JP2011072356A - 発熱具 - Google Patents

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Abstract

【課題】身体を温めて血行を促進し、発熱具を適用する身体部位の動きを抑制することができる発熱具を提供する
【解決手段】身体に取り付けられる発熱具であって、
空気と接触することにより発熱する発熱組成物が区画に封入された発熱部と、
前記発熱部に取り付けられ、伸展性を有する材料で形成された少なくとも一つのバンド部と、
を備えており、
前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量は0.11〜0.94g/cmであり、
前記各区画の面積は15〜150cmである、発熱具
【選択図】図1

Description

本発明は身体に取り付けられる発熱具に関する。
従来、患部に発熱具を接触させ、温熱効果によって関節痛等を治療する方法が知られている。また、ギブス等により関節を固定し、関節の無理な動きを制限することによって関節痛を治療する方法も知られている。
温熱効果によって関節痛を治療する方法としては、例えば、サポーターに設けた収納袋にカイロを収容した、膝関節等の患部に使用するサポーターが知られている(特許文献1)。また、温熱治療に適する温度を長時間維持でき、かつ関節部の動きに対してもズレることなく、適切な部位に発熱部を保持できる関節部に用いる温熱治療具が提案されている(特許文献2)。これらの治療具は、関節部等の患部を温めて血行を促進する効果は期待できる。しかしながら、関節の動きを抑制することによって治療効果を高める効果はあまり期待できない。
また、肌に直接接触させるタイプのカイロが知られている。このようなタイプのカイロは、通気度を下げれば、通常の面積にて直接肌に貼るタイプのカイロとすることが使用可能である。このようなタイプのカイロは、主に粘着剤によってカイロを身体に貼り付けることが行われている(例えば、特許文献3)。しかし、この場合、カイロを肌に接着するために粘着材を使用するため、カイロの柔軟性を活かすことができず、カイロを関節部にフィットさせることができなかった。また、関節の動きを抑制する効果も期待できない。
さらに、肌に直接接触させるタイプのカイロは、発熱部と肌の接触する面積が大きすぎると体感温度が上がり過ぎるため、発熱組成物を収容した各区画の面積は小さくする傾向があった(例えば、特許文献4)。このような温熱具は、発熱組成物が収容された各区画の面積が小さく、関節の動きを抑制することによって治療効果を高める効果は期待できない。
実開平1−62820号公報 特開2007−14792号公報 特開2005−27916号公報 特表2002−514103号公報
本発明は、身体を温めて血行を促進し、発熱具を適用する身体部位の動きを抑制することができる発熱具を提供することを主な課題とする。
本発明者は、血行促進作用を有する発熱具による関節痛等の予防、改善等の効果を促進すべく鋭意検討した結果、発熱組成物が収容された区画における単位面積当たりの発熱組成物の重量、及び発熱組成物が収容された区画の面積をそれぞれ特定の範囲に設定することにより、使用初期の柔軟性が高く、発熱部が身体にフィットし、使用後期には発熱部が硬化して身体を効果的に固定でき、関節痛等の予防、改善等の効果を高めることができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。すなわち、本発明は下記項1〜9の発熱具、治療方法及び当該発熱具の使用に関する。
項1. 身体に取り付けられる発熱具であって、
空気と接触することにより発熱する発熱組成物が区画に封入された発熱部と、
前記発熱部に取り付けられ、伸展性を有する材料で形成された少なくとも一つのバンド部と、
を備えており、
前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量は0.11〜0.94g/cmであり、
前記各区画の面積は15〜150cmである、発熱具。
項2. 前記発熱部は、一つの適用部位に対して、1個又は2〜4個の隣接した前記区画を有している、項1に記載の発熱具。
項3. 前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量は0.15〜0.71g/cmであり、
前記各区画の面積は24〜117cmである、項1又は2に記載の発熱具。
項4. 前記バンド部は、150%伸張させるのに必要な力が115N以下の伸展度である項1〜3のいずれかに記載の発熱具。
項5. 手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部、腰部のいずれかに適用される、項1〜4のいずれかに記載の発熱具。
項6. 関節痛又は腰痛の治療用である、項1〜5のいずれかに記載の発熱具。
項7. 手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部又は腰部を覆うことによって関節痛又は腰痛を治療するための、項1〜6のいずれかに記載の発熱具。
項8. 項1〜7のいずれかに記載の発熱具で手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部又は腰部を覆い、発熱組成物の酸化に従い硬化した発熱体部で関節又は腰を固定することにより関節痛又は腰痛を治療する方法。
項9. 項1〜7のいずれかに記載の発熱具の、関節痛又は腰痛の治療具の製造のための使用。
本発明の発熱具は、身体に取り付けられる発熱具であって、
空気と接触することにより発熱する発熱組成物が区画に封入された発熱部と、
前記発熱部に取り付けられ、伸展性を有する材料で形成された少なくとも一つのバンド部と、
を備えており、
前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量は0.11〜0.94g/cmであり、
前記各区画の面積は15〜150cmである、
ことを特徴する。
以下、本発明の発熱具の具体的構成について詳述する。
1.発熱部
発熱部は、空気と接触することにより発熱する発熱組成物が1又は2以上の区画に封入されたものである。具体的には、発熱部は、後述のシート1(身体に接触させる層)とシート2(身体に接触させない層)との間に発熱組成物がはさみ込まれており、発熱組成物が区分けして封入(封止)されている。
前記発熱部の形状は、身体に好適に密着できる形状であればよいが、例えば、前記区画を長手方向に配置できる矩形状が好ましい。
