JP2011079023A - 連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法及び装置、連続鋳造におけるブレークアウト検出方法及び装置 - Google Patents

連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法及び装置、連続鋳造におけるブレークアウト検出方法及び装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶鋼の連続鋳造において、鋳型出口における凝固シェル厚みを精度よく推定する方法、装置を提供する。
【解決手段】連続鋳造における鋳型内の溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの間に凝固界面へ入熱する熱流束q1を測定し、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求め、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求め、該熱流束プロファイルに基づいて、湯面から鋳型出口方向所定位置における凝固シェルの厚みを推定し、これに基づいて鋳型出口の凝固シェル厚みを予測することを特徴とする連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法。
q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶鋼の連続鋳造における凝固シェル厚みを推定する方法及び装置、これらの凝固シェル厚みを推定する方法または装置を用いてブレークアウト発生の危険を精度良く検出するブレークアウト検出方法及び装置に関するものである。
連続鋳造においては、鋳型に注入された溶鋼は鋳型内で冷却されることにより凝固シェルを形成して鋳型から引き抜かれるが、なんらかの原因により凝固シェルの形成が不十分になり凝固シェル厚の薄い箇所が存在すると、この凝固シェル厚の薄い部位が鋳型出口に来たときに凝固シェルが破れて溶鋼が吹き出る、いわゆるブレークアウトが発生する危険がある。
ブレークアウトが発生すると操業停止とならざるを得ず、ブレークアウトが発生しないような操業条件を選択する必要があるが、ブレークアウトの発生を恐れて鋳造速度を必要以上に遅くすることは、操業効率の悪化となり好ましくない。
このような背景から、高速鋳造を行ないながらも、ブレークアウトの危険を的確に判断できる手法の開発が望まれ、様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1(特公昭63−53903号公報)においては、以下のような技術が開示されている。
鋳型の外表面に配置した薄板型の表面熱流束計により、鋳型の抜熱量に応じた熱流束を測定して、連続鋳造におけるブレークアウトを防止する方法において、
多数の熱流束計により、鋳型各部の局所的な熱流束を測定し、該熱流束の時間的変化を表した熱流束波形の波高が急激に所定値を上まわった時に鋳込み速度を低下させ、前記波高が元に戻るまで低速鋳込みを行うことにより、ブレークアウトの発生を防止することを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト防止方法。
特公昭63−53903号公報
特許文献1に開示された技術は熱流束計を用いて熱流束の変化を検出することによるブレークアウト防止方法である。鋳型各部の局所的な熱流束は、鋳型からの抜熱量を意味しており、抜熱量が凝固シェルの形成に関連している。
したがって、熱流束の変化に異常があったときに凝固シェル厚の形成に異常が生じ、ブレークアウトの発生の危険があると予測することは一応合理的である。
しかしながら、ブレークアウトの発生は、鋳型出口において凝固シェル厚が所定の厚みに達していないことによって起こることを考えると、熱流束の変化のみによっては正確なブレークアウトの危険性を把握するには必ずしも十分とは言えない。
なぜなら、鋳型内での凝固シェル形成過程の初期の段階において熱流束の異常があったとしても、凝固シェル形成過程のその後の段階において凝固シェルが形成され、鋳型出口において所定の厚みの凝固シェルが形成されておれば、ブレークアウト発生の危険はないと判断できる場合もあるからである。
つまり、従来例に示された局所熱流束の変化のみによって、ブレークアウト発生の危険を予測することは十分正確な指標とは言いがたいものであった。
上記のように、ブレークアウトの発生は鋳型出口における凝固シェル厚みに直接関わるものであり、凝固シェル厚みを精度よく推定できればブレークアウト発生の危険についても精度よく判断できると考えられる。すなわち、鋳型出口における凝固シェル厚が所定の厚みに達しているかどうかという事実に、密接に関連する指標を見いだすことが重要であると発明者は考えた。
したがって、本発明の目的とするところは、溶鋼の連続鋳造において、鋳型出口における凝固シェル厚みを精度よく推定する方法、装置を提供すること、これらの方法または装置を用いて溶鋼の連続鋳造における鋳片に発生するブレークアウトを精度良く検出し、さらにはこれを防止する方法及び装置を提供することにある。
凝固シェル厚は鋳型と鋳片の間の抜熱状態に密接に関係している。すなわち、凝固シェル厚が薄いと、鋳片から鋳型への伝熱量が多くなり抜熱量が多くなるし、逆に凝固シェル厚が厚いと、鋳片から鋳型への伝熱量が少なくなり抜熱量が少なくなる。
このようなことはよく知られた事実であるが、発明者はこの事実を詳細に検討すべく実際の鋳型内における具体的な抜熱状態を調べることとした。
抜熱状態を検知するには、鋳型の各部位における熱流束を求める必要があるが、これは以下のように行なう。
図2は鋳型1の断面図であり、タンディッシュ40の底部に接続され、鋳型1内に設置した浸漬ノズル3から溶鋼5を吐出している状態(矢印)を示している。湯面にはモールドパウダー7(層として示す)が添加され、このモールドパウダー7が鋳型1と溶鋼5の隙間に流れ込み潤滑剤の役割をはたす。溶鋼5はこのモールドパウダー7を介して鋳型1に抜熱され凝固シェル9を形成しながら鋳型出口に向かって引き抜かれる。
図3は鋳型1を形成している鋳型銅板11の一部拡大して示す断面図である。熱流束を求めるためには鋳型銅板11における温度勾配を検出する必要があり、これを検出するために熱電対17が用いられるが、この熱電対17は、図3に示すように、鋳型銅板11の外側面に形成された冷却水通路13の底部に孔15をあけ、その中に深さ方向に一定の距離を離した2箇所に埋設されている。
この埋設した熱電対17の出力から温度勾配を検出し、この温度勾配に基づいて計算により熱流束を求めることができる。
局所熱流束q1(J/s・m2)の算出は、2本の熱電対17の検出温度をT1(℃)、T2(℃)、埋設間隔をd(m)、及び鋳型1の熱伝導率をλ(J/s・m・℃)として、次式を用いて行なう。
q1=λ(T1−T2)/d
鋳型厚み方向に設置した2本の熱電対17からなる一対の熱電対を、例えば鋳型短片の場合は図4の黒丸印によって示すように通常の湯面位置より下方位置に、高さ40〜200mmおきに合計で9箇所設置した。
これらの熱電対17からの出力信号に基づいて、上記の式により局所熱流束を求め、この局所熱流束と湯面からの位置との関係について調査を行なった。
図5はこの調査結果を示すグラフであり、縦軸が局所熱流束を示し、横軸が湯面からの距離を示している。
なお、本明細書においては、縦軸を局所熱流束、横軸を湯面からの距離として、局所熱流束と湯面からの距離との関係を示したグラフの形状を熱流束プロファイルという。
図5のグラフに示すように、局所熱流束は湯面から鋳型出口方向に向かって減少し、湯面からの距離が400mmの近傍で極小値をとり、その後、一旦増加傾向を示し、その増加傾向は湯面からの距離が約600mm近傍で極大値を示し、その後再び減少している。
発明者は、局所熱流束が鋳型出口方向に向かって減少傾向から一旦上昇傾向に転ずることに注目し、さらに検討を重ねた。
局所熱流束が極小値を示す位置は湯面からの距離が400mm近傍であり、この位置は、浸漬ノズル3の吐出口から吐出される溶鋼5の吐出流が鋳型短辺に衝突する位置と一致している(図2参照)。
このような局所熱流束の変化と溶鋼吐出流との関係は以下のことを物語っている。
図5に示すように、湯面から鋳型出口方向に行くにしたがって局所熱流束が減少しているのは、熱抵抗が増したこと、すなわち、図2に示すように凝固シェル厚が徐々に厚くなっていることを示している。
そして、浸漬ノズル3から吐出される溶鋼5の吐出流が凝固シェル9に衝突する位置においては、凝固シェル9の再溶解が起こり、凝固シェル厚みが減少し、この薄くなった凝固シェル9の凝固界面に溶鋼流動による熱が加わり局所熱流束が上昇したものと考えられる。
そしてさらに鋳造方向の下流に行くにしたがって、溶鋼流動の影響がなくなり、再び局所熱流束が減少していることから凝固シェル厚が厚くなっていると考えられる。
以上の検討から、ある瞬間における凝固シェル9の形状は、図2に示されるように、湯面から局所熱流束の極小値の位置までは凝固シェル9の厚みが増し、また局所熱流束の極小値から極大値までは凝固シェル9の厚みが減少し、さらに局所熱流束の極大値以降は再び凝固シェル9の厚みが増していると考えられる。
鋳型内ではこのように凝固シェル厚が厚くなったり薄くなったりする過程を経て鋳型出口での凝固シェル厚が決定されるのである。
鋳型内において凝固シェル厚が成長する程度と、凝固シェル9が再溶解することによって一旦形成された凝固シェル9が薄くなる程度との関係は、鋳型出口における凝固シェル厚に直接的に関係していると考えられる。
仮に鋳型内で溶鋼流による凝固シェルの再溶解という現象が発生しないとした場合、例えば浸漬ノズルからの溶鋼の吐出がなく鋳型内の溶鋼が引き抜かれるだけの場合、凝固シェルは湯面から鋳型出口に向かって徐々にその厚みを増していくと考えられる。
