JP6237113B2 - ポリウレタンエラストマー、及び弾性繊維 - Google Patents

ポリウレタンエラストマー、及び弾性繊維 Download PDF

Info

Publication number
JP6237113B2
JP6237113B2 JP2013220241A JP2013220241A JP6237113B2 JP 6237113 B2 JP6237113 B2 JP 6237113B2 JP 2013220241 A JP2013220241 A JP 2013220241A JP 2013220241 A JP2013220241 A JP 2013220241A JP 6237113 B2 JP6237113 B2 JP 6237113B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyurethane elastomer
range
strain
polyester polyol
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013220241A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015081305A (ja
Inventor
雅美 竹中
雅美 竹中
桝本 雅也
雅也 桝本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
DIC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DIC Corp filed Critical DIC Corp
Priority to JP2013220241A priority Critical patent/JP6237113B2/ja
Publication of JP2015081305A publication Critical patent/JP2015081305A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6237113B2 publication Critical patent/JP6237113B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Description

本発明は、ポリウレタンエラストマー、及びそれを用いて得られる弾性繊維に関する。
更に詳しくは、本発明のポリウレタンエラストマーは、芳香族骨格を有するポリエステルポリオールと、炭素数が2〜6の脂肪族骨格を有するジオール、及びジイソシアネートを反応させて得られ、前記ポリウレタンエラストマーにより作製したフィルムを用いて、異なる2種類の測定条件で得られる測定値がいずれも特定の範囲内であることにより、着用直後は伸長後の戻りが適度に遅く、緩やかに弾性回復するが、最終的な歪みは小さいという従来にない弾性回復挙動を示すことにより、優れたサポート感を発現可能な弾性繊維を得ることができる。
従来からポリウレタンエラストマーより得られる弾性繊維は、心地よい着用感(フィット感)、サポート感、ソフト感、弾性回復性、伸縮性などの特性を活かして、例えば、インナーウェア、スポーツウェア、レッグウェア、ストッキング、靴下、水着、サポーター、医療用品(包帯、ガーゼ、パップ材基布、絆創膏、サージカルテープ等)、産業資材、衣料品、あるいは紙おしめなどサニタニー品の漏れ防止用締付け材料、防水資材の締付け材料、疑似餌、造花、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなどの広範囲の用途に利用されてきた。
特に衣料品や医療用品、締付け材料などの用途では、弾性繊維製品は着用時には一旦伸長状態になり、その後回復力により収縮して身体(又は患部)へ適度にフィットすることが重要な要求性能となる。このような着用時の適度な着用感(フィット感)やサポート感(ソフトな着用感又は強い着圧感など)は、製品設計(例えば、樹脂の配合組成、添加剤の種類、弾性繊維の織り方など)によりコントロールされている。
最近では、このような着用感やサポート感だけでなく、身体(又は患部)に着用してから安定で快適な着用感を発現するまでの時間の微妙なコントロールが製品設計において要求されるようになってきた。即ち、弾性繊維製品を伸長させて着用した直後は歪みが大きくソフトな着用感を与えるが、その後は次第に収縮して歪みが緩和して小さくなり、身体(又は患部)に適度な締付け感を感じさせながらフィットするような弾性繊維製品が市場では要望されている。
このような市場の強い要望に応えるために、種々の提案がなされてきた。
例えば、高分子ポリオ−ル、有機ポリイソシアネ−ト、及び低分子ポリオ−ルとからなるポリウレタンエラストマーであって、分岐構造を有し、且つ、全ウレタン結合のうち、0.1〜50%が芳香族水酸基と芳香族イソシアネート基からなるウレタン結合であるポリウレタンエラストマー、が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1によれば、良好な耐熱性、弾性回復性を有するポリウレタンエラストマー、及び弾性繊維を得ることができるという。
しかしながら、特許文献1に記載のポリウレタンエラストマーは、弾性回復率が高すぎるため、身体(又は患部)に着用した直後から締め付け感やフィット感を発現することになり、徐々にソフトに締め付けることが困難であるという問題があった。
また、高分子量ジオールと芳香族ジイソシアネートを主要構成成分としてなる重量平均分子量が100,000以上1,000,000以下のポリウレタンエラストマーおよび可塑剤からなるポリウレタン弾性繊維用材料、が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2によれば、(1)衣服などに用いた際に、フィット性を満足すること、(2)フィット感がありながら締め付け感のないソフトな着用感を有し、低温でも風合いが変化しないこと、などの効果を発現できるという。
しかしながら、特許文献2に記載のポリウレタン弾性繊維用材料でも、前記特許文献1と同様、300%伸長直後の伸長回復率が高いために、身体(又は患部)に着用した直後から締め付け感やフィット感を発現することになり、徐々にソフトに締め付ける機能を発現することは困難であるという問題があった。
このように、従来のポリウレタンエラストマー、及びそれを紡糸して得られる弾性繊維には、未だ解決すべき多くの問題があった。
特開平8−120047号公報 特開2005−075857号公報
