自動車等の車両に用いられる内燃機関の排気装置としては、図17に示すようなものが知られている(例えば、特許文献1参照)。図17に示すように、排気装置4には、内燃機関としてのエンジン1から排気される排気ガスが、排気マニホールド2を通り、触媒コンバータ3によって浄化された後に導入されるようになっている。
また、排気装置4は、触媒コンバータ3に連結されたフロントパイプ5、フロントパイプ5に連結されたセンターパイプ6、センターパイプ6に連結された消音器としてのメインマフラ7、メインマフラ7に連結されたテールパイプ8およびテールパイプ8に介装されたサブマフラ9から構成されている。
図18に示すように、メインマフラ7は、センターパイプ6の小孔6aから排気ガスが拡張されて導入される拡張室7aと、センターパイプ6の下流開口端6bが挿通される共鳴室7bと、を備えており、センターパイプ6の下流開口端6bから共鳴室7bに導入される排気ガスは、ヘルムホルツ共鳴によって特定の周波数の排気音が消音される。
ここで、共鳴室7bに突出する部分のセンターパイプ6の突出部分の長さをL1(m)、センターパイプ6の断面積をS(m
2)、共鳴室7bの容積をV(m
3)、空気中の音速をc(m/s)とするとき、空気中の共鳴周波数fn(Hz)は、ヘルムホルツ共鳴に関する下記の式(1)により求められる。
上記の式(1)から明らかなように、共鳴室7bの容積Vを大きくしたり、センターパイプ6の突出部分の長さL1を長くすることにより、共鳴周波数を低周波数側にチューニングすることができる。また、共鳴室7bの容積Vを小さくしたり、センターパイプ6の突出部分の長さL1を短くすることにより、共鳴周波数を高周波数側にチューニングすることができる。
サブマフラ9は、エンジン1の運転時の排気脈動によってテールパイプ8内でテールパイプ8の管長に対応した気柱共鳴が発生することによって音圧が増大するのを抑制するようになっている。
一般に、排気ガスの排気方向上流側および下流側にそれぞれ上流開口端8aおよび下流開口端8bを有するテールパイプ8は、エンジン1の運転時の排気脈動による入射波がテールパイプ8の上流開口端8aおよび下流開口端8bで反射することにより、テールパイプ8の管長Lを半波長とした気柱共鳴を基本として、半波長の自然数倍が管長Lとなる波長の気柱共鳴が発生する。
例えば、サブマフラ9が設けられていないテールパイプ8がメインマフラから後方に延在している場合を例にすると、図19(a)に示すように、基本振動(一次成分)の気柱共鳴の波長λ1は、テールパイプ8の管長Lの略2倍となり、図19(b)に示すように、二次成分の気柱共鳴の波長λ2は、管長Lの略1倍となる。また、図19(c)に示すように、三次成分の気柱共鳴の波長λ3は、管長Lの2/3倍となる。このように、テールパイプ8内には上流開口端8aおよび下流開口端8bが音圧の節となるような定在波ができる。
また、テールパイプ8の気柱共鳴周波数faは、下記の式(2)で表される。
ただし、cは音速(m/s)、Lはテールパイプの管長(m)、nは次数とする。
上記の式(2)から明らかなように、音速cは、温度に応じた一定の値となるので、テールパイプ8の管長Lが長い程、気柱共鳴周波数faが低周波数側に移行して、低周波数領域において、排気音の気柱共鳴による騒音の問題が起き易くなってしまうことがわかる。
また、エンジン1の排気脈動の周波数fe(Hz)は、下記の式(3)に示される。
ただし、Neはエンジン回転数(rpm)、Nはエンジンの気筒数(自然数)とする。
したがって、特定のエンジン回転数Neにおいて、排気脈動の周波数feが、気柱共鳴周波数faと一致することとなる。このため、図20に示すように、排気脈動の周波数feが気柱共鳴による排気音の一次成分f1となる特定のエンジン回転数Neにおいて、排気音の音圧レベル(dB)が著しく高くなっている。また、排気脈動の周波数feが気柱共鳴による排気音の二次成分f2となる特定のエンジン回転数Neにおいても、排気音の音圧レベル(dB)が著しく高くなっている。
このように、管長が長いテールパイプ8を用いる場合には、エンジン1の常用回転域(例えば、2000rpm〜5000rpm)に対応する周波数領域で気柱共鳴が発生してしまうことがあり、この気柱共鳴の排気音が車室内に伝達され、車室内にこもり音を生じさせてしまい、運転者に不快感を与えてしまうことになる。
このため、テールパイプ8の管長が長い場合には、気柱共鳴による排気音の一次成分f1、二次成分f2のそれぞれの音圧が高い腹a(図19参照)に対して最適な位置に、メインマフラ7より容量の小さなサブマフラ9を設け、エンジン1の常用回転域において気柱共鳴の発生を防止するようにしている。
一方、テールパイプ8の上流開口端8aに接続されるメインマフラ7の共鳴室7bの共鳴周波数をテールパイプ8の気柱共鳴周波数に合わせることによって、メインマフラ7の共鳴室7b内においてテールパイプ8の気柱共鳴を消音することが考えられる。
すなわち、式(1)に基づいて、共鳴室7bの容積Vを大きくしたり、センターパイプ6の突出部分の長さL1を長くして共鳴室7bの共鳴周波数を低周波数側にチューニングすることで、エンジン1の常用回転域において、テールパイプ8内で発生する気柱共鳴を共鳴室7bで予め消音することが考えられる。
