JP2011073446A - 樹脂成形体の用途 - Google Patents

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誠一郎 早川
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Abstract

【課題】光重合性組成物を光硬化してなる樹脂成形体の用途、特に光学特性、熱特性、機械特性に優れた樹脂成形体であり、とりわけ、ディスプレイ用のフレキシブルなプラスチック基板として有用である樹脂成形体の用途、更に、連続光成形により得られる幅広長尺なフィルムロールの用途を提供すること。
【解決手段】ガスバリア性フィルム、透明導電性フィルム、有機エレクトロルミネッセンス素子、タッチパネルにおいて、(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]を光硬化して得られる樹脂成形体を用いる。この樹脂成形体は、厚さ50〜400μmで、かつ表面の鉛筆硬度が4H以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、光重合性組成物を光硬化してなる樹脂成形体の用途に関し、特に、シート状もしくはフィルム状の樹脂成形体であって、光学特性、熱特性、機械特性に優れた樹脂成形体であり、とりわけ、ディスプレイ用のフレキシブルなプラスチック基板として有用である樹脂成形体の用途に関するものである。更に、連続光成形により得られる幅広長尺なロールフィルムの用途に関するものである。
従来、ディスプレイ用の基板としてはガラスを基板とするものが多く使われてきた。例えば、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイでは厚さ0.3〜0.7mm程度のガラス基板が汎用されている。近年、軽量薄型化の観点から、また、フレキシブルディスプレイの製造を目的に、プラスチック製の基板も使用され始めている。実際、電卓の液晶画面にポリカーボネートの基板が使われたり、携帯電話用の液晶画面にポリエーテルスルホンが基板として使用された経緯もある。この様なプラスチック基板には、光線透過率や複屈折などの光学性能はもとより、耐熱性や線膨張係数などの熱特性、曲げ弾性率や耐衝撃性などの機械特性、吸水率や比重、及び耐薬品、耐溶剤性などの高度な加工適性が要求される。
これらの諸特性を満足するために、熱可塑性あるいは熱硬化性を問わず数多くの樹脂が提案されている。ナノフィラーを配合して耐熱性を向上する手法や、コーティングにより表面硬度を向上する手法なども提案されているが、光学特性が低下したり、ガラスの数倍にコストアップしているのが現状である。
また、近年の提案の中には、特定の光重合性組成物を光硬化して得られる成形体も見受けられる。例えば、2官能の(メタ)アクリレートと分子内に2個以上のチオール基を有するメルカプト化合物とを含有する重合性組成物が、複屈折が小さい樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、3官能以上の脂肪族(メタ)アクリレート化合物を75wt%以上含有する重合性組成物は、耐熱性が高く、複屈折が小さい樹脂成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。また、2官能の脂肪族(メタ)アクリレート化合物と3官能以上の(メタ)アクリレート化合物とを含有する重合性組成物が、耐熱性が高く、線膨張係数が小さい成形体を与えることが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
更にまた、連続方式で光硬化する手法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開平9−152510号公報 特開2002−302517号公報 特開2003−292545号公報 特開2002−011742号公報
しかしながら、これらの開示技術をもってしても諸特性のバランスが取れているとは言いがたい。例えば、特許文献1に開示される技術では、メルカプト化合物の連鎖移動効果により成形体が低複屈折化されるが、逆に硬化速度が低下し、必要な物性を発現するための重合度が得難く、また、単量体の化学構造がリジッドであるため、曲げ弾性率が高くなりすぎ、プラスチック本来のフレキシブル性が失われる。
特許文献2及び3に開示される技術では、多官能の脂肪族(メタ)アクリレートを使用することにより耐熱性は向上されるが、脂肪族単量体を使用しているため吸水率が高くなり、成形体の吸脱湿に伴う寸法変化が大きくなる。更に、分子鎖に衝撃を吸収する化学構造を有しないためもろくなる。軽量薄型以外に、割れにくさもプラスチック化の重要な因子であるが、これらの開示技術では、ガラスと同等の耐衝撃性しか得られないため、成形体の薄型化が困難であった。
上述したフレキシブル性(曲げ弾性率、耐衝撃性)、吸水率、硬化速度などの課題以外にも、表面が傷つきやすいという問題がある。これはプラスチック基板の一般的な課題であるが、基板の表面硬度が不足していると、輸送中や表示デバイスの製造工程においてこすれ傷や微細なへこみが発生する。例えば、枚葉のプラスチック基板は、通常、積み重ねられて輸送されるが、表面硬度が低いと、基板同士がこすれあって、また合紙とこすれあって、多数の傷を生じることになる。現在、割れやすいガラス基板の輸送には、発泡スチロール中に隙間をおいて基板を並べる通い箱が使用されているが、曲げ弾性率の低いプラスチック基板は、自重によるたわみが大きいため、この輸送方式は困難である。液晶テレビに代表されるような近年の大面積化や高精細化を考慮すると、傷やへこみに由来する欠陥は商品の品位を著しく損ねる。そればかりか、信頼性を確保するためにプラスチック基板上に形成されるガスバリア膜や、液晶や有機EL素子を駆動するために形成される導電膜にピンホールなどの欠陥を生じやすい。表面硬度の向上のため、一般的には基板表面をハードコートする手法が用いられるが、帯電しやすいプラスチックは異物を付着しやすく、コート表面の異物欠陥を無くすことは至難の技である。またハードコートや保護フィルムによる多層化はコストアップにつながる。
特に、有機ELディスプレイにおいて、基板の表面平滑性は発光特性やデバイスの寿命に大きく影響する。傷や異物などによる微小な突起やくぼみは、素子の劣化を早め、黒点などの表示欠陥となる。従って、基板の表面硬度は特に重要である。また、表面硬度が不足していると、基板上に電極や有機EL層を成膜する時に、微小な表面荒れが発生し、十分な発光特性が得られない。高輝度化や低消費電力を達成するためには、プラスチック基板の表面硬度の向上が必要である。
一方、プラスチック基板に求められる課題として、枚葉の樹脂成形体では、連続して表示デバイスを作製できず、生産性に劣ることとなるため、樹脂成形体のフィルムロール化が挙げられる。
上記特許文献4に開示される技術では、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に高粘度の光重合性組成物を一定量ずつ押し出し、その上にもう1枚のPETフィルムをラミネートした後、活性エネルギー線を照射して樹脂成形体を得るのであるが、PETフィルムがたわむため、樹脂平坦性を確保できない。
一般的な光学フィルムが数百m以上であることを考えると、少なくとも100m以上の長尺成形体が望まれる。また、成形体の幅は、近年のディスプレイの大面積化や、多面取りによる生産効率の向上を考えると、より幅広であることが必要である。例えば、液晶テレビへの適用を考えると、幅50cm以上の幅広フィルムが望まれる。
成形体をフィルムロールとする時には、特に表面硬度が問題となる。すなわち、表面硬度が低いと、搬送ロールとのこすれ傷や、巻き取り工程におけるフィルム同士のこすれ傷が増加する。表面硬度を向上するために、ハードコート処理したり、保護膜を添付したり、合紙を挿入することはコストアップを招くこととなるため、これらの処理や工程なしに、芯材ロールに成形体を巻き付けられることが好ましい。