本発明の目的は、着用直後は伸長後の戻りが適度に遅く、緩やかに弾性回復するが、最終的な歪みは小さいという従来にない弾性回復挙動を示すことにより、優れたサポート感を発現可能なポリウレタンエラストマー、及びそれを用いた弾性繊維を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決すべく、鋭意検討を進めた結果、特定のポリエステルポリオール、鎖延長剤、及びジイソシアネートを反応させて得られるポリウレタンエラストマーにより作製したフィルムを用いて2つの異なる測定条件で得られる測定値がいずれも特定の範囲内であることにより、着用直後は伸長後の戻りが適度に遅く、緩やかに弾性回復するが、最終的な歪みは小さいという従来にない弾性回復挙動を示すことにより、優れたサポート感を発現可能なポリウレタンエラストマー、及び弾性繊維を得ることができることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明は、芳香族骨格を有するポリエステルポリオール(A)、炭素数が2〜6の範囲の脂肪族骨格を有するジオール(B)、及びジイソシアネート(C)を反応させて得られるポリウレタンエラストマーであり、下記〔条件1〕と〔条件2〕を共に満たすことを特徴とするポリウレタンエラストマーに関するものである。
〔条件1〕前記ポリウレタンエラストマーにより作製した厚さ50μmのフィルムを用いて、粘弾性スペクトロメータにより、温度範囲−100〜200℃、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで測定したときのtanδピーク温度が0〜40℃の範囲であること。
〔条件2〕前記ポリウレタンエラストマーにより作製した初期長さ(LS1)のフィルムを用いて、精密万能試験機により、速度125%/分で300%まで伸長させた後、直ちに速度−125%/分で初期長さ(LS1)まで復元させて、応力が0になった時点の長さを(L)としたときに下記式〔1〕より算出した1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(α)が150〜200%の範囲であり、且つ、前記操作を再度繰り返して、初期長さ(LS1)まで復元させた後、開放して、24時間後の長さを(L)としたときに、下記式〔2〕より算出した2回目の伸縮試験時の永久歪み(β)が10%以下であること。
1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(%)=(L−LS1)/LS1×100・・式〔1〕
2回目の伸縮試験時の永久歪み(%)=(L−LS1)/LS1×100・・式〔2〕
また、本発明は、前記ポリウレタンエラストマーを紡糸して得られることを特徴とする弾性繊維に関するものである。
本発明のポリウレタンエラストマーは、着用直後は伸長後の戻りが適度に遅く、緩やかに弾性回復するが、最終的な歪みは小さいという、従来にない弾性回復挙動を示すことにより、優れたサポート感を発現可能な弾性繊維を得ることができる。
本発明の弾性繊維は、従来にない弾性回復挙動を示すことにより、心地よい着用感(フィット感)、サポート感、ソフト感、弾性回復性、伸縮性などの優れた性能を発現できるので、例えば、衣料品(インナーウェア、スポーツウェア、レッグウェア、ストッキング、靴下、水着、レオタード、リゾートウェア、ホームウェア、サポーター、芯地等)、医療用品(包帯、ガーゼ、パップ材基布、絆創膏、サージカルテープ、マスク等)、産業資材(電気絶縁材、ワイピングクロス、ガスケット、フィルター、ワイパー、保護カバー等)、育児・介護用品(紙おしめ、失禁パッド、サニタニー品、漏れ防止用締付け材料等)、事務用品(コピークリーナー等)、防水資材の締付け材料、疑似餌、造花などの広範囲の用途に利用できる。
<ポリウレタンエラストマー>
本発明のポリウレタンエラストマーは、芳香族骨格を有するポリエステルポリオール(A)、炭素数が2〜6の範囲の脂肪族骨格を有するジオール(B)、及びジイソシアネート(C)を必須原料に用いて、公知の方法に従い反応させて得ることができる。
先ず、前記芳香族骨格を有するポリエステルポリオール(A)(以下「芳香族ポリエステルポリオール(A)」と略記。)について説明する。
前記芳香族ポリエステルポリオール(A)としては、例えば、ジオールとジカルボン酸もしくはその反応性誘導体〔例えば、酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル、ジエチルエステルなどの炭素数が1〜4のアルキルエステル)、酸ハロゲン化物(酸クロライドなど)〕との縮合重合生成物などが挙げられる。
前記ジオールとしては、脂肪族ジオール〔直鎖ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、分岐ジオール(例えば、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオールなど)〕;脂環式ジオール〔例えば、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンなど〕;芳香族ジオール〔例えば、m−キシリレングリコール、p−キシリレングリコール、ビスフェノール類(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど)のアルキレンオキシド付加物(好ましくは分子量500未満)、ジヒドロキシナフタレンのアルキレンオキシド付加物(好ましくは分子量500未満)、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど〕、などが挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、脂肪族ジオールが好ましい。
前記ジカルボン酸もしくはその反応性誘導体としては、炭素数が8〜12の範囲の芳香族ジカルボン酸〔例えば、o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸など〕;及びこれらの反応性誘導体〔例えば、酸無水物、低級アルキルエステル(ジメチルエステル、ジエチルエステルなどの炭素数が1〜4のアルキルエステル)、酸ハロゲン化物(酸クロライド等)など〕が挙げられる。必要に応じて炭素数4〜15の脂肪族ジカルボン酸〔例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、マレイン酸、フマル酸など〕;脂環式ジカルボン酸〔例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸など〕、などが挙げられる。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度(以下「Tg」という。)は、好ましくは−30〜30℃の範囲であり、より好ましくは−20〜20℃の範囲である。前記(A)のTgがかかる範囲であれば、ポリウレタンエラストマーのtanδピーク温度を0〜40℃の範囲にすることが容易にできる。
