JP6175851B2 - ポリオール混合物及びポリウレタンの製造方法 - Google Patents

ポリオール混合物及びポリウレタンの製造方法 Download PDF

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本発明は、ポリオール混合物及びポリウレタンの製造方法に関する。
ポリウレタン及びポリウレタンウレアは様々な分野で応用されており、その中でも、弾性繊維等の用途に用いられることが多い。特に、ポリエーテルウレタンウレア構造を持つ繊維は、鎖延長剤としてポリアミン化合物を使用しているために凝集力が高く、弾性特性、伸長回復性に優れた性質を有している。
しかし、これらポリウレタン及びポリウレタンウレア等のポリウレタン系弾性繊維は繊維同士の粘着性が高いために紡出時の解舒性が悪い。又、摩擦抵抗が大きいために糸が接触する紡糸機、整経機、編み機及びガイド等の加工工程にある機器で糸切れを起こす等の問題が発生し易い。
そこで、加工工程の機器と糸との摩擦抵抗を低下させて、このような問題を解決する手段として、固体の金属石鹸、油溶性高分子、高級脂肪酸及びアミノ変性シリコーン等を油剤としてポリウレタン系弾性繊維に添加する方法、平滑剤としてタルク、シリカ、コロイダルアルミナ及び酸化チタン等をポリウレタン系弾性繊維に分散させる方法、並びにシリコンジオールまたはシリコンジアミンをポリウレタン主鎖の一部に導入する方法等が検討されてきた(特許文献1)。
しかし、これらの方法でも、十分な粘着防止効果が得られなかったり、平滑剤が紡糸機、整経機、編み機やガイド等に重大な磨耗を生じさせたりするといった問題があった。
又、整経や編みたて工程において油剤成分によって抽出された糸中のオリゴマー、または油剤中の固体若しくは高粘度成分が固体またはペースト状になって分離したものが、繊維、紡糸機、整経機、編み機及びガイド等に多量に付着するため、製品汚損並びに機械及び器具の目詰まりを生じるといった問題があり、課題の解決に至っていない。
このため、前記油剤及び平滑剤を使わずとも、粘着性を低下させ、紡出時の解舒性が高いポリウレタン、即ち、剥離性が高いポリウレタンを製造する方法が求められてきた。
例えば、ポリウレタンの原料にポリシロキサンポリオールを用いてポリウレタンの特性を改良させた例がこれまでに数多く報告されている。例えば、変性ポリシロキサンジオールを使用した、高反発弾性率を有する熱可塑性ポリウレタン(特許文献2)、エーテル変性シリコーンを使用した、ソフトで良好な着用感を有するポリウレタン弾性繊維(特許文献3)、カルボン酸変性シリコーンをポリエーテルポリオールで変性したポリエーテル変性シリコーンを使用した、透明性および平滑性に優れたポリウレタン(特許文献4)等が挙げられる。
しかしながら、特許文献2に記載の熱可塑性ポリウレタンは、他のポリオールに対する変性ポリシロキサンジオールの使用量が多いため、ポリウレタン成形体の柔軟性および透明性が不足するという問題があった。
また、特許文献3に記載の方法には、ポリウレタンを製造した後に、得られたポリウレタン繊維にエーテル変性シリコーンを添加するため、エーテル変性シリコーンが繊維表面から脱落し易いという問題があった。更に、ポリウレタンを製造する際に前記エーテル変
性シリコーンを反応させようとしても、他のポリオールとの相溶性が不十分であり、均質なポリウレタンが生成しにくいといった問題もあった。
特許文献4に記載の方法には、ポリエーテル変性シリコーンをポリウレタンの原料として用いることで相溶性および平滑性に優れたポリウレタンを製造できることが記載されている。
特開平10−259577号公報 特開2004−250683号公報 特開2004−332126号公報 特開2011−174037号公報
本願発明者らが検討したところ、特許文献4に記載のポリエーテル変性シリコーン内に含まれる不飽和カルボン酸がウレタン化の際に着色原因となることや、不飽和カルボン酸とポリエーテルとの反応により生成する不飽和モノオールが末端封止剤となりウレタン化反応を阻害し、ポリウレタンの製造効率が悪くなるといった問題が明らかとなった。上記不飽和カルボン酸は、ポリエーテル変性シリコーン原料のカルボン酸変性シリコーンの製造工程において、副生物として生成する。
本発明は、上記現状に鑑み、剥離性が高く均質性に優れ、着色が少なく、弾性繊維やフィルム及び衣料等の用途に極めて有用なポリウレタンを効率良く製造する製造方法、及び、均質性に優れ、透明性の高いポリオール混合物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリシロキサンポリオール(i)と、ポリエーテルポリオール(ii)とをイソシアネート化合物(iii)と反応させポリシロキサンポリオール(a)を得た後、該ポリシロキサンポリオール(a)と(a)以外のポリオール(b)と、イソシアネート化合物(c)を含む原料を反応させることで、剥離性が高く均質性に優れ、着色が少なく、弾性繊維、フィルム及び衣料等の用途に極めて有用なポリウレタンを効率良く製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下である。
[1] ポリシロキサンポリオール(i)と、ポリエーテルポリオール(ii)とがイソシアネート化合物(iii)で連結したポリシロキサンポリオール(a)、および(a)以外のポリオール(b)が含まれるポリオール混合物であって、
該ポリシロキサンポリオール(a)および(a)以外のポリオール(b)の合計重量に対するポリシロキサン部位の重量割合が0.1〜5.0重量%であって、かつ、該ポリシロキサンポリオール(a)および(a)以外のポリオール(b)の合計重量に対して、ポリシロキサンポリオール(a)の重量割合が、3〜50重量%である、ポリオール混合物。
[2] 前記ポリシロキサンポリオール(i)が、ポリシロキサン骨格の両末端に
−R−O−(R−O)−H
の構造を持つポリオキシアルキレンアルキルエーテル基が連結したものである請求項1に記載のポリオール混合物。(Rは炭素数1〜15のアルキレン基、Rは炭素数2〜6のアルキレン基、mは1〜50の整数)
[3] 前記ポリシロキサンポリオール(i)が以下の式(1)の構造で表される化合物
である請求項2に記載のポリオール混合物。
Figure 0006175851
(nは1以上の整数を示す。)
[4] 前記ポリエーテルポリオール(ii)がポリアルキレンエーテルグリコールであ
る請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオール混合物。
[5] イソシアネート化合物(iii)が芳香族イソシアネート化合物である請求項
1〜いずれか1項に記載のポリオール混合物。
[6] (a)以外のポリオール(b)が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリ
オール、ポリカーボネートポリオールから選ばれる1種である請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオール混合物。
[7] ポリシロキサンポリオール(i)と、ポリエーテルポリオール(ii)とがイソ
シアネート化合物(iii)で連結したポリシロキサンポリオール(a)、および(a)以外のポリオール(b)が含まれるポリオール混合物であって、 該ポリシロキサンポリオール(a)および(a)以外のポリオール(b)の合計重量に対するポリシロキサン部位の重量割合が0.1〜5.0重量%であって、かつ、該ポリシロキサンポリオール(a)および(a)以外のポリオール(b)の合計重量に対して、ポリシロキサンポリオール(a)の重量割合が、3〜50重量%である、ポリオール混合物、
及びイソシアネート化合物(c)を反応させるポリウレタンの製造方法。
[8] 前記ポリシロキサンポリオール(a)が、前記ポリシロキサンポリオール(i)
にイソシアネート化合物(iii)を反応させた後にポリエーテルポリオール(ii)を反応させることにより製造される請求項に記載のポリウレタンの製造方法。
[9] 前記ポリオール合物と前記イソシアネート化合物(c)とを反応させ、両末端
にイソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程を含む請求項7又は8に記載のポリウレタンの製造方法。
[10] イソシアネート化合物(c)が芳香族イソシアネート化合物である請求項
〜9のいずれか1項に記載のポリウレタンの製造方法。
本発明によれば、剥離性が高く均質性に優れ、着色が少なく、弾性繊維やフィルム及び衣料等の用途に極めて有用なポリウレタンを効率良く製造する方法、及び、均質性に優れ、透明度が高いポリオール混合物を提供することができる。
以下に、本発明を実施するための代表的な態様を具体的に記載するが、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下に記載の態様に限定されない。
本発明におけるポリウレタンは、ポリシロキサンポリオール(i)、ポリエーテルポリオール(ii)及びイソシアネート化合物(iii)を反応させてポリシロキサンポリオール(a)を製造した後、該ポリシロキサンポリオール(a)、(a)以外のポリオール(b)、イソシアネート化合物(c)を反応させることで得られるものである。
尚、本発明において、ポリウレタンとは、特に限定がない限り、類似の物性を有することが従来から知られているポリウレタンとポリウレタンウレアの両者を言う。
ここで、ポリウレタンとポリウレタンウレアの構造的特徴の違いとしては、ポリウレタンは、主としてウレタン結合によって連鎖構造を形成するポリマーであり、ポリウレタンウレアは、主としてウレタン結合及びウレア結合によって連鎖構造を形成するポリマーである。原料面からの違いとしては、ポリウレタンは、鎖延長剤としてポリオール化合物を使用し製造されるものであり、ポリウレタンウレアは、鎖延長剤としてポリアミン化合物を使用し製造されるものである。
<ポリシロキサンポリオール(a)>
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(a)は、ポリシロキサンポリオール(i)、ポリエーテルポリオール(ii)及びイソシアネート化合物(iii)で反応させて得られる。
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(a)中の、ポリシロキサン部位の割合は特に限定されるものではないが、下限は、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、一方、上限は、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、更に好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
