JP2011068005A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、アクリル樹脂を含有する光学フィルムの矯正時および剥離時の平面性不良を防止し、横段故障、位相差ムラ、縦スジ故障のない光学フィルムを得ることのできる製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】アクリル樹脂と、それ以外の少なくとも1種の樹脂、および少なくも1本の炭素数5〜20の炭素鎖と連結基とを有し分子量が150〜1000である化合物とを含有する樹脂混合物を、溶融押出の後、弾性タッチロールと冷却ロールとで挟圧する工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記冷却ロールの表面温度Tr1が、
Tg<Tr1≦Tg+40℃
を満たすことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置に使用される光学フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置に使用される光学フィルムには、高度な平面性が要求される。この平面性を得る方法として、例えば特許文献1では溶融流延製膜によるセルロースエステルフィルムの製造方法において、冷却ロールに対向する弾性タッチロールを用いて面矯正することが知られている。
ここでは、弾性タッチロールによる面矯正は可能な限り高温状態で行うことが好ましく、該タッチロールの温度および対向する冷却ロールの温度は高温に設定することが好ましいとされている。
ところで、セルロースエステルフィルムやアクリル樹脂フィルムを溶融流延製膜により製膜する場合、冷却ロールの温度を高温にすると剥離時に熱可塑性樹脂の貼り付きや変形が生じるため、かえって平面性に悪影響となる場合があった。
冷却ロールの温度は面矯正に必要な高温と剥離に必要な低温とのトレードオフの関係にあり、実際の製造に際しては、通常両者のバランスを調整し、特に剥離性のために光学フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度(以下Tgという)以下とする温度設定がされていた(特許文献2,3)。
しかしながら、これらの冷却ロールの温度では、いまだ十分な面矯正レベルが得られていないのが実情であった。
剥離時の面矯正レベルの低さは、光学フィルムの横段故障、位相差ムラ、縦スジ故障に直結する。
特開2008−183849号公報 特開2009−90540号公報 特開2009−108286号公報
本発明は、アクリル樹脂を含有する光学フィルムの矯正時および剥離時の平面性不良を防止し、横段故障、位相差ムラ、縦スジ故障のない光学フィルムを得ることのできる製造法を提供することを目的とする。
本発明の目的は、下記によって達成された。
1.アクリル樹脂と、それ以外の少なくとも1種の樹脂、および少なくも1本の炭素数5〜20の炭素鎖と連結基とを有し分子量が150〜1000である化合物とを含有する樹脂混合物を、溶融押出の後、弾性タッチロールと冷却ロールとで挟圧する工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記冷却ロールの表面温度Tr1が、
Tg<Tr1≦Tg+40℃
を満たすことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
Tgは、光学フィルムを構成する樹脂混合物のガラス転移温度(℃)を表す。
2.前記それ以外の少なくとも1種の樹脂がセルロースエステルであることを特徴とする前記1記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記弾性タッチロールと冷却ロールとで挟圧する工程の後に、Tg以上、Tg+40℃以下の温度で縦延伸工程および横延伸工程を有し、双方の延伸工程による合計延伸倍率が面積比で2倍以上である工程を経て得られたことを特徴とする前記1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明の製造方法によれば、アクリル樹脂を含有する光学フィルムの製造において、剥離特性および面矯正特性の良好な調整が可能となり、横段故障、位相差ムラ、縦スジ故障のない光学フィルムを得ることができた。
また付随する効果として、後工程である延伸工程での破断リスクを低減させ、仕上がり状態で内部散乱の小さな光学フィルムを得ることが可能となった。
本発明の製造装置の一つの概略図である。 本発明の製造装置の他の概略図である。 本発明のエキシマ紫外線照射装置の構造の説明図である。 本発明の常圧プラズマ照射装置の構造の説明図である。
本発明は、アクリル樹脂と、それ以外の少なくとも1種の樹脂、および少なくも1本の炭素数5〜20の炭素鎖と連結基とを有し分子量が150〜1000である化合物とを含有する樹脂混合物を、溶融押出の後、弾性タッチロールと冷却ロールとで挟圧する工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記冷却ロールの表面温度Tr1がTg<Tr1≦Tg+40℃を満たすことを特徴とする。
つまり、本発明の製造方法が対象とする光学フィルムは、アクリル樹脂、それ以外の少なくとも1種の樹脂、および少なくも1本の炭素数5〜20の炭素鎖と連結基とを有し分子量が150〜1000である化合物とを含有する樹脂混合物からなる。
ここでTgとは、光学フィルムを構成する樹脂混合物のガラス転移温度(℃)を表す。
<アクリル樹脂>
本発明に用いられるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル鎖の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル鎖の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明のアクリル樹脂は、フィルムとしての機械的強度、フィルムを生産する際の流動性、粘度等を制御する観点から重量平均分子量(Mw)が80000〜1000000であることが好ましく、100000〜280000であることがより好ましい。
本発明のアクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒:テトラヒドロフラン
装置:HLC−8220(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.1質量%
注入量:10μl
流量:0.6ml/min
校正曲線:標準ポリスチレン:PS−1(Polymer Laboratories社製)Mw=2,560,000〜580までの9サンプルによる校正曲線を使用した。
アクリル樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系およびアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。
重合温度については、懸濁または乳化重合では30〜100℃、塊状または溶液重合では80〜160℃で実施しうる。さらに、生成共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
