JP2011069759A - プローブカード用基板,プローブカードおよびこれを用いた半導体ウエハ検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 貫通孔が増えてもプローブを固定するための基板の変形が少なく、プローブが半導体チップとなる部分の電気的特性を正確に測定することができるようにするためのプローブカード用基板,プローブカードおよびこれを用いた半導体ウエハ検査装置を提供する。
【解決手段】 酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上のセラミックスからなり、セラミックスは、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムを含み、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの合計100質量%に対して、酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量はそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が酸化マグネシウムであるとともに、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であるプローブカード用基板である。
【選択図】 図1
【解決手段】 酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上のセラミックスからなり、セラミックスは、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムを含み、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの合計100質量%に対して、酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量はそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が酸化マグネシウムであるとともに、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であるプローブカード用基板である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、半導体ウエハに形成された回路の検査に用いられるプローブカードを構成するプローブカード用基板およびこのプローブカード用基板を用いたプローブカードならびにこのプローブカードを用いた半導体ウエハ検査装置に関する。
CPU(Central Processing Unit:中央処理装置),MPU(Micro Processor Unit:超小型演算処理装置)やフラッシュメモリ等に用いられる半導体ウエハに形成された回路の検査は、高温に加熱した状態でプローブカードを用いて行なわれる。
図4は従来のプローブカードを示す断面図である。
図4に示すプローブカード800は、配線パターン310が形成されたガラスエポキシ系樹脂からなるプリント基板300と、プリント基板300に取り付けられるプローブ100とを備えたものである。プリント基板300の下面側には、セラミックスからなる保持部材240が取り付けられ、この保持部材240の内部に形成された傾斜面241にシリコンウエハ600の電気的特性を測定するプローブ100が片持梁状に保持されている。プローブ100の先端は下向きに折り曲げられており、シリコンウエハ600を分割するLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)チップ610の電極611に対応するように位置決めされている。
また、プリント基板300の内部にはスルーホール210が形成され、プローブ100とコネクタ端子320とがスルーホール210の内部およびプリント基板300の表面に形成された配線パターン310を介して接続されている。また、シリコンウエハ600は、LSIチップ610の検査が高温下でもできるように、ヒーター710が内蔵された真空チャック700上に載置されている。
半導体製造装置の性能が飛躍的に向上しつつある現在、LSIチップ610は高集積化し、隣り合う電極611の間隔は狭くなりつつある。このようなLSIチップ610の高集積化に対応して、プローブ100の本数を増やさなければならないが、このような片持梁状に保持されたプローブ100を用いたプローブカード800では構造上、プローブ100の本数の増加に十分対応することができなかった。
そこで、このようなLSIチップ610は高集積化の対応ができるように、超小型電子機械式システム(Micro Electro Mechanical System)の構築に用いられる微細加工技術を導入した、MEMES型プローブカードが用いられるようになっている。
このようなMEMES型プローブカードは、例えば特許文献1で提案されており、図5は特許文献1に記載されているプローブカードの部分断面図である。
このようなプローブカードを構成するプローブユニット800は、多層配線基板300の下面に取り付けられたプローブ固定板240と、プローブ固定板240の周縁に沿って取り付けられたフレーム270と、フレーム270によって包囲された弾性体260と、先端が弾性体260を厚さ方向に貫通し、後端がプローブ固定板240に固定された複数の直線状のプローブ線材100とにより構成されている。
弾性体260から突出したプローブ線材100の先端は電極612を押圧するプローブとして機能する。
多層配線基板300には、詳しくは図示しないが、各プローブ線材100に対応した複数の配線層が形成されており、各配線層に各プローブ線材100の後端が電気的に接続されている。多層配線基板300は、例えばポリイミド積層基板によって形成される。
プローブ固定板240およびフレーム270は、例えばセラミックス、プラスチック等の絶縁性で硬質の材料によって形成されている。プローブ固定板240には、各プローブ線材100が貫通する複数の貫通孔241が形成されており、各プローブ線材100はこの貫通孔241でプローブ固定板240に固着されている。フレーム270は、帯形状の部材によりプローブ固定板240の周縁を囲むように形成されている。