前記発熱部の大きさは、適用部位の大きさに応じて適宜設定すればよい。例えば、手首、足首に使用し、前記発熱部が矩形状である場合、長手方向の長さが5〜32cm程度であり、短手方向の長さが3〜20cm程度であることが好ましい。
膝に使用し、前記発熱部が矩形状である場合、長手方向の長さが10〜50cm程度であり、短手方向の長さが5〜20cm程度であることが好ましい。
腰に使用し、前記発熱部が矩形状である場合、長手方向の長さが10〜50cm程度であり、短手方向の長さが5〜20cm程度であることが好ましい。
首に使用し、前記発熱部が矩形状である場合、長手方向の長さが10〜30cm程度であり、短手方向の長さが3〜10cm程度であることが好ましい。
肘に使用し、前記発熱部が矩形状である場合、長手方向の長さが10〜30cm程度であり、短手方向の長さが5〜10cm程度であることが好ましい。
指に使用し、前記発熱部が矩形状である場合、長手方向の長さが5〜15cm程度であり、短手方向の長さが3〜10cm程度であることが好ましい。
1−1.区画
発熱部において、前記発熱組成物が封入された区画の数は、発熱具の適用部位によって異なるが、一つの適用部位に対して、通常1個又は2〜4個の隣接した前記区画を有していることが好ましい。例えば、適用部位が手首又は足首である場合には、前記区画の数は1個又は2個が好ましく、2個が特に好ましい。適用部位が膝である場合は、前記区画の数は1個又は2個が好ましく、2個が特に好ましい。適用部位が腰である場合は、前記区画の数は2個又は4個が好ましく、4個が特に好ましい。適用部位が首である場合は、前記区画の数は1又は2個が好ましく、2個が特に好ましい。適用部位が肘である場合は、前記区画の数は1又は2個が好ましく、2個が特に好ましい。適用部位が指である場合は、前記区画の数は2個又は4個が好ましく、4個が特に好ましい。
このように、発熱組成物が封入された区画の数を少なくすると、後述の区画の面積及び発熱組成物の単位面積あたりの重量に設定することによる適用部位の動きの制限効果をより高めることができる。したがって、痛みの予防・回復効果を促進することができる。
また、本発明の発熱具は、発熱部の各区画に発熱組成物が封入(封止)されているので、例えば後述の試験例6に示されるように、サポーターの収容袋にカイロを入れた発熱具のように収容袋の中で発熱体が動くこと無く、使用後期にも適用部位に発熱体を確実にフィットさせることができる。
さらに、本発明の発熱具は、バンドによってサイズを調整できるので、発熱体を備えたサポーターのようなあらかじめ決められたサイズの発熱具よりも、使用者の関節や腰の大きさに応じて適用部位に無理なく巻き付けることができるという効果も奏する。
各区画の形状は、特に限定されず、適用部位の形状に応じて適宜選択できる。例えば、矩形、円形、楕円形等が挙げられる。
また、各区画の大きさは、前記区画の面積の範囲内となるように設定すればよく、例えば、前記発熱部が矩形状の区画を長手方向に配置させた矩形物である場合、区画の縦(発熱部の短手方向)の長さは、3〜12cm程度が好ましく、5〜10cm程度がより好ましい。また、区画の横(発熱部の長手方向)の長さは、5〜20cm程度が好ましく、5〜15cm程度がより好ましい。
各区画間の距離は、特に限定されず、発熱部の大きさ等に応じて適宜設定すればよいが0.5〜20cm程度が好ましく、0.5〜10cm程度がより好ましい。ここで、各区画間の距離とは、最も近接する区画同士を隔てた領域の最短の距離である。
本発明の発熱具は、前記の通り、前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量は0.11〜0.94g/cmであり、かつ、前記各区画の面積が15〜150cmである。使用初期の使用感、及び使用後期の適用部位が無理な動きをするのを防止する効果の観点から、前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量が0.15〜0.71g/cm、かつ、前記各区画の面積が24〜117cmであることがより好ましく、前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量が0.20〜0.60g/cm、かつ、前記各区画の面積が32〜80cmであることが特に好ましい。
なお、本発明において、前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量は、各区画に封入された発熱組成物の重量(g)を発熱部内に設けられた区画において身体と接触する側の面積(cm2)で除した値である。
また、本発明において、使用初期とは、発熱組成物と空気と接触させて使用を開始した時から発熱組成物がある程度硬化するまでの期間をいう。なお、発熱組成物が発熱を開始してから発熱が終了する迄の時間(発熱時間)は、発熱具の形状及び単位面積当たりの発熱組成物の重量によって様々であるが、使用初期とは、例えば、発熱組成物と空気とを接触させて使用を開始した時から発熱組成物が発熱を終了するまでの時間の前半1/3〜1/2程度の時間以内(例えば、発熱時間が12時間の製品であれば、使用初期とは約0〜4時間から約0〜6時間)をいう。
また、使用後期とは、発熱組成物がある程度硬化してから発熱反応がほぼ終了し、温熱効果が得られなくなるまでの期間をいう。発熱時間は発熱具の形状及び単位面積当たりの発熱組成物の重量によって様々であるが、使用後期とは、例えば、発熱組成物と空気とを接触させて使用を開始した時から発熱組成物が発熱を終了するまでの時間の後半1/3〜1/2程度の時間以上(例えば、発熱時間が12時間の製品であれば、使用後期とは約8〜12時間から約6〜12時間の間)をいう。
本発明の発熱組成物が封入された区画の厚みは、発熱組成物が均一に封入された状態で測定した時、通常3〜15mm程度、好ましくは3〜10mm程度、より好ましくは3〜7mm程度である。
1−2.シート1(身体に接触させる層)
シート1としては、特に限定されず、カイロの包剤として一般的に使用されているフィルム又はシートであれば良く、単層又は積層のフィルム又はシートが、単独で又は織布もしくは不織布などと組み合わせて用いられる。シート1は、伸縮性又は非伸縮性の何れであってもよく、通気性又は非通気性のいずれであってもよい。
なお、本発明でいう「非伸縮性」とは、どのような力を作用させても全く伸縮しないことを示しているのではなく、伸展性のあるバンド部よりも伸縮性が小さいものであってもよい。また、「通気性」とは、気体が通過できればよいものであり、また、透湿性を有するものであってもよい。