本発明のアクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明においては、アクリル樹脂は1種以上使用してもよいが、この場合、いずれのアクリル樹脂の重量平均分子量も80000〜1000000であることが好ましい。
<アクリル樹脂以外の少なくとも1種の樹脂>
アクリル樹脂以外の少なくとも1種の樹脂としては、ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6・ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート・ポリブチレンテレフタレート・ポリプロピレンテレフタレート・ポリブチレンサクシネート・ポリエチレンサクシネート・ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ(グリコール酸−乳酸)などのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ酢酸ビニルおよびその鹸化物、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、セルロースエステルなどの樹脂が挙げられる。
またビニルモノマー単位から考えれば、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルピロリドンおよびビニルエーテルを構成単位として含むビニル重合体、あるいはビニル共重合体を挙げることもできる。
ビニル共重合体の例としては、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、クロロビニルエーテル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−ビニルピロリドン共重合体などが挙げられる。ただし、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルは、50質量%未満の共重合体である。
本発明では、アクリル樹脂と、アクリル樹脂以外の互いに性質の異なる2種類以上の樹脂を用いるが、樹脂を構成する単量体の化学構造がそれぞれ全く異なることが好ましい。互いに共通する単量体がある場合は、50質量%以上の組成が異種の単量体である場合に性質の異なる樹脂であるとする。
本発明のアクリル樹脂以外の少なくとも1種の樹脂は、重量平均分子量が10000〜200000であることが好ましい。
本発明のアクリル樹脂以外の少なくとも1種の樹脂として最も好ましいのは、セルロースエステルである。
〈セルロースエステル〉
本発明においては、アクリル樹脂以外の少なくとも1種の樹脂として、平均アシル基置換度2〜3.0個有するセルロースエステルを含有することが好ましい。
セルロースエステルを選択する一つの利点として、延伸工程での搬送適性(破断確率の減少)が挙げられる。
本発明のセルロースエステルとしては、フィルムの分野で従来使用されているセルロースエステルをそのまま使用することができる。
本発明において用いられるセルロースエステルは、特に脆性の改善や透明性の観点から、アシル基の平均置換度が2.0〜2.8、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が0〜1.2であることが好ましい。本発明のセルロースエステルの炭素数が3〜7のアシル基としては、特にプロピオニル基が好ましく用いられる。
本発明において前記アシル基は、脂肪族アシル基であっても、芳香族アシル基であってもよい。脂肪族アシル基の場合は、直鎖であっても分岐していても良く、さらに置換基を有してもよい。本発明におけるアシル基の炭素数は、アシル基の置換基を包含するものである。
上記セルロースエステルが、芳香族アシル基を置換基として有する場合、芳香族環に置換する置換基Xの数は0〜5個であることが好ましい。この場合も、置換基を含めた炭素数が3〜7であるアシル基の置換度が0〜1.2となるように留意が必要である。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
具体的なセルロースエステルとしては、例えば、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、または、セルロースアセテートプロピオネートブチレートなどが使用可能であり、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピロネートが好ましい。
本発明のセルロースエステルの重量平均分子量(Mw)は、75000以上であり、75000〜300000の範囲であることが好ましく、100000〜240000の範囲内であることがさらに好ましく、160000〜240000のものが特に好ましい。
本発明のセルロースエステルの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
<少なくも1本の炭素数5〜20の炭素鎖と連結基とを有し分子量が150〜1000である化合物>
本発明において、少なくも1本の炭素数5〜20の炭素鎖と連結基とを有し分子量が150〜1000である化合物はいわゆる析出剤としての機能を有する。
本発明における析出剤とは、該光学フィルムにおける添加量を樹脂混合物の1質量%に調整したサンプルを作製し、前記Tgに加熱した場合に、該サンプル最表面の含有濃度が全平均含有濃度に対し3倍以上になる特性をもつものが好ましい。また好ましくは50倍以下である。この特性は常温では発揮しないことが好ましい。
最表面の含有濃度は、飛行時間型二次イオン質量分析装置(ToF−SIMS)を用いて、サンプル表面(最表面から100nm程度)における対象物質の濃度を測定することにより求められる。また全平均含有濃度は、サンプル断面における対象物質の濃度を測定することにより求められる。それぞれ濃度分布がある場合は分布を求めて平均化して求める。
直接Tgにおける測定を行っても良いが、Tgに加熱したサンプルを液体窒素で瞬間凍結して測定を行うことが簡便である。以上のようにサンプルの表面および断面の対象物質の濃度を求めることができ、両者の比を求めることにより本発明に好ましい析出剤を選択することができる。
本発明の析出剤は、炭素数が5〜20の炭素鎖、例えばアルキル基またはアルキレン基と連結基、例えばエーテル基、エステル基、アミド基、スルホン基、四級アミノ基、糖残基等極性を持つ基を併せ持つ、分子量150〜1000の化合物である。分子量が低すぎると瞬時に揮発するためフィルム表面に析出しにくくなる。分子量が高すぎると分子のモビリティが低下しこれもまたフィルム表面に析出しにくくなる。
ここで分子量とは、ポリアルキレンオキシド鎖(ポリエチレングリコール鎖、ポリプロピレングリコール鎖等)を有している場合は、その平均付加モル数の化合物による分子量を意味するものとする。
