JP2015132661A - 偏光板保護フィルム、その製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光板保護フィルム、その製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルムの熱膨張によってパネルベンドを抑制し、それによる液晶表示装置の表示ムラの発生やコントラストの低下を改善する偏光板保護フィルムを提供する。【解決手段】少なくとも、アクリル樹脂(樹脂A)とカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)とを含有する偏光板保護フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光板保護フィルム、その製造方法、偏光板及び液晶表示装置に関する。より詳しくは、パネルベンドを抑制し、それによる表示ムラの発生やコントラストの低下を改善する偏光板保護フィルム、その製造方法、それを具備する偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶パネルの歪みであるパネルベンドは、パネルの製造直後又は輸送直後の液晶表示装置のバックライトを一定時間点灯させた後に生じやすい。製造時又は輸送時に含水した偏光子から、バックライトの熱によって水が抜けて、偏光子が収縮するためであると考えられる。
特に、液晶セルを構成するガラス基板が薄いと、ガラス基板が偏光子の収縮しようとする力に耐えられず、パネルベンドが生じやすい。また、最近のLEDバックライトを用いた液晶表示装置は、従来の冷陰極管のバックライトを用いた液晶表示装置よりもバックライトとパネルとの距離が短くなっていることから、偏光子がバックライトの熱を受けやすく、パネルベンドが生じやすい。このようなパネルベンドは、液晶表示装置の表示ムラの発生やコントラストの低下を生じる原因となりやすい。
本発明者らは、バックライトの熱を受けたときに、偏光板保護フィルムを、偏光子の収縮と対抗するように膨張させることで、パネルベンドを抑制できるのではと考え、熱膨張しやすいフィルムを検討した。
フィルムの熱膨張はガラス転移点(Tg)を境に急激に増大することから、Tgの低い樹脂からなるフィルムほど膨張しやすいが、Tgが低いフィルムでは柔らかくなりすぎて製造工程で取り扱いにくく、生産性が乏しくなる欠点がある。
アクリル樹脂フィルムは、近年偏光板保護フィルムとして偏光板に適用する技術が開示されており、優れた機械的強度が得られる(例えば、特許文献1〜3参照。)ことから、偏光子の収縮力に対抗できる応力緩和性を期待できる。しかしながらアクリル樹脂を用いたフィルムは、パネルが製造過程で与えられる温度(通常40℃以下。)に対し、Tgが高いため偏光板保護フィルムが効果的に膨張できず、パネルベンドの改善効果として不充分であった。
また、Tgの異なる樹脂同士をブレンドする方法も考えられるが、樹脂が相溶するとフィルムのTgはブレンド比率に応じて平均化されてしまって期待する膨張効果が得られず、また樹脂同士が非相溶であると、フィルムが白濁して偏光板保護フィルムとして使用できないという問題がある。
特許第5354673号公報 特開2008−216586号公報 特開2009−122663号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、フィルムの熱膨張によってパネルベンドを抑制し、それによる液晶表示装置の表示ムラの発生やコントラストの低下を改善する偏光板保護フィルム、その製造方法、それを具備する偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、少なくとも、アクリル樹脂(樹脂A)とカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)とを含有する偏光板保護フィルムによって、パネルベンドを抑制でき、それによる液晶表示装置の表示ムラの発生やコントラストの低下を改善する偏光板保護フィルムが得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、アクリル樹脂(樹脂A)とカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)とを含有することを特徴とする偏光板保護フィルム。
2.前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の重量平均分子量(Mw)が、10万〜100万の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の偏光板保護フィルム。
3.さらに、可塑剤を含むことを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板保護フィルム。
4.前記アクリル樹脂(樹脂A)の質量組成比率を(rA)、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の質量組成比率を(rB)としたときに、(rA):(rB)=9:1〜1:9の範囲内で含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
5.前記アクリル樹脂(樹脂A)の重量平均分子量(Mw)が、10万〜100万の範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
6.前記アクリル樹脂(樹脂A)のガラス転移温度をTga(℃)、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)のガラス転移温度をTgb(℃)としたときに、下記式(1)を満たすことを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
式(1) 35℃≦Tga×(rA)+Tgb×(rB)≦99℃
(式中、(rA)はアクリル樹脂(樹脂A)の質量組成比率、(rB)はカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の質量組成比率を表す。但し、(rA)+(rB)=1.0である。)
7.前記偏光板保護フィルムの膜厚が、10〜60μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
8.下式(i)により定義されるリターデーション値(Ro)が0〜70nmの範囲内にあり、下式(ii)により定義されるリターデーション値(Rt)が−40〜40nmの範囲内にあることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
式(i) Ro=(n−n)×d
式(ii) Rt={(n+n)/2−n}×d
(式中、nは、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nは、フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nは、フィルムの厚さ方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
9.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを製造する偏光板保護フィルムの製造方法であって、少なくとも、前記アクリル樹脂と前記カルボン酸ビニルエステル樹脂と溶媒を含有するドープを金属支持体上に流延し、剥離したのち、乾燥させることを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
10.前記ドープを金属支持体上に流延し、剥離したのち、少なくとも長手方向又は幅手方向に延伸倍率として1.01〜10倍の範囲内で延伸することを特徴とする第9項に記載の偏光板保護フィルムの製造方法。
11.第1項から第8項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを、偏光子の少なくとも一方の面に具備することを特徴とする偏光板。
12.第1の偏光板と、液晶セルと、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に具備する液晶表示装置であって、
前記第1の偏光板と第2の偏光板のいずれか、若しくは双方の偏光板の少なくとも1枚の偏光板保護フィルムが第1項から第10項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムであり、
前記液晶セルは、液晶層と、前記液晶層を挟持する一対の基板とを備え、前記一対の 基板の厚さが0.3〜0.7mmの範囲内のガラス基板であることを特徴とする液晶表示装置。
本発明の上記手段により、フィルムの熱膨張によってパネルベンドを抑制し、それによる液晶表示装置の表示ムラの発生やコントラストの低下を改善する偏光板保護フィルム、その製造方法、それを具備する偏光板及び液晶表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
パネルベンドは、製造時又は輸送時に含水した偏光子から、バックライトの熱によって水が抜けて、偏光子が収縮するために発生すると考えられる。
これに対して本発明者らは、バックライトの熱を受けたときに、偏光板保護フィルムを、偏光子の収縮と対抗するように膨張させることで、パネルベンドを抑制できることを見出した。
具体的には、バックライトからの熱を受けた偏光板保護フィルムは、熱による膨張と、水が抜けることによる収縮とを同時に生じやすい。偏光板保護フィルムにおける「熱による膨張力」を「水が抜けることによる収縮力」よりも相対的に大きくすることで、偏光板保護フィルム全体として膨張させやすくしうることを見出した。
熱による膨張はガラス転移点(Tg)を境に急激に増大することから、Tgの低い樹脂からなるフィルムほど膨張しやすいが、Tgが低いフィルム単独ではフィルムが柔らかくなりすぎて、製造工程で取り扱いにくく生産性が乏しくなる欠点があった。
本発明者らは、種々の樹脂を検討した結果、機械的強度の高いアクリル樹脂とTgが低く熱膨張しやすい樹脂としてカルボン酸ビニルエステル樹脂の混合系が有効であることを見出した。
アクリル樹脂とポリ酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル樹脂は、混合系ではミクロ相分離の状態になることが知られている。したがって相溶状態で偏光板保護フィルムに含有されるのではないため、フィルムの物性はアクリル樹脂とカルボン酸ビニルエステル樹脂の各々の性質を発揮することができ、アクリル樹脂の機械的強度と、カルボン酸ビニルエステル樹脂の熱膨張効果を両立し、パネルベンドの抑制ができるものと推察される。
本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程の一例を模式的に示した図 本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す模式図
本発明の偏光板保護フィルムは、少なくとも、アクリル樹脂(樹脂A)とカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)とを含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項12までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の重量平均分子量(Mw)が、10万〜100万の範囲内であることが、偏光板保護フィルムの熱膨張によってパネルベンドを効果的に抑制でき、好ましい。
さらに、可塑剤を含有することがフィルムの機械的強度を向上する観点から、好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、前記アクリル樹脂(樹脂A)の質量組成比率を(rA)、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の質量組成比率を(rB)としたときに、(rA):(rB)=9:1〜1:9の範囲内で含有することが、フィルムの機械的強度と熱膨張性を両立する観点から、好ましい範囲である。
また、前記アクリル樹脂(樹脂A)の重量平均分子量(Mw)が、10万〜100万の範囲内であることが、フィルムの機械的強度を向上することができ、好ましい。
前記アクリル樹脂(樹脂A)のガラス転移温度をTga(℃)、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)のガラス転移温度をTgb(℃)としたときに、前記式(1)を満たすことが、フィルムの機械的強度と熱膨張性を両立する観点から、好ましい範囲である。
前記偏光板保護フィルムの膜厚が、10〜60μmの範囲内であることが、薄型の偏光板及び液晶表示装置を提供でき、好ましい。
前式(i)により定義されるリターデーション値(Ro)が0〜70nmの範囲内にあり、前式(ii)により定義されるリターデーション値(Rt)が−40〜40nmの範囲内にあることが、IPS型液晶表示装置へ具備して視認性を向上する観点から、好ましいリターデーション値の範囲である。
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法は、少なくとも、前記アクリル樹脂と前記カルボン酸ビニルエステル樹脂と溶媒を含有するドープを金属支持体上に流延し、剥離したのち、乾燥させて製造することが好ましい。
さらに、本発明の偏光板保護フィルムの製造方法は、前記ドープを金属支持体上に流延し、剥離したのち、少なくとも長手方向又は幅手方向に延伸倍率として1.01〜10倍の範囲内で延伸することが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に、本発明の偏光板保護フィルムを具備することが好ましい。
また、第1の偏光板と、液晶セルと、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に具備する液晶表示装置であって、前記第1の偏光板と第2の偏光板のいずれか、若しくは双方の偏光板の少なくとも1枚の偏光板保護フィルムが本発明の偏光板保護フィルムであり、前記液晶セルは、液晶層と、前記液晶層を挟持する一対の基板とを備え、前記一対の基板の厚さが0.3〜0.7mmの範囲内のガラス基板であることが、薄く軽量な液晶表示装置を提供することができ、好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の偏光板保護フィルムの概要≫
