JP2011080098A - 鋼帯用リンス剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷間圧延鋼板等の鋼帯の製造工程における洗浄工程の後のリンス工程において、カルシウムとマグネシウムを除いていない水を用いながら、かつ、汚れ成分の残留、蓄積を抑止して、脱脂性、脱スマッジ性を改善することができる、鋼帯用リンス剤組成物を提供すること。
【解決手段】(a)アニオン性水溶性高分子及び/又はリン酸化合物、(b)アルドン酸類、アミノカルボン酸類及びオキシカルボン酸類から選ばれるいずれか少なくとも1種の化合物のアルカリ金属塩及び/又はアミン塩、並びに、(c)カルシウムとマグネシウムを含有する水、を混合する工程を有する方法により得られる鋼帯用リンス剤組成物であって、当該組成物における、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量が0.001〜0.1重量%であり、前記(a)成分と(b)成分の重量比((a)/(b))が0.6〜5であり、かつ、カルシウムとマグネシウムの合計含有量が20〜150ppmである鋼帯用リンス剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋼帯用リンス剤組成物に関する。本発明の鋼帯用リンス剤組成物は、例えば、冷間圧延鋼帯の製造工程における鋼帯の洗浄工程、好ましくはアルカリ洗浄工程の後のリンス工程において、冷間圧延鋼帯表面の汚れの除去に好適に用いられる。
冷間圧延鋼板のような鋼帯の製造では、圧延後の鋼帯に対して、鋼帯表面上に付着する圧延油や鉄粉等の汚れをアルカリ洗浄剤等により洗浄する工程と当該洗浄工程が施された後の前記鋼帯に対して、洗浄剤では除去しきれなかった鉄粉等の除去を目的として、リンス剤によりリンスする工程が施される。前記洗浄工程は浸漬洗浄、電解洗浄、ブラシ洗浄、スプレー洗浄等の組み合わせにより行われ、リンス工程は浸漬リンス、ブラシリンス、スプレーリンス等の組み合わせにより行なわれる。
また、鋼帯は、リンス工程の後に、さらにはその後の焼鈍工程の後に化成処理やメッキ処理等の表面処理がなされるため、リンス工程の後の鋼帯表面は清浄性を確保することが非常に重要である。そのため、近年、鋼帯に対する要求特性が厳しくなり、より優れた脱脂性、脱スマッジ性を有するリンス剤が求められている。リンス剤としては各種のものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
特許文献1では、リンス剤として、アニオン性水溶性高分子及び/又はリン酸化合物を用いることで、スカムの堆積防止をできることが開示されている。特許文献2では、リンス工程に用いるリンス剤として、所定臨界ミセル濃度の界面活性剤とアニオン性水溶性高分子を用いることで、汚れ成分の残留、蓄積を防止して、脱脂性、脱スマッジ性を向上できることが開示されている。また、特許文献3では、無機酸洗浄用リンス剤として、クエン酸の代わりに重合リン酸塩を用いることが開示されており、当該重合リン酸塩はキレート作用を発揮することが記載されている。
一方、鋼帯の製造にあたっては、コストの削減も求められ、洗浄工程に用いる洗浄剤、リンス工程に用いるリンス剤には、カルシウムとマグネシウムを除いていない水(カルシウムとマグネシウムの合計含有量が20ppmを超える水、例えば工業用水)を用いることが望まれている。
特開2003−145193号公報 特開2007−154238号公報 特開昭62−56586号公報
しかし、特許文献1に記載のリンス剤の調製に用いる水として、カルシウムやマグネシムの濃度が高く、カルシウムとマグネシウムを除いていない水を用いる場合には、堆積防止効果を確保するために、カルシウムやマグネシウムを除去するために多量にキレート剤を配合しなければならないことが記載されている。このように、特許文献1では、カルシウムとマグネシウムを除いていない水を用いる場合には、多量のキレート剤が必要になることから、脱脂性、脱スマッジ性を十分に改善することは期待できない。
また、特許文献2、3には、リンス剤の調製に用いる水について、カルシウムとマグネシウムを除いていない水を用いた場合の脱脂性、脱スマッジ性については言及されていない。
本発明は、冷間圧延鋼板等の鋼帯の製造工程における洗浄工程の後のリンス工程において、カルシウムとマグネシウムを除いていない水を用いながら、かつ、汚れ成分の残留、蓄積を抑止して、脱脂性、脱スマッジ性を改善することができる、鋼帯用リンス剤組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、洗浄工程とリンス工程を有する鋼帯の洗浄方法において、前記リンス工程に、前記鋼帯用リンス剤組成物を用いる鋼帯の洗浄方法を提供する。
即ち本発明は、(a)アニオン性水溶性高分子及び/又はリン酸化合物、
(b)アルドン酸類、アミノカルボン酸類及びオキシカルボン酸類から選ばれるいずれか少なくとも1種の化合物のアルカリ金属塩及び/又はアミン塩、並びに、
(c)カルシウムとマグネシウムを含有する水、を混合する工程を有する方法により得られる鋼帯用リンス剤組成物であって、