ポリシロキサンポリオール(a)中の、ポリシロキサン部位の割合が大きくなるほど、得られるポリウレタンの剥離性が向上する傾向があり、小さくなるほどポリオール(b)との相溶性の向上によって得られるポリウレタンの透明性や均質性が高くなる傾向となる。なお、ポリシロキサンポリオール(a)中の、ポリシロキサン部位の割合は、例えば、NMRを用いて測定することにより、算出することができる。
ポリシロキサンポリオール(a)の数平均分子量は特に限定されるものではないが、下限は、通常500以上、好ましくは1000以上、より好ましくは1800以上であり、一方上限は、通常6000以下、好ましくは5000以下、より好ましくは4500以下である。
数平均分子量を前記上限以下とすることにより、ポリウレタン製造時に使用するポリオール(b)や溶媒との相溶性が良くなり、均質なポリウレタンを製造し易い。また、ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)の混合物(以下、ポリオール混合物ということがある)、プレポリマーまたはプレポリマー溶液を形成した際に、それらの粘度が高くなりすぎることを抑え、操作性及び生産性が向上する傾向がある。前記下限以上とすることにより、得られるポリウレタン重合体の剥離性を十分発現させることができる。
ポリシロキサンポリオール(a)は目的とするポリウレタン樹脂の物性に応じて、ポリシロキサンポリオール(i)及びポリエーテルポリオール(ii)の重合度を調節することによって、生成するポリシロキサンポリオール(a)の分子量やポリシロキサン部位の重量割合を変化させることが容易に可能である。
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(a)の状態は特に限定されるものではない。ポリシロキサンポリオール(a)は通常、常温で液状又はワックス状であるが、用途や形態に応じて添加物等を加えることで任意の状態を選択することができる。
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(a)は、通常、分子内に2個以上のウレタン結合と2個以上のヒドロキシル基を有するものである。また、分子内に複数のエーテル結合を有することが好ましい。
該ポリシロキサンポリオール(a)は、通常、ポリシロキサンポリオール(i)1分子が有する2個以上のヒドロキシル基が、少なくとも2分子のポリエーテルポリオール(ii)のヒドロキシル基とイソシアネート化合物(iii)との反応からなるウレタン結合を介して連結し、合計として1分子中に2個以上のウレタン結合を有すると共に、結合した少なくとも2分子の各ポリエーテルポリオール(ii)の有する2個以上のヒドロキシル基のうちウレタン結合を形成していない残余の1個以上のヒドロキシル基を合計として1分子中に2個以上有するものである。
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(a)の分子構造はポリシロキサンポリオール(i)、ポリエーテルポリオール(ii)及び、イソシアネート化合物(iii)に由来する構造が含まれていれば特に限定はされない。
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(a)は、ポリシロキサンポリオール(i)に由来する構造(〔X〕とする)とポリエーテルポリオール(ii)に由来する構造(〔Y〕とする)とをイソシアネート化合物(iii)と反応させることで得られることから、YXY型、XYX型、XXX型及びYYY型並びにXX型、YY型、XY型の分子構造を取ることができる。中でもYXY型のポリシロキサンポリオール(a)が、ポリオール(b)との相溶性の観点から好ましく用いられる。
YXY型の構造を持つポリシロキサンポリオール(a)を優先的に製造するためには、ポリシロキサンポリオール(i)にイソシアネート化合物(iii)を反応させて水酸基をウレタン化した後にポリエーテルポリオール(ii)を反応させる方法が好ましく用いられる。
このとき、ポリシロキサンポリオール(i)との反応に使用するイソシアネート化合物(iii)のモル比率は、ポリシロキサンポリオール(i)に対して2.0〜10.0モル当量が好ましく、2.05〜8.0モル当量がより好ましく、2.1〜5.0モル当量が更に好ましい。
イソシアネート化合物(iii)が少なすぎると好ましい分子構造であるYXY型の製造比率が低下する場合があり、多すぎると、好ましくない副反応が起こりやすくなるとともに、続くポリエーテルポリオール(ii)との反応時にYXY型のポリシロキサンポリオール(a)が十分に得られない場合がある。
また、ポリエーテルポリオール(ii)のモル比率は、ポリシロキサンポリオール(i)に対して2.0〜10.0モル当量が好ましく、2.05〜8.0モル当量がより好ましく、2.1〜5.0モル当量が更に好ましい。
<ポリシロキサンポリオール(i)>
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(i)とは、2個以上のシロキサン部位及び2個以上のヒドロキシル基を有する化合物を示す。
具体的には、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン等のポリアルキルシロキサン;ポリメチルフェニルシロキサン、及びポリジフェニルシロキサン等のポリアリールシロキサンが挙げられる。これらの中で、得られるウレタンの柔軟性の点からポリジメチルシロキサンが好ましく用いられる。
前記ポリシロキサンポリオール(i)は、ポリシロキサン骨格の珪素原子に−R−O−(R−O)−Hのポリオキシアルキレンアルキルエーテルが複数連結したものが好ましい。Rは炭素数1〜15のアルキレン基、Rは炭素数2〜6のアルキレン基、mは1〜50の整数である。中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル基がポリシロキサン骨格の両末端に連結したポリシロキサンポリオールがより好ましく用いられる。
また、本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(i)は、市販されているものを使用してもよい。例えば、信越化学工業株式会社製のカルビノール変性シリコーン(製品名X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003等)、ジオール変性シリコーン(X−22−176DX、X−22−176F等)、ポリエーテル変性シリコーン(X−22−4952、X−22−4272、X−22−6266)や、東レダウコーニング株式会社製のカルビノール変性シリコーン(製品名SF8427、BY16−201等)等が挙げられる。
本発明におけるポリシロキサンポリオール(i)は以下の式(1)の構造で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 0006175851
(nは1以上の整数を示す。)
ポリシロキサン骨格の両末端がアルキレングリコールのポリシロキサンポリオール(i)の製造方法は公知の方法であれば特に限定されないが、以下の様な方法が挙げられる。例えば、ポリジメチルシロキサンを原料として、エチレングリコールやポリオキシアルキレングリコール等のモノアリルエーテルを反応させてヒドロシリル化することで製造することができる。この場合、完全にヒドロシリル化反応を進行させるためには過剰のモノアリルエーテルを使用する必要があるが、剰余分のアリルエーテルはストリッピング等により容易に除去することが可能である。
上記方法は、不飽和カルボン酸を初めとしたウレタン化反応を阻害する可能性のある原料が不要であるという点、さらに未反応原料がほぼ残存することがないという点から、好ましく用いられる。
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(i)は、2個以上のヒドロキシル基を有している必要があるが、その個数として、好ましくは3個以下、より好ましくは2個である。ヒドロキシル基数が上記範囲の場合、ポリウレタンの高粘度化を防ぎ、目的とする分子量のポリウレタンが得やすい。
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(i)のヒドロキシル基の位置は特に限定されない。例えば、ヒドロキシル基を分子側鎖に有するもの、分子の両末端に有するもの、分子の片末端と側鎖に有するもの、及び分子の片末端のみに2個以上有するもの等が挙げられるが、その中でも、十分な分子量を持つポリウレタンを得やすいことからヒドロキシル基をポリシロキサンの両末端に有するポリシロキサンポリオールが特に好ましい。
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(i)は、ポリシロキサン骨格外にエーテル結合を有しているものが好ましく、ポリシロキサン骨格外に複数のエーテル結合を有するものがより好ましい。分子中のエーテル結合の位置は特に限定されないが、直鎖状ポリシロキサンポリオールの両末端にエーテル結合を有することが好ましい。ポリシロキサンポリオール(a)の相溶性を向上させるためにはエーテル結合数は多い方が好ましい傾向にあるが、相溶性についてはポリシロキサンポリオール(i)に連結させるポリエーテルポリオール(ii)の分子量で調整可能である。最適なエーテル結合数に定めはないが、1〜50が好ましい。
本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(i)の数平均分子量は特に限定されるものではないが、下限は、通常300以上、好ましくは500以上が、より好ましくは700以上であり、一方上限は、通常4000以下、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下である。
ポリシロキサンポリオール(i)の数平均分子量を前記上限以下とすることにより、ポリエーテルポリオール(ii)やイソシアネート化合物(iii)と反応させてポリシロキサンポリオール(a)を製造する際に、ポリエーテルポリオール(ii)やイソシアネート化合物(iii)との相溶性が良くなりウレタン化反応が進行しやすくなるだけでなく、ポリウレタン製造時に使用するポリオール(b)や鎖延長剤、溶媒との相溶性の悪化を防ぎ、均質なポリウレタンを製造し易くなる。また、分子量が大きくなりすぎるのを防ぎ、ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)の混合物(以下、ポリオール混合物ということがある)やプレポリマー、プレポリマー溶液を形成した際のそれらの粘度を抑え、操作性及び生産性を向上することができる。
