JP2011080016A - ポリウレタン及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)(i)ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールと、
(ii)エステル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物、とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオール、(b)ポリエーテルポリオール、(c)イソシアネート化合物、及び(d)鎖延長剤を用いて得られるポリウレタン。
【選択図】 なし
Description
しかし、これらの方法でも、十分な粘着防止効果が得られなかったり、平滑剤が紡糸機、整経機、編み機やガイドに重大な磨耗を生じさせたりするといった問題があった。また、整経、編みたて工程に油剤成分によって抽出された糸中のオリゴマーや、油剤中の固体または高粘度成分が固体またはペースト状になって分離したものが多量に付着するため、製品汚損や機械や器具の目詰まりを生じるといった問題があり、課題の解決に至っていない。このため、このような油剤や平滑剤を使わずとも、粘着性を低下させ、紡出時の解舒性(またはポリウレタンの剥離性)が高いポリウレタンの製造方法が求められてきた。
オールと、(ii)エステル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物、とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオール、(b)ポリエーテルポリオール、(c)イソシアネート化合物、及び(d)鎖延長剤を用いて得られることを特徴とするポリウレタンに存する。
本発明の第二の要旨は、前記ポリウレタンにおいて、前記ポリエステルポリオール(a)と前記ポリエーテルポリオール(b)の合計重量に対して、前記ポリエステルポリオール(a)が0.01〜10重量%であるポリウレタンに存する。
本発明の第四の要旨は、前記ポリウレタンにおいて、前記エステル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物(ii)がポリラクトンであるポリウレタンに存する。
本発明の第六の要旨は、前記ポリウレタンにおいて、前記イソシアネート化合物(c)が芳香族ポリイソシアネートであるポリウレタンに存する。
本発明の第七の要旨は、前記ポリウレタンにおいて、前記鎖延長剤(d)がポリアミン化合物であるポリウレタンに存する。
と、(ii)エステル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物、とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール(b)、イソシアネート化合物(c)、及び鎖延長剤(d)を原料としてポリウレタンを得ることを特徴とするポリウレタンの製造方法に存する。
本発明の第十の要旨は、前記ポリウレタンの製造方法において、前記混合物とイソシアネート化合物(c)を反応させ、両末端がイソシアネートのプレポリマーを得る工程を含
む製造方法に存する。
ルと、(ii)エステル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物、とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオールと、(b)ポリエーテルポリオールとを含有する混合物に存する。
本発明の第十二の要旨は、前記混合物と、イソシアネート化合物(c)とから得られるプレポリマーに存する。
本発明の第十三の要旨は、前記ポリウレタンからなることを特徴とするポリウレタン成形物、ポリウレタンフィルム、またはポリウレタン繊維に存する。
本発明は(a)(i)ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールと、(ii)エス
テル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオールと、(b)ポリエーテルポリオール、(c)イソシアネート化合物、及び(d)鎖延長剤を用いて得られるポリウレタンである。
以下、構成要件毎に詳述する。
本発明において用いられるポリエステルポリオール(a)は、分子内に少なくとも2個以上のエステル結合と2個以上の水酸基を有するものであり、好ましくは、ポリエステルポリオール主鎖の両末端が水酸基であるものである。
本発明において用いられるポリエステルポリオール1分子中に含まれる、ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオール(i)が形成するエステル結合の数は、通常1以上である。
具体的には、ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオール(i)が、分子末端で複数のエステル結合を形成してもよいし、複数のポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオール(i)がエステル結合を形成して、ポリエステルポリオール一分子中に含まれるエステル結合の合計数が2以上になっていてもよい。
以下、本発明のポリエステルポリオールを構成する要件に分けて述べる。
本発明において用いられるポリシロキサンジオールは複数のシロキサン部位および二つのヒドロキシル基を有する化合物である。ポリシロキサンジオールは公知のものが使用でき、ヒドロキシル基をポリシロキサンの側鎖に導入したもの、ポリシロキサンの両末端に導入したもの、ポリシロキサンの片末端にのみ導入したもの、ポリシロキサンの片末端と側鎖に導入したものなどが挙げられる。その中でも、ブロック共重合体のポリウレタンを得るためにはヒドロキシル基をポリシロキサンの両末端に導入したポリシロキサンジオールが好ましい。具体例としては、例えば下記の構造のポリシロキサンジオールが挙げられる。
数平均分子量が前記上限超過では、ポリエステルポリオール(a)とポリエーテルポリオール(b)の混合物(以下、ポリオール混合物ということがある)やプレポリマー、プレポリマー溶液を形成した際に、それらの粘度が高くなりすぎて操作性や生産性が悪くなる傾向や、得られるポリウレタン重合体の低温における物性が悪くなる傾向がある。前記下限未満では、得られるポリウレタン重合体が硬くなり十分な柔軟性が得られなかったり、強度や伸度などの弾性性能が十分でなかったり、伸長、回復を繰り返した際に過度の残留歪を残す傾向がある。