当該組成物における、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量が0.001〜0.1重量%であり、
前記(a)成分と(b)成分の重量比((a)/(b))が0.6〜5であり、
かつ、カルシウムとマグネシウムの合計含有量が20〜150ppmである鋼帯用リンス剤組成物、に関する。
また本発明は、鋼帯に付着する汚れを洗浄剤により洗浄する洗浄工程(1)と前記洗浄工程(1)が施された後の前記鋼帯をリンス剤によりリンスするリンス工程(2)を有する鋼帯の洗浄方法であって、
前記リンス工程(2)で用いるリンス剤として、前記鋼帯用リンス剤組成物を用いる、鋼帯の洗浄方法、に関する。
本発明の鋼帯用リンス剤組成物は、冷間圧延鋼板等の鋼帯の製造工程における洗浄工程の後のリンス工程において用いられるものであり、カルシウムとマグネシウムを除いていない水を用いることができ、鋼帯の製造コストの低減を図ることができる。
また、本発明の鋼帯用リンス剤組成物は、(a)成分である、アニオン性水溶性高分子及び/又はリン酸化合物と、(b)成分である、アルドン酸類、アミノカルボン酸類及びオキシカルボン酸類から選ばれるいずれか少なくとも1種の化合物のアルカリ金属塩及び/又はアミン塩を、前記特定割合で使用することで、前記リンス工程において、汚れ成分の残留、蓄積を抑止することができ、特に、鋼板表面の残留鉄粉量を低減することができる。前記(a)成分は、圧延油等を除去して脱脂性を満足させている。一方、前記(a)成分は、鉄粉を分散し鋼帯への再付着を抑えていると推定され、当該(a)成分に対して、前記(b)成分を特定割合で用いることで、当該(b)成分により鉄粉周りのカルシウム汚れをとり、鉄粉を除去しやすくして、脱スマッジ性を改善しているものと考えられる。
本発明の鋼帯用リンス剤組成物は、(a)アニオン性水溶性高分子及び/又はリン酸化合物、(b)アルドン酸類、アミノカルボン酸類及びオキシカルボン酸類から選ばれるいずれか少なくとも1種の化合物のアルカリ金属塩及び/又はアミン塩、並びに、(c)カルシウムとマグネシウムを含有する水、を混合する工程を有する方法により得られる鋼帯用リンス剤組成物である。
前記(a)成分である、アニオン性水溶性高分子(以下、(a1)成分とも言う)及び/又はリン酸化合物(以下、(a2)成分とも言う)は、前記の通り、圧延油等を除去して脱脂性を確保するとともに、鉄粉を分散し、鋼帯に付着することを防止して脱スマッジ性を改善していると推察される。
前記(a1)アニオン性水溶性高分子とは、イオン交換水で、解離して負電荷のイオン雰囲気を形成し、25℃において水100gに対して10g以上溶解する高分子をいう。(a1)アニオン性水溶性高分子としては、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、ポリカルボン酸系、ポリスルホン酸系が好ましく、中でも、ポリカルボン酸系が好ましい。
ポリカルボン酸系水溶性高分子としては、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリヒドロキシ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー等の(メタ)アクリル酸コポリマー;オレフィンとマレイン酸とのコポリマー;マレイン酸とアリルアルコールのエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイド付加物とのコポリマー;アリルスルホン酸とマレイン酸とのコポリマー等、または、これらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。ここで「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。
これらポリカルボン酸系水溶性高分子としては、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、ポリアクリル酸、ポリヒドロキシアクリル酸、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、オレフィンとマレイン酸とのコポリマーのアルカリ金属塩が好ましく、さらには、ポリアクリル酸、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーのアルカリ金属塩がより好ましい。
(a1)アニオン性水溶性高分子の重量平均分子量は、脱脂性及びスマッジ性の観点から、3000〜30000が好ましく、4000〜20000がより好ましい。当該重量平均分子量の測定は、後述の実施例記載の方法により測定される。
(a2)リン酸化合物としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラメタリン酸、ヘキサメタリン酸、オルトリン酸、亜リン酸の無機リン酸;アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸;またはこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。脱脂性脱スマッジ性の観点から無機リン酸又はこれらのアルカリ金属塩が好ましい。
