JP2010099946A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 端部のしわやキズ、横段等の欠点の少ない、平面性が良好な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】 予熱ロール、延伸ロールおよび搬送ロールをこの順に備えたロール延伸装置を用いて熱可塑性樹脂シートを一軸方向に延伸する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、周囲に断熱材を配置した輻射加熱源を用いて熱可塑性樹脂シートをそのガラス転移温度より高く加熱して一軸延伸した後、冷却オーブンによって熱可塑性樹脂フィルムをそのガラス転移点以下まで冷却する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関するものであり、更に詳しくは、長手方向に一軸ロール延伸する際に、端部のしわやキズ、横段等の欠点の少ない、平面性が良好な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂フィルムをガラス転移温度以上に加熱した後、ロール間の速度差を利用して縦方向に延伸する技術は従来から知られており、低速のロール群を通過することによりポリエステルフィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムをガラス転移温度以上の延伸温度まで加熱し、その後、ロール速度差を利用して縦方向に延伸する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、低速の加熱ロール群と高速の冷却ロール群を使用し、それらの材質に関して、フィルム上に発生する粘着やキズなどの表面欠点を低減するために、ロール表面材質やロール表面の粗さなどを規定することが提案されている(例えば特許文献1−2参照)。
さらに、キズなどの表面欠点を低減する方法として、高速ロール群の中でロール間に速度比を与え表面欠点を良好にする方法も提案されている(例えば特許文献3参照)。
また、低速ロール群の中のロール間の速度比については熱膨張率・体積膨張率をもとにしてフィルムの温度に応じてロール間の速度比を上げることが提案されている(例えば非特許文献1参照)。
しかしながら、たとえば光学部品に用いられるアクリル系熱可塑性樹脂フィルムは、その要求特性が近年高度化し、従来の方法では表面欠点や平面性および生産効率に対する要求を満たすことができなかった。
特開昭50−114476号公報(第1−4頁) 特公平3−56889号公報(第1−3頁) 特開2002−137287号公報(第1−4頁) 湯木和男編「飽和ポリエステルハンドブック」日刊工業新聞社、1989年12月22日、p233
本発明は、かかる問題点を解決し、端部のしわやキズ、横段等の欠点の少ない、平面性の良好な熱可塑性樹脂フィルムを製造するための方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下の構成を有している。
(1)予熱ロール、延伸ロールおよび搬送ロールをこの順に備えたロール延伸装置を用いて熱可塑性樹脂シートを一軸方向に延伸する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、周囲に断熱材を配置した輻射加熱源を用いて熱可塑性樹脂シートをそのガラス転移温度より高く加熱して一軸延伸した後、冷却オーブンによって熱可塑性樹脂フィルムをそのガラス転移点以下まで冷却する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(2)搬送ロールの温度を熱可塑性樹脂フィルムの[ガラス転移温度]〜[ガラス転移温度−10℃]の範囲とする、上記(1)に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(3)冷却オーブン内に空冷方式のエアノズルを熱可塑性樹脂フィルムを挟む上下にそれぞれ複数配置し、このエアノズルを用いて熱可塑性樹脂フィルムを冷却する、上記(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(4)熱可塑性樹脂が分子中に環状構造を有する高分子である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
(5)熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
本発明の方法によれば、端部のしわやキズ、横段等の欠点の少ない、平面性の良好な熱可塑性樹脂フィルムを製造することが可能となる。
本発明の適用が可能な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリカーボネート、および共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを共重合したポリエステルなどのポリエステル樹脂、その他、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などがある。