一方、ポリシロキサンポリオール(i)の数平均分子量を前記下限以上とすることにより、ポリシロキサンポリオール(a)中のポリシロキサン部位含有量を増加させて、得られるポリウレタン重合体の剥離性を十分発現させることができる。
尚、本発明において用いられるポリシロキサンポリオール(i)の状態は特に限定されるものではない。ポリシロキサンポリオール(i)は通常、常温で液状又はワックス状であるが、用途や形態に応じて添加物等を加えることで任意の状態を選択することができる。通常は、ハンドリング性がよいことから、液状で用いられる。
<ポリエーテルポリオール(ii)>
本発明において用いられるポリエーテルポリオール(ii)は、通常、分子内の主骨格中に2つ以上のエーテル結合を有するヒドロキシ化合物である。ここで、ポリエーテルポリオール(ii)には、前記のポリシロキサンポリオール(i)に相当する化学構造は含まないものとする。主骨格中の繰り返し単位は、飽和炭化水素又は不飽和炭化水素のいずれでもよく、又、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。
ポリエーテルポリオール(ii)における主骨格中の繰り返し単位としては、例えば、1,2−エチレングリコール単位、1,2−プロピレングリコール単位、1,3−プロパンジオール(トリメチレングリコール)単位、2−メチル−1,3−プロパンジオール単位、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール単位、1,4−ブタンジオール(テトラメチレングリコール)単位、2−メチル−1,4−ブタンジオール単位、3−メチル−1,4−ブタンジオール単位、3−メチル−1,5−ペンタンジオール単位、ネオペンチルグリコール単位、1,6−ヘキサンジオール単位、1,7−ヘプタンジオール単位、1,8−オクタンジオール単位、1,9−ノナンジオール単位、1,10−デカンジオール単位及び1,4−シクロヘキサンジメタノール単位等が挙げられる。中でも主鎖の長さが炭素数2〜12の繰り返し単位を有するポリアルキレンエーテルグリコールがポリウレタンの弾性率や入手のしやすさの観点から好ましく用いられる。
ポリエーテルポリオール(ii)としては、前記繰り返し単位を主骨格中に有するポリエーテルポリオールのうち、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、1〜20モル%の3−メチルテトラヒドロフランとテトラヒドロフランの反応により得られる共重合ポリエーテルポリオール(例えば、保土ヶ谷化学社製、製品名「PTG−L1000」、「PTG−L2000」及び「PTG−L3500」等)及びネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランの反応により得られる共重合ポリエーテルグリコールが好ましい。
これらのポリエーテルポリオール(ii)は、単独で用いても二種以上を混合して使用することもでき、求めるポリウレタンの物性に応じて種々選択すればよい。均質なポリウレタンを得るためには、ポリウレタン製造時に使用するポリオール(b)と同一のポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
本発明において用いられるポリエーテルポリオール(ii)の分子量は、数平均分子量で、200以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましい。また、3,000以下であることが好ましく、2,500以下であることがより好ましく、2,100以下であることが更に好ましい。
ポリエーテルポリオール(ii)の数平均分子量を前記上限以下とすることにより、生成するポリシロキサンポリオール(a)の粘度が高くなりすぎるのを防ぎ、ポリウレタン製造時の操作性及び生産性を向上することができる。また、ポリシロキサンポリオール(a)中のポリエーテル部位含有量が高くなり過ぎるのを防ぎ、ポリウレタンの剥離性を十分発現させることができる。
一方、ポリエーテルポリオール(ii)の数平均分子量を前記下限以上とすることにより、ポリシロキサンポリオール中のポリエーテル部位含有量が十分となり、ポリオール(b)との相溶性が良く、均質なポリウレタンを生成することができる。
<イソシアネート化合物(iii)>
本発明において用いられるイソシアネート化合物(iii)は、−N=C=Oの部分構造を有していれば、特に限定されるものではないが、例えば、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート及びトリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;並びに1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1−イソシアネート−3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びイソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられ、これら、イソシアネート化合物のNCO基の一部は、ウレタン、ウレア、ビュレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾリドン、アミド及びイミド等に変性したものであってもよく、更に多核体には前記以外の異性体を含有しているものでもよい。これらは単独でも2種以上を用いてもよい。
本発明においては、特に反応性の高い芳香族ジイソシアネートが好ましく、中でもトリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
また、ポリシロキサンポリオール(a)には、ポリシロキサンポリオール(i)、ポリエーテルポリオール(ii)及びイソシアネート化合物(iii)以外の化合物を含有していてもよい。
<ポリシロキサンポリオール(a)の製造方法>
本発明におけるポリシロキサンポリオール(a)は、ポリシロキサンポリオール(i)、ポリエーテルポリオール(ii)及びイソシアネート化合物(iii)を反応させて得ることができる。上記反応とは、−N=C=O基とヒドロキシル基によるウレタン化反応
である。
<ウレタン化触媒>
ウレタン化反応は、ウレタン化触媒の存在しない系で行うことも可能ではあるが、これらの反応を円滑に進行させるために、ウレタン化触媒を用いてもよい。ウレタン化触媒として利用できる触媒は、一般にウレタン化能があるとされている公知のものであれば制限されない。
なお、ポリシロキサンポリオール(i)とイソシアネート化合物(iii)とのウレタン化反応と、その後のポリイソシアネート化合物(iii)とのウレタン化反応とで触媒種を変更したり、触媒使用量を変更してもよい。
ウレタン化触媒としては、例えば、アミン系触媒、金属触媒、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸及びスルホン酸等が挙げられ、アミン系触媒および金属触媒が好ましい。
例えば、アミン系触媒としてトリエチルアミン、トリブチルアミンが好ましく用いられる。また、金属系触媒として、ジブチル錫ジラウレ−ト、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカネート、オクチル酸第一錫などの有機錫触媒;メタ錫酸、酸化第二錫等の無機錫;テトラブトキシチタンなどチタン系触媒等が挙げられる。金属系触媒の中でも有機錫触媒が好ましく、ジオクチル錫ジラウレートおよびジオクチル錫ジネオデカネートが、環境適応性及び触媒活性、保存安定性の観点から好ましく用いられる。
また、その際のウレタン化触媒の使用量は触媒の種類によっても異なるが、有機錫触媒の場合は、ポリシロキサンポリオール(a)の原料の和に対して通常10重量ppm以上、好ましくは30重量ppm以上であり、一方下限は、通常1000重量ppm以下、好ましくは500重量ppm以下である。
触媒の使用量を前記下限以上とすることにより、ポリシロキサンポリオール形成にかかる時間を短縮することができる。また、前記上限以下とすることにより、触媒が、ポリウレタン化反応に対する過剰な反応促進作用を示すのを防ぐことができる。
ウレタン化触媒は、ポリシロキサンポリオール(a)中にその触媒が残存することがあるが、あまり多くの触媒が残存するとイソシアネート化合物(c)とのウレタン化反応を想定以上に促進したりすることがあり好ましくない。ポリシロキサンポリオール(a)中に残存する触媒量は、通常100ppm以下であり、好ましくは50ppm以下、より好ましくは10ppm以下である。残存する化合物や金属量は公知の方法で測定することができる。
<ウレタン化反応>
本発明におけるポリシロキサンポリオール(a)は、ポリシロキサンポリオール(i)とポリエーテルポリオール(ii)とイソシアネート化合物(iii)とを、ウレタン化反応させることにより製造することが出来る。ウレタン化反応は上記(i)〜(iii)の原料を混合して同時に行ってもよいが、ポリシロキサンポリオール(i)に2当量以上のイソシアネート化合物(iii)を反応させウレタン化して末端にイソシアネート基を持つ化合物とし、更にこの化合物に2当量以上のポリエーテルポリオール(ii)をウレタン化反応させてポリシロキサンポリオール(a)を製造することが好ましい。
このとき、未反応のポリエーテルポリオール(ii)が残っている際は、ポリシロキサンポリオール(a)と未反応のポリエーテルポリオール(ii)との混合物の状態で、続
くウレタン化反応の原料として使用してもよい。
本発明におけるポリシロキサンポリオール(a)を製造する際のウレタン化反応の反応温度は、通常0℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましく、60℃以上が特に好ましい。また、通常150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましく、80℃以下が特に好ましい。
反応温度が上記範囲内であると、イソシアネート化合物の副反応を抑えながら、短い反応時間で効率よくポリウレタンを製造できるとともに、反応系の粘度を下げて均一反応を行うことが可能となる。
ウレタン化反応を行う際は窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。反応圧力は任意であるが、目的に応じて常圧又は微加圧もしくは微減圧下で実施することができる。