これら(a2)リン酸化合物のなかでも、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、トリポリリン酸、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸のアルカリ金属塩が好ましく、さらにはトリポリリン酸、ピロリン酸、ヘキサメタリン酸のアルカリ金属塩がより好ましい。
また、前記(a1)アニオン性水溶性高分子及び(a2)リン酸化合物は、鉄粉の分散性をより高くするため、併用することが好ましい。(a1)アニオン性水溶性高分子及び(a2)リン酸化合物の組み合わせとしては、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩とトリポリリン酸のアルカリ金属塩、ポリアクリル酸とピロリン酸のアルカリ金属塩、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーのアルカリ金属塩とヘキサメタリン酸のアルカリ金属塩の組合せが好ましい。
本発明の鋼帯用リンス剤組成物における前記(a)成分の含有量は、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、0.0005〜0.07重量%が好ましく、0.001〜0.06重量%がより好ましく、0.01〜0.05重量%がさらに好ましい。
前記(a)成分として、(a1)アニオン性水溶性高分子及び(a2)リン酸化合物を併用する場合、(a1)アニオン性水溶性高分子と(a2)リン酸化合物の重量比((a1)/(a2))は、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から0.6〜1.5が好ましく、0.7〜1.4がより好ましく、0.8〜1.2がさらに好ましい。
前記(b)成分である、アルドン酸類、アミノカルボン酸類及びオキシカルボン酸類から選ばれるいずれか少なくとも1種の化合物のアルカリ金属塩及び/又はアミン塩は、鉄粉周りのカルシウム汚れを除去し、鉄粉を除去しやすくして、脱スマッジ性を改善しているものと考えられる。
アルドン酸類としては、グルコン酸、グルコヘプトン酸、グリセリン酸、テトロン酸、ペントン酸、ヘキソン酸、ヘプトン酸等が挙げられ、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、グルコン酸、ヘキソン酸が好ましく、グルコン酸がより好ましい。アミノカルボン酸類としては、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、エチレンジアミン二酢酸、テトラエチレンテトラミン六酢酸等が挙げられ、脱脂性及び脱スマッジ性の観点からニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸が好ましい。オキシカルボン酸類としてはクエン酸、リンゴ酸等が挙げられ、脱脂性及び脱スマッジ性の観点からクエン酸が好ましい。
またアルドン酸類、アミノカルボン酸類及びオキシカルボン酸類は、アルカリ金属塩及び/又はアミン塩として用いられるが、脱脂性と脱スマッジ性の観点から、アルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。アミン塩としては、アルカノールアミン、1級アミン、2級アミン、および3級アミンからなる群から選ばれる少なくとも1種との塩が挙げられる。例えば、アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、1級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン等が挙げられ、2級アミンとしては、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられ、3級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
前記(b)成分としては、脱脂性及び脱スマッジ性の観点からクエン酸のアルカリ金属塩、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩、ニトリロ三酢酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミン五酢酸のアルカリ金属塩、グルコン酸のアルカリ金属塩が好ましく、さらにはクエン酸のアルカリ金属塩、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩、ニトリロ三酢酸アルカリ金属塩がより好ましい。
本発明の鋼帯用リンス剤組成物における前記(b)成分の含有量は、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、0.0005〜0.04重量%が好ましく、0.0007〜0.04重量%がより好ましく、0.001〜0.03重量%がさらに好ましい。