このような溶鋼流による凝固シェルの再溶解という現象が発生しない状態を想定して、図5と同様に横軸を湯面からの距離、縦軸を局所熱流束としたグラフを想定すると、図5の場合に見られた途中の盛り上がりのないなだらかな減少曲線になると想定される。
そして、この場合には凝固シェルの鋳型出口での厚みは抜熱量を積算したものに比例すると考えられる。
他方、現実の鋳型内においては浸漬ノズルからの吐出流による溶鋼流(以下、単に「溶鋼流」という)の影響で凝固シェルの再溶解が生じており、この再溶解によって凝固シェル9が薄くなると共に抜熱量が増大するという現象が生じている。
したがって、溶鋼流の影響のある状態においては、凝固シェル厚の成長する程度は、単に抜熱量に比例するのではなく、実測される抜熱量から溶鋼流の影響による抜熱量を差し引いたものに比例すると考えられる。この溶鋼流の影響による抜熱量は、溶鋼流による凝固界面への入熱(以下、単に「凝固界面入熱」という。)として評価できる。
このように考えると、浸漬ノズルから溶鋼を吐出している操業状態においては、凝固シェルが薄くなる程度は凝固界面入熱で評価でき、他方、凝固シェルが成長する程度は、熱電対によって測定できる局所熱流束から凝固界面入熱を差し引いたもので評価できる。
ところで、凝固界面入熱をq2(J/s・m2)とすると、この凝固界面入熱q2は、溶鋼から凝固界面への熱伝達係数をh(J/s・m2・℃)、溶鋼の過熱度をΔθ(℃)とすると、次式で表すことができる。
q2=h・Δθ・・・・・・・・・・(1)
但し、h=1.22×105×V0.8
V:溶鋼流速(m/s)
Δθ=T0−TS(℃)
0:鋳型内溶鋼温度(℃)
S:溶鋼固相線温度(℃)
なお、鋳型内溶鋼温度T0(℃)は、鋳型内溶鋼温度を実測してもよいし、例えばタンディッシュ(TD)内溶鋼温度(実測値)に基づいて次の鋳型内溶鋼温度推定式によって算出してもよい。
0=705.156+0.544086・TTD−2.35053・VC−0.00303・W+18.12663・(0.1018lnFC−0.3362)
但し、TTD:TD内溶鋼温度(℃)(実測値)
C :鋳造速度(m/min)
:鋳造幅(m)(実測値)
FC:印加電流値(A)(実測値)
上記のように、凝固界面入熱q2は熱伝達係数hに関係し、熱伝達係数hは溶鋼流速Vに関係する量である。そのため、凝固界面入熱q2をオンラインで測定するには、鋳型内の溶鋼流速Vをオンラインで測定する必要がある。
しかしながら、溶鋼流速Vを操業状態においてオンラインで測定することは難しい。
そこで、発明者は、事前に種々の鋳造速度において鋳造された鋳片をサンプリングし、この鋳片におけるデンドライト傾角から各鋳造速度における溶鋼流速値を求めて、この溶鋼流速値に基づく凝固界面入熱q2を求めることを考えた。ここでデンドライト傾角とは、鋳片表面に対する法線方向に対して、表面から厚み方向に伸びているデンドライトの一次枝の傾角であり、溶鋼流速値と相関することが知られている。
この事前に求めた凝固界面入熱q2を「定常状態における凝固界面入熱q2」と称し、定常凝固界面入熱q2regと表記するものとする。なお、定常状態という文言を用いている趣旨は、浸漬ノズルに詰まりがあり溶鋼流速に偏流があるような異常状態を排除する趣旨である。
そして、発明者は、鋳型出口における凝固シェル厚みを推定したい操業状態において、熱電対によって測定した局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量について熱流束プロファイルを求め、この熱流束プロファイルに基づいて鋳型出口における凝固シェル厚みを推定することを考えた。このように実測された局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引くことを考えた理由は以下の通りである。
操業状態における実測された局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量についての熱流束プロファイルがなだらかに減少する曲線となった場合には、この熱流束プロファイルが上述した浸漬ノズルからの吐出がなく鋳型内の溶鋼が引き抜かれるだけの場合の熱流束プロファイルと同じであることを意味し、このことは操業状態における凝固界面入熱q2が定常凝固界面入熱q2regと同じであることを意味している。つまり、この状態の場合には凝固シェルを薄くする程度は通常の浸漬ノズルからの溶鋼流によるもの、つまり定常状態と同じであり、このような状況であれば実測された局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量ついての熱流束プロファイルに基づいて鋳型出口での凝固シェル厚みを推定することが可能である。
他方、熱電対によって測定した局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量に関する熱流束プロファイルが湯面からある距離の位置で盛り上がるような場合、すなわち熱流束プロファイルが極小値を有しコブができるような場合には、定常凝固界面入熱q2regよりも実際の凝固界面入熱q2が大きいことを意味し、この状態では定常状態よりも凝固シェルの再溶解の程度が高いと考えられる。例えば浸漬ノズルの片詰まりなどによって鋳型内において溶鋼流に偏流が生じ、測定対象としている鋳型界面の入熱が通常よりも増大したような場合である。この場合には、コブの大きさの程度が通常の凝固界面入熱q2よりも大きい入熱を表していると考えられ、このコブの大きさの程度が異常な溶鋼流による凝固シェルを再溶解させ、凝固シェル厚みを薄くする程度であると評価できる。
このように、実測された局所熱流束から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた熱量についての熱流束プロファイルを求めることで、その熱流束プロファイルにおけるコブの有無やその大きさの程度によって凝固シェルの再溶解の程度が定常状態と比べてどの程度であるかを明確に把握でき、鋳型出口における凝固シェル厚みを推定することが可能となるのである。そして、鋳型出口における凝固シェル厚みを推定できれば、これに基づいてブレークアウト発生の危険性の評価が可能となる。
そこで、発明者は種々の鋳造速度の場合について、デンドライト傾角から溶鋼流速を求め、それぞれの場合について、定常凝固界面入熱q2regを求め、この定常凝固界面入熱q2regを操業状態において熱電対によって測定される抜熱量から差し引き、それについて熱流束プロファイルを求め、その熱流束プロファイルに基づいて凝固シェル厚みを推定するべくさらに検討した。
以下、この検討内容を具体的に説明する。
図6は、鋳造速度VC=2.54m/minで、鋳造幅W=1100mmの場合において、鋳片のデンドライト傾角に基づいて、溶鋼流速(m/s)と湯面からの距離(mm)の関係を求めたものを、溶鋼流速を縦軸とし、湯面からの距離を横軸としてグラフ化したものである。
このグラフから溶鋼流速V(m/s)を求め、上記(1)式に基づいて定常凝固界面入熱q2regを求める。
そして、操業状態における局所熱流束を熱電対で測定し、この測定した操業状態と同じ鋳造速度における定常凝固界面入熱q2regを測定値から差し引き、差し引いた熱量における熱流束プロファイルを求める。
図7は縦軸が局所熱流束を示し、横軸が湯面からの距離を示しており、またグラフにおける黒丸の値(D1)が熱電対による測定値を示し、白丸の値(D2)が熱電対による測定値から定常凝固界面入熱q2regを差し引いた値を示している。
図8は図7における白丸によって描かれたグラフを模式的に示した図であり、グラフによって囲まれた面積すなわち局所熱流束の積算値(総括熱流束)の求め方の一例を説明する説明図である。
以下、図8に基づいて総括熱流束の求め方を説明する。
なお、以下の説明において、総括熱流束の表記方法として、湯面から鋳型出口までの総括熱流束を意味する場合には、Q、Q1、Q2に添え字exを付けて、Qex、Q1ex、Q2exと表記し、湯面から鋳型出口に至る途中の測定したい位置(測定位置)における総括熱流束を意味する場合にはQ、Q1、Q2に添え字pを付けて、Qp、Q1p、Q2pと表記するものとする。また、Q、Q1、Q2に添え字をつけずに表記したときは、鋳型出口及び測定位置の両方の意味を含むものとする。
また、凝固シェル厚みについても、鋳型出口での凝固シェル厚みを意味する場合にはDに添え字exを付けて、Dexと表記し、湯面から鋳型出口に至る途中の測定したい位置(測定位置)における凝固シェル厚みを意味する場合にはDに添え字pを付けて、Dpと表記するものとし、さらに、Dに添え字をつけずに表記したときは、鋳型出口及び測定位置の両方における凝固シェル厚みを意味するものとする。
まず、図8に示すようにグラフを複数の台形に分割することにより、各台形の面積(Q1−1〜Q1−7)を求め、それらを足し算することで全体の面積Qexを求める。
そして、グラフにおける極小点をA、極大点をB、鋳型出口の点をCとし、三角形ABCをコブと捉え、このコブの面積すなわち三角形ABCの面積Q2exを以下のようにして求める(図9参照)。
点Aに対応する横軸上の点をA´、点Cに対応する横軸上の点をC´とし、台形ACC´A´の面積Q1−8を求め、このQ1―8とQ1―1〜Q1−3を足し算した面積をQ1exとすると、Q2ex=Qex−Q1exとなる。
このようにして求めた総括熱流束Q1exは、溶鋼が凝固するのに費やされる熱量であると評価でき、また総括熱流束Q2exは溶鋼流が凝固シェルに衝突して凝固シェルを再溶解させる熱量である溶鋼流衝突顕熱であると評価できる。つまり、総括熱流束Q1exに基づいて鋳型出口における凝固シェル厚みを推定すれば、精度よく凝固シェル厚みの推定が可能となるのである。
以上のように、総括熱流束Q1exに基づいて鋳型出口における凝固シェル厚みを推定することが可能であり、この点については、特願2009−38855において既に提案している。