なお、ポリエステルポリオールのTgは、示差走差熱量測定法(DSC:Differential Scanning Calorimeter)により下記の条件に従い測定し、比熱変化の中点とした。
測定機 :DSC Q−100(ティ・エー・インスツルメント株式会社)
温度範囲:−100〜100℃
昇温速度:10℃/分
雰囲気 :窒素中
本発明では、前記芳香族ポリエステルポリオール(A)を単独使用してもよいが、前記芳香族ポリエステルポリオール(A)と脂肪族ポリエステルポリオール、ラクトンポリオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等の他のポリオールとを本発明の目的を阻害しない範囲で併用してもよい。
前記芳香族ポリエステルポリオール(A)の使用量は、合成に用いる全てポリオールのモル数の合計に対して、10〜100モル%の範囲であり、好ましくは20〜100モル%の範囲であり、より好ましくは50〜100モル%の範囲である。前記(A)をかかる範囲で用いるならば、伸縮試験後の瞬間歪みが100%を越え、心地よい着用感(フィット感)、ソフト感を発現できる。また、時間の経過とともに歪みが小さくなり、同時に優れたサポート力と締め付け感を維持できる。
前記芳香族ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量(以下「Mn」という。)は、前記ポリウレタンエラストマーを紡糸して得られる弾性繊維の着用感(フィット感)、サポート感、ソフト感、弾性回復性、伸縮性などの要求性能を考慮して設定すればよい。
通常、前記(A)のMnは、好ましくは500〜5000の範囲であり、より好ましくは1000〜3000の範囲である。
尚、本発明で記載の前記芳香族ポリエステルポリオール(A)のMnとは、特に断りのない限り、水酸基価と酸価を用いて後記する方法で算出した値である。
次に、本発明において、鎖延長剤として必須に用いる炭素数が2〜6の範囲の脂肪族骨格を有するジオール(B)(以下「脂肪族ジオール(B)」と略記。)について以下に説明する。
本発明のポリウレタンエラストマーでは、鎖延長剤として、炭素数が2〜6の範囲の脂肪族骨格を有するジオール(B)を必須に用いる。
前記脂肪族ジオール(B)を用いることにより、伸度、弾性回復性、伸縮性などの性能が更に向上した弾性繊維を得ることができる。
しかしながら、前記脂肪族ジオール(B)の炭素数が6を超える場合は、ウレタンエラストマーに優れた伸縮性や弾性回復率を付与できなくなるおそれがあり、好ましくない。
前記脂肪族ジオール(B)としては、直鎖構造でも分岐構造でもいずれの構造のアルキル鎖を有するものでもよく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。前記脂肪族ジオール(B)の中でも、適度な反応性を得ることができることから、1,4−ブタンジオールが好ましい。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
前記脂肪族ジオール(B)の使用量は、前記脂肪族ジオール(B)のモル数と前記芳香族ポリエステルポリオール(A)のモル数との比〔即ち(B)/(A)モル比〕が、好ましくは0.5〜5.0モル比の範囲であり、より好ましくは1.0〜4.0の範囲である。前記モル比がかかる範囲であれば、伸度が高く、優れた弾性回復性と伸縮性を有する弾性繊維用のポリウレタンエラストマーを得ることができる。
また、本発明では、鎖延長剤として、前記脂肪族ジオール(B)と共に、その他の鎖延長剤を併用してもよい。
前記その他の鎖延長剤としては、公知のものが使用でき、例えば、低分子量ジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、ヒドラジンなど)が挙げられる。
また、反応調整剤又は重合度調整剤として、公知のものが使用でき、例えば、ブタノールなどの1官能性のモノオール、あるいはジエチルアミンやジブチルアミン等の1官能性のモノアミンなどが挙げられる。
更に、本発明では、ポリウレタンエラストマーの紡糸性を阻害しない範囲内で、水酸基及び/又はアミノ基などの官能基を有する平均官能基数(分子中の活性水素原子の数)が好ましくは3〜6の範囲、より好ましくは3又は4である活性水素化合物を使用することができる。
このような活性水素化合物(カッコ内は分子中の活性水素原子の数を表す。)としては、例えば、グリセリン(3)、トリメチロールエタン(3)、トリメチロールプロパン(3)、ヘキサントリオール(3)、ペンタエリスリトール(4)、ソルボース(5)、ソルビトール(6)、1,3,5−トリアミノベンゼン(6)等などが挙げられる。これらの中でも、ポリウレタンエラストマーに、適度な弾性回復性、ソフト感が付与できる点から、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが、好ましい。
次に、本発明のポリウレタンエラストマーの製造に用いるジイソシアネート(C)について、以下に説明する。
前記ジイソシアネート(C)としては、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートなどのいずれのものも使用することができる。
前記ジイソシアネート(C)としては、例えば、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メタ−テトラメチルキシレンジイソシアネート、パラ−テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。これらの中でも、優れた強度を発現でき、且つ、低価格であることから、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
前記ジイソシアネート(C)のモル数と、前記芳香族ポリエステルポリオール(A)と前記脂肪族ジオール(B)の合計モル数との比、〔即ち(C)/[(A)+(B)]モル比〕は、好ましくは0.95〜1.20モル比の範囲であり、より好ましくは1.00〜1.10の範囲である。前記モル比がかかる範囲であれば、伸度が高く、優れた弾性回復性と伸縮性を有する弾性繊維用のポリウレタンエラストマーを得ることができる。