本発明において用いられるポリシロキサンジオールの性状は特に限定されるものではないが、常温で液状又はワックス状のものである。
本発明において用いられるフッ素化ジオールは、CxFyで表わされる炭化フッ素骨格と、2つの水酸基を有する化合物である。xは2〜15、好ましくは3〜12であり、yは2xまたは2(x−1)のいずれかであり、好ましくは2xである。
フッ素化ジオールの構造は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでも良いが、好ましくは直鎖状のものである。主鎖がCxFy以外の構造である、いわゆるパーフルオロ構造でない場合は、得られるポリウレタンの撥水性が十分ではない場合がある。
このようなフッ素化ジオール化合物として、具体的には例えば、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロ−1,7−ヘプタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロ−1,8−オクタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロ−1,10−デカジオール等が挙げられる。
本発明において用いられるフッ素化ジオールの性状は特に限定されるものではないが、常温で固体状、液状又はワックス状のものである。
本発明において用いられるエステル基含有化合物は、エステル基を有していれば特に限定されるものではなく、通常、エステル結合を介して繰り返し単位が重合している化合物が挙げられ、好ましくはラクトンを開環重合して得られるポリラクトンである。
(2−1)ポリラクトン
ラクトンとしては、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−バレロラクトン、エナントラクトン等が挙げられる。これらは、単独で用いても二種以上混合して使用することもできる。入手しやすく反応性が高いことから、ε−カプロラクトンが最も好ましい。
以下、ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオール(i)とエステル基含有化合物(ii)で形成されるポリエステルポリオール(a)として、ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールとポリラクトンとで形成されるポリエステルポリオールを例として述べる。
本発明におけるポリエステルエステルポリオールのうち、好ましい態様の一つは、前記ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールと、下記のポリラクトンの間に1つ以上のエステル基が形成され、好ましくはポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオール1分子が有する水酸基のうちの少なくとも1つが、ポリラクトンとの間でエステル結合を形成し、合計として1分子中に複数のエステル結合を有するものであり、より好ましくはポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオール1分子が有する末端水酸基のうちの少なくとも1つが、ポリラクトンとの間でエステル結合を形成し、合計として1分子中に複数のエステル結合を有するものである。
本発明において用いられるカルボキシ基含有化合物は、カルボキシ基を有していれば特に限定されるものではないが、通常、モノカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物、ヒドロキシ酸等の置換カルボン酸化合物等が挙げられ、好ましくはジカルボン酸化合物である。
本発明において使用されるジカルボン酸化合物は、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸のいずれでもよいが、脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数が、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、通常16以下、好ましくは15以下、より好ましくは14以下のものが好ましい。具体的には、脂肪族ジカルボン酸としては、例えばマロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナメチレンジカルボン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,11−ウンデカメチレンジカルボン酸、1,12−ドデカメチレンジカルボン酸等が挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸としては、例えばオルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナンスレンジカルボン酸等が挙げられる。
ジカルボン酸化合物として、これらの無水物あるいは各種誘導体を使用できることは無論であり、これらは二種以上の混合物として使用しても良い。上記誘導体の例としては、アルキルエステルや不飽和結合のハロゲン置換体等である。これらの中でも入手しやすく熱的安定性が高いことから、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびそれらの誘導体等が好ましく、コハク酸、アジピン酸およびそれらの誘導体が最も好ましい。
本発明におけるポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールとジカルボン酸から形成されるポリエステルポリオールは、通常、ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオール2分子が、各々有する少なくとも1つの水酸基と、ジカルボン酸1分子が含む2つのカルボキシ基の間でそれぞれエステル結合を形成するポリエステルポリオールである。