また、本発明は、位相差や厚みムラの制御が厳密に要求される光学用途フィルムに用いられる樹脂に好適に適用することができ、特に、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアクリル樹脂などの非晶性の樹脂を構成成分としているものの縦延伸に効果があり、さらに分子中に環状構造を有する高分子、例えば、環状ノルボルネン樹脂やシクロペンタン構造を含む樹脂なども好適に用いることができ、いわゆるアクリル系樹脂に特に好適に用いられる。
アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂やその他のポリメタクリル酸エステル樹脂およびそれらの派生物、また、グルタル酸無水物、グルタル酸イミド、マレイン酸無水物、ラクトン環、などの環状構造を有する共重合体などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂をフィルムに用いた場合には優れた透明性、耐候性、光学等方性ないしは位相差発現性を有する光学用途に適したフィルムを得ることができる。
本発明で適用可能な製膜法としては、コストや生産性の観点から溶融製膜法が好ましい。溶融製膜法は、用いるダイの形状によりストレートダイ法、クロスヘッドダイ法、フラットダイ法、特殊ダイ法に分類することができるが、本発明においてはフラットダイ法による製膜法を用いることが好ましい。溶融押出装置等により溶融した樹脂はギヤポンプで計量された後にダイに連続的に送られる。ダイはその内部での溶融樹脂の滞留が少ない設計であればよく、フラットダイ法では、一般的に用いられるマニホールドダイ、コートハンガーダイ、フィッシュテールダイの何れのタイプでもよい。ダイからシート状に押し出された溶融樹脂をドラムなどの冷却媒体上で冷却固化し、フィルムを得ることができる。フラットダイ法による溶融製膜では、押出温度、引き取り時の引き取り速度およびダイのリップ間隙を調整することにより、所定のフィルム厚みを得ることができる。
本発明における延伸の対象となる熱可塑性樹脂シートの厚みは目的に応じて適宜選択されるが、一般的には厚みが10〜200μmの範囲内であることが好ましい。シート厚みが10μm未満の場合には縦延伸した際に破断が生じ易くなるなど歩留まりを悪化させることがあり、200μmを超える場合には透明性が低下したり部材としての厚みが大きくなり過ぎたりする。また、熱可塑性樹脂シートの任意の方向における厚みムラはシート厚みの2.5%以下であることが好ましく、例えばシート厚みが80μmの場合は、厚みムラは2.0μm以下であることが望ましい。これは、厚みムラの形状・箇所によっては、縦延伸を行った際に厚みが薄い箇所が局所的に延伸されることでシワが発生し易くなるためである。
次に本発明を図1を用いて説明する。
図1はフィルム製造装置のロール延伸装置付近を示す概略断面図である。図1において、ロール延伸装置13は、熱可塑性樹脂シート9の進行方向(長手方向)の上流側から順に予熱ロール群(予熱ロール1、1’)、延伸ロール群(延伸ロール2、2’)、搬送ロール群(搬送ロール4、4’)が配置され、延伸ロール2、2’には熱可塑性樹脂シートをニップするためのニップロール3、3’が配置されている。また、断熱板(断熱材)6を周囲に配置した赤外線ヒーター5(輻射加熱源)が延伸ロール2、2’間の位置に配置されている。
口金から溶融押出され冷却ドラム等で冷却固化された熱可塑性樹脂シートは、まず予熱ロール群において延伸前に予熱された後、周速差や張力差が付与された延伸ロール2、2’間で延伸される。その際、熱可塑性樹脂シート9は赤外線ヒーター(IRヒーター)5により加熱され、その後、搬送ロール群により後の工程へ搬送され、熱可塑性樹脂フィルムとなる。
シートを熱風にて加熱するオーブン延伸方式に比べて上記のロール延伸方式は、シートに加熱体であるロールを直接接触させるために効率的な加熱が可能であり、設備のダウンサイジングや設備費用の面で非常に有利である。ロールの材質についてはステンレスや鉄製およびそれらにメッキ処理した金属製ロール、金属製の芯金にゴムを被覆したゴムロール、金属製の芯金にセラミックを被覆したセラミックロールなどが好適に用いられる。また加熱のために芯金を中空として内部に加熱されたスチームや熱水または熱媒を通して加熱する手法、あるいは内部に電熱線を施して加熱する手法、または電磁波にて誘導加熱で加熱する手法なども好適である。
なお、延伸を行うロール間では、図1に示すようにニップロールなどによってテンションカットを行うことが好ましい。
延伸を行うロール間にはシートを加熱するための輻射加熱源、例えばIRヒーターなどを設置する。すなわち、本発明で得られる熱可塑性樹脂フィルムを光学用途に適用する場合は無欠点性が要求されるため、実際に延伸過程が生じているときにロールに接触しているとフィルム表面にキズが発生してしまうことを防ぐ目的で、実際の延伸過程が非接触の輻射加熱源により加熱される箇所にて生じるようにする。