前記(a)成分と(b)成分の合計含有量は、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、本発明の鋼帯用リンス剤組成物の0.001〜0.1重量%である。当該合計含有量は、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から0.005〜0.09重量%が好ましく、0.01〜0.08重量%がより好ましく、0.02〜0.07重量%がさらに好ましい。
また、前記(a)成分と(b)成分の重量比((a)/(b))は、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、0.6〜5である。当該重量比((a)/(b))は、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から0.7〜4が好ましく、1〜3.5がより好ましく、1.5〜2.4がさらに好ましい。
本発明の鋼帯用リンス剤組成物は、前記(a)成分及び(b)成分を含有するが、前述の通り、前記(a)成分は、前記(a1)成分及び(a2)成分を併用するのが好ましい。これら(a1)成分及び(a2)成分と前記(b)成分の3成分の組合せの好ましい態様としては、脱脂性及び脱スマッジ性の観点からポリアクリル酸のアルカリ金属塩とトリポリリン酸のアルカリ金属塩とクエン酸のアルカリ金属塩の組合せ、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩とピロリン酸のアルカリ金属塩とエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩の組合せ、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマーのアルカリ金属塩とヘキサメタリン酸のアルカリ金属塩とニトリロ三酢酸アルカリ金属塩の組合せが好ましく、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩とピロリン酸のアルカリ金属塩とエチレンジアミン四酢酸アルカリ金属塩の組合せがさらに好ましい。
前記(c)成分である、カルシウムとマグネシウムを含有する水としては、例えば、工業用水が用いられる。一般に工業用水は、カルシウムとマグネシウムとを合計重量として20〜150ppm含有しており、当該カルシウム及びマグネシウムの濃度が、本発明の鋼帯用リンス剤組成物のカルシウムとマグネシウムの合計含有量に反映される。
本発明の鋼帯用リンス剤組成物における、カルシウムとマグネシウムの合計含有量は、20〜150ppmであり、リンス剤組成物のコストダウンと脱スマッジ性の観点から、23〜60ppmであるのが好ましく、25〜45ppmであるのがより好ましい。鋼帯用リンス剤組成物における、カルシウムとマグネシウムの合計含有量は、ICP発光分析装置(パーキンエルマー社製,Optima5300)にて測定されるカルシウム濃度及びマグネシウム濃度から算出される。
更に、本発明の鋼帯用リンス剤組成物には、消泡剤、防腐剤、安定化剤などを含有してもよい。これらの他の成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、0.05重量%以下の含有量で配合できる。脱脂性及び脱スマッジ性の観点から、0.03重量%以下がより好ましく、0.01重量%以下がさらに好ましい。
本発明の鋼帯用リンス剤組成物の調製は、カルシウムとマグネシウムを含有する水を用いて、前記(a)成分及び(b)成分を前記所定量となるように各成分を混合する方法により行うことができる。また、前記(a)成分及び(b)成分は、各成分に係る塩が前記所定量となるよう、各成分を形成する酸と塩基を当量比で混合することにより、鋼帯用リンス剤組成物の調製時に、前記(a)成分及び(b)成分を形成してもよい。(c)成分として、例えば工業用水を用いると、カルシウムとマグネシウムの合計含有量が20〜150ppmである鋼帯用リンス剤組成物が得られる。また、本発明の鋼帯用リンス剤組成物の調製は、前記(a)成分及び(b)成分を前記割合になるように、(c)成分を用いて、前記(a)成分及び(b)成分を所定の含有量より高い濃度で含有する溶液を予め準備しておき、これを使用時に(c)成分を用いて希釈することより行なうこともできる。このように本発明の鋼帯用リンス剤組成物を、使用時に希釈して調製する場合にも、(c)成分としては、カルシウムとマグネシウムの合計含有量が20〜150ppmの水(例えば、工業用水)を用いることができる。
また本発明の鋼帯用リンス剤組成物の調製にあたって、(c)成分として、カルシウム、マグネシウムの合計量が150ppmを超える水を用いることもできる。この場合には、カルシウム、マグネシウムの合計含有量が150ppm未満の水または純水をさらに用いて、最終的に、得られる鋼帯用リンス剤組成物の合計含有量が20〜150ppmになるように、適宜に調製される。一方、(c)成分として、カルシウム、マグネシウムの合計量が20ppm未満の水を用いることもできるが、この場合には、カルシウム、マグネシウムの合計含有量が20ppm以上の水をさらに用いて、または、カルシウム、マグネシウムを供給できる化合物を用いて、最終的に、得られる鋼帯用リンス剤組成物の合計含有量が20〜150ppmになるように、適宜に調製される。