本発明のポリウレタンエラストマーは、前記芳香族ポリエステルポリオール(A)と、鎖延長剤である前記脂肪族ジオール(B)、及びジイソシアネート(C)を必須に反応させて得られるが、得られるポリウレタンエラストマーは下記の〔条件1〕と〔条件2〕を共に満たす必要がある。
〔条件1〕
本発明のポリウレタンエラストマーにより作製した厚さ50μmのフィルムを用いて、粘弾性スペクトロメータにより、温度範囲−100〜200℃、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで測定したときのtanδピーク温度が0〜40℃の範囲であること。
尚、本発明では、tanδピーク温度(℃)を粘弾性スペクトロメータ(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、型式:DMS6100)により測定した。
〔条件2〕
本発明のポリウレタンエラストマーにより作製した初期長さ(LS1)のフィルムを用いて、精密万能試験機により、速度125%/分で300%まで伸長させた後、直ちに速度−125%/分で初期長さ(LS1)まで復元させて、応力が0になった時点の長さを(L)としたときに下記式〔1〕より算出した1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(α)が150〜200%の範囲であり、且つ、前記操作を再度繰り返して、初期長さ(LS1)まで復元させた後、開放して、24時間後の長さを(L)としたときに、下記式〔2〕より算出した2回目の伸縮試験時の永久歪み(β)が10%以下であること。
1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(%)=(L−LS1)/LS1×100・・式〔1〕
2回目の伸縮試験時の永久歪み(%)=(L−LS1)/LS1×100・・式〔2〕
尚、本発明では、瞬間歪み(α)と永久歪み(β)を精密万能試験機(株式会社 島津製作所製、オートグラフAG−10KNX)により測定した。
本発明のポリウレタンエラストマーは、前記の〔条件1〕と〔条件2〕とを共に満たすことにより、着用直後は伸長後の戻りが適度に遅く、緩やかに弾性回復するが、最終的な歪みは小さいという、従来にない弾性回復挙動を示すことにより、優れたサポート感を発現可能な弾性繊維を初めて得ることができる。
しかしながら、前記〔条件1〕において、tanδピーク温度が0℃未満の場合には、瞬間に発現する弾性回復率が高く、瞬間歪みが小さくなる恐れがあり、好ましくない。
一方、前記〔条件1〕において、tanδピーク温度が40℃を超える場合には、ウレタンエラストマーや弾性繊維を室温条件下で使用する際に、延伸により高分子の構造破壊が生じてしまい、良好な伸縮性が発現しない恐れがあり、好ましくない。
前記〔条件2〕において、瞬間歪み(α)が150%未満の場合には、瞬間に発現する弾性回復率が高く、ソフトな着用感(フィット感)が得られない恐れがあり、好ましくない。一方、瞬間歪み(α)が200%を超える場合には、充分に伸縮性が得られず、身体(又は患部)などの対象物(接触物)に対して充分にフィットしなくなる恐れがあり、好ましくない。
また、前記〔条件2〕において、永久歪み(β)が10%を超える場合には、時間の経過と共にサポート感や締め付け感が喪失して発現しない恐れがあり、好ましくない。
本発明のポリウレタンエラストマーには、公知の添加剤を配合することができる。前記添加剤としては、例えば、整泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、脱泡剤、砥粒、充填剤、顔料、染料、着色剤、増粘剤、界面活性剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、粘着付与剤、硬化触媒、安定剤、シランカップリング剤、ワックス、無機質コロイドゾル(コロイダルシリカ、コロイダルアルミナなど)、無機微粒子、粘着防止剤、熱融着向上剤、防腐剤、防カビ剤、消泡剤、滑剤、軟化剤、離型剤、発泡剤、増量剤、増核剤、抗菌剤、消臭剤、ブロッキング防止剤等の公知のものが使用できる。その他必要に応じて、樹脂組成物の製造において通常使用されているような添加剤が何れも使用できる。
上記添加剤はほんの一例であって、本発明の目的を阻害しない限り、添加剤の種類、使用量、添加時期などの条件を限定するものではなく、適宜選択して行うことが望ましい。
<弾性繊維>
次に、本発明の弾性繊維について、以下に説明する。
本発明のポリウレタンエラストマーは、例えば、繊維、成形体(フィルム、シート、成型物など)、塗料など種々の形態で広範囲に利用できる。これら形態の中でも、特に、弾性繊維に紡糸した場合に、心地よい着用感(フィット感)、サポート感、ソフト感、弾性回復性、伸縮性などの優れた性能を得ることできる。
前記ポリウレタンエラストマーを用いた弾性繊維の紡糸方法としては、例えば、溶融紡糸、乾式紡糸、湿式紡糸などの公知の方法が挙げられ、特に限定はしないが、得られる繊維の均質性、生産コストなどの観点から、溶融紡糸が好ましい。
溶融紡糸で弾性繊維を得る方法としては、例えば(1)ポリウレタン弾性体チップを溶融紡糸する方法や、(2)ポリウレタン弾性体チップを溶融した後、ポリイソシアネート化合物を混合して紡糸する方法や、(3)ポリオールとジイソシアネートを反応させたプレポリマーと低分子ジオールとを反応させた紡糸用ポリマーを合成した後、固化させることなく紡糸する反応紡糸方法などが知られている。これらの方法のうち、前記方法(3)では、例えば特表平11−39030号公報に開示されているように、低分子ジオールをプレポリマーの一部と事前に反応させ、水酸基過剰のプレポリマーとして反応機に注入する方法も行うことができる。
また、前記弾性繊維の製造に用いる紡糸装置や紡糸条件などは、前記ポリウレタンエラストマーの性状(例えば、ポリマー組成、粘度、熱安定性など)や目的とする繊維の太さや形状などにより異なるため、それに応じて適宜設定すればよく、特に限定しない。
また、油剤を付与して巻き取られた弾性繊維は、通常、固相重合を行う。更に、巻き取られた弾性繊維は低湿条件にてハードセグメントのガラス転移温度付近で熱処理を行い、ハードセグメントとソフトセグメントの相分離を十分に進行させることが好ましい。