ところが、車両の減速時にはアクセルペダルが解放されるため、エンジン1から排気装置4に排気されるガス量が急激に低減された排気流のみとなり、共鳴室7bに導入される空気圧が小さくなる。
このため、共鳴室7bにおいてヘルムホルツ共鳴を行うのに充分な空気量を得ることができず、テールパイプ8の気柱共鳴を抑制することが困難となってしまう。特に、車両の減速時にはエンジン1の回転数が急激に低下するため、エンジン1の常用回転域に気柱共鳴による排気音の一次成分f1が入ってしまい、低回転数で車室内にこもり音を生じさせてしまうことがあり、運転者に不快感を与えてしまうことになる。
このような減速時の騒音を低減するものとして、排気管を開閉するバルブを設けて、このバルブの開閉を制御する制御装置を備えた排気装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
図21および図22に示すように、この排気装置は、気柱共鳴の定在波の音圧の節となるテールパイプ8の下流開口端8bに消音バルブ10が設けられており、この消音バルブ10は、テールパイプ8の下流開口端8bに取り付けられたバルブケース11およびバタフライバルブ型の弁体12からなり、弁体12の中央部にはテールパイプ8の通路断面積を絞るためのオリフィス13が形成されている。
また、弁体12には、駆動軸14が設けられており、この駆動軸14は、テールパイプ8の延在方向の中心軸線と直交する方向に延在して設けられている。この駆動軸14は、ドラム15およびワイヤ16を介して電磁アクチュエータ17に接続されており、電磁アクチュエータ17は、コントロールユニット19によってオン・オフ制御されるようになっている。
コントロールユニット19は、図示しないスロットルバルブの開度を検出するスロットルセンサ18の検出信号に基づいて電磁アクチュエータ17をオン・オフ制御するための指令信号を電磁アクチュエータ17に出力するようになっている。
具体的には、コントロールユニット19は、通常は、電磁アクチュエータ17にオフ信号を出力して電磁アクチュエータ17によって弁体12を開状態に保つようになっている。また、コントロールユニット19は、車両の減速時にスロットルセンサ18からの検出情報に基づいて電磁アクチュエータ17にオン信号を出力して電磁アクチュエータ17によって弁体12を閉動作させるようになっている。
このため、車両の定常走行時や加速時には、消音バルブ10が排気ガスの排気を妨げることを防止することができる。また、車両の減速時には、排気ガスがオリフィス13のみを通過するため、排気ガスの粒子速度が最大となる気柱共鳴の定在波の音圧の節において粒子の運動に抵抗を与えて、テールパイプ8の気柱共鳴によって音圧が増大してしまうことを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態における内燃機関の排気装置の構成について、図1に示す内燃機関の排気装置の概略ブロック構成図を参照して、説明する。
図1に示すように、本実施の形態における排気装置20は、直列4気筒の内燃機関としてのエンジン21から排出された排気ガスを排気する装置として、適用されている。エンジン21には、排気マニホールド22が接続されており、排気マニホールド22には、排気装置20が接続されている。
なお、エンジン21は、直列4気筒に限らず、直列3気筒または直列5気筒以上であってもよく、左右に分割されたそれぞれのバンクに3気筒以上の気筒を有するV型エンジンであってもよい。
排気マニホールド22は、エンジン21の第1気筒から第4気筒にそれぞれ連通する排気ポートにそれぞれ接続される4つの排気枝管22a、22b、22c、22dと、排気枝管22a、22b、22c、22dの下流側を集合させる排気集合管22eとから構成されており、エンジン21の各気筒から排気される排気ガスが排気枝管22a、22b、22c、22dを介して排気集合管22eに導入されるようになっている。
排気装置20は、触媒コンバータ24と、円筒状のフロントパイプ25と、円筒状のセンターパイプ26と、消音器としてのマフラ27と、円筒状の排気管としてのテールパイプ28と、を備えている。また、排気装置20は、車体の床下に弾性的に垂下されるようにしてエンジン21の排気ガスの排気方向下流側に設置されている。
なお、上流側とは、排気ガスの排気方向上流側を示し、下流側とは、排気ガスの排気方向下流側を示す。
触媒コンバータ24の上流端は、排気集合管22eの下流端に接続されており、触媒コンバータ24の下流端は、自在継手29を介してフロントパイプ25に接続されている。この触媒コンバータ24は、ハニカム基材または粒状の活性アルミナ製担体に白金、パラジウム等の触媒を付着させたものが本体ケースに収納されたものから構成され、NOxの還元やCO、HCの酸化を行うようになっている。
自在継手29は、ボールジョイント等の球面継手から構成されており、触媒コンバータ24とフロントパイプ25との相対変位を許容するようになっている。また、フロントパイプ25の下流端には、自在継手30を介してセンターパイプ26の上流端が接続されている。自在継手30は、ボールジョイント等の球面継手から構成されており、フロントパイプ25とセンターパイプ26との相対変位を許容するようになっている。
