JP5625372B2 - ポリオール混合物、及び該混合物を原料とするポリウレタン - Google Patents
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Description
物であって、ポリエーテルポリオール(ii)が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールであり、ICP−AESで測定した、前記ポリオール混合物中のヒドロシリル化能を有する金属含有量が0〜10ppmであり、かつ、該金属が白金であることを特徴とするポリオール混合物に存する。
本発明のポリオール混合物は、特定の構造を有するポリシロキサンポリオール(i)およびポリエーテルポリオール(ii)を含有する。本発明のポリオール混合物の性状は特に限定されず、固体または液体のいずれの状態でも使用することができ、必要に応じて溶媒に溶解させて使用することもできる。ポリオール混合物の性状や形態は、用途に応じて種々選択すれば良い。
〔1−1〕ポリシロキサンポリオール(i)
本発明におけるポリオール混合物に含有されるポリシロキサンポリオール(i)は、繰り返し単位が5以上のオキシアルキレン基から成るポリエーテル鎖を分子の両末端に有するエーテル変性シリコーンであり、下記構造式(1)で表される。
重量%以下、特に好ましくは55重量%以下である。前記上限値が小さくなるほど、得られるポリウレタンの弾性特性や伸張回復性が向上する傾向となる。なお、ポリシロキサンポリオール(i)中のポリシロキサン部位の割合は、例えば、NMRを測定することにより
容易に算出することができる。
本発明におけるポリシロキサンポリオール(i)の構造式(1)において、ポリシロキサン部位に結合しているアルキレン基(構造式(1)のR1)と複数のオキシアルキレン基はエーテル結合で連結されているが、ポリシロキサンポリオール(i)は市販されているもの、または、公知の方法(例えば、特公平5−29706に記載の方法)により得られたものが使用できる。
応後にろ過や分液等の後処理操作を加えることで調製できる可能性がある。
本発明におけるポリオール混合物に含有されるポリエーテルポリオール(ii)は、分子内の主骨格中に1つ以上のエーテル結合を有するヒドロキシ化合物であり、ポリシロキサンポリオール(i)を除くものとする。主骨格中の繰り返し単位としては、飽和炭化水素又は不飽和炭化水素のどちらでもよく、又、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、例えば、1, 2- エチレングリコール単位、1,2−プロピレングリコール単位、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)単位、2−メチル−1,3−プロパンジオール単位、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール単位、1,4−ブタンジオール(テトラメチルングリコール)単位、2−メチル−1,4−ブタンジオール単位、3−メチル−1,4−ブタンジオール単位、3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位、ネオペンチルグリコール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位、1,4−シクロヘキサンジメタノール単位等が挙げられる。
本発明におけるポリエーテルポリオール(ii)は市販されているもの、または、公知の方法により得られたものが使用できる。
本発明におけるポリオール混合物(a)は、前記ポリシロキサンポリオール(i)およびポリエーテルポリオール(ii)から構成される。ポリシロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)の含有量は特に限定されるものではないが、ポリシロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)の合計重量に対して、ポリシロキサンポリオール(i)の含有量として、下限が、通常0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、更に好ましくは0.07重量
%以上、特に好ましくは0.10重量%以上であり、上限が、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは7重量%以下、更に好ましくは6重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。ポリオール混合物中のポリシロキサンポリオール(i)の含有が多くなるほど、得られるポリウレタンの剥離性が向上する傾向となる。含有量が少なくなるほど、得られるポリウレタンの剥離性は悪化するものの、弾性特性や伸張回復性が向上する傾向となる。
。