弾性体260は、絶縁性と弾性とを有するとともに、後述するプローブ線材100のタングステンあるいはハイス鋼線との間で大きな親和性を有しない材料、例えばシリコンーゴムによって形成されており、厚さが例えば5〜50mm程度であって、プローブ固定板240とフレーム270とに包囲されている。弾性体260は、通常、熱膨張係数が大きく位置精度を確保しにくいが、フレーム270が弾性体260の外形を規制することで、電極612に対する相対位置を精度良く保っている。電極612はアルミニウムを主成分として形成されており、例えばICチップ611の両端に一定間隔で複数個配列され、ICチップ611はシリコンウエハ600に作り込まれている。なお、弾性体260は、エチレンプロピレンゴム等のゴム材で形成してもよい。
プローブ線材100は、直径が例えば20〜100μm程度のタングステン線材によって形成されており、弾性体260を厚さ方向(垂直方向)に貫通して、先端が突き出ている。弾性体260を形成するシリコンーゴムと、プローブ線材100を形成するタングステンとの間の親和性は小さく、両者は物理的/化学的に強く結合されることはないので、プローブ線材100は先端が電極612を押圧したとき、円滑に弾性変形することができる。
アルミニウムで形成された電極612の表面は酸化され、薄い酸化皮膜(アルミナ皮膜)612aが形成されている。
プローブ線材100の先端は、電極612の表面を押圧したとき、硬質な酸化皮膜612aを破壊するだけの機械的強度を有する。
特許文献1に記載されたプローブカードは、隣接するプローブ間の相互干渉がなく、電極612に対して大きな押圧力を発することができるものの、プローブ固定板240の具体的な材質が示されていないことから、プローブの本数の増加に伴って、貫通孔241が増えるとプローブ固定板240は材質によっては剛性が不十分なために変形しやすく、プローブはこの変形の影響を受けてICチップ611の電気的特性を正確に測定することが難しくなるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、プローブを挿入するための貫通孔241が増えてもプローブを固定するための基板の変形が少なく、プローブがLSIチップ、ICチップ等の半導体チップの電気的特性を正確に測定することができるようにするためのプローブカード用基板,およびこのプローブカード用基板を用いたプローブカードならびにこのプローブカードを用いた半導体ウエハ検査装置を提供することを目的とするものである。
本発明のプローブカード用基板は、酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上のセラミックスからなり、該セラミックスは、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムを含み、前記酸化カルシウム,前記酸化珪素および前記酸化マグネシウムの合計100質量%に対して、前記酸化カルシウムおよび前記酸化珪素の含有量はそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が前記酸化マグネシウムであるとともに、前記酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であることを特徴とするものである。
また、本発明のプローブカード用基板は、上記構成において、前記セラミックスは、酸化クロムおよび酸化コバルトを含むことを特徴とするものである。
また、本発明のプローブカード用基板は、上記構成のいずれかにおいて、表面に存在する気孔の面積占有率が2%以下であることを特徴とするものである。
また、本発明のプローブカードは、上記構成のいずれかにおいて、プローブカード用基板と、該プローブカード用基板に取り付けられたプローブとを備えてなることを特徴とするものである。
また、本発明の半導体ウエハ検査装置は、プローブカードを用いたことを特徴とするものである。
本発明のプローブカード用基板によれば、酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上のセラミックスからなり、セラミックスは、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムを含み、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの合計100質量%に対して、酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量はそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が酸化マグネシウムであるとともに、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であることから、異常に粒成長した結晶粒子が含まれないため、結晶粒径のばらつきが小さくなることと併せて、セラミックスのかさ密度が高くなるので、剛性が高くなり、プローブを挿入するための貫通孔が増えてもプローブカード用基板の変形が少なく、半導体チップの電気的特性を正確に測定することができる。また、プローブカード用基板に繰り返し熱が加えられ、この熱応力に伴ってクラックが発生したとしても、剛性が高いので、クラックは進展しにくく、クラックの周辺から殆ど脱粒することがなくなるため、半導体チップの損傷を抑制することができる。
また、本発明のプローブカード用基板によれば、セラミックスは、酸化クロムおよび酸化コバルトを含むときには、表面を紫色,青色または黒色等の暗色にすることができる。従って、半導体ウエハの位置を検出するために半導体ウエハに光ビームを照射すると、半導体ウエハから反射してきた一部の光ビームがプローブカード用基板の表面に入射しても、その表面から反射する光が表面が白色である場合に比べて減少するので、半導体ウエハの所定位置を自動的に検出するためのオートアライメント手段は半導体ウエハの所定位置を正確に検出することができる。また、表面が暗色であると、レーザ光をよく吸収するため、その製造工程でレーザ光を用いてプローブカード用基板を加工する場合には、その加工を容易にすることができる。併せて、酸化クロムおよび酸化コバルト等の着色剤が僅かな量で表面を着色することができるので、多量の着色剤で表面を着色する場合よりも絶縁性が低下しにくくなり、絶縁性に対する信頼性が損なわれにくくなる。
また、本発明のプローブカード用基板によれば、表面に存在する気孔の面積占有率が2%以下であるときには、表面における破壊源が減少するため、さらに剛性を高めることができる。
また、本発明のプローブカードによれば、本発明のプローブカード用基板と、該プローブカード用基板に取り付けられたプローブとを備えてなることから、高温状態における検査の際に、電極と、変形に伴って発生するプローブとの位置ずれが生じることが少ないので、半導体チップの電気的特性の検査を正確に行なうことができる。