更に好ましくは、前記i=1のときに相当する、ジカルボン酸の両末端にポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールが一分子ずつ結合したXZX型のポリエステルポリオールである。
所望のポリウレタン樹脂の物性に応じて、ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールの重合度を調節することにより、生成するポリエステルポリオールの分子量や酸素含有量を変化させることが容易に可能である。これらのエステル化は従来公知のエステル化技術が採用できる。
なお、上記記載では、エステル結合を形成するための構成物として(X)と(Y)、および(X)と(Z)を詳述したが、本発明のポリエステルポリオールはこれに限定されるものではなく、得られる分子構造が同じであれば、いかなる原料、反応方法によって得られるものであってもよい。
また、フッ素化ジオール部位については、通常、5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%である。この数値が大きくなるほど、得られるポリウレタン類樹脂の粘着性が低下する傾向にある。一方、上限は、通常95重量%以下であり、好ましくは90重量%以下であり、より好ましくは85重量%以下、更に好ましくは、80重量%以下、特に好ましくは70重量%以下である。この値が小さくなるほど、得られるポリウレタン類樹脂の粘着性は増加するものの、弾性特性や伸張回復性が向上する傾向にある。
本発明において用いられるポリエステルポリオールの数平均分子量は、使用する基質の種類や量により調整することができる。数平均分子量の下限は通常300以上、好ましくは400以上、更に好ましくは500以上であり、上限は、通常8000以下、好ましくは6000以下、更に好ましくは5000以下である。数平均分子量とは、分子一個当た
りの平均の分子量を示す。数平均分子量が前記上限値を超過すると、プレポリマー、プレポリマー溶液の粘度が高くなりすぎて操作性や生産性が悪化したり、得られるポリウレタン重合体の低温における物性が悪くなる傾向がある。数平均分子量が前記下限値未満では、得られるポリウレタン重合体が硬くなり十分な柔軟性が得られなかったり、強度や伸度などの弾性性能が十分でなかったり、伸長、回復を繰り返した際に過度の残留歪を残す傾向がある。
本発明におけるポリエーテルポリオール(b)は、分子内の主骨格中に少なくとも1つ以上のエーテル結合を有するヒドロキシ化合物であって、主骨格中の繰り返し単位としては、飽和炭化水素又は不飽和炭化水素のどちらでもよく、例えば、1,4−ブタンジオール単位、2−メチル−1,4−ブタンジオール単位、3−メチル−1,4−ブタンジオール単位、1,3−プロパンジオール単位、1,2−プロピレングリコール単位、2−メチル−1,3−プロパンジオール単位、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール単位、3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位、1, 2- エチレングリコール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位等が挙げられる。
また、ポリエステルポリオール(a)の使用量が小さくなるほど、ポリエーテルポリオール(b)との相溶性が向上し、均質で透明なフィルムや糸を製造しやすくなる。一般にシリコーン系化合物の添加はポリウレタンの粘着性を改善するために効果的であるが、ポリエーテルポリオール(b)との相溶性が悪く、ポリウレタン樹脂等が白濁するといった問題があった。本発明ではポリエーテルポリオールとの相溶性が高いポリエステルポリオールをポリエーテルポリオールと混合して、ポリオール混合物をポリウレタン材料として使用しているため、均質で透明なポリウレタン樹脂類を製造することができる。
本発明において用いられるイソシアネート化合物(c)は限定されないが、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’−MDI、パラフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水添TDI)、1−イソシアネート−3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4′−ジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。本発明においては、特に反応性の高い芳香族ポリイソシアネートが好ましく、特にトリレンジイソシアネート(TDI) 、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。又、イソシアネート化合物のNCO基の一部をウレタン、ウレア、ビュレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾリドン、アミド、イミド等に変成した物であっても良く、さらに多核体には前記以外の異性体を含有している物も含まれる。
イソシアネート化合物の使用量が多すぎると、未反応のイソシアネート基が好ましくない反応をおこし、所望の物性が得られにくくなる傾向があり、少なすぎると、ポリウレタン 及びポリウレタンウレアの分子量が十分に大きくならず、所望の性能が発現されない
傾向がある。
本発明でいう鎖延長剤(d)は、主として、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物、2個以上のアミノ基を有する化合物、水に分類される。この中でも、ポリウレタン用途には短鎖ポリオール、具体的には2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を、ポリウレタンウレア用途には、ポリアミン化合物、具体的には2個以上アミノ基を有する化合物が好ましい。鎖延長剤(d)の中で水については反応を安定に行うために、できるだけ低減することが好ましい。
2個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香環を有するグリコール等が挙げられる。
これらの鎖延長剤(d)は単独使用でも2種以上の併用でも良い。これらの中でも本発明において好ましいのは、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミンである。