このような析出剤としては、高級アルコール、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、ジオールの脂肪酸ジエステル、脂肪酸アミド、脂肪酸塩、脂肪酸ジエタノールアミド、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキレンビス脂肪酸アミド、糖−脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、(ポリ)アルキレングリコール脂肪酸エステル、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル、(ポリ)オキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、N−アルキルピロリジノン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミド(ポリ)アルキレンオキサイド付加体、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルピリジニウムクロリド、アルキルカルボキシベタインを挙げることができ、これらの候補の中から前記した方法で選択することができる。
好ましい析出剤の具体的化合物としては、ステアリルアルコール、ステアリン酸アミド、ラウリン酸、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸ミリスチル、1,4−ブタンジオールジラウレート、エチレン・ビスステアリン酸アマイド、ソルビタントリステアレート、ペンタエリスリトールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、ヘキサグリセリントリステアレート、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールジオクチルエーテル、ポリプロピレングリコールラウリルエーテル、セチルピリジニウムクロリド等で挙げられる。
析出剤は通常の取扱においてブリードアウトしにくいことが好ましい。
非イオン性活性剤の機能をもつ高級アルコール、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸塩、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、糖−脂肪酸エステル、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、(ポリ)アルキレングリコール脂肪酸エステル、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル、(ポリ)オキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、N−アルキルピロリジノン等については、HLB値が6以上であることが好ましい。
本発明のHLB値とは、いわゆるグリフィン法のHLB値であり、化合物の構造から20×親水部の式量の総和÷分子量で定義する。親水部とは、水酸基、アミド、カルボン酸、糖、ポリグリセリン、ポリオキシエチレン等の部分を差す。
析出剤の添加量は樹脂混合物の0.001質量%〜5質量%が好ましく、0.01質量%〜1質量%がより好ましい。
<樹脂混合物>
本発明の樹脂混合物は、前記のアクリル樹脂、それ以外の少なくとも1種の樹脂、および少なくも1本の炭素数5〜20の炭素鎖と連結基とを有し分子量が150〜1000である化合物とを含有する。
アクリル樹脂と、それ以外の少なくとも1種の樹脂の合計が、樹脂混合物に対して70質量%以上含有されていることが好ましい。
本発明において2種類以上の樹脂を使用することの意義は下記のように考えている。
本発明の樹脂混合物は溶融状態で相溶し、冷却過程においてほぼ単一のガラス転移温度(Tg)を示すものである。この樹脂混合物はガラス転移温度以下に冷却する課程で、アクリル樹脂ともう1種の樹脂との2種類の樹脂が微視的に相分離挙動を示し、微視的な樹脂同士の界面が存在すると思われる。
本発明の析出剤は、樹脂混合物がTg以上の温度にあるとき、空気との界面である表面に高濃度に分布するものであるが、樹脂混合物がTg以下の温度では、前記した微視的な樹脂同士の界面に高濃度に分布するのではないかと推定している。つまり、Tg以下の温度では光学フィルムの表面に析出しにくくなる、すなわちいわゆるブリードアウトしにくくなるものと思われる。
本発明においてガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。
<その他の添加剤>
本発明の光学フィルムには、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐電防止剤、粒子等、通常の光学フィルムに添加することができる化合物を使用することができる。
<光学フィルムの製造工程>
以下、フィルムの製造工程について説明する。
図1、2は、本発明のフィルムの製造装置の全体構成を示す概略フローシートである。図1、2において、フィルムの製造方法は、セルロースエステル等のフィルム材料を混合した後、押出し機1を用いて、流延ダイ4から第1冷却ロール5上に溶融押し出し、第1冷却ロール5に外接させるとともに、さらに、第2冷却ロール7、第3冷却ロール8の合計3本の冷却ロールに順に外接させて、冷却固化してウェブ10とする。
次いで、剥離ロール9によって剥離したウェブ10を、次いでロール周速差を利用した延伸装置11前半部(MD延伸ゾーン)により搬送方向に延伸、さらに延伸装置11後半部(TD延伸ゾーン)によりフィルムの両端部を把持して幅方向に延伸した後、巻取り装置12により巻き取る。
また、平面性を矯正するために溶融フィルムを第1冷却ロール5表面に挟圧するタッチロール6が設けられている。
このタッチロール6は表面が弾性を有し、第1冷却ロール5との間でニップを形成している。
延伸温度は、フィルムのガラス転移温度Tg以上、融点Tm以下であり、好ましくはTg以上、Tg+40℃以下である。
〈溶融ペレット製造工程〉
溶融押出に用いる樹脂混合物は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、アクリル樹脂、それ以外の樹脂および析出剤をフィーダーで押出機に供給し1軸や2軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷または空冷し、カッティングすることでできる。
原材料は、押出する前に乾燥しておくことが原材料の分解を防止する上で重要である。特にセルロースエステルをアクリル樹脂以外の樹脂とする場合は、除湿熱風乾燥機や真空乾燥機で70〜140℃で3時間以上乾燥し、水分率を200ppm以下、さらに100ppm以下にしておくことが好ましい。
酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。酸化防止剤の混合は、固体同士で混合してもよいし、必要により、酸化防止剤を溶剤に溶解しておき、樹脂に含浸させて混合してもよく、あるいは噴霧して混合してもよい。
真空ナウターミキサなどが乾燥と混合を同時にできるので好ましい。また、フィーダー部やダイからの出口など空気と触れる場合は、除湿空気や除湿したNガスなどの雰囲気下にすることが好ましい。
また、押出機への供給ホッパー等は保温しておくことが吸湿防止できるので好ましい。マット剤やUV吸収剤などは、得られたペレットにまぶしたり、フィルム製膜時に押出機中で添加してもよい。
押出機では、せん断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
ニーダーディスクは、混錬性を向上できるが、せん断発熱に注意が必要である。ニーダーディスクを用いなくても混合性は十分である。ベント孔からの吸引は必要に応じて行えばよい。低温であれば揮発成分はほとんど発生しないのでベント孔なしでもよい。