また、ウレタン化反応の反応時間は、ウレタン化触媒の使用量、反応温度、反応させる基質、生成するポリシロキサンポリオールの物性等により異なるが、通常1時間以上、好ましくは3時間以上であり、一方上限は、通常12時間以下、好ましくは10時間以下である。
<(a)以外のポリオール(b)>
本発明において用いられる(a)以外のポリオール(b)は、ポリシロキサンポリオール(a)と同一でない化学構造を持つポリオールである。ポリオール(b)はウレタン化反応に用いることのできるヒドロキシル基を複数有している必要がある。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ケイ素含有ポリオール、リン含有ポリオールが挙げられる。これら2種類以上の混合物および共重合物などが使用可能である。
ポリエーテルポリオールとは、前述した<ポリエーテルポリオール(ii)>に記載したものと同様の物質が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)またはそれらのエステル形成性誘導体とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール;ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール;キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香環を有するグリコール;炭素数1〜18の「アルキルジエタノールアミン等のアルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンプロピレンアジペート等;または前記グリコール類を開始剤として用いた1種または2種以上のラクトンを開環重
合して得られるポリラクトンジオール、例えばポリカプロラクトンジオール、ポリメチルバレロラクトンジオール等のうち、両末端が水酸基であるものが挙げられる。
ポリエーテルエステルポリオールとしてはエーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物を前記ジカルボン酸またはそれらのエステル形成性誘導体と反応させるか、またはポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等のうち、両末端が水酸基であるものが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、前記グリコールまたは各種高分子ジオール類とジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート等から、脱アルコールまたは脱グリコール反応によって得られるもの、例えばポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等のうち、両末端が水酸基であるものが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、水素添加型ポリブタジエンポリオール、水素添加型ポリイソプレンポリオール、ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。
ポリチオエーテルポリオールとしては特にチオグリコール単独又はそれと他のグリコール類との縮合生成物の使用が好適である。
中でもポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオールがより好ましく、ポリアルキレンエーテルグリコールが更に好ましい。
また、これらのポリオールは、単独で用いても二種以上を混合して使用することもでき、求めるポリウレタンの物性に応じて種々選択すればよい。
均質なポリウレタンを得るためには、ポリシロキサンポリオール(a)製造において用いたポリエーテルポリオール(ii)と同一のポリエーテルポリオールを、ポリオール(b)として使用することが好ましい。特に、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、1〜20モル%の3−メチルテトラヒドロフランとテトラヒドロフランの反応により得られる共重合ポリエーテルポリオール(例えば、保土ヶ谷化学社製「PTG−L1000」、「PTG−L2000」及び「PTG−L3500」等)及びネオペンチルグリコールとテトラヒドロフランの反応により得られる共重合ポリエーテルグリコール等が好ましい。
本発明において用いられるポリオール(b)の分子量は、数平均分子量で、500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましく、1,500以上であることが更に好ましい。また、5,000以下であることが好ましく、4,000以下であることがより好ましく、3,500以下であることが更に好ましい。
ポリオール(b)の数平均分子量を前記上限以下とすることにより、後述するポリウレタンの製造において、前述したポリシロキサンポリオール(a)とこのポリオール(b)の混合物、及びそれを用いて製造したプレポリマー、プレポリマー溶液を形成した際に、それらの過度な粘度の上昇を抑え、操作性及び生産性を向上するとともに、得られるポリウレタンの結晶配向性を抑え、弾性回復性などを向上することができる。
一方、ポリオール(b)の数平均分子量を前記下限以上とすることにより、得られるポリウレタンが硬くなるのを防ぎ、十分な柔軟性が得られるとともに、強度及び伸度等の弾
性性能が十分に得られる。
ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)の使用量は特に限定されるものではないが、ポリシロキサンポリオール(a)と、ポリオール(b)の合計重量に対して、ポリシロキサンポリオール(a)の使用量は、通常0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上であることがより好ましく、一方上限は、通常30重量%以下であることが好ましく、25重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることが更に好ましい。
ポリシロキサンポリオール(a)の使用量を前記下限以上とすることにより、得られるポリウレタンの剥離性が向上する傾向となる。使用量を前記上限以下とすることにより、得られるポリウレタンの弾性特性や伸張回復性が向上する傾向となる。
なお、ポリシロキサンポリオール(a)を製造する際に未反応物として残ったポリエーテルポリオール(ii)をポリウレタン製造時にポリオール(b)の一部として用いる場合には、未反応として残ったポリエーテルポリオール(ii)の量がポリオール(b)の使用量に含まれるものとする。
<イソシアネート化合物(c)>
本発明において用いられるイソシアネート化合物(c)は、−N=C=Oの部分構造を有していれば、特に限定されるものではない。例えば、前述した<イソシアネート化合物(iii)>に記載したイソシアネート化合物が挙げられる。
中でも、特に反応性の高い芳香族ジイソシアネートが好ましく、特にトリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。また、得られるポリウレタンの透明性を向上させるためには、ポリシロキサンポリオール(a)を製造する際に用いたイソシアネート化合物(iii)と同じイソシアネート化合物であることが更に好ましい。
これらのイソシアネート化合物(c)の使用量は、ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)の水酸基の合計、並びに、鎖延長剤を用いた場合は、その水酸基及び/又はアミノ基を合計した1モル当量に対し、通常0.1〜5モル当量、好ましくは0.8〜2モル当量、より好ましくは0.9〜1.5モル当量、更に好ましくは0.95〜1.1モル当量、特に好ましくは0.98〜0.99モル当量である。
イソシアネート化合物の使用量を上記範囲内とすることで、未反応のイソシアネート基が好ましくない反応を起こすのを防ぎ、所望の物性を得やすくなる傾向にある。また、ポリウレタン及びポリウレタンウレアの分子量を十分に大きくすることができ、本願発明の効果が発現し易くなる傾向にある。
<鎖延長剤>
本発明において、必要に応じて鎖延長剤を用いてもよい。鎖延長剤とは、主として、2個以上のヒドロキシル基を有する化合物(ただし、ポリシロキサンポリオール(a)およびポリオール(b)を除く)、2個以上のアミノ基を有する化合物に分類され、この中でも、ポリウレタン製造には炭素数2〜6のポリオール、具体的には2個以上のヒドロキシル基を有する化合物が好ましい。また、ポリウレタンウレア製造には、ポリアミン化合物が一般に用いられ、具体的には2個以上のアミノ基を有する化合物が好ましい。
本発明のポリウレタンは、鎖延長剤として、分子量(数平均分子量)が500以下の化合物を併用すると、ポリウレタンのゴム弾性が向上するために、物性上更に好ましい。尚
、これらの鎖延長剤は単独使用でも2種以上の併用でもよい。
前記2個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−ヘキシル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール及び1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール;ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール;並びにキシリレングリコール及びビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香環を有するグリコール等が挙げられる。これらの中でも、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールが好ましい。
又、2個以上のアミノ基を有する化合物としては、例えば、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン及び4,4′−ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン及び1,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン;並びに1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4′−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン及び1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン等の脂環族ジアミン等が挙げられる。これらの中でも、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン及び2−メチル−1,5−ペンタンジアミンが好ましい。