上述した課題は、ガラスに代えてプラスチック基板が使用される機会を大きく減ずる理由であった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、フレキシブルディスプレイに好適な樹脂成形体の用途、更には、フィルムロールとなることが容易な樹脂成形体の用途を提供することを目的とするものである。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]を光硬化して得られる樹脂成形体であって、厚さ50〜400μmで、かつ表面の鉛筆硬度が4H以上である樹脂成形体が、上記目的に合致することを見出し本発明を完成した。
本発明の樹脂成形体においては、曲げ弾性率が2.5〜3.5GPa(25℃)であることが好ましく、少なくとも片面の表面粗さRaが20nm以下であることがより好ましい。
更に、本発明では、(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]が、下記成分(A)、(B)、及び(C)を含有してなり、かつ、成分(A)と成分(B)の配合割合が、重量比で30:70〜70:30であることが表面硬度や曲げ弾性率や耐熱性などの物性バランスの点で好ましい。
(A)脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート
(B)脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、(A)を除く。)
(C)光重合開始剤
なお、ここでいう多官能とは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することを意味する。
また、本発明の樹脂成形体は、光線透過率が90%以上、かつ屈折率が1.48〜1.54であること、リタデーションが10nm以下であること、ガラス転移点が120℃以上、かつ線膨張係数が20〜70ppm/℃であることが特に好ましい。
そして、本発明の樹脂成形体は、特に有機ELディスプレイ用の基板として好適に使用することができる。
本発明における樹脂成形体の製造方法としては、(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]を、波長200〜400nmの活性エネルギー線を用いて、照射光量5J/cm以下で光硬化することが好ましく、(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]を30重量%以上含む溶液を、連続したキャスト基材に流延し、乾燥後、光硬化して得ることがより好ましく、さらに、光硬化後に100℃以上の温度で熱処理することが特に好ましい。
また、本発明は、該樹脂成形体の少なくとも片面にガスバリア膜が成膜されたガスバリア性フィルムに関する。該ガスバリア膜は、酸化珪素膜及び/又はビニルアルコール系樹脂膜が好ましい。より好ましくは、該酸化珪素膜上に、ビニルアルコール系樹脂膜が積層されたガスバリア性フィルムであり、特には樹脂成形体/酸化珪素膜/ビニルアルコール系樹脂膜の層構成で成膜されてなるガスバリア性フィルムであることが好ましい。
更に、本発明は、該ガスバリア性フィルムの少なくとも片面に透明導電膜が成膜されてなる透明導電性フィルム、及び該透明導電性フィルムを用いた有機EL素子に関するものである。
本発明によれば、光学特性と熱特性、機械特性に優れ、特に高い表面硬度を有し、ディスプレイ用のフレキシブル基板に適した樹脂成形体を容易に製造することができる。また、特に、長さ100m以上、幅50cm以上である幅広長尺な樹脂成形体を得ることができる。これらの樹脂成形体は、高い表面硬度、高い表面平滑性、及び適度な曲げ弾性率を有するため、ガスバリア性に優れたガスバリア膜や導電性に優れた導電膜の積層が容易であり、発光特性に優れる有機ELディスプレイ用の基板として好適である。
本発明による透明導電性フィルムを用いた有機EL素子
以下、本発明につき詳細に説明する。なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの総称である。
本発明の樹脂成形体は、(メタ)アクリレート系の光重合性組成物[I]を光硬化して得られる厚さ50〜400μmで、かつ表面の鉛筆硬度が4H以上である樹脂成形体である。樹脂成形体の厚さは、プラスチック基板のフレキシブル性に直接影響するため、厚さが400μmを超えると、フレキシブル性が失われ、フィルムをロール化することも困難になり、逆に、50μm未満では、ディスプレイの支持体としての機能に乏しくなる。厚さのより好ましい範囲は70〜300μm、更に好ましくは80〜200μm、特に好ましくは90〜150μmである。また、鉛筆硬度4H未満では、表示デバイスの製造工程において樹脂成形体の表面に傷がつきやすい。これは、異物とのこすれ傷だけではなく、プラスチック基板が搬送される際に用いられる高強度の樹脂製ジグやSUS製ジグ、あるいはこれらのジグを覆う一般的なハードコート層が4H程度の表面硬度を有するためである。樹脂成形体の表面に傷が存在すると、表面にガスバリア膜を成膜した時に十分なガスバリア性を発揮できない。また表面に導電膜を成膜した時に十分な導電性を発揮できない。特に、有機ELディスプレイ用の基板に用いた場合には発光特性が低下することにもなる。成形体表面の鉛筆硬度は、好ましくは5H〜8H、さらに好ましくは6H〜7Hである。
本発明の樹脂成形体は、曲げ弾性率が2.5〜3.5GPa(25℃)であることが好ましい。曲げ弾性率が2.5GPa未満では、樹脂成形体の靱性不足のため、成膜工程や表示デバイス製造工程でたわみやうねりが生じ、均一なガスバリア性や導電性を確保できない傾向にある。曲げ弾性率が3.5GPaを超えると、樹脂成形体や表示デバイスのフレキシブル性が失われ、フィルムロール化も困難になる。
本発明の樹脂成形体は、表面粗さRaが20nm以下であることがより好ましい。表面粗さが20nmを超えると、ガスバリア性や導電性が低下するばかりではなく、表示デバイスにおいて黒点などの表示欠陥が発生しやすい。
本発明で光硬化に供する(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]は、上記の如き物性を満足するものであれば特に限定されないが、中でも特に下記の(A)、(B)、および(C)を含有してなるものであることが好ましい。
(A)脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレート
(B)脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、(A)を除く。)
(C)光重合開始剤
成分(A)は、分子内に(メタ)アクリロイル基を2個以上含有するウレタン(メタ)アクリレートである。多官能であるため、硬化速度が向上し、生産性良く樹脂成形体を得ることができる。また、光硬化により架橋樹脂を形成し、耐熱性の高い樹脂成形体を得ることができる。通常、多官能になるほど、成形体の曲げ弾性率は増大してフレキシブル性は失われ、耐衝撃性が低下してもろくなるが、成分(A)は分子内にウレタン基を有し、得られる樹脂成形体は水素結合により、適度な靱性を有し、もろくならないため、高度な架橋構造を有していながら、曲げ弾性率や耐衝撃性などの機械強度に優れたフレキシブルな樹脂成形体を得ることができる。一般的に、2官能以上の(メタ)アクリレート系化合物は重合時の収縮が大きく、硬化物が成形型内でひび割れたり、脱型時に破損して樹脂成形体を得ることが難しかったが、本発明で用いる光重合性組成物はウレタン基により強度が向上するため、歩留まり良く樹脂成形体を得ることができる。また、特筆すべきは、表面硬度の向上である。一般的に多官能のウレタン(メタ)アクリレートはハードコート剤として使用されており、その皮膜は高い鉛筆硬度と耐擦傷性を有する。該単量体を樹脂成形体の成分として用いることにより、プラスチック基板の傷つきやすさを改良することができる。この表面硬度の向上は、特に、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートで発現する。また、成分(A)は脂環構造を分子内に有しており、この脂環構造により樹脂成形体の吸水率が低減することとなる。