又、ポリウレタンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤を使用することができる。これらの鎖停止剤としては、水酸基を有するエタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール、アミノ基を有するジエチルアミン、ジブチルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の脂肪族モノアミンが例示される。これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。
さらに本発明のポリウレタンには上記以外に必要に応じて他の添加剤を加えてもよい。これらの添加剤としては「CYANOX1790」(CYANAMID社製)、「IRGANOX245」、「IRGANOX1010」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、「Sumilizer GA−80」(住友化学社製)、あるいは2,6
−ジブチル−4−メチルフェノール(BHT)等の酸化防止剤、「TINUVIN622LD」、「TINUVIN765」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、「SANOL LS−2626」、「SANOL LS−765」(以上、三共社製)等の光安定剤、「TINUVIN328」、「TINUVIN234」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)等の紫外線吸収剤、ジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体等のシリコン化合物、赤燐、有機燐化合物、燐及びハロゲン含有有機化合物、臭素あるいは塩素含有有機化合物、ポリ燐酸アンンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン等の添加及び反応型難燃剤、二酸化チタン等の顔料、染料、カーボンブラック等の着色剤、カルボジイミド化合物等の加水分解防止剤、ガラス短繊維、カーボンファイバー、アルミナ、タルク、グラファイト、メラミン、白土等のフィラー、滑剤、油剤、界面活性剤、その他の無機増量剤、有機溶媒等が挙げられる。
本発明のポリウレタンとは、特に制限がない限りポリウレタン又はポリウレタンウレア
を示し、この2種類の樹脂は類似の物性をとることが従来から知られている。一方、構造的特徴の違いとしては、ポリウレタンとは、主としてウレタン結合によって連鎖構造を形成する樹脂であり、ポリウレタンウレアとは、主としてウレタン結合およびウレア結合によって連鎖構造を形成する樹脂をいう。原料の観点からは、ポリウレタンとは、鎖延長剤として短鎖ポリオールを使用し製造されるものであり、ポリウレタンウレアとは、鎖延長剤としてポリアミン化合物を使用し製造されるものである。
本発明におけるポリウレタンとは、(a)(i)ポリシロキサンジオールまたはフッ素
化ジオールと、(ii)エステル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物、とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオール、(b)ポリエーテルポリオール、(c)イソシアネート、及び(d)鎖延長剤を含むものである。
ポリエステルポリオールの製造は、従来公知のエステル化技術を採用することができる。例えば、常圧下にジオールとラクトンまたはジカルボン酸を反応させる方法、減圧下でエステル化する方法、トルエンのような不活性溶剤存在下にエステル化を行った後に縮合水または縮合アルコールと溶剤とを共沸させて反応系外に除去する方法などがある。
エステル化の反応温度は通常100〜250℃の範囲である。好ましくは120〜240℃、さらに好ましくは140〜230℃、特に好ましくは150〜220℃の範囲である。反応温度が低すぎるとエステル化反応が十分進行せず、高すぎると生成物の着色が大きくなる可能性がある。
反応は窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。反応圧力は任意であり、目的に応じて常圧または減圧下で実施することができる。ジオールとジカルボン酸またはジカルボン酸エステルのような反応では、反応中に水やアルコールが生成してくるので、反応系からのそれらの脱離を促進するため、反応系に不活性ガスを流通させても良い。
触媒の存在しない系でエステル化反応を行うことも可能ではあるが、通常は、エステル化反応を円滑に進行させるために、無機酸または有機酸類;Li,Na,K,Rb,Ca,Mg,Sr,Zn,Al,Ti,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Pb,Sn,SbもしくはPbなどの金属の塩化物、酸化物、水酸化物または酢酸、シュウ酸、オクチル酸、ラウリル酸もしくはナフテン酸などの脂肪酸塩類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキサイド、イソプロピルチタネートもしくはn−ブチルチタネートなどのアルコール類;ナトリウムフェノラートなどのフェノール類;あるいはAl,Ti,Zn,Sn,ZrもしくはPbなどの金属のその他の有機金属化合物などの如き、通常のエステル化用およびエステル交換用に使用されているすべての触媒を用いて行うことができる。入手が容易で毒性も低くエステル化反応に幅広く使用されていることから、イソプロピルチタネートもしくはn−ブチルチタネートなどのチタン系触媒が最も好ましい。その際の触媒の使用量は前記ポリエステルジオール調製用諸原料総量に対して0.00001〜1.0重量%が好ましく、0.0001〜0.1重量%がさらに好ましく、0.001〜0.01重量%が最も好ましい。この量が少なすぎるとポリエステルポリオール形成に極めて長い時間を要するようになり、生成物が着色しやすくなる。一方、触媒使用量が多すぎるとポリウレタン化反応に対する過剰な反応促進作用を示す可能性がある。