シート1のフィルム又はシートを構成する樹脂としては、一般に熱可塑性合成樹脂等が使用される。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、塩酸ゴム等が単独で又は組み合わせで好的に用いられる。特にフィルムを構成する樹脂としては、ポリエチレンが好ましい。
シート1を積層のフィルム又はシートとする場合は、通常はラミネート法によって行われるがそれに限らない。ラミネートは従来公知の任意の方法を適用することができる。例えば、熱接合あるいはホットメルト接着剤又はアクリル系もしくはウレタン系接着剤等の接着剤で積層する方法でもよく、又は全面接合であっても、柔軟性を保つために部分接合であってもよい。
上記フィルム又はシートと積層されてもよい不織布としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、レーヨン、アセテート、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の人工繊維、綿、麻、絹等の天然繊維を含むものが上げられる。フィルム又はシートと不織布とを積層する場合、不織布としては、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。なお、不織布の目付けは20〜100g/m程度とすればよい。
1−3.シート2(身体に接触しない層)
シート2としては、全面的に通気性を有するフィルム又はシートであればよく、一般に単層若しくは積層の多孔質フィルム又はシートが、単独で、又は織布もしくは不織布などと組み合わせて用いられる。シート2は、伸縮性、非伸縮性の何れであってもよい。
シート2の通気性は、一般的なカイロに使用される通気性フィルム又はシートと同様であればよく、例えば、JIS K7129に規定されているA法によって測定した値が、208〜610g/m・day程度であればよい。
シート2のフィルムまたはシートを構成する樹脂としては、一般に熱可塑性合成樹脂等が使用される。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリカーボネート、塩酸ゴム等が単独又は組み合わせで用いられている。特にフィルムまたはシートを構成する樹脂としては、ポリエチレンが望ましい。
通気性フィルム又はシートとしては、延伸フィルム、好ましくは延伸された多孔質フィルム又はこれらを含むシートが好適に使用される。延伸多孔質フィルムは、一般に炭酸カルシウムなどの無機質充填剤を含み、延伸によって孔が形成されることにより通気性が再現するが、この孔径を制御することにより通気度が制御できる。好ましいのは、オレフィン系(特にポリエチレン系)延伸多孔質積層フィルム、及びそれと不織布との複合シートである。
積層の多孔質フィルム又はシートの積層は、通常はラミネート法によって行われるがそれに限らない。ラミネート法は従来公知の任意の方法を適用することができる。例えば、熱接合あるいはホットメルト接着剤又はアクリル系もしくはウレタン系接着剤の接着剤で積層する方法でもよく、また全面接合であっても、柔軟性を保つために部分接合であってもよい。
上記フィルム又はシートと積層されてもよい不織布としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、レーヨン、アセテート、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の人工繊維、綿、麻、絹等の天然繊維を含むものが上げられる。不織布の目付けは好ましくは20〜100g/m程度である。
1−4.発熱組成物
前記袋に封入する発熱組成物としては、空気と接触することにより発熱するものであればよい。特に、本発明では、前記発熱組成物として、鉄粉、保水剤、金属塩及び水を含む組成物を使用することが好ましい。
前記発熱組成物中における鉄粉、保水剤、金属塩及び水の合計質量は、80〜100質量%程度が好ましい。
以下、鉄粉、保水剤、金属塩及び水を含む発熱組成物を代表例として、前記発熱組成物について具体的に説明する。
1−4−1.鉄粉
鉄粉が空気中の酸素と反応して発熱することにより、本発明の発熱体は温熱効果を発揮できる。
前記鉄粉としては、還元鉄、鋳鉄等が挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
前記鉄粉の形状としては、粒状、繊維状等が挙げられる。これらの形状の鉄粉を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
粒状の鉄粉の粒径は、通常10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度である。
なお、本明細書に記載の粒径は、測定対象となる試料(鉄粉等)100gを、700μm、650μm、500μm、400μm、300μm、250μm、100μm、50μm、10μmの篩を上から順に設けた電動振動篩機にかけ、15分間振動させた後、各篩に残った量及び通過した量を測定することにより算出できる。
前記発熱組成物中における前記鉄粉の含有量は、30〜80質量%程度が好ましく、45〜65質量%程度がより好ましい。
1−4−2.保水剤
本発明において、保水剤とは、水を保持する機能を有する物質である。保水剤としては、多孔質物質、吸水性樹脂等が挙げられる。
保水剤として使用される多孔質物質としては、具体的には、活性炭、木粉、パーライト、バーミキュライト、ヒル石等が挙げられる。
活性炭は、表面の微孔に空気を取り込んで酸素の供給を促したり、熱を保って放熱温度がばらつかないように保温することができる。活性炭は内部構造が非常に多孔性であり、そのため特に良好な水保持能を与える。さらに、活性炭は水を良く吸収するのみならず、発熱組成物の熱の発生により蒸発される水蒸気も吸収し、水蒸気の逃げの防止を助ける。従って、活性炭は水保持物質としても役立つことができる。さらに、活性炭は鉄粉の酸化により生ずる臭いも吸収することができる。前記活性炭としては、例えば、ココナツの殻、木材、木炭、石炭、骨炭等から調製された活性炭を好適に使用できる。前記活性炭の形状としては、粒状、繊維状等が挙げられる。これらの形状の活性炭を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。特に、本発明では、粒状の活性炭を使用することが好ましい。粒状の活性炭を使用する場合、その粒径は、10〜300μm程度が好ましく、10〜100μm程度がより好ましい。当該粒径の測定方法については、前記鉄粉の粒径の場合と同様である。