成分(B)も、多官能の(メタ)アクリレートであるため、高耐熱性の樹脂成形体を与える。成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートよりも耐熱性向上の効果は大きいが、この単量体のみでは、あまりにもガラスライクな架橋樹脂となるためもろい。成分(A)のウレタン(メタ)アクリレートと特定の割合で共重合させることにより、表面硬度に加え、耐熱性とフレキシブル性が両立した樹脂成形体を得ることができる。成分(B)の官能基数が過剰に多いと、耐熱性とフレキシブル性のバランスがくずれるため、成分(B)は2官能であることが好ましく、メタクリレートであることがより好ましい。また、成分(B)も脂環構造を有しており、この脂環構造も樹脂成形体の吸水率を低減する。エステル基やウレタン基は吸水率低減には必ずしも好ましくないが、硬化物の内部に脂環構造を導入することにより、十分に吸水率を低減することができる。また、多官能になるほど光硬化工程における硬化収縮が増大するが、バルキーな脂環構造は収縮の低減に大きく寄与し、成形性を高めることができる。
成分(A)と成分(B)の配合割合は、30:70〜70:30(重量比)である。成分(A)が30重量%未満であると、表面硬度や耐衝撃性などの機械特性に劣り、逆に、成分(A)が70重量%を超えると、吸水率が増加することとなり好ましくない。配合割合の好ましい範囲は、40:60〜60:40(重量比)、より好ましくは、45:55〜55:45(重量比)である。
本発明の(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]は、23℃における粘度が200〜6000mPa・sであることが好ましい。より好ましくは1000〜4000mPa・s、更に好ましくは2000〜3000mPa・sである。粘度が200mPa・s未満では、成形工程において未重合の単量体が残存しやすく、逆に、6000mPa・sを超えると、バッチ式の注型成形する時には型に注入しづらく、連続成形する時には流動ムラによりリタデーションが増大しやすくなり好ましくない。かかる粘度に調整する方法としては、成分(A)及び(B)の種類や配合量を適宜コントロールすることなどが挙げられる。
成分(A)の数平均分子量は、200〜5000であることが好ましい。より好ましくは400〜3000、更に好ましくは500〜1000である。数平均分子量が200未満では、硬化収縮が増大し、複屈折が発生しやすい傾向にある。逆に、5000を超えると、架橋性が低下し、耐熱性が不足する傾向にある。
成分(A)の脂環構造を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、脂環構造を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートを、必要に応じてジブチルチンジラウレートなどの触媒を用いて反応させることにより得ることができる。
脂環構造を有するポリイソシアネート化合物の具体例としては、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、水添化キシリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの3量体化合物などが挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
脂環構造を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応により得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、2種以上混合して用いても良い。これらの反応物の中では、硬化速度の点からアクリレートが好ましく、耐熱性の観点から4官能以上がより好ましく、表面硬度の点から、下記式(1)〜(4)で表される脂環構造を有する4官能以上のウレタンアクリレートが特に好ましい。
Figure 2011073446
Figure 2011073446
Figure 2011073446
ここで、Rは水素又はメチル基である。
Figure 2011073446
成分(B)の脂環構造を有する多官能(メタ)アクリレート(但し、(A)を除く。)としては、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=アクリレートメタクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=ジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカン=アクリレートメタクリレート、2,2−ビス[4−(β−メタクリロイルオキシエトキシ)シクロヘキシル]プロパン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(メタクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(メタクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサンなどの2官能(メタ)アクリレート、1,3,5−トリス(メタクリロイルオキシメチル)シクロヘキサン、1,3,5−トリス(メタクリロイルオキシエチルオキシメチル)シクロヘキサンなどの3官能(メタ)アクリレートがあげられ、これらの中でも、フレキシブル性の点から2官能(メタ)アクリレートが好ましく、耐熱性の点から2官能メタクリレートがより好ましい。更に光学性能の点から下記一般式(5)、(6)、もしくは(7)から選ばれる少なくとも1種以上の2官能(メタ)アクリレートが好ましく、中でも2官能メタクリレートが特に好ましい。
Figure 2011073446
ここで、Rは炭素数1〜6のエーテル結合を含んでも良いアルキレン基、Rは水素又はメチル基、aは1又は2、bは0又は1である。
Figure 2011073446
ここで、Rは炭素数1〜6のエーテル結合を含んでも良いアルキレン基、Rは水素又はメチル基である。
Figure 2011073446
ここで、Rは水素又はメチル基、Rは 炭素数1〜6のエーテル結合を含んでも良いアルキレン基、Rは水素又はメチル基である。
成分(C)は光重合開始剤であり、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどのラジカル開裂型の光重合開始剤が好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。光重合開始剤の配合量は、特に限定されないが、成分(A)と成分(B)の合計100重量部に対して、0.1〜5重量部、更には0.2〜4重量部、特には0.3〜3重量部であることが好ましい。配合量が5重量部を超えると、樹脂成形体のリタデーションが増大し、また400nmにおける光線透過率が低下する傾向にある。一方、0.1重量部未満では重合速度が低下し、重合が十分に進行しないおそれがある。
本発明においては、本発明の樹脂成形体の物性を損ねない範囲で、少量の補助成分を含んでいても良い。例えば、成分(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和結合を有する単量体、重合禁止剤、熱重合開始剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レべリング剤、ブルーイング剤、染顔料、フィラーなどである。