センターパイプ26の下流側は、マフラ27に接続されており、このマフラ27は、排気音の消音を行うようになっている。
図2、図3に示すように、マフラ27は、中空筒状に形成されたアウタシェル31と、アウタシェル31の両端を閉塞するエンドプレート32、33と、エンドプレート32とエンドプレート33との間に介装された仕切板34とを備えており、アウタシェル31、エンドプレート32、33および仕切板34を含んで消音器本体が構成されている。
アウタシェル31内に設けられた仕切板34は、アウタシェル31内を、排気ガスを拡張するための拡張室35およびヘルムホルツ共鳴によって特定の周波数の排気音を消音するための共鳴室36に区画している。また、エンドプレート32と仕切板34には、それぞれ挿通孔32a、34aが形成されており、この挿通孔32a、34aには、センターパイプ26の下流側の端部、すなわち、センターパイプ26のうちマフラ27の内部に収納されている部分からなるインレットパイプ部26Aが挿通されている。
このインレットパイプ部26Aは、拡張室35および共鳴室36に収納されるようにしてエンドプレート32および仕切板34に支持されており、下流開口端26bが共鳴室36に開口している。
また、インレットパイプ部26Aには、インレットパイプ部26Aの延在方向(排気ガスの排気方向)および周方向に複数の小孔26aが形成されており、インレットパイプ部26Aの内部と拡張室35とは、小孔26aを介して連通している。
したがって、センターパイプ26のインレットパイプ部26Aを通してマフラ27に導入される排気ガスは、小孔26aを介して拡張室35に導入されるとともに、インレットパイプ部26Aの下流開口端26bから共鳴室36に導入される。
そして、共鳴室36に導入される排気ガスは、ヘルムホルツ共鳴によって特定の周波数の排気音が消音される。
すなわち、インレットパイプ部26Aの小孔26aの最下流側から共鳴室36に突出するインレットパイプ部26Aの突出部分までの長さをL1(m)、インレットパイプ部26Aの断面積をS(m
2)、共鳴室36の容積をV(m
3)、空気中の音速をc(m/s)とするとき、空気中の共鳴周波数fn(Hz)は、ヘルムホルツ共鳴に関する下記の式(4)により求められる。
上記の式(4)から明らかなように、共鳴室36の容積Vを小さくしたり、インレットパイプ部26Aの突出部分の長さL1を短くしたり、インレットパイプ部26Aの断面積Sを大きくすることにより、共鳴周波数を高周波数側にチューニングすることができる。また、共鳴室36の容積Vを大きくしたり、インレットパイプ部26Aの突出部分の長さL1を長くしたり、インレットパイプ部26Aの断面積Sを小さくすることにより、共鳴周波数を低周波数側にチューニングすることができる。
一方、仕切板34とエンドプレート33には、それぞれ挿通孔34b、33aが形成されており、この挿通孔34b、33aには、テールパイプ28の上流側の端部、すなわち、テールパイプ28のうちマフラ27の内部に収納されている部分からなるアウトレットパイプ部28Aが挿通されている。
テールパイプ28は、一端部に、上流開口端28aが形成されており、上流開口端28aから距離Lだけ離隔した他端部に、下流開口端28bが形成されている。また、テールパイプ28の上流開口端28aは、拡張室35に開口し、テールパイプ28の下流開口端28bは、大気に連通している。このため、マフラ27の拡張室35からテールパイプ28の上流開口端28aに導入された排気ガスは、テールパイプ28を通して下流開口端28bから大気に排出される。
また、テールパイプ28の外部、テールパイプ28の下流開口端28bの近傍には、錘となる可動ウェイト46が設けられている。
図4〜図7に示すように、テールパイプ28の下流開口端28bには、弁体としての揺動プレート41が設けられている。揺動プレート41は、テールパイプ28の延在方向中心軸線に対する直交方向に設けられ、排気流の揺動により所定の角度で排気流を受ける排気受圧面41aと、排気受圧面41aと略直行方向で排気受圧面41aの下流側側面および下面を覆うプレート側面部41bを有している。また、揺動プレート41のプレート側面部41bの上部には、回転軸としての軸部材42が挿通される挿通孔41cが形成されている。
また、揺動プレート41は、排気受圧面41aが排気ガスの排気流を受けていない場合には、排気受圧面41aがテールパイプ28の上流側に傾いた状態となるように設置されている。
軸部材42は、テールパイプ28の延在方向中心軸線に対して直交するとともに、テールパイプ28の延在方向中心軸に対して外周側に離隔してテールパイプ28に取り付けられている。
また、軸部材42は、揺動プレート41とともに回転するようになっている。さらに、軸部材42は、可動ウェイト46が設けられた側の一端部に、軸部材42と一体回転し、可動ウェイト46と接触したときに可動ウェイト46を可動させる回転伝達部としてのフック42aが設けられている。
また、テールパイプ28の下流開口端28bの外周上部には、突出片43a、43bが形成されており、突出片43a、43bには、それぞれ軸部材42が挿通される挿通孔43cが形成されている。