これらの鎖延長剤を使用する場合の使用量は、イソシアネート化合物(c)のモル当量から、ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)の合計の水酸基当量を引いた当量の絶対値を1モル当量とした場合、通常0.1〜5.0モル当量であることが好ましく、0.5〜2.0モル当量であることがより好ましい、0.7〜1.5モル当量であることが更に好ましく、0.8〜1.2モル当量であることが最も好ましい。
鎖延長剤の使用量を上記範囲内とすることにより、得られるポリウレタン及びポリウレタンウレア中に未反応の鎖延長剤が残存することを防ぎ、未反応鎖延長剤の副反応や加工後のブリードアウトなどを抑制することができる傾向にある。また、得られるポリウレタンが軟らかすぎることなく、十分な強度や弾性回復性能や弾性保持性能が得られ、良好な高温特性が得られる傾向にある。
<溶媒>
本発明においては、必要に応じて溶媒を用いてもよい。用いられる溶媒は、汎用性や溶解性等の観点から、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミド並びにそれらの2種以上の混合物等のアミド系溶媒;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン及びジメチルスルホキシドからなる群より選ばれる溶媒が好ましく用いられ、これらの中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好
ましい。
<その他の添加剤>
本発明のポリウレタンの製造方法において、必要に応じて、鎖停止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、反応型難燃剤、着色剤、加水分解抑制剤、フィラー、滑材、油剤、界面活性剤、無機増量剤等の添加剤を加えることができる。
例えば、水酸基を有するメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びヘキサノール等の脂肪族モノオール、並びにアミノ基を有するジエチルアミン、ジブチルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン等の脂肪族モノアミン等の鎖停止剤; 「CYANOX1790」(CYANAMID社製)、
「IRGANOX245」、「IRGANOX1010」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、「Sumilizer GA−80」(住友化学社製)及び2,6−ジブチル−4−メチルフェノール(BHT)等の酸化防止剤、「TINUVIN622LD」、「TINUVIN765」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、「SANOL LS−2626」及び「SANOL LS−765」(以上、三共社製)等の光安定剤、「TINUVIN328」及び「TINUVIN234」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)等の紫外線吸収剤、ジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体等のシリコン化合物、赤燐、有機燐化合物、燐及びハロゲン含有有機化合物、臭素または塩素含有有機化合物、ポリ燐酸アンンモニウム、水酸化アルミニウム、酸化アンチモン等の添加及び反応型難燃剤、二酸化チタン等の顔料、染料、カーボンブラック等の着色剤、カルボジイミド化合物等の加水分解防止剤、ガラス短繊維、カーボンファイバー、アルミナ、タルク、グラファイト、メラミン、白土等のフィラー、滑剤、油剤、界面活性剤、その他の無機増量剤等が挙げられる。これらは単独又は複数を用いてもよい。
<ポリウレタンの製造方法>
本発明において、ポリシロキサンポリオール(a)、ポリオール(b)、イソシアネート化合物(c)を反応させてポリウレタンを得る。各原料は上記記載の各使用量で用い、公知の製造方法により、無溶媒或いは溶媒共存下で実施することができる。
本発明において、ポリウレタンを製造するための原料の使用割合は、通常、ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)の水酸基の合計のモル数をA、イソシアネート化合物(c)のイソシアネート基のモル数をBとした場合、A:Bが、通常1:1〜1:10の範囲であることが好ましく、1:1.05〜1:5の範囲であることがより好ましく、1:1.1〜1:3の範囲であることが更に好ましく、1:1.2〜1:2.5の範囲であることが特に好ましく、1:1.2〜1:2の範囲であることが最も好ましい。
製造方法の一例としては、前記(a)、前記(b)、前記(c)及び必要に応じて鎖延長剤を一緒に反応させる方法(以下、一段法という)、まず前記(a)と前記(b)を混合して、その混合物と前記(c)を反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを調製した後に、そのプレポリマーと必要に応じて鎖延長剤を反応させる方法(以下、二段法という)、前記(b)と前記(c)を反応させた後に前記(a)を混合し、必要に応じて鎖延長剤と反応させる方法、前記(b)、前記(c)及び必要に応じて鎖延長剤を反応させた後に前記(a)を混合する方法、前記(a)と前記(c)を反応させた後に前記(b)を混合し、必要に応じて鎖延長剤と反応させる方法、前記(a)、前記(c)及び必要に応じて鎖延長剤を反応させた後に前記(b)を混合する方法が挙げられる。
これらの中でも二段法は、ポリオール(b)を予め1モル当量を超えるイソシアネート化合物(c)と反応させることにより、ポリウレタンのソフトセグメントに相当する両末
端イソシアネートで封止された中間体を調製する工程を経るものである。二段法は、プレポリマーをいったん調製した後に鎖延長剤と反応させることにより、ソフトセグメント部分の分子量の調整が行いやすい特徴がある。
特に、鎖延長剤がジアミンの場合には、イソシアネート基との反応速度が前記(a)や(b)などのポリオールの水酸基よりもはるかに大きいため、一段法では構造の設計や分子量の調整が行いにくい場合があり、二段法にてポリウレタンウレアを製造することが好ましい。
また、前記(a)と前記(b)の混合物と前記(c)を反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーを調製した後に、そのプレポリマーと必要に応じて鎖延長剤を反応させるポリウレタン製造方法は、ポリシロキサンポリオール(a)がポリウレタンの分子構造に組みこまれるのでポリウレタン成形工程においてポリシロキサンポリオールがブリードアウト(分離、析出)しにくく、生成するポリウレタン成形体の剥離性が損なわれないため、好ましく用いられる。
予め、ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)でポリオール混合物を製造する方法は、特に限定されないが、ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)の何れも液状である場合は、これを攪拌して混合することが好ましい。また、一方または双方が固体または高粘度の液体である場合は、加温して粘度の低い液状として混合することもできる。
ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)を混合する際の温度は限定されないが、10〜110℃で混合することが好ましい。ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)を上記温度範囲で混合することにより、ポリオール混合物が着色するのを防ぐことができると共に、ポリオール混合物が一部固化するのを防ぎ、作業効率を向上するとともに、不均一に混合されるのを防ぎ、剥離性及び均質性に優れたポリウレタンを安定的に生産することができる傾向にある。
ポリオール混合物を予め調整しておくと、ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)の相溶性が良好であるので、このように混合した状態で長期に保存した場合であっても、相分離を起こしにくいことから、好ましい態様である。
また、ポリオール混合物を製造する際には、ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)を別々のラインから導入し、混合または分散させてポリオール混合物としてもよい。
ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)を別々のラインから導入する場合、通常のポリウレタン製造設備に本発明のポリシロキサンポリオール(a)用のタンクとフィードラインを増やすだけで、本発明の製造方法によって得られるポリウレタンが製造可能となる。
ポリオール混合物を調整した後に通常のポリウレタン製造設備のポリオールの保管タンクに導入すると、通常グレードのポリウレタンを製造する場合にポリシロキサンポリオールが混在してしまい、ポリウレタンの均質性が損なわれる場合がある。
通常グレードのポリウレタンの製造と併用して、本発明の製造方法により得られるポリウレタンを所望の物性が得られるように効率よく製造するためには、このようにポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)を別々のラインから導入することが好ましい。
[一段法]
一段法とは、ワンショット法とも呼ばれ、前記(a)、前記(b)、前記(c)及び必要に応じて鎖延長剤を一緒に仕込むことで反応を行う方法である。反応は、通常、各成分を0〜250℃で反応させることが好ましい。
前記反応温度は、溶剤の量、使用原料の反応性、反応設備等により異なる。温度が低すぎると反応の進行が遅くなることや、原料や重合物の溶解性が低くなりなることから生産性が悪化する傾向にあり、高すぎると副反応やポリウレタンの分解が起こりやすい傾向があることから好ましくない。
上記反応は、減圧下脱泡しながら行ってもよい。
上記反応は必要に応じて、ウレタン化触媒、安定剤等を添加することもできる。その際の触媒としては、例えば、前述の<ウレタン化触媒>に記載したものが用いられる。