されるものではないが、ポリシロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)の合計重量に対して、通常0ppm以上、好ましくは0.03ppm以上、より好ましくは0.05ppm以上、更に好ましくは0.07ppm以上、特に好ましくは0.10ppm以上であり、通常10ppm以下、好ましくは7ppm以下、より好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。
金属含有量の値が前記上限超過では、ポリウレタン製造時に望ましくない副反応が起こり、柔軟性の低下等ポリウレタン重合体の物性が低下する。このため、金属含有量の値は可能な限り小さい方が好ましいが、その場合、原料のポリシロキサンポリオールを効率良く調達できない。
量を減らすために、ポリシロキサンポリオール製造時のヒドロシリル化反応にて金属触媒使用量を減らそうとすると、反応が十分に進行せずに原料のオルガノ(ポリ)シロキサンや末端不飽和化合物が残存し、これらの未反応物質が原因となってウレタン化反応が十分進行しなかったり、得られるポリウレタンの物性が不十分となったりする可能性がある。また、ヒドロシリル化により合成したポリシロキサンポリオール中の残存金属を分液や蒸留などの後処理にて除去しようとすると、後処理工程の負荷が非常に大きくなり、製造コストやエネルギーコストの増大や製造時間の増加が問題となる。これらの理由から、ポリオール混合物(a)中のヒドロシリル化能を有する金属含有量は、ポリウレタン化反応に
おいて副反応が抑制されるので少ないほど好ましいが、金属含有量が少なすぎる場合、例えば該金属を含まない場合は、構造式(1)で示されるようなポリエーテル鎖を分子内に有するポリシロキサンポリオールの調達が極めて困難となるため、0.10〜1ppmの範囲が最も好ましい。尚、ポリオール混合物(a)中のヒドロシリル化能を有する金属含有量は、元素分析により測定することができる。
ル混合物(a)中に金属として10ppm以下含有されていれば、どのような形態で存在していても構わない。
ロキサンポリオール製造時のヒドロシリル化反応において残存した金属触媒であるが、ポリウレタン化の反応速度をコントロールするために、後からポリオール混合物(a)中にさらにヒドロシリル化能を有する金属化合物を加えることもできる。ポリオール混合物(a)中のヒドロシリル化能を有する金属が10ppm以下であれば、その添加方法や順序は問わない。
本発明のポリオール混合物(a)の製造方法は特に限定されないが、前期ポリシロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)の何れも液状である場合は、これを攪拌して混合することが好ましい。また、一方または双方が固体または高粘度の液体である場合は、加温して粘度の低い液状として混合することもできる。混合する際の温度は限定されないが、10〜110℃で混合することが好ましい。高温にしすぎると、ポリオール混合物(a)が着色してしまう可能性があり、低温にしすぎるとポリオールが一部固化して作業効率が低下する可能性や、不均一に混合されて剥離性や均質性に優れたポリウレタンが安定的に生産できない傾向がある。本発明のポリオール混合物(a)は前記ポリ
シロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)の相溶性が良好であるので
、このように混合した状態で長期に保存した場合であっても、相分離を起こすことがないという特徴をもつ。
ウレタン製造設備のポリエーテルポリオールの保管タンクに導入すると、通常グレードのポリウレタンを製造する場合にポリシロキサンポリオールが混在してしまい、ポリウレタンの均質性が損なわれる可能性が考えられる。通常グレードと特殊グレードのポリウレタンを所望の物性が得られるように効率よく製造するためには、このようにポリシロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)を別々のラインから導入させることが好ましい。
本発明のポリウレタンは、前記ポリオール混合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)及び鎖延長剤(c)を主原料として得られるものである。ここで、前記ポリオール混合物(a)は、前記ポリシロキサンポリオール(i)と前記ポリエーテルポリオール(ii)とを混合した混合物とした原料を用いることには限定されない。従って、本発明におけるポリウレタンは、最終的に(i),(ii),(b),(c)を原料として含むものであればよい。また、本発明のポリオール混合物(a)は、前記ポリシロキサンポリオール(i)と前記ポリエーテルポリオール(ii)とを混合した混合物のみに限定して解釈さ
れるものではなく、ポリウレタンを製造する際に用いる他の成分を含んだ状態で物理的に混合された状態の混合物を排除するものではない。
を形成するポリマーであり、ポリウレタンウレアは、主としてウレタン結合及びウレア結合によって連鎖構造を形成するポリマーである。原料面からの違いとしては、ポリウレタンは、鎖延長剤として短鎖ポリオールを使用し製造されるものであり、ポリウレタンウレアは、鎖延長剤としてポリアミン化合物を使用し製造されるものである。