ポリエステルポリオール生成物からのチタン系触媒の除去には通常繁雑な工程を伴うので、生成したポリエステルポリオールは、一般にチタン系触媒を分離することなく、そのままポリウレタンの製造に使用することが多い。ただし、触媒の含有量が多い場合やポリウレタン用途によってはポリエステルポリオール中のチタン触媒を失活させておくことが好ましい。ポリエステルポリオール中のチタン系触媒の失活方法としては、 例えば、(x)ポリエステルポリオールを加熱下に水と接触させる方法;(y)ポリエステルポリオールをリン酸、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸エステルなどのリン化合物で処理する方法などを挙げることができる。そして、水と接触させる前記(x)の方法による場合は、例えば、ポリエステルポリオールに水を1重量%以上添加して、70〜150℃、好ましくは90〜130℃の温度で1〜3時間程度加熱すれば良い。その際の加熱による失活処理は常圧下で行っても加圧下で行っても良く、失活処理後に系を減圧にすると、失活に用いた水分をポリエステルポリオールから円滑に除去することができる。
本発明において、ポリウレタンを製造するには、(a)(i)ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールと、(ii)エステル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物、とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオール、(b)ポリエーテルポリオール、(c)イソシアネート化合物、及び(d)鎖延長剤を主に製造用原料として用いる。
上記ポリウレタンを製造するには一般的に実験/工業的に用いられる全ての製造方法が使用でき、無溶媒または溶媒共存下でポリウレタンを製造することができる。尚、各化合物の使用量は特に制限がない限り、上記記載の量を使用すればよい。
ポリウレタン化反応に溶媒を使用する場合、使用する溶媒は特に限定されないが、汎用性および溶解性の観点から、アミド系溶媒、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる溶媒が好ましく用いられる。アミド系溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、及びそれらの2種以上の混合物であり、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
ソシアネート基との反応速度が大きく異なるため、二段法でポリウレタンウレア化を実施することがより好ましい。
一段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、前記(a)、前記(b)、前記(c)及び前記(d)を一緒に仕込むことで反応を行う方法である。各化合物の使用量は、上記記載の量を使用すればよい。
反応は通常、各成分を0〜250℃で反応させるが、この温度は溶剤の量、使用原料の反応性、反応設備等により異なる。温度が低すぎると反応の進行が遅すぎたり、原料や重合物の溶解性が低い為に生産性が悪く、又、高すぎると副反応やポリウレタン樹脂の分解が起こるので好ましくない。反応は、減圧下脱泡しながら行ってもよい。 又、反応は必
要に応じて、触媒、安定剤等を添加することもできる。触媒としては例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等があり、安定剤としては、例えば、2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、ジ・ベ−タナフチルフェニレンジアミン、トリ(ジノニルフェニル)フォスファイト等が挙げられる。
二段法は、プレポリマー法ともよばれ、まずポリエステルポリオール(a)とポリエーテルポリオール(b)を混合し、混合物を得た後、あらかじめイソシアネート化合物(c)とポリオール混合物とを、通常、反応当量比=1.0〜10.00で反応させたプレポリマーを製造し、次いでこれにイソシアネート化合物(c)又は多価アルコール、アミン化合物等の活性水素化合物成分を加えることにより二段階反応させることもできる。特にポリオール混合物に対して当量以上のイソシアネート化合物(c)を反応させて両末端NCOプレポリマーをつくり、続いて鎖延長剤である短鎖ジオールやジアミンを作用させてポリウレタンを得る方法が有用である。
二段法は無溶媒でも溶媒共存下でも実施することができる。溶媒共存下で実施する場合、汎用性や溶解性の観点から、アミド系溶媒やN−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、ジメチルスルホキシド好ましく、アミド系溶媒として具体例を挙げると、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドがより好ましく、この中でN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
プレポリマーを合成する場合、(1)まず溶媒を用いないで直接イソシアネート化合物(c)とポリエーテルポリオール(b)を反応させてプレポリマーを合成しそのまま使用しても良いし、(2)(1)の方法でプレポリマーを合成しその後に溶媒に溶かして使用しても良いし、(3)初めから溶媒を用いてイソシアネート化合物(c)とポリエーテルグリコールを反応させても良い。(1)の場合には、本発明では、鎖延長剤(d)と作用させるにあたり、鎖延長剤(d)を溶媒に溶かしたり、溶媒に同時にプレポリマー及び鎖延長剤(d)を導入するなどの方法により、ポリウレタンを溶媒と共存する形で得ることが重要である。
鎖延長剤(d)の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに含まれるNCO基の当量に対して、下限が、通常0.1、好ましくは0.8であり、上限が、通常5.0、好ましくは2.0の範囲である。
又、反応時に一官能性の有機アミンやアルコールを共存させてもよい。
鎖延長反応は通常、各成分を0〜250℃で反応させるが、この温度は溶剤の量、使用
原料の反応性、反応設備等により異なる。温度が低すぎると反応の進行が遅すぎたり、原料や重合物の溶解性が低い為に生産性が悪く、また高すぎると副反応やポリウレタン樹脂の分解が起こるので好ましくない。反応は、減圧下脱泡しながら行ってもよい。