本発明の弾性繊維の繊度(繊維の太さ)は、弾性繊維製品の形状保持性能や製造コストなどから適宜選択することができるが、製造の容易さやコスト面から、好ましくは11〜800dtexの範囲であり、より好ましくは17〜622dtexの範囲であり、更に好ましくは17〜156dtexの範囲である。
尚、繊度の測定方法は、巻糸体から繊維を解除し、24時間放置して収縮させた後、張力なしの状態で繊維を繊度測定板に引いた直線に沿って置き、100cmの長さに50本切り取り、合計50本分の質量(mg)を測定して、下記の式により算出できる。
繊度(dtex)=測定質量(mg)/50×10
本発明の弾性繊維は、従来にない弾性回復挙動を示すことにより、心地よい着用感(フィット感)、サポート感、ソフト感、弾性回復性、伸縮性などの優れた性能を発現できるので、例えば、衣料品(インナーウェア、スポーツウェア、レッグウェア、ストッキング、靴下、水着、レオタード、リゾートウェア、ホームウェア、サポーター、芯地等)、医療用品(包帯、ガーゼ、パップ材基布、絆創膏、サージカルテープ、マスク等)、産業資材(電気絶縁材、ワイピングクロス、ガスケット、フィルター、ワイパー、保護カバー等)、育児・介護用品(紙おしめ、失禁パッド、サニタニー品、漏れ防止用締付け材料等)、事務用品(コピークリーナー等)、防水資材の締付け材料、疑似餌、造花などの広範囲の用途に利用できる。
以下、本発明を実施例により、更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。
また、本発明では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」である。
尚、本発明で用いた測定方法及び評価方法は、以下の通りである。
〔ポリエステルポリオールの酸価の測定方法〕
ポリエステルポリオールの酸価(単位:mgKOH/g)をJIS K1557−5に準じて測定した。
〔ポリエステルポリオールの水酸基価の測定方法〕
ポリエステルポリオールの水酸基価(単位:mgKOH/g)をJIS K1557−1に準じて測定した。
〔ポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)の算出方法〕
ポリエステルポリオール(官能基数2)のMnは、酸価と水酸基価より下記の計算式をもとに算出した。
数平均分子量=(56.11×1000×2)/(酸価+水酸基価)
〔ポリエステルポリオールのガラス転移温度(Tg)の測定方法〕
ポリエステルポリオールのTg(℃)は、示差走差熱量測定法(Differential Scanning Calorimetry法:DSC)により、下記の条件に従い測定し、比熱変化の中点とした。
測定機 :DSC Q−100(ティ・エー・インスツルメント株式会社)
温度範囲:−100〜100℃
昇温速度:10℃/分
雰囲気 :窒素中
〔ポリウレタンエラストマーのDMF溶液の粘度の測定方法〕
25℃雰囲気下、ブルックフィールド製B型粘度計LVTにて測定した。
〔フィルムの作製方法〕
ポリウレタンエラストマーのDMF溶液を離型フィルム(リンテック株式会社製)上に厚さ150μmになるように均一に塗布して、循風乾燥機中70℃で2分間加熱し、更に110℃で2分間乾燥させて、厚さ50μmのフィルムを作製した。
〔フィルムの粘弾性の評価方法及び判定基準〕
ポリウレタンエラストマーのDMF溶液を用いて作製したフィルムを用いて、下記の手順に従いJIS K 0129に準拠し動的粘弾性分析により、tanδピーク温度(「損失係数ピーク温度」ともいう。)(℃)を測定して、フィルムの粘弾性を評価した。
前記フィルムの貯蔵弾性率(E’)及び損失弾性率(E”)を、粘弾性スペクトロメータ(型式:DMS6100、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製)を使用して、温度範囲−100〜200℃、昇温速度5℃/分、周波数1Hzの条件下、引張モードで測定した。
E’/E”をtanδとした場合に、tanδが最大値となる温度を「tanδピーク温度(℃)」として、下記の基準に従い粘弾性を評価した。
フィルムの粘弾性の判断基準
○:tanδピーク温度が0〜40℃の場合。
×:tanδピーク温度が0℃未満、又は40℃を超える場合。
〔フィルムの瞬間歪み(α)と永久歪み(β)の評価方法及び判定基準〕
実施例及び比較例で得た厚さ50μmのフィルムを試験片(幅10mm×長さ80mm)に切り抜き、精密万能試験機(株式会社 島津製作所製、オートグラフAG−10KNX)を使用して、下記の測定条件にて、1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(α)、及び2回目の伸縮試験時の永久歪み(β)を測定して、下記の基準にて判定した。
前記試験片をチャック間隔40mm(LS1)になるようにつかみ、次いで、伸長速度50mm/分(LS1の125%/分)で元のチャック間隔を基準とした300%(最終長さ160mm)まで伸長させる。300%到達後、直ちに伸長状態を保持することなく収縮速度50mm/分(Lの−125%/分)で元のチャック間隔40mm(LS1)まで復元させる。
その際、応力が0になった時点の試料片の長さ(L)を測定して、下記式〔1〕より1回目の伸縮試験時の「瞬間歪み(α)」(%)を計算する。
次いで、1回目測定終了後の試料片を用いて、1回目と同じ操作を繰返した後、試料片をチャックより開放し、室温(1〜30℃)にて24時間放置後、試料片の長さ(L)を測定して、下記式〔2〕より2回目の伸縮試験時の「永久歪み(β)」(%)を計算する。
1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(%)=(L−LS1)/LS1×100・・式〔1〕
2回目の伸縮試験時の永久歪み(%)=(L−LS1)/LS1×100・・式〔2〕
測定条件
把握長 :40mm
伸長率 :300%
引張速度 :50mm/分
戻り速度 :50mm/分
インターバル:0分
瞬間歪み測定:1回目測定の戻り直後、応力が0MPaになる時点。
永久歪み測定:2回目測定終了後、室温にて24時間放置後。
フィルムの1回目の伸縮試験時の瞬間歪み及び2回目の伸縮試験時の永久歪みの判定基準
○:瞬間歪み(1回目伸縮試験時)が150〜200%の範囲、且つ、永久歪み(2回目伸縮試験時)が10%以下である場合。
×:瞬間歪み(1回目伸縮試験時)と永久歪み(2回目伸縮試験時)の少なくとも一方が前記条件を満足していない場合。
〔フィルムの強度と伸度の評価方法〕