成分(A)及び(B)以外のエチレン性不飽和結合を有する単量体としては、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール以上のポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]プロパン、 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの(メタ)アクリル酸誘導体、スチレン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物が挙げられる。
熱重合開始剤としては、公知の化合物を用いることができる。例えば、ハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)等のパーオキシエステル、ベンゾイルパーオキシド等のジアシルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等のパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ケトンパーオキサイド等の過酸化物が挙げられる。
かくして本発明で用いる(メタ)アクリレート系光重合性組成物が得られる。
次に、かかる(メタ)アクリレート系光重合性組成物を用いた本発明の樹脂成形体の製造方法について説明する。
本発明における樹脂成形体の製造方法としては、上記(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]を、波長200〜400nmの紫外線を用いて、照射光量5J/cm以下で光硬化することが好ましい。照射光量のより好ましい範囲は0.5〜4J/cm、更に好ましくは1〜3J/cmである。照射光量が5J/cmを超える場合は生産性に劣り好ましくない。紫外線の照度は、10〜5000mW/cm、好ましくは100〜1000mW/cmである。照度が小さすぎると成形体内部まで十分に硬化しない。逆に、照度が大きすぎると重合が暴走し複屈折が増大する。紫外線は、複数回に分割して照射すると、複屈折がより小さい樹脂成形体が得られるので好ましい。例えば、1回目に全照射量の1/100〜1/10程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射する方法が挙げられる。紫外線源としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、無電極水銀ランプ等が挙げられる。光源から発生する赤外線により重合が暴走するのを防ぐため、ランプに赤外線を遮断するフィルターや赤外線を反射しない鏡等を用いることも可能である。本発明で得られた樹脂成形体は、より重合度の向上のため、あるいは応力ひずみ開放のために熱処理してもよく、100℃以上で熱処理することが好ましい。
一般的に、光成形はバッチ式で行われる。すなわち、厚さ制御のためのスペーサーを介して、2枚の透明ガラスを対向させた型を作製し、そのキャビティに光重合性組成物を注入し、活性エネルギー線を照射して硬化させ、脱型することにより行われる。
本発明の光成形法は、特に限定されずバッチ式でもよいが、特には長尺幅広なフィルムロールが得られる点で、連続成形法がより好ましい。更に、(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]、もしくは(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]を30重量%以上含む溶液を、ベルトやドラムなどの連続したキャスト基材に流延し、乾燥後、連続して光硬化する手法が特に好ましい。以下、本発明の連続光成形法に関して説明する。
本手法で用いられる(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]は、上記成分(A)〜(C)を含むものであるが、必要に応じて、溶剤としては、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、アセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N−メチルピロリドン、セロソルブ類などの通常の有機溶剤を使用することができる。(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]の濃度が30重量%未満では、溶剤乾燥の負荷が大きく生産性に劣ることとなり好ましくない。濃度のより好ましい範囲は50〜95重量%、さらに好ましくは70〜90重量%、特に好ましくは80〜90重量%である。溶液の粘度は、好ましくは100〜5000mPa・s、より好ましくは200〜4000mPa・s、さらに好ましくは300〜3000mPa・s、特に好ましくは400〜2000mPa・sである。粘度が100mPa・s未満では膜厚制御が困難であり、5000mPa・sを超えると平坦性が低下する傾向にある。該溶液には、必要に応じて、剥離剤などの添加剤を少量配合しても良い。剥離剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン性の界面活性剤が好適である。
濃度調整された該溶液は脱泡処理される。脱泡方法としては、静置脱泡や多軸押出機による脱泡などの方法があげられるが、本発明の製造方法においては、生産性の点より、多軸押出機を用いて脱泡する方法が好ましい。多軸押出機としては、ベントを有した多軸押出機であれば、とくに限定されないが、通常はベントを有した2軸押出機が用いられる。多軸押出機の前後には、ギアポンプが設けられており、前段ギアポンプにより該溶液は多軸押出機に供給され、後段ギアポンプにより、脱泡後の溶液は多軸押出機から排出される。
脱泡処理された溶液は、一定量ずつT型スリットダイに導入され、ドラム型ロール又はエンドレスベルトなどのキャスト基材に流延される。T型スリットダイ出口の組成物の温度は、溶剤使用の有無、及び使用される溶剤の種類と量により制御されるが、0〜150℃であることが好ましく、より好ましくは10〜120℃、さらに好ましくは20〜100℃である。T型スリットダイ出口の溶液温度が0℃未満では流動不良となり、150℃をこえると気泡が発生しやすい。
流延に際しては、平滑かつ平坦なドラム型ロール又はエンドレスベルトで行われるが、幅広化や長尺化、膜厚の均一性などの点からドラム型ロールで行うことが好ましく、以下ドラム型ロールを用いた製造法を例にとり説明する。
ドラム型ロール(R1)の直径は、好ましくは0.5〜5m、より好ましくは1〜4m、とくに好ましくは2〜3mである。直径が0.5m未満では乾燥長が不足し、5mをこえると設備製造上困難となり好ましくない。ドラム型ロールの幅は、好ましくは0.5〜5m、より好ましくは1〜4m、特に好ましくは2〜3mである。幅が0.5m未満では生産性に劣り、5mを超えると設備製造上困難となる。ドラム型ロールの回転速度は、溶剤の使用の有無、及び使用する場合は溶剤の種類と量により制御されるが、1〜30m/分であることが好ましく、2〜20m/分であることがより好ましい。回転速度が1m/分未満では生産性が劣る傾向があり、30m/分をこえるとレベリングが十分ではないため得られる樹脂成形体の平坦性に劣り、特に、溶剤を使用する場合は溶剤の乾燥が不充分となる傾向がある。また、ドラム型ロールの表面温度は、溶剤の添加の有無、及び添加する場合は溶剤の種類と量により制御されるが、0〜150℃であることが好ましく、10〜120℃であることがより好ましい。表面温度が0℃未満では、ドラム型ロールに結露が生じたり、レベリング不良や乾燥不良が生じやすい。逆に、150℃をこえると気泡が発生しやすい。