また、安定剤としては、例えば、2,6−ジブチル−4−メチルフェノール、ジステアリルチオジプロピオネ−ト、ジ−β−ナフチルフェニレンジアミン及びトリ(ジノニルフェニル)フォスファイト、トリイソオクチルフォスファイト 等が挙げられる。
[二段法]
二段法は、プレポリマー法ともよばれる。まずポリシロキサンポリオール(a)とポリエーテルポリオール(b)を混合し、イソシアネート化合物(c)とそのポリオール混合物とを反応させたプレポリマーを製造する。次いで該プレポリマーに、プレポリマーの両末端が水酸基の場合は鎖延長剤としてイソシアネート化合物を用いて鎖延長反応を行い、プレポリマーの両末端がイソシアネート基の場合は鎖延長剤として多価アルコールやアミン化合物等の活性水素化合物成分を用いることにより鎖延長反応を行う。
中でも、ポリオール混合物に対して当量以上のイソシアネート化合物(c)を反応させて両末端がイソシアネート基のプレポリマーをつくり、続いて鎖延長剤を作用させてポリウレタンを得る方法が有用である。
本発明に係るポリウレタンを製造する方法は特に限定されないが、以下に代表的な方法を記載する。
(1)溶媒を用いないで直接イソシアネート化合物(c)とポリオール混合物を反応させてプレポリマーを合成しそのまま使用する。
(2)(1)の方法でプレポリマーを合成しその後に溶媒に溶かして使用する。
(3)初めから溶媒を用いてイソシアネート化合物(c)とポリオール混合物を反応させる
(1)の場合には、本発明では、鎖延長剤と作用させるにあたり、鎖延長剤を溶媒に溶かしたり、溶媒に同時にプレポリマー及び鎖延長剤を導入する等の方法により、ポリウレタンを溶媒と共存する形で得ることが好ましい。
NCO/活性水素基(ポリオール混合物)の反応当量比は、通常1を超えることが好ましく、1.05以上であることがより好ましい。また、通常10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましく、3以下であることが更に好ましい。
NCO/活性水素基(ポリオール混合物)の反応当量比を前記下限以上とすることにより、得られるポリウレタンに十分な強度及び熱安定性を付与することができる傾向にある
。また、前記上限以下とすることにより、過剰のイソシアネート基が副反応を起こすことを防ぎ、柔軟性の高い良好なポリウレタンの物性が得られる傾向にある。
又、鎖延長剤を用いる場合の使用量については特に限定されないが、プレポリマーに含まれるイソシアネート基のモル当量に対して、通常0.1以上であることが好ましく、0.5以上えあることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。また、通常5.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。
鎖延長剤の使用量を前記下限以上とすることで、得られるポリウレタンの分子量を十分に向上することができ、十分な強度及び熱安定性が得られる。また、前記上限以下とすることで、過剰な鎖延長剤が、副反応や、得られるポリウレタンの物性低下を起こすことを防ぐことができる。
鎖延長反応は、通常、各成分を−20〜250℃で反応させることが好ましい。当該反応温度は溶剤の量、使用原料の反応性及び反応設備等により異なるが、鎖延長剤がイソシアネート化合物または多価アルコールの場合は20〜250℃、鎖延長剤がアミン化合物の場合は−20〜30℃で反応させることが好ましい。
鎖延長反応の温度が低すぎると反応の進行が遅すぎたり、反応液の粘度が上がって不均一反応が起こりやすくなったり、原料や重合物の溶解性が低いために生産性が悪くなる傾向にある。又、高すぎると副反応やポリウレタンの分解が起こる傾向にある。反応は、減圧下脱泡しながら行ってもよい。
又、反応は必要に応じて、触媒及び安定剤等を添加することもできる。その際の触媒としては、例えば、<ウレタン化触媒>で記載したものが用いられ、安定剤としては<一段法>の中で記載したものが用いられる。
しかしながら、鎖延長剤が短鎖脂肪族アミン等の反応性の高いものの場合は、触媒を添加せずに実施することが好ましい。又、反応時に一官能性の有機アミン及びアルコールを共存させてもよい。
<ポリウレタンの物性>
上記の製造方法で得られるポリウレタンは、通常は溶媒存在下で反応を行っているため、溶媒に溶解した状態で得られるのが一般的であるが、溶液状態でも固体状態でも制限されない。
本発明の製造方法によって得られるポリウレタンのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)は、用途により異なるが、通常1万〜100万が好ましく、5万〜50万がより好ましく、10万〜40万が更に好ましく、15万〜30万が特に好ましい。
又、分子量分布の目安としての、その重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)は、1.5〜3.5であることが好ましく、1.7〜3.2であることがより好ましく、1.8〜3.0であることが特に好ましい。なお、前記数平均分子量(Mn)も、前述のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
また、本発明の製造方法によって得られるポリウレタンのフィルム成形時における剥離強度は小さいほど好ましい。フィルム同士を貼りあわせ、200g/cmの重りを載せ
室温で10分間圧着した後の剥離強度は、通常50g/cm以下であることが好ましく、40g/cm以下であることがより好ましく、30g/cm以下であることが更に好ましく、20g/cm以下であることが特に好ましい。剥離強度を上記上限以下とすることにより、ポリウレタン重合体の剥離性が良好となる。
さらに、本発明の製造方法によって得られるポリウレタンのフィルム成形時における接触角は大きいほど好ましい。接触角は80°以上であることが好ましく、85°以上であることがより好ましく、90°以上であることが更に好ましく、95°以上であることが特に好ましい。接触角を上記下限以上にすることにより、ポリウレタンの剥離性が向上する傾向がある。
又、上記の製造方法で得られるポリウレタンは、後述の方法で計算されるハードセグメントの含有量が、ポリウレタンの全重量に対して、1〜20重量%であることが好ましく、3〜15重量%であることがより好ましく、4〜12重量%であることが更に好ましく、5〜10重量%であることが特に好ましい。
前記ハードセグメント量を前記上限以下とすることにより、得られるポリウレタンが十分な柔軟性や弾性性能を示し、溶媒を使用する場合に溶け易くなり加工し易くなる。一方、ハードセグメント量を前記下限以上とすることにより、ポリウレタンが柔らかくなりすぎるのを防ぎ、加工し易く、十分な強度及び弾性性能が得られる。
尚、本発明でいう、ハードセグメントとは、P.J.Flory,Journal of American Chemical Society,58,1877〜1885(1936)をもとに、全体重量に対する、イソシアネートと鎖延長剤結合部の重量を、下記式で算出したものである。
ハードセグメント(%)=[(R−1)(Mdi+Mda)/{Mp+R・Mdi+(
R−1)・Mda}]×100
ここで、
R=イソシアネート化合物(c)のモル数/(ポリオール(b)の水酸基のモル数+ポリシロキサンポリオール(a)の水酸基のモル数)
Mdi=イソシアネート化合物(c)の分子量
Mda=鎖延長剤の分子量
Mp=ポリシロキサンポリオール(a)とポリオール(b)から成るポリオール混合物の数平均分子量
溶媒存在下で反応を行った際に得られるポリウレタン溶液は、ゲル化が進行しにくく、粘度の経時変化が小さい等保存安定性がよく、又、チクソトロピー性も小さいため、フィルム、繊維等に加工するためにも都合がよい。
ポリウレタン溶液のポリウレタン濃度は、溶媒に溶解した溶液の全重量に対して、通常1〜99重量%であることが好ましく、5〜90重量%であることがより好ましく、10〜70重量%であることが更に好ましく、15〜50重量%であることが特に好ましい。
ポリウレタンの濃度を前記下限以上とすることにより、加工に必要な溶液粘度を確保したり、ポリウレタン溶液を加工する際に大量の溶媒を除去することが不要になり生産性を向上したりすることができる。一方、前記上限以下とすることにより、溶液の粘度を抑え、操作性及び加工性を向上することができる。
尚、ポリウレタン溶液は、長期にわたり保存する場合は、常温又はそれ未満の温度で、
窒素及びアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で保存することが好ましい。
本発明の製造方法によって得られるポリウレタンは、成形体表面の原子組成が特定のものであることが好ましい。成形体表面に存在する炭素原子に対するケイ素原子の相対存在比であるSi/Cは、下限が0.05以上であることが好ましく、0.07以上であることがより好ましく、0.08以上であることがさらに好ましく、0.09以上であることがよりさらに好ましく、0.11以上であることが特に好ましい。Si/Cが前記下限値未満であると、ポリウレタン成形体の剥離性が不十分となるため好ましくない傾向にある。
一方、Si/Cの上限は、0.4以下であることが好ましく、0.3以下であることがより好ましく、0.25以下であることがさらに好ましく、0.2以下であることがよりさらに好ましく、0.15以下であることが特に好ましい。Si/Cが前記上限値を超えると、得られる成形体の透明性が低くなる傾向にある。
上記、成形体表面に存在する炭素原子に対するケイ素原子の相対存在比は、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)またはXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)により測定するものとする。従って、ここで規定される表面原子の相対存在比は厳密には最表面の原子数比ではなく、分析測定域の厚みのある部分に存在する原子数比となる。
また、成形体表面の相対存在比は、ポリシロキサンポリオール(a)またはポリオール(b)の添加量を変えたり、ポリシロキサンポリオールの添加順序を変えたり、ポリシロキサン部位またはポリオキシアルキレン部位の含有量が異なるポリシロキサンポリオールの使用等により調整することができる。
<ポリウレタンの用途>
本発明で製造されるポリウレタン、及びそのウレタンプレポリマー溶液は、多様な特性を発現させることができる。例えば、樹脂状、ゴム状及び熱可塑性エラストマー状等の材質で、又、各種形状に成形された固体状またはフォーム状及び液体状等の性状で、繊維、フィルム、塗料、接着剤及び機能部品等として、衣料、衛生用品、包装、土木、建築、医療、自動車、家電及びその他工業部品等の広範な分野で用いられる。