なお、各成分を混合する容器は、SUS、GSグラスライニング等を使用でき、溶液撹拌手段としては、プロペラ羽根、ピッチドパドル、マックスブレンド等の撹拌翼を使用できる。当該撹拌翼の周速は、通常、1〜3m/秒が好ましい。また、全成分を容器中に仕込んだ後には、30分間以上混合することが好ましい。
本発明の鋼帯の洗浄方法は、鋼帯に付着する汚れを洗浄剤により洗浄する洗浄工程(1)と、前記洗浄工程(1)が施された後の前記鋼帯をリンス剤によりリンスするリンス工程(2)を有する。本発明の鋼帯用リンス剤組成物は、リンス工程(2)のリンス剤として用いられる。
前記洗浄工程(1)では、鋼帯に付着する圧延油等の汚れを洗浄剤により洗浄する。鋼帯は、いずれの金属であってもよいが、錆びやすい鉄に好適に用いられる。前記洗浄剤として、例えば特開平10−280179号公報、特開平10−324900号公報に記載されているようなアルカリ洗浄剤を用いることができる。アルカリ洗浄剤は、圧延時に用いられる油脂をアルカリ存在下で加水分解して、除去しやすい点から好ましい。また、場合によっては、電解洗浄を更に用いてもよい。また、酸洗浄の時は、鋼板表面に生成した酸化被膜を酸洗浄剤により除去する。
アルカリ剤の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、オルソ珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、セスキ珪酸ナトリウム等の珪酸塩、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム等の炭酸塩、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩等が挙げられる。脱脂性の観点からアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。二種以上の水溶性アルカリ剤を組み合わせてもよい。アルカリ剤の含有量は、アルカリ洗浄剤中の0.1〜10重量%であるのが好ましい。
前記アルカリ洗浄剤には、アルカリ剤に加えて、非イオン界面活性剤、キレート剤、脂肪族カルボン酸又はその塩を加えることが出来る。非イオン界面活性剤は、高い洗浄性(脱脂性)が効果的に得られ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等が挙げられる。キレート剤は、圧延時に用いられる油脂が分解して発生する脂肪酸と鉄との塩から形成される汚れに作用して鉄イオンをキレートし、脂肪酸のナトリウム塩にして汚れを溶解し易くして、洗浄性を向上させることができると推定される。脂肪族カルボン酸又はその塩は、保存時のリンス剤組成物の安定性と、保存後の効果(脱脂性及び脱スマッジ性)の安定性を高める効果がある。
圧延時に用いられる油脂が分解して発生する脂肪酸と組成物中のカルシウムが塩を形成して汚れの一部となると推定される。このカルシウム塩の汚れを落とすために、洗浄剤中にβ―ナフタレンスルフォン酸のホルマリン縮合物又はその塩を0.00001〜0.001重量%含有することが好ましく、0.0001〜0.0005重量%含有することがより好ましい。前記洗浄剤で洗浄後、本発明のリンス剤組成物でリンスすることにより、より優れた脱脂性及び脱スマッジ性を得ることができる。
前記アルカリ洗浄剤中の、アルカリ剤以外の成分の割合は適宜に決定されるが、アルカリ剤1重量部に対して、脱脂性の観点から1重量部以下、更には0.1〜0.5重量部であるのが好ましい。また、アルカリ洗浄剤は、アルカリ剤およびアルカリ剤以外の成分を含む不揮発分の割合が、1〜10重量%になるように、アルカリ剤以外の成分の割合を調整するのが好ましい。
前記洗浄工程(1)後にはリンス工程(2)を施して、洗浄剤及び残存している圧延油、鉄粉を除去する。前記リンス工程(2)では、前記鋼帯にリンス剤を接触させる。前記接触は、鋼帯を本発明のリンス剤中に浸漬させたり、リンス剤をスプレーしたりすることにより行なうことができる。リンス工程(2)では、場合によっては、ブラシなどの物理力を用いてもよい。脱スマッジ性と鋼帯のコストダウンの観点から、リンス液の温度は60〜80℃が好ましく、65〜75℃がより好ましい。脱スマッジ性の観点からリンス剤への鋼帯の浸漬時間は0.1〜30秒間が好ましく、1〜10秒間がより好ましく、1〜5秒間がさらに好ましい。前記スプレーの条件は、脱スマッジ性の観点から、スプレーヘッド圧が0.05〜1MPaが好ましく、0.1〜0.5MPaがより好ましい。スプレー量は脱スマッジ性の観点から、1〜100m/時間が好ましく、5〜60m/時間がより好ましい。スプレー時間は脱スマッジ性の観点から、0.01〜30秒間が好ましく、0.1〜10秒間がより好ましく、1〜10秒間が更に好ましい。ブラシを用いる場合、脱スマッジ性の観点から、ブラシロールの回転速度は100〜1200回転/分であるのが好ましく、より好ましくは500〜1000回転/分である。ブラシの接触時間は脱スマッジ性の観点から0.01〜30秒間が好ましく、0.1〜10秒間がより好ましい。