木粉、パーライト、バーミキュライト、及びヒル石についても、水を保持できる限り、その形状については特に制限されないが、発熱具の使用感を高めるために、粒状のものが好ましい。木粉、パーライト、バーミキュライト、及びヒル石について、粒状のものを使用する場合、その粒径は、通常300μm程度以下、好ましくは250μm程度以下である。当該粒径の測定方法についても、前記鉄粉の粒径の場合と同様である。
これらの多孔質物質の中でも、好ましくは、活性炭、ヒル石、バーミキュライトであり、更に好ましくは活性炭及びヒル石、特に好ましくは活性炭である。これらの多孔質物質は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、保水剤として使用される吸水性樹脂としては、具体的には、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール−アクリル酸共重合体、デンプン−アクリル酸塩グラフト共重合体、ポリアクリル酸塩架橋物、アクリル酸塩−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸塩−アクリルアミド共重合体、ポリアクリルニトリル酸塩架橋物等が挙げられる。これらの吸水性樹脂の中でも、好適なものとして、ポリアクリル酸塩架橋物が挙げられる。吸水性樹脂の粒径は、通常100〜500μm程度、好ましくは250〜400μm程度である。当該粒径の測定方法については、前記鉄粉の粒径の場合と同様である。
これらの吸水性樹脂は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
保水剤は、多孔質物質及び吸水性樹脂のいずれか一方を使用してもよく、またこれらを組み合わせて使用してもよい。発熱組成物に使用される保水剤として、好ましくは、多孔質物質、多孔質物質と吸水性樹脂の組合せ;更に好ましくは活性炭、活性炭と他の多孔質物質(活性炭以外の多孔質物質)と吸水性樹脂の組合せ;より好ましくは活性炭とヒル石とポリアクリル酸塩架橋物の組合せが例示される。
前記発熱組成物中における前記保水剤の含量は、2〜30質量%程度が好ましく、5〜20質量%程度がより好ましい。より具体的には、前記保水剤として、多孔質物質を単独で使用する場合であれば、発熱組成物中の含量として、10〜30質量%が好ましく、10〜20質量%程度がより好ましい。また、前記保水剤として、吸水性樹脂を単独で使用する場合であれば、発熱組成物中の含量として、2〜10質量%が好ましく、2〜7質量%程度がより好ましい。また、前記保水剤として、多孔質物質と吸水性樹脂を組み合わせて使用する場合であれば、発熱組成物中の含量として、多孔質物質5〜20質量%、吸水性樹脂1〜10質量%が好ましく、多孔質物質7〜20質量%、吸水性樹脂1〜5質量%がより好ましい。特に、保水剤として、活性炭と他の多孔質物質と吸水性樹脂の組合せを使用する場合であれば、活性炭3〜20質量%、他の多孔質物質1〜10質量%、吸水性樹脂1〜10質量%が好ましく、活性炭5〜15質量%、他の多孔質物質1〜5質量%、吸水性樹脂1〜5質量%がより好ましい。
1−4−3.金属塩
金属塩は、空気との酸化反応を容易にするために、鉄粉の表面を活性化させて、鉄の酸化反応を促進させることができる。
前記金属塩としては、公知の発熱組成物に使用されている金属塩を使用すればよい。前記金属塩としては、例えば、硫酸第二鉄、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン、硫酸マグネシウム等の硫酸塩;塩化第二銅、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マンガン、塩化マグネシウム、塩化第一銅等の塩化物等が挙げられる。また、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩及び他の塩も使用することができる。これら金属塩については、一種単独で又は二種以上を組み合わせて使用できる。
前記金属塩の粒径は、通常100〜700μm程度、好ましくは250〜650μm程度である。
発熱組成物中における前記金属塩の含有量は、0.5〜10質量%程度が好ましく、1〜3質量%程度がより好ましい。
1−4−4.水
水としては、例えば、蒸留水、水道水等を使用できる。発熱組成物中における前記水の含有量は、1〜40質量%程度が好ましく、20〜30質量%程度がより好ましい。
1−4−5.各成分の混合
前記各成分を混合することにより、前記発熱組成物を調製することができる。混合は、必要に応じて、真空下又は不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。例えば、米国特許第4,649,895号に記載された方法に従って混合すればよい。
1−5.発熱部の作製方法
前記発熱部は、前記発熱組成物が各区画に封入されるように、前記シート1と前記シート2とを接着させることにより得られる。前記シート1及び前記シート2として、それぞれ前記積層体を用いる場合、それぞれの積層体を構成する不織布が外側(封入される発熱組成物と接触する面と反対側)になるように、前記シート1及び前記シート2同士を接着させる。このとき、発熱組成物を含む各区画が形成されるように、各区画以外の全領域を接着させる。例えば、図1〜3の発熱部1の区画2以外の領域において、前記シート1及び前記シート2同士は接着している。
また、発熱部には、図3に示すように、各区画の間に貫通孔5を有していてもよい。例えば、本発明の発熱具を膝に装着する場合であれば、貫通孔5を設けておくことで、膝頭が貫通孔5に進入し、膝関節への装着性を向上させることができる。その他の関節部について使用する場合も、貫通孔を有していてもよいし、有しなくてもよい。
なお、図3では、貫通孔5が記載されているが、貫通孔5は無くてもよい。また、図1及び2においては、貫通孔は記載されていないが、各区画間に貫通孔が存在していてもよい。貫通孔の数は、通常1個であるが、2個以上存在していてもよい。
接着方法としては、特に限定されず、例えば、上記樹脂成分を用いて接着させる方法や熱圧着により接着させる方法を採用できる。
2.バンド部
前記バンド部は、前記発熱部に取り付けられ、伸展性を有する材料で形成されたものである。該バンド部を身体に巻き付けることにより、前記発熱部を身体(患者であれば患部)に支持し、発熱部を身体に接触させた状態を維持させることができる。本発明の発熱具は、図1に示すように、バンド部3の一端部に発熱部1が連結されたものである。なお、図1では、発熱部1の一端部のみに前記バンド部3が連結されているが、図2のように、発熱部1の対向する両端部に前記バンド部3が連結されてもよい。また、図3のように、一端部に2つ以上の前記バンド部が連結されていてもよい。すなわち、前記発熱部の一端部に、一対の前記バンド部が間隔をおいて平行に連結されていてもよい。