(a)ポリオール混合物
本発明におけるポリウレタンに用いられるポリオール混合物(a)は、前記ポリシロキサンポリオール(i)と、ポリエーテルポリオール(ii)とを含有するポリオール混合物である。
(b)ポリイソシアネート化合物
本発明におけるポリウレタンに用いられるポリイソシアネート化合物(b)は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4’−MDI、パラフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート(水添TDI)、1−イソシアネート−3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4′−ジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が例示される。これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。本発明においては、特に反応性の高い芳香族ポリイソシアネートが好ましく、特にトリレンジイソシアネート(TDI) 、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)が好ましい。又、イソシアネート化合物のNCO基の一部をウレタン、ウレア、ビュレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾリドン、アミド、イミド等に変成したものであってもよく、更に多核体には前記以外の異性体を含有しているものも含まれる。
本発明におけるポリウレタンの製造に用いられる鎖延長剤(c)は、主として、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物、2個以上のアミノ基を有する化合物、水に分類される。この中でも、ポリウレタン製造には短鎖ポリオール、具体的には2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を、ポリウレタンウレア製造には、ポリアミン化合物、具体的には2個以上のアミノ基を有する化合物が好ましい。鎖延長剤(c)の中で水については反応を安定に行うために、できるだけ低減することが好ましい。又、本発明のポリウレタンは、鎖延長剤(c)として、分子量(数平均分子量)が500以下の化合物を併用すると、ポリウレタンエラストマーのゴム弾性が向上するために、物性上更に好ましい。尚、これらの鎖延長剤(c)は単独使用でも2種以上の併用でもよい。
本発明において、ポリウレタンの製造には、以上の(a)〜(c)の他に、ポリウレタ
ンの分子量を制御する目的で、必要に応じて1個の活性水素基を持つ鎖停止剤等を使用することができる。これらの鎖停止剤としては、水酸基を有するエタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族モノオール、アミノ基を有するジエチルアミン、ジブチルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の脂肪族モノアミン等が例示される。これらは単独使用でも2種以上の併用でもよい。
本発明において、ポリウレタンを製造するには、ポリシロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)とから得られるポリオール混合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)、及び鎖延長剤(c)を主製造用原料として、上記記載の各使用量で用い、一般的に実験/工業的に用いられる全ての製造方法により、無溶媒或いは溶媒共存下で実施することができる。その際使用する溶媒としては、特に限定されるものではないが、汎用性や溶解性等の観点から、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、及びそれらの2種以上の混合物等のアミド系溶媒、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる溶媒が好ましく用いられ、これらの中でN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
製造方法である。
みこまれるのでポリウレタン成形工程においてポリシロキサンポリオールがブリードアウト(分離、析出)しにくく、生成するポリウレタン成形体の剥離性が損なわれない最も好ましい方法であると言える。一方、別のポリウレタン製造方法として、例えば、前記(ii)、前記(b)、前記(c)を反応させた後に前記(i)を混合する方法があるが、同方法ではポリシロキサンポリオールがポリウレタンの分子構造に組み込まれないため、ポリウレタン成形工程においてブリードアウトしやすく、生成するポリウレタン成形体が所望の剥離性を示さない傾向や、十分な剥離性を得るためには大量のポリシロキサンポリオールが必要となるのでコストが高くなる傾向となり、好ましくない。