発明者は、以上の検討をさらに進め、鋳型出口にける凝固シェル厚みの推定の理論を鋳型出口の手前、すなわち湯面から鋳型出口に至る途中において適用することを考えた。つまり、鋳型出口の手前において再溶解を考慮した凝固シェル厚みを推定し、その推定値を基に鋳型出口での凝固シェル厚みを予測できれば、より早い段階でブレークアウト防止のための制御が可能になると考えた。
そこで、発明者は、湯面から鋳型出口に至る途中の所定の位置(測定位置)での凝固シェル厚みについて、その測定位置までの総括熱流束Q1pに基づいて推定することを考えた。
図10は総括熱流束Q1pの求め方の説明図である。仮に総括熱流束Q1pが湯面から5番目の熱電対の位置までの総括熱流束であるとすると、総括熱流束Q1pは、以下のように求めることができる。
図10において、直線A−Cと直線B−B´との交点をDとする。台形ADB´A´の面積をQ1―9とすれば、総括熱流束Q1pは、Q1―9とQ1―1〜Q1−3を足し算した面積として求めることができる。このとき、Q1―1〜Q1−4(図8参照)を足し算した面積をQpとし、三角形ABDの面積をQ2pとすると、Q2p=Qp−Q1pとなる。
なお、D点の高さ位置(局所熱流束値)は、A点とC点の位置が既知であるから、A点からC点の局所熱流束の変化量を、湯面からの距離で按分することで容易に求めることができる。
上記のように測定点までの総括熱流束Q1pを求めることができるので、次にこの総括熱流束Q1pを用いて測定点における凝固シェル厚みを推定する方法について以下に説明する。
まず、鋳型内での溶鋼が凝固する物理的過程を考えると、浸漬ノズルから鋳型内に注入された溶鋼は顕熱と凝固潜熱を含めたエンタルピー:H0(含熱量)を持っている。そして、このエンタルピー:H0を有する溶鋼は、湯面からの放熱することで放熱分のエンタルピー:ΔHsurを失い、また湯面から測定点に至る間に鋳型冷却によって抜熱されることによって抜熱量相当分のエンタルピー:ΔHを失い、測定点においてエンタルピー:H1を有する凝固シェルになる。この、浸漬ノズルから鋳型内に注入される溶鋼が湯面から測定点に至るまでのエンタルピーの関係を式で表すと、下式(4)のようになる。
0=H1+ΔH+ΔHsur ・・・・・・ (4)
但し、H0 :鋳型内溶鋼のエンタルピー(J/kg)
1 :測定点での凝固シェルのエンタルピー(J/kg)
ΔH :測定点での凝固シェルの単位重量当たりのエンタルピー落差(J/kg)
ΔHsur:湯面からの放熱分(J/kg)
ここで、H1、ΔHsur、H0はそれぞれ、以下のようにして求めることができる。
<H1の求め方>
測定点での凝固シェルのエンタルピー:H1は以下の(5)式から求めることができる。
1=670.27T1ave+11958 ・・・・・・ (5)
(5)式は、固相の鋼の比熱を温度で積分してエンタルピーを出し、それを温度の関数として式に表したものである。
(5)式におけるT1aveは測定点での凝固シェル平均温度(℃)を表しており、このT1aveは以下に示す(6)式から求められる。
1ave=aVC+b ・・・・・・ (6)
但し、VC:鋳造速度(m/min)
(6)式における定数a、bは測定点の位置によって変わってくるので、測定点ごとに求めておく必要がある。
以下に、鋳型内の伝熱凝固計算を、VC=1.4m/min、1.8m/min、2.2m/min、2.6m/minで行なって求めた、測定点(湯面からの距離L=0.5m、0.6m、0.7m、0.8m、0.85m)でのシェル平均温度T1aveをVCの1次式として表した例を示す。
L=0.5mでは T1ave=42.42500VC+1258.62500
L=0.6mでは T1ave=39.23750VC+1247.46250
L=0.7mでは T1ave=32.65000VC+1253.95000
L=0.8mでは T1ave=31.70000VC+1248.65000
L=0.85m(鋳型出口)では T1ave=28.75000VC+1234.27500
なお、L=0.7mの式の導出に用いたグラフを図11に示す。図11は縦軸が鋳型出口シェル厚み方向平均温度(℃)、横軸が鋳造速度(m/min)を示している。
<ΔHsurの求め方>
湯面からの放熱分に相当するエンタルピー:ΔHsurは以下の(7)式から求めることができる。
ΔHsur=(10000/7100)・(60/VC) ・・・・・・ (7)
但し、VC:鋳造速度(m/min)
(7)式は、湯面からの放熱分であり、溶鋼単位体積あたりどれだけエンタルピーが放出されるかを計算したものである。湯面単位面積あたりの放出エンタルピーを、ΔHsur’とすると(単位W/m2)、溶鋼単位体積あたりのエンタルピー放出量ΔHsur(J/kg)は、ΔHsur’を単位時間の鋳造速度で決まる溶鋼重量で割ればよいので、ΔHsur=ΔHsur’/(密度7100×Vc/60×1(=単位面積))となる。そして、ΔHsur’を10000W/m2としたのが(7)式である。
<H0の求め方>
鋳型内溶鋼のエンタルピー:H0は、液相の鋼の比熱を温度で積分してエンタルピーを出し、それを温度の関数として式に表した(8)式に基づいて求めることができる。
0=(1×10-10×T0 4−4×10-7×T0 3+0.0005×T0 2−0.0098×T0+4.5508)
×4.19×1000 ・・・・・・ (8)
但し、T0:鋳型内溶鋼温度(℃)
なお、(8)式における鋳型内溶鋼温度T0は、既設の設備において実際に鋳型内の溶鋼温度を熱電対で測定し、その時の操業条件で重回帰式とした下記の(9)式から求めることができる。
0=705.156+0.544086TTD−2.35053VC−0.00303W
+18.12663(0.10181・ln(FC)−0.3362) ・・・・・・ (9)
但し、TTD:タンディッシュ(T/D)内溶鋼温度(℃)
C:鋳造速度(m/min)
W:モールド(M/D)幅(m)
FC:FC電流(A)
上述のように、H1、ΔHsur、H0を求めることができるので、(4)式を変形した下記の(10)式からΔHを求めることができる。
ΔH=H0−(H1+ΔHsur) ・・・・・・ (10)
ΔHは、湯面から測定点に至る間に鋳型冷却によって抜熱されることによって抜熱量相当分のエンタルピーであるから、測定点での凝固シェル厚みDpは総括熱流束Q1pを用いて下式で表すことができる。
Dp=Q1p/(ΔH・ρ) ・・・・・・ (11)
但し、ρ:測定点での凝固シェルの密度(kg/m3)
なお、ρは20〜1500℃までの固体鉄の密度を5点で求め、それを温度の関数になるように回帰式とした下式(12)から求めることができる。
ρ=(−1.686×10-101ave 3+2.7069×10-71ave 2
−5.2909×10-41ave+7.9106)×1000 ・・・・・・(12)
なお、(12)式のT1aveは上記の(6)式から求める。
なお、H1、ΔHsur、H0、ρの求め方については、上述した方法に限定されるものではなく、種々の方法で求めればよい。
上記の検討では、総括熱流束Q2は溶鋼流が凝固シェルに衝突して凝固シェルを再溶解させる溶鋼流衝突顕熱であるとして、凝固シェル厚みを推定するための総括熱流束から除くようにした。
しかし、鋳造中において浸漬ノズルから溶鋼吐出流が一時的に大きくなった場合、すなわち総括熱流束Q2が存在する場合には、溶鋼流によって凝固シェルが再溶解され、凝固遅れが発生すると考えられる。そのため、単に総括熱流束Q2を除いて求めた凝固シェル厚みよりも凝固シェル厚みが薄くなることも考えられる。
そこで、以下においては再溶解による凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みの推定方法について説明する。
発明者は、総括熱流束Q2による再溶解が生ずるとしても、総括熱流束Q2の全てが凝固シェルに凝固遅れを生じさせる作用をするのではなく、その何割かが凝固遅れを生じさせる再溶解に作用すると考えた。そのように考えると、総括熱流束Q1に基づいて推定される凝固シェル厚みをD、総括熱流束Q2による再溶解を考慮した凝固シェル厚みをD1、Q2のX%が再溶解として作用すると考えると、下記の比例関係が成立する。
Q1:D=(Q1−X・Q2):D1
上記の比例式をD1について整理すると、D1=D(1−X・Q2/Q1)となる。
したがって、Xを求めることができれば、D1を求めることができる。
そこで、上記の比例式をXについて整理すると、X=(D−D1)/D・Q1/Q2となる。この式に現れた(D−D1)/Dの値は、凝固遅れ度RS(Retardation of Solidification:凝固遅れ度)として、公知である下記の(14)式によって求めることができる。
RS=β×(V0.8・Δθ) ・・・・(14)
β:凝固遅れ定数(無単位)
V:溶鋼流速(m/s)
Δθ:溶鋼過熱度(℃)
RS:凝固遅れ度(無単位)
溶鋼過熱度Δθは、前述したようにΔθ=T0−TS(T0:鋳型内溶鋼温度(℃)、TS:溶鋼固相線温度(℃))として求めることができるので、溶鋼流速Vが求まればRSを求めることができる。
そして、溶鋼流速V(m/s)は、総括熱流束Q2を用いて(15)式から求めることができる。
V=(Q(2)/(α・t・Δθ))1.25 ・・・・(15)
α:溶鋼流速定数(無単位)
t:凝固シェルがプロファイルにおける極小点を通過してから測定点または
鋳型出口に至るまでに要する時間(S)
X=(D−D1)/D・Q1/Q2の式における(D−D1)/DをRSと置き換えると、X=RS・Q1/Q2となる。このXの値を上述したD1=D(1−X・Q2/Q1)に代入すると、D1=D(1−RS)となり、凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みD1を求めることができる。
以上のように、上記(14)式に示される凝固遅れ度RSを求めることができ、それ故に総括熱流束Q2による凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みD1を、D1=D(1−RS)として求めることができるのである。