また、本発明では、輻射加熱のためのIRヒーターの周囲に断熱板などの断熱材を配置する。これは、断熱材にて囲われていない場合、IRヒーターが周囲の雰囲気によって冷却されIRヒーターの温度ムラがシート温度ムラを引き起こし、結果として位相差ムラや厚みムラやひいてはシート端部の著しいシワを引き起こしてしまうためであり、また近接するロールを加熱してしまうことでシート温度が該ロールにてガラス転移温度を超えてしまってこのロールにて延伸が開始されてしまい、そのためにロールに接触された状態での延伸となり周速差でキズが生じてしまうためであり、また近接したロールの温度が設定した温度に対して変化してしまい、結果として厚みムラや位相差ムラなど品質の均一性が図れないためである。
なお、IRヒーターは例えば図1に記載されるように、一対の延伸ロール(延伸ロール2と延伸ロール2’)の中間近傍に設置することが好ましく、また、断熱材についても、図1に示すように、IRヒーターからの輻射熱が延伸ロールやニップロールに到達しないように(防ぐように)設置することが好ましい。
また、断熱材の大きさはIRヒーターやニップロールの幅よりも長いもの(IRヒーターやニップロールなどをカバーできる大きさ)が好ましく、その材質としては、例えばグラスウールなど既存の材料を適宜用いることが可能である。
また本発明では、輻射加熱源を用いて熱可塑性樹脂シートをそのガラス転移温度より高く加熱して延伸した後に冷却オーブン12によって該シートをガラス転移点以下まで冷却する。すなわち、シートがガラス転移温度より高い温度のままで延伸後の搬送ロールに到達すると該ロールによりフィルムにキズが発生するためである。これに対して、冷却オーブンを使わない方法として、搬送ロール到達までの距離を長くする方法があるが、この場合には非常に長い空間が必要になり設備上のスペースが冗長になること、延伸の区間が長くなることでシート自体の重みによりシートが弛むこと、温度制御がされないために冷却にムラが起こり平面性不良を引き起こすこと、自然放冷のために製膜速度が上げられず生産性が落ちること、などの弊害がある。なお、冷却オーブンは、費用や設備的な簡便さから空冷方式のエアノズル11を備えていることが好ましい。このエアノズルは、熱可塑性樹脂フィルムを挟んだ上下にそれぞれ複数配置されていることが好ましい。エアノズルは冷却の目的から特に形状の制約はないが、冷却効率などから、スリット状、パンチング状などが用いられる。また搬送時のシートのバタツキやノズルへの接触を防ぐため、基本的に上下が同一風速、同一風量となることが好ましい。また冷却工程における温度の均一化を図るため、図1に示すように断熱材10で冷却オーブンの外周を被覆することが好ましい。エアノズルから吹き出すエアの性状については、フィルムへの受熱を目的とするため、湿度などは適宜選択できるが、好ましくは乾燥空気である。またエアノズルの方向(吹き出し方向)については、フィルムへの受熱を目的とするため、方向は問わないが、効率的な受熱のためにフィルム面に垂直な方向が好ましい。
上記のようにフィルムのキズ発生を抑えるため、予熱ロールの温度は熱可塑性樹脂のガラス転移温度以下とする。すなわち、延伸のためにはシートを加熱する必要があるが、予熱ロール群においてシートがガラス転移温度より高い温度になってしまえば、ロール上で実際の延伸過程が起きてしまい、キズが発生するためである。ただし、あまり低い温度ではロールによる効率的な予熱ができないことから、ある程度は高い温度とすべきである。このため、予熱ロールの温度は、好ましくは、[熱可塑性樹脂のガラス転移温度]〜[熱可塑性樹脂のガラス転移温度−20℃]の範囲、より好ましくは[熱可塑性樹脂のガラス転移温度−5℃]〜[熱可塑性樹脂のガラス転移温度−15℃]の範囲である。
また、本発明では、延伸ロールの直後に配置される搬送ロールの温度を、[熱可塑性樹脂のガラス転移温度]〜[熱可塑性樹脂のガラス転移温度−10℃]の範囲とすることが好ましい。すなわち、搬送ロールの温度がガラス転移温度よりも高い場合には、シートがまだ柔らかい状態にあるために、上記と同様にロール上で実際の延伸過程が生じてしまい、フィルムにキズ発生の可能性があるためである。また、該ロールの温度がガラス転移温度−10℃を下回る場合にはロール上での急激な収縮が起こりフィルムの平面性が著しく悪化して、それに伴うシワの発生やさらにはフィルムの破断を起こすためである。なお、搬送ロールの温度は、好ましくは[熱可塑性樹脂のガラス転移温度]〜[熱可塑性樹脂のガラス転移温度−5℃]の範囲である。
本発明において、延伸の倍率は、目的に応じて適宜選択されるが、一般に靱性や可撓性の向上の目的としては1.2倍以上、位相差発現性の目的には1.5倍〜4倍の範囲が選択される。
また、本発明の延伸の前に、シートの耳部分、すなわちシート両端の部分の厚みの異なる箇所をトリミングしてから延伸することが好ましい。
本発明において、延伸の速度は、目的や設備の大きさ、使用する熱可塑性樹脂の種類などから適宜選択されるが、一般に入口速度で1〜50m/minである。