ペレットの色は、黄味の指標であるb*値が−5〜10の範囲にあることが好ましく、−1〜8の範囲にあることがさらに好まさらに、−1〜5の範囲にあることがより好ましい。b値は分光測色計CM−3700d(コニカミノルタセンシング(株)製)で、光源をD65(色温度6504K)を用い、視野角10°で測定することができる。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
〈樹脂混合物の溶融物をダイから押し出す工程〉
除湿熱風や真空または減圧下で乾燥したペレットを1軸や2軸タイプの押出機を用いて、押し出す際の押出機のダイ出口部分溶融温度Tmを200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどでろ過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延する。
供給ホッパーから押出機へ導入する際は真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。
ダイに傷や異物が付着するとスジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥のことをダイラインとも呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押出機からダイまでの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力無いものを用いることが好ましい。
押出機やダイなどの溶融樹脂と接触する内面は、表面粗さを小さくしたり、表面エネルギーの低い材質を用いるなどして、溶融樹脂が付着し難い表面加工が施されていることが好ましい。具体的には、ハードクロムメッキやセラミック溶射したものを表面粗さ0.2S以下となるように研磨したものが挙げられる。
可塑剤などの添加剤は、あらかじめ樹脂と混合しておいてもよいし、押出機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
〈ダイから押し出された溶融物を、冷却ロールと弾性タッチロールとの間に押圧しながら流延してフィルムとする工程〉
この工程では、ダイから押し出されたフィルム状の溶融物を、冷却ロールと弾性タッチロールとでニップすることにより、所定のフィルム形状(面矯正)、膜厚に成形する。
本発明では、樹脂混合物の溶融物をダイからフィルム状に押出し、ドロー比4以上45以下として得られたフィルムを、弾性タッチロールで冷却ロールに押圧しながら搬送することが好ましい。
ドロー比とは、ダイのリップクリアランスを冷却ロール上で固化したフィルムの平均膜厚で除した値である。ドロー比は、ダイリップクリアランスと冷却ロールの引き取り速度により調整できる。ダイリップクリアランスは、900μm以上が好ましく、さらに1mm以上2mm以下が好ましい。
〔冷却ロール〕
本発明に用いる冷却ロールには特に制限はないが、高剛性の金属ロールで内部に温度制御可能な熱媒体または冷媒体が流れるような構造を備えるロールであり、大きさは限定されないが、溶融押出されたフィルムを冷却するのに十分な大きさであればよく、通常冷却ロールの直径は100mmから1m程度である。
冷却ロールの表面材質は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。さらに表面の硬度をあげたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。
冷却ロール表面の表面粗さは、Raで0.1μm以下とすることが好ましく、さらに0.05μm以下とすることが好ましい。
本発明においては、冷却ロールの表面温度Tr1は、Tg<Tr1≦Tg+40℃に設定される。通常の溶融製膜では、Tr1はTg以下に設定されることが多いが、本発明においては析出剤の効果によりTr1をTg以上にあげることができ、面矯正が容易となった。
冷却ロールは二つ以上有しているのが好ましい。二つ以上の場合、第2冷却ロールの表面温度はTg−50≦Tr2≦Tg℃に設定されるのが好ましい。
〔弾性タッチロール〕
弾性タッチロールとしては、特開平03−124425号、特開平08−224772号、特開平07−100960号、特開平10−272676号、WO97−028950、特開平11−235747号、特開2002−36332号、特開2005−172940号や特開2005−280217号に記載されているような表面が薄膜金属スリーブ被覆シリコンゴムロールを使用することができるが、金属製外筒と内筒との2重構造になっており、その間に冷却流体を流せるように空間を有しているものであることが好ましい。
金属製外筒の肉厚の範囲は、0.003≦(金属製外筒の肉厚)/(タッチロール半径)≦0.03であれば、適度な弾性となり好ましい。弾性タッチロールの直径は100mm〜600mmが好ましい。また金属製外筒の肉厚は、0.1〜5mmであることが好ましい。
金属製外筒表面の表面粗さは、算術平均粗さRaで0.1μm以下とすることが好ましく、さらに0.05μm以下とすることが好ましい。
金属外筒の材質は、平滑で、適度な弾性があり、耐久性があることが求められる。炭素鋼、ステンレス、チタン、電鋳法で製造されたニッケルなどが好ましい。さらにその表面の硬度をあげたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。表面加工した表面はさらに研磨し上述した表面粗さとすることが好ましい。
内筒は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの軽量で剛性のある金属製内筒であることが好ましい。内筒の肉厚は、外筒の2〜10倍とすることで十分な剛性が得られる。内筒にはさらにシリコーン、フッ素ゴムなどの樹脂製弾性材料が被覆されていてもよい。
冷却流体を流す空間の構造は、ロール表面の温度を均一に制御できるものであればよく、例えば、幅方向に行きと戻りが交互に流れるようにしたり、スパイラル状に流れるようにすることでロール表面の温度分布の小さい温度制御ができる。
冷却流体は、特に制限はなく、使用する温度域に合わせて、水やオイルを使用できる。
本発明で用いる弾性タッチロールは、幅方向の中央部が端部より径が大きいいわゆるクラウンロールの形状とすることが好ましい。
本発明で用いる弾性タッチロールの幅は、フィルム幅よりも広くすることで、フィルム全体を冷却ロールに密着できるので好ましい。また、ドロー比が大きくなると、フィルムの両端部がネックイン現象により耳高(端部の膜厚が厚くなる)になる場合がある。
この場合は、耳高部を逃げるように、金属製外筒の幅をフィルム幅より狭くしてもよい。あるいは、金属製外筒の外径を小さくして耳高部を逃げてもよい。
金属製弾性タッチロールの具体例としては、特許第3194904号、特許第3422798号、特開2002−36332号、特開2002−36333号に記載されている成形用ロールが挙げられる。
弾性タッチロールの撓みを防止するため、冷却ロールに対してタッチロールの反対側にサポートロールを配してもよい。
弾性タッチロールの汚れを清掃する装置を配してもよい。清掃装置としては、例えば、ロール表面を必要により溶剤を浸透させた不織布などの部材をロールに押し当てる方法、液体中にロールを接触させる方法、コロナ放電やグロー放電などのプラズマ放電によりロール表面の汚れを揮発させる方法などが好ましく用いることができる。