本発明の偏光板保護フィルムは、少なくとも、アクリル樹脂(樹脂A)とカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)とを含有することを特徴とし、フィルムの熱膨張によってパネルベンドを抑制でき、それによる液晶表示装置の表示ムラの発生やコントラストの低下を改善する偏光板保護フィルムを提供することができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、接着層を介して偏光子に貼合されて、偏光板を形成する。偏光子のもう一方の面には、本発明の偏光板保護フィルムが貼合されてもよく、また、別の熱可塑性樹脂フィルムが貼合されてもよい。
また、本発明の偏光板保護フィルムを具備する偏光板は、液晶セルの少なくともいずれか、又は双方の偏光板として用いることが好ましい。
≪アクリル樹脂(樹脂A)≫
本発明に係るアクリル樹脂(樹脂A)は、アクリル酸エステルあるいはメタアクリル酸エステルの重合体であって、ほかのモノマーとの共重合体も含まれる。
したがって、本発明に係るアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位が50〜99質量%の範囲内、及びこれと共重合可能なほかの単量体単位が1〜50質量%の範囲内からなるものが好ましい。
共重合で形成されるアクリル樹脂を構成するほかの単位としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、メタクリル酸イソボルニル、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、アクリロイルモルホリン、Nヒドロキシフェニルメタクリルアミド等のアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有2価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタルイミド、グルタル酸無水物等が挙げられる。
上記単位より、グルタルイミド及びグルタル酸無水物を除いた単位を形成する共重合可能な単量体としては、上記単位に対応した単量体が挙げられる。すなわち、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、メタクリル酸イソボルニル、2−ヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、アクリロイルモルホリン、Nヒドロキシフェニルメタクリルアミド等のアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有2価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、等の単量体が挙げられる。
また、グルタルイミド単位は、例えば(メタ)アクリル酸エステル単位を有する中間体ポリマーに1級アミン(イミド化剤)を反応させてイミド化することにより形成できる(特開2011−26563号公報参照。)。
グルタル酸無水物単位は、例えば(メタ)アクリル酸エステル単位を有する中間体ポリマーを加熱することにより形成することができる(特許第4961164号公報参照。)。
本発明に係るアクリル樹脂には、上記の構成単位の中でも、機械的強度の観点から、メタクリル酸イソボルニル、アクリロイルモルホリン、N−ヒドロキシフェニルメタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、スチレン、ヒドロキシエチルメタクリレート、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物又はグルタルイミドが含まれることが、特に好ましい。
本発明に係るアクリル樹脂は、環境の温湿度雰囲気の変化に対する寸法変化を制御する観点や、フィルム生産時の金属支持体からの剥離性、有機溶媒の乾燥性、耐熱性及び機械的強度の改善の観点から、重量平均分子量(Mw)が5万〜100万の範囲内であることが好ましく、10万〜100万の範囲内であることがより好ましく、20万〜80万の範囲内であることが特に好ましい。
5万以上であれば、耐熱性及び機械的強度が優れ、100万以下であれば、金属支持体からの剥離性及び有機溶媒の乾燥性に優れる。
本発明に係るアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下のとおりである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000の範囲内の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明に係るアクリル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系及びアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。重合温度については、懸濁又は乳化重合では30〜100℃の範囲内、塊状又は溶液重合では80〜160℃の範囲内で実施しうる。得られた共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
アクリル樹脂のガラス転移温度Tgは、80〜120℃の範囲内であることが、フィルムの機械的強度を保持する観点から、好ましい。
本発明に係るアクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N、980N、SR8200(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88、EMB−143、EMB−159、EMB−160、EMB−161、EMB−218、EMB−229、EMB−270、EMB−273(以上、三菱レイヨン(株)製)、KT75、TX400S、IPX012(以上、電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
本発明に係るアクリル樹脂は、添加剤を含有することが好ましく、添加剤の一例としては、国際公開第2010/001668号に記載のアクリル粒子(ゴム弾性体粒子)を、フィルムの機械的強度向上や寸法変化率の調整のために含有してもよい。このような多層構造アクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製の「メタブレンW−341」、カネカ社製の「カネエース」、クレハ社製の「パラロイド」、ロームアンドハース社製の「アクリロイド」、アイカ社製の「スタフィロイド」、ケミスノーMR−2G、MS−300X(以上、綜研化学(株)製)及びクラレ社製の「パラペットSA」などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
アクリル粒子の体積平均粒子径は0.35μm以下であり、好ましくは0.01〜0.35μmであり、より好ましくは0.05〜0.30μmである。粒子径が一定以上であれば、フィルムを加熱下で伸びやすくでき、粒子径が一定以下であれば、得られるフィルムの透明性を損ないにくい。
本発明の偏光板保護フィルムは、柔軟性の観点から、曲げ弾性率(JIS K7171)が1500MPa以下であることが好ましい。この曲げ弾性率は、より好ましくは1300MPa以下であり、更に好ましくは1200MPa以下である。この曲げ弾性率は、偏光板保護フィルム中のアクリル樹脂やゴム弾性体粒子の種類や量などによって変動し、例えば、ゴム弾性体粒子の含有量が多いほど、一般に曲げ弾性率は小さくなる。また、アクリル樹脂として、メタクリル酸アルキルの単独重合体を用いるよりも、メタクリル酸アルキルとアクリル酸アルキル等との共重合体を用いる方が、一般に曲げ弾性率は小さくなる。
≪カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)≫
本発明に係るカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)は、下記一般式(B)で示されるカルボン酸を用いて製造することが好ましい。
一般式(B) RCOOH
(式中、Rは置換又は非置換の1価の炭化水素基を表す)
本発明に係るカルボン酸ビニルエステル樹脂の製造方法において、原料は一般式(B)で示される脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸であるが、式中のRは1価の炭化水素基又はこれらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換された置換1価炭化水素基である。これらを例示すると、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ウンデシル、ヘプタデシル、オクタデシルなどのアルキル基;ビニル基などのアルケニル基;フェニル基などのアリール基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基などで置換された1価の炭化水素基である。
即ち、一般式(B)で示される脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸を例示すると、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリン酸、ステアリン酸などの飽和カルボン酸;アクリル酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸;安息香酸、桂皮酸などの芳香族系カルボン酸が例示される。また、例えば、ハロゲン置換1価炭化水素基を有するカルボン酸としてはモノクロロ酢酸などが例示される。本発明のカルボン酸ビニルエステルの製造方法における、もう一方の原料は酢酸ビニルである。
本発明において、触媒は、(a)パラジウム化合物、(b)カルボン酸のリチウム塩、(c)ハロゲン化リチウムを用いることが好ましい。触媒として使用されるパラジウム化合物は酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウムなどのパラジウムのカルボン酸塩;塩化パラジウム、臭化パラジウムなどのパラジウムの無機塩;パラジウムの錯化合物などが例示されるが、本発明に使用可能なパラジウム化合物はこれらに限定されない。また、パラジウム化合物触媒とともに、助触媒としてカルボン酸のリチウム塩、ハロゲン化リチウムが使用される。カルボン酸のリチウム塩としては酢酸リチウム、プロピオン酸リチウムなどを主体とする低級脂肪族カルボン酸のリチウム塩が、ハロゲン化リチウムとしては塩化リチウム、臭化リチウムなどが例示され、特に臭化リチウムが好ましいが、助触媒は、これらの例示に限定されるものではない。
本発明に係るカルボン酸ビニルエステル樹脂の製造方法はエステル交換反応を利用したものであるが、この反応を行うにあたって、前記一般式(B)で表されるカルボン酸と酢酸ビニルのモル比はエステル交換反応の平衡関係に応じて任意に決めればよい。また、一旦、未反応の酢酸ビニル、副生した酢酸を除去した後、再度酢酸ビニルを添加して反応を継続する際の酢酸ビニルの添加量もエステル交換反応の平衡関係に応じて任意に決めればよい。また、目的に応じて、再反応液から未反応の酢酸ビニル、副生した酢酸を除去した後、更に、再度、未反応の酢酸ビニルを添加して再々反応を行うことによりカルボン酸の反応率を高めることもできる。反応液から未反応の酢酸ビニル、副生した酢酸を除去する方法は、蒸留による方法が一般的であるが、本発明のカルボン酸ビニルエステルの製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明に係るカルボン酸ビニルエステル樹脂おいては、一部又は全部の助触媒を、あらかじめ、カルボン酸と酢酸ビニルの混合液に添加しておいてもよい。また、使用するカルボン酸の種類によっては当然溶解度が異なるから、溶解度に応じて、溶媒を選択使用する。溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが好適である。
本発明に係るカルボン酸ビニルエステル樹脂は、熱による膨張のしやすさや、フィルム生産時の金属支持体からの剥離性、有機溶媒の乾燥性、耐熱性及び機械的強度の改善の観点で、重量平均分子量(Mw)が6万〜100万の範囲内であることが好ましく、10万〜100万の範囲内であることがより好ましく、20万〜80万の範囲内であることが特に好ましい。
6万以上であれば、機械的強度に優れ、100万以下であれば、溶液流延法による製膜では溶解性に優れ、また溶融流延法による製膜では高温での押出しが必要ではなく樹脂劣化を招くことがない。
≪アクリル樹脂(樹脂A)とカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の混合≫
本発明の偏光板保護フィルムは、前記アクリル樹脂(樹脂A)の質量組成比率を(rA)、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の質量組成比率を(rB)としたときに、(rA):(rB)=9:1〜1:9の範囲内で含有することが、機械的強度と熱膨張性を両立する観点から、好ましい。
すなわち、樹脂A比率が9:1以下であれば、フィルムの熱膨張性の効果が発現するためベンド改良効果があり、樹脂B比率が1:9以下であれば充分な弾性率を有するフィルムが得られ、偏光子の収縮に耐えられる充分なパネルベンド改良効果が得ることができる。
好ましくは、(rA):(rB)=8:2〜2:8の範囲内であり、更に好ましくは、(rA):(rB)=7:3〜3:7の範囲内、特に好ましくは、(rA):(rB)=6:4〜4:6の範囲内である。
また、本発明の偏光板保護フィルムは、前記アクリル樹脂(樹脂A)のガラス転移温度をTga(℃)、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)のガラス転移温度をTgb(℃)としたときに、フィルムの機械的強度と熱膨張性を調整する観点から、下記式(1)を満たすことが好ましい。
式(1) 35℃≦Tga×(rA)+Tgb×(rB)≦99℃
(式中、(rA)はアクリル樹脂(樹脂A)の質量組成比率、(rB)はカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の質量組成比率を表す。但し、(rA)+(rB)=1.0である。)
なお、ここでいうガラス転移温度Tgとは、市販の示差走査熱量測定器を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。具体的な樹脂のガラス転移温度Tgの測定方法は、JIS K7121(1987)に従って、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定する。
ここで、上記式(1)で得られる温度が35℃以上では偏光板保護フィルムの弾性率が充分となり、偏光子の収縮に耐えられるフィルムが得られる。99℃以下であると偏光板保護フィルムの熱膨張性の効果が大きくなり、充分なパネルベンド改良効果が得られる。
《可塑剤》
