とが結合されていることを特徴とする。
また、前記第一のシャフト部と前記第二のシャフト部との間には、軸方向に隙間を有していることを特徴とする。
また、前記雄スプラインおよび前記雌スプラインの断面形状が、インボリュート形状であることを特徴とする。
また、吸気バルブおよび排気バルブにより吸排気を制御するようにした内燃機関であって、吸気側または排気側に上述した動弁装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、アクセルシャフトのこじれを抑制し、各気筒間における3次元カムのスライド量のばらつきを生じさせないようにすることができる。
本実施形態に係るエンジンまわりを含む自動二輪車の左側面図である。 本実施形態に係る動弁装置の要部構成を示す平面図である。 本実施形態に係る動弁装置の要部構成を示す断面図である。 図3に示すIII−III線断面図である。 本実施形態に係る動弁装置のシリンダヘッドカバーを取り付けた状態の平面図である。 図2に示すII−II線断面図である。 図6に示すIV−IV線断面図である。 本実施形態に係るアクセルシャフトの構成を示す平面図である。 図8Aに示すV−V線断面図である。 本実施形態に係るアクセルシャフトの構成を示す斜視図である。 本実施形態に係るアクセルシャフトの結合の方法を説明するための斜視図である。
以下、図面に基づき、本発明による動弁装置およびこれを備えた内燃機関の好適な実施の形態を説明する。
本発明による動弁装置は、自動二輪車あるいは四輪自動車に搭載される各種のガソリンエンジンに対して有効に適用可能であり、この実施形態では例えば図1に示すように自動二輪車のエンジンの例とする。
ここで先ず、本実施形態に係る自動二輪車100の全体構成を説明する。図1において、鋼製あるいはアルミニウム合金材でなる車体フレーム101の前部には、ステアリングヘッドパイプ102によって左右に回動可能に支持された2本のフロントフォーク103が設けられる。フロントフォーク103の上端にはハンドルバー104が固定され、ハンドルバー104の両端にグリップ105を有する。フロントフォーク103の下部には前輪106が回転可能に支持されるとともに、前輪106の上部を覆うようにフロントフェンダ107が固定される。前輪106は、前輪106と一体回転するブレーキディスク108を有している。
車体フレーム101の後部には、スイングアーム109が揺動可能に設けられるとともに、車体フレーム101とスイングアーム109の間にリヤショックアブソーバ110が装架される。スイングアーム109の後端には後輪111が回転可能に支持され、後輪111はチェーン112が巻回されたドリブンスプロケット113を介して、回転駆動されるようになっている。
車体フレーム101に搭載されたエンジンユニット1(実線部)には、エアクリーナ114に結合する吸気管115から混合気が供給されるとともに、燃焼後の排気ガスが排気管116を通って排気される。エアクリーナ114は容量確保のためにエンジンユニット1の後方、かつ燃料タンク117およびシート118の下方にある大きなスペース内に設置される。そのため吸気管115はエンジンユニット1の後部側に結合させ、排気管116はエンジンユニット1の前部側に結合される。また、エンジンユニット1の上方には、燃料タンク117が搭載され、燃料タンク117の後方にシート118およびシートカウル119が連設される。
また、図1において、120はヘッドランプ、121はスピードメータ、タコメータあるいは各種インジケータランプ等を含むメータユニット、122はステー123を介してハンドルバー104に支持されるバックミラーである。また、車体フレーム101の下部にはメインスタンド124が揺動自在に取り付けられ、後輪111を接地させたり地面から浮かせたりできる。車体フレーム101は、前部に設けたステアリングヘッドパイプ102から後斜め下方へ向けて延設され、エンジンユニット1の下方を包むように湾曲した後、スイングアーム109の軸支部であるピボット109aを形成してタンクレール101aおよびシートレール101bに連結している。
この車体フレーム101には、フロントフェンダ107との干渉を避けるべく車体フレームと平行にラジエータ125が設けられるとともに、このラジエータ125から車体フレーム101に沿って冷却水ホース126が配設され、排気管116と干渉することなくエンジンユニット1に連通している。