弾性タッチロールの表面温度Trをさらに均一にするため、タッチロールに温調ロールを接触させたり、温度制御された空気を吹き付けたり、液体などの熱媒体を接触させてもよい。
本発明では、さらに弾性タッチロール押圧時のタッチロール線圧を1N/mm以上、15N/mm以下、タッチロール側フィルム表面温度Ttを冷却ロールの表面温度Tr1に対しTr1−50≦Tt≦Tr1−5℃とすることが好ましい。
サポートロールにより弾性タッチロールを押圧することで、間接的にフィルムを押圧してもよい。
フィルム表面温度およびロール表面温度は非接触式の赤外温度計で測定できる。具体的には、非接触ハンディ温度計(IT2−80、(株)キーエンス製)を用いてフィルムのTD方向に10箇所を被測定物から0.5mの距離で測定する。
弾性タッチロール側フィルム表面温度Ttは、搬送されているフィルムをタッチロールからはずした状態で、タッチロール側から非接触式の赤外温度計で測定したフィルム表面温度のことをさす。
(冷却ロール表面を清掃する装置)
本発明では、稼働中の冷却ロール表面を常圧プラズマ照射処理またはエキシマ紫外線照射処理によって清掃することが好ましい。
図1は、エキシマ紫外線照射処理による冷却ロール表面清掃装置21を設置したフィルムの製造装置の概略図である。
同図において、本発明は、溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法であって、熱可塑性樹脂及び添加剤を含む樹脂溶融液を、流延ダイ4から第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面に流延して、流延膜(ウェブ)10を形成し、冷却固化させた後に、金属支持体5から剥離する工程を含み、製膜中に第1冷却ロールよりなる金属支持体5の表面の流延膜の非通過区間において、金属支持体5の略全幅にわたり、エキシマ紫外線照射装置21によりエキシマ紫外線照射処理を施すことにより、金属支持体5表面に表面処理膜を形成し、その後、金属支持体5の表面に樹脂溶融液を流延するものである。
すなわち、本発明の方法によれば、第1冷却ロールよりなる金属支持体5の表面を、製膜中にいわゆるオンラインで、第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面のウェブの非通過区間〔製膜中に金属支持体5の表面がむき出しとなる区間〕において、エキシマ紫外線照射装置21により高エネルギー表面処理を施することにより、第1冷却ロールよりなる金属支持体5の表面を改質し、改質後の金属支持体5表面に樹脂溶融物を流延するものである。
図3は、エキシマ紫外線照射装置の原理を説明するための説明図である。同図において、(u)はエキシマ紫外線ランプ、(r)は反射板、(p)はパージガス、(d)はエキシマ紫外線ランプ(u)から第1冷却ロールよりなる金属支持体5までの間隙である。
本実施の形態においては、種々の紫外線照射装置を用いることができるが、特に、波長が250nm以下が好ましい。
このような紫外線照射下では、パージガス(p)に含まれる酸素は活性酸素やオゾンを生成し、紫外線とともに、添加剤の揮発蒸気を二酸化炭素や水などに分解するとともに、第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面を改質するものである。
また、紫外線ランプ(u)と第1冷却ロールよりなる金属支持体5との間隙(d)は、近すぎると、ウェブのカールなどで紫外線ランプ装置と接触してウェブに擦り傷をつくってしまい、離しすぎると、紫外線光が酸素に吸収されて添加剤の揮発蒸気の分解やウェブ表面の改質が十分できなくなるため、1〜20mm程度が好ましく、さらには、2〜15mmがより好ましい。
また、紫外線照射装置21の近くに排気装置を設け、分解ガスの排気を行うのが望ましい。
図2は、常圧プラズマ照射処理による冷却ロール表面清掃装置22を設置したフィルムの製造装置の概略図である。
同図において、本発明は、溶融流延製膜法による光学フィルムの製造方法であって、熱可塑性樹脂及び添加剤を含む樹脂溶融液を、流延ダイ4から第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面に流延して、流延膜(ウェブ)10を形成し、冷却固化させた後に、金属支持体5から剥離する工程を含み、製膜中に第1冷却ロールよりなる金属支持体5の表面の流延膜の非通過区間において、金属支持体5の略全幅にわたり、常圧プラズマ照射装置22により常圧プラズマ照射処理を施すことにより、金属支持体5表面に表面処理膜を形成し、その後、金属支持体5の表面に樹脂溶融液を流延するものである。
すなわち、本発明の方法によれば、第1冷却ロールよりなる金属支持体5の表面を、製膜中にいわゆるオンラインで、第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面のウェブの非通過区間〔製膜中に金属支持体5の表面がむき出しとなる区間〕において、常圧プラズマ照射装置22により高エネルギー表面処理を施することにより、第1冷却ロールよりなる金属支持体5の表面を改質し、改質後の金属支持体5表面に樹脂溶融物を流延するものである。
図4は、常圧プラズマ照射装置22の構造を説明するための説明図である。一般に、常圧プラズマ照射装置22には、対向する電極間に、高周波電圧を印加して放電させることにより、反応性ガスをプラズマ状態とし、これによって、ウェブの添加剤揮発蒸気を二酸化炭素や水などに分解するとともに、ウェブ表面を改質するものである。
常圧プラズマの方式は、大きくは2つに分けられ、1つはダイレクト方式やプラナー方式と呼ばれるもので、被処理体をはさむように対向配置された電極間に高周波電力を加えて、供給ガスをプラズマ化するものである。
もう1つの方式は、リモート方式やダウンストリーム方式と呼ばれるもので、反応性ガスを高周波電圧が加えられた電極の間を通して導入しプラズマ化するものである。前記のいずれの方式も、本発明に使うことができる。
図4は、上記のダイレクト方式やプラナー方式と呼ばれるタイプの常圧プラズマ装置を示すものである。
同図において、(a)、(b)は常圧プラズマ照射装置22の対向電極、(g)は反応性ガス、(d)はプラズマ噴射スリットから第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面までの間隙である。常圧プラズマ照射装置22の簡単な構造として、高周波電圧が加えられた対向電極(a)、(b)間に、反応性ガス(g)を導入、通過させてプラズマ化し、第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面に噴射供給し、表面処理膜を形成する。
本実施の形態においては、このようなハイパワーの電圧を印加して、均一なグロー放電状態を保つことができる電極を常圧プラズマ照射装置22に採用する必要がある。
このような電極としては、金属母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。少なくとも対向する印加電極とアース電極の片側に誘電体を被覆すること、さらに好ましくは、対向する印加電極とアース電極の両方に誘電体を被覆することである。
誘電体としては、比誘電率が6〜45の無機物であることが好ましく、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等が挙げられる。