なお、本発明の洗浄方法では、前記洗浄工程(1)およびリンス工程(2)を施すが、リンス工程(2)の後に更に、水リンス工程(3)を施してもよい。鋼帯を水で濯ぐのに、水中に含浸させてもよく、シャワーなどで濯ぎ洗いをしてもよい。水リンス工程(3)で含浸させる場合、脱脂性及び脱スマッジ性の観点から通常1〜5秒が好ましく、シャワーする場合は、脱脂性及び脱スマッジ性の観点からスプレー圧0.05〜1.5MPaで、0.1〜5秒程度が好ましい。
なお、前記洗浄工程(1)及びリンス工程(2)は、通常、鋼帯を搬送する連続したラインとして施される。鋼帯の搬送速度は、通常、30〜1000m/分、好ましくは50〜800m/分であり、かかる搬送ライン速度を考慮して、前記洗浄工程(1)及びリンス工程(2)における、各処理時間が設定される。
また本発明では、鋼板を圧延油の存在下で冷間圧延する工程(A)と、圧延された鋼板に付着する圧延油を洗浄剤により洗浄する工程(1)及び前記洗浄工程(1)が施された後の前記鋼帯をリンス剤によりリンスするリンス工程(2)とを含む洗浄工程(B)とを含む冷間圧延鋼帯の製造方法を提供する。当該冷間圧延鋼帯の製造方法における、前記洗浄工程(B)では、前記の被洗浄物である冷間圧延鋼帯の表面の汚れに対し、本発明の前記洗浄工程(1)およびリンス工程(2)を好適に適用することができる。
実施例1〜15及び比較例1〜15
下記の表1及び表2に示す組成の鋼板用リンス剤組成物をそれぞれ調製した。水は、工業用水(カルシウム濃度29ppm,マグネシウム濃度7ppm)を用いた。鋼板用リンス剤組成物のカルシウムとマグネシウムの合計含有量は、いずれも36ppmである。各例の鋼板用リンス剤組成物について、下記鋼帯について下記洗浄工程(1)およびリンス工程(2)を施した後、脱脂性及び脱スマッジ性を次のように評価した。結果を表1及び表2に示す。
(鋼板用リンス剤組成物の調整条件)
表1、表2の組成となるように各成分を混合することにより、実施例及び比較例のリンス剤組成物を得た。混合条件は以下の通りとした。
組成物量:10000g
温度:25℃
撹拌機:HEIDON社製 スリーワンモーター600G
攪拌羽:直径3cmの羽4枚
回転数:250rpm
撹拌時間:1時間
<カルシウム濃度,マグネシウム濃度の測定>
(測定試料の調製)
測定対象(水:工業用水)に塩酸が4重量%となるように塩酸を加えた後、純水(導電率:1μS/cm以下)で10倍に希釈しICP測定を行った。検量線は0.1ppmと2.0ppmを使用した。
(ICP発光分析装置と測定条件)
装置:パーキンエルマー社製 Optima5300
プラズマ出力:1.0KW
プラズマガス:18L/min
ネブライザーガス流量:0.2L/min
キャリアガス圧:1.0bar
補助ガス:1.6L/min
シースガス:0.1L/minn
測定波長:カルシウム317.933nm、マグネシウム285.213nm
<試験鋼帯用鋼板>
残存炭素量が170mg/m2、残存鉄粉量が170mg/m2を有する、厚さ0.7mm冷間圧延鋼板を用いた。当該冷間圧延鋼板は、縦7cm、横10cmにカットして用いた。
<洗浄工程(1)>
前記冷間圧延鋼板を、下記のアルカリ洗浄剤組成物にて浸漬(70℃,浸漬時間2秒間)、電解洗浄(70℃,電解時間0.8秒,電流密度14A/dm2)し、電解洗浄層から引き上げた。
(アルカリ洗浄剤組成物)
NaOH 2重量%と添加剤1重量%と水97重量%からなる水溶液(添加剤組成:グルコン酸ナトリウム15重量%,エチレンジアミン四酢酸ナトリウム5重量%,ポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル(EOの平均付加モル数:8モル)5重量%,ポリオキシアルキレンアルキル(C12−14)エーテル(EOの平均付加モル数:14モル,POの平均付加モル数2モル)5重量%、ポリアクリル酸ナトリウム5重量%,β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物2重量%,水63重量%)。
なお、添加剤における各成分は次の通りである。
・グルコン酸ナトリウム:ナガセケムテック社製、クレワットGL
・エチレンジアミン四酢酸ナトリウム:ナガセケムテック社製、クレワットTAA
・ポリオキシエチレンオレイルアルコールエーテル:花王社製、エマルゲン408
・ポリオキシアルキレンアルキル(C12−14)エーテル:花王社製、エマルゲン LS−114
・ポリアクリル酸ナトリウム:花王社製、ポイズ530(固形分40重量%)
・β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物:花王社製、デモールN
(アルカリ洗浄剤組成物の調製条件)