また、テールパイプ28の下流開口端28bの上部には、挿通孔28cが形成されており、この挿通孔28cには、軸部材42が挿通されるようになっている。
また、可動ウェイト46の上部には、挿通孔46aが形成されており、この挿通孔46aには、軸部材42が挿通されるようになっている。
また、可動ウェイト46の上部で、テールパイプ28と反対側には、突出片43dが形成されており、突出片43dには、軸部材42が挿通される挿通孔43eが形成されている。
また、揺動プレート41に対して回転させるトルクが加えられておらず、揺動プレート41が自重のみによって釣り合っている状態において、軸部材42に設けられたフック42aと、可動ウェイト46のウェイト上面46bとは、所定の角度Aとなるように設置されている。すなわち、フック42aは、排気ガスの排気流により、揺動プレート41が角度Aだけ回転すると、可動ウェイト46のウェイト上面46bと接触するようになっている。したがって、可動ウェイト46は、揺動プレート41が揺動される角度が、角度Aよりも大きくなる場合に負荷を与える負荷部材として機能するようになっている。
また、軸部材42の両端部には、それぞれスナップリング44が取り付けられるようになっており、このスナップリング44によって軸部材42が突出片43a、43dに係止され、軸部材42が挿通孔41c、28c、43c、46a、43eから抜け出ることが防止される。
したがって、揺動プレート41は、図6に示すように、テールパイプ28の下流開口端28bの通路断面積を所定の通路断面積とした位置(以下、上流傾斜位置という)から、図7(a)に示すように、テールパイプ28の下流開口端28bの通路断面積を最も小さくする位置(以下、鉛直最下位位置という)を経て、図7(c)に示すように、テールパイプ28の下流開口端28bの通路断面積を大きくする位置(以下、下流開口位置という)との間で軸部材42を回転軸として揺動することにより、テールパイプ28の下流開口端28bの通路断面積を可変するようになっている。なお、図7(b)は、図7(a)に示す鉛直最下位位置と、図7(c)に示す下流開口位置との間の、テールパイプ28の下流開口端28bの通路断面積を所定の通路断面積とする揺動プレート41の位置(以下、下流傾斜位置という)を示す図である。
また、揺動プレート41およびプレート側面部41bと、下流開口端28bと、の間には、一定の開口面積の開口部45が画成されるようになっている。すなわち、この開口部45は、揺動プレート41が揺動される角度に応じて絞られたテールパイプ28の下流開口端28bの通路断面積に相当するものとなる。
次に、作用を説明する。
エンジン21の運転時にエンジン21の各気筒から排気される排気ガスは、排気マニホールド22から触媒コンバータ24に導入され、触媒コンバータ24によってNOxの還元やCO、HCの酸化が行われる。
触媒コンバータ24から排気される排気ガスは、フロントパイプ25およびセンターパイプ26を通してマフラ27に導入される。マフラ27に導入される排気ガスは、インレットパイプ部26Aの小孔26aを介して拡張室35に導入されるとともに、インレットパイプ部26Aの下流開口端26bから共鳴室36に導入され、共鳴室36に導入される排気ガスは、ヘルムホルツ共鳴によって特定の周波数の排気音が消音される。
拡張室35に導入された排気ガスは、アウトレットパイプ部28Aの上流開口端28aを通してテールパイプ28に導入された後、テールパイプ28の下流開口端28bを通して大気に排出される。
また、テールパイプ28の下流開口端28bには、排気ガスの排気流によって揺動されることにより下流開口端28bの開口断面積を変更する揺動プレート41が設けられており、この揺動プレート41と下流開口端28bの内周部との間には、一定の開口面積の開口部45が画成される。このため、エンジン21の回転数が排気ガスの排気量が少ないアイドル回転数である領域(以下、アイドル回転域という)では、図8に示すように、揺動プレート41が上流傾斜位置となり、テールパイプ28に導入される排気ガス(矢印で示す)は、揺動プレート41が鉛直最下位位置にある場合よりも、開口部45が大きく開かれた状態で大気に排出される(図6参照)。これにより、アイドル回転域では、排気ガスが流通する通路が大きく開口するので、背圧の抑制や気流音の発生の抑制を行うことができる。
図9に、エンジン21の回転数と、テールパイプ28の断面積における開口部45の比率、すなわち、揺動プレート41の開度と、の関係を表す揺動プレート41の開度特性を示す。
アイドル回転域と同様に、エンジン回転数が低く排気ガスの排気量が少ない領域(以下、低回転域という)では、揺動プレート41が上流傾斜位置、または、上流傾斜位置と鉛直最下位位置との間となり、テールパイプ28に導入される排気ガスは、揺動プレート41が鉛直最下位位置にある場合よりも、開口部45が大きく開かれた状態で大気に排出される(図6参照)。これにより、低回転域においても、排気ガスが流通する通路が大きく開口するので、背圧の抑制や気流音の発生の抑制を行うことができる。