が重要である。
上記の製造方法で得られるポリウレタンは、通常は溶媒存在下で反応を行っているため、溶液に溶解した状態で得られるのが一般的であるが、溶液状態でも固体状態でも制限されない。
に想像できるが、多すぎると相溶性が悪くなるので均質なポリウレタンの製造が難しくなる。つまり、ポリオール混合物中のポリシロキサン部位の含有量が少ないにも関わらずポリウレタン重合体の剥離強度が低いことが理想的であり、ポリオール混合物(a)中のポリシロキサン部位の含有量が0.1〜2.0重量%であり、かつフィルム成形時における剥離強度が0.1〜7.0g/cmであるポリウレタンが好ましい。より好ましくは、ポリオール混合物(a)中のポリシロキサン部位の含有量が0.1〜1.0重量%であり、かつフィルム成形時における剥離強度が0.1〜4.0g/cmであるポリウレタンである。
ンの全重量に対して1〜20重量%含有することが好ましく、より好ましくは3〜15重量%であり、更に好ましくは4〜12重量%であり、特に好ましくは5〜10重量%である。このハードセグメント量が多すぎると、得られるポリウレタンが十分な柔軟性や弾性性能を示さなくなったり、溶媒を使用する場合は溶けにくくなり加工が難しくなったりする傾向となる。一方、ハードセグメント量が少なすぎると、ポリウレタンが柔らかすぎて加工が難しくなる傾向や、十分な強度や弾性性能が得られなくなる傾向となる。
Mdi=ジイソシアネートの数平均分子量
Mda=鎖延長剤の数平均分子量
Mp =ポリシロキサンポリオールとポリエーテルポリオールから成るポリオール混合物の数平均分子量
本発明で製造されるポリウレタン、及びそのウレタンプレポリマー溶液は、多様な特性を発現させることができ、例えば、樹脂状、ゴム状、熱可塑性エラストマー状等の材質で、又、各種形状に成形された固体状或いはフォーム状、及び液体状等の性状で、繊維、フィルム、塗料、接着剤、機能部品等として、衣料、衛生用品、包装、土木、建築、医療、自動車、家電、その他工業部品等の広範な分野で用いられる。特に、繊維やフィルムとして用いられるのが本発明で製造されるポリウレタンの弾性性能や透湿性の特徴を生かす上で好ましく、これらの具体的用途としては、衣料用の弾性繊維、医療、衛生用品、人工皮革等に用いられるのが好ましい。
本発明のポリウレタンを用いたフィルムは、その厚さとしては特に限定されるものではないが、通常10〜1000μm、好ましくは10〜500μm、更に好ましくは10〜100μmである。フィルムの厚さが厚すぎると、十分な透湿性が得られない傾向となり、又、薄すぎると、ピンホールが形成されやすかったり、フィルムがブロッキングしやすく取り扱いにくくなる傾向となる。又、このフィルムは、医療用粘着フィルムや衛生材料、包装材、装飾用フィルム、その他透湿性素材等に好ましく用いることができる。尚、フィルムは布や不織布等の支持体に塗布して形成されたものでもよく、その場合は10μmよりも更に薄くてもかまわない。又、引張特性として、破断強度は、通常5MPa以上、好ましくは10MPa以上、より好ましくは20MPa以上、更に好ましくは30MPa
以上であり、破断伸度は、通常100%以上、好ましくは200%以上、より好ましくは300%以上、更に好ましくは500%以上である。
ポリウレタンフィルムと繊維の物性は非常によい相関があり、フィルム試験等で得られた物性値は繊維においても同様の傾向を示す。本発明のポリウレタンを用いた繊維は、伸長回復性、弾性、耐加水分解性、耐光性、耐酸化性、耐油性、加工性等に優れ、例えば、レッグ、パンティー・ストッキング、おむつカバー、紙おむつ、スポーツ用衣類、下着、靴下、ファッション性に優れたストレッチ性の衣類、水着、レオタード等の用途に好ましく用いられる。本発明のポリウレタンを用いた弾性繊維の優れた透湿性は、衣類に使用される際に蒸れにくく、付け心地がよいという特徴を持つ。又、応力の変動率或いはモジュラスが小さいという特性は、例えば、衣類として体につける際に小さな力でそでを通したりすることができ、小さな子供やお年寄りにとっても非常に着脱しやすいという特徴を持つ。又、フィット感及び運動追従性がよいことより、スポーツ用衣類やよりファッション性の高い衣類の用途で使用することができる。又、繰り返しの伸張試験での弾性保持率が高いことより、繰り返しの使用に対してもその弾性性能が損なわれにくいという特徴もある。
JIS K1557−1:2007に準拠したアセチル化法による水酸基価(KOH(mg)/g)測定方法より数平均分子量を求めた。
<ポリウレタン及びポリウレタンウレアの分子量>
得られたポリウレタン又はポリウレタンウレアの分子量は、ポリウレタン又はポリウレタンウレアのジメチルアセトアミド溶液を調製し、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TskgelGMH−XL(2本)〕を用い、標準ポリスチレン換算での数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