又、反応は必要に応じて、触媒、安定剤等を添加することもできる。触媒としては例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチル錫ジラウレ−ト、オクチル酸第一錫、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、スルホン酸等があり、安定剤としては例えば2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、ジ・ベ−タナフチルフェニレンジアミン、トリ(ジノニルフェニル)フォスファイト等が挙げられる。しかしながら、鎖延長剤が短鎖脂肪族アミン等の反応性の高いものの場合は、触媒を添加せずに実施することが好ましい。
上記の製造方法で得られるポリウレタンは、溶媒存在下で反応を行っているため、溶液に溶解した状態で得られるのが一般的であるが、溶液状態でも固体状態でも制限されない。
ポリウレタンの重量平均分子量は、用途により異なるが、ポリウレタン重合溶液として、通常1万〜100万、好ましくは5万〜50万、より好ましくは10万〜40万、特に好ましくは10万〜30万である。分子量分布としてはMw/Mn=1.5〜3.5、好ましくは1.7〜3、より好ましくは1.8〜3である。 繊維、フィルム、透湿性樹脂成形体としては、ポリウレタンの重量平均分子量は、通常1万〜100万、好ましくは5万〜50万、より好ましくは10万〜40万、特に好ましくは15万〜40万である。分子量分布としてはMw/Mn=1.5〜3.5、好ましくは1.7〜3、より好ましくは1.8〜3である。
又、上記の製造方法で得られるポリウレタンは、ハードセグメントの量を、ポリウレタン重合体の全重量に対して、1〜20重量%含有することが好ましく、より好ましくは3〜15重量%であり、更に好ましくは、4〜12重量%であり、特に好ましくは、5〜10重量%である。このハードセグメント量が多すぎると、得られるポリウレタン重合物が十分な柔軟性や弾性性能を示さなくなったり、溶媒を使用する場合は溶けにくくなり加工が難しくなったりする傾向がある。ハードセグメント量が少なすぎると、ウレタン重合物が柔らかすぎて加工が難しくなったり、十分な強度や弾性性能が得られなくなる傾向がある。
尚、本発明でいう、ハードセグメントとは、P.J.Flory、Journal of American Chemical Society,58,1877〜1885(1936)をもとに、全体重量に対する、イソシアネートとアミン結合部の重量を、下記式で算出したものである。
ここで、
R=イソシアネートのモル数/(ポリエーテルポリオールの水酸基のモル数+末端アリル基のモル数)
Mdi=ジイソシアネートの数平均分子量
Mda=ジアミンの数平均分子量
Mp =ポリエーテルポリオールの数平均分子量
本発明で得られるポリウレタン溶液は、ゲル化が進行しにくく、粘度の経時変化が小さいなど保存安定性がよく、又、チクソトロピー性も小さいため、フィルム、糸等に加工するためにも都合がよい。ポリウレタン溶液のポリウレタン濃度は、溶媒に溶解した溶液の全重量に対して、通常1〜99重量%、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは15〜50重量%である。ポリウレタンの量が少なすぎると、大量の溶媒を除去することが必要になり生産性が低くなる傾向があり、多すぎると、
溶液の粘度が高すぎて操作性や加工性が悪くなる傾向がある。
ポリウレタン溶液は、特に指定はされないが、長期にわたり保存する場合は常温、またはそれ以下の温度で窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で保存することが好ましい。
本発明で製造されるポリウレタン及びそのウレタンプレポリマー溶液は、多様な特性を発現させることができて、フォーム、エラストマー、塗料、繊維、接着剤、床材、シーラント、医用材料、人工皮革等に広く用いることができる。
本発明で製造されるポリウレタン、ポリウレタンウレア、及びそのウレタンプレポリマー溶液は、注型ポリウレタンエラストマーに使用できる。例として、圧延ロール、製紙ロール、事務機器、プレテンションロール等のロール類、フォークリフト、自動車車両ニュートラム、台車、運搬車等のソリッドタイヤ、キャスター等、工業製品として、コンベアベルトアイドラー、ガイドロール、プーリー、鋼管ライニング、鉱石用ラバースクリーン、ギア類、コネクションリング、ライナー、ポンプのインペラー、サイクロンコーン、サイクロンライナー等がある。又、OA機器のベルト、紙送りロール、複写用クリーニングブレード、スノープラウ、歯付ベルト、サーフローラー等にも適用される。
本発明で製造されるポリウレタン及びそのウレタンプレポリマー溶液は、溶剤系二液型塗料としての用途にも適用可能であり、楽器、仏壇、家具、化粧合板、スポーツ用品等の木材製品に適用できる。又、タールエポキシウレタンとして自動車補修用にも使用できる。
本発明で製造されるポリウレタン及びそのウレタンプレポリマー溶液は、接着剤として、食品包装、靴、履物、磁気テープバインダー、化粧紙、木材、構造部材等に適用され、又、低温用接着剤、ホットメルトの成分としても用いることができる。
本発明で製造されるポリウレタン及びそのウレタンプレポリマー溶液は、バインダーとして、磁気記録媒体、インキ、鋳物、焼成煉瓦、グラフト材、マイクロカプセル、粒状肥料、粒状農薬、ポリマーセメントモルタル、レジンモルタル、ゴムチップバインダー、再生フォーム、ガラス繊維サイジング等に使用可能である。
成分として、防縮加工、防皺加工、撥水加工等に使用できる。
本発明で製造されるポリウレタン、ポリウレタンウレア、及びそのウレタンプレポリマー溶液は、シーラント・コーキングとして、コンクリート打ち壁、誘発目地、サッシ周り、壁式PC目地、ALC目地、ボード類目地、複合ガラス用シーラント、断熱サッシシーラント、自動車用シーラント等に使用できる。
本発明で製造されるポリウレタン及びそのウレタンプレポリマー溶液は、医療材料としての使用が可能であり、血液適合材料として、チューブ、カテーテル、人工心臓、人工血管、人工弁等、又、使い捨て素材としてカテーテル、チューブ、バッグ、手術用手袋、人工腎臓ポッティング材料等に使用できる。