また、透明フィルム基材であるセルロースエステルフィルムを、電極間に載置あるいは電極間を搬送してプラズマに晒す場合には、透明フィルム基材を片方の電極に接して搬送できるロール電極仕様にするだけでなく、さらに、誘電体表面を研磨仕上げし、電極の表面粗さRmax(JIS B 0601に規定)を10μm以下にすることで、誘電体の厚み、及び電極間のギャップを一定に保つことができ、放電状態を安定化できること、さらに熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、かつポーラスで無い高精度の無機誘電体を被覆することで、大きく耐久性を向上させることができるため好ましい。
また、プラズマの噴射供給を行う吹出しスリットと第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面との間隙(d)は、近すぎるとウェブのカールなどで常圧プラズマ照射装置22と接触してウェブに擦り傷をつくってしまい、反対に、離しすぎるとプラズマのラジカルが十分届かず、添加剤の揮発蒸気分解やウェブ表面の改質が十分できないため、1〜30mmが好ましく、さらには、2〜20mmがより好ましい。
また、原料ガス(g)には、窒素や酸素、アルゴン、ヘリウムなど種々のものが利用可能であるが、環境面、排気の後処理、ランニングコストの観点から、窒素が好ましい。さらには、窒素に微量の酸素を混合するとより好ましい。
酸素の混合比率は、原料ガスの体積に対して5体積%以下が望ましい。また、常圧プラズマの原料ガス風量は、プラズマ幅1m当たり、20〜5000L/minが望ましい。さらには、40〜2500L/minがより好ましい。
また、常圧プラズマ照射装置22の近くに排気装置を設けて、分解ガスの排気を行うのが望ましい。
本発明による光学フィルムの製造方法によれば、第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面を、上記のような高エネルギー表面処理することによって、従来、フィルムの生産性を低下させていた流延膜の剥離不良領域を無くすことができる。
さらには、第1冷却ロールよりなる金属支持体5表面の離型性(剥離性)が良くなったことから、汚れが付着しにくくなる、あるいは汚れが付着しても取れやすくなり、従来、非常に長い時間を要していた溶剤拭き取り式の金属支持体5表面の清掃も不要にすることができる。
〈延伸工程〉
延伸工程はMD延伸、TD延伸の順に行うことが好ましい。
〈MD延伸工程〉
ここでは、MD延伸工程におけるロール延伸について、詳しく説明する。ロール延伸とは、低速ロール群と、高速ロール群の周速度差によってフィルムをMD延伸する方法である。
ロール延伸の代表的な方式には、ヒーター加熱方式やオーブン加熱方式などがある。
ヒーター加熱方式は、低速ロール群で予熱されたフィルムを、低速ロール群と高速ロール群の間に設置されたヒーターにより瞬時に延伸温度にまで昇温し、比較的短い延伸スパンで延伸するものであり、オーブン加熱方式は、低速ロール群と高速ロール群の間にオーブンを設置し、このオーブンの中に予熱、延伸、冷却工程が含まれ、比較的長い延伸スパンで延伸するものである。
広幅の光学フィルムの作製には、幅収縮量を比較的小さく抑えられること、位相差の調整がしやすいことなどから、ヒーター加熱方式が好ましい。ここでは、ヒーター加熱方式について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
フィルムは低速ロール群で予熱され、低速ロール群と高速ロール群の間に設けられたヒーターによって延伸温度まで急激に温められてMD延伸され、高速ロール群で冷却され、次工程へと搬送される。低速ロール群の予熱ロールの本数は、擦り傷の観点から少ない方が望ましいが、フィルムの予熱温度に応じて本数を選択すればよく、1本以上、20本以下、好ましくは2本以上、15本以下のロールを使用する。
予熱ロール群の上限温度は、原則として予熱ロール間でMD延伸させないこと、粘着故障などが出ないことを考慮して、フィルムのガラス転移温度(Tg)以下、好ましくは(Tg−5)℃以下である。予熱ロール群による昇温速度は、熱膨張でシワが入らないことを考慮して、各ロールの入り側と出側でのフィルム温度差が80℃以下、好ましくは50℃以下となるようにするのが好ましい。
高速ロール群の冷却ロールの本数は、冷却する温度に応じて本数を選択すればよく、1本以上、15本以下、好ましくは2本以上、10本以下のロールを使用する。冷却ロール群の上限温度は、急冷しすぎないことを考慮して、フィルムのガラス転移温度(Tg)以下、好ましくは(Tg−5)℃以下である。冷却ロール群による降温速度は、熱収縮でシワが入らないこと、各ロールの入り側と出側でのフィルム温度差が100℃以下となるようにするのが好ましく、70℃以下となることがより好ましい。
予熱ロール群および冷却ロール群のロール径は、ロール強度、接触面積(伝熱・すべり)の観点から、100mmφ以上、400mmφ以下、好ましくは150mmφ以上、300mmφ以下である。特に、延伸ロール(ヒーターのすぐ上流・下流に位置するロール)は、実質延伸スパンSを短くするために、250mmφ以下が好ましい。
ところで、フィルムが滑って傷ついたり、ロール間でMD延伸されることを防止するために、熱膨張や熱収縮に応じてドローをかける。ロールのドローは、隣り合うロール間で5%以下、好ましくは1%以下である。
ここで、ロールのドローとは、低速側のロールの周速度V1と、高速側のロールの周速度V2の比で、(V2−V1)/V1のことである。予熱ロール群および冷却ロール群におけるロールの駆動は、上記ロールのドローを制御するために、それぞれが駆動ロールであることが好ましいが、一部であれば、補助駆動ロール、フリーロールを使用してもよい。
減速機には遊星ローラーやロールギアなどが好適に用いられる。またダイレクトドライブ方式を使用することもでき、これらはシステムに応じて適宜選択すればよい。
予熱ロール群および冷却ロール群におけるロール表面粗度は、目的に応じてロール材質および粗度を変更すれば良い。
例えば、高温でフィルムに接触するロールやすべり防止のためには、表面粗度0.5S以下、好ましくは0.2S以下の鏡面ロールを使用し、張力カットや張り付き防止のためには、表面粗度1.0S以上の表面の粗いロールを使用するのが好ましい。
予熱ロール群および冷却ロール群におけるロール表面材質は、例えばハードクロム(H−Cr)、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム等やこれらの複合物を表面加工したセラミックス、シリコン、フッ素、クロロブレン等のゴム、テフロン(登録商標)等の樹脂を使用する。
予熱ロール群および冷却ロール群におけるロールの配置・間隔は、ロール間でのMD延伸防止、フィルムの放冷防止のため、狭い方が良い。各ロール間で、ロール剥離から次のロールに着地するまでの距離は、200mm以下、好ましくは100mm以下である。
ニップロールの材質は、弾性変形しやすいシリコンゴム、フッ素ゴム、クロロブレンゴム等のゴムロールや、フッ素樹脂等の樹脂ロールが好適に用いられる。ニップロールの位置は、フィルムが剥離/着地する位置で押さえることが好ましい。また、ニップロールの圧力は、フィルムを圧着できること、フィルムにキズがつかないことなどの観点から、0.1〜50N/mm、好ましくは0.5〜20N/mmである。