成形したフィルム2枚を重ね合わせ、長さ4cm、幅1cmの試験片を打ち抜き、その長さ方向一端から2.5cmの重ね合わせ部分を、温度25℃、相対湿度50%の条件下、200g/cm2 の圧力を10分間印加した試験片について、引張試験機(FUDOH製「レオメーターNRM−2003J」)を用い、引張速度300mm/分で圧着部分をT型剥離したときの剥離強度を測定した。なお、剥離強度の値は、低いほうが好ましい。
ポリウレタン又はポリウレタンウレア試験片は幅10mm、長さ100mm、厚み約50μmの短冊状とし、JIS K6301に準じ、引張試験機〔オリエンテック社製、製
品名「テンシロンUTM−III −100」〕を用いて、チャック間距離50mm、引張速度500mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)での引張破断強度、引張破断伸度、100%伸長時と300%伸長時の強度を測定した。
分析に使用する試薬は半導体洗浄用もしくは原子吸光用の試薬を使用した。ポリオール混合物(a)3.5gをケルダールフラスコに秤量し、97%硫酸を加えて電熱器で加熱した。ケルダールフラスコの中が黒くなったら、徐々に過酸化水素水(35%)を添加しながら、加熱した。さらにケルダールフラスコの中に黒い部分が残らなくなるまで、過酸化水素水を添加し、最後に加熱し硫酸だけの溶液にしておく。このときSiポリマー由来の白色物(SiO2)もケルダールフラスコの底部に沈殿している。冷却後この沈殿及び硫酸の全量をテフロン(登録商標)ビーカーに移した。その際必要に応じ、少量の純水を使用した。
さらにこのテフロン(登録商標)ビーカーをウォーターバス上で加熱しながら、HF(50%)を少しずつ添加していった。このときビーカー内のSiO2がケイフッ酸(H2SiF6)として揮散していく。沈殿がテフロン(登録商標)ビーカーの中から消失し、フッ酸を完全に追い出した後、テフロン(登録商標)ビーカーに残った硫酸溶液全量を石英ビーカーに移した。必要に応じて純水も使用した。その後ホットプレート上に石英ビーカーを載せ、水分を蒸発させ硫酸のみに濃縮し、さらに王水(濃塩酸3:濃硝酸1)を添加した。少し加熱し、分析目的のPt等の貴金属類を溶解させた後に、純水を石英ビーカーに加え、全量をメスフラスコに移し、純水で定溶した。メスフラスコの水溶液をICP−AES(堀場製作所(株):JY−138U)にて測定し、試料中の白金濃度(ppm)を算出した。
なお、以下の実施例および比較例で用いたポリオール混合物(a)には、Pt以外にはヒドロシリル化能を有する金属は存在しなかった。
ポリシロキサンポリオール(i)および内部標準のトルエンを所定量測り取ってNMRを測定し、両者のメチル基の積分値より、ポリシロキサンポリオール中のポリシロキサン部位含有量を算出した。また、この値とポリオール混合物中のポリシロキサンポリオール含有量を用いて、ポリオール混合物中のポリシロキサン部位含有量を算出した。
<ポリウレタンウレア1の製造>
容量が1Lのフラスコに、ポリエーテルポリオール(ii)として予め40℃に加温したポリテトラメチレンエーテルグリコール(数平均分子量1965、三菱化学社製)130重量部と、構造式(1)で表されるポリシロキサンポリオール(i)としてエーテル変性
シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、SF8427、数平均分子量1860)を0.65重量部加えて混合し、ポリオール混合物1(pt含有量0.15ppm)を得た。このポリオール混合物1をポリウレタン製造用の原料とした。この混合物中のポリシロキサンポリオール含有量は0.5重量%であった。その後、ポリイソシアネート化合物(b)として予め40℃に加温した4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記することがある。)26.7重量部を加えた。このときの、NCO/活性水素基(ポリエーテルポリオールと鎖延長剤)の反応当量比は1.6であった。そして、このフラスコを45℃のオイルバスにセットし、窒素雰囲気下にて碇型攪拌翼で攪拌しつつ、1時間かけてオイルバスの温度を70℃まで昇温し、その後70℃にて3時間保持した
。残存NCO基を過剰量のジブチルアミンと反応させ、その後残存ジブチルアミンを塩酸により逆滴定することによりNCOの反応率を求めると、2h反応後のNCO反応率は97.6%、2.5h反応後のNCO反応率は99.1%であり、プレポリマー化は速やかに進行した。3h反応時にNCO反応率が99%を越えていることを確認した後に、オイルバスを取り去り、フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAC」と略記することがある。関東化学社製)236重量部を加え、室温にて攪拌し溶解させることでポリウレタンプレポリマー溶液を調製した。プレポリマー反応停止時の粘度は110.5mPa・sであった。上記ポリウレタンプレポリマー溶液を10℃に冷却し保持しておき、一方で、鎖延長剤(c)として、エチレンジアミン(EDA)/ジエチルアミン(DEA)=90/10(モル比)の0.6%DMAC溶液を調製した。この0.6%DMAC溶液に10℃に冷却し保持した上記ポリウレタンプレポリマー溶液を高速に攪拌しながら添加してポリマー濃度20%の透明性良好なポリウレタンウレアDMAC溶液(ポリウレタンウレア1)を得た。