本発明の偏光板保護フィルムは、可塑剤を含むことが、フィルムの機械的強度や光学特性等の耐湿性を向上する観点から好ましい。
本発明に好ましく用いられる可塑剤は、多価アルコールエステル、多価カルボン酸エステル(フタル酸エステルを含む)、グリコレート化合物、及び脂肪酸エステルやリン酸エステルなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
〈多価アルコールエステル〉
本発明の偏光板保護フィルムに含有される多価アルコールエステルは2価以上の多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、好ましくは3価〜20価の多価アルコールである。
本発明に用いられる多価アルコールエステルの多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
一般式(1) R−(OH)
(但し、Rはn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性又はフェノール性ヒドロキシ基を表す)
好ましい多価アルコールの例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2―ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、などを挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、キシリトール等であることが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸などを用いることができる。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させると樹脂との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸であることが好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、分子量300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、樹脂との相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いられる多価アルコールエステルの後述する方法で測定されたヒドロキシ基価が10mgKOH/g以下であることが好ましく、6mgKOH/g以下であることが更に好ましい。ヒドロキシ基価が小さい方が高温高湿における寸法変化が良い。また、光学特性の環境変動も抑制される。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2015132661
Figure 2015132661
Figure 2015132661
Figure 2015132661
〈多価カルボン酸エステル〉
本発明の偏光板保護フィルムに用いられる多価カルボン酸エステルは2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
本発明に用いられる多価カルボン酸は次の一般式(2)で表される。
一般式(2) R(COOH)(OH)
(但し、Rは(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOH基はカルボキシ基、OH基はアルコール性又はフェノール性ヒドロキシ基を表す)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸又はその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
多価カルボン酸エステルに用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。例えば炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪族飽和アルコール又は脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコール又はその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコール又はその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性又はフェノール性のヒドロキシ基をモノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステルの分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、樹脂との相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明の偏光板保護フィルムに用いられる多価カルボン酸エステルの酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、光学特性の環境変動も抑制されるため好ましい。
(酸価、ヒドロキシ基価)
酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシ基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。ヒドロキシ基価とは、試料1gをアセチル化させたとき、ヒドロキシ基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。酸価及びヒドロキシ基価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステルの例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
本発明の偏光板保護フィルムへの多価アルコールエステルや多価カルボン酸エステルの添加量は、樹脂に対して3〜20質量%の範囲が好ましく、5〜15質量%の範囲が更に好ましい。添加量が上記範囲内であれば寸法変化や耐吸水性を満たすことができる。
また、グリコレート化合物の例には、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が含まれる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類の例には、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が含まれ、好ましくはエチルフタリルエチルグリコレートである。
エステルには、脂肪酸エステル、クエン酸エステルやリン酸エステルなどが含まれる。
脂肪酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、及びセバシン酸ジブチル等が含まれる。クエン酸エステルの例には、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、及びクエン酸アセチルトリブチル等が含まれる。
リン酸エステルの例には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及びトリブチルホスフェート等が含まれ、好ましくはトリフェニルホスフェートである。
また、他の有用な可塑剤として下記の糖エステル及びジカルボン酸とジオールを反応させて得られる繰り返し単位を含む重縮合エステルを挙げることができる。
〈糖エステル〉
本発明に係る糖エステルとしては、ピラノース環又はフラノース環の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基の全て若しくは一部をエステル化した糖エステルであることが好ましい。本発明に係る糖エステルは加水分解防止の目的においても添加されることが好ましい。
本発明に係る糖エステルとは、フラノース環又はピラノース環の少なくともいずれかを含む化合物であり、単糖であっても、糖構造が2〜12個連結した多糖であってもよい。そして、糖エステルは、糖構造が有するOH基の少なくとも一つがエステル化された化合物が好ましい。本発明に係る糖エステルにおいては、平均エステル置換度が、4.0〜8.0の範囲内であることが好ましく、5.0〜7.5の範囲内であることがより好ましい。
本発明において特に好ましい糖エステルとしては、下記一般式(C)で表される糖エステルを挙げることができる。
一般式(C)
(HO)−G−(O−C(=O)−R
上記一般式(C)において、Gは、単糖類又は二糖類の残基を表し、Rは、脂肪族基又は芳香族基を表し、mは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合しているヒドロキシ基の数の合計であり、nは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計であり、3≦m+n≦8であり、n≠0である。
一般式(C)で表される構造を有する糖エステルは、ヒドロキシ基の数(m)、−(O−C(=O)−R)基の数(n)が固定された単一種の化合物として単離することは困難であり、式中のm、nの異なる成分が数種類混合された化合物となることが知られている。したがって、ヒドロキシ基の数(m)、−(O−C(=O)−R)基の数(n)が各々変化した混合物としての性能が重要であり、本発明の偏光板保護フィルムの場合、平均エステル置換度が、5.0〜7.5の範囲内である糖エステルが好ましい。
上記一般式(C)において、Gは単糖類又は二糖類の残基を表す。単糖類の具体例としては、例えばアロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロース、リボース、アラビノース、キシロース、リキソースなどが挙げられる。
以下に、一般式(C)で表される糖エステルの単糖類残基を有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物に限定されるものではない。
Figure 2015132661
また、二糖類残基の具体例としては、例えば、トレハロース、スクロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、イソトレハロース等が挙げられる。
以下に、一般式(C)で表される糖エステルの二糖類残基を有する化合物の具体例を示すが、本発明はこれら例示する化合物に限定されるものではない。
Figure 2015132661
一般式(C)において、Rは、脂肪族基又は芳香族基を表す。ここで、脂肪族基及び芳香族基は、それぞれ独立に置換基を有していてもよい。
また、一般式(C)において、mは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合しているヒドロキシ基の数の合計であり、nは、単糖類又は二糖類の残基に直接結合している−(O−C(=O)−R)基の数の合計である。そして、3≦m+n≦8であることが必要であり、4≦m+n≦8であることが好ましい。また、n≠0である。なお、nが2以上である場合、−(O−C(=O)−R)基は互いに同じでもよいし異なっていてもよい。
の定義における脂肪族基は、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、1〜20のものがより好ましく、2〜15のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、シクロプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、ビシクロオクチル、アダマンチル、n−デシル、tert−オクチル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ジデシル等の各基が挙げられる。
また、Rの定義における芳香族基は、芳香族炭化水素基でもよいし、芳香族複素環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニル等の各環が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ビフェニル環が特に好ましい。芳香族複素環基としては、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のうち少なくとも一つを含む環が好ましい。複素環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン等の各環が挙げられる。芳香族複素環基としては、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環が特に好ましい。
次に、一般式(C)で表される糖エステルの好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの例示する化合物に限定されるものではない。
糖エステルは一つの分子中に二つ以上の異なった置換基を含有していても良く、芳香族置換基と脂肪族置換基を1分子内に含有、異なる二つ以上の芳香族置換基を1分子内に含有、異なる二つ以上の脂肪族置換基を1分子内に含有することができる。
また、2種類以上の糖エステルを混合して含有することも好ましい。芳香族置換基を含有する糖エステルと、脂肪族置換基を含有する糖エステルを同時に含有することも好ましい。
Figure 2015132661
Figure 2015132661
〈合成例:一般式(C)で表される糖エステルの合成例〉
以下に、本発明に好適に用いることのできる糖エステルの合成の一例を示す。
Figure 2015132661
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖を34.2g(0.1モル)、無水安息香酸を180.8g(0.8モル)、ピリジンを379.7g(4.8モル)、それぞれ仕込み、撹拌下で窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエンを1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液を300g添加し、50℃で30分間撹拌した後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水を100g添加し、常温で30分間水洗した後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物を得た。得られた混合物をHPLC及びLC−MASSで解析したところ、A−1が7質量%、A−2が58質量%、A−3が23質量%、A−4が9質量%、A−5が3質量%で、糖エステルの平均エステル置換度が、6.57であった。なお、得られた混合物の一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、それぞれ純度100%のA−1、A−2、A−3、A−4及びA−5を得た。