特に、繊維やフィルムとして用いられるのが本発明で製造されるポリウレタンの良好な剥離性の特徴を生かす上で好ましい。これらの具体的用途としては、衣料用の弾性繊維、医療、衛生用品及び人工皮革等に用いられるのが好ましい。
<ポリウレタンフィルム>
本発明のポリウレタンを用いたフィルムは、その厚さとしては特に限定されるものではないが、通常10〜1000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましく、10〜100μmであることがさらに好ましい。フィルムの厚さを上記上限以下とすることにより、溶媒の除去を容易とし、十分な柔軟性が得られる。又、上記下限以上とすることにより、ピンホールが形成されにくいとともに、フィルムがブロッキングしにくく、取り扱い易くなる。
本発明のポリウレタンを用いたフィルムは、医療用粘着フィルムや衛生材料、包装材、装飾用フィルム、その他透湿性素材等に好ましく用いることができる。尚、フィルムは布や不織布等の支持体に塗布して形成されたものでもよく、その場合は厚さが10μmよりも更に薄くてもよい。
本発明のポリウレタンを用いたフィルムの製造方法は、特に限定はなく、従来公知の方法が使用できる。例えば、支持体又は離型材に、ポリウレタン溶液を塗布又は流延し、凝固浴中で溶媒その他の可溶性物質を抽出する湿式製膜法、並びに支持体または離型材にポリウレタン溶液を塗布又は流延し、加熱及び減圧等により溶媒を除去する乾式製膜法等が挙げられる。
製膜する際に用いる支持体は特に限定されないが、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ガラス、金属、剥離剤を塗布した紙や布等が用いられる。塗布の方式は特に限定されないが、ナイフコーター、ロールコーター、スピンコーター及びグラビアコーター等の公知のいずれでもよい。
乾燥温度は、溶媒の種類や乾燥機の能力等によって任意に設定できるが、乾燥不十分、或いは急激な脱溶媒が起こらない温度範囲を選ぶことが必要であり、室温〜300℃の範囲であることが好ましく、60℃〜200℃の範囲であることがより好ましい。
<ポリウレタン繊維>
ポリウレタンフィルムと繊維の物性は非常によい相関があり、フィルム試験等で得られた物性値は繊維においても同様の傾向を示す場合が多い。本発明のポリウレタンを用いた繊維は、伸長回復性、弾性、耐加水分解性、耐光性、耐酸化性、耐油性及び加工性等に優れる。
本発明のポリウレタンを用いた繊維は、例えば、レッグ、パンティー・ストッキング、おむつカバー、紙おむつ、スポーツ用衣類、下着、靴下、ファッション性に優れたストレッチ性の衣類、水着及びレオタード等の用途に好ましく用いられる。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。尚、以下の実施例、参考例及び比較例における分析、測定は、以下の方法によった。
<ポリシロキサンポリオール(a)の数平均分子量>
ポリエーテルポリオール(ii)がポリシロキサン骨格を有し、複数のエーテル結合を有するポリシロキサンポリオール(i)に対して2当量以上存在する場合、ポリシロキサンポリオール(a)の数平均分子量は、原料の分子量から以下の式(2)に従って算出することができる。実施例に用いたポリシロキサンポリオール1,2の数平均分子量は、式(2)によって算出した。
式(2)
ポリシロキサンポリオール(a)の数平均分子量=(ポリシロキサンポリオール(i)の分子量)+(イソシアネート化合物(iii)の分子量)×2+(ポリエーテルポリオール(ii)の分子量)×2
ポリシロキサンポリオール生成液中の、ポリシロキサンポリオール(a)の含有量は、以下に記載の式(3)によって算出した。
式(3)
原料ポリシロキサンポリオール(i)のモル数をmとして、
ポリシロキサンポリオール含有量(重量%)=
(ポリシロキサンポリオール(a)の数平均分子量×m)/ポリシロキサンポリオール(
a)反応時に使用した原料の総量(g)
<ポリシロキサンポリオール(a)中のポリシロキサン部位割合>
本実施例中のポリシロキサンポリオール(a)中に含まれる、シロキサン鎖部位割合は、以下のように計算した。
ポリシロキサンポリオール(a)中のポリシロキサン部位割合(重量%)=(ポリシロキサンポリオール(a)の数平均分子量 −(ポリシロキサンポリオール(i)のポリシロ
キサン骨格の珪素原子に結合した末端部位の分子量+ポリエーテルポリオール(ii)の数平均分子量×2+イソシアネート化合物(iii)の分子量×2 ))/ポリシロキサンポリオール(a)の数平均分子量×100
上記ポリシロキサンポリオール(i)のポリシロキサン骨格の珪素原子に結合した末端部
位とは、ポリシロキサン骨格に結合したポリオキシアルキレンエーテル基等の末端基を示す。
例えば下記式(1)で表される化合物の末端部位の分子量は、C1022:206.3と計算した。
Figure 0006175851
<ポリエーテルポリオール(ii)、及びポリオール(b)の数平均分子量>
JIS K1557−1:2007に準拠したアセチル化法による水酸基価(KOH(mg)/g)測定方法より数平均分子量(Mn)を求めた。
<ポリウレタン及びポリウレタンウレアの分子量>
得られたポリウレタン又はポリウレタンウレアの分子量は、ポリウレタン又はポリウレタンウレアのジメチルアセトアミド溶液を調製し、GPC装置〔東ソー社製、製品名「HLC−8220」 (カラム:TskgelGMH−XL(2本)〕を用い、標準ポリス
チレン換算での数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。
<透明性試験方法>
JIS−K0101(「工業用水試験方法」)に準じて精製水1Lにカオリンをそれぞれ5mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg添加し、測定用懸濁液を得た。得られた懸濁液を50mlのガラス製スクリュー瓶(日電理科硝子株式会社製SV−50A)にそれぞれ移し、同スクリュー瓶に入ったサンプル液の濁度に最も近い測定用懸濁液のカオリン濃度の数値(5mgなら「5」)をカオリン濁度とした。
<剥離試験方法>
成形したフィルム2枚を重ね合わせ、長さ4cm、幅1cmの試験片2枚を打ち抜き、その長さ方向一端から2.5cmの重ね合わせ部分を、温度25℃、相対湿度50%の条件下、200g/cmの圧力を10分間印加した試験片について、引張試験機(FUDOH製「レオメーターNRM−2003J」)を用い、引張速度300mm/分で圧着部分をT型剥離したときの剥離強度を測定した。この値が低いほど、剥離性が良好である。
<相対存在比(表面原子組成)>
ポリウレタン成形体表面に存在する炭素原子に対するケイ素原子の相対存在比、すなわち、表面原子組成は、ESCA(Electron Spectroscopy for
Chemical Analysis)測定により求めた。測定は、アルバック−ファ
イ株式会社ESCA装置「ESCA−5800」を用いて実施した。測定条件は、以下の通りである。
・励起X線:単色AlKα線(1486.7eV)
・X線出力:14kV、350W(帯電防止の為中和銃使用)
・分析モード(LENS MODE):5(最小領域モード)
・アパーチャー番号:5
・検出角度(試料法線から検出器の角度):45度
・PassEnergy:23.5eV
・チャージシフト補正:炭素のC1sピークの結合エネルギーを235.0eVに合わせ
るように行った。
酸素原子の炭素原子に対する相対存在比については、以下の式で算出した。
相対存在比=(酸素O1sのピーク面積/ピーク補正相対感度係数)/(炭素C1sのピ
ーク面積/ピーク補正相対感度係数)
尚、各ピークの面積は装置付属のMultiPak Ver.8.2Cソフトを使用しSavitzky−Golayアルゴリズムを用いたスムージング処理(9ポイント)を行いshirleyのバックグラウンド補正を使って求めた。相対存在比算出に用いた酸素原子ピークと炭素原子ピークの結合エネルギー及びMultiPak Ver.8.2Cソフトで用いられている補正感度係数は次の通りである。
・O1s:結合エネルギー=532.5eV付近、
・補正相対感度係数=13.118
・C1s:結合エネルギー=285.0eV付近、
・補正相対感度係数=5.220
炭素C1sのピーク面積については、280eV及び290.5eV付近の極小値をshirleyで結んで得られる面積と、290.5eV及び293eV付近の極小値をshirleyで結んで得られるベンゼン環のshake up由来のピーク(291〜293eV付近〉の面積を足したものを用いた。
<ポリシロキサンポリオール(a)の製造>
<ポリシロキサンポリオール1の製造>
1Lセパラブルフラスコに、ポリシロキサンポリオール(i)として、カルビノール変性シリコーン(信越化学工業株式会社製、「X−22−160AS」、数平均分子量930)20.0g(0.022mmol)、イソシアネート化合物(iii)として予め40℃に加温した4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記することがある)16.2g(0.065mmol)を加えた後、このフラスコを45℃のオイルバスにセットし、窒素雰囲気下にて碇型撹拌翼で撹拌しつつ、1時間かけてオイルバスの温度を70℃まで昇温し、その後70℃にて3時間保持した。
残存NCO基を過剰量のジブチルアミンと反応させ、その後残存ジブチルアミンを塩酸により逆滴定することによりNCOと、カルビノール変性シリコーンが有する水酸基との反応率が99%を超えていることを確認した後に、ポリエーテルポリオール(ii)として、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略記することがある
)(数平均分子量1015、三菱化学社製)109.1g(0.108mmol)を添加し、更に70℃で3時間撹拌した状態で保持し、ポリシロキサンポリオール1(ポリシロキサンポリオール(a)含有量51.2重量%、数平均分子量3460、ポリシロキサンポリオール中のポリシロキサン部位割合21重量%)を得た。
<ポリシロキサンポリオール2の製造>
カルビノール変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、「BY16−201」、数平均分子量1860)100.1g(0.054mmol)、MDI51.2g(0.205mmmol)、PTMG360.7g(0.355mmmol)を使用した以外はポリシロキサンポリオール1と同様にして、ポリシロキサンポリオール2(ポリシロキサンポリオール(a)含有量46.1重量%、数平均分子量4390、ポリシロキサンポリオール中のポリシロキサン部位割合32重量%)を得た。