上記した本発明の製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムは、位相差や厚みムラの制御が厳密に要求される光学用途フィルムに好適に適用することができ、具体的には、偏光子保護フィルムや位相差フィルムに好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。各実施例の記述に先立ち、実施例で採用した各種物性の測定方法を記載する。
(1)ガラス転移温度(Tg)
試料(フィルムまたはシート)を約5mgとり、示差走査熱量計(セイコー電子工業社製RDC220型)を用いて、窒素雰囲気下、25℃から200℃の範囲にて、20℃/分の昇温速度で測定し、1stRunの測定結果に基づき決定した。ガラス転移温度の求め方は、JIS−K−7121(1987)の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に従い、測定チャートの各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。なお、複数の階段状変化部分がある場合は、測定範囲の内で低い方の値を採用する。
(2)フィルムまたはシートの厚み
デジタルマイクロメータMDC−25MJ(Mitsutoyo製)を用いてフィルムまたはシートの幅方向10点の厚みを測定し、その平均値をシート厚みとした(小数点以下は四捨五入)。
(3)フィルムまたはシートの厚みムラ
フィルムまたはシートを長手方向および幅方向についてそれぞれ50mmの幅で切り出し、アンリツ株式会社製「フィルムシネックス」にて測定圧0.15gの荷重にて1.5m/minの速度にて走行させながら厚みを連続的に測定し、長さ1mの範囲においてその厚みチャートから最大値と最小値の差として求めた。
(4)フィルムの平面性
表面の凹凸のRが0.5mm以内のステンレス板に“エクセーヌ”(商品名)を敷き水平面とする。この上にフィルムをおき、フィルムが水平面から浮き上がった部分の面積から以下の基準で平面性を判定した。
○:浮き上がった部分の面積が、元のフィルムの20%未満
△:浮き上がった部分の面積が、元のフィルムの20%以上で60%以下
×:浮き上がった部分の面積が、元のフィルムの60%より多い
(5)フィルムのキズの測定
延伸後のフィルムを蛍光灯下で目視観察して個数をカウントし、1m当たりの個数に換算した。
(グルタル酸無水物単位を含有するアクリル系樹脂共重合体(A−1)の製造)
容量が20リットルで、バッフルおよびファウドラ型攪拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、懸濁剤としてアクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体(質量比20/80、特公昭45−24151号公報実施例1記載)0.05質量部をイオン交換水165質量部に溶解した溶液を400rpmで攪拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、下記混合物質の反応系を攪拌しながら添加し、60℃に昇温し懸濁重合を開始した。
メタクリル酸 20質量部
メタクリル酸メチル 80質量部
t−ドデシルメルカプタン(連鎖移動剤) 0.3質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤) 0.4質量部
15分かけて反応温度を65℃まで昇温したのち、50分かけて100℃まで昇温した。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行ない、ビーズ状のビニル系共重合体(原重合体(A−1−0))を得た。
このビーズ状ビニル系共重合体(A−1−0)を、スクリュー径30mm、L/Dが25のベント付き同方向回転2軸押出機(池貝鉄工製 PCM−30)のホッパー口より供給して、樹脂温度250℃、スクリュー回転数100rpmで溶融押出し、ペレット状のグルタル酸無水物単位を含有する共重合体(A−1)を得た。
(実施例1〜8)
上記熱可塑性樹脂組成物(A−1)を一軸押出機を使用して260℃で押し出してギヤポンプにより吐出量を一定とした後金属繊維焼結タイプの7μmカットフィルター(濾過精度95%カットで7μm)を用いて濾過し、リップ間隙0.6mmで幅1,770mmのフラットダイ(設定温度260℃)を介してシート状に吐出させてシート化した。なおネッキングの影響で1,680mm幅の耳付き(エッジ付き)シートであり、シート両端の耳部分のそれぞれ175mmずつをシャー刃にて切断・除去しながら6インチ径の樹脂製コアに巻き取り、厚み80μmのシートを得た。