また、エンジン回転数が高く排気ガスの排気量が多い領域(以下、高回転域という)では、排気流によって揺動プレート41が大きく揺動され、揺動プレート41が下流開口位置となり、テールパイプ28に導入される排気ガスは、開口部45が下流側で上流傾斜位置における開口面積よりもさらに大きく開かれた状態で大気に排出される(図7(c)参照)。したがって、高回転域では、アイドル回転域よりも、排気ガスが流通する通路が大きく開口し、背圧の抑制や気流音の発生の抑制を行うことができる。
一方、このような高回転域から、スロットルバルブが閉じられ車両が減速される領域(以下、減速回転域という)となると、エンジン21から排出される排気ガス量が減る。これにより、揺動プレート41が下流傾斜位置を経て鉛直最下位位置となり、テールパイプ28に導入される排気ガスは、開口部45が最も絞られた状態で大気に排出される(図7(a)参照)。これにより、減速回転域では、排気ガスが流通する通路が揺動プレート41により閉口された閉口部と、開口された開口部45と、により、それぞれ反射波が発生し、この反射波の干渉によりテールパイプ28で発生する騒音の抑制を行うことができる。上記反射波の発生および干渉については、後述する。
また、アイドル回転域または低回転域から、スロットルバルブが開かれ車両が加速される領域(以下、加速回転域という)となると、エンジン21から排出される排気ガス量が増える。これにより、揺動プレート41が鉛直最下位位置を経て下流傾斜位置となり、テールパイプ28に導入される排気ガスは、開口部45がある程度絞られた状態で大気に排出される(図7(b)参照)。
ここで、揺動プレート41は、鉛直最下位位置まで回転すると、揺動プレート41とともに回転する軸部材42に設けられたフック42aが、可動ウェイト46のウェイト上面46bと接触する。これにより、揺動プレート41は、上流傾斜位置から鉛直最下位位置までの間は、揺動プレート41のみを回転させるトルクにより回転するが、鉛直最下位位置から下流傾斜位置および下流開口位置方向に回転するには、揺動プレート41に加え、可動ウェイト46も回転させるトルクが必要となる。
したがって、揺動プレート41を上流傾斜位置から鉛直最下位位置までの間で回転させるトルクよりも、揺動プレート41を鉛直最下位位置から下流傾斜位置および下流開口位置方向に回転させるトルクの方が大きくなり、同一のトルクが与えられても、上流傾斜位置から鉛直最下位位置までの間の回転角よりも、鉛直最下位位置から下流傾斜位置および下流開口位置方向に回転する回転角の方が小さくなる。
このため、加速回転域においては、開口部45が大きく開かれず、減速回転域と同様に、排気ガスが流通する通路が揺動プレート41により閉口された閉口部と、開口された開口部45と、により、それぞれ反射波が発生し、この反射波の干渉によりテールパイプ28で発生する騒音の抑制を行うことができる。
次に、テールパイプ28の下流開口端28bおよび揺動プレート41により発生する反射波および干渉について、説明する。
エンジン21の運転によりテールパイプ28に導入される排気ガスは、エンジン21の回転数に応じて変化する排気脈動をともなって入力される。この排気脈動は、テールパイプ28の入射波となり、この入射波は、エンジン21の回転数が増大するにつれて周波数が大きくなるものである。
エンジン21の運転時の排気脈動による入射波がテールパイプ28に導入されると、この入射波がテールパイプ28の下流開口端28bの開口部45で、いわゆる、開口端反射する。この反射波は、入射波と同じ位相で進行方向が入射波と逆向きとなる。また、この反射波は、再び上流開口端28aでこの反射波と同位相で逆向きに開口端反射を行う。この反射波が今度は入射波となり、下流開口端28bの開口部45で反射波となる。
開口端反射が起こる理由としては、テールパイプ28内を流れる排気ガスの圧力は高く、テールパイプ28の下流開口端28bの外側は圧力が低いため、入射波が勢いよく大気に飛び出すことで下流開口端28b内の排気ガスの圧力が低くなり、この低圧部がテールパイプ28を上流開口端28aに向かって進行し始めるからである。
したがって、反射波は、入射波と同位相で逆向きとなるのである。また、上流開口端28a側で反射波が発生する理由も、下流開口端28bで反射波が発生する理由と同様である。
そして、下流開口端28bの開口部45に向かう入射波と下流開口端28bの開口部45と逆向きの反射波とが干渉することで、テールパイプ28の上流開口端28aおよび下流開口端28bの開口部45が音圧分布の節となるような定在波ができる。
また、この定在波は、テールパイプ28の管長Lと定在波の波長λとが特定の関係にあるとき、振幅が著しく大きくなり、気柱共鳴が生じる。この気柱共鳴は、テールパイプ28の管長Lを半波長とした定在波を基本として、半波長の自然数倍が管長Lとなる波長の定在波が発生して音圧が増大し、騒音となってしまう。
具体的には、図10(a)に気柱共鳴の定在波の音圧分布を示すように、基本振動(一次成分)の気柱共鳴の波長λ1は、テールパイプ28の管長Lの2倍となり、図10(b)に示すように、二次成分の気柱共鳴の波長λ2は、管長Lの1倍となる。また、図10(c)に示すように、三次成分の気柱共鳴の波長λ3は、管長Lの2/3倍となり、それぞれの定在波は、テールパイプ28の上流開口端28aおよび下流開口端28bが音圧分布の節となる。また、本実施の形態の揺動プレート41は、テールパイプ28の下流開口端28bに設けられているため、気柱共鳴の定在波の音圧分布の節に位置している。