また、本発明の半導体ウエハ検査装置によれば、本発明のプローブカードを用いたことから、半導体チップの電気的特性を正確に検査できる優れた半導体ウエハ装置とすることができる。
以下、半導体ウエハに形成された回路の検査に用いられるプローブカードを構成する本発明のプローブカード用基板およびプローブカード用基板を用いたプローブカードならびにこのプローブカードを用いた半導体ウエハ検査装置の実施の形態の例について説明する。
図1は、本発明のプローブカード用基板の実施の形態の一例を示す平面図である。
このプローブカード用基板1は、円板状であって、その外周側には、支持部材に固定するためのピン等の固定部材(図示しない)を通す取付孔2と、この取付孔2の位置より内側に半導体ウエハが分割されたときに半導体チップとなる部分の電気的特性の検査に用いられるプローブを挿入するための貫通孔3とを備えている。なお、本例では、外形形状が円板状のプローブカード用基板1を示したが、その形状は、半導体チップに配列される電極の位置に応じて、角板状など適宜変更が可能である。また、取付孔2および貫通孔3についても、その配置や大きさは、固定場所や半導体チップに配列される電極の位置に応じて適宜変更が可能である。
そして、本発明のプローブカード用基板1は、酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上のセラミックスからなり、このセラミックスは、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムを含み、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの合計100質量%に対して、酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量はそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が酸化マグネシウムであるとともに、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であることが重要である。
ここで、酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上のセラミックスでプローブカード用基板1を形成したのは、酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%未満では、プローブカード用基板1に要求される特性の一つである剛性が不足するからである。
そして、焼結助剤として含ませる酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの含有量がプローブカード用基板1の剛性に影響を与えることを見出し、本発明のプローブカード用基板1では、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの合計100質量%に対して、酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量はそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部を酸化マグネシウムとすることにより、プローブカード用基板1の剛性を高められることを突き止めたのである。
つまり、酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量がそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が酸化マグネシウムであることにより、酸化アルミニウムを主成分とするセラミックスのかさ密度が高くなり、剛性を高めることができる。従って、プローブを挿入するための貫通孔3が増えてもプローブカード用基板1の変形が少なく、半導体チップとなる部分の電気的特性を正確に測定することができる。また、プローブカード用基板1に繰り返し熱が加えられ、この熱応力に伴ってクラックが発生したとしても、剛性が高いので、クラックは進展しにくく、クラックの周辺からほとんど脱粒することがなくなるため、半導体チップの損傷を抑制することができる。
また、酸化カルシウムが20質量%以上37.5質量%以下であることにより、焼結の過程で酸化カルシウムは酸化アルミニウムと反応して粒界相にアルミン酸カルシウムを生成する。このアルミン酸カルシウムの一部は酸化アルミニウムと共融物を生成することによって焼結を促進し、残りのアルミン酸カルシウムは酸化アルミニウムの結晶粒子を取り囲んで、酸化アルミニウムの結晶粒子同士の接触を抑制することで、酸化アルミニウムの結晶粒子の異常な粒成長を防止し、機械的特性の低下を防ぐことができる。
一方、酸化カルシウムの含有量が20質量%未満では、プローブカード用基板1を形成するセラミックスのかさ密度を上げることが困難となる。また、酸化カルシウムの含有量が37.5質量%を超えると、β型アルミナの一種であり、酸化アルミニウムを主成分とするセラミックス中の酸化カルシウム(CaO)と酸化アルミニウム(Al2O3)とが1:6の比率で結合することで生成されるアスペクト比の高い柱状のヒボナイト(CaAl12O19)が多く析出し、プローブカード用基板1の剛性を高めることが困難となる。また、このヒボナイトの含有量が多くなるとセラミックスの強度が低下するため、セラミックス100質量%に対して0.04質量%以下であることが好適である。
ここで、ヒボナイトの含有量の測定方法は、以下のようにして求めることができる。まず、プローブカード用基板1の表面または断面から200μm×200μmの観察領域を10カ所とり、エネルギー分散型X線分光分析法を用いて各観察領域におけるヒボナイト結晶を特定する。次に、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡を用いて各観察領域に占めるヒボナイト結晶のそれぞれの面積比率を求め、これら面積比率の平均値を算出して平均面積比率を得る。この平均面積比率を平均体積比率とみなし、得られた平均体積比率にヒボナイトの理論密度(3.784g/cm3)を積算することで、ヒボナイト結晶の含有量(質量%)とすればよい。
また、酸化珪素が20質量%以上37.5質量%以下であることにより、焼結の過程で酸化珪素は酸化アルミニウムと反応して粒界相にムライトおよび液相を生成する。この液相は焼結を促進するとともに、酸化アルミニウムの結晶粒子同士の接触を抑制することで、酸化アルミニウムの結晶粒子の異常な粒成長を防止し、機械的特性の低下を防ぐことができる。