以上の検討の妥当性を検証するために、いくつかの操業条件(条件1〜4)において、鋳型出口における凝固シェル厚みDおよびD1を求め、他の方法により得られた値との比較を行った。
比較法としては、下記D’およびD1’を算出した。
D’=q1のみの熱流束プロファイルを用い、抜熱量のみから計算したシェル厚み。
すなわち、q1−q2regの代わりにq1を用いて総括熱流束Qに相当する値を算出し(Q’とする)、前記(2)式に準じてD’=Q’/(ΔH・ρ)により求められる値D1’=D’に凝固遅れを考慮したシェル厚み。すなわち、RSよりD1’=D’(1−RS)により求められる値。
real=鋳片の内部割れ位置から推定したシェル厚み。
各操業条件(条件1〜4)におけるD’、D1’、D、D1及びDrealを表1に示す。
Figure 2011079023
表1に示す結果から分かるように、DおよびD1は安定して実測値に近い値をとり、また特にD1はより実測値に近い値を示しており、改善された値を示していると評価できる。
上記の検証は鋳型出口で行っているが、測定点でも同様のことが言えると考えられる。
このように、総括熱流束Q1を用いて測定点及び鋳型出口における凝固シェル厚みDを求めることができ、さらに凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みD1を求めることができる。
そして、凝固シェル厚みを求めることができれば、凝固シェル厚みとブレークアウト発生の有無との関係を予め求めておくことにより、ブレークアウト発生の有無の指標とすることができる。
例えば、鋳型出口での予測厚みDが閾値以下となった場合にブレークアウトの発生条件にあると判定したり、鋳型出口予測厚みD1が閾値以下となった場合にブレークアウトの発生条件にあると判定したりできる。
なお、閾値は鋼種、設備、操業条件に応じ、予め事例から設定したり、理論計算により求めたりすればよい。
なお、本発明は、湯面から鋳型出口に至る途中の測定点での凝固シェル厚みDp、D1pに基づいて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを予測するものであるから、凝固シェル厚みDp、D1pから如何にして凝固シェル厚みDexを導くかが問題になる。
そこで、以下においては、湯面から鋳型出口に至る途中の測定点での凝固シェル厚みDp、D1pに基づいて鋳型出口での凝固シェル厚みを予想する方法について説明する。
一般に、湯面から鋳型出口に至る凝固シェルの厚みDと凝固時間tとの間には以下の関係がある。
D=kt1/2
但し、k:凝固定数
そこで、測定位置において上記の理論で推定された凝固シェル厚みDpと、その時点における凝固時間tp(湯面からの距離(m)/鋳造速度(m/min))を上式に代入することで、再溶解を考慮した凝固定数kpを求めることができる。kpが求まると、鋳型出口での凝固シェル厚みDexは、下式によって求めることができる。
Dex=kptex 1/2
但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
以上のように、総括熱流束Q1pを用いて測定点における凝固シェル厚みDp及び凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みD1pを求めることができ、これらDpまたはD1pに基づいて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを精度よく予測することができる。
そして、鋳型出口に至る手前の測定点でのデータに基づき鋳型出口での凝固シェル厚みが予測できれば、より早い段階でのブレークアウト防止のための制御が可能となる。
しかも、鋳型出口での凝固シェル厚みDexに基づくブレークアウト発生の有無の指標は、前述した熱流束の変化のみに基づくものに比較してより直接的な指標であることから、その精度が高いと言える。
なお、測定位置での凝固シェル厚みDp、D1pに基づいて鋳型出口での凝固シェル厚みを予想する方法については、上記のD=kt1/2に限定されるものではなく、例えば測定位置が再溶解の影響の少ない鋳型出口に近い場合には、定常状態におけるプロファイルに基づいて測定位置以降の凝固シェルの成長分を予測するようにしてもよい。
本発明は以上の知見を基になされたものであり、具体的には以下の構成からなる。
(1)本発明に係る連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法は、連続鋳造における鋳型内の溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの間に凝固界面へ入熱する熱流束q1を測定し、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求め、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求め、
該熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在しない場合には、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる面積のうち湯面から鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束を総括熱流束Q1pとし、
前記熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合には、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口方向所定位置までの熱流束プロファイルの曲線で囲まれる面積に相当する総括熱流束から前記Q2のうちの前記極小点から前記鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束Q2pを差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1pとし、
これら総括熱流束Q1pを用いて下式(2)に基づいて鋳型出口方向所定位置における凝固シェル厚みDpを推定し、さらにこの推定値Dpを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを推定することを特徴とするものである。
q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
Dp=Q1p/(ΔH・ρ) ・・・・・・・・・・ (2)
但し、
Dp :鋳型内の湯面から鋳型出口方向所定位置での凝固シェル厚み(m)
Q1p:総括熱流束(J/m2)
ΔH :鋳型内所定位置での凝固シェルの単位重量当たりのエンタルピー落差(J/kg)
ρ :鋳型内所定位置の凝固シェル密度(kg/m3)
なお、鋳型出口方向所定位置としては、浸漬ノズルからの吐出流による再溶解が生ずる可能性がある部位よりも鋳型出口寄りの位置とするのが好ましく、例えば熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合には、極小点よりも鋳型出口方向よりの位置にするのが好ましい。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、鋳型内所定位置で推定された凝固シェル厚みDpを用いた鋳型出口での凝固シェル厚みDexの予測を下式に基づいて行うことを特徴とするものである。
Dex=kptex 1/2
但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
凝固定数kpは、下式によって求める
p=Dp/tp 1/2
但し、tp=(湯面から鋳型内所定位置までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
(3)また、上記(1)に記載のものにおいて、熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合において、総括熱流束Q2pによる再溶解によって生ずる凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みD1pを推定し、このD1pを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを推定する方法であって、上記(1)によって求められた凝固シェル厚みをDpとすると、D1p=Dp(1−RS)とすることを特徴とするものである。
但し、RS=β×(V0.8・Δθ)
β :凝固遅れ定数(無単位)
V :溶鋼流速(m/s)
Δθ:溶鋼過熱度(℃)
RS :凝固遅れ度(無単位)
但し、V=(Q2/(α・t・Δθ))1.25
Q2p:総括熱流束(J/m2)
α:溶鋼流速定数(無単位)
t:凝固シェルが熱流束プロファイルにおける極小点を通過してから
鋳型内所定位置に至るまでに要する時間(S)
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、凝固シェル厚みD1pを用いた鋳型出口での凝固シェル厚みDexの予測を下式に基づいて行うことを特徴とするものである。
Dex=k1ptex 1/2
但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
凝固定数k1pは、下式によって求める
k1p=D1p/tp 1/2
但し、tp=(湯面から鋳型内所定位置までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
(5)また、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のものにおいて、熱流束q1は、鋳型内に鋳型厚み方向で埋め込み深さの異なる2点間に埋め込んだ一対の熱電対を、鋳型鋳造方向に複数設置して、前記一対の熱電対の出力に基づいて下式によって求める局所熱流束であることを特徴とするものである。
q1=λ(T1−T2)/d
但し、q1:熱流束(J/s・m2)