連結方法としては、特に限定されず、例えば、公知の接着剤で接着させる方法、糸で固定する方法、超音波を利用して溶着させる方法等が挙げられる。また、図1〜3に示すように、前記バンド部3の他端部には、前記発熱部を身体に接触させた状態を維持させるために、前記発熱部及び/又は前記バンド部との接着力に優れた接着部4が通常設けられる。前記接着部4としては、例えば、マジックテープ(登録商標)が挙げられる。
前記バンド部の大きさは、特に制限はなく、適用部位の大きさに応じて適宜設定すればよい。
例えば、発熱具の適用部位が手首、足首である場合は、前記バンド部の長手方向の長さが5〜32cm程度であり、短手方向の長さが3〜20cm程度であることが好ましく、長手方向の長さが10〜20cm程度であり、短手方向の長さが5〜12cm程度であることがより好ましい。
また、発熱具の適用部位が膝である場合は、前記バンド部の長手方向の長さが10〜50cm程度であり、短手方向の長さが5〜20cm程度であることが好ましく、長手方向の長さが20〜30cm程度であり、短手方向の長さが10〜17cm程度であることがより好ましい。
さらに、発熱具の適用部位が腰である場合は、前記バンド部の長手方向の長さが10〜50cm程度であり、短手方向の長さが5〜20cm程度であることが好ましく、長手方向の長さが20〜30cm程度であり、短手方向の長さが10〜17cm程度であることがより好ましい。
発熱具の適用部位が首である場合は、前記バンド部の長手方向の長さが10〜50cm程度であり、短手方向の長さが5〜20cm程度であることが好ましく、長手方向の長さが20〜30cm程度であり、短手方向の長さが10〜17cm程度であることがより好ましい。
また、発熱具の適用部位が肘である場合は、前記バンド部の長手方向の長さが10〜50cm程度であり、短手方向の長さが5〜20cm程度であることが好ましく、長手方向の長さが20〜30cm程度であり、短手方向の長さが10〜17cm程度であることがより好ましい。
さらに、発熱具の適用部位が指である場合は、前記バンド部の長手方向の長さが3〜15cm程度であり、短手方向の長さが3〜10cm程度であることが好ましく、長手方向の長さが3〜10cm程度であり、短手方向の長さが3〜5cm程度であることがより好ましい。
バンド部の長手方向及び短手方向の長さがこれらの範囲内にある場合、前記発熱部を身体に好適に接触させることができる。
前記バンド部の伸長率は、該バンド部が前記発熱部を包囲して該発熱部を身体に接触させた状態を好適に維持できる範囲内にあればよく特に限定されない。一方、バンド部の伸展性が低すぎると発熱体は関節部にフィットしない。よって、例えば、バンド部を150%伸張させるのに必要な力は通常115N以下、好ましくは0.3N〜115N、より好ましくは0.3N〜102Nである。
なお、本発明において、バンド部を150%伸張させるのに必要な力は、バンドを100mm×50mmにカットし、これを引張り試験機(AGS-H島津製作所製)により、長手方向に引っ張ったとき、150%伸張させるのに必要な力(N)を測定した値である。
前記バンド部は、一定の伸展性を有する帯状のものであればよく具体的構成については特に限定されないが、天然繊維もしくは合成繊維の不織布又は織布が好ましく、通気孔を複数有するものがより好ましい。また、バンド部の厚みは、通常0.1〜1mm程度、好ましくは0.5〜1mm程度である。
市販品としては、例えば商品名「Optiflex」(Golden Phoenix Fiberwebs Inc.製)が挙げられる。
前記バンド部の透気度は、前記通気孔の孔径により決定される。例えば、前記バンド部に針、レーザー、放電加工等により微細な孔を穿設して前記透気度を調整すればよい。
前記バンド部は、前記通気孔の合計面積が、前記バンド部の面積の3〜8%程度が好ましく、4〜6%程度がより好ましい。前記数値は、50mm×50mmの前記バンド部上の通気孔の数を目視により数え、その数に孔の面積(半径0.5mm)をかけた値を2500mmで割ることにより求めることができる。
3.前記発熱具の使用態様
本発明の発熱具を構成する前記発熱部(発熱組成物)は空気下で発熱するため、通常、前記発熱具を、空気を通過させない包装体に入れ密封した状態で流通させる。
本発明の発熱具は、発熱部が肌に直接接触することを特徴とする。また、本発明の発熱具は、前記の通り、発熱部とバンド部とが連結され、一体となったものである。本発明の発熱具は、発熱部を身体に接触させることにより、身体に温熱効果を与える。その際、前記発熱部は、バンド部によって適用部位に固定されるため、本発明の発熱具は、使用初期においても患部(装着部位)からずれにくい。また、本発明の発熱具は、通常、38〜42℃程度の温度を保持できる。
なお、本明細書において、「温熱効果」とは、発熱することにより患部を温めることを言う。温熱効果により、例えば、患部の血液循環を改善したり、患部の組織の老廃物を除去するとともに患部の修復を促進させることができる。前記温熱効果によって患部は38〜42℃程度、好ましくは39〜41℃程度に温められる。
前記発熱部は、例えば図4に示すように、身体を軸にして前記帯状部を巻回させることにより固定される。
従って、本発明の発熱具は、手首、足首、膝、首、肘、指、腰等の疾患や症状を改善できる。さらに、本発明の発熱具は、治療後にリハビリを行うための器具として好適に使用できる。なお、本発明の発熱具は、温熱効果に優れているため、治療やリハビリに限らず、体を温めるためのカイロとしても好適に使用できる。
また、本発明の発熱具は、前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量及び前記各区画の面積が上記特定の範囲内にあることにより、使用初期には、発熱部が柔軟性を有するため、身体の適用部位(例えば、手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部、腰部等)の形状にフィットした状態で発熱体が適用部位を覆い、使用感がよく、適用部位の血行を効果的に促進することができる。
さらに、本発明においては、発熱組成物を収容した各区画の単位面積あたりの重量及び面積が上記の範囲内にあることにより、使用後期において、適用部位の形状にフィットした状態で発熱体が硬化し、適用部位の動きを制限することによって、温熱効果に加えて、適用部位を固定することによる保護効果(ギブスをしているような効果)により、関節痛等の予防・治療効果がより促進される。