また、酸化珪素の含有量が20質量%未満または37.5質量%を超えると、プローブカード用基板1を形成するセラミックスのかさ密度を上げることが困難となり、プローブカード用基板1の剛性を高めることが困難となる。
また、残部を酸化マグネシウムを用いたことにより、焼結の過程で酸化マグネシウムは酸化アルミニウムと反応して粒界相にアルミン酸マグネシウムを生成する。このアルミン酸マグネシウムの一部は酸化アルミニウムと共融物を生成することによって焼結を促進し、残りのアルミン酸マグネシウムは酸化アルミニウムの結晶粒子を取り囲んで、酸化アルミニウムの結晶粒子同士の接触を抑制することで、酸化アルミニウムの結晶粒子の異常な粒成長を防止し、機械的特性の低下を防ぐことができる。
なお、プローブカード用基板1を形成するセラミックスの主成分である酸化アルミニウムおよび添加成分である酸化カルシウム,酸化珪素ならびに酸化マグネシウムの各含有量は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法により求めることができる。具体的には、前処理としてプローブカード用基板1の一部を超硬乳鉢にて粉砕した試料にホウ酸および炭酸ナトリウムを加えて融解する。そして、放冷した後に塩酸溶液にて溶解し、溶解液をフラスコに移して水で標線まで薄めて定容とし、検量線用溶液とともにICP発光分析装置で測定することにより、Al,Ca,SiおよびMgの各含有量を求めることができる。この値を基にそれぞれ酸化物へ換算することにより、酸化アルミニウム(Al2O3),酸化カルシウム(CaO),酸化珪素(SiO2)および酸化マグネシウム(MgO)の含有量を求めることができる。または、Ca,SiおよびMgの各含有量を測定して、それぞれ酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムに換算し、100質量%から酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの含有量を引いた値を酸化アルミニウムの含有量としてもよい。
また、このセラミックスに含まれる不可避不純物としては、酸化ナトリウム(Na2O),酸化チタン(TiO2),酸化ニオブ(Nb2O5),酸化イットリウム(Y2O3),酸化硼素(B2O3),酸化リチウム(Li2O),酸化ウラン(UO2),酸化トリウム(ThO2)などが挙げられ、酸化ナトリウムおよび酸化チタンは、それぞれ0.09質量%以下、酸化ニオブおよび酸化イットリウムは、それぞれ0.04質量%以下、酸化硼素は0.004質量%以下、酸化リチウムは0.001質量%以下、酸化ウランおよび酸化トリウムはそれぞれ45質量ppb以下であることが好適である。これらの酸化ウランおよび酸化トリウムを除く不可避不純物は、前述同様のICP発光分析法で測定することができる。酸化ウランおよび酸化トリウムは、波長分散型全反射蛍光X線分析法で測定することができる。
また、本発明のプローブカード用基板1を形成するセラミックスは、酸化アルミニウムを構成する結晶粒子の平均結晶粒径の大きさによって、剛性が異なる。この平均結晶粒径が小さければ、異常に粒成長した結晶粒子が含まれず、結晶粒径のばらつきが小さくなるためセラミックスの剛性は高くなり、平均結晶粒径が大きいと異常に粒成長した結晶粒子が含まれるため、セラミックスの剛性は低くなる。
このような観点から、本発明のプローブカード用基板1は、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であることが重要である。酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であれば、異常に粒成長した結晶粒子が含まれていないため、プローブカード用基板1を形成するセラミックスの剛性を高くすることができる。なお、この平均結晶粒径の測定は、JIS R 1670−2006に準拠して求めることができる。
また、本発明のプローブカード用基板1は、セラミックスが酸化クロムおよび酸化コバルトを含むことが好適である。セラミックスが酸化クロムおよび酸化コバルトを含むときには、表面を紫色,青色または黒色等の暗色にすることができる。従って、半導体ウエハの位置を検出するために半導体ウエハに光ビームを照射すると、半導体ウエハから反射してきた一部の光ビームがプローブカード用基板1の表面に入射しても、その表面から反射する光が表面が白色である場合に比べて減少するので、半導体ウエハの所定位置を自動的に検出するためのオートアライメント手段は半導体ウエハの所定位置を正確に検出することができる。また、表面が暗色であると、レーザ光をよく吸収するため、レーザ光を用いてプローブカード用基板1を加工する場合には、その加工を容易にすることができる。併せて、酸化クロムおよび酸化コバルト等の着色剤が僅かな量で表面を着色することができるので、多量の着色剤で表面を着色する場合よりも絶縁性が低下しにくくなり、絶縁性に対する信頼性が損なわれにくくなる。
なお、酸化クロム(Cr2O3)および酸化コバルト(CoO)を併せて、その酸化クロムおよび酸化コバルトの含有量の比率を8:2〜9:1にすることで、CIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が52以上58以下であり、クロマティクネス指数a*およびb*がそれぞれ1.5以上1.8以下および−7.6以上−6.8以下である紫色を呈することができる。
ここで、明度指数L*とは色調の明暗を示す指数であり、明度指数L*の値が大きいと色調は明るく、明度指数L*の値が小さいと色調は暗くなる。また、クロマティクネス指数a*は色調の赤から緑の度合いを示す指数であり、a*の値がプラス方向に大きいと色調は赤色になり、その絶対値が小さくなるにつれて色調は鮮やかさに欠けたくすんだ色調になり、a*の値がマイナス方向に大きいと色調は緑色になる。さらに、クロマティクネス指数b*は色調の黄から青の度合いを示す指数であり、b*の値がプラス方向に大きいと色調は黄色になり、その絶対値が小さくなるにつれて色調は鮮やかさに欠けたくすんだ色調になり、b*の値がマイナス方向に大きいと色調は青色になる。
併せて、酸化クロムおよび酸化コバルトの含有量の比率(酸化クロム:酸化コバルト)を8:2〜9:1にすることによって、以下の式(A)で規定される色調感の差である色差(△E*ab)を2以下にすることができ、反射した光ビームが散乱されにくくなる。
△E*ab=((△L*)2+(△a*)2+(△b*)2))1/2・・・(A)
また、プローブカード用基板1の表面に存在する気孔の面積占有率が、プローブカード用基板1の剛性に影響を与えるため、本発明のプローブカード用基板1は、表面に存在する気孔の面積占有率が2%以下であることが好ましい。この表面に存在する気孔の面積占有率が2%以下であれば、表面における破壊源が減少するのでさらに剛性を高めることができる。