次に、図2は本実施形態に係る動弁装置を示す平面図、図3は図2のI−I線に沿う断面図、図4は図3のIII−III線に沿う断面図、図5はシリンダヘッドカバーを取り付けた状態の動弁装置を示す平面図、図6は図2のII−II線に沿う断面図、図7は図6のIV−IV線に沿う断面図である。内燃機関であるエンジンユニット1のシリンダ内でピストンが上下に往復動すると共に、ピストンの上部に配置されたシリンダヘッド2内に動弁装置が収容される。本実施形態で説明するエンジンユニット1は並列2気筒(車幅方向)エンジンであって、各気筒において吸気側(IN)および排気側(EX)にそれぞれ2つのバルブを有する。なお、各図では、必要に応じて一部図面化を省略している。
本実施形態の動弁装置は、吸気側においてカム/カムシャフトユニット10と、カム/カムシャフトユニット10の下側に配置されるタペットユニット(もしくはバルブリフタユニット)20と、吸気制御するバルブユニット30とを含む(図2および図3参照)。また、排気側においてカム/カムシャフトユニット10EXと、カム/カムシャフトユニット10EXの下側に配置されるタペットユニット20EXと、排気制御するバルブユニット30EXとを含む(図2および図3参照)。
更にアクセル開度に応じてカム/カムシャフトユニット10、10EXのカム13、13EXを変位させるアクセルシャフトユニット50を含むが、本実施形態では吸気側のカム/カムシャフトユニット10と排気側のカム/カムシャフトユニット10EXとの間に配置され、吸気側および排気側で共用される(図2参照)。また、2気筒に対して単一のアクセルシャフト51が使用される。
吸気側のカム/カムシャフトユニット10において、シリンダヘッド2内で複数のベアリング12(軸受)を介して回転自在に支持されるカムシャフト11を備えている。本実施形態ではカムシャフト11は2気筒にまたがって延設される。カムシャフト11の一端にはスプロケット15が固着され、排気側のカムシャフト11EXの一端にも同様なスプロケット15EXが固着されている。これらのスプロケット15、15EXとクランクシャフト(図示せず)の一端に固着されるドライブスプロケット(図示せず)との間には、カムチェーン(図示せず)が巻回装架される。
カムシャフト11にはその軸方向に各気筒のカム13がスライド可能に装着される。本実施形態ではカムシャフト11とカム13との間にキー14が介在し、カム13とカムシャフト11の相対回転が規制されると共に、カム13がカムシャフト11に沿って直線運動(リニアモーション)するようになっている。なお、カムシャフト11は概して中空構造を有し、その中空内部が潤滑油路となってカム13の内径部等に注油することができる。
ここで、カム13は「3次元カム」として構成され、長手方向(カムシャフト11の軸方向)に傾斜するカム面13aを有し、バルブリフト量を連続的に変化させる形状とされる。この場合、カム高さと同時にカム作用角およびリフトタイミングも変化し、即ちバルブリフト量が大きくなるのに従ってカム作用角も大きくなり、更にはバルブのリフトタイミングも変化させ得るように設定される。これらバルブリフト量、カム作用角およびリフトタイミング等を合わせてリフト特性というものとする。
なお、排気側のカム/カムシャフトユニット10EXは、図2に示すように吸気側のカム/カムシャフトユニット10と基本構成が同様であるが、カム13EXの具体的な諸元についてはカム13と異なる。
吸気側のタペットユニット20において、図4に示すように、外周面が球状面とされたローラタペット21を備え、その外周面がカム13に接触する。ローラタペット21内にはアーム22が配置される。ローラタペット21の内周面は球状面とされており、この内周面とアーム22中央の大径部との間にボール24が介在する。従って、ボール24を介してローラタペット21が回転可能に支持されると共に、アーム22が揺動可能である。また、アーム22がローラタペット21に対して傾いたときにも、ローラタペット21を正常回転可能とする調芯機能を発揮する。
アーム22を覆うようにタペットガイド23が配置される。タペットガイド23は、 図3に示す方向から見ると逆凹形状部分を有し、図4に示すようにその両端開口からアーム22の両端部が突出する。タペットガイド23は、取付ボルト25によってシリンダヘッド2に固定される(図3参照)。