当該糖エステルの添加量は、樹脂に対して0.1〜20質量%の範囲で添加することが好ましく、1〜15質量%の範囲で添加することがより好ましい。
〈重縮合エステル〉
本発明の偏光板保護フィルムに好ましい可塑剤として、ジカルボン酸とジオールを反応させて得られる繰り返し単位を含む重縮合エステルが挙げられる。
当該重縮合エステルを構成するジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸であり、好ましくは芳香族ジカルボン酸である。ジカルボン酸は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよい。
当該重縮合エステルを構成するジオールは、芳香族ジオール、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールであり、好ましくは脂肪族ジオールであり、より好ましくは炭素数1〜4のジオールである。ジオールは、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよい。
なかでも、当該重縮合エステルは、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、炭素数1〜4のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことが好ましく、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含むジカルボン酸と、炭素数1〜4のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことがより好ましい。
当該重縮合エステルの分子の両末端は、封止されていても、封止されていなくてもよいが、フィルムの透湿性を低減する観点からは、封止されていることが好ましい。
当該重縮合エステルは、下記一般式(D)又は(E)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。下記式において、nは1以上の整数である。
一般式(D) B−(G−A)−G−B
一般式(E) C−(A−G)−A−C
一般式(D)及び(E)のAは、炭素原子数3〜20(好ましくは4〜12)のアルキレンジカルボン酸から誘導される2価の基、炭素原子数4〜20(好ましくは4〜12)のアルケニレンジカルボン酸から誘導される2価の基、又は炭素原子数8〜20(好ましくは8〜12)のアリールジカルボン酸から誘導される2価の基を表す。
Aにおける炭素原子数3〜20のアルキレンジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、1,2−エタンジカルボン酸(コハク酸)、1,3−プロパンジカルボン酸(グルタル酸)、1,4−ブタンジカルボン酸(アジピン酸)、1,5−ペンタンジカルボン酸(ピメリン酸)、1,8−オクタンジカルボン酸(セバシン酸)などから誘導される2価の基が含まれる。Aにおける炭素原子数4〜20のアルケニレンジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、マレイン酸、フマル酸などから誘導される2価の基が含まれる。Aにおける炭素原子数8〜20のアリールジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、1,2−ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸などから誘導される2価の基が含まれる。
Aは、一種類であっても、二種類以上が組み合わされてもよい。なかでも、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸と炭素原子数8〜12のアリールジカルボン酸との組み合わせが好ましい。
一般式(D)及び(E)のGは、炭素原子数2〜20(好ましくは2〜12)のアルキレングリコールから誘導される2価の基、炭素原子数6〜20(好ましくは6〜12)のアリールグリコールから誘導される2価の基、又は炭素原子数4〜20(好ましくは4〜12)のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基を表す。
Gにおける炭素原子数2〜20のアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、及び1,12−オクタデカンジオール等から誘導される2価の基が含まれる。
Gにおける炭素原子数6〜20のアリールグリコールから誘導される2価の基の例には、1,2−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などから誘導される2価の基が含まれる。Gにおける炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどから誘導される2価の基が含まれる。
Gは、一種類であっても、二種類以上が組み合わされてもよい。なかでも、Gは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールであることが好ましい。
一般式(D)のBは、芳香環含有モノカルボン酸又は脂肪族モノカルボン酸から誘導される1価の基である。
芳香環含有モノカルボン酸から誘導される1価の基における芳香環含有モノカルボン酸は、分子内に芳香環を含有するカルボン酸であり、芳香環がカルボキシ基と直接結合したものだけでなく、芳香環がアルキレン基などを介してカルボキシ基と結合したものも含む。芳香環含有モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸などから誘導される1価の基が含まれる。
脂肪族モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸などから誘導される1価の基が含まれる。なかでも、アルキル部分の炭素原子数が1〜3であるアルキルモノカルボン酸から誘導される1価の基が好ましく、アセチル基(酢酸から誘導される1価の基)がより好ましい。
一般式(E)のCは、芳香環含有モノアルコール又は脂肪族モノアルコールから誘導される1価の基である。
芳香環含有モノアルコールは、分子内に芳香環を含有するアルコールであり、芳香環がOH基と直接結合したものだけでなく、芳香環がアルキレン基などを介してOH基と結合したものも含む。芳香環含有モノアルコールから誘導される1価の基の例には、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどから誘導される1価の基が含まれる。
脂肪族モノアルコールから誘導される1価の基の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどから誘導される1価の基が含まれる。なかでも、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素原子数1〜3のアルコールから誘導される1価の基が好ましい。
当該重縮合エステルの重量平均分子量は、350〜3000の範囲であることが好ましく、400〜1500の範囲であることがより好ましい。重量平均分子量が上記範囲内であれば、本発明に用いられる重縮合エステルの偏光板保護フィルムからの析出性を満たし、目的の効果を得ることができる。重量平均分子量は前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
当該重縮合エステルの具体例を、以下に示す。まず、「芳香族基」で両末端を封止した重縮合エステルの具体例を示す。
Figure 2015132661
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次に、「脂肪族基」で両末端を封止した重縮合エステルの具体例を、以下に示す。
Figure 2015132661
P−1:アジピン酸/フタル酸/エタンジオール(1/1/2 モル比)からなる縮合物(重量平均分子量950)の両末端のアセチルエステル化体
P−2:コハク酸/フタル酸/エタンジオール/(1/1/2 モル比)からなる縮合物(重量平均分子量2500)の両末端のアセチルエステル化体
P−3:グルタル酸/イソフタル酸/1,3−プロパンジオール(1/1/2 モル比)からなる縮合物(重量平均分子量1300)の両末端のアセチルエステル化体
P−4:コハク酸/グルタル酸/アジピン酸/テレフタル酸/イソフタル酸/エタンジオール/1,2−プロパンジオール(1/1/1/1/1/3/2 モル比)からなる縮合物(数平均分子量3000)の両末端のプロピルエステル化体
P−5:コハク酸/フタル酸/エタンジオール/(1/1/2 モル比)からなる縮合物(重量平均分子量2100)の両末端のブチルエステル化体
P−6:アジピン酸/テレフタル酸/1,2−プロパンジオール(1/1/2 モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
P−7:コハク酸/テレフタル酸/ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/1,2−プロパンジオール(2/1/1/2モル比)からなる縮合物(重量平均分子量3500)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
P−8:アジピン酸/フタル酸/1,2−プロパンジオール(3/1/3 モル比)からなる縮合物(重量平均分子量490)の両末端が安息香酸エステル化体
当該重縮合エステルの添加量は、樹脂に対して0.1〜20質量%の範囲で添加することが好ましく、1〜15質量%の範囲で添加することがより好ましい。
《他の添加剤》
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置などがおかれた場合には、偏光板保護フィルムの劣化が起こる場合がある。
酸化防止剤は、例えば、偏光板保護フィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により偏光板保護フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、偏光板保護フィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、樹脂に対して質量割合で1ppm〜1.0%の範囲が好ましく、10〜1000ppmの範囲が更に好ましい。
〈紫外線吸収剤〉
本発明の偏光板保護フィルムは、紫外線吸収機能を付与することを目的として、紫外線吸収剤を含有することができる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系等の紫外線吸収剤が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
なお、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、昇華しにくいか、あるいは高沸点で揮発しにくく、フィルムの高温乾燥時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に紫外線吸収性を発現できる観点から好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が、特に好ましい。
これら紫外線吸収剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビンシリーズ、あるいは2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](分子量659;市販品の例としては、株式会社ADEKA製のLA31)を好ましく使用できる。
上記紫外線吸収剤は、一種単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、一般には、樹脂に対して、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲で添加される。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶媒に溶解しないものは、有機溶媒と樹脂中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
〈微粒子(マット剤)〉
本発明の偏光板保護フィルムは、表面の滑り性を高めるため、必要に応じて微粒子(マット剤)をさらに含有してもよい。
微粒子は、無機微粒子であっても有機微粒子であってもよい。無機微粒子の例には、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムなどが含まれる。なかでも、二酸化ケイ素や酸化ジルコニウムが好ましく、得られるフィルムのヘイズの増大を少なくするためには、より好ましくは二酸化ケイ素である。
二酸化ケイ素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100(以上日本触媒(株)製)などが含まれる。なかでも、アエロジルR972V、NAX50、シーホスターKE−P30などが、得られるフィルムの濁度を低く保ちつつ、摩擦係数を低減させるため特に好ましい。
微粒子の一次粒子径は、5〜50nmの範囲であることが好ましく、7〜20nmの範囲であることがより好ましい。一次粒子径が大きいほうが、得られるフィルムの滑り性を高める効果は大きいが、透明性が低下しやすい。そのため、微粒子は、粒子径0.05〜0.3μmの範囲の二次凝集体として含有されていてもよい。微粒子の一次粒子又はその二次凝集体の大きさは、透過型電子顕微鏡にて倍率50万〜200万倍で一次粒子又は二次凝集体を観察し、一次粒子又は二次凝集体100個の粒子径の平均値として求めることができる。
微粒子の含有量は樹脂に対して0.05〜1.0質量%の範囲であることが好ましく、0.1〜0.8質量%の範囲であることがより好ましい。
≪偏光板保護フィルムの製造方法≫
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法としては、通常のインフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から、製膜方法は溶液流延製膜法と溶融流延製膜法が選択でき、特に溶液流延製膜法であることが、樹脂A及び樹脂Bの分布状態を制御してパネルベンドを抑制する効果に加えて、均一で平滑な表面を得ることができる観点から好ましい。
以下、本発明の偏光板保護フィルムを溶液流延法で製造する製造例について説明する。