△E*ab=((△L*)2+(△a*)2+(△b*)2))1/2・・・(A)
また、プローブカード用基板1の表面に存在する気孔の面積占有率が、プローブカード用基板1の剛性に影響を与えるため、本発明のプローブカード用基板1は、表面に存在する気孔の面積占有率が2%以下であることが好ましい。この表面に存在する気孔の面積占有率が2%以下であれば、表面における破壊源が減少するのでさらに剛性を高めることができる。
ここで、プローブカード用基板1の剛性は、動的弾性率によって評価することででき、この動的弾性率は、JIS R 1602−1995に規定される超音波パルス法に準拠して求めればよい。なお、プローブカード用基板1が薄く、JIS R 1602−1995に準拠した試験片の形状および寸法とすることができないときには、プローブカード用基板1から切り出した試験片の形状および寸法における動的弾性率を求めればよい。
また、表面に存在する気孔の面積占有率は、以下のようにして求めればよい。まず、プローブカード用基板1の一部を切り出し、算術平均高さRaが0.1μm以下となるように表面を研磨した後、金属顕微鏡を用いて、倍率を200倍にしてCCDカメラで画像を取り込み、画像解析装置((株)ニレコ製 LUZEX−FS等)により画像内の1視野の測定面積を2.25×10−2mm2,測定視野数を20個,つまり測定総面積が4.5×10−1mm2における開気孔の開口面積を求めて測定総面積における割合を気孔の面積占有率とすればよい。
図2は、本発明のプローブカードを用いた半導体ウエハ検査装置の実施の形態の一例を示す、(a)は半導体チップを検査していない状態における部分断面図であり、(b)は半導体チップを検査している状態における部分断面図である。
図2に示す本発明のプローブカードを用いた半導体ウエハ検査装置15は、本発明のプローブカード用基板1と、プローブカード用基板1に取り付けられたプローブ5とを備えてなる本発明のプローブカードを用いたものである。
図2に示すプローブカード用基板1は、支持部材4に取り付けられ、支持部材4の反対側では、プローブ5を挿入する貫通孔3を備えたプローブカード用基板1の周縁に沿って取り付けられたフレーム6によって包囲され、プローブ5を挿入する連通孔7を備えた弾性体8が当接する。プローブ5が長手方向とほぼ垂直な方向へ湾曲すると、弾性体8は変形し、湾曲によって生じたプローブ5の曲げ応力は、変形によって生じた弾性体8の弾性力によって増強され、半導体ウエハ9上に形成された電極10に対して大きな押圧力を付与する。なお、電極10はアルミニウムを主成分として形成されており、半導体ウエハ9を分割したあとで形成される半導体チップ11の両端に一定間隔で複数個配列される。
また、半導体ウエハ検査装置15は、半導体ウエハ9を吸引して固定する真空チャック12と、真空チャック12を保持するステージ14とを有している。そして、真空チャック12には、半導体ウエハ9を加熱するヒーター13が内蔵されている。
支持部材4は、詳しくは図示しないが、各プローブ5に対応した複数の配線層が形成された多層配線基板からなり、各配線層に各プローブ5の後端が電気的に接続されている。支持部材4は、例えば酸化アルミニウム,窒化アルミニウムおよび窒化珪素のいずれかを主成分とするセラミックスまたはポリイミド等の樹脂で形成される。
フレーム6は、環状の部材によりプローブカード用基板1の周縁を囲むように、例えばセラミックス、プラスチック等で形成されている。
弾性体8は、厚さが例えば5mm以上50mm以下であって、絶縁性および弾性を有するとともに、プローブ5を形成するタングステン,タンタル,ニッケルまたは高速度鋼(high-speed steel)との間で大きな親和性を有しない材料、例えばシリコンーゴムまたはエチレンプロピレンゴムによって形成され、プローブカード用基板1とフレーム6とに包囲されている。弾性体8は、通常、熱膨張係数が大きく熱の影響を受けやすいため、フレーム6が弾性体8の外形を規制することで、熱が与えられても電極10に対する相対的な位置精度が確保できるようにされている。
プローブ5は、直径が例えば20μm以上100μm以下のタングステン,タンタル,ニッケルまたは高速度鋼によって形成されており、弾性体8中の連通孔7を通つて、先端が弾性体8から突き出ている。弾性体8を形成するシリコンーゴムと、プローブ5を形成するタングステン,タンタル,ニッケルまたは高速度鋼との間の親和性は小さく、両者は物理的にも化学的にも強く結合されることはないので、プローブカード用基板1が電極10に接触し、押圧したとき、容易に弾性変形する。電極10がアルミニウムを主成分とする場合、その表面は酸化され、薄い酸化皮膜10aが形成されるが、プローブ5が電極10を押圧したとき、酸化皮膜10aを破壊するだけの機械的強度を有する。
ところで、プローブ5が電極10を押圧するとき、図2(b)に示すように、その先端は電極10の表面に接してから電極10を押圧する。プローブ5は、電極10からの応力に抗して直線状の形状を保つだけの機械的強度を有さないので、弾性体8に遊貫した部位において長手方向とほぼ垂直な方向へ湾曲する。このとき、プローブ5の湾曲した部分は長手方向に50μm〜100μm程度変位する。
またプローブ5は、長手方向とほぼ垂直な方向へ湾曲するときに、例えば、図2(b)で示した矢印方向の弾性力に抗して弾性体8を変形させる。このとき、プローブ5は、弾性体8の弾性力により僅かに変形する。そして、プローブ5の曲げ応力は弾性体8の弾性力によって増強され、プローブ5および弾性体8が一体となって電極10に対して大きな押圧力を与えることができる。その結果、プローブ5は容易に酸化皮膜10aを破壊することが可能となり、半導体チップ11となる部分の電気的特性を正確に測定することができる。
図3は、本発明のプローブカードを用いた半導体ウエハ検査装置の他の実施の形態の例を示す断面図である。
図3に示す本発明の半導体ウエハ検査装置15は、本発明のプローブカード用基板1と、プローブカード用基板1に取り付けられたプローブ5とを備えてなる本発明のプローブカードを用いたものである。
図3に示すプローブカードは、多層配線基板からなる支持部材4に、先端が伸縮可能なポゴピン16を介して取り付けられ、プローブ5間の間隔(ピッチ)を変換するためのピッチ変換用基板17と、ピッチ変換用基板17にはんだバンプ18などによって固定され、電気的に接続されているプローブ支持基板19と、プローブ支持基板19の貫通孔3に挿入されているプローブ5とを備えている。