ドラム型ロール(R1)上で(メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]に、活性エネルギー線を照射する。溶剤を使用する場合は、十分に乾燥してから照射を行う。照射する活性エネルギー線は、前述した波長と光量であれば特に限定されない。1段階で必要光量を照射して硬化させてもよいし、一旦硬化体をロール(R1)から剥離し、硬化体が搬送される次のロール(R2)上で、あるいはロール間で2段階目の照射を行ってもよい。この場合、2段階目の照射は、1段階目に活性エネルギー線が照射された逆面より照射することが好ましい。更に、3段階以上で照射を繰り返す場合は、表裏交互に照射を繰り返すことが好ましい。照射は空気中で行われてもよいし、不活性ガス下でもよい。
ロール(R2)、及びそれ以降の搬送ロールは、硬化体の熱処理を目的に、表面温度を設定することができる。表面温度は、特に限定されないが、重合度の向上と応力ひずみ開放の点から50〜200℃が好ましい。例えば、ロール(R3)を設けて、ロール(R2)で加熱された反対面をロール(R3)上で熱処理することも可能であるし、数本のロールで両面の熱処理を繰り返すこともできる。
こうして得られた樹脂成形体は、巻き取りロールに巻き取られてフィルムロール(製品)となる。
上述した手法で得られたフィルムロールは、平坦性と厚み精度に優れ、長さ100m以上の幅50cm以上とすることが可能で、表示デバイスを生産性よく製造するのに好適である。
かくして樹脂成形体が得られるわけであるが、本発明においては、かかる樹脂成形体の光線透過率が90%以上、かつ屈折率が1.48〜1.54であること、リタデーションが10nm以下であること、ガラス転移点が120℃以上、かつ線膨張係数が20〜70ppm/℃であることが特に好ましい。光線透過率や屈折率を上記範囲に満足させるには、例えば、成分(A)、(B)及び(C)の種類や配合量を適宜選択すればよく、リタデーションを上記範囲に満足させるには、例えば、光重合性組成物の粘度や活性エネルギー線の照射方法を適宜選択すればよく、ガラス転移温度や線膨張係数を上記範囲に満足させるには、例えば、成分(A)及び(B)の種類や配合量を適宜選択すればよい。
ここでいう光線透過率とは、波長400〜700nmにおける分光光線透過率であり、基板両面の反射を含むものである。この波長域のいかなる波長においても、光線透過率が90%未満では、表示デバイスの輝度を確保できず、輝度確保のため発光強度を上げると消費電力が増大する。通常、樹脂は紫外線領域に近い400nm付近の光を吸収するが、本発明の樹脂成形体はこの400nmにおいても90%以上の光線透過率を有する。光線透過率のより好ましい範囲は、400〜700nmの全域で91%以上、特に好ましくは92%以上である。光線透過率は基板の屈折率が高いほど低下する。また屈折率が低すぎると、基板上に積層されるガスバリア層や透明導電層などとの界面反射が増大する。屈折率のより好ましい範囲は1.49〜1.54、特に好ましくは1.50〜52である。
樹脂成形体のリタデーションは、特に液晶ディスプレイで問題となる。リタデーションが10nmを超えると、基板を透過する偏光がその偏光特性を維持できないため、画像の精細性が低下する傾向にある。リタデーションは、より好ましくは5nm以下、特に好ましくは2nm以下である。
ガラス転移温度が120℃未満では、表示デバイスの信頼性に欠ける恐れがある。近年の液晶テレビにおいては強力なバックライトを使用するため、基板の温度も120℃近く上昇する。ガラス転移温度が120℃未満では、表示デバイスに変形が生じる恐れがある。ガラス転移温度のより好ましい範囲は160℃以上、更に好ましくは200℃以上である。また、線膨張係数のより好ましい範囲は30〜60ppm/℃、特に好ましくは40〜50ppm/℃である。30ppm/℃未満では、他の光学フィルムとの差が大きくなり画像の精細性が低下することとなり、逆に、70ppm/℃を超えるとデバイス製造時の寸法変化が大きくなり、画素や配線が位置ずれを起こしやすくなる。
本発明により得られる樹脂成形体は、フレキシブルな表示デバイスを作製するのに適している。特に、印刷法などの手法で製造される有機ELディスプレイ用の基板として好適である。フレキシブル性は、樹脂成形体の厚さと曲げ弾性率に依存するが、曲げ弾性率が3.5GPaを超えると柔軟性に欠け、2.5GPa以下では支持体としての機能に乏しい。
また、本発明の樹脂成形体にはガスバリア膜や透明導電膜を成膜することができる。ガスバリア膜としては酸化珪素膜やアルミナなどの無機膜、ポリビニルアルコール系樹脂やエチレン−ビニルアルコール系共重合体などのビニルアルコール系樹脂からなる有機膜が挙げられる。無機膜としては、厚さ0.01〜0.1μmの酸化珪素膜が好ましく、有機膜としては、0.5〜5μmのエチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましい。透明導電膜としては、インジウムとスズの酸化物(ITO)などの無機膜や、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)などの有機膜が挙げられる。
また、以下に、本発明によるプラスチック基板を用いた有機EL素子とその構成について、図1に基づいて説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
基板1上に形成された陽極2(上述の透明導電膜に相当する)は、有機発光層3への正孔注入の役割を果たすものである。この陽極2は、前述したITOやPEDOT以外に、アルミニウム、金、銀、白金、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムの酸化物、スズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などが挙げられる。陽極2の形成は、スパッタリング法、真空蒸着法、スピンコートなどにより行うことができる。陽極2の厚みは、目的とする抵抗値(導電率)により異なるが、0.005〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μmである。
陽極2の上に形成される有機発光層3は、電界が与えられた電極間において、陽極2から注入された正孔と陰極4から注入された電子を効率よく輸送して再結合させ、かつ、再結合により効率よく発光する材料から形成される。この有機発光層3は発光効率の向上のために、正孔注入層3a、正孔輸送層3bと電子輸送層3cに分割した機能分離型にすることが好ましい。
正孔注入層3aに用いられる材料としては、フタロシアニン化合物やポルフィリン化合物が用いられる。正孔注入層3aの膜厚は、通常、0.002〜0.1μm、好ましくは0.005〜0.05μmである。このような膜厚の薄い正孔注入層を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法を採用するのが好適である。
正孔輸送層3bの材料としては、例えば、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物、4,4’−ビス [N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ] ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族ジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−p−キシレン、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体、ビレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物、エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン、スチリル構造を有する芳香族ジアミン、チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結したもの、スターバースト型芳香族トリアミン、ベンジルフェニル化合物、フルオレン基で3級アミンを連結したもの、トリアミン化合物、ビスジピリジルアミノビフェニル、N,N,N−トリフェニルアミン誘導体、フェノキサジン構造を有する芳香族ジアミン、ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体、ヒドラゾン化合物、シラザン化合物、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、また、必要に応じて2種以上を混合して用いてもよい。