<ポリシロキサンポリオール3>
カルビノール変性シリコーン(信越化学工業株式会社製、「X−22−160AS」、数平均分子量930)をポリシロキサンポリオール3(ポリシロキサンポリオール中のポリシロキサン部位割合79重量%)とした。
<ポリシロキサンポリオール4の製造>
カルビノール変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、「BY16−201」、数平均分子量1860)をポリシロキサンポリオール4(ポリシロキサンポリオール中のポリシロキサン部位割合87重量%)とした。
Figure 0006175851
実施例1
50mlのガラス製スクリュー瓶(日電理科硝子株式会社製SV−50A)に、ポリシロキサンポリオールポリオール(b)として、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、 「PTMG」と略記することがある)(数平均分子量1015、三菱化学社製)20.0gと、ポリシロキサンポリオール(a)として前述で合成したポリシロキサンポリオール1を1.66g加えた後、スパチュラで十分に混合し、1晩45℃で静置して脱泡し、ポリシロキサン部位割合が0.82重量%のポリオール混合液を得た。得られた混合液のカオリン濁度は5であった。
実施例2
PTMG20.0gと、ポリシロキサンポリオール1を12.41g加えた以外は実施例1と同様にして、ポリシロキサン部位割合が4.12重量%の混合液を得た。得られた混合液のカオリン濁度は40であった。
実施例3
PTMG20.0gと、ポリシロキサンポリオール2を0.99g加えた以外は実施例1と同様にして、ポリシロキサン部位割合が0.7重量%の混合液を得た。得られた混合液のカオリン濁度は90であった。
比較例1
PTMG20.0gと、ポリシロキサンポリオール3を0.26g加えた以外は実施例1と同様にして、ポリシロキサン部位割合が1.0重量%の混合液を得た。得られた混合液のカオリン濁度は200であった。
比較例2
PTMG20.0gと、ポリシロキサンポリオール3を1.36g加えた以外は実施例1と同様にして、ポリシロキサン部位割合が5.0重量%の混合液を得た。得られた混合液のカオリン濁度は300であった。
比較例3
PTMG20.0gと、ポリシロキサンポリオール4を0.23g加えた以外は実施例1と同様にして、ポリシロキサン部位割合が1.0重量%の混合液を得た。得られた混合液のカオリン濁度は300であった。
Figure 0006175851
<ポリウレタンウレアの製造>
実施例4
<ポリウレタンウレア1の製造>
容量が1Lのフラスコに、ポリエーテルポリオール(b)として予め40℃に加温した
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(以下、「PTMG」と略記することがある。)(数平均分子量1962、三菱化学社製)105.1gと、ポリシロキサンポリオール1を5.65g加えて混合し、この混合物をポリウレタン製造用の原料とした。この混合物中のポリシロキサン部位含有量の割合は0.78重量%であった。
その後、イソシアネート化合物(c)として予め40℃に加温した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記することがある。)22.7gを加えた。このときの、NCO/活性水素基(ポリシロキサンポリオールとポリエーテルポリオール)の反応当量比は1.6であった。
そして、このフラスコを45℃のオイルバスにセットし、窒素雰囲気下にて碇型攪拌翼で攪拌しつつ、1時間かけてオイルバスの温度を70℃まで昇温し、その後70℃にて3時間保持した。
残存NCO基を過剰量のジブチルアミンと反応させ、その後残存ジブチルアミンを塩酸により逆滴定することによりNCOの反応率が99%を越えていることを確認した後に、オイルバスを取り去り、フラスコにN,N−ジメチルアセトアミド(以下、「DMAc」と略記することがある。関東化学社製)199.9gを加え、室温にて攪拌し溶解させることでポリウレタンプレポリマー溶液を調製した。
上記ポリウレタンプレポリマー溶液を10℃に冷却し保持しておき、一方で、鎖延長剤として、エチレンジアミン(EDA)を1.67gと、ジエチルアミン(DEA)を0.53gをDMAc212.1gに溶解し、このDMAc溶液を10℃に冷却保持した上記ポリウレタンプレポリマー溶液を高速に攪拌しながら添加した。添加後、撹拌したままDEA0.21gとDMAc130.9gの混合液を更に添加し、ポリマー濃度20%で、カオリン濁度0のポリウレタンウレアDMAc溶液を得た。
この溶液を25℃にて一晩熟成した後に、得られたポリウレタンウレア1につき、GPCで重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布の目安としてその重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)を算出したところ、Mwは17.8万、Mw/Mnは2.7であった。又、得られたポリウレタンウレア1のハードセグメントの割合は、7.9重量%であった。
又、こうして得られたポリウレタンウレア1溶液をガラス板上にキャストし、60℃にて乾燥させて厚さ約50μmの無色透明なフィルムを得た。このフィルムの剥離試験を行ったところ、剥離強度は16g/cmであった。
比較例4
<ポリウレタンウレア2の製造>
ポリシロキサンポリオール(a)としてポリシロキサンポリオール3を用い、表3に挙げた原料組成で、実施例4と同様にしてポリウレタンウレア2を得た。ポリウレタンウレア2のカオリン濁度は10で、ポリウレタンウレア1に比べて明らかに濁った溶液であった。また、Mwは15.1万、Mw/Mnは2.7、ハードセグメント量は7.9重量%であった。更に、実施例4と同様にして得られたフィルムの剥離試験を行ったところ、剥離強度は8g/cmであった。
比較例5
<ポリウレタンウレア3の製造>
ポリシロキサンポリオール(a)を用いずに、表3に挙げた原料組成で、実施例4と同様にしてポリウレタンウレア3を得た。ポリウレタンウレア3のカオリン濁度は0であっ
た。また、Mwは18.1万、Mw/Mnは2.9、ハードセグメント量は7.8重量%であった。更に、実施例4と同様にして得られたフィルムの剥離試験を行ったところ、剥離強度は114g/cmであった。
Figure 0006175851
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更及び変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。
本発明によれば、剥離性が高く均質性に優れ、着色が少なく、弾性繊維やフィルム及び衣料等の用途に極めて有用なポリウレタンを効率よく製造する製造方法、及びその原料用のポリシロキサンポリオールを提供することができる。
そして、得られるポリウレタン及びポリウレタンウレアを用いて弾性繊維およびフィルム等のポリウレタン成形体を製造する場合、油剤および平滑剤等の使用量の削減によるコストの削減、製品汚損並びに機械および器具の目詰まり頻度低減による操業安定性の向上、摩擦抵抗の低減による機械に導入する駆動電力の削減等が期待できる。

Claims (10)

  1. ポリシロキサンポリオール(i)と、ポリエーテルポリオール(ii)とがイソシアネート化合物(iii)で連結したポリシロキサンポリオール(a)、および(a)以外のポリオール(b)が含まれるポリオール混合物であって、
    該ポリシロキサンポリオール(a)および(a)以外のポリオール(b)の合計重量に対するポリシロキサン部位の重量割合が0.1〜5.0重量%であって、かつ、該ポリシロキサンポリオール(a)および(a)以外のポリオール(b)の合計重量に対して、ポリシロキサンポリオール(a)の重量割合が、3〜50重量%である、ポリオール混合物。
  2. 前記ポリシロキサンポリオール(i)が、ポリシロキサン骨格の両末端に
    −R−O−(R−O)−H
    の構造を持つポリオキシアルキレンアルキルエーテル基が連結したものである請求項1に記載のポリオール混合物。(Rは炭素数1〜15のアルキレン基、Rは炭素数2〜6のアルキレン基、mは1〜50の整数)
  3. 前記ポリシロキサンポリオール(i)が以下の式(1)の構造で表される化合物である請求項2に記載のポリオール混合物。
    Figure 0006175851
    (nは1以上の整数を示す。)
  4. 前記ポリエーテルポリオール(ii)がポリアルキレンエーテルグリコールである請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオール混合物。
  5. イソシアネート化合物(iii)が芳香族イソシアネート化合物である請求項1〜いずれか1項に記載のポリオール混合物。
  6. (a)以外のポリオール(b)が、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール
    、ポリカーボネートポリオールから選ばれる1種である請求項1〜のいずれか1項に記載のポリオール混合物。
  7. ポリシロキサンポリオール(i)と、ポリエーテルポリオール(ii)とがイソシアネート化合物(iii)で連結したポリシロキサンポリオール(a)、および(a)以外のポリオール(b)が含まれるポリオール混合物であって、 該ポリシロキサンポリオール(a)および(a)以外のポリオール(b)の合計重量に対するポリシロキサン部位の重量割合が0.1〜5.0重量%であって、かつ、該ポリシロキサンポリオール(a)および(a)以外のポリオール(b)の合計重量に対して、ポリシロキサンポリオール(a)の重量割合が、3〜50重量%である、ポリオール混合物、
    及びイソシアネート化合物(c)を反応させるポリウレタンの製造方法。
  8. 前記ポリシロキサンポリオール(a)が、前記ポリシロキサンポリオール(i)にイソシアネート化合物(iii)を反応させた後にポリエーテルポリオール(ii)を反応させることにより製造される請求項に記載のポリウレタンの製造方法。
  9. 前記ポリオール混合物と前記イソシアネート化合物(c)とを反応させ、両末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得る工程を含む請求項7又は8に記載のポリウレタンの製造方法。
  10. イソシアネート化合物(c)が芳香族イソシアネート化合物である請求項7〜9のいずれか1項に記載のポリウレタンの製造方法。
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