図3に示す本発明のプローブカード用基板1は、ピッチ変換用基板17およびプローブ支持基板19の少なくともいずれかであり、ピッチ変換用基板17には、表層および内部にプローブ5と電気的に接続する配線パターンが形成されており、ピット変換用基板17を配置することにより、例えばプローブ間の間隔(ピッチ)を30μm以上50μm以下に狭くすることができる。
なお、図3に示す本発明の半導体ウエハ検査装置15では、支持部材4が樹脂で形成され、プローブカード支持基板19が本発明のプローブカード用基板からなるときには、ピッチ変換用基板17は、酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムからなる化合物を主成分とし、この化合物における酸化アルミニウムの含有量が9質量%以上41質量%以下である複合セラミックスで形成してもよい。
例えば、支持部材4がガラス不織布の織り込まれたエポキシ樹脂で、−40℃〜150℃における熱膨張係数は7.5×10−6/℃以上9.5×10−6/℃以下であるとき、ピッチ変換用基板17の複合セラミックスが酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムからなる化合物を主成分とし、化合物におけるアルミナの含有量を9質量%以上41質量%以下とすることによって、−40℃〜150℃における複合セラミックスの熱膨張係数を7.5×10−6/℃以上9.5×10−6/℃以下とすることができるため、高温に加熱した状態における半導体チップ11とな部分の電気的特性の検査において、半導体ウエハ9,プローブカード支持基板19,ピッチ変更用基板17および支持部材4の各部材間で生じる熱膨張の差を抑制することができるので、プローブ5と電極10との位置ずれが生じるのを少なくすることができる。
なお、複合セラミックスの主成分である酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムは、X線回折法を用いて同定することができる。また、含有量については、具体的には複合セラミックス中のAlおよびZrの各含有量を蛍光X線分析法またはICP発光分析法により求め、この各含有量をそれぞれ酸化物であるAl2O3およびZrO2に換算することにより求めることができ、合算した量が主成分量である。
次に、本発明のプローブカード用基板1を得るための製造方法について説明する。
まず純度が99.9%以上で、平均粒径が0.5μm以上1.3μm以下の酸化アルミニウムの粉末と、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの各粉末とを用意する。そして、酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上であり、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの各粉末の合計100質量%に対して、酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量がそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が酸化マグネシウムとなるように秤量した混合粉末を水などの溶媒ともに回転ミルに投入して、純度が99.5%以上99.99%以下の酸化アルミニウムからなるセラミックスボールで混合を行なう。
なお、本発明のプローブカード用基板1の表面を着色する場合には、上記混合粉末の一部が酸化クロムおよび酸化コバルトであってもよく、酸化クロムおよび酸化コバルトの各含有量は、混合粉末100質量%に対して、例えば、0.8質量%以上0.9質量%以下,0.1質量%以上0.2質量%以下である。
次に、ポリビニルアルコール,ポリエチレングリコールやアクリル樹脂などの成形用バインダを溶媒に添加した後、混合してスラリーを得る。ここで、成形用バインダの添加量は混合粉末100質量%に対して合計2質量%以上10質量%以下とする。成形用バインダの添加量が2質量%未満であれば、成形体に求められる強度や可とう性が得られず脆い成形体となる。また、成形用バインダの添加量が10質量%を超えると焼成でバインダが焼失しにくくなり、クラックなどの不具合が出るおそれが高くなる。成形用バインダの添加量を混合粉末100質量%に対して合計2質量%以上10質量%以下とすることにより、成形体に求められる強度や可とう性が得られ、クラックなどの不具合が発生しにくい成形体を得ることができる。
次に、混合粉末,成形用バインダ等を混合したスラリーをドクターブレード法によってシートを成形し、所定形状の金型でこのシートを打ち抜く、またはレーザ加工を施すことにより、取付孔2および貫通孔3が形成された成形体とすることができる。
また、必要に応じて、切削加工,レーザ加工等によりシートを各種形状、例えば円板状や角板状にすればよい。そして、各種形状に加工された成形体を焼成炉に入れて、1550℃以上1650℃以下として2時間以上4時間以下で焼成することにより、例えば、図1に示すプローブカード用基板1を得ることができる。また、1600℃以上1650℃以下として2時間以上4時間以下で焼成することにより、表面に存在する気孔の面積占有率を2%以下とすることができる。
また、半導体ウエハ9を吸引して固定する真空チャック12と、真空チャック12を保持するステージ14とを有し、本発明のプローブカードを用いることにより、本発明の半導体ウエハ検査装置15とすることができる。その結果、半導体チップ11の高集積化に伴って、プローブ5を挿入するための貫通孔3が増えても、プローブカード支持基板19およびピッチ変更用基板17の少なくともいずれかは、変形が少ない本発明のプローブカード用基板1を用いているので、プローブ5は半導体チップ11となる部分の電気的特性を正確に測定することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、平均粒径が表1に示す酸化アルミニウムの粉末と、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの各粉末とを用意した。そして、表1に示す含有量のセラミックスとなるように秤量した混合粉末を溶媒である水とともに回転ミルに投入して、純度が99.5%の酸化アルミニウムからなるセラミックスボールで3時間混合した。
次に、成形用バインダとして、ポリビニルアルコール,ポリエチレングリコールおよびアクリル樹脂を混合粉末100質量%に対して合計6質量%となるように添加した後、混合してスラリーを得た。そして、このスラリーを用いてドクターブレード法によりシートを成形し、所定形状の金型でこのシートを打ち抜くことにより、取付孔2および貫通孔3が形成された成形体を得た。次に、この成形体を焼成炉に入れた後、試料No.42,49,56については1580℃,試料No.41,48,55については1590℃,その他の試料については1650℃の焼成温度で3時間保持することにより、厚みが1.0mmで直径が310mmの本発明のプローブカード用基板1である試料No.7〜11,22〜56を得た。