正孔輸送層3bは、これらの正孔輸送材料を塗布法又は真空蒸着法により成膜することにより、形成される。正孔輸送層3bの膜厚は、通常、0.01〜0.3μm、好ましくは0.03〜0.1μmである。このような膜厚の薄い正孔輸送層を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法を採用するのが好適である。
電子輸送層3cに用いられる電子輸送性化合物としては、テトラフェニルブタジエンなどの芳香族化合物、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体、シクロペンタジエン誘導体、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、ペリレン誘導体、クマリン化合物、希土類錯体、ジスチリルピラジン誘導体、p−フェニレン化合物、チアジアゾロピリジン誘導体、ピロロピリジン誘導体、ナフチリジン誘導体などが挙げられる。電子輸送層3cの膜厚は、通常、0.01〜0.2μm、好ましくは0.03〜0.1μmである。電子輸送層も正孔輸送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
陰極4は、有機発光層3に電子を注入する役割を果たす。陰極4として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が好適である。陰極4の膜厚は、通常、陽極2と同程度である。
陰極を保護する目的で、この陰極上に更に、大気に対して安定な金属層を積層することにより、素子の安定性を増すことができる。この目的のための金属層には、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が用いられる。
本発明の有機電界発光素子は、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造の素子のいずれにも適用することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
各物性の測定方法は以下の通りである。
(1)ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量
高速液体クロマトグラフィー(昭和電工社製「Shodex GPC system−11型」)に、カラム:「Shodex GPC KF−806L」(排除限界分子量:2×10、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10000段/本、充填剤材質:スチレンージビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いて、標準ポリスチレン分子量換算による数平均分子量を測定した。
(2)粘度
芝浦システム社製B型粘度計「ビスメトロンVS−A1」を用いて、回転数60ppmm(No.3回転子)で測定した。
(3)紫外線の照射照度
オーク製作所製紫外線照度計「UV−M02」で、アタッチメント「UV−35」を用いて測定した。
(4)紫外線の照射光量
オーク製作所製紫外線光量計「UV350」を用いて測定した。
(5)鉛筆硬度
JIS K−5600に準じて測定した。
(6)曲げ弾性率
長さ25(mm)×幅10(mm)の試験片を10枚重ねて、島津製作所社製オートグラフAG−5kNE(支点間距離20mm、0.5mm/分)にて25℃で測定した。
(7)表面粗さ
キーエンス社製レーザーフォーカス顕微鏡「VK−8500」を用いて、樹脂成形体両面のRaを測定した。実施例8〜13の連続成形の場合は、最初のドラム型ロール(R1)との接触面を測定した。測定条件は下記の通りである。
測定長:1mm、対物レンズ:50倍、カットオフ:0.8μm、スムージング:なし
(8)耐擦傷性
1kgの加重をかけたスチールウール#0000を、成形体表面で10往復させた後の表面の傷付き度合いを目視により観察した。傷が付かなかったものを○、傷が付いたものを×とした。
(9)吸水率
JIS K7209に準じ、100mm×100mmサイズの試験片を用いて、50℃、24時間乾燥した後、23℃、24時間水浸漬した後の吸水率を測定した。
(10)光線透過率
分光光度計(日本分光工業(株)製、商品名:「Ubest−35」)を用いて400nmの光線透過率を測定した。
(11)リタデーション
オーク社製複屈折測定装置にて25℃で測定した。
(12)屈折率
アタゴ社アッベ屈折率計RX-2000(NaD線)にて23℃で測定した。
(13)ガラス転移温度
長さ30×幅3(mm)の試験片を用い、セイコー電子社製「TMA120」で、引っ張り法TMA(支点間距離20mm、加重100g、昇温速度5℃/分)にて測定した。
(14)線膨張係数:長さ30(mm)×幅3(mm)の試験片を用い、セイコー電子社製「TMA120」で、引っ張り法TMA(支点間距離20mm、加重10g、昇温速度5℃/分)にて測定した。25℃から100℃に昇温した時の試験片の伸び(mm)を測定し、線膨張係数を下式により算出した。
線膨張係数(ppm/℃)=伸び(mm)/20(mm)/75(℃)×10
(15)耐溶剤性
幅及び長さ各5cmの試験片を、N−メチルピロリドンに40℃、1時間浸漬し、面荒れなどの外観の異常を目視で観察した。異常の生じたものを×、生じなかったものを○とした。
(16)耐薬品性
幅及び長さ各5cmの試験片を、濃度10%の塩酸に40℃、1時間浸漬し、続いて濃度10%のNaOH水溶液に40℃、1時間浸漬し、面荒れなどの外観の異常を目視で観察した。異常の生じたものを×、生じなかったものを○とした。
(17)耐落球衝撃性
幅及び長さ各5cmの試験片を内径4cmの支持リング上に置き、フィルム中央部に16gの鋼球を自然落下させることにより、試験片が破損する最低の高さを5cm刻みで評価した。
(18)酸素透過率
オキシトラン社製の酸素モコン測定器にて、23℃、80%RHの条件下で測定した。
(19)表面抵抗値
三菱化学社製の4端子法抵抗測定器(ロレスターMP)を用いて測定した。
<実施例1>
[イソホロン構造を有する6官能ウレタンアクリレート(A)の合成]
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート53.34g(0.24モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレート143.19g(0.48モル)、ハイドロキノンメチルエーテル0.02g、ジブチルスズジラウレート0.02g、メチルエチルケトン500gを仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、溶剤を留去してウレタンアクリレート(A)を得た。得られたウレタンアクリレート(A)の数平均分子量は820であった。
[光重合性組成物[I]の調製]