また、タペットガイド23にはガイド孔23aが形成されており(図3参照)、このガイド孔23aの内側にローラタペット21が配置される。ガイド孔23aはバルブステムの軸方向に沿って形成され、これによりローラタペット21がバルブステムの軸方向にのみ移動可能となる。ローラタペット21がカム13のカム面13aに押圧されることにより、バルブを進退させるバルブリフタとして機能する。アーム22の両端部には、後述するバルブユニットのタペットシムに当接する押圧部22aが設けられる(図4参照)。なお、押圧部22aは、アジャストスクリュ26の先端(下端)に付設されるかたちで設けられる。
排気側のタペットユニット20EXは、吸気側のタペットユニット20と基本構成が同様である。
吸気側のバルブユニット30において、図3および図4に示すように、バルブステム31aがバルブガイド32によってガイドされる2つの吸気バルブ31を備える。吸気バルブ31がリフトすることにより、吸気ポート33を介してエアクリーナ114(図1)から導かれる空気と吸気ポート33の上流側に配置されるインジェクタ(図示せず)から噴霧される燃料との混合気が各気筒の燃焼室に導入される。
各バルブステム31aの端部にはコッタ34を介してバルブリテーナ35が設けられる(図3参照)。バルブリテーナ35にはバルブシート36との間に装着されたバルブスプリング37の弾性力が作用する。更にバルブステム31aの上端が上述したアーム22の押圧部22aにより押圧される。
なお、排気側のバルブユニット30EXは、図3に示すように吸気側のバルブユニット30と基本構成が同様である。この場合、シリンダ内の燃焼ガスは排気ポート33EXを介して、排気管116を通って排出される。
アクセルシャフトユニット50において、図2に示すように、カムシャフト11および11EX間に平行に配置されたアクセルシャフト51と、アクセルシャフト51に支持されると共にアクセルシャフト51をカム13、カム13EXに連結するアクセルフォーク42とを備える。アクセルシャフト51は、軸方向にスライド可能に支持され、一端側で送りネジ52aを介してアクセルシャフトスライド機構70に螺合される。また、アクセルシャフトスライド機構70側のアクセルフォーク42はアクセルシャフト51に圧入されることで固定されている。一方、スプロケット15側のアクセルフォーク42はアクセルシャフト51の軸方向における両側からナット72によって挟持されることで固定されている。図3に示すシリンダヘッドカバー2aに取り付けられたブリーザカバー3を取り外すことで、図5に示す開口部4からナット72を回動させることができる。したがって、開口部4からスプロケット15側のアクセルフォーク42をアクセルシャフト51に沿って微調整することができる。
アクセルシャフトスライド機構70は、図7に示すように、アクチュエータ49と、ドリブンギア43と、アイドルギア44と、ドライブギア46、アクセルモータ45とを備える。アクチュエータ49にはアクセルシャフト51の送りネジ52aに螺合するネジ49aが形成されている。ドリブンギア43はアクチュエータ49に一体的に固着され、図6および図7に示すように、ドリブンギア43の上側に配置されたアイドルギア44に噛合する。更に、アイドルギア44はシリンダヘッドカバー2aの上側に配置されたドライブギア46と噛合する。ドライブギア46は図5に示すようにシリンダヘッドカバー2aの上方の吸気側に配置されたアクセルモータ45の出力軸(図示せず)に固着されている。なお、図5では、ドライブギア46およびドライブギア46のハウジング71(図7参照)を省略して図示している。
アクセルシャフトスライド機構70では、アクセルモータ45の作動によりドライブギア46、アイドルギア44、ドリブンギア43およびアクチュエータ49を介して、アクセルシャフト51を軸方向に所望量スライド移動させることができる。
本実施形態のアクセルシャフトスライド機構70では、アクセルモータ45の出力軸をアクセルシャフト51の軸方向と同一方向に配置することで、アクセルモータ45の回転の伝達を平歯車であるドライブギア46、アイドルギア44およびドリブンギア43を介して行うようにした。このように構成することで、ベベルギアを用いてアクセルシャフト51を作動させる必要がないので、アクセルシャフトスライド機構70を安価に構成することができる。また、適宜、アイドルギア44を省略して構成することで、さらに安価に構成することができる。また、ドリブンギア43とアクチュエータ49とを一体的に固着する場合に限られず、ドリブンギア43とアクチュエータ49とを一体で構成し、ドリブンギア43に直接、アクセルシャフト51の送りネジ52aに螺合するネジ49aを形成してもよい。