前記の記載の組成となるように各成分を混合することによりアルカリ洗浄剤組成物を得た。混合条件は以下の通りとした。
組成物量:1000g
温度:25℃
撹拌機:マグネチックスターラー
撹拌子:40mm
回転数:100rpm
撹拌時間:1時間
<リンス工程(2)>
洗浄工程(1)が施された試験鋼板を、電解洗浄槽から2秒間で引き上げた後、所定の温度(70℃)に加温したリンス剤組成物を流量4.5L/minでスプレーしながら、ブラシ試験機によるブラシリンスを行った。ブラシリンスは、ブラシ試験機(昭和工業社製のSK洗浄試験機)のナイロンブラシを用いて、300回転/分、圧下量1mm、鋼板送り速度70m/min、1パスの条件で行なった。その後、70℃の温水に2秒間浸漬し、仕上げリンスを行い、試験鋼板の表面が乾燥するまで、ドライヤーで温風乾燥した。
≪脱脂性≫
温風乾燥後の試験鋼板を、25mm×50mmにカットして、カーボンメーター(EMIA−111 CARBON ANALYZER,堀場製作所社製)で残存炭素量(mg/m2)を測定した。残存炭素量(mg/m2)の値が小さいほど脱脂性に優れることを示す。
≪脱スマッジ性≫
温風乾燥後の試験鋼帯の表面に残る鉄粉を脱脂綿により拭き取り、その脱脂綿を湿式分解した後、プラズマ発光分析により鉄分濃度を測定し、鉄分量を求めた。そして単位面積あたりの鉄粉残留量(mg/m2)を脱スマッジ性の指標とした。鉄粉残留量(mg/m2)の値が小さいほど脱スマッジ性に優れることを示す。
Figure 2011080098
※1:実施例5は、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(70.0g)と水酸化ナトリム(54.4g)を、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸Na塩がリンス剤組成物(10000g)中の含有量が0.01重量%となるよう当量比で混合した。
Figure 2011080098
※2:比較例2は、ラウリルアミン(75.5g)と酢酸(24.5g)を、ラウリンアミン酢酸塩のリンス剤組成物(10000g)中の含有量が0.01重量%となるよう当量比で混合した。
※3:比較例3は、ラウリン酸(90.1g)と水酸化ナトリム(18g)を、ラウリン酸Na塩のリンス剤組成物(10000g)中の含有量が0.01重量%となるよう当量比で混合した。
※4:比較例12は、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(210g)と水酸化ナトリム(163g)を、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸Na塩のリンス剤組成物(10000g)中の含有量が0.03重量%となるよう当量比で混合した。
なお、表1、表2における各成分の詳細は次の通りである。
・ポリアクリル酸Na(重量平均分子量:5000):花王社製、オリゴマーM(固形分41重量%)
・ポリアクリル酸Na(重量平均分子量:10000):花王社製、ポイズ530(固形分40重量%)
・AA/MAN(50/50)コポリマーNa塩:アクリル酸とマレイン酸のコポリマーのNa塩、共重合モル比率50/50:花王社製、ポイズ521(固形分40重量%)
・C5オレフィン/MAN(50/50)コポリマーNa塩:炭素数5のオレフィンとマレイン酸のコポリマーのNa塩、共重合モル比率50/50:日本ゼオン社製、クィンフロー540(固形分40重量%)
・ポリ−α―ヒドロキシアクリル酸Na:日本パーオキサイド社製、ペールブラック1200(固形分30.1重量%)
・トリポリリン酸Na:太平化学産業社製
・ピロリン酸Na:太平化学産業社製
・ヘキサメタリン酸Na:太平化学産業社製
・アミノトリメチレンホスホン酸Na:サーモフォスジャパン製、ディクエスト2000(固形分50重量%)
・1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸Na:1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸と水酸化ナトリムを、実施例5では1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸Na塩のリンス剤組成物中の含有量が0.01重量%となるよう、比較例12では塩のリンス剤組成物中の含有量が0.03重量%となるよう、当量比で混合した。
・1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸:サーモフォスジャパン社製、ディクエスト2010(固形分60重量%)
・水酸化ナトリム:石田化学社製(固形分48重量%)
・クエン酸Na:扶桑化学工業社製
・エチレンジアミン四酢酸Na:ナガセケムテック社製、クレワットTAA
・ニトリロ三酢酸Na:ナガセケムテック社製、クレワットC3
・ジエチレントリアミン五酢酸Na:ナガセケムテック社製、クレワットDA
・グルコン酸Na:ナガセケムテック社製、クレワットGL