本発明の偏光板保護フィルムの製造は、少なくとも樹脂Aであるアクリル樹脂及び樹脂Bであるカルボン酸ビニルエステル樹脂、可塑剤及び添加剤等を溶媒に溶解させてドープを調製し、濾過する工程、調製したドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延しウェブを形成する工程、形成したウェブを金属支持体から剥離してフィルムとする工程、前記フィルムを延伸、乾燥する工程、及び乾燥させたフィルムを冷却後ロール状に巻取る工程により行われる。本発明の偏光板保護フィルムは固形分中に好ましくは本発明に係る樹脂A及び樹脂Bで特定される樹脂を60〜95質量%の範囲で含有するものである。
以下、各工程について説明する。
(1)溶解工程
樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で当該樹脂、場合によって、本発明に係る可塑剤又はその他の化合物を撹拌しながら溶解しドープを形成する工程、あるいは当該樹脂溶液に、前記可塑剤又はその他の化合物溶液を混合して主溶解液であるドープを形成する工程である。
本発明の偏光板保護フィルムを溶液流延法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、樹脂、可塑剤及びその他の化合物を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、例えば主たる溶媒として、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用することができ、塩化メチレン又は酢酸エチルであることが特に好ましい。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の範囲で炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ないときは非塩素系有機溶媒系での樹脂及びその他の化合物の溶解を促進する役割もある。本発明の偏光板保護フィルムの製膜においては、得られる偏光板保護フィルムの平面性を高める点から、アルコール濃度が0.5〜15.0質量%の範囲内にあるドープを用いて製膜する方法を適用することができる。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、樹脂及びその他の化合物を、計15〜45質量%の範囲で溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からメタノール及びエタノールが好ましい。
樹脂、可塑剤又はその他の化合物の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中の樹脂の濃度は、10〜40質量%の範囲であることが好ましい。溶解中又は後のドープに化合物を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
ドープの濾過については、好ましくはリーフディスクフィルターを具備する主濾過器3で、ドープを例えば90%捕集粒子径が微粒子の平均粒子径の10倍〜100倍の濾材で濾過することが好ましい。
本発明において、濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行わなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。
このため、本発明において、ドープに使用する濾材は、絶対濾過精度0.008mm以下のものが好ましく、0.001〜0.008mmの範囲が、より好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材がさらに好ましい。
濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
本発明において、濾過の際のドープの流量が、10〜80kg/(h・m)、好ましくは20〜60kg/(h・m)であることが好ましい。ここで、濾過の際のドープの流量が、10kg/(h・m)以上であれば、効率的な生産性となり、濾過の際のドープの流量が、80kg/(h・m)以内であれば、濾材にかかる圧力が適正となり、濾材を破損させることがなく、好ましい。
濾圧は、3500kPa以下であることが好ましく、3000kPa以下であることがより好ましく、2500kPa以下であることがさらに好ましい。なお、濾圧は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することで、コントロールできる。
図1は、本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程の一例を模式的に示した図である。
仕込釜41で調製したドープを濾過器44で大きな凝集物を除去し、ストック釜42へ送液する。その後、ストック釜42より主ドープ溶解釜1へ各種添加液を添加する。
その後、主ドープは主濾過器3にて濾過され、これにマット剤分散液や紫外線吸収剤添加液等が導管16よりインライン添加される。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。
返材とは、例えばアクリルフィルムを細かく粉砕した物で、アクリルフィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでフィルムの規定値を越えたアクリルフィルム原反が使用される。
また、ドープ調製に用いられる樹脂の原料としては、あらかじめ樹脂及びその他の化合物などをペレット化したものも、好ましく用いることができる。
(2)流延工程
(2−1)ドープの流延
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属支持体31、例えば、ステンレスベルト、あるいは回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.5〜3mの範囲、さらに好ましくは2〜2.8mの範囲とすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶媒が沸騰して発泡しない温度以下、さらに好ましくは−30〜0℃の範囲に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃の範囲が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層してもよい。
(3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブという。)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜120秒以内で当該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
(4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブはフィルムとして次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃の範囲であり、さらに好ましくは11〜30℃の範囲である。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損ね、剥離張力によるツレや縦スジが発生しやすいため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
ウェブの残留溶媒量は下記式(Z)で定義される。
式(Z)
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムとを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜30℃の範囲内とするのが最も好ましい。
(5)乾燥及び延伸工程
乾燥工程は予備乾燥工程、本乾燥工程に分けて行うこともできる。
〈予備乾燥工程〉
金属支持体から剥離して得られたウェブを乾燥させる。ウェブの乾燥は、ウェブを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし、テンター乾燥機のようにウェブの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は好ましくはフィルムのガラス転移点−5℃以下であって、100℃以上の温度で10分〜60分の範囲内の熱処理を行うことが効果的である。乾燥温度は100〜200℃の範囲内、更に好ましくは110〜160℃の範囲内で乾燥が行われる。
〈延伸工程〉
本発明の偏光板保護フィルムは、延伸処理することでフィルム内の分子の配向を制御することができ、目標とする位相差値Ro及びRtを得ることができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、長手方向(MD方向ともいう。)及び/又は幅手方向(TD方向ともいう。)に延伸することが好ましく、少なくとも長手方向又は幅手方向に延伸倍率として1.01〜10倍の範囲内で延伸することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施してもよい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・流延方向に延伸→幅手方向に延伸→流延方向に延伸→流延方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→流延方向に延伸→流延方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮する場合も含まれる。
延伸開始時の残留溶媒量は2〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
当該残留溶媒量は、2質量%以上であれば、膜厚偏差が小さくなり、平面性の観点から好ましく、10質量%以内であれば、表面の凹凸が減り、平面性が向上し好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、延伸後の膜厚が所望の範囲になるようにMD方向及び/又はTD方向に、好ましくはTD方向に、フィルムのガラス転移温度をTgとしたときに、(Tg+15)〜(Tg+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、リターデーションの調整がしやすく、また延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れた偏光板保護フィルムが得られる。延伸温度は、(Tg+20)〜(Tg+40)℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、ウェブを少なくともMD方向又はTD方向に1.01倍〜10倍の範囲内で延伸することが好ましい。延伸の範囲は、元幅に対して1.1〜10倍の範囲であることが好ましく、1.2〜8倍の範囲であることがより好ましい。上記範囲内であれば、フィルム中の分子の移動が大きく、所望の位相差値が得られるばかりではなく、フィルムを薄膜化でき、フィルムの平面性を向上することができる。
MD方向に延伸するために、剥離張力を130N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは150〜170N/mである。剥離後のウェブは高残留溶媒状態であるため、剥離張力と同様の張力を維持することで、MD方向への延伸を行うことができる。ウェブが乾燥し、残留溶媒量が減少するに従って、MD方向への延伸率は低下する。
なお、MD方向の延伸はローラーの周速差を利用したローラー延伸機を用いることができ、延伸倍率は、ベルト支持体の回転速度とローラー延伸機の運転速度から算出できる。
TD方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程あるいは一部の工程を幅方向にクリップ又はピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる)、中でも、クリップを用いるテンター方式、ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。
TD方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に250〜500%/minの延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は250%/min以上であれば、平面性が向上し、またフィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、500%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
好ましい延伸速度は、300〜400%/minの範囲内である。延伸速度は下記式(2)によって定義されるものである。
式(2) 延伸速度(%/min)=[(d/d)−1]×100(%)/t
(式(2)において、dは延伸後の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、dは延伸前の樹脂フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
本発明の偏光板保護フィルムの面内位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率n、n、nから算出することができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、下式(i)により定義されるリターデーション値(Ro)が0〜70nmの範囲内にあり、下式(ii)により定義されるリターデーション値(Rt)が−40〜40nmの範囲内にあることが、IPS型液晶表示装置に具備された場合に、視野角やコントラスト等の視認性を向上する観点から好ましい。偏光板保護フィルムは、少なくとも前記MD方向又はTD方向に延伸倍率を調整しながら延伸することで、上記位相差値の範囲内に調整することができる。より好ましいリターデーション値の範囲は、Roが0〜30nmの範囲内、Rtが−30〜30nmの範囲内、特に好ましくはRoが0〜10nmの範囲内、Rtが−20〜20nmの範囲内である。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
〈ナーリング加工〉
所定の熱処理又は冷却処理の後、巻取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスローラーを押し当てることにより形成することができる。エンボスローラーには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることができる。
本発明の偏光板保護フィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μm、幅5〜20mmが好ましい。
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻取りの前に設けることが好ましい。