λ:鋳型の熱伝導率(J/s・m・℃)
T1、T2:熱電対の検出温度(℃)
d:熱電対の埋設間隔(m)
(6)本発明に係る連続鋳造におけるブレークアウト検出方法は、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法を用いた連続鋳造におけるブレークアウト検出方法であって、上記(1)乃至(5)に記載の連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法によって予測された鋳型出口における凝固シェル厚みと、予めブレークアウト発生の危険性との関係で求めた閾値とに基づいてブレークアウト発生の危険を検出することを特徴とするものである。
(7)本発明に係る連続鋳造における凝固シェル厚み推定装置は、鋳型厚み方向に異なる深さの2点に埋め込んだ一対の熱電対を、鋳型鋳造方向に複数設置してなる熱電対群と、該熱電対群からの温度情報を入力して各熱電対設置部位における局所熱流束q1を求める局所熱流束演算手段と、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求めたデータを記憶する定常凝固界面入熱記憶手段と、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求めるプロファイル演算手段と、該プロファイル演算手段によって求められた熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在しない場合は、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積のうち湯面から鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束を総括熱流束Q1pとし、前記プロファイル演算手段によって求められた熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合は、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口方向所定位置までの熱流束プロファイルの曲線で囲まれる面積に相当する総括熱流束から前記Q2のうちの前記極小点から前記鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束Q2pを差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1pとし、これら総括熱流束Q1pを用いて下式(2)に基づいて鋳型出口方向所定位置における凝固シェル厚みDpの推定値を演算し、さらにこの推定値Dpを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを演算する凝固シェル厚演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
Dp=Q1p/(ΔH・ρ) ・・・・・・・・・・ (2)
但し、
Dp :鋳型内の湯面から鋳型出口方向所定位置での凝固シェル厚み(m)
Q1p:総括熱流束(J/m2)
ΔH :鋳型内所定位置での凝固シェルの単位重量当たりのエンタルピー落差(J/kg)
ρ :鋳型内所定位置の凝固シェル密度(kg/m3)
(8)また、上記(7)に記載のものにおいて、凝固シェル厚演算手段は、凝固シェル厚みDpを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを求める演算を下式に基づいて行うことを特徴とするものである。
Dex=kptex 1/2
但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
凝固定数kpは、下式によって求める
p=Dp/tp 1/2
但し、tp=(湯面から鋳型内所定位置までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
(9)また、上記(7)に記載のものにおいて、総括熱流束Q2pによる再溶解によって生ずる凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みをD1pとし、請求項7によって求められた凝固シェル厚みDpとし、凝固シェル厚演算手段は凝固シェル厚みD1pを下式に基づいて演算し、凝固シェル厚みD1pを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを演算することを特徴とするものである。
D1p=Dp(1−RS)
但し、RS=β×(V0.8・Δθ)
β :凝固遅れ定数(無単位)
V :溶鋼流速(m/s)
Δθ:溶鋼過熱度(℃)
RS :凝固遅れ度(無単位)
但し、V=(Q2/(α・t・Δθ))1.25
Q2:総括熱流束(J/m2)
α:溶鋼流速定数(無単位)
t:凝固シェルが熱流束プロファイルにおける極小点を通過してから
鋳型内所定位置に至るまでに要する時間(S)
(10)また、上記(9)に記載のものにおいて、凝固シェル厚演算手段は、凝固シェル厚みD1pを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを求める演算を下式に基づいて行うことを特徴とするものである。
Dex=k1ptex 1/2
但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
凝固定数kpは、下式によって求める
k1p=D1p/tp 1/2
但し、tp=(湯面から鋳型内所定位置までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
(11)本発明に係るブレークアウト検出装置は、上記(7)乃至(10)のいずれかに記載の凝固シェル厚み推定装置を用いた連続鋳造におけるブレークアウト検出装置であって、凝固シェル厚演算手段の演算値を入力して、該演算値と予めブレークアウト発生の危険性との関係で求めた閾値とに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するブレークアウト判定手段を備えたことを特徴とするものである。
(12)本発明に係る連続鋳造におけるブレークアウト防止装置は、上記(11)に記載のブレークアウト検出装置を用いたブレークアウト防止装置であって、ブレークアウト判定手段の信号を入力して、ブレークアウト判定手段がブレークアウトの危険有りと判定した場合において、鋳造速度を下げるように操業条件を制御し、または該制御に加えて鋳型内の溶鋼流速を低下させる制御を行う制御手段を備えたことを特徴とするものである。
本発明においては、連続鋳造における鋳型内の溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの間に凝固界面へ入熱する熱流束q1を測定し、熱流束q1と定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求め、該熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合において、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口方向所定位置までの該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束から前記Q2のうちの前記極小点から前記鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束Q2pを差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1pとし、この総括熱流束Q1pを用いて鋳型出口における凝固シェル厚みDexを推定するようにしたので、精度よく凝固シェル厚みを推定することができる。
本発明の一実施の形態に係るブレークアウト防止装置を設置した連続鋳造設備の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、熱電対を埋め込んだ連続鋳造用鋳型の断面図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、熱電対の埋め込み方法の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、熱電対の取り付け位置の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、局所熱流束と湯面からの距離の関係を示すグラフである。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、溶鋼流速と湯面からの距離の関係を示すグラフである。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、局所熱流束と湯面からの距離の関係を示すグラフである。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、局所熱流束と湯面からの距離の関係を示すグラフによって示される熱流束プロファイルの面積の求め方の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、局所熱流束と湯面からの距離の関係を示すグラフによって示される熱流束プロファイルの面積の求め方の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、局所熱流束と湯面からの距離の関係を示すグラフによって示される熱流束プロファイルの面積の求め方の説明図である。 課題を解決するための手段を説明する説明図であり、鋳造速度と鋳型出口方向所定位置におけるシェル厚み方向の平均温度との関係を示すグラフで、縦軸が鋳型出口シェル厚み方向平均温度(℃)、横軸が鋳造速度(m/min)を示している。 本発明の実施例の説明図である。