次に、図1に記載されるようなロール延伸装置を用い、上記シートを、φ250mmのステンレス製ロール5本からなる予熱ロール部、ゴム硬度70度のφ250mmのシリコーンゴムを被覆したニップロールを備えたφ300mmのステンレスロールの一対からなりその間にIRヒーター(4.2kW、230V、フィルムまでの距離が20mmとなるように設置)を備えたロール間の距離を800mmとした延伸ロール部、およびφ250mmのステンレス製ロール5本からなる延伸後の搬送ロール部からなるロール延伸装置にて延伸を行った。なお、一対の延伸ロールおよびニップロールがIRヒーターの輻射熱の影響を受けないように断熱材にて遮蔽した。具体的には、IRヒーターのフィルム側以外の周囲3ヶ所、および一対のニップロールのIRヒーター側に断熱材を設置した。断熱材はガラスウール製(ニチアス社製)を用い、IRヒーターは透明石英ガラス製の中波長赤外線ラジエーターを使用した。断熱材の大きさに関しては、IRヒーターおよびニップロールの幅よりも長いものを使用した。また冷却オーブンとしては、全体を断熱材で遮蔽し、スリット間隙5mm、ノズル間隔50mm、スリットとフィルムまでの距離が30mmであるノズルを上下各3本づつ備えた構成とし、風速20m/sで温度100℃の熱風にて冷却を行った。延伸倍率、各ロール温度、速度およびフィルムの結果を表1、2に示す。なお、IRヒーターの出力は、出力4.2kWに対するON率(定格4.2kW=100%として)である。またフィルムの温度については、IRヒーター通過から5mmの位置および冷却オーブン通過から5mmの位置を放射温度計にて測定したところ、IRヒーター通過後は少なくとも表1に記載のガラス転移温度より高く、冷却オーブン通過後は少なくとも表1に記載のガラス転移温度以下であることを各実施例について確認した。
(実施例9〜11)
実施例1、3、4において、熱可塑性樹脂としてポリプラスチックス社製環状ポリオレフィン共重合ポリマー“TOPAS”(タイプ:6013)を用いること以外はそれぞれ実施例1、3、4と同様にしてフィルムを得た(実施例9は実施例1に、実施例10が実施例3に、実施例11が実施例4にそれぞれ対応)。また、フィルム温度についても、実施例1〜8と同様に確認し、IRヒーター通過後は少なくとも表1に記載のガラス転移温度より高く、冷却オーブン通過後は少なくとも表1に記載のガラス転移温度以下であることを各実施例について確認した。
(比較例1)
延伸ロール近傍にIRヒーターからの輻射熱を遮断する断熱材を用いないこと以外は実施例1と同様にして縦延伸を実施した。得られたフィルムの結果を表1、2に示す。
(比較例2〜6)
延伸倍率、各ロール温度を変える以外は実施例1と同様にして縦延伸した。得られたフィルムの結果を表1、2に示す。比較例3は、開始から30分後には、IRヒーターの輻射熱により延伸ロール部の温度が変化し、フィルムのキズが発生(600個/m)となった。比較例1、2、4〜6について、フィルム温度を実施例1〜8と同様に確認したところ、冷却オーブン通過後は少なくとも表1に記載のガラス転移温度より高いことを確認した。また比較例3については、開始から30分後に延伸ロール部のフィルム温度を放射温度計にて測定したところ、少なくとも表1に記載のガラス転移温度より高いことを確認した。
Figure 2010099946
Figure 2010099946
上記の実施例、比較例より以下のことが明らかである。
すなわち、本発明の製造方法により得られる熱可塑性樹脂フィルムは平面性が良好で経時での品質ムラが少なくかつキズなどの欠点が少なく厚みムラが小さな良好なフィルムを得ることができる。
本発明の一実施態様に係るロール延伸装置の概略断面図である。
符号の説明
1 予熱ロール
1’ 予熱ロール
2 延伸ロール
2’ 延伸ロール
3 ニップロール
3’ ニップロール
4 搬送ロール
4’ 搬送ロール
5 IRヒーター(輻射加熱源)
6 断熱板(断熱材)
7 断熱板(断熱材)
8 断熱板(断熱材)
9 熱可塑性樹脂シート
10 断熱材
11 エアノズル
12 冷却オーブン
13 ロール延伸装置

Claims (5)

  1. 予熱ロール、延伸ロールおよび搬送ロールをこの順に備えたロール延伸装置を用いて熱可塑性樹脂シートを一軸方向に延伸する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、周囲に断熱材を配置した輻射加熱源を用いて熱可塑性樹脂シートをそのガラス転移温度より高く加熱して一軸延伸した後、冷却オーブンによって熱可塑性樹脂フィルムをそのガラス転移点以下まで冷却する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  2. 搬送ロールの温度を熱可塑性樹脂フィルムの[ガラス転移温度]〜[ガラス転移温度−10℃]の範囲とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  3. 冷却オーブン内に空冷方式のエアノズルを熱可塑性樹脂フィルムを挟む上下にそれぞれ複数配置し、このエアノズルを用いて熱可塑性樹脂フィルムを冷却する、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  4. 熱可塑性樹脂が分子中に環状構造を有する高分子である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  5. 熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
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