表1に示すように含有量や酸化アルミニウムの平均結晶粒径が本発明の範囲外である試料No.1〜6,12〜21についても上述した方法と同様の方法で作製した。なお、焼成温度は1650℃として、3時間保持した。
そして、それぞれの試料の各成分の含有量については、ICP発光分析法により求めた。測定方法としては、まず、前処理として、焼成したプローブカード用基板1の一部を超硬乳鉢にて粉砕した。次に、白金るつぼにホウ酸(Merck製 純度99.9999%)2gを入れてバーナーにて加熱し、ガラス状に融解させ放冷した後に、試料0.1gおよび炭酸ナトリウム(Merck製 純度99.999%)3gを加えてバーナーにて加熱して融解した。そして、放冷した後に塩酸溶液に溶解し、溶解液をフラスコに移して水で標線まで薄めて定容とし、検量線用溶液とともにICP発光分析装置で測定した。求められたAl,Ca,SiおよびMgの含有量を酸化物に換算することにより、酸化アルミニウム,酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの含有量を求め、結果を表1に示した。
また、酸化アルミニウムの平均結晶粒径および剛性を示す動的弾性率を測定するためにプローブカード用基板1から試験片を切り出し、それぞれJIS R 1670−2006,JIS R 1602−1995に規定される超音波パルス法に準拠して測定した。なお、平均結晶粒径を求めるための試験片については、算術平均高さRaが0.1μm以下となるように表面を研磨した後、大気雰囲気中において1450℃で1時間サーマルエッチングを行ない、走査型電子顕微鏡を用いて1000倍で撮影した100μm×100μmの範囲の画像から平均結晶粒径を算出した。
また、表面に存在する気孔の面積占有率は、以下のようにして求めた。まず、プローブカード用基板1から試験片を切り出し、算術平均高さRaが0.1μm以下となるように表面を研磨した後、金属顕微鏡を用いて、倍率を200倍にしてCCDカメラで画像を取り込み、画像解析装置((株)ニレコ製 LUZEX−FS)により画像内の1視野の測定面積を2.25×10−2mm2,測定視野数を20個,つまり測定総面積が4.5×10−1mm2における開気孔の開口面積を求めて測定総面積における割合を気孔の面積占有率として、表1に示した。
またヒボナイトの確認は、X線回折装置(Bruker AXS(株)製 D8−ADVANCE)を用いて試料の表面を分析し、ヒボナイト結晶が検出された試料には「有」、検出されなかった試料には「無」と表1に示した。
表1に示す結果から分かる通り、酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%未満である試料No.1および酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μmを超える試料No.2〜6は、動的弾性率が380GPa未満と低かった。また、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの合計100質量%に対する酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量が20質量%未満であるか、または37.5質量%を超える試料No.12〜21も、動的弾性率が380GPa未満と低かった。さらに、ヒボナイト結晶が検出された試料No.15,17は、動的弾性率が370GPa,372GPaであり、剛性に影響を与えることが分かった。
これに対し、本発明の範囲である試料No.7〜11,22〜56は、酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上のセラミックスからなり、このセラミックスは、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムを含み、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの合計100質量%に対して、酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量はそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が酸化マグネシウムであるとともに、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であることから、ヒボナイト結晶も検出されず、プローブカード用基板1の動的弾性率が380GPa以上となり、剛性を高められることが分かった。
また、酸化アルミニウム,酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの各含有量が同じである試料No.40〜42,47〜49および54〜56を比べると、表面に存在する気孔の面積占有率が2%を超える試料No.42に対する試料No.40,41、同様に試料No.49に対する試料No.47,48および試料No.56に対する試料No.54,55は、表面に存在する気孔の面積占有率が2%以下であることにより動的弾性率を高められることが分かった。
まず、アルミナ,酸化カルシウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化クロム,酸化コバルト,酸化マンガンおよび酸化鉄が表2に示す含有量となるように秤量して調合粉末とした。そして、この調合粉末を溶媒である水とともに回転ミルに投入して、アルミナボールで24時間混合粉砕した。なお、混合粉砕後の平均粒径は2μmであった。
次に、成形用バインダとして、ポリビニルアルコール,ポリエチレングリコールおよびアクリル樹脂を混合粉末100質量%に対して合計6質量%となるように添加した後、混合してスラリーとした。そして、このスラリーを用いてドクターブレード法によりシートを成形し、所定形状の金型でこのシートを打ち抜くことにより、取付孔2および貫通孔3が形成された成形体を得た。次に、この成形体を焼成炉に入れて、1600℃で10時間保持することで厚みが1.0mmで直径が310mmの本発明のプローブカード用基板1である試料No.57〜62を得た。