上記の如きイソホロン構造を有する6官能のウレタンアクリレート(A)40重量部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート60重量部(新中村化学社製DCP)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製「Irgacure184」)1重量部を、60℃にて均一になるまで撹拌し、光重合性組成物[I]を得た。官能基数と分子量は表1に示される通りである。
[樹脂成形体の作製]
ガラス板2枚を対向させ、厚さ0.2mmのシリコン板をスペーサーとした成形型にこの組成物(23℃)を注
液し、メタルハライドランプを用いて、照度200mW/cm、光量5J/cmで紫外線を照射した。脱型し得られた硬化物を、180℃の真空オーブン中で2時間加熱して、表2に示される通り幅0.3m×長さ0.4m×厚さ200μmの樹脂成形体を得た。得られた樹脂成形体は、鉛筆硬度5Hと高い表面硬度を有し、曲げ弾性率3.4GPaで適度なフレキシブル性を有し、表面粗さ9nmと高い表面平滑性を有し、耐擦傷性や耐衝撃性にも優れ、吸水率は0.5%と低かった。その他の物性は表3に示される通りであり、良好な光学特性と熱特性、機械特性を有していた。
[ガスバリア性フィルムの作製]
上記で得られた樹脂成形体の片面に、スパッタ法にて厚さ0.02μmの酸化ケイ素膜を成膜し、ガスバリア性フィルムを得た(かかるガスバリア性フィルムの酸素透過率を表4に示す。)。
[透明導電性フィルムの作製]
得られたガスバリア性フィルムの酸化ケイ素膜面にスパッタ法にて厚さ0.2μmのITO膜を成膜し、透明導電性フィルムを得た(かかる透明導電性フィルムの表面抵抗値を表4に示す。)。
[有機EL素子の作製]
得られた透明導電性フィルムを、先ず、6N塩酸(50℃)のエッチング液を用いて、ITO膜を幅2mmのストライプ状に加工した後、このITO基板をUV/O3 洗浄した。その後、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が10-4Pa以下になるまで、液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプを用いて排気した後、有機正孔注入層材料として、銅フタロシアニンを基板上に20nmの厚さに成膜した。次に、有機正孔輸送材料として、N,N’−ジフェニル−N,N’−(α−ナフチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンをセラミックルツボに入れ、ルツボの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して、蒸着を行った。この時のルツボの温度は160〜170℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は10-4Paで、膜厚60nmの有機正孔輸送層を得た。次に、電子輸送層の材料として、アルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体Al(C9 6 NO)3 を用いて、上記有機正孔輸送層の上に同様にして蒸着を行った。この時のルツボの温度は230〜270℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は2×10-6torrである。得られた電子輸送層の膜厚は75nmであった。正孔注入層、正孔輸送層及び電子輸送層を形成した基板に、マグネシウムと銀の合金電極(Mg:Ag=10:1.5(原子比))よりなる陰極を、二元同時蒸着法によって膜厚40nmとなるように蒸着して形成した。蒸着はモリブデンボードを用いて真空度2×10-4Paで行い、光沢のある膜を得た。更に、保護層としてアルミニウムを40nmの膜厚に蒸着した。得られた有機電界発光素子のITO電極側を正極、MgAg合金膜側を陰極として、15Vの直流電圧を印加した時の発光輝度をミノルタ製放射輝度計を用いて測定したところ、30000cd/mで、良好なものであった。
<実施例2〜7>
表1に示される光重合性組成物[I]を用いて、表2に示される硬化条件で成形する以外は、実施例1と同様に行った。得られた樹脂成形体の物性は表3に示されるとおりであった。更に、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
なお、実施例4で用いたウレタンアクリレート(A)、実施例5で用いたウレタンアクリレート(A)は下記の通りであった。
[実施例4で用いたウレタンアクリレート(A):イソホロン構造を有する2官能ウレタンアクリレートの合成]
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート53.34g(0.24モル)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート55.73g(0.48モル)、ハイドロキノンメチルエーテル0.02g、ジブチルスズジラウレート0.02g、メチルエチルケトン500gを仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、溶剤を留去してウレタンアクリレート(A)を得た。得られたウレタンアクリレート(A)の数平均分子量は480であった。
[実施例5で用いたウレタンアクリレート(A):イソホロンジイソシアネート3量体構造を有する9官能ウレタンアクリレートの合成]
温度計、撹拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート3量体160.04g(0.24モル)、ペンタエリスリトールトリアクリレート214.79g(0.72モル)、ハイドロキノンメチルエーテル0.02g、ジブチルスズジラウレート0.02g、メチルエチルケトン500gを仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、溶剤を留去してウレタンアクリレート(A)を得た。得られたウレタンアクリレート(A)の数平均分子量は1570であった。
<実施例8>
実施例1と同様のイソホロン構造を有する6官能のウレタンアクリレート50重量部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート(新中村化学社製「DCP」)50重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製「Irgacure184」)1重量部を、60℃にて均一になるまで撹拌し、光重合性組成物[I]を得た。この光重合性組成物[I]を、2軸押出機を用いて脱泡し、T型スリットダイより液温23℃で、表面温度23℃、回転速度3m/分のドラム型ロール(R1)(直径3m、幅4m)に流延した。2分後、メタルハライドランプを用いて、照度200mW/cmで、光量2J/cmの紫外線を照射した。得られた硬化物フィルムをロールから剥離し、フィルムの紫外線照射面が、表面温度23℃、回転速度3m/分のドラム型ロール(R2)(直径1m、幅4m)に接触するように搬送し、ドラム型ロール(R2)上で、メタルハライドランプを用いて、照度200mW/cmで、光量2J/cmの紫外線を照射した(照射光量の合計は4J/cm)。次いで、フィルムの両面を表裏が交互に、表面温度180℃、回転速度3m/分のドラム型ロール(R3)、(R4)、(R5)、(R6)(いずれも直径1m、幅4m)に接触するよう搬送した。各ロール上で2分間熱処理(熱処理の合計は8分)した後、樹脂成形体を巻き取り、表2に示されるフィルムロール(樹脂成形体)を得た。得られた樹脂成形体の物性は表3に示されるとおりであった。得られた樹脂成形体から、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
<実施例9、10>
表1、表2に示される条件で成形する以外は、実施例8と同様に行った。得られた樹脂成形体の物性は表3に示されるとおりであった。更に、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