図1は本発明の一実施の形態に係るブレークアウト防止装置を設置した連続鋳造設備の説明図であり、図2と同一部分には同一の符号を付してある。
連続鋳造設備は、鋳型1とタンディッシュ40の底部に接続され鋳型1内に設置されて、タンディッシュ40からの溶鋼5を吐出する浸漬ノズル3と、鋳型1から出た鋳片19をガイドするガイドローラ21と、鋳片19を引抜くためのピンチロール23と、ピンチロール23を回転駆動するためのモーター25と、モーター25を制御するためのピンチロール制御装置27とを備えている。
このような構成の連続鋳造設備には、以下の構成からなるブレークアウト防止装置が設けられている。
ブレークアウト防止装置は、鋳型1を形成している鋳型銅板11に異なる深さの2点に埋め込んだ一対の熱電対17を、鋳型幅方向および鋳造方向に複数設置してなる熱電対群と、鋳型厚み方向に該熱電対群17からの温度情報を入力して各熱電対設置部位における局所熱流束q1を演算する局所熱流束演算手段29と、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求めたデータを記憶する定常凝固界面入熱記憶手段31と、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求める熱流束プロファイル演算手段32と、熱流束プロファイル演算手段32によって求められた熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在しない場合は、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積のうち湯面から鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束を総括熱流束Q1pとし、前記プロファイル演算手段によって求められた熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合は、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口方向所定位置までの熱流束プロファイルの曲線で囲まれる面積に相当する総括熱流束から前記Q2のうちの前記極小点から前記鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束Q2pを差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1pとし、これら総括熱流束Q1pを用いて下式(2)に基づいて鋳型出口方向所定位置における凝固シェル厚みDpの推定値を演算し、さらにこの推定値Dpを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを演算する凝固シェル厚演算手段33と、凝固シェル厚演算手段33の演算値を入力して、該演算値と予めブレークアウト発生の危険性との関係で求めた閾値とに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するブレークアウト判定手段34と、ブレークアウト判定手段34の信号を入力して、ブレークアウト判定手段がブレークアウトの危険有りと判定した場合において、鋳造速度を下げる及び/又は鋳型冷却を強くするように操業条件を制御し、または該制御に加えて鋳型内の溶鋼流速を低下させる制御を行う制御手段35と、ブレークアウト判定手段34がブレークアウトの危険有りと判定したときに、警報を発する警報装置37とを備えている。
q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
Dp=Q1p/(ΔH・ρ) ・・・・・・・・・・ (2)
但し、
Dp :鋳型内の湯面から鋳型出口方向所定位置での凝固シェル厚み(m)
Q1p:総括熱流束(J/m2)
ΔH :鋳型内所定位置での凝固シェルの単位重量当たりのエンタルピー落差(J/kg)
ρ :鋳型内所定位置の凝固シェル密度(kg/m3)
以下、各構成をさらに詳細に説明する。
<熱電対>
熱電対17は図3、図4で示したのと同様に鋳型銅板11に埋め込まれている。すなわち、鋳型銅板11の外側面に形成された冷却水通路の底部に孔をあけ、その中に、熱電対17を埋め込み、深さ方向に一定の距離を離した2箇所に埋没した一対の熱電対17を鋳型鋳造方向に9箇所計18本設置している。
なお、熱電対17は鋳型の短辺側及び長辺側に埋め込まれているが、本発明においては、鋳型の各辺ごとに計測して、各辺ごとの計測値に基づいてブレークアウト発生の有無を判定するものである。
<局所熱流束演算手段>
局所熱流束演算手段29は、熱電対17の信号を入力して局所熱流束q1を演算する。局所熱流束演算手段29はCPUが所定のプログラムを実行することにより実現されるものであり、このプログラムには、前述したように、2本の熱電対17の検出温度をT1、T2、埋設間隔をd、及び鋳型1の熱伝導率をλとして、局所熱流束を算出する次式が書き込まれている。
q1=λ(T1−T2)/d
<定常凝固界面入熱記憶手段>
定常凝固界面入熱記憶手段31は、下式(1)に基づいて求めた定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regのデータを記憶する。
q2reg=h・Δθ・・・・・・・・・・(1)
但し、h=1.22×105×V0.8
V:溶鋼流速(m/s)
Δθ=T0−TS
0:鋳型内溶鋼温度(℃)
S:溶鋼固相線温度(℃)
なお、定常凝固界面入熱q2regを求める手法は、所定の鋳造速度で操業したときに鋳造した鋳片のデンドライト傾角から溶鋼流速を求め、この溶鋼流速をもとにして上記(1)式に基づいて定常凝固界面入熱q2regを求める。
<熱流束プロファイル演算手段>
熱流束プロファイル演算手段32は、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求める。
熱流束プロファイル演算手段32は、局所熱流束演算手段29と同様に、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現されるものであり、このプログラムには、上述した熱流束プロファイルを演算するロジックが書き込まれている。
<凝固シェル厚演算手段>
凝固シェル厚演算手段33は、熱流束プロファイル演算手段32によって求められた熱流束プロファイルに基づいて鋳型出口方向所定位置における凝固シェル厚みDpを演算する。具体的な演算方法は以下の通りである。
熱流束プロファイル演算手段32によって求められた熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在しない場合は、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積のうち湯面から鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束をQ1pとし、この総括熱流束Q1pを用いて下式(2)に基づいて鋳型出口方向所定位置における凝固シェル厚みDを演算する。
また、熱流束プロファイル演算手段32によって求められた熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合は、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口方向所定位置までの熱流束プロファイル曲線全体で囲まれる全面積に相当する総括熱流束から前記Q2のうちの前記極小点から前記鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束Q2pを
を差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ12pとし、この総括熱流束Q1pを用いて下式(2)に基づいて鋳型出口方向所定位置における凝固シェル厚みDpを演算する。
Dp=Q1p/(ΔH・ρ) ・・・・・・・・・・ (2)
但し、
Dp :鋳型内の湯面から鋳型出口方向所定位置での凝固シェル厚み(m)
Q1p:総括熱流束(J/m2)
ΔH :鋳型内所定位置での凝固シェルの単位重量当たりのエンタルピー落差(J/kg)
ρ :鋳型内所定位置の凝固シェル密度(kg/m3)
また、凝固シェル厚演算手段33は、凝固シェル厚みDpを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを求める演算を下式に基づいて行う。
Dex=kptex 1/2
但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
凝固定数kpは、下式によって求める
p=Dp/tp 1/2
但し、tp=(湯面から鋳型内所定位置までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
なお、より精度を向上させた計算方法として、凝固シェル厚演算手段33は総括熱流束Q2による再溶解によって生ずる凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みD1pを、下記式(3)により得られる凝固遅れ度RSを用いて、式D1p=Dp(1−RS)により算出するようにしてもよい。
前記熱流束プロファイルにおいて極小点が存在しない場合は、D1pの代わりにDpを求めるアルゴリズムとしても、Q2=0としてD1を求めるアルゴリズムとしても得られる結果が同じなので、いずれも選択可能である。
RS=β×(V0.8・Δθ)・・・・・・・・・・ (3)
β :凝固遅れ定数(無単位)
V :溶鋼流速(m/s)
Δθ:溶鋼過熱度(℃)
RS :凝固遅れ度(無単位)
但し、V=(Q2/(α・t・Δθ))1.25
Q2p:総括熱流束(J/m2)
α:溶鋼流速定数(無単位)
t:凝固シェルが熱流束プロファイルにおける極小点を通過してから
鋳型内所定位置に至るまでに要する時間(S)
<ブレークアウト判定手段>