実施例及び比較例で得た厚さ50μmのフィルムを試験片(幅5mm×長さ80mm)に切り抜き、精密万能試験機(株式会社 島津製作所製、オートグラフAG−10KNX)を使用して、引張強度(MPa)、300%モジュラス(引張応力)(MPa)、破断強度(%)を測定した。
前記試験片をチャック間隔40mmになるように固定して、伸長速度50mm/分で伸長させ、元のチャック間隔を基準として300%まで伸長させた時点の強度と、破断時の強度(破断強度)及びその時の伸度を求めた。
〔合成例1〕
反応容器に、1,6−ヘキサンジオール(以下「1,6HD」と略す。)507部、無水フタル酸(以下「PAA」と略す。)561部、及びテトラブチルチタネート(以下「TBT」と略す。)0.03部を仕込み、撹拌しながら、窒素気流下、内温220℃で24時間反応させた。
反応終了後に得られた芳香族ポリエステルポリオール(A1)は、数平均分子量(以下「Mn」と記載。)が2000、ガラス転移温度(以下「Tg」と記載。)が−10℃、酸価が0.12mgKOH/g(以下単位省略。)、水酸基価が56.5mgKOH/g(以下単位省略。)であった。
合成例1の合成結果を第1表にまとめた。
〔合成例2〜6〕
使用するポリオールの種類と仕込量を第1表に示したように変更した以外は、合成例1と同様の操作にて、芳香族ポリエステルポリオール(A2)〜(A4)、及び脂肪族ポリエステルポリオール(A5)と(A6)を合成した。
合成例2〜6の合成結果を第1表にまとめた。
〔実施例1〕
反応容器に、合成例1で得た芳香族ポリエステルポリオール(A1)を213部、及び鎖伸長剤である炭素数2〜6の範囲の脂肪族ジオール(B)として1,4−ブタンジオール(以下「1,4BG」と略す。)19部を仕込み、撹拌混合し、ジメチルホルムアミド(以下「DMF」と略す。)300部を加えて均一に溶解させた。
次いで、ジイソシアネート(C)として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「4,4’MDI」と略す。)を75部加えて、内温80℃で8時間反応した後、DMFを400部徐々に加えて、本発明のポリウレタンエラストマー(E1)のDMF溶液(U1)(固形分濃度30%、粘度400ポイズ/測定温度25℃)を得た。
前記DMF溶液(U1)を剥離フィルム(キングリース株式会社製)上に厚さ150μmになるように均一に塗布して、循風乾燥機中70℃で2分間加熱し、更に110℃で2分間乾燥させて、厚さ50μmのフィルム(F1)を作製した。
前記フィルム(F1)は、tanδピーク温度が26.5℃であり、且つ、瞬間歪み(α)が194%で、24時間後の永久歪み(β)は5.5%であり、時間の経過とともに適度な締め付けを発現できるという優れた性能を有していることが判った。
実施例1の評価結果を第2表にまとめた。
〔実施例2〜5〕
実施例2〜5では、使用するポリオールの種類を第1表に示すように、それぞれ芳香族ポリエステルポリオール(A2)〜(A5)に変更した以外は実施例1と同様の操作で行い、本発明のポリウレタンエラストマー(E2)〜(E5)のDMF溶液(U2)〜(U5)(いずれも固形分濃度30%)を調整した。
前記DMF溶液(U2)〜(U5)を用いて、実施例1と同様の操作にて厚さ50μmのフィルム(F2)〜(F5)を作製して、tanδピーク温度、瞬間歪み(α)、24時間後の永久歪み(β)を測定して第2表にまとめた。
前記(F2)〜(F5)は、いずれもtanδピーク温度が0〜40℃の範囲内にあり、且つ、瞬間歪みが150〜200%の範囲内であり、24時間後の永久歪みは10.0%以下であることから、時間の経過とともに適度な締め付けを発現できるという優れた性能を有していることが判った。
実施例2〜5の評価結果を第2表にまとめた。
〔比較例1及び比較例2〕
比較例1及び比較例2では、使用するポリオールの種類を第1表に示すように、いずれも脂肪族ポリエステルポリオール(A6)と(A7)に変更した以外は実施例1と同様の操作で、ポリウレタンエラストマー(E6)と(E7)のDMF溶液(U6)と(U7)(いずれも固形分濃度30%)を調整した。
比較例1のポリウレタンエラストマー(E6)のDMF溶液を用いて作製した厚さ50μmのフィルム(F6)は、tanδピーク温度が−25.2℃で大変低く、且つ、瞬間歪みが41%と小さく、また、24時間後の永久歪みは13.3%と大きくなり、伸長後、直ちに収縮してしまい、その後の歪みも大きいため、適度な締め付けを得ることが困難であった。
比較例2のポリウレタンエラストマー(E7)のDMF溶液を用いて作製した厚さ50μmのフィルム(F7)は、tanδピーク温度が−5.8℃で低く、且つ、瞬間歪みが30%と小さく、伸長後、直ちに収縮してしまう点で劣っていた。
比例例1と比較例2の評価結果を第2表にまとめた。
尚、第1表及び第2表中の略号は、下記名称を意味する。
4,4’MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
EG:エチレングリコール
DEG:ジエチレングリコール
PG:プロピレングリコール(別名:1,2−プロパンジオール)
1,4BG:1,4−ブタンジオール
NPG:ネオペンチルグリコール
1,6HD:1,6−ヘキサンジオール
PAA:無水フタル酸
IPA:イソフタル酸
AA:アジピン酸
TBT:テトラブチルチタネート
DMF:ジメチルホルムアミド
Figure 0006237113
Figure 0006237113
本発明のポリウレタンエラストマーは、着用直後は伸長後の戻りが適度に遅く、緩やかに弾性回復するが、最終的な歪みは小さいという、従来にない弾性回復挙動を示すことにより、優れたサポート感を発現できるので、例えば、インナーウェア、スポーツウェア、レッグウェア、ストッキング、水着、サポーター、医療用品(例えば包帯、ガーゼ、パップ材基布、絆創膏、サージカルテープ)などの衣料、産業資材、医療、あるいは紙おしめなどサニタニー品の漏れ防止用締付け材料、防水資材の締付け材料、疑似餌、造花、電気絶縁材、ワイピングクロス、コピークリーナー、ガスケットなどの広範囲な用途に利用できる。
図1は、引っ張り試験機 オートグラフAG−10KNX(株式会社 島津製作所製)により測定した1回目の伸縮試験時のヒステリシス曲線による瞬間歪み(α)の求め方の一例を示した説明図である。1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(α)とは、図1において伸度(%)として表される値である。
α;1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(%)