次に、上述した2つのアクセルフォーク42は、アクセルシャフト51と直交方向にカムシャフト11、11EX側へ延出し、それら両側に二股状の先端部を有する(図2および図3参照)。また、カム13、13EXの端部には、ベアリング47、47EXを介して回転自在にされたフォークガイド48、48EXを備える。アクセルフォーク42の二股状の各先端はフォークガイド48、48EXの係合溝に係合し、この係合溝に沿って移動可能である。これによりアクセルシャフト51がその軸方向にスライドするのに連動もしくは同期して、カム13、13EXがカムシャフト11、11EXに沿ってそれぞれスライドする。
図3に示すように、シリンダヘッドカバー2aの上側にはカム13のスライド量を検出するカムロブポジションセンサ60が配設される。より具体的には、カムロブポジションセンサ60は図5に示すように、アクセルモータ45を配置されている側である吸気側に開口するカムロブポジションセンサ取付部73に取り付けられる。なお、カムロブポジションセンサ60とアクセルモータ45とは干渉しないように車幅方向に離間して配設されている。
図3に示すように、カムロブポジションセンサ60には下方向に延設されたセンサシャフト61を備える。センサシャフト61にはセンサレバー62が結合され、センサレバー62の先端にはスプロケット15側のフォークガイド48の係合溝に係合している。したがって、カムロブポジションセンサ60はフォークガイド48、センサレバー62およびセンサシャフト61を介して、カム13のスライド量を検出することができる。
さて、本実施形態では長尺のアクセルシャフト51が軸方向にスライドするときに発生するこじれを防止するために、アクセルシャフト51を複数に分割して構成している。そして、こじれの要因であるガタをアクセルシャフト51の分割部で吸収するように構成している。具体的には、図2に示すように、アクセルシャフト51はアクセルシャフトスライド機構70とアクセルシャフトスライド機構70側のアクセルフォーク42との間で、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53とに分割されている。
次に、図8A〜図9Bを参照して、分割構成されたアクセルシャフト51について具体的に説明する。図8Aはアクセルシャフト51の構成を示す図である。図8Bは図8AのV−V断面を示す図である。図9Aはアクセルシャフト51の構成を示す斜視図である。図9Bはアクセルシャフト51を結合する方法を説明するための斜視図である。
図8Aおよび図9Aに示すように、アクセルシャフト51は、第一のシャフト部52、第二のシャフト部53、係止部材54、ジョイントナット55、ロックナット56を含んで構成されている。
第一のシャフト部52にはアクチュエータ49のネジ49aに螺合する上述した送りネジ52aが形成されている。本実施形態では、送りネジ52aとしてボールネジが形成されている。すなわち、アクチュエータ49のネジ49aと第一のシャフト部52の送りネジ52aとの間には、第一のシャフト部52とアクチュエータ49との間の回動を円滑にするために、図示しない複数の鋼球が介在している。一方、第一のシャフト部52の送りネジ52aが形成された側と反対側には、軸方向に沿ってインボリュート形状の雄スプライン52bが形成される。また、雄スプライン52bの中央には、周方向に沿って環状溝52cが形成される。この環状溝52cには係止部材54が係合する。
第二のシャフト部53は離間した複数のアクセルフォーク42を固定できる長さに形成される。第二のシャフト部53には第一のシャフト部52と結合される側の端部に、雄ネジ部53aが形成されている。