その重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)を算出したところ、測定したMwは27.9万、算出したMw/Mnは2.5であった。又、得られたポリウレタンウレア1のハードセグメントの割合は、7.8重量%であった。又、こうして得られたポリウレタンウレア溶液をガラス板上にキャストし、60℃にて乾燥させて厚さ50μmの無色透明なフィルムを成形し、剥離試験および引張試験を行った。なお、ポリオール混合物中のポリシロキサン部位の含有量は0.22重量%、剥離強度は2.8g/cmであった。得られたフィルムは表1に示す通りの物性であった。
<ポリウレタンウレア2の製造>
実施例1と同様にポリオール混合物1を調整した後に、白金として30ppm含有するように塩化白金酸(キシダ化学社製)を添加し、プレポリマー化反応を3.5h行った以外は実施例1と同様にして表1の組成で、ポリウレタンウレア溶液(ポリウレタンウレア2)を製造した。プレポリマー化におけるNCO反応率は、2h反応後が92.2%、2.5h反応後が96.4%、3h反応後が98.3%であり、反応を停止した3.5h反応時のプレポリマーの粘度は199.5mPa・sであった。ポリオール混合物中の白金含有量が少ない実施例1のポリウレタンウレア1に比べて、プレポリマー化の反応速度が遅く生産性が悪化したことに加え、同NCO反応率の時のプレポリマー粘度が高く、操作性も悪化することがわかった。
<ポリウレタンウレア3の製造>
白金として60ppm含有するように塩化白金酸を添加した以外は比較例1と同様にして表1の組成で、透明性良好なポリウレタンウレア溶液(ポリウレタンウレア3)を製造した。プレポリマー化におけるNCO反応率は、2h反応後が93.0%、2.5h反応後が96.7%、3h反応後が99.0%であり、反応を停止した3.5h反応時のプレ
ポリマーの粘度は193.1mPa・sであった。比較例1と同様、ポリオール混合物中の白金含有量が少ない実施例1のポリウレタンウレア1に比べて、プレポリマー化の反応速度が遅く生産性が悪化したことに加え、同NCO反応率の時のプレポリマー粘度が高く、操作性も悪化することがわかった。
Claims (11)
- ポリシロキサンポリオール(i)の割合が、ポリシロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)の合計量に対して0.01〜10重量%である請求項1に記載のポリオール混合物。
- ポリシロキサンポリオール(i)の数平均分子量が500〜5000である請求項1または2に記載のポリオール混合物。
- ポリエーテルポリオール(ii)の数平均分子量が500〜4000である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオール混合物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリオール混合物(a)、ポリイソシアネート化合物(b)および鎖延長剤(c)から得られるポリウレタン。
- ポリイソシアネート化合物(b)が芳香族ポリイソシアネートである請求項5に記載のポリウレタン。
- 鎖延長剤(c)がポリアミン化合物である請求項5または6に記載のポリウレタン。
- ポリオール混合物(a)中のポリシロキサン部位の含有量が0.1〜2.0重量%であり、かつ以下の剥離試験方法で測定される剥離強度が0.1〜7.0g/cmである請求項5〜7のいずれか1項に記載のポリウレタン。
<剥離試験方法>
前記ポリウレタンから成形したフィルム2枚を重ね合わせ、長さ4cm、幅1cmの試験片を打ち抜く。試験片の長さ方向一端から2.5cmの重ね合わせ部分を、温度25℃、相対湿度50%の条件下、200g/cm2の圧力で10分間印加する。次いで引張試験機を用い、引張速度300mm/分で試験片の印加部分をT型剥離したときの強度を剥離強度とする。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリウレタンを原料とするポリウレタンフィルム。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリウレタンを原料とするポリウレタン繊維。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリウレタンの製造方法であって、ポリシロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)を別々のラインから導入することにより、混合または分散させたポリオール混合物を使用してポリウレタンを製造することを特徴とするポリウレタンの製造方法。
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