ブレークアウト判定手段34は、凝固シェル厚演算手段33の演算値を入力して、該演算値と予めブレークアウト発生の危険性との関係で求めた閾値とに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定する。
閾値は、種々のQ1p、Q2pと、それに対する鋳型出口での凝固シェル厚みDexと、当該凝固シェル厚みにおけるブレークアウト発生の有無について、予めシミュレーション実験や実操業におけるデータを取得することによって求めておく。
例えば、鋳型出口での目標凝固シェル厚を20〜30mmとし、凝固シェル厚が5〜7mm以下をブレークアウトの危険がある閾値とする。
ブレークアウト判定手段34についても、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現されるものであり、このプログラムには上述した判定のロジックが書き込まれている。
<制御手段>
制御手段35は、ブレークアウト判定手段34がブレークアウトの危険有りと判定したときに、該判定結果に基づいてブレークアウトを回避するために各種の装置の制御を行う。
具体的には、ブレークアウト判定手段34からブレークアウトの危険有りとの信号を入力すると、ピンチロール制御装置27に対してモーター25の回転速度の減速を指令する信号を出力する。また、これに加えて電磁ブレーキ装置41に対して鋳型1内の溶鋼流速を低下させるような直流磁場をかける信号を出力するようにしてもよい。
また、制御手段35は、ブレークアウト判定手段34からのブレークアウトの危険有りとの信号を入力すると、警報装置37に対して警報を発するように指令信号を出力する。
制御手段35についても、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現されるものであり、このプログラムには上述した指令信号を出力するロジックが書き込まれている。
<警報装置>
警報装置37は、ブレークアウト判定手段34からの信号を入力して警報を発する。警報の種類は問わないが、例えば警報音、警報ランプの点灯、これらの組合せなどである。
以上のように構成された本実施の形態の動作を説明する。
浸漬ノズル3から溶鋼5を吐出して鋳型1によって冷却して鋳片19を連続鋳造する操業において、熱電対17からの信号を局所熱流束演算手段29に入力して局所熱流束を演算し、この演算結果を熱流束プロファイル演算手段32に入力する。熱流束プロファイル演算手段32は、局所熱流束演算手段29から入力された局所熱流束q1と、定常凝固界面入熱記憶手段31に記憶されている定常凝固界面入熱q2regに基づいて、q1−q2regを演算すると共にこの演算結果に基づいて熱流束プロファイルを演算する。
凝固シェル厚演算手段33は、熱流束プロファイル演算手段32によって求められた熱流束プロファイルに基づいて前述した方法により総括熱流束Q1pを求め、この総括熱流束Q1pに基づいて前述した方法により鋳型出口所定位置における凝固シェル厚みDpを演算する。また、凝固シェル厚演算手段33は、凝固シェル厚みDpを用いて、上述の方法により鋳型出口での凝固シェル厚みDexを求める。
ブレークアウト判定手段34は、凝固シェル厚演算手段33によって演算入力された凝固シェル厚みDexを入力して、この値と予め定めた閾値との関係でブレークアウト発生の危険の有無を判定する。
判定の結果、ブレークアウト発生の危険がない場合には、そのまま操業を続行する。
一方、判定の結果、ブレークアウト発生の危険があると判定された場合には、ブレークアウト判定手段34が、制御手段35に対してブレークアウトの危険がある旨を出力する。また、それと同時に警報装置37に対して警報を発する指令信号を出力する。
制御手段35は、ブレークアウト判定手段34からの信号を入力すると、例えば鋳造速度を低下させると共に溶鋼流速を低下させるための制御を行なう。
具体的には、ピンチロール制御装置27に対してモーター25の回転速度の減速を指令する信号を出力する。この信号を入力したピンチロール制御装置27はモーター25の回転数を下げるように制御する。
モーター25の回転数を下げることにより、鋳造速度が低下し、鋳型1内での凝固シェル厚が厚くなるので、ブレークアウト発生の危険を回避することができる。
また、制御手段35は電磁ブレーキ装置41に対して鋳型1内の溶鋼流速を低下させるような直流磁場をかける信号を出力し、この信号が出力されると電磁ブレーキ装置41によって鋳型1に直流磁場がかけられ鋳型1内の溶鋼流速が低下し、溶鋼流速が低下して溶鋼が凝固シェル界面に衝突する速度が低下し、凝固シェルの再溶解の程度が小さくなるので、やはり凝固シェル厚みが厚くなりブレークアウト発生の危険を回避することができる。
本実施の形態によれば、ブレークアウトに直接関係する鋳型出口における凝固シェル厚みを求めることができるので、この凝固シェル厚みに基づいてブレークアウト発生の有無を判定することができ、種々の操業条件下で、ブレークアウトの発生を、感度良く、簡単かつ確実に予知して、ブレークアウトを確実に防止することができる。
しかも、鋳型出口の手前である鋳型出口方向所定位置での凝固シェル厚みDpを推定し、この推定値に基づいて鋳型出口における凝固シェル厚みDexを予測しているので、より早い段階でのブレークアウトの予測ができ、それ故にブレークアウトを防止するための制御がより早くかつより確実に行なうことができる。
なお、上記の[課題を解決するための手段]の項や実施の形態においては、熱流束プロファイルから総括熱流束やコブの大きさに相当する熱流束の積算値を求める手法として幾何学的に行なう手法を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば総括熱流束についてはグラフを積分することで求めてもよい。
また、上記の実施の形態において、ブレークアウトの危険有りと判定された場合において、ブレークアウトを回避するための制御として、鋳造速度を減速させること及び鋳型内の溶鋼流速を低下させることを挙げたが、鋳型冷却を強化させることによって凝固シェル厚を増すような制御を行ってもよい。
実施例を図12に基づいて説明する。
極低炭素鋼について、2.0m/分の鋳造速度で操業を行っていたところ、湯面位置から鋳型出口方向400mmの位置における凝固シェル厚みDpの演算値が4mmとなり、この凝固シェル厚みDpに基づく鋳型出口での凝固シェル厚みDexの演算値が5.7mmとなり、ブレークアウト臨界厚みである8mm以下となると予測された(図12における白抜き△参照)。
そこで、鋳造速度を0.5m/分まで落としたところ、図12に示すように鋳型出口での凝固シェル厚みDexは8mmを超えた十分な厚みを得ることができ、ブレークアウトの発生を防止することができた(図12における黒塗り▲参照)。
なお、凝固シェル厚を十分厚くした後は、再び鋳造速度を上げることによって、高速鋳造を行なうことができる。
1 鋳型
3 浸漬ノズル
5 溶鋼
7 モールドパウダー
9 凝固シェル
11 鋳型銅板
17 熱電対
19 鋳片
21 ガイドローラ
23 ピンチロール
25 モーター
27 ピンチロール制御装置
29 局所熱流束演算手段
31 定常凝固界面入熱記憶手段
32 熱流束プロファイル演算手段
33 凝固シェル厚演算手段
34 ブレークアウト判定手段
35 制御装置
37 警報装置
41 電磁ブレーキ装置

Claims (12)

  1. 連続鋳造における鋳型内の溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの間に凝固界面へ入熱する熱流束q1を測定し、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求め、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求め、
    該熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在しない場合には、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる面積のうち湯面から鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束を総括熱流束Q1pとし、
    前記熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合には、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口方向所定位置までの熱流束プロファイルの曲線で囲まれる面積に相当する総括熱流束から前記Q2のうちの前記極小点から前記鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束Q2pを差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1pとし、
    これら総括熱流束Q1pを用いて下式(2)に基づいて鋳型出口方向所定位置における凝固シェル厚みDpを推定し、さらにこの推定値Dpを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを推定することを特徴とする連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法。
    q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
    但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
    h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
    Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
    Dp=Q1p/(ΔH・ρ) ・・・・・・・・・・ (2)
    但し、