ジョイントナット55は第一のシャフト部52と第二のシャフト部53とを結合する。ジョイントナット55は外径が上述した送りネジ52aの外径と略同程度の筒状に形成され、第二のシャフト部53と結合される側の内周面に、第二のシャフト部53の雄ネジ部53aと螺合される雌ネジ部55aが形成される(図9A参照)。また、ジョイントナット55は第一のシャフト部52と結合される側の内周面に、第一のシャフト部52の雄スプライン52bと嵌合されるインボリュート形状の雌スプライン55bが形成される(図8Bも参照)。ここで、雄スプライン52bと雌スプライン55bとを嵌合させたときに、両者の間には相対的にアクセルシャフト51の径方向に僅かに移動(微動)できるような隙間を有している。また、ジョイントナット55の内周面の雌ネジ部55aと雌スプライン55bとの間には円筒状の周面部55cが形成される。この周面部55cと雌スプライン55bとの境界には、雌スプライン55bによる段部55dが形成される(図9A参照)。ジョイントナット55の外周の一部は工具によって回動できるように六角形状に形成される。ここで、雌ネジ部55a、周面部55c、雌スプライン55bの各内径寸法は、雌ネジ部55a、周面部55c、雌スプライン55bの順に小径になるように形成される。
ロックナット56は板状に形成され、第二のシャフト部53の雄ネジ部53aと螺合される雌ネジ部56aが形成される(図9A参照)。ロックナット56の外周は工具によって回動できるように六角形状に形成される。
係止部材54はU字状に形成された、いわゆるシム(shim)である。係止部材54のU字形状は第一のシャフト部52の環状溝52cに係合できる形状である。また係止部材54の外径寸法はジョイントナット55の雌スプライン55bの内径より大きく、周面部55cの内径よりも小さい寸法である。
次に、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53とを結合する方法について説明する。まず、図9Bに示すように第一のシャフト部52の雄スプライン52bにジョイントナット55を挿通させる。このとき、雄スプライン52bに形成された環状溝52cが露出する位置までジョイントナット55を挿入し、環状溝52cに係止部材54を係合させる。
次に、ジョイントナット55の段部55dと係止部材54とが当接するまで、ジョイントナット55を第一のシャフト部52に挿入した方向とは反対側に移動させる。このとき、第一のシャフト部52の雄スプライン52bとジョイントナット55の雌スプライン55bとが嵌合している状態となる。
予め第二のシャフト部53の雄ネジ部53aの基端(図9Bにおいて上方)までロックナット56を螺合させておく。次に、第二のシャフト部53の雄ネジ部53aとジョイントナット55の雌ネジ部55aとを螺合させる。このとき、ジョイントナット55は係止部材54によって第一のシャフト部52に対して抜けないように係止されているために、ジョイントナット55を第二のシャフト部53の雄ネジ部53aに螺合させていくことで、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53とが徐々に近接していく。そして、第一のシャフト部52の軸端面を第二のシャフト部53の軸端面に当接するまで螺合させる。
次に、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53との当接を離す方向、すなわち、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53とを近接させる方向に回動させた方向と反対方向にジョイントナット55を僅かに回動させる。すると、第一のシャフト部52の軸端面と第二のシャフト部53の軸端面との間には、軸方向に僅かな隙間g(図8A参照)を生じさせることができる。この隙間gがあることで、後述するようにロックナット56でジョイントナット55を固定した後であっても、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53とを相対的に径方向に微動させることができる。
なお、隙間gは第一のシャフト部52と第二のシャフト部53との軸端面同士の当接による相互間の径方向の移動の拘束を解除できる程度であれば、十分であり、極めて微小な隙間である。したがって、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53との間に、このような隙間gを含んでいても、両者間で軸方向のガタは実質的に生じない。本実施形態では隙間gは略5/1000mm〜略1/100mmになるように設定されている。
ここで、例えば第二のシャフト部53の雄ネジ部53aとジョイントナット55の雌ネジ部55aとが、一回転で1mm軸方向に推進するネジピッチを想定する。この場合、第一のシャフト部52の軸端面と第二のシャフト部53の軸端面とが当接してから、ジョイントナット55を略2度から略4度、回転を戻すことで、上述した略5/1000mm〜略1/100mmの隙間に設定することができる。