・ラウリンアミン酢酸塩:比較例2では、ラウリルアミンと酢酸を、ラウリンアミン酢酸塩のリンス剤組成物中の含有量が0.01重量%となるよう当量比で混合した。
・ラウリンアミン:花王社製、ファーミン20D
・酢酸:日本合成化学社製
・ラウリン酸Na:比較例3では、ラウリン酸と水酸化ナトリムを、ラウリン酸Na塩のリンス剤組成物中の含有量が0.01重量%となるよう、当量比で混合した。
・ラウリン酸:花王社製、ルナックL98
・水酸化ナトリム:石田化学社製(固形分48重量%)
・C12-14EO(5)PO(2)EO(5) ブロック付加:炭素数12から14の飽和脂肪族アルコールにエチレンオキサイドを平均で5モル、プロピレンオキサイドを平均で2モル、エチレンオキサイドを平均で5モル、ブロックで付加したもの:花王社製、エマルゲンLS−110
表1、2中、Cとその次の数字は、当該数字の炭素数を有するアルキル基を示し、EO、POの次の()内の数字は平均付加モル数である。また、高分子化合物について、AAはアクリル酸、MANは無水マレイン酸を示し、( )内はコポリマーの共重合モル比である。また、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件で求めた。
<GPC条件>
・カラム:TSKPWXL+G4000PWXL+G2500PWXL(いずれも東ソー社製)
・カラム温度:40℃
・検出器:RI又はUV(210nm)
・溶離液:0.2モル/Lリン酸緩衝液/アセトニトリル(9/1)
・流速:1.0mL/min
・注入量:0.1mL
・標準:ポリエチレングリコール
(重量平均分子量:1000、1500、4000、7000、10000、13000、20000;ジエールサイエンス社製)
表1、2から明らかなように、実施例が示すように、(a)成分又は(b)成分の所定割合と、(c)成分のカルシウムとマグネシウムを含有する水とを混合して得られる鋼帯用リンス剤組成物は、脱脂性及び脱スマッジ性のいずれも優れていた。これに対して、リンス剤としてカルシウムとマグネシウムを合計で36ppm含有する水のみでリンスした比較例1は脱脂性及び脱スマッジ性のいずれの性能も不十分であった。またリンス剤として界面活性剤のみ含有する水溶液を用いた比較例2乃至4では脱脂性は比較的優れていたが脱スマッジ性が不十分であった。また、リンス剤として(a)成分又は(b)成分のみを含有する水溶液を用いた比較例5乃至8では、脱脂性を満足しうる場合もあるが脱スマッジ性は不十分であった。また、リンス剤として、(a)成分及び(b)成分を含有する水溶液を用いた場合であっても、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量が0.001〜0.1重量%の範囲外にあったり、前記(a)成分と(b)成分の重量比((a)/(b))が0.6〜5の範囲外にあったりするものは、脱脂性を満足しうる場合もあるが脱スマッジ性は不十分であった。

Claims (5)

  1. (a)アニオン性水溶性高分子及び/又はリン酸化合物、
    (b)アルドン酸類、アミノカルボン酸類及びオキシカルボン酸類から選ばれるいずれか少なくとも1種の化合物のアルカリ金属塩及び/又はアミン塩、並びに
    (c)カルシウムとマグネシウムを含有する水、を混合する工程を有する方法により得られる鋼帯用リンス剤組成物であって、
    当該組成物における、前記(a)成分と(b)成分の合計含有量が0.001〜0.1重量%であり、
    前記(a)成分と(b)成分の重量比((a)/(b))が0.6〜5であり、
    かつ、カルシウムとマグネシウムの合計含有量が20〜150ppmである鋼帯用リンス剤組成物。
  2. 前記(b)成分の含有量が0.0005〜0.04重量%である請求項1記載の鋼帯用リンス剤組成物。
  3. 前記(a)成分が、アニオン性水溶性高分子及びリン酸化合物である請求項1又は2記載の鋼帯用リンス剤組成物。
  4. 前記(a)成分のアニオン性水溶性高分子が、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリヒドロキシ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、オレフィンとマレイン酸とのコポリマー、マレイン酸とアリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物とのコポリマー、及びアリルスルホン酸とマレイン酸とのコポリマー、並びに、これらのアルカリ金属塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の鋼帯用リンス剤組成物。
  5. 鋼帯に付着する汚れを洗浄剤により洗浄する洗浄工程(1)と前記洗浄工程(1)が施された後の前記鋼帯をリンス剤によりリンスするリンス工程(2)とを有する鋼帯の洗浄方法であって、
    前記リンス工程(2)で用いるリンス剤として、請求項1〜4のいずれかに記載の鋼帯用リンス剤組成物を用いる、鋼帯の洗浄方法。

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