(6)巻取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
巻取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
≪偏光板保護フィルムの物性≫
〈ヘイズ〉
本発明の偏光板保護フィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。
〈平衡含水率〉
本発明の偏光板保護フィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。平衡含水率を4%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
〈フィルム長、幅、膜厚〉
本発明の偏光板保護フィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明の偏光板保護フィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.4m以上であり、特に1.4〜4mであることが好ましい。
フィルムの膜厚は、表示装置の薄型化、生産性の観点から、10〜60μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が10μm以上であれば、一定以上のフィルム強度や位相差を発現させることができる。膜厚が60μm以下であれば、所望の位相差を具備し、かつ偏光板及び表示装置の薄型化に適用できる。好ましくは、20〜50μmの範囲内である。
≪偏光板≫
本発明の偏光板は、本発明の偏光板保護フィルムが、紫外線硬化型接着剤を用いて、少なくとも偏光子の一方の面に貼合されていることが好ましい。
また、前記偏光子の前記偏光板保護フィルムが貼合されている面とは反対側の面に、本発明の偏光板保護フィルムや他の熱可塑性樹脂フィルムが、水糊又は紫外線硬化型接着剤を用いて偏光子と貼合されていることが、好ましい態様である。
例えば、他の熱可塑性樹脂フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC6UY、KC6UA、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC(以上コニカミノルタ(株)製)、フジタックT40UZ、フジタックT60UZ、フジタックT80UZ、フジタックTD80UL、フジタックTD60UL、フジタックTD40UL、フジタックT25TG、フジタックT40TG、フジタックT25TJ、フジタックT40TJ、フジタックR02、フジタックR06、フジタックR032、フジタックR033(以上、富士フイルム(株)製))が好ましく用いられる。
また、本発明の偏光板が視認側の偏光板として用いられる場合は、偏光板保護フィルムには、防眩層あるいはクリアハードコート層、反射防止層、帯電防止層、防汚層等を設けることが好ましい。
〔偏光子〕
本発明の偏光板の主たる構成要素である偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子としては、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行った偏光子が用いられ得る。偏光子の膜厚は2〜30μmが好ましく、特に2〜15μmであることが好ましい。
また、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能及び耐久性能に優れている上に、色ムラが少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
また、本発明の偏光板保護フィルムは、上記偏光子の保護フィルムとして用いる以外に、特開2009−093074号公報記載の薄型偏光子を用いて偏光板を作製する際の基材としても用いることができる。
〔偏光板の作製〕
本発明の偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の偏光板保護フィルムの偏光子側を適宜表面処理し、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、後述する紫外線硬化型接着剤を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には前記他の熱可塑性樹脂フィルムを貼合することができる。本発明の偏光板保護フィルムは液晶表示装置に具備された際に、偏光子の液晶セルとは反対側又は液晶セル側に設けられることが好ましく、偏光子の他の一方の面側のフィルムは前記熱可塑性樹脂フィルムを用いることが好ましい。
偏光子との貼合の向きは、例えば偏光子の吸収軸と偏光板保護フィルムの遅相軸が直交するように貼合することが好ましい。
[紫外線硬化型接着剤]
本発明の偏光板においては、本発明の偏光板保護フィルムと偏光子とが、紫外線硬化型接着剤により接着されていることが好ましい。
本発明においては、偏光板保護フィルムと偏光子との貼合に紫外線硬化型接着剤を適用することにより、薄膜でも強度が高く、平面性に優れた偏光板を得ることができる。
〈紫外線硬化型接着剤の組成〉
偏光板用の紫外線硬化型接着剤組成物としては、光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合を利用した光カチオン重合型組成物、並びに光ラジカル重合及び光カチオン重合を併用したハイブリッド型組成物が知られている。
光ラジカル重合型組成物としては、特開2008−009329号公報に記載のヒドロキシ基やカルボキシ基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物及び極性基を含有しないラジカル重合性化合物を特定割合で含む組成物)等が知られている。特に、ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい例には、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、N置換(メタ)アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリレート系化合物などが含まれる。(メタ)アクリルアミドは、アクリアミド又はメタクリアミドを意味する。
また、光カチオン重合型組成物としては、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、及び(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する紫外線硬化型接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外の紫外線硬化型接着剤が用いられてもよい。
(1)前処理工程
前処理工程は、偏光板保護フィルムの偏光子との接着面に易接着処理を行う工程である。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(紫外線硬化型接着剤の塗布工程)
紫外線硬化型接着剤の塗布工程としては、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記紫外線硬化型接着剤を塗布する。偏光子又は偏光板保護フィルムの表面に直接、紫外線硬化型接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特段の限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の湿式塗布方式が利用できる。また、偏光子と偏光板保護フィルムの間に、紫外線硬化型接着剤を流延させたのち、ローラー等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(2)貼合工程
上記の方法により紫外線硬化型接着剤を塗布した後は、貼合工程で処理される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面に紫外線硬化型接着剤を塗布した場合、そこにセルロースエステルフィルムが重ね合わされる。また、はじめに偏光板保護フィルムの表面に紫外線硬化型接着剤を塗布する方式の場合には、そこに偏光子が重ね合わされる。また、偏光子と偏光板保護フィルムの間に紫外線硬化型接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子と偏光板保護フィルムとが重ね合わされる。そして、通常は、この状態で両面の偏光板保護フィルム側から加圧ローラー等で挟んで加圧することになる。加圧ローラーの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置される加圧ローラーは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(3)硬化工程
硬化工程では、未硬化の紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して、カチオン重合性化合物(例えば、エポキシ化合物やオキセタン化合物)やラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等)を含む紫外線硬化型接着剤層を硬化させ、紫外線硬化型接着剤を介して重ね合わせた偏光子と偏光板保護フィルムを接着させる。偏光子の片面に偏光板保護フィルムを貼合する場合、活性エネルギー線は、偏光子側又は偏光板保護フィルム側のいずれから照射してもよい。また、偏光子の両面に偏光板保護フィルムを貼合する場合、偏光子の両面にそれぞれ紫外線硬化型接着剤を介して偏光板保護フィルムを重ね合わせた状態で、紫外線を照射し、両面の紫外線硬化型接着剤を同時に硬化させるのが有利である。
紫外線の照射条件は、本発明に適用する紫外線硬化型接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmの範囲であることが好ましく、100〜500mJ/cmの範囲であるのがさらに好ましい。
偏光板の製造工程を連続ラインで行う場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1〜500m/minの範囲、より好ましくは5〜300m/minの範囲、さらに好ましくは10〜100m/minの範囲である。ライン速度が1m/min以上であれば、生産性を確保することができ、又は偏光板保護フィルムへのダメージを抑制することができ、耐久性に優れた偏光板を作製することができる。また、ライン速度が500m/min以下であれば、紫外線硬化型接着剤の硬化が十分となり、目的とする硬度を備え、接着性に優れた紫外線硬化型接着剤層を形成することができる。
前記偏光子の偏光板保護フィルムが貼合されている面とは反対側の面には、前記他の熱可塑性樹脂が、水糊又は紫外線硬化型接着剤を用いて偏光子と貼合されていることが好ましい。セルロースエステルフィルムの場合は、偏光子と貼合される面がケン化処理され、ポリビニルアルコール系水糊によって貼合されることが好ましい。
≪液晶表示装置≫
上記本発明の偏光板保護フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明の液晶表示装置を作製することができる。
本発明の偏光板は、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくはIPS型液晶表示装置である。
液晶表示装置には、通常視認側の偏光板とバックライト側の偏光板の2枚の偏光板が用いられるが、本発明の偏光板を両方の偏光板として用いることも好ましく、片側の偏光板として用いることも好ましい。
IPS型液晶表示装置における上記偏光板の貼合の向きは、特開2005−234431号公報を参照して行うことができる。
本発明に用いる液晶セルは、液晶層と、前記液晶層を挟持する一対の基板とを含み、前記一対の基板の厚さが0.3〜0.7mmの範囲内のガラス基板であることが、液晶表示装置の薄型化、軽量化の観点から好ましい。
図2は、上記説明した本発明の偏光板101A及び101Bを液晶セル101Cの両面に配置した液晶表示装置100の構成の一例を示す概略断面図である。
図2において、液晶層107の両面を、透明基材としてガラス基板108A及び108Bで挟持して液晶セル101Cを構成し、それぞれのガラス基板108A及び108Bのそれぞれの表面に、粘着層106を介して、図2に示す構成の偏光板101A及び101Bが配置されて、液晶表示装置100を構成している。
当該偏光板101A及び101Bにおいて、本発明の偏光板保護フィルムは、少なくとも偏光板保護フィルム102又は105の位置に貼合されていることが好ましい。偏光板保護フィルムはそれぞれ紫外線硬化型接着剤103A、103Bによって偏光子104に貼合されている。
例えばIPS型液晶表示装置に具備する場合には、偏光板保護フィルム105が本発明の偏光板保護フィルムであることが好ましい。
液晶セル101Cは、液晶物質の両面を配向膜、透明電極及びガラス基板(108A及び108B)が配置されて構成している。
耐久性、平面性等に優れた本発明の偏光板を液晶表示装置に具備することにより、液晶セルを構成するガラス基材を薄膜化してもパネルベンドが生じにくくすることができ、その結果、薄膜化が達成された液晶表示装置を得ることができる。
液晶セル101Cに用いることのできるガラス基板108A及び108Bを構成する材質としては、例えば、ソーダライムガラス、ケイ酸塩ガラスなどが挙げられ、ケイ酸塩ガラスであることが好ましく、具体的には、シリカガラス又はホウケイ酸ガラスであることがより好ましい。
ガラス基板を構成するガラスは、アルカリ成分を実質的に含有していない無アルカリガラスであること、具体的には、アルカリ成分の含有量が1000ppm以下であるガラスであることが好ましい。ガラス基板中のアルカリ成分の含有量は、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。アルカリ成分を含有するガラス基材は、フィルム表面で陽イオンの置換が発生し、ソーダ吹きの現象が生じやすい。それにより、フィルム表層の密度が低下しやすく、ガラス基板が破損しやすいからである。
液晶表示装置を構成する液晶セルのガラス基板108A及び108Bの厚さは、0.3〜0.7mmの範囲内であることが好ましい。このような厚さとすることは、液晶表示装置の薄型化形成に寄与することができる点で好ましい。
ガラス基板は、公知の方法、例えばフロート法、ダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法などにより成形されうる。なかでも、成形時にガラス基材の表面が成形部材と接触せず、得られるガラス基材の表面に傷がつきにくいことなどから、オーバーフローダウンドロー法が好ましい。