Claims (4)

  1. 芳香族骨格を有するポリエステルポリオール(A)、炭素数が2〜6の範囲の脂肪族骨格を有するジオール(B)、及びジイソシアネート(C)を反応させて得られるポリウレタンエラストマーであり、前記芳香族骨格を有するポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が、−30〜30℃の範囲であり、下記〔条件1〕と〔条件2〕を共に満たすことを特徴とするポリウレタンエラストマー。
    〔条件1〕前記ポリウレタンエラストマーにより作製した厚さ50μmのフィルムを用いて、粘弾性スペクトロメータにより、温度範囲−100〜200℃、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで測定したときのtanδピーク温度が0〜40℃の範囲であること。
    〔条件2〕前記ポリウレタンエラストマーにより作製した初期長さ(LS1)のフィルムを用いて、精密万能試験機により、速度125%/分で300%まで伸長させた後、直ちに速度−125%/分で初期長さ(LS1)まで復元させて、応力が0になった時点の長さを(L)としたときに下記式〔1〕より算出した1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(α)が150〜200%の範囲であり、且つ、前記操作を再度繰り返して、初期長さ(LS1)まで復元させた後、開放して、24時間後の長さを(L)としたときに、下記式〔2〕より算出した2回目の伸縮試験時の永久歪み(β)が10%以下であること。
    1回目の伸縮試験時の瞬間歪み(%)=(L−LS1)/LS1×100・・式〔1〕
    2回目の伸縮試験時の永久歪み(%)=(L−LS1)/LS1×100・・式〔2〕
  2. 前記芳香族骨格を有するポリエステルポリオール(A)のガラス転移温度が、−20〜20℃の範囲である請求項1記載のポリウレタンエラストマー。
  3. 前記芳香族骨格を有するポリエステルポリオール(A)が、o−フタル酸、m−フタル酸、p−フタル酸、及びそれらの反応性誘導体から選ばれる少なくとも一つを原料に用いて合成されたポリオールである請求項1記載のポリエステルエラストマー。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載のポリウレタンエラストマーを紡糸して得られることを特徴とする弾性繊維。
JP2013220241A 2013-10-23 2013-10-23 ポリウレタンエラストマー、及び弾性繊維 Active JP6237113B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013220241A JP6237113B2 (ja) 2013-10-23 2013-10-23 ポリウレタンエラストマー、及び弾性繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013220241A JP6237113B2 (ja) 2013-10-23 2013-10-23 ポリウレタンエラストマー、及び弾性繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015081305A JP2015081305A (ja) 2015-04-27
JP6237113B2 true JP6237113B2 (ja) 2017-11-29