次に、ロックナット56をジョイントナット55に近接させる方向に螺合させ、ジョイントナット55が回動しないように固定させる。このように結合することにより、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53とを簡単な構造で結合させることができる。
上述した方法によって結合したアクセルシャフト51を、図2に示すように、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53との結合部、すなわちジョイントナット55をアクセルシャフトスライド機構70とアクセルシャフトスライド機構70側のアクセルフォーク42との間に位置するように動弁装置内に組み込む。このように構成されたアクセルシャフト51によれば、アクセルフォーク42の手前までに発生した第一のシャフト部52のガタを第一のシャフト部52と第二のシャフト部53との間で吸収するので、アクセルフォーク42にそのガタが伝わることがなく、アクセルシャフト51全体が長尺であるにも拘らずアクセルフォーク42のこじれを防止することができる。
また、アクセルシャフト51は第一のシャフト部52と第二のシャフト部53とが第一のシャフト部52の雄スプライン52bとジョイントナット55の雌スプライン55bとを介して結合されている。したがって、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53との間では相対的な回転が規制される。そのために、アクセルシャフトスライド機構70の作動による第一のシャフト部52の供回りを防止し、確実に第一のシャフト部52をスライドさせることができる。
また、雄スプライン52bと雌スプライン55bとの間では径方向の相対的な移動が許容される隙間を有している。したがって、第一のシャフト部52を偏芯させるようなガタが発生し、第一のシャフト部52の送りネジ52aとアクセルシャフトスライド機構70との間でこじれが生じたとしても、雄スプライン52bと雌スプライン55bとの間でそのガタを吸収することで、第一のシャフト部52の送りネジ52aとアクセルシャフトスライド機構70との間のこじれが防止され、アクセルシャフト51がスライドするときの摺動抵抗を減少させることができる。
また、第二のシャフト部53のみによって各気筒に対応するカム13をスライドさせることから、各カム13のスライド量にばらつきが生じることを回避することができる。同様に、2気筒以上の多気筒であっても各気筒に対応するカム13を第二のシャフト部53のみによってスライドさせることで、多気筒の各カム13のスライド量のばらつきを抑えることができる。
なお、上述したようにアクセルシャフトスライド機構70が作動したときの第一のシャフト部52を偏芯させるようなガタはある程度許容されることから、ネジの寸法精度が劣ってしまう転造によって送りネジ52aを加工することができる。この場合、ネジの寸法精度に優れた切削によって加工するよりも、製造コストが安価であるという利点がある。
さらに、上述したように第一のシャフト部52の軸端面と第二のシャフト部53の軸端面とを当接させるまで螺合させた後、反対方向に僅かに回動させることにより、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53との間の隙間を容易に最小限に設定することができる。したがって、第一のシャフト部52の軸方向へのスライドに応じた第二のシャフト部53の追従性を維持することができる。
また、上述したように第一のシャフト部52と第二のシャフト部53との結合はコンパクトである。すなわち、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53とを結合するジョイントナット55の外径は送りネジ52aの外径と略同程度の径寸法である。したがって、バルブのハサミ角を拡大させることなく、アクセルシャフト51をカムシャフト11、11EXの間に配置することができる。
以上、本発明を種々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能である。
例えば、上述した実施形態では、2気筒エンジンの場合について説明したが、3気筒以上の複数気筒においても、本実施形態を同様に適用することができる。
また、上述した実施形態では、3次元もしくは立体カムの場合について説明したが、その他一般的な連続可変バルブリフト機構に適用することができる。