本発明で製造されるポリウレタン、ポリウレタンウレア、及びそのウレタンプレポリマー溶液は、末端を変性させた後にUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、フレキソ印刷版用の感光性樹脂組成物、光硬化型の光ファイバー被覆材組成物等の原料として用いることができる。
特に、フィルムや繊維に用いられるのが本発明で製造されるポリウレタンの弾性性能や透湿性の特徴を生かす上で好ましく、これらの具体的用途としては、医療、衛生材料、人工皮革、及び衣類用の弾性繊維に用いることが好ましい。
以上、本発明で製造されるポリウレタン及びそのウレタンプレポリマー溶液を用いた用途例を述べたが、本発明はこれらの用途に限定されるものではない。
以下にフィルムと繊維の製造方法を記載するが、特に製法が制限される訳ではない。
フィルムの製造方法は特に限定はなく、公知の方法が使用できる。例えば、フィルムの製造方法として、支持体や離形材にポリウレタン樹脂溶液を塗布し、凝固浴中で溶媒その他の可溶性物質を抽出する湿式製膜法と、支持体や離形材にポリウレタン樹脂溶液を塗布し、加熱あるいは減圧等により溶媒を乾燥させる乾式製膜法が挙げられる。乾燥製膜する際に用いる支持体は特に限定されないが、ポリエチレンやポリプロピレンフィルム、ガラス、金属、剥離材を塗布した紙はあるいは布等が用いられる。塗布の方式は特に限定されないが、ナイフコーター、ロールコーター、スピンコーター、グラビアコーター等の公知のいずれでもよい。乾燥温度は乾燥機の能力によって任意に設定できるが、乾燥不十分、あるいは急激な脱溶媒が起こらない温度範囲を選ぶことが必要である。好ましくは室温〜300℃、より好ましくは60℃〜200℃の範囲である。
本発明のフィルムの厚さは限定されないが、通常、10〜1000μm、好ましくは10〜500μm、より好ましくは10〜100μmである。フィルムの厚さが厚すぎると、十分な透湿性が得られない傾向があり、又、薄過ぎると、ピンホールが形成しやすかったり、フィルムがブロッキングしやすく取り扱いにくくなる傾向がある。又、このフィルムは、医療用粘着フィルムや衛生材料、包装材、装飾用フィルム、その他透湿性素材等に好ましく用いることができる。又、フィルムは布や不織布等の支持体に塗布したものでもよい。この場合は10μmよりもさらに薄くてもかまわない。
破断伸度は、通常100%以上、好ましくは200%以上、より好ましくは300%以上、更に好ましくは500%以上である。 破断強度は、通常5MPa以上、好ましくは
10MPa以上、より好ましくは20MPa以上、更に好ましくは30MPa以上である。
尚、ポリウレタンフィルムと糸の物性は非常に良い相関があり、フィルムの試験等で得られた物性値は、糸(繊維)においても同様の傾向を示す。
本発明のポリウレタンを用いた繊維は、更に用途を具体的に挙げると、レッグ、パンティー・ストッキング、おむつカバー、紙おむつ、スポーツ用衣類、下着、靴下、ファッション性に優れたストレッチ性の衣類、水着、レオタード等の用途に好ましく用いられる。これは、伸張回復性、弾性、耐加水分解性、耐光性、耐酸化性、耐油性、加工性等に優れているからである。
本弾性繊維の優れた透湿性は、衣類に使用される際に蒸れにくく、付け心地がよいという特徴を持つ。又、応力の変動率が小さいあるいはモジュラスが小さいという特性は、例えば、衣類として体につける際に小さな力でそでを通したりすることができ、小さな子供やお年寄りにとっても非常に脱着しやすいという特徴を持つ。又、フィット感及び運動追従性がよいことより、スポーツ用衣類やよりファッション性の高い衣類の用途で使用することができる。又、繰り返しの伸張試験での弾性保持率が高いことより、繰り返しの使用に対してもその弾性性能が損なわれにくいという特徴もある。
本発明で用いる、ポリエーテルポリオールの数平均分子量はJIS K 1557−1:2007に準拠したアセチル化法による水酸基価(KOH(mg)/g)測定方法より求めた。
<ポリウレタン及びポリウレタンウレアの分子量>
得られたポリウレタン又はポリウレタンウレアの分子量は、ポリウレタン又はポリウレタンウレアのジメチルアセトアミド溶液を調製し、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TskgelGMH−XL(2本)〕を用い、標準ポリスチレン換算での数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
得られたフィルムを2枚重ね合わせ、試験片打ち抜き機にて試料長4cm(各々1.5cm長の引張試験機固定時の初期試験長部分と2.5cmの重ね部分を含む)、幅1cmのフィルムを得た。試験片はフィルム重ね合わせ部分を200g/cm2の圧力を印加した状態で温度25℃、相対湿度50%の条件下で10分間放置した後、引張試験機(FU
DOH製「レオメーターNRM−2003J」)を用いて被験フィルムを300mm/分の
速度で引っ張ることによってT型剥離強度を測定した。
ポリウレタン又はポリウレタンウレア試験片は幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状とし、JIS K6301に準じ、引張試験機〔オリエンテック社製、製品名「テンシロンUTM−III −100」〕を用いて、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)での引張破断強度、引張破断伸度、100%伸長時と300%伸長時の強度を測定した。
<ポリエステルポリオール1の製造>
撹拌子を備えた100mL四つ口丸底フラスコに4.2mgのテトラブチルオルトチタネート(東京化成社)、62.5g(34.5mmol)のカルビノール変性シリコーン(信越化学社製KF−6001、水酸基価62)、10g(87.6mmol)のε-カプロラクトン (Across社)を測り取った。還流管および窒素導入管を取り付け、反応容器をオイルバスに浸して30分で190℃まで昇温し、190℃で7h反応させてポリエステルポリオール1とした。