さらに、図11に示すように、排気音の音圧レベル(dB)は、エンジン回転数(rpm)が増大するのにともなって一次成分f1、二次成分f2の共鳴周波数(Hz)に対応するエンジン回転数Neでそれぞれ極大となる。
ここで、音速をc(m/s)、テールパイプ28の長さをL(m)、次数をnとしたときのテールパイプ28の気柱共鳴周波数fc(Hz)は、下記の式(5)で表される。
また、エンジン回転数をNe、気筒数をNとしたときのエンジンの排気脈動の周波数feは、下記の式(6)で表される。
音速cを400m/sとし、テールパイプ28の管長L=3.0mとした場合には、上記の式(5)に基づいて、テールパイプ28の気柱共鳴による排気音の一次成分f1は、66.7Hz、二次成分f2は、133.3Hzとなる。
また、本実施の形態では、エンジン21が4気筒であるため、N=4となり、上記の式(6)に基づいて、エンジン回転数が2000rpmのときに排気脈動の周波数feが、66.7Hzとなり、気柱共鳴の一次成分f1と一致し、排気音が増大する。また、エンジン回転数が4000rpmのときに排気脈動の周波数feが、133.3Hzとなり、気柱共鳴の二次成分f2と一致し、排気音が増大する。
特に、100Hz以下の低周波を発生させる低速回転域(エンジン回転数3000rpm以下の回転域)では、車室内にこもり音を生じさせてしまい、運転者に不快感を与えてしまうことになる。
なお、三次成分の気柱共鳴周波数では、エンジン回転数は、6000rpm程度となり、車両が高速走行状態になるため、風切り音等のような高速時に発生する各種の騒音によって気柱共鳴による騒音が運転者に気にならないものとなる。したがって、三次成分およびそれ以上の高次成分については、あまり問題とならない。
そこで、本実施の形態の排気装置20は、アウトレットパイプ部28Aの下流開口端28bに、排気流のみを受けてテールパイプ28内の通路断面積を可変するように軸部材42を中心軸として揺動する揺動プレート41を設け、排気流の流量に応じて揺動する揺動プレート41の位置が気柱共鳴の定在波の音圧分布の節の位置となるように設定することにより、アウトレットパイプ部28Aの下流開口端28bに開口端反射と閉口端反射との2つの反射波を発生させて気柱共鳴によって音圧レベル(dB)が増大してしまうことを抑制するようにしている。
以下、気柱共鳴によって音圧レベルの増大を抑制することができる理由について、説明する。
開口部45の開口面積をS1、下流開口端28bの開口面積をS2とし、媒質の音響インピーダンスをそれぞれZ1、Z2とすると、音の反射率Rpは、下記の式(7)で表される。
ここで、音響インピーダンスは、媒質の密度と音速の積であり、この場合には、媒質は、排気ガスであるため、Z1=Z2となり、音の反射率Rpは、下記の式(8)で表される。
揺動プレート41による閉口端反射波と、開口部45による開口端反射波と、が同一の強さである場合に、干渉により双方の反射波が最も抑制される。この揺動プレート41による閉口端反射波と開口部45による開口端反射波とを同一の強さにするには、反射率Rpを0.5にすればよいため、上記の式(8)からS1=(1/3)・S2となる。したがって、揺動プレート41が揺動されることにより、下流開口端28bを閉塞した状態の開口部45の開口面積が、下流開口端28bの開口面積の1/3となったときに、音圧レベルが最も抑制されることとなる。
以下、エンジン21の運転時の排気脈動による入射波Gがテールパイプ28内に入射し、この入射波Gの波長がテールパイプ28の管長Lを半波長とする入射波Gである場合について説明する。
図12に示すように、入射波Gは、テールパイプ28の下流開口端28bにおいて、開口部45により透過波G1が大気に透過されるとともに、下流開口端28bから上流開口端28aに向かって反射波R1(開口端反射波)が反射される。また、入射波Gは、揺動プレート41により下流開口端28bから上流開口端28aに向かって反射波(閉口端反射波)R2が反射される。
この反射波R1は、入射波Gに対して同位相の開口端反射波であり、反射波R2は、入射波Gに対して180度位相が異なる閉口端反射波である。
なお、図12において、反射波R1は、入射波Gに対して同位相であるため、入射波Gと反射波R1は重なっているが、説明の便宜上、反射波R1を入射波Gに対して下方にずらしている。
このように、反射波R1は、入射波Gと同位相であるため、入射波Gの周波数がテールパイプ28の気柱共鳴周波数となると、入射波Gと反射波R1との干渉により互いに強め合い、排気音の音圧レベルが増大される。
これに対して、反射波R2は、反射波R1および入射波Gに対して位相が180度異なるため、互いに打ち消し合い、排気音の音圧レベルが低減される。
例えば、図11に示すように、排気脈動による入射波Gの周波数が、テールパイプ28の気柱共鳴周波数の一次成分f1となると、開口端反射波である反射波R1による干渉だけでは、破線で示すように、音圧レベルが増大して(極大となる)しまうが、閉口端反射波である反射波R2による干渉があることにより、実線で示すように、気柱共鳴による音圧レベルの増大を抑制して、排気音の音圧レベルを大幅に低減することができる。