本発明は、上記の発熱具で手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部、腰部等を覆うことによって、関節痛等を治療するための発熱具、治療具として好適に使用できる。すなわち、本発明の発熱具を用いて関節痛、腰痛等の治療をすることができる(治療方法)。特に、使用後期には、発熱体が関節等の形状に沿って硬化するため、該発熱具で手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部又は腰部を覆い、発熱組成物の酸化に従い硬化した発熱体部で関節等を固定することにより関節痛等を治療するための発熱具、治療具として好適に使用でき、該発熱具を用いて関節痛、腰痛等の治療をすることができる(治療方法)。
本発明は、発熱組成物が収容された各区画における単位面積当たりの発熱組成物重量、及び発熱組成物が収容された区画の面積をそれぞれ上記特定の範囲に設定することにより、使用初期の柔軟性が高く、発熱部が身体の適用部位にフィットし、使用後期には発熱部が硬化して適用部位を効果的に固定でき、例えば、関節痛、腰痛等の予防・治療効果を高めることができる。本発明によれば、特に手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部、腰部等の痛み緩和効果、回復速度の高い発熱具を提供することができる。
図1は、本発明の発熱具の模式図を示した図である。 図2は、本発明の発熱具の模式図を示した図である。 図3は、本発明の発熱具の模式図を示した図である。 図4は、本発明の発熱具の使用態様の一例を示した図である。
1…発熱部
2…区画
3…バンド部
4…接着部
5…貫通孔
以下の実施例、比較例及び試験例を示し、本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されない。
実施例及び比較例
図1、図2、図3に示す構成の発熱具を、それぞれ手首の評価用、腰の評価用、膝の評価用に作製した。
<発熱部>
1)発熱組成物
粒径50μmの鉄粉、粒径200μmの活性炭、粒径400μmの食塩、水、粒径100μmのヒル石及び粒径400μmのアクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物を混合することにより発熱組成物を調製した。前記発熱組成物中、前記鉄粉、活性炭、塩化ナトリウム、水、ヒル石及びポリアクリル酸ナトリウムの含有量は、それぞれ55質量%、13質量%、1質量%、26質量%、3質量%及び2質量%であった。
2)シート1
ポリエチレンを樹脂成分とするフィルムに、ポリエチレンテレフタレートを用いてスパンレース法にて製造した不織布(目付け30g/m)をラミネートすることにより、縦31.5cm、横5mの積層体を作製した。
3)シート2
PET−SL不織布/LDPEを有する積層体を作製した(通気度300g/m・day)。
オレフィン系樹脂と無機充填剤(炭酸カルシウム)とを主成分とするフィルムを延伸することにより多孔化された多孔質フィルム(厚み70μm)に、ポリプロピレンとポリエチレンを用いてサーマルボンド法にて複合繊維とした繊維シート(目付け30g/m)をラミネートすることにより、縦31.5cm、横5mの積層体を作製した。
4)発熱部の作製
前記発熱組成物を調製した直後、直ちに前記シート1及び前記シート2を用いて該発熱組成物を封入し、膝用(長手方向の長さが36cm、短手方向の長さが20cm)、腰用(長手方向の長さが36cm、短手方向の長さが20cm)の矩形状の発熱部をそれぞれ作製した。
具体的には、前記シート1のポリエチレン樹脂フィルム側及び前記シート2のポリエチレン樹脂フィルム側が前記発熱組成物と接するように、前記発熱組成物を内包する矩形状の区画を2つ形成しつつ、該シート1及び該シート2の該区画以外の全領域を接着させて作製した。各区画の面積がそれぞれ9cm、15cm、24cm、32cm、45cm、55cm、80cm、117cm、150cm、180cmの10種類の発熱部を作製した。
これら各区画の縦(発熱部の短手方向)の長さ、及び横(発熱部の長手方向)の長さは、それぞれ縦3cm、横3cm(面積9cm);縦5cm、横3cm(面積15cm);縦6cm、横4cm(面積24cm);縦4cm、横8cm(面積32cm);縦9cm、横5cm(面積45cm);縦11cm、横5cm(面積55cm);縦10cm、横8cm(面積80cm);縦13cm、横9cm(面積117cm);縦15cm、横10cm(面積150cm);縦18cm、横10cm(面積180cm);とした。接着は前記シート1と前記シート2とを130℃で熱圧着させることにより行った。
さらに、前記10種類の面積を有する発熱体それぞれについて、各区画における前記発熱組成物の単位面積あたりの重量を、それぞれ0.08g/cm、0.11g/cm、0.15g/cm、0.2g/cm、0.33g/cm、0.4g/cm、0.54g/cm、0.57g/cm、0.6g/cm、0.67g/cm、0.71g/cm、0.74g/cm、0.88g/cm、0.94g/cm、0.96g/cmの15種類とし、合計150種類の発熱部を作製した。なお、単位面積あたりの重量は、前記の方法で測定した値である。
<バンド部>
膝の評価用
縦13cm、横22cm、厚み0.8mmのバンド部(商品名「Optiflex」Golden Phoenix FiberwebsInc.製)に、幅0.5mmの刃を用いて、一定間隔で均一に穿孔を設けることにより、バンド部を作製した。バンド部には、それぞれ縦10cm、横2.5cmのマジックテープ(登録商標)を設けた。
手首の評価用
縦8cm、横20cm、厚み0.8mmのバンド(商品名「Optiflex」Golden Phoenix Fiberwebs Inc.製)をバンド部とした。
上記バンド部を発熱部の一端に超音波ミシンにて接合した。また、バンド部には、縦7cm、横2.5cmのマジックテープ(登録商標)を設けた。
腰の評価用
縦10cm、横20cm、厚み0.8mmのバンド部(商品名「Optiflex」Golden Phoenix Fiberwebs Inc.製)をバンド部とした。
上記バンド部を発熱部の両端に超音波ミシンにて接合した。片方のバンド部には、縦8cm、横2.5cmのマジックテープ(登録商標)を設けた。
<発熱具>
前記バンド部を前記発熱部の端部に超音波で固定することにより発熱具を作製した。なお、実施例及び比較例で作製した発熱具は、それぞれ空気と接触しないようポリ塩化ビニリデンコートフィルム(KOP)よりなる袋に入れて密封した。
下記試験例1〜7は、ポリ塩化ビニリデンコートフィルムよりなる袋から発熱具を取り出してすぐに行われた。