容量が1Lのフラスコにあらかじめ40℃に加温したポリテトラメチレンエーテルグリコール(水酸基価より算出した数平均分子量1955、三菱化学社製)108.5重量部と、上記で合成したポリエステルポリオール1を5.71重量部加えて混合し、この混合物をポリウレタン製造用の原料とした。この混合物に対するポリエステルポリオール1の割合は5重量%であった。その後、40℃に加温した4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記することがある。)30.6重量部を加えた。このときの、NCO/活性水素基(ポリエーテルポリオールと鎖延長剤)の反応当量比は1.6であった。そして、このフラスコを45℃のオイルバスにセットし、窒素雰囲気下にて碇型攪拌翼で攪拌しつつ、1時間かけてオイルバスの温度を70℃まで昇温し、その後70℃にて3時間保持した。残存NCO基を過剰量のジブチルアミンと反応させその後残存ジブチルアミンを塩酸により逆滴定することによりNCOの反応率が99%を越えていることを確認した後に、オイルバスを取り去り、フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAC」と略記することがある。関東化学社製)234部を加え、室温にて攪拌し溶解させることでポリウレタンプレポリマー溶液を調製した。
上記ポリウレタンプレポリマー溶液を10℃に冷却し保持しておき、一方で、鎖延長剤として用いるエチレンジアミン(EDA)/ジエチルアミン(DEA)=88/12(モル比)の0.5%DMAC溶液を調製した。この0.5%DMAC溶液に10℃に冷却し保持した上記ポリウレタンプレポリマー溶液を高速に攪拌しながら添加してポリマー濃度20%のポリウレタンウレアDMAC溶液を得た。
この溶液を25℃にて一晩熟成した後に、GPCで重量平均分子量及び分子量分布の測定を実施したところ、重量平均分子量19.4万、分子量分布は2.5であった。
こうして得られたポリウレタンウレア溶液をガラス板上にキャストし、60℃にて乾燥させて厚さ約50μmの無色透明なフィルムを得た。フィルムの厚みは厚み測定器によって測定した。
このフィルムの剥離試験を行ったところ、剥離に必要な応力は0.6g/cmであり、剥離性は良好であった。また、得られた弾性フィルムは表2に示す通りの特性であった。
ポリテトラメチレンエーテルグリコール143.3重量部と、実施例1で合成したポリエステルポリオール1を0.14重量部、MDI29.0重量部を用い、実施例1と同様の手順でポリウレタンウレア2を製造した。
この溶液を25℃にて一晩熟成した後に、GPCで重量平均分子量及び分子量分布の測定を実施したところ、重量平均分子量30.3万、分子量分布は2.5であった。このポリウレタンウレア溶液からフィルムを作製して剥離試験を行ったところ、剥離に必要な応力は7.0g/cmであり、剥離性は良好であった。また、得られた弾性フィルムは表2に示す通りの特性であった。
<ポリウレタンウレアの製造>
表2に示した仕込み量で、実施例1と同様にしてポリエステルポリオールを含有しないポリウレタンウレア溶液とフィルムを得た。このフィルムの剥離試験を行ったところ、剥離に必要な応力は66.3g/cmであり、剥離性が悪かった。また、得られた弾性フィルムは表2に示す通りの特性であった。
Claims (15)
- (a)(i)ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールと、(ii)エステル基含
有化合物またはカルボキシル基含有化合物、とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオール、(b)ポリエーテルポリオール、(c)イソシアネート化合物、及び(d)鎖延長剤を用いて得られることを特徴とするポリウレタン。 - 前記ポリエステルポリオール(a)と前記ポリエーテルポリオール(b)の合計重量に対して、前記ポリエステルポリオール(a)が0.01〜10重量%である請求項1記載のポリウレタン。
- 前記ポリエステルポリオール(a)の分子量が、500以上5000以下である請求項1または2に記載のポリウレタン。
- 前記エステル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物(ii)がポリラクトンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタン。
- 前記エステル基含有化合物またはカルボキシル基含有化合物(ii)がジカルボン酸である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリウレタン。
- 前記イソシアネート化合物(c)が芳香族ポリイソシアネートである請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリウレタン。
- 前記鎖延長剤(d)がポリアミン化合物である請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリウレタン。
- (a)(i)ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールと、(ii)エステル基含
有化合物またはカルボキシル基含有化合物、とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール(b)、イソシアネート化合物(c)、及び鎖延長剤(d)を原料としてポリウレタンを得ることを特徴とするポリウレタンの製造方法。 - ポリエステルポリオール(a)と、ポリエーテルポリオール(b)の混合物を得る工程を含む請求項8記載のポリウレタンの製造方法。
- 前記混合物とイソシアネート化合物(c)を反応させ、両末端がイソシアネートのプレポリマーを得る工程を含む請求項9記載の製造方法。
- (a)(i)ポリシロキサンジオールまたはフッ素化ジオールと、(ii)エステル基含
有化合物またはカルボキシル基含有化合物、とが少なくとも1つのエステル結合を形成するポリエステルポリオールと、(b)ポリエーテルポリオールとを含有する混合物。 - 請求項11記載の混合物と、イソシアネート化合物(c)とから得られるプレポリマー。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタンを用いてなるポリウレタン成形物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタンを用いてなるポリウレタンフィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリウレタンを用いてなるポリウレタン繊維。
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