また、同様に、排気脈動による入射波Gの周波数が、テールパイプ28の気柱共鳴周波数の二次成分f2となった場合にも、開口端反射波である反射波R1の干渉による音圧レベルの増大を、閉口端反射波である反射波R2の干渉によって抑制して、排気音の音圧レベルを大幅に低減することができる。
ここで、上記説明において、下流開口端28bを揺動プレート41の揺動により閉塞し、開口部45が下流開口端28bの開口面積の1/3となったとき、気柱共鳴による音圧レベルが最も抑制されるとしたが、開口部45の開口面積が下流開口端28bの開口面積の1/3でなくても、閉口端反射波の干渉による気柱共鳴の音圧レベルの抑制効果は、発生する。ただし、所定の割合、例えば、開口面積が70%以上となってしまうと、音圧レベルの抑制効果が著しく低下してしまう。
そこで、本実施の形態では、減速時にエンジン回転数が気柱共鳴回転数となったときに、揺動プレート41が下流開口端28bの開口面積を最も小さくする位置、すなわち、鉛直最下位位置となるように設定する。この揺動プレート41が鉛直最下位位置となったときに、例えば、気柱共鳴により発生する音圧レベルの抑制を最も効率よく行うことができるように、すなわち、揺動プレート41により下流開口端28bが閉口され、開口部45の開口面積が下流開口端28bの開口面積の1/3となるようにする。
ここで、揺動プレート41は、加速時や定常走行時には、減速時の排気ガスに比べ多くの排気ガスが流入するため、下流側に大きく開くが、可動ウェイト46によって鉛直最下位位置よりも下流側への回転に負荷が加えられているので、下流側への回転が抑制され、揺動プレート41の位置が、下流開口位置まで開かずに下流傾斜位置となる。
したがって、上記のように揺動プレート41の角度が、減速時に気柱共鳴を最も効果的に抑制する角度とすることにより、気柱共鳴音が特に気になる減速運転時に気柱共鳴により発生する音圧レベルを効果的に抑制することができるとともに、減速時よりも排気ガスの流量が増え、揺動プレート41の揺動角度が大きくなる加速時や定常走行時では、可動ウェイト46により揺動プレート41の揺動角度が抑えられるため、減速時以外でも気柱共鳴により発生する音圧レベルの抑制を行うことができる。
また、揺動プレート41が鉛直最下位位置となったときの開口部45の開口面積を、下流開口端28bの1/3よりも小さく設定することにより、加速時の開口部45の開口面積も小さく抑えることができ、加速時における音圧レベルの抑制効果を高めることができる。
このように本実施の形態では、テールパイプ28の下流開口端28bの一部を閉口し、排気流によって揺動されることにより通路の開口断面積を変更する揺動プレート41を設けることにより、気柱共鳴の発生原因となる開口端反射波と位相が180度異なる閉口端反射波を発生させ、この閉口端反射波と上記開口端反射波とを干渉させることができ、気柱共鳴による音圧レベルの増大を抑制することができる。
この結果、従来のようにコントロールユニットおよび電磁アクチュエータによって揺動プレート41を制御したり、マフラ27(従来のメインマフラに相当)を大型化したり、テールパイプ28にサブマフラを介装することを不要にできるため、排気装置20の重量の増大を防止すること、排気装置20の製造コストの増大を防止すること、および、複雑な制御の追加を防止した簡素な構成で、気柱共鳴による音圧レベルの増大を抑制することができる。
また、揺動プレート41は、排気ガスの排気流によって揺動されることにより、通路の開口断面積を変更し、アイドル回転数域や高回転数域では開口部45を大きく開口するので、排気ガスの背圧の増加や気流音の発生を抑制することができる。
さらに、揺動プレート41が鉛直最下位位置よりも下流側に揺動される場合に揺動プレート41の揺動に負荷を与える可動ウェイト46を設けることにより、揺動プレート41が鉛直最下位位置よりも下流側に揺動される場合には、可動ウェイト46によって揺動が妨げられるので、減速時と加速時のようにエンジン21の回転数が同じでも排気ガスの流量の違いにより揺動プレート41の角度が異なってしまう場合でも、可動ウェイト46により揺動プレート41が気柱共鳴を抑制する角度内に収められ、車両の走行状態によらずに気柱共鳴の抑制を行うことができる。
さらに、本実施の形態の揺動プレート41は、軸部材42と一体的に回転するフック42aが可動ウェイト46のウェイト上面46bと接触することにより、回転に負荷が与えられるようになっている。したがって、フック42aとウェイト上面46bとの設定角度を調整することによって、揺動プレート41の揺動に負荷を与える角度、すなわち、気柱共鳴を抑制する角度の調整を行うことができ、テールパイプ28における開口部45の開口面積を変更する揺動プレート41の角度を容易に調節することができ、気柱共鳴の抑制効率を容易に調整することができる。
また、本実施の形態の可動ウェイト46は、テールパイプ28の外部に設けたので、可動ウェイト46によってテールパイプ28内の排気が妨げられることなく、また、可動ウェイト46の取り付けも容易である。
さらに、図13に示すように、揺動プレート41の代わりに揺動プレート53を設け、揺動プレート53のプレート底部53bを、揺動プレート53の揺動回転中心からの距離を半径とする円弧状に揺動方向に延在させる形状とすることができる。