<実施例11>
実施例1と同様のイソホロン構造を有する6官能のウレタンアクリレート50重量部、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン=ジメタクリレート(新中村化学社製「DCP」)50重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製「Irgacure184」)1重量部、酢酸エチル5重量部を、60℃にて均一になるまで撹拌し、粘度が1300mPa・sの光重合性組成物[I]溶液を得た。この溶液を、2軸押出機を用いて脱泡し、T型スリットダイより液温23℃で、表面温度60℃、回転速度3m/分のドラム型ロール(R1)(直径3m、幅4m)に流延した。2分間乾燥後、メタルハライドランプを用いて、照度200mW/cmで、光量2J/cmの紫外線を照射した。得られた硬化物フィルムをロールから剥離し、フィルムの紫外線照射面が、表面温度60℃、回転速度3m/分のドラム型ロール(R2)(直径1m、幅4m)に接触するように搬送し、ドラム型ロール(R2)上で、メタルハライドランプを用いて、照度200mW/cmで、光量2J/cmの紫外線を照射した(照射光量の合計は4J/cm)。次いで、フィルムの両面を表裏が交互に、表面温度180℃、回転速度3m/分のドラム型ロール(R3)、(R4)、(R5)、(R6)(いずれも直径1m、幅4m)に接触するよう搬送した。各ロール上で2分間熱処理した後、樹脂成形体を巻き取り、表2に示されるフィルムロール(樹脂成形体)を得た。得られた樹脂成形体の物性は表3に示されるとおりであった。更に得られた樹脂成形体から、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
<実施例12、13>
表1、表2に示される条件で成形する以外は、実施例11と同様に行った。得られた樹脂成形体の物性は表3に示されるとおりであった。更に、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
<実施例14>
エチレン−ビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業社製「ソアノールD2908」)をイソプロピルアルコールに溶解し、濃度20重量%のガスバリアコート剤を調整した後、このコート剤を、実施例2で得られた樹脂成形体の片面にスピンコートし、厚さ3μmのガスバリア膜を形成した以外は実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。更に、得られたガスバリア性フィルムを用いて実施例1と同様にして透明導電性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
<実施例15>
エチレン−ビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業社製「ソアノールD2908」)をイソプロピルアルコールに溶解し、濃度20重量%のガスバリアコート剤を調整した後、このコート剤を、実施例2の酸化珪素膜上にスピンコートし、厚さ3μmのガスバリア膜を形成した以外は実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。更に、得られたガスバリア性フィルムを用いて実施例1と同様にして透明導電性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
<比較例1>
表1に示される光重合性組成物を用いて、実施例1と同様にして成形しようとしたが、高粘度のため成形型に注入できなかった。そこで液温を60℃とし表2に示される硬化条件で成形を行った。得られた樹脂成形体の物性は表3に示されるとおりであった。更に、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
<比較例2>
表1に示される光重合性組成物を用いて、実施例1と同様にして成形しようとしたが、厚さ200μmのフィルムは割れて成形できなかった。そこで厚さ400μmのシリコン板をスペーサーとした成形型を用いて、表2に示される硬化条件で成形を行った。紫外線照射が光量5J/cmでは未反応の液体組成物が存在したので、光量20J/cmを照射した。得られた樹脂成形体の物性は表3に示されるとおりであった。更に、実施例1と同様にして、ガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムを得た。得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
<比較例3>
市販のポリカーボネート製シート(帝人社製「パンライト」厚さ170μm)の物性は表3に示されるとおりであり、それを用いて、実施例1と同様にして得られたガスバリア性フィルムと透明導電性フィルムの特性は表4に示されるとおりであった。
Figure 2011073446
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本発明の樹脂成形体は、様々な光学材料、電子材料に有利に利用できる。例えば、液晶基板、有機/無機EL用基板、電子ペーパー用基板、導光板、位相差板、タッチパネル等、各種ディスプレイ用部材、光ディスク基板や光ディスク用フィルム・コーティングを初めとする記憶・記録用途、薄膜電池基板、太陽電池基板などのエネルギー用途、光導波路などの光通信用途、更には機能性フィルム・シート、反射防止膜、光学多層膜等各種光学フィルム・シート・コーティング用途に利用できる。
1:樹脂成形体
2:陽極
3:有機発光層
3a:正孔注入層
3b:正孔輸送層
3c:電子輸送層
4:陰極

Claims (8)

  1. (メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]を光硬化して得られる樹脂成形体であって、厚さ50〜400μmで、かつ表面の鉛筆硬度が4H以上である樹脂成形体の少なくとも片面にガスバリア膜が成膜されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. ガスバリア膜が酸化珪素膜及び/又はビニルアルコール系樹脂膜よりなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア性フィルム。
  3. 樹脂成形体/酸化珪素膜/ビニルアルコール系樹脂膜の層構成で成膜されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のガスバリア性フィルム。
  4. 請求項1〜3いずれか記載のガスバリア性フィルムの少なくとも片面に透明導電膜が成膜されてなることを特徴とする透明導電性フィルム。
  5. 請求項4記載の透明導電性フィルムを用いてなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 請求項1〜3いずれか記載のガスバリア性フィルムを用いてなることを特徴とするタッチパネル。
  7. (メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]を光硬化して得られる樹脂成形体であって、厚さ50〜400μmで、かつ表面の鉛筆硬度が4H以上である樹脂成形体を用いてなることを特徴とするタッチパネル。
  8. (メタ)アクリレート系光重合性組成物[I]を光硬化して得られる樹脂成形体であって、厚さ50〜400μmで、かつ表面の鉛筆硬度が4H以上である樹脂成形体を用いてなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ用の基板。
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