また、ニップロールはフィルムのキズ防止のためフィルム端部だけをニップしてもよく、幅収縮抑制の観点からロールを太鼓型にしたり、フィルム幅手方向に対してある角度をもって配置しても良い。
つぎに、ヒーターの種類としては、クリーン、高効率、省スペースであることなどから、例えば、赤外線ヒーター、ハロゲンランプヒーター、セラミックヒーターなど放射型熱源が望ましく、樹脂の吸収特性に応じて選択すればよい。
ヒーターの本数は、ヒーター能力、MD延伸・予熱温度、搬送速度、膜厚、熱伝導率などから計算すれば良く、通常、1〜12本、好ましくは1〜8本使用する。ヒーターの高さは、効率アップのため、フィルムに接触しない範囲で、なるべくフィルムの近くであるのが、好ましい。例えば5〜100mm、好ましくは10〜50mmである。ヒーターの出力は、延伸温度、昇温速度などを考慮して、適宜出力値を調整すればよい。
MD延伸速度は、3000以上%/min、75000%/min以下であり、好ましくは5000以上、50000%/min以下である。ここで、MD延伸速度(%/min)は、つぎのようにして定義される。
すなわち、低速側延伸ロールの周速度をV1、高速側延伸ロールの周速度をV2、実質延伸スパンをSとすると、下記初期で表わされる。
MD延伸速度(%/min)=〔(V2−V1)/S〕×100
また、MD延伸ロールの間隔は、フィルムがロールに保持されていない区間は短いほど幅収縮が抑えられる。ここで、ロールの中心同士の間の距離が、400mm以下、好ましくは300mm以下である。
MD延伸ゾーンにおける予熱・延伸・冷却ロールのクリーニング装置は、1本でも複数本でも良く、インラインあるいはオフラインに設けても良いし、場合によっては、設置しなくてもよい。
清掃手段としては、不織布を押し付けて汚れを拭き取る方法など、公知のロール清掃手段が好適に用いられる。
MD延伸においては、温度差のある複数の余熱ロール、または冷却ロール上をフィルムが搬送されるため、熱膨張・収縮によるツレやシワが発生しやすく、これらの変形をきっかけとした破断を招きやすい。特にアクリル樹脂を主成分としたフィルムは、アクリル特有の脆性から、さらに破断を招きやすい。
しかしながら本発明の製造方法によれば、この破断の確率を低下させることが可能である。この現象の機構は明らかではないが、冷却ロールの温度が高いために、ドロー比が高くても分子配向が小さいフィルムを得ることができるためと推定している。
〈延伸条件〉
フィルムの延伸は、幅方向で制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
延伸倍率はMD・TD方向の合計として2倍以上に延伸することが好ましい。各方向の延伸倍率は、それぞれ1.1〜3倍であることが好ましい。
なお、単に延伸倍率と記載した場合の合計の意味は、例えばMD方向に1.4倍延伸し、TD方向に1.5倍延伸したとき、1.4×1.5=2.1倍と計算する。
Tg以上、Tg+40℃以下の温度で合計2倍以上に延伸することにより、光学フィルムの内部散乱を低下させることができる。
本発明の光学フィルムは2種以上の樹脂からなるため、微細な相分離状態になりやすく、内部散乱が高くなる可能性がある。
Tg以上の温度で延伸することで、微細相分離構造の界面に存在する析出剤が移動し、さらに高倍率に延伸することにより、2種の樹脂がより混合される状態になるため、内部散乱を低下させることができるのではないかと推定している。
〈延伸工程の後工程(含む、巻き取り工程)〉
上記の方法で作製したフィルムにおいて、可塑剤等の凝結物がヘーズ故障とならない程度に減少した後は、レターデーション調整や寸法変化率を小さくする目的で、フィルムをMD方向やTD方向に収縮させることが好ましい。
MD方向に収縮するには、例えば、幅延伸を一時クリップアウトさせてMD方向に弛緩させる、または横延伸機の隣り合うクリップの間隔を徐々に狭くすることによりフィルムを収縮させるという方法がある。
後者の方法は一般の同時二軸延伸機を用いて、縦方向の隣り合うクリップの間隔を、例えばパンタグラフ方式やリニアドライブ方式でクリップ部分を駆動して滑らかに徐々に狭くする方法によって行うことができる。
必要により任意の方向(斜め方向)の延伸と組み合わせてもよい。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。
なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、原材料として再利用される。
延伸したフィルムの弾性率発現性や寸法変化の挙動は、実際のフィルムを用い、延伸条件の調整によって当該業者が容易に把握できるものである。
<実施例1>
表1に示すアクリル樹脂、表2に示す樹脂、および表3に示す析出剤とを、表4に記載の組み合わせで混合し、樹脂混合物とした。樹脂2種類の混合比は、樹脂混合物のガラス転移温度が表4に記載のTgとなるように決定した。この樹脂混合物を真空ナウターミキサーで80℃、1Torrで3時間混合しながらさらに乾燥した。
得られた混合物を、2軸式押し出し機を用いて235℃で溶融混合しペレット化した。
光学用フィルムの製膜は図2に示す製造装置で行った。
このペレット(水分率50ppm)を、1軸押出機を用いTダイから、表面温度が表4のTr1として記載の温度に調整した第1冷却ロール上にフィルム状に溶融押し出しし、120μmのキャストフィルムを得た。
この際第1冷却ロール上でフィルムを2mm厚の金属表面を有する弾性タッチロールで押圧した。タッチロールの表面温度はTg−5℃とした。
得られたフィルムをまずロール周速差を利用した延伸機によって120℃で搬送方向に1.3倍延伸した。
次に予熱ゾーン、延伸ゾーン、保持ゾーン、冷却ゾーン(各ゾーン間には各ゾーン間の断熱を確実にするためのニュートラルゾーンも有する)を有するテンターに導入し、幅手方向に120℃で1.4倍延伸した後、30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落として、膜厚65μm、フィルム幅2500mmの光学フィルム1を得た。
なお、冷却ロール表面の清掃に用いる高エネルギー照射装置として、図4に示すダイレクトあるいはプラナー方式と呼ばれる常圧プラズマ照射装置22を使用した。
常圧プラズマ照射装置22は、第1冷却ロール(金属支持体)5の上側に設置されている。ここで、常圧プラズマ装置22のプラズマのガス吹き出し口と第1冷却ロール(金属支持体)5との間隔(d)を5mmとし、反応ガスは窒素のみで、使用量は照射幅1m当たり0.5m/minとした。このときの気圧は、1.0気圧とした。
第1冷却ロール(金属支持体)5の表面を、略全幅にわたり、常圧プラズマ照射処理をした。これにより、第1冷却ロール5の表面に表面処理膜を形成し、その後、第1冷却ロール5表面に樹脂溶融物を流延した。
第1冷却ロール(金属支持体)5表面への、プラズマガスの照射時間を0.1secとなるように、かつ製膜中に、プラズマ吹き出しガスを連続で照射した。
ここで言うプラズマ照射時間とは、プラズマ吹き出しガスに含まれるラジカルと、第1冷却ロール(金属支持体)5表面との厳密な接触時間が測定が困難なため、ここでは、第1冷却ロール(金属支持体)5の表面上のある点が、プラズマ吹き出しスリット間隙(h)の下を、その間隙分移動する時間を照射時間とした。