また、このようなガラス基板は、市販品としても入手することができ、例えば、旭硝子社製の無アルカリガラス AN100(厚さ500μm)、コーニング社製のガラス基板 EAGLE XG(r) Slim(厚さ300μm、400μm等)、日本電気硝子社製のガラス基材(厚さ100〜200μm)等を挙げることができる。
また、図2に示すような偏光板101A、101Bと、液晶セル101Cを構成するガラス基材108A、108Bとは、粘着層106を介して接着されている。
粘着層としては、両面テープ、例えば、リンテック社製の厚さ25μmの両面テープ(基材レステープ MO−3005C)等や、あるいは前記活性光線硬化型樹脂層の形成に用いる組成物を適用することができる。
本発明の偏光板が用いられた液晶表示装置は、本発明の効果以外にも、層間の密着性に優れ、退色耐性、表示画像のエッグムラ耐性等に優れる利点を有する。
偏光板の位相差フィルム側の表面と、液晶セルの少なくとも一方の表面との貼合は、公知の手法により行われる。場合によっては、接着層を介して貼合されてもよい。
本発明の偏光板を用いることで、特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、パネルベンドが抑制され、表示ムラ、正面コントラストなど視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
〈アクリル樹脂(樹脂A)〉
表1に示す樹脂Aであるアクリル樹脂を公知の方法によって作製した。
表中、MMAはメチルメタクリレート、ACMOはアクリロイルモルホリン、HEMAは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、及びStはスチレンを表す。
これらのモノマー材料を用いて、公知の方法によって(メタ)アクリル樹脂を合成した。
(アクリル共重合体の合成の一例:MMA−ACMO)
撹拌機を備えた内容積40リットルのSUS製重合反応装置に、脱イオン水24リットルを入れ、分散安定剤としてアニオン系高分子化合物水溶液30g、分散安定助剤として硫酸ナトリウム36gを加え撹拌・溶解させた。また、別の撹拌機を備えた容器に、メチルメタクリレート(MMA)とアクリロイルモルホリン(ACMO)を、MMAが73.1質量%、ACMOが22.4質量%となるように(トータルでの仕込みモル比がMMA/ACMO=70/30となるように)投入し、単量体混合物に重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル12g、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン24g、離型剤としてステアリルアルコール24gを加え撹拌・溶解させた。このようにして得られた重合開始剤、連鎖移動剤及び離形剤を溶解した単量体混合物を、上述した撹拌機を備えた内容積40リットルのSUS製重合反応装置(脱イオン水、分散安定剤及び分散安定助剤を収容する)に投入し、窒素置換しながら175rpmで15分間撹拌した。その後、80℃に加温して重合を開始させ、重合発熱ピーク終了後、115℃で10分間の熱処理を行い、重合を完結させた。得られたビーズ状重合体を濾過、水洗し、80℃で24hr乾燥し、重量平均分子量6万のメチルメタクリレート(MMA)とアクリロイルモルホリン(ACMO)のアクリル共重合体を得た。
〈カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)〉
表1に示す樹脂Bであるカルボン酸ビニルエステル樹脂を公知の方法によって作製した。
(カルボン酸ビニルエステル樹脂の合成の一例:ポリ酢酸ビニル)
撹拌機付きの反応器に、酢酸ビニル1600g、プロピオン酸メチル650g及び酢酸メチル50gを仕込み、反応器内部を充分に窒素置換した後、60℃に昇温し、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.233g、酢酸パラジウムを22.4mg(0.1ミリモル)を添加し、60℃,4時間の反応をさせた。反応終了後、反応器を冷却し、反応液をヘキサンで再沈し、得られた重合体を50℃の熱風乾燥及び100℃の真空乾燥を行うことにより、重量平均分子量8万のポリ酢酸ビニルを得た。該重合体の収率は48%であった。
<偏光板保護フィルムの作製>
〔偏光板保護フィルムA1の作製〕
下記の方法に従って、偏光板保護フィルムA1を作製した。
(ドープの調製)
下記成分を密閉容器に投入し、加熱及び撹拌しながら完全に溶解させた。得られた溶液をリーフディスクフィルターを装着した濾過器にて、温度50℃で濾過して、主ドープを得た。濾材は、公称濾過精度20μmのものを用いた。
〈主ドープの組成〉
樹脂Aとしてポリメチルメタクリレート:PMMA 10質量部
樹脂Bとしてポリ酢酸ビニル 90質量部
紫外線吸収剤として2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](株式会社ADEKA製のLA31、分子量659) 2質量部
ジクロロメタン 430質量部
メタノール 11質量部
(製膜工程)
得られたドープを、ベルト流延装置を用いてステンレスバンド支持体上に、ドープの液温度35℃、幅1.95mの条件で、最終膜厚が40μmとなる条件で均一に流延させた。ステンレスバンド支持体上で、得られたドープ膜中の有機溶媒を、残留溶媒量が100質量%になるまで蒸発させてウェブを形成した後、ステンレスバンド支持体からウェブを剥離した。得られたウェブを、110℃でさらに5分予備乾燥させて残留溶媒量を10質量%にした後、ウェブをテンターで、160℃の条件でTD方向の元幅に対して1.2倍に延伸した。延伸速度は300%/minの速度で延伸した。
テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。得られたフィルムを、2.0m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、長さ4000m、乾燥膜厚40μmの偏光板保護フィルムA1を得た。
〔偏光板保護フィルムA2〜A14の作製〕
偏光板保護フィルムA1の作製において、表1に記載の樹脂A及び樹脂Bを用いて、表1に記載の樹脂A/Bの質量組成比率で組成した以外は同様にして、偏光板保護フィルムA2〜A14を作製した。なお、偏光板保護フィルムA13はPMMAのみ、また偏光板保護フィルムA14はポリ酢酸ビニルのみそれぞれ100質量部使用した。
〔偏光板保護フィルムA15、A16の作製〕
偏光板保護フィルムA1の作製において、ポリメチルメタクリレート:PMMAの代わりに、トリアセチルセルロース:TAC(重量平均分子量30万)を用いて、表1に記載の樹脂A/Bの質量組成比率で組成した以外は同様にして、偏光板保護フィルムA15、A16を作製した。
〔偏光板保護フィルムA17の作製〕
偏光板保護フィルムA1の作製において、ポリ酢酸ビニルの代わりに、ポリビニルアルコール(重量平均分子量210)を用いて、表1に記載の樹脂A/Bの質量組成比率で組成した以外は同様にして、偏光板保護フィルムA17を作製した。
≪評価≫
(1)樹脂の重量平均分子量の測定
樹脂A及び樹脂Bの重量平均分子量は、前述のGPCを用いた測定法により測定した。
(2)樹脂のTg(℃)の測定
樹脂のガラス転移温度Tgは、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた。
(3)式(1)の評価
前記アクリル樹脂(樹脂A)のガラス転移温度をTga(℃)、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)のガラス転移温度をTgb(℃)、アクリル樹脂(樹脂A)の質量組成比率を(rA)、カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の質量組成比率を(rB)(但し、(rA)+(rB)=1.0である。)とし、下記式(1)′によって求めた温度T(℃)が、本発明に係る下記式(1)の範囲を満たすかどうかを評価した。
式(1)′ T(℃)=Tga×(rA)+Tgb×(rB)
式(1) 35℃≦Tga×(rA)+Tgb×(rB)≦99℃
(4)パネルの反り量(mm)
〈偏光板及び液晶表示装置の作製〉
1)偏光子の作製
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g及び水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、更にヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g及び水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率3倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ25μmの偏光子を得た。
2)偏光板の作製
偏光板保護フィルムとして上記作製した偏光板保護フィルムA1〜A17を準備した。
〔紫外線硬化型接着剤液1の調製〕
下記の各成分を混合した後、脱泡して、紫外線硬化型接着剤液1を調製した。なお、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、下記にはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの固形分量を表示した。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート 45質量部
エポリードGT−301(ダイセル社製の脂環式エポキシ樹脂) 40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン 0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン 2.0質量部
〔偏光板A1〜A17の作製〕
下記の方法に従って、偏光板A1〜A17を作製した。
まず、上記作製した偏光板保護フィルムの表面にコロナ放電処理を施した。なお、コロナ放電処理の条件は、コロナ出力強度2.0kW、ライン速度18m/分とした。次いで、偏光板保護フィルムのコロナ放電処理面に、上記調製した紫外線硬化型接着剤液1を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して紫外線硬化型接着剤層を形成した。得られた紫外線硬化型接着剤層に、上記作製した偏光子を貼合した。
次いで、市販のセルロースエステルフィルムであるKC4UE(コニカミノルタ(株)製)にコロナ放電処理を施した。コロナ放電処理の条件は、コロナ出力強度2.0kW、速度18m/分とした。
次いで、KC4UEのコロナ放電処理面に、上記調製した紫外線硬化型接着剤液1を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して紫外線硬化型接着剤層を形成した。
この紫外線硬化型接着剤層に、上記偏光板保護フィルムが片面に貼合された偏光子を貼合して、偏光板保護フィルム/紫外線硬化型接着剤層/偏光子/紫外線硬化型接着剤層/KC4UEが積層された偏光板A1〜A17を得た。その際に、偏光板保護フィルム及びKC4UEの遅相軸と偏光子の吸収軸が互いに直交になるように貼合した。
この積層体のセルロースエステルフィルム側から、ベルトコンベヤー付き紫外線照射装置(ランプは、フュージョンUVシステムズ社製のDバルブを使用)を用いて、積算光量が750mJ/cmとなるように紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤層を硬化させ、偏光板A1〜A17を作製した。
3)液晶表示パネルの作製
液晶セルとして、厚さが0.5mmの二枚のガラス基板と、それらの間に配置された液晶層とを有するIPS方式の液晶セルを準備した。そして、上記準備した液晶セルの両面に、リンテック社製の厚さ25μmの両面テープ(基材レステープ MO−3005C)を介して上記作製した偏光板A1をそれぞれKC4UEが液晶セル側になるように貼り合わせて、液晶表示パネルを得た。貼り合わせは、視認側の偏光板A1の偏光子の吸収軸とバックライト側の偏光板A1の偏光子の吸収軸とが直交するようにした。
液晶表示パネルの構成は図2を参照。偏光板保護フィルムA1〜A17は、それぞれ偏光板保護フィルム102の位置である。
4)パネルの反り量の測定
作製した液晶表示パネルを40℃95%RHの環境下で24hr処理した後、40℃20%RH環境下で2hr処理した。その後、液晶表示装置の液晶表示パネルの反り量を、レーザー変位計を用いて測定した。測定値は、ディスプレイ中央部をゼロ点として、ディスプレイ表面の4隅の高さを測定し、その平均値を求めた。ディスプレイ表面の4隅が、視認側に出ている場合を+値、バックライト側に出ている場合を−値とした。
偏光板保護フィルムの構成及び上記評価結果を表1にまとめて示した。
Figure 2015132661
本発明に係る樹脂A及び樹脂Bを組成した偏光板保護フィルムA1〜A12は、比較例の偏光板保護フィルムA13〜A17に対して、パネルの反り量が小さく、パネルベンドに優れていることが分かる。
また、TACとポリ酢酸ビニルを組成した偏光板保護フィルムA15及びA16は、樹脂が相溶せずフィルム白化が生じて偏光板保護フィルムとして使用できなかった。
実施例2
実施例1において作製した偏光板A1、A8、A13及びA14を、図2の液晶表示パネルにおいて、それぞれ偏光板保護フィルムA1、A8、A13及びA14が偏光板保護フィルム105の位置になるように貼合した以外は同様にして液晶表示パネルを作製した。
≪評価≫
実施例1で行った(4)パネルの反り量に加えて下記のリターデーション値の測定及びコントラストの評価を実施し、結果を表2に示した。
(5)リターデーション値の測定
面内位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは、偏光板保護フィルムA1〜A14 より任意に10点の試料フィルムを切り出し、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた平均屈折率n、n、nを下式(i)及び下式(ii)に代入して求めた。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
(6)表示ムラ
上記処理(40℃95%RHの環境下で24hr処理した後、40℃20%RH環境下で2hr処理)した後の液晶表示パネルの表示画面を、画面正面から観察した。そして、表示ムラを下記の基準に基づいて評価した。
◎:全くムラがない
○:僅かにムラがある
△:弱いムラが数個程度ある
×:規則性のある強いムラがある
(7)視認性:コントラストの評価