そして、それぞれの試料の各成分の含有量については、ICP発光分析法により求めた。測定方法としては、まず、前処理として、焼成したプローブカード用基板1の一部を超硬乳鉢にて粉砕した。次に、白金るつぼにホウ酸(Merck製 純度99.9999%)2gを入れてバーナーにて加熱し、ガラス状に融解させ放冷した後に、試料0.1gおよび炭酸ナトリウム(Merck製 純度99.999%)3gを加えてバーナーにて加熱して融解した。そして、放冷した後に塩酸溶液に溶解し、溶解液をフラスコに移して水で標線まで薄めて定容とし、検量線用溶液とともにICP発光分析装置でAl,Ca,Si,Mg,Cr,Co,MnおよびFeの各含有量を測定し、それぞれ酸化物であるAl2O3,CaO,SiO2,MgO,Cr2O3,CoO,MnO2およびFe2O3に換算して、その値を表2に示した。
また、プローブカード用基板1の表面の色調を目視で確認し、その色調を表2に示した。
表2に示す結果から分かるように、酸化クロム,酸化コバルト,酸化マンガンおよび酸化鉄の少なくとも1種を主成分とする着色剤を含ませることによって、表面が白色である場合より光ビームが反射しにくい紫色,ピンク色,赤色および黄色のいずれかに呈色させられているため、半導体ウエハの所定位置を自動的に検出するためのオートアライメント手段が光ビームを半導体ウエハに照射しても、反射することがほとんどなくなるので、半導体ウエハの所定位置を正確に検出することができるといえる。
実施例1で用いた本発明の試料No.7のプローブカード用基板1と、プローブカード用基板1に取り付けられたプローブ5とを備えてなる本発明のプローブカードを用いた、図2に示す半導体ウエハ検査装置15を用いて、半導体ウエハ9の中央部に対向するプローブ5の先端の変位と半導体ウエハ9の端部(半導体ウエハ9の中央部から90mm離れた位置)に対向するプローブ5の先端の変位との差を3次元測定器で測定した。
より具体的には、直径が200mmのシリコンからなる半導体ウエハ9を真空チャック12で固定した状態で、雰囲気の温度をそれぞれ25℃,50℃,75℃,100℃,125℃および150℃に設定して、半導体ウエハ9の中央部に対向するプローブ5の先端の変位と半導体ウエハ9の端部(半導体ウエハ9の中央部から90mm離れた位置)に対向するプローブ5の先端の変位との差を3次元測定器で測定した。
また、比較例として、試料No.7を試料No.2に取り替えて、上述した雰囲気の温度における半導体ウエハ9の中央部に対向するプローブ5の先端の変位と半導体ウエハ9の端部(半導体ウエハ9の中央部から90mm離れた位置)に対向するプローブ5の先端の変位との差を3次元測定器で測定した。
その差を表3に示した。
表3に示す結果から分かるように、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μmを超える試料No.2は、動的弾性率が380GPa未満と低かったために、雰囲気の温度が高くなると、変位の差が大きくなることが分かった。
一方、本発明の範囲である試料No.7は、酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上のセラミックスからなり、このセラミックスは、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムを含み、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムの合計100質量%に対して、酸化カルシウムおよび酸化珪素の含有量はそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が酸化マグネシウムであるとともに、酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であることから、プローブカード用基板1の動的弾性率が380GPa以上であることから、雰囲気の温度が高くなっても、変位の差が大きくならないことが分かった。
このことから、本発明のプローブカード用基板1と、プローブカード用基板1に取り付けられたプローブ5とを備えてなる本発明のプローブカードを用いた半導体ウエハ検査装置15は、剛性の高いプローブカード用基板1を用いているので、雰囲気の温度が高くても
撓みにくく、正確な検査ができるといえる。
撓みにくく、正確な検査ができるといえる。
1:プローブカード用基板
2:取付孔
3:貫通孔
4:支持部材
5:プローブ
6:フレーム
7:連通孔
8:弾性体
9:半導体ウエハ
10:電極
11:半導体チップ
12:真空チャック
13:ヒーター
14:ステージ
15:半導体ウエハ検査装置
16:ポゴピン
17:ピッチ変換用基板
18:はんだバンプ
19:プローブ支持基板
2:取付孔
3:貫通孔
4:支持部材
5:プローブ
6:フレーム
7:連通孔
8:弾性体
9:半導体ウエハ
10:電極
11:半導体チップ
12:真空チャック
13:ヒーター
14:ステージ
15:半導体ウエハ検査装置
16:ポゴピン
17:ピッチ変換用基板
18:はんだバンプ
19:プローブ支持基板
Claims (5)
- 酸化アルミニウムの含有量が98.5質量%以上のセラミックスからなり、該セラミックスは、酸化カルシウム,酸化珪素および酸化マグネシウムを含み、前記酸化カルシウム,前記酸化珪素および前記酸化マグネシウムの合計100質量%に対して、前記酸化カルシウムおよび前記酸化珪素の含有量はそれぞれ20質量%以上37.5質量%以下であって残部が前記酸化マグネシウムであるとともに、前記酸化アルミニウムの平均結晶粒径が2.5μm以下(但し、0μmを除く。)であることを特徴とするプローブカード用基板。
- 前記セラミックスは、酸化クロムおよび酸化コバルトを含むことを特徴とする請求項1に記載のプローブカード用基板。
- 表面に存在する気孔の面積占有率が2%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプローブカード用基板。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のプローブカード用基板と、該プローブカード用基板に取り付けられたプローブとを備えてなることを特徴とするプローブカード。
- 請求項4に記載のプローブカードを用いたことを特徴とする半導体ウエハ検査装置。
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- 2009-09-28 JP JP2009221929A patent/JP2011069759A/ja not_active Withdrawn
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