例えば、吹き出しスリット間隙(h)が2mmで、第1冷却ロール(金属支持体)5の周速度が2mm/secの場合、プラズマ照射時間は1secとなる。
Figure 2011068005
Figure 2011068005
Figure 2011068005
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光学フィルム1と同様にして、表4に記載のTgとなるように樹脂混合物の混合比を定め、Tr1、析出剤も表4に記載となるようにして、光学フィルム2〜9を作製した。
なお、樹脂混合比は、FOXの式(1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2・・・・Tg1、Tg2:成分1、2のTg(K)w1、w2:成分1、2質量分率)を使用し、所定のTgから逆算して定めた。
これらの光学フィルム試料について、下記の評価を行った。結果を表4に示す。
《横段故障》
投影機を用いて光学フィルムの透過像をスクリーンに映しデジタルスチルカメラで撮影して濃淡画像とした。投影機の投影方向はスクリーンの法線方向であり、横段を強調するために幅手方向を軸として光学フィルムを傾斜させた。
光学フィルムとスクリーンのそれぞれの法線のなす角は60度である。この濃淡画像のフィルム幅手方向の濃淡は全ピクセルに渡って平均化し、MD方向のみの800ピクセルの濃淡変動を抽出した。
このMD方向のみの濃淡変動について変動係数を計算し、横段故障の評価指標とした。濃淡画像1ピクセルの大きさは光学フィルム上の大きさに換算して約300μmである。変動係数(%)は標準偏差÷平均値で求められる。
《位相差ムラ》
光学フィルムの幅手中央について、MD方向に4cm間隔でサンプリングし、厚み方向の位相差(Rt)を測定してその変動係数を計算し、位相差ムラの評価指標とした。変動係数(%)は標準偏差÷平均値で求められる。
《縦スジ》
投影機を用いて光学フィルムの透過像をスクリーンに映しデジタルスチルカメラで撮影して濃淡画像とした。投影機の投影方向はスクリーンの法線方向であり、光学フィルムはスクリーンと平行である。
この濃淡画像のフィルムMD方向の濃淡は全ピクセルに渡って平均化し、幅手方向のみの1600ピクセルの濃淡変動を抽出した。この幅手方向のみの濃淡変動について変動係数を計算し、縦スジの評価指標とした。濃淡画像1ピクセルの大きさは光学フィルム上の大きさに換算して約100μmである。変動係数(%)は標準偏差÷平均値で求められる。
《ブリードアウト》
光学フィルムを下記環境下に保存し、目視にてブリードアウトを判定した。
◎:80℃90%環境下、ブリードアウトするまでの時間が300時間以上
○:60℃90%環境下、ブリードアウトするまでの時間が300時間以上
△:60℃90%環境下、ブリードアウトするまでの時間が120時間以上〜300時間未満。
×:60℃90%環境下、ブリードアウトするまでの時間が120時間未満
表4から明らかなように、本発明の光学フィルムは、面矯正レベルが高く、横段故障、位相差ムラ、縦筋故障が小さい。
<実施例2>
表1に示すアクリル樹脂、表2に示す樹脂、および表3に示す析出剤とを、表5に記載の組み合わせ・混合比で混合し、樹脂混合物とした。この樹脂混合物を真空ナウターミキサーで80℃、1Torrで3時間混合しながらさらに乾燥した。
得られた混合物を、2軸式押し出し機を用いて235℃で溶融混合しペレット化した。
光学用フィルムの製膜は図2に示す製造装置で行った。
このペレット(水分率50ppm)を1軸押出機を用いTダイから、表面温度が表5のTr1として記載の温度に調整した第1冷却ロール上にフィルム状に溶融押し出しキャストフィルムを得た。
この際第1冷却ロール上でフィルムを2mm厚の金属表面を有する弾性タッチロールで押圧した。タッチロールの表面温度はTg−5℃とした。
得られたフィルムをまずロール周速差を利用したMD延伸機によって表5に示す延伸温度・延伸倍率で搬送方向に延伸した。
次に予熱ゾーン、延伸ゾーン、保持ゾーン、冷却ゾーン(各ゾーン間には各ゾーン間の断熱を確実にするためのニュートラルゾーンも有する)を有するテンターに導入し、表5に示す延伸温度・延伸倍率で幅手方向に延伸した後、30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落として、膜厚40μmフィルム幅2500mmの光学フィルム10を得た。
なお、図4に示すダイレクトあるいはプラナー方式と呼ばれる常圧プラズマ照射装置22を使用し、実施例1と同様に稼働中の冷却ロール表面の清掃を行った。
Figure 2011068005
これらの光学フィルム試料について、横段故障、位相差ムラ、縦スジ故障および下記の評価を行った。結果を表6に示す。
《MD延伸時破断》
MD延伸が定常運転になる前の立ち上げ運転時について、フィルム搬送速度調整〜赤外線ヒータ出力調整〜延伸倍率調整を同じ手順で実施した場合の、フィルム破断状況を下記基準で判定した。
○:破断なし。
△:定常運転に到達する前に1〜2回破断した。
×:定常運転に到達する前に3回以上破断した。
《内部散乱》
光学フィルムの両面にグリセリンを塗布し、厚さ0.5mmのガラス板2枚で両面からサンドイッチしたものを、ヘイズメーターにてヘイズ値を測定し、内部散乱の指標とした。なお、ガラス板2枚でグリセリンのみをサンドイッチした場合のヘイズ値は0.10であった。
Figure 2011068005
表6から明らかなように、本発明の光学フィルムは、面矯正レベルが高く、横段故障、位相差ムラ、縦筋故障が小さい。さらに延伸工程での破断リスクを低減させ、仕上がり状態で内部散乱の小さな光学フィルムであった。
1 押出し機
2 フィルター
3 スタチックミキサー
4 流延ダイ
5 回転金属支持体(第1冷却ロール)
6 挟圧回転体(タッチロール)
7 回転金属支持体(第2冷却ロール)
8 回転金属支持体(第3冷却ロール)
9 剥離ロール
11 延伸機(前半部MD延伸ゾーン20、後半部TD延伸ゾーンテンター)
12 巻取り装置
21 エキシマ紫外線照射処理
22 常圧プラズマ照射装置

Claims (3)

  1. アクリル樹脂と、それ以外の少なくとも1種の樹脂、および少なくも1本の炭素数5〜20の炭素鎖と連結基とを有し分子量が150〜1000である化合物とを含有する樹脂混合物を、溶融押出の後、弾性タッチロールと冷却ロールとで挟圧する工程を有する光学フィルムの製造方法であって、前記冷却ロールの表面温度Tr1が、
    Tg<Tr1≦Tg+40℃
    を満たすことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
    Tgは、光学フィルムを構成する樹脂混合物のガラス転移温度(℃)を表す。
  2. 前記それ以外の少なくとも1種の樹脂がセルロースエステルであることを特徴とする請求項1記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記弾性タッチロールと冷却ロールとで挟圧する工程の後に、Tg以上、Tg+40℃以下の温度で縦延伸工程および横延伸工程を有し、双方の延伸工程による合計延伸倍率が面積比で2倍以上である工程を経て得られたことを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
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