また、上述した実施形態では、第一のシャフト部52に雄スプライン52bを形成して、第二のシャフト部53に雄ネジ部53aを形成する場合について説明したが、この場合に限られない。すなわち、第一のシャフト部52に雄ネジ部を形成して、第二のシャフト部53に雄スプラインを形成してもよい。この場合、第一のシャフト部52の雄ネジ部とジョイントナット55の雌ネジ部55aとを螺合させ、第二のシャフト部53の雄スプラインとジョイントナット55の雌スプラインに嵌合させればよい。
また、上述した実施形態では、雄スプラインと雌スプラインとをインボリュート形状に形成した場合について説明したが、この場合に限られない。すなわち、第一のシャフト部52と第二のシャフト部53との間で、回転方向の規制ができる形状であればよく、例えば、各スプラインの断面を台形形状、四角形状またはセレーション形状にしてもよい。または、第一のシャフト部52の端部の形状または第二のシャフト部53の端部の形状と、ジョイントナット55の形状とを真円以外の形状にしてもよく、例えば、楕円や六角スプライン等の多角形状であってもよい。ただし、雄スプラインと雌スプラインとをインボリュート形状にすることで加工精度を向上させやすいという利点がある。
1:エンジンユニット 2:シリンダヘッド 10:カム/カムシャフトユニット
12:軸受 13:3次元カム 15:スプロケット 20:バルブリフトユニット
30:バルブユニット 50:アクセルシャフトユニット 51:アクセルシャフト
52:第一のシャフト部 52a:送りネジ 52b:雄スプライン
52c:環状溝 53:第二のシャフト部 53a:雄ネジ部 54:係止部材
55:ジョイントナット 55a:雌ネジ部 55b:雌スプライン 55c:周面部
56:係止部材 56a:雄ネジ部 100:自動二輪車

Claims (7)

  1. 複数気筒それぞれにおいて3次元カムをスライドさせて、各気筒のバルブのリフト特性を連続可変するようにした動弁装置であって、
    前記複数気筒にまたがって延設され、各気筒の3次元カムがスライド可能に装着されたカムシャフトと、
    前記カムシャフトと平行に配置され、軸方向にスライド可能に支持されたアクセルシャフトと、
    前記アクセルシャフトに固定して設けられ、前記アクセルシャフトのスライドに伴って前記各気筒の3次元カムをそれぞれスライドさせる複数のアクセルフォークとを備え、
    前記アクセルシャフトは、互いに径方向に微動可能に結合される複数のシャフト部により分割構成されていることを特徴とする動弁装置。
  2. 前記アクセルシャフトを軸方向にスライドさせるアクセルシャフトスライド機構を更に備え、
    前記アクセルシャフトは、2つのシャフト部により前記アクセルシャフトスライド機構と前記アクセルシャフトスライド機構に近接したアクセルフォークとの間で分割構成されていることを特徴とする請求項1に記載の動弁装置。
  3. 前記アクセルシャフトは、
    前記アクセルシャフトスライド機構に結合される送りネジが形成された第一のシャフト部と、
    前記複数のアクセルフォークを固定した第二のシャフト部とにより分割構成されていることを特徴とする請求項2に記載の動弁装置。
  4. 前記第一のシャフト部または前記第二のシャフト部の一方に雄スプラインが形成され、
    前記第一のシャフト部または前記第二のシャフト部の他方に雄ネジ部が形成され、
    前記アクセルシャフトは、前記雄スプラインと嵌合する雌スプラインおよび前記雄ネジ部と螺合する雌ネジ部が形成されたジョイントナットにより、前記第一のシャフト部と前記第二のシャフト部とが結合されていることを特徴とする請求項3に記載の動弁装置。
  5. 前記第一のシャフト部と前記第二のシャフト部との間には、軸方向に隙間を有していることを特徴とする請求項3または4に記載の動弁装置。
  6. 前記雄スプラインおよび前記雌スプラインの断面形状が、インボリュート形状であることを特徴とする請求項4または5に記載の動弁装置。
  7. 吸気バルブおよび排気バルブにより吸排気を制御するようにした内燃機関であって、
    吸気側または排気側に請求項1乃至6の何れか1項に記載の動弁装置を備えたことを特徴とする内燃機関。
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