試験例1(使用初期の柔軟性評価)
健常人10人を対象にして、下表1に示すように、前記実施例及び比較例で作製した各区画面積及び単位面積あたりの重量の異なる発熱具を装着し、発熱具の使用開始直後の柔軟性を評価した。具体的には、図4に示すように、発熱部のシート1側を膝関節に接触させた状態が維持されるよう、発熱部及びバンド部で膝を包囲し、バンド部のマジックテープ(登録商標)で固定した。表1中の評価指標は以下の通りである。
[評価指標]
評価点5・・・柔軟性、装着感に極めて優れていた
評価点4・・・柔軟性、装着感に優れていた
評価点3・・・柔軟性、装着感は普通であった
評価点2・・・柔軟性、装着感にやや劣っていた
評価点1・・・柔軟性、装着感に劣っていた
◎・・・10名の評価点の平均点が4.5点以上であった
○・・・10名の評価点の平均点が4.0点以上4.5点未満であった
△・・・10名の評価点の平均点が3.5点以上4.0点未満であった
×・・・10名の評価点の平均点が3.0点未満であった。
Figure 2011072356
試験例1の結果、単位面積あたりの発熱組成物量が0.08〜0.94g/cmのときに、使用初期の柔軟性について良い結果が得られた。特に、0.15〜0.71g/cmのときに、使用初期の柔軟性について優れていた。また、各区画の面積が9cmと小さすぎると発熱体が関節に柔軟に追従しなかった。一方、面積が180cmと大きすぎると関節に対応できなかった。なお、◎、○の部分は各個人の膝関節の形状となり、使用終了後には発熱体がきれいに固まった。また、手首及び腰についても同様に試験を行ったところ、同じ結果が得られた。
試験例2(使用後期の発熱体の硬化程度の評価)
健常人10人を対象にして、下表2に示すように、実施例及び比較例で作製した各区画面積及び単位面積あたりの発熱組成物量の異なる発熱具を装着し、発熱具の使用後期の発熱体の硬化の程度を評価した。具体的には、試験例1で発熱具を膝に装着してから発熱終了時の発熱体の硬化程度を評価した。評価指標は以下の通りである。
[評価指標]
評価点5・・・発熱体の硬化程度は極めて高かった
評価点4・・・発熱体の硬化程度は高かった
評価点3・・・発熱体の硬化程度は普通であった
評価点2・・・発熱体の硬化程度はやや劣っていた
評価点1・・・発熱体の硬化程度は劣っていた
◎・・・10名の評価点の平均点が4.5点以上であった
○・・・10名の評価点の平均点が4.0点以上4.5点未満であった
△・・・10名の評価点の平均点が3.5点以上4.0点未満であった
×・・・10名の評価点の平均点が3.0点未満であった。
Figure 2011072356
試験例2の結果、面積に関係なく単位面積当たりの発熱組成物量が0.11g/cm以上であれば使用後期の強度は高かった。また、手首及び腰についても同様に試験を行ったところ、同じ結果が得られた。
試験例1及び試験例2のまとめ
試験例1及び試験例2の結果から、使用初期の柔軟性・装着感及び使用後期の強度ともに良好なものは、下表3の通りとなる。なお、評価指標は試験例1及び試験例2と同じである。
Figure 2011072356
試験例1及び試験例2の結果、発熱組成物が封入された各区画の面積が15〜150cm、かつ、各区画における発熱組成物の単位面積当たり重量が0.11〜0.94g/cmの時、使用初期の柔軟性が良好で使用後期の発熱体強度の高い発熱具が得られることが分かった。さらに、該面積が24〜117cm2、かつ、該単位面積当たりの発熱組成物重量が0.15〜0.71g/cmの時には、使用初期の柔軟性及び使用後期の発熱体強度の点で更に優れた発熱具が得られることが分かった。手首及び腰についても同様に試験を行ったところ、同じ結果が得られた。
試験例3(前記面積及び前記単位面積あたりの重量と痛み緩和効果及び痛みの回復速度との関係)
膝痛罹患者5人を対象にして、下表4に示すように、前記面積及び前記単位面積あたりの重量と痛み緩和効果及び痛みの回復速度との関係を評価した。評価指標は以下の通りである。各試験結果は、1サンプルを発熱開始直後から24時間装着し、これを5日間連続して行った結果である。1サンプルの発熱時間は12時間である。
[評価指標]
<膝痛改善度合い>
評価点5・・・膝痛改善度合いは非常に高い
評価点4・・・膝痛改善度合いは高い
評価点3・・・膝痛改善度合いは普通
評価点2・・・膝痛改善度合いはやや劣っている
評価点1・・・膝痛改善度合いは劣っている
<痛み改善までの時間の満足度>
評価点5・・・平均2.0日未満
評価点4・・・平均2.0日以上2.5日未満
評価点3・・・平均2.5日以上3.0日未満
評価点2・・・平均3.0日以上3.5日未満
評価点1・・・平均3.5日以上4.0日未満
◎・・・5名の評価点の平均点が4.5点以上であった
○・・・5名の評価点の平均点が4.0点以上4.5点未満であった
△・・・5名の評価点の平均点が3.5点以上4.0点未満であった
×・・・5名の評価点の平均点が3.0点未満であった。
Figure 2011072356
試験例3の結果、関節痛の痛み緩和効果(膝痛改善度合い)及び回復速度効果(痛み改善までの時間の満足度)を高めるためには、発熱体に使用初期の適度な柔軟性と使用後期の強度が共に必要であることが分かった。また、手首及び腰についても同様に試験を行ったところ、同じ結果が得られた。
試験例4(小さい区画を多数有する発熱具との比較)
膝痛罹患者5人を対象にして、実施例1の単位面積当たりの発熱組成物量及び各区画面積(単位面積当たりの発熱組成物量0.4g/cm、面積56cm)を持つ本発明の発熱具と、小さな発熱体区画を本体部に多数有し、適度な柔軟性を有する比較例4との各種比較を行った。なお、比較例4の構成は実施例と同じであるが、発熱体区画の面積がそれぞれ7.85cm、単位面積当たりの重量が0.38g/cmであり、発熱体区画を本体部に12個有する温熱発熱具である。各試験結果は、1サンプルを発熱開始直後から24時間装着し、これを5日間連続して行った結果である。
<膝痛改善度合い>
評価点5・・・膝痛改善度合いは非常に高い
評価点4・・・膝痛改善度合いは高い
評価点3・・・膝痛改善度合いは普通
評価点2・・・膝痛改善度合いはやや劣っている
評価点1・・・膝痛改善度合いは劣っている
<温感>
評価点5・・・発熱体から膝への熱の伝わりは優れている
評価点4・・・発熱体から膝への熱の伝わりはやや優れている
評価点3・・・発熱体から膝への熱の伝わりは普通である
評価点2・・・発熱体から膝への熱の伝わりにやや劣っている
評価点1・・・発熱体から膝への熱の伝わりに劣っている
<柔軟性、装着感>
評価点5・・・柔軟性、装着感に極めて優れていた
評価点4・・・柔軟性、装着感に優れていた