液晶表示パネルに白画像を表示させたときの、表示画面の方位角45°方向、極角60°方向におけるXYZ表示系のY値を、ELDIM社製 製品名「EZ Contrast160D」により測定した。同様に、液晶表示パネルに黒画像を表示させたときの、表示画面の方位角45°方向、極角60°方向におけるXYZ表示系のY値を測定した。そして、白画像におけるY値(YW)と、黒画像におけるY値(YB)とから、斜め方向のコントラスト比「YW/YB」を算出した。コントラスト比の測定は、温度23℃、相対湿度55%の暗室内にて行った。なお、方位角45°とは、表示画面の面内で、表示画面の長辺を0°としたときに反時計周りに45°回転させた方位を表す。極角60°とは、表示画面の法線方向を0°としたときに、法線に対して60°傾斜した方向を表す。コントラスト比が高いほど、コントラストが高く好ましい。
◎:コントラスト比が、60以上である
○:コントラスト比が、55以上、60未満である
△:コントラスト比が、50以上、55未満である
×:コントラスト比が、50未満である
Figure 2015132661
本発明に係る樹脂A及び樹脂Bを組成した偏光板保護フィルムA1、A8を、IPS型液晶表示装置の位相差フィルムとして用いた場合に、パネルの反り量の改善とともに、表示ムラ及びIPS型液晶表示装置に適したリターデーション値を有することから、視認性(コントラスト)向上の効果にも優れることが分かった。
比較例A13、A14は、パネルの反り量が大きく、表示ムラが劣位にあり、かつリターデーション値もIPS型液晶表示装置において好ましい範囲外であるため、視認性(コントラスト)が劣る結果であった。
実施例3
〔偏光板保護フィルムB1〜B21の作製〕
表3に記載のように、ポリメチルメタクリレート:PMMA及びポリ酢酸ビニルの重量平均分子量を合成条件を適宜変更して、ポリメチルメタクリレート:PMMA:7万、10万、30万、100万、及びポリ酢酸ビニル:8万、10万、50万、100万となるように変化させた。
得られた、ポリメチルメタクリレート:PMMA及びポリ酢酸ビニルを用いて、実施例1と同様にして、表3に記載の樹脂A及び樹脂Bの組み合わせにて、偏光板保護フィルムB1〜B21を作製した。なお、偏光板保護フィルムB10〜B13及びB20はPMMAのみの使用、偏光板保護フィルムB14〜B17及びB21はポリ酢酸ビニルのみをそれぞれ100質量部使用した。
偏光板保護フィルムB8、B9、B12及びB17では、可塑剤としてアセチルトリブチルシトレート(ATBC)を5質量部用いた。また、偏光板保護フィルムB18〜B21では、可塑剤として、ジカルボン酸とジオールを反応させて得られる繰り返し単位を含む重縮合エステルである例示化合物P−8を5質量部用いた。
作製した偏光板保護フィルムB1〜B21を用いて、実施例1と同様にして偏光板及び液晶表示パネルを作製し、パネルの反り量を測定した。
偏光板保護フィルムの構成及び評価結果を表3に示す。
Figure 2015132661
本発明に係る樹脂A及び樹脂Bを組成した偏光板保護フィルムB1〜B9、B18及びB19を用いた場合に、パネルの反り量が比較例に対して改善されることが分かる。
また、重量平均分子量が10万〜100万の範囲内にある樹脂A及び樹脂Bの組み合わせが、パネルの反りに対してより優れていることが分かる。
さらに、偏光板保護フィルムB8、B9、B18及びB19の結果から、可塑剤としてATBC及びジカルボン酸とジオールを反応させて得られる繰り返し単位を含む重縮合エステルを用いることがパネルの反り量をより低減する効果があることが分かった。
また、比較例のB16は乾燥後のウェブが破断しやすく取り扱いにくかったが、可塑剤としてATBCを用いたB17は破断しにくく、取り扱いに問題がなかった。
実施例4
〔偏光板保護フィルムC1の作製〕
表4に記載のように、重量平均分子量がポリメチルメタクリレート(PMMA):30万、ポリ酢酸ビニル:50万の樹脂をそれぞれ準備した。
下記の方法に従って、偏光板保護フィルムC1を作製した。
(ドープの調製)
下記成分を密閉容器に投入し、加熱及び撹拌しながら完全に溶解させた。得られた溶液をリーフディスクフィルターを装着した濾過器にて、温度50℃で濾過して、主ドープを得た。濾材は、公称濾過精度20μmのものを用いた。
〈主ドープの組成〉
樹脂Aとしてポリメチルメタクリレート:PMMA 20質量部
樹脂Bとしてポリ酢酸ビニル 80質量部
可塑剤:アセチルトリブチルシトレート(ATBC) 5質量部
紫外線吸収剤として2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](株式会社ADEKA製のLA31、分子量659) 2質量部
ジクロロメタン 430質量部
メタノール 11質量部
(製膜工程)
得られたドープを、ベルト流延装置を用いてステンレスバンド支持体上に、ドープの液温度35℃、幅1.95mの条件で、最終膜厚が40μmとなる条件で均一に流延させた。ステンレスバンド支持体上で、得られたドープ膜中の有機溶媒を、残留溶媒量が100質量%になるまで蒸発させてウェブを形成した後、ステンレスバンド支持体からウェブを剥離した。得られたウェブを、110℃でさらに5分予備乾燥させて残留溶媒量を10質量%にした後、ウェブをテンターで、160℃の条件でTD方向の元幅に対して1.5倍に延伸した。延伸速度は300%/minの速度で延伸した。
テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。得られたフィルムを、2.0m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻取り、長さ4000m、乾燥膜厚40μmの偏光板保護フィルムC1を得た。
〔偏光板保護フィルムC2〜C11の作製〕
偏光板保護フィルムC1の作製において、表4記載の様に、樹脂A/Bの質量組成比率、延伸方向、延伸倍率、膜厚をそれぞれ変化させて、偏光板保護フィルムC2〜C11を作製した。
なお、偏光板保護フィルムC8及びC9は、乾燥膜厚が10μmの厚さになるように流延して、TD方向又はMD方向に1.5倍延伸して厚さ7μmのフィルムを作製した。なお、MD方向の延伸には、ローラーの周速差を利用したローラー延伸機を用いて自由端MD延伸を行った。
偏光板保護フィルムC10は、乾燥膜厚が20μmの厚さになるように流延して、MD方向に8倍延伸して厚さ7μmのフィルムを作製した。
〔偏光板保護フィルムC12の作製〕
〈混合物の調製〉
(樹脂組成物)
樹脂Aとしてポリメチルメタクリレート:PMMA 20質量部
樹脂Bとしてポリ酢酸ビニル 80質量部
可塑剤:アセチルトリブチルシトレート(ATBC) 5質量部
紫外線吸収剤として2,2′−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール](株式会社ADEKA製のLA31、分子量659) 2質量部
得られた混合物を、二軸押出し機にて235℃で溶融混練して、ストランド状に押し出した。ストランド状に押し出された樹脂組成物を水冷した後、カッティングしてペレットを得た。
得られたペレットに、温度70℃の除湿空気を5時間以上循環させて乾燥させた後、温度100℃の温度を保ったまま、一軸押出し機に投入した。一軸押出し機に投入されるペレットの水分量は120ppmであった。
得られたペレットを用いて、溶融流延にてフィルムを製造した。
具体的には、得られたペレットを、一軸押出し機にて235℃で溶融混練した後、Tダイから、表面温度が90℃である冷却ローラー上に押し出した。そして、冷却ローラー上に押し出された樹脂を、表面の金属層の厚さが2mmである弾性タッチローラーで押圧した後、二つの冷却ローラーでさらに冷却して、厚さ60μmのウェブを得た。
冷却固化したウェブを剥離ローラーで剥離した後、予熱ゾーン、延伸ゾーン、保持ゾーン、及び冷却ゾーンを有し、各ゾーン間にニュートラルゾーンをさらに有するテンター延伸機でTD方向に175℃、延伸倍率1.5倍延伸した。その後フィルム温度が30℃となるまで冷却し、テンター延伸機のクリップを外した。そして、フィルムの幅方向の両端部を切り落として、膜厚40μmの偏光板保護フィルムC12を得た。
作製した偏光板保護フィルムC1〜C12を用いて、実施例1と同様にして、偏光板及び液晶パネルを作製し、実施例1と同様にしてパネルの反り量を測定した。
偏光板保護フィルムの構成及び評価結果を表4に示す。
Figure 2015132661
本発明の偏光板保護フィルムC1〜C7は、膜厚を10〜60μmの範囲に変化させても、パネルの反り量が小さく優れていることが分かる。
また、偏光板保護フィルムC8〜C10の結果から、偏光板保護フィルム102の位置に用いた場合には、MD方向に延伸すると、偏光子の延伸方向と同じため偏光子の収縮抑制効果が大きくパネルの反りが良好になる傾向にある。
偏光板保護フィルムC12は溶融流延製膜であり、溶液流延製膜のC2に比較して、樹脂A及び樹脂Bの相分離の状態がやや粗となり樹脂の海島構造の島が大きいためか、パネルの反り量がやや大きい結果であった。
実施例5
実施例3で作製した偏光板保護フィルムB9、B13、B16及びB19を用いて、実施例2と同様にして、偏光板及び当該偏光板保護フィルムが、図2の偏光板保護フィルム105の位置となるように液晶表示パネルを作製し、パネルの反り量、リターデーション値、表示ムラ及び視認性:コントラストを評価し、結果を表5に示した。
Figure 2015132661
実施例2を再現し、本発明の偏光板保護フィルムB9、B19は、パネルの反り量の改善とともに、表示ムラ及びIPS型液晶表示装置に適したリターデーション値を有することから、視認性(コントラスト)向上の効果にも優れることが分かった。
1 溶解釜
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストック釜
5、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 紫外線吸収剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 加圧ダイ
31 金属支持体
32 ウェブ
33 剥離位置
34 テンター延伸装置
35 乾燥装置
41 仕込釜
42 ストック釜
43 ポンプ
44 濾過器
100 液晶表示装置
101A、101B 偏光板
101C 液晶セル
102 偏光板保護フィルム
103A、103B 紫外線硬化型接着剤
104 偏光子
105 偏光板保護フィルム
106 粘着層
107 液晶層
108A、108B ガラス基板
BL バックライト

Claims (12)

  1. 少なくとも、アクリル樹脂(樹脂A)とカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)とを含有することを特徴とする偏光板保護フィルム。
  2. 前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の重量平均分子量(Mw)が、10万〜100万の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
  3. さらに、可塑剤を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板保護フィルム。
  4. 前記アクリル樹脂(樹脂A)の質量組成比率を(rA)、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の質量組成比率を(rB)としたときに、(rA):(rB)=9:1〜1:9の範囲内で含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  5. 前記アクリル樹脂(樹脂A)の重量平均分子量(Mw)が、10万〜100万の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  6. 前記アクリル樹脂(樹脂A)のガラス転移温度をTga(℃)、前記カルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)のガラス転移温度をTgb(℃)としたときに、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
    式(1) 35℃≦Tga×(rA)+Tgb×(rB)≦99℃
    (式中、(rA)はアクリル樹脂(樹脂A)の質量組成比率、(rB)はカルボン酸ビニルエステル樹脂(樹脂B)の質量組成比率を表す。但し、(rA)+(rB)=1.0である。)
  7. 前記偏光板保護フィルムの膜厚が、10〜60μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
  8. 下式(i)により定義されるリターデーション値(Ro)が0〜70nmの範囲内にあり、下式(ii)により定義されるリターデーション値(Rt)が−40〜40nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
    式(i) Ro=(n−n)×d
    式(ii) Rt={(n+n)/2−n}×d
    (式中、nは、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nは、フィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nは、フィルムの厚さ方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを製造する偏光板保護フィルムの製造方法であって、少なくとも、前記アクリル樹脂と前記カルボン酸ビニルエステル樹脂と溶媒を含有するドープを金属支持体上に流延し、剥離したのち、乾燥させることを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
  10. 前記ドープを金属支持体上に流延し、剥離したのち、少なくとも長手方向又は幅手方向に延伸倍率として1.01〜10倍の範囲内で延伸することを特徴とする請求項9に記載の偏光板保護フィルムの製造方法。
  11. 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを、偏光子の少なくとも一方の面に具備することを特徴とする偏光板。
  12. 第1の偏光板と、液晶セルと、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に具備する液晶表示装置であって、
    前記第1の偏光板と第2の偏光板のいずれか、若しくは双方の偏光板の少なくとも1枚の偏光板保護フィルムが請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムであり、
    前記液晶セルは、液晶層と、前記液晶層を挟持する一対の基板とを備え、前記一対の基板の厚さが0.3〜0.7mmの範囲内のガラス基板であることを特徴とする液晶表示装置。
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