この構成により、揺動プレート53のプレート底部53bが円弧状に延在しているので、テールパイプ28の通路断面積の開口面積を最小とする揺動プレート53の角度が広範囲にわたり、揺動プレート53の揺動による回転角度が多少ずれた場合であっても、同一の開口面積とすることができ、可動ウェイト46により揺動プレート53に対する負荷を与える角度の調整を容易にすることができるとともに、車両の走行状態により揺動プレート53の角度がずれても同様の気柱共鳴の抑制を行うことができ、走行状態の変化に対応した気柱共鳴の抑制を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、減速時にエンジン回転数が気柱共鳴回転数となったときに、揺動プレート41が鉛直最下位位置となるようにしたが、これに限らず、エンジン回転数が気柱共鳴回転数よりも小さい回転数において、揺動プレート41が鉛直最下位位置となるように設定してもよい。この場合、減速時と加速時との揺動プレート41の開きの差が小さくなるので、減速時と加速時との双方で、気柱共鳴による音圧レベルの抑制効率を向上させることができる。
また、本実施の形態では、揺動プレート41をテールパイプ28の下流開口端28bのみに設けているが、図14に示すように、弁体としての揺動プレート52をテールパイプ28の上流開口端28aのみに設けてもよい。また、テールパイプ28の下流開口端28bの揺動プレート41に加えて、テールパイプ28の上流開口端28aに揺動プレート52を設けてもよい。
このように揺動プレート52をテールパイプ28の上流開口端28aのみに設けた場合および揺動プレート41、52をテールパイプ28の上流開口端28aと下流開口端28bの両方に設けた場合であっても、テールパイプ28の上流開口端28aから反射される反射波を、揺動プレート52の開口部45による反射波R1と揺動プレート52による反射波R2との2つの反射波に分配することができ、気柱共鳴によって音圧が増大してしまうことを抑制することができる。
また、本実施の形態では、揺動プレート41をテールパイプ28の下流開口端28bに設けているが、揺動プレート41は、鉛直最下位位置にあるときに気柱共鳴の定在波の音圧分布の節に位置すればよく、例えば、図10の音圧分布の真ん中の節に位置するように、すなわち、テールパイプ28の中央部に揺動プレート41を設けてもよい。
さらに、本実施の形態においては、可動ウェイト46によって、揺動プレート41が鉛直最下位位置から下流方向へ揺動しにくくなるように、負荷を与えているが、これに限らず、弾性体、例えば、ばね等によって揺動プレート41に負荷を与えるようにしてもよい。この場合も上述した内燃機関の排気装置と同様の効果が得られる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態における内燃機関の排気装置の構成について、図15および図16を参照して、説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態の内燃機関の排気装置と同様の構成には、同一の符号を付して、説明を省略する。
図15に示すように、本実施の形態の内燃機関の排気装置は、揺動プレート41と一体回転する軸部材42に、かぎ状のフック42bが設けられている。また、テールパイプ28には、フック42bの近傍に、可動ウェイト47が設けられている。
可動ウェイト47は、テールパイプ28に固定された回転軸47aを有し、この回転軸47aを中心軸として、回転可能となっている。また、可動ウェイト47の回転軸47aは、軸部材42と軸線を異にし、軸部材42と平行に設けられている。
さらに、フック42bは、軸部材42と一体回転することにより、所定の角度Aだけ回転すると、可動ウェイト47に当接するようになっている。したがって、可動ウェイト47は、軸部材42が所定の角度Aまでの回転には関与しないが、軸部材42が所定の角度Aよりも大きく回転しようとすると、フック42bを介して、その自重によって軸部材42の回転を妨げようとするようになっている。すなわち、揺動プレート41は、鉛直最下位位置までは可動ウェイト47に関係なく回転するが、鉛直最下位位置よりも下流側に回転しようとすると、可動ウェイト47によって回転が妨げられる。
このように本実施の形態によれば、揺動プレート41を支える軸部材42と、可動ウェイト47を支える回転軸47aと、が別々に設けられ、アイドル回転域等では、軸部材42に可動ウェイト47の負荷がかからないので、揺動プレート41および軸部材42を支えるベアリングにかかる負荷を低減することができる。
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の排気装置は、重量の増大や製造コストの増大を低減しつつ、複雑な制御が不要で簡素な構成で、さらに、車両の走行状態によらずに気柱共鳴によって音圧レベルが増大してしまうことを抑制することができるという効果を有し、排気ガスの排気方向の最下流に設けられたテールパイプの気柱共鳴による音圧レベルの増大を抑制するようにした内燃機関の排気装置等として有用である。