    Dp :鋳型内の湯面から鋳型出口方向所定位置での凝固シェル厚み(m)
    Q1p:総括熱流束(J/m2)
    ΔH :鋳型内所定位置での凝固シェルの単位重量当たりのエンタルピー落差(J/kg)
    ρ :鋳型内所定位置の凝固シェル密度(kg/m3)
  2. 鋳型内所定位置で推定された凝固シェル厚みDpを用いた鋳型出口での凝固シェル厚みDexの予測を下式に基づいて行うことを特徴とする請求項1記載の凝固シェル厚み推定方法。
    Dex=kptex 1/2
    但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
    凝固定数kpは、下式によって求める
    p=Dp/tp 1/2
    但し、tp=(湯面から鋳型内所定位置までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
  3. 熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合において、総括熱流束Q2pによる再溶解によって生ずる凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みD1pを推定し、このD1pを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを推定する方法であって、請求項1によって求められた凝固シェル厚みをDpとすると、D1p=Dp(1−RS)とすることを特徴とする請求項1記載の連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法。
    但し、RS=β×(V0.8・Δθ)
    β :凝固遅れ定数(無単位)
    V :溶鋼流速(m/s)
    Δθ:溶鋼過熱度(℃)
    RS :凝固遅れ度(無単位)
    但し、V=(Q2/(α・t・Δθ))1.25
    Q2p:総括熱流束(J/m2)
    α:溶鋼流速定数(無単位)
    t:凝固シェルが熱流束プロファイルにおける極小点を通過してから
    鋳型内所定位置に至るまでに要する時間(S)
  4. 凝固シェル厚みD1pを用いた鋳型出口での凝固シェル厚みDexの予測を下式に基づいて行うことを特徴とする請求項3記載の凝固シェル厚み推定方法。
    Dex=k1ptex 1/2
    但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
    は、下式によって求める
    凝固定数k1p=D1p/tp 1/2
    但し、tp=(湯面から鋳型内所定位置までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
  5. 熱流束q1は、鋳型内に鋳型厚み方向で埋め込み深さの異なる2点間に埋め込んだ一対の熱電対を、鋳型鋳造方向に複数設置して、前記一対の熱電対の出力に基づいて下式によって求める局所熱流束であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法。
    q1=λ(T1−T2)/d
    但し、q1:熱流束(J/s・m2)
    λ:鋳型の熱伝導率(J/s・m・℃)
    T1、T2:熱電対の検出温度(℃)
    d:熱電対の埋設間隔(m)
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法を用いた連続鋳造におけるブレークアウト検出方法であって、請求項1乃至5に記載の連続鋳造における凝固シェル厚み推定方法によって予測された鋳型出口における凝固シェル厚みと、予めブレークアウト発生の危険性との関係で求めた閾値とに基づいてブレークアウト発生の危険を検出することを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト検出方法。
  7. 鋳型厚み方向に異なる深さの2点に埋め込んだ一対の熱電対を、鋳型鋳造方向に複数設置してなる熱電対群と、該熱電対群からの温度情報を入力して各熱電対設置部位における局所熱流束q1を求める局所熱流束演算手段と、定常状態における鋳型内の溶鋼流動による定常凝固界面入熱q2regを下式(1)に基づいて求めたデータを記憶する定常凝固界面入熱記憶手段と、これら熱流束q1と定常凝固界面入熱q2regの差(q1−q2reg)について溶鋼が湯面から鋳型出口に至るまでの熱流束プロファイルを求めるプロファイル演算手段と、該プロファイル演算手段によって求められた熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在しない場合は、湯面位置から鋳型出口間の該熱流束プロファイルの曲線全体で囲まれる全面積のうち湯面から鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束を総括熱流束Q1pとし、前記プロファイル演算手段によって求められた熱流束プロファイルにおいて極小値を示す極小点が存在する場合は、該極小点と鋳型出口での局所熱流束値とを直線で結んだときにこの直線よりも上の部分の面積に相当する総括熱流束をQ2とし、湯面位置から鋳型出口方向所定位置までの熱流束プロファイルの曲線で囲まれる面積に相当する総括熱流束から前記Q2のうちの前記極小点から前記鋳型出口方向所定位置までの面積に相当する総括熱流束Q2pを差し引いた面積に相当する総括熱流束をQ1pとし、これら総括熱流束Q1pを用いて下式(2)に基づいて鋳型出口方向所定位置における凝固シェル厚みDpの推定値を演算し、さらにこの推定値Dpを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを演算する凝固シェル厚演算手段とを備えたことを特徴とする連続鋳造における凝固シェル厚み推定装置。
    q2reg=h・Δθ ・・・・・・・・・・ (1)
    但し、q2reg:定常凝固界面入熱(J/s・m2)
    h:溶鋼と凝固シェルの間の熱伝達係数(J/s・m2・℃)
    Δθ:溶鋼の過熱度(℃)
    Dp=Q1p/(ΔH・ρ) ・・・・・・・・・・ (2)
    但し、
    Dp :鋳型内の湯面から鋳型出口方向所定位置での凝固シェル厚み(m)
    Q1p:総括熱流束(J/m2)
    ΔH :鋳型内所定位置での凝固シェルの単位重量当たりのエンタルピー落差(J/kg)
    ρ :鋳型内所定位置の凝固シェル密度(kg/m3)
  8. 凝固シェル厚演算手段は、凝固シェル厚みDpを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを求める演算を下式に基づいて行うことを特徴とする請求項7記載の凝固シェル厚み推定装置。
    Dex=kptex 1/2
    但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
    凝固定数kpは、下式によって求める
    p=Dp/tp 1/2
    但し、tp=(湯面から鋳型内所定位置までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
  9. 総括熱流束Q2pによる再溶解によって生ずる凝固遅れを考慮した凝固シェル厚みをD1pとし、請求項7によって求められた凝固シェル厚みDpとし、凝固シェル厚演算手段は凝固シェル厚みD1pを下式に基づいて演算し、凝固シェル厚みD1pを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを演算することを特徴とする請求項7記載の連続鋳造における凝固シェル厚み推定装置。
    D1p=Dp(1−RS)
    但し、RS=β×(V0.8・Δθ)
    β :凝固遅れ定数(無単位)
    V :溶鋼流速(m/s)
    Δθ:溶鋼過熱度(℃)
    RS :凝固遅れ度(無単位)
    但し、V=(Q2/(α・t・Δθ))1.25
    Q2:総括熱流束(J/m2)
    α:溶鋼流速定数(無単位)
    t:凝固シェルが熱流束プロファイルにおける極小点を通過してから
    鋳型内所定位置に至るまでに要する時間(S)
  10. 凝固シェル厚演算手段は、凝固シェル厚みD1pを用いて鋳型出口での凝固シェル厚みDexを求める演算を下式に基づいて行うことを特徴とする請求項9記載の凝固シェル厚み推定装置。
    Dex=k1ptex 1/2
    但し、texは凝固時間であり、tex=(湯面から鋳型出口までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
    凝固定数kpは、下式によって求める
    k1p=D1p/tp 1/2
    但し、tp=(湯面から鋳型内所定位置までの距離(m)/鋳造速度(m/min))
  11. 請求項7乃至10のいずれか一項に記載の凝固シェル厚み推定装置を用いたブレークアウト検出装置であって、凝固シェル厚演算手段の演算値を入力して、該演算値と予めブレークアウト発生の危険性との関係で求めた閾値とに基づいてブレークアウト発生の危険の有無を判定するブレークアウト判定手段を備えたことを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト検出装置。
  12. 請求項11に記載のブレークアウト検出装置を用いたブレークアウト防止装置であって、ブレークアウト判定手段の信号を入力して、ブレークアウト判定手段がブレークアウトの危険有りと判定した場合において、鋳造速度を下げるように操業条件を制御し、または該制御に加えて鋳型内の溶鋼流速を低下させる制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする連続鋳造におけるブレークアウト防止装置。
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