Family

ID=53012102

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013220241A Active JP6237113B2 (ja) 2013-10-23 2013-10-23 ポリウレタンエラストマー、及び弾性繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6237113B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106674471B (zh) * 2015-11-11 2019-09-03 万华化学集团股份有限公司 一种热塑性聚氨酯弹性体及其制备方法、用途和制品
CN116288811A (zh) * 2023-03-20 2023-06-23 西安理工大学 一种改性热塑性聚氨酯弹性体复丝的制备方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3142090B2 (ja) * 1992-10-13 2001-03-07 株式会社クラレ ポリウレタン弾性繊維

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015081305A (ja) 2015-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101789987B1 (ko) 폴리에스테르폴리올, 그것을 사용한 폴리우레탄 및 그 제조 방법, 그리고 폴리우레탄 성형체
KR101163271B1 (ko) 폴리우레탄우레아 탄성 섬유
JP6616600B2 (ja) 熱応答性液晶エラストマーを含む単繊維、フィラメント糸、繊維製品
TWI806107B (zh) 聚醚多元醇、聚酯彈性體及聚胺基甲酸酯
JP5467466B2 (ja) ポリウレタン弾性糸およびその製造方法
JP6152056B2 (ja) エラストマー樹脂、その繊維および布、ならびにそれらの使用
JP2006176772A (ja) 低いヒートセット温度を有するスパンデックスおよびその製造のための物質
TW201211333A (en) Bicomponent spandex with reduced friction
JP4984146B2 (ja) ポリウレタン弾性糸およびその製造方法
JP6237113B2 (ja) ポリウレタンエラストマー、及び弾性繊維
JP5625372B2 (ja) ポリオール混合物、及び該混合物を原料とするポリウレタン
JP4343351B2 (ja) ポリウレタン繊維
JP2013513689A (ja) 改良エラストマー組成物
JP2008184722A (ja) ポリウレタンウレア弾性繊維織物
CN114958275A (zh) 一种织物贴合用pu胶粘剂及其制备方法
JP2002088571A (ja) ポリウレタン繊維の製造方法
JP4834858B2 (ja) ポリウレタン糸およびその製造方法
JP4362803B2 (ja) ポリウレタン弾性繊維およびその製造方法
JP4406761B2 (ja) ポリウレタン糸およびその製造方法
JP2004008324A (ja) サニタリー用品
JP5203107B2 (ja) ポリウレタンウレア弾性繊維
JP4968648B2 (ja) ポリウレタン弾性糸およびその製造方法
JP2006144192A (ja) ソフトストレッチ性ポリウレタン弾性糸およびその製造方法
JP6660474B2 (ja) 液晶性繊維材料、及び繊維製品
JP4224820B2 (ja) ポリウレタン糸およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170725

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170922

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171003

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171016

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6237113

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250