評価点3・・・柔軟性、装着感は普通であった
評価点2・・・柔軟性、装着感にやや劣っていた
評価点1・・・柔軟性、装着感に劣っていた
<痛み改善までの時間の満足度>
評価点5・・・平均2.0日未満
評価点4・・・平均2.0日以上2.5日未満
評価点3・・・平均2.5日以上3.0日未満
評価点2・・・平均3.0日以上3.5日未満
評価点1・・・平均3.5日以上4.0日未満
◎・・・5名の評価点の平均点が4.5点以上であった
○・・・5名の評価点の平均点が4.0点以上4.5点未満であった
△・・・5名の評価点の平均点が3.5点以上4.0点未満であった
×・・・5名の評価点の平均点が3.0点未満であった。
Figure 2011072356
試験例4の結果、1つのセルが小さい比較例4の柔軟性は高いが、1つの発熱体区画が小さいと、発熱体の一区画が関節を広く包み込むことができないため、使用後期の強度が高くなったとしても、関節を固定する効果を得ることができない。よって、比較例4を使用した場合の痛み改善までの時間は長くかかり、膝痛罹患者の満足度は低かった。
一方、実施例1の発熱具は、使用後期において、膝関節を包み込んだ形で発熱体が硬化し、回復速度に大きく貢献していることが分かる。硬化した発熱体がギブスのような役割を果たし、弱った靭帯を固まった発熱体が補強してくれているものと考えられる。
試験例5(粘着材を塗布した発熱具との比較)
腰痛対象者5人を対象にして、実施例1のバンド部を取り外し、発熱体部の肌に接触する側のポリエチレンフィルム全面にアクリル系粘着材を塗布して得られた、粘着部位を持つ発熱具と、実施例1(単位面積当たりの発熱組成物量0.33g/cm、面積56cm)の発熱具との膝痛改善度合い、温感、及び柔軟性・装着感を比較した。評価指標は、試験例4と同じである。各試験結果は、1サンプルを発熱開始直後から24時間装着した結果である。
Figure 2011072356
試験例5の結果、粘着材を塗布した温熱発熱具は、粘着部位の皮膚が引っ張られ、実施例1の発熱具に比してかなり柔軟性、装着感が悪かった。また、粘着材を使用した場合、発熱体も患部の湾曲に適合できずに使用初期の柔軟性が発揮できないため、腰痛改善度合いが悪かった。
試験例6(発熱体をサポーターに収容した場合との比較)
膝痛罹患者5人を対象にして、実施例1(単位面積当たりの発熱組成物量0.4g/cm、面積56cm)と、特許文献2のように、発熱体(カイロ)をサポーター(桐灰化学株式会社製の膝ホットン)に収容した発熱具との膝痛改善度合い、温感及び柔軟性、装着感を比較した。評価指標は、試験例4と同じである。各試験結果は、1サンプルを発熱開始直後から24時間装着した結果である。
Figure 2011072356
試験例6の結果、発熱体(カイロ)をサポーターに収容した発熱具は、サポーターで適用部位を圧迫するので湾曲に適合して、発熱体は適用部位に柔軟にフィットしていた。しかしながら、カイロをサポーターに挿入するため、カイロが直接肌に接触することないため温感が悪い結果だった。また、サポーターの収容袋にカイロを挿入した場合、サポーターの収容袋の中でカイロが動き、使用後期にも膝関節の形状に合わせて硬化することがなく、膝関節を固定する少ないため、膝痛改善度合いは低かった。
試験例7(バンド部の伸張率が150%になるときの力と圧迫力の関係)
さまざまな伸張度を持つバンドをそれぞれ100mm×50mmにカットして、これを引張り試験機(AGS-H島津製作所製)により、長手方向に引っ張ったとき、150%伸張させるのに必要な力(N)を測定した。上記さまざまな伸張度を持つバンドを実施例1の表面積及び単位面積あたりの重量を有する発熱体と組み合わせて、5名の健常人を対象として膝への柔軟性・装着感、膝痛改善度合い、温感、及び痛み改善までの時間の満足度を評価した。評価指標試験例4と同じである。各試験結果は、1サンプルを発熱開始直後から24時間装着し、これを5日間連続して行った結果である。
Figure 2011072356
試験例7の結果から、バンドを150%伸張させるのに必要な力が123Nのバンドであれば、圧迫固定することは可能であるが、あまりに伸展しないため、発熱部の柔軟性、関節部への装着性は劣っていた。一方、バンドは、150%伸張させるのに必要な力が115N以下であると、発熱体の柔軟性、関節部への装着性に優れているのみならず、温感に優れ、膝痛改善度合い、痛み改善までの時間の満足度も非常に高かった。

Claims (9)

  1. 身体に取り付けられる発熱具であって、
    空気と接触することにより発熱する発熱組成物が区画に封入された発熱部と、
    前記発熱部に取り付けられ、伸展性を有する材料で形成された少なくとも一つのバンド部と、
    を備えており、
    前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量は0.11〜0.94g/cmであり、
    前記各区画の面積は15〜150cmである、発熱具。
  2. 前記発熱部は、一つの適用部位に対して、1個又は2〜4個の隣接した前記区画を有している、請求項1に記載の発熱具。
  3. 前記各区画に収納された発熱組成物の単位面積あたりの重量は0.15〜0.71g/cmであり、
    前記各区画の面積は24〜117cmである、請求項1又は2に記載の発熱具。
  4. 前記バンド部は、150%伸張させるのに必要な力が115N以下の伸展度である請求項1〜3のいずれかに記載の発熱具。
  5. 手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部、腰部のいずれかに適用される、請求項1〜4のいずれかに記載の発熱具。
  6. 関節痛又は腰痛の治療用である、請求項1〜5のいずれかに記載の発熱具。
  7. 手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部又は腰部を覆うことによって関節痛又は腰痛を治療するための、請求項1〜6のいずれかに記載の発熱具。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の発熱具で手首関節部、足首関節部、膝関節部、首部、肘部、指関節部又は腰部を覆い、発熱組成物の酸化に従い硬化した発熱体部で関節又は腰を固定することにより関節痛又は腰痛を治療する方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の発熱具の、関節痛又は腰痛の治療具の製造のための使用。
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