JP4239112B1 - 二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率とそれに90度の角度をなす方向の屈折率との差異Δnabが0.015以上0.060以下であるポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムであって、フィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向とそれに90度の角度をなす方向との2方向の熱収縮応力値の差が160℃において0.5MPa以下であり、長手方向の熱収縮率(HS150)の差が0.1%以下である。
【選択図】なし
Description
(1)フィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向とそれに90度の角度をなす方向との2方向の熱収縮応力値の差が160℃において0.5MPa以下であること
(2)フィルムの幅方向の長さが70cm以上のフィルムについて、フィルム幅方向に均等に5分割し、各5分割したフィルムの幅方向における中央部より切り出した5つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求めたときに、それらのHS150の最大値と最小値の差が0.1%以下であること
(3)前記5つの試料のHS150が、いずれも0.7%以上2.0%以下であること
(4)フィルムの巻取方向の厚み変動率が7%以下であること
(5)フィルムの厚みが25μm以上60μm未満であること
(6)搬送張力4000kPa、温度170℃で13秒間通過させたフィルムにおいて下記方法により測定したシワの本数が6本/m以下であること
(測定方法)
光源を巻取方向に連続した波板状のシワの数を計数する面から1m離して45度上方からフィルム表面に投影させ、シワを計数する面から0.5m離れて45度下方からシワの数を目視によって計数して評価した。
また、第2の発明は、前記の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを製造するための製造方法であって、押出機から原料樹脂を溶融押し出しすることにより未未延伸シートを形成するフィルム化工程と、そのフィルム化工程で得られる未延伸シートを縦方向および横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程とを含んでおり、その横延伸工程が、下記要件(7)〜(11)を満たし、熱固定工程が下記要件(12)〜(14)を満たすことを特徴とするものである。
(7)横延伸工程において、連続する温度区分域の設定温度の差が、横延伸の前半部分(延伸倍率が1.8倍を含む温度区分領域まで)では5℃以上30℃以下であること
(8)横延伸工程における延伸において1.8倍を通過する温度域が100℃以上160℃未満であること
(9)横延伸工程において、連続する温度区分域の温度設定の差が、横延伸の前半部分(延伸倍率が1.8倍を含む温度区分領域まで)と次の後半部分の最初の温度区分領域の間では5℃以上40℃以下であること
(10)横延伸工程において、連続する温度区分域の温度設定の差が、横延伸の後半部分(延伸倍率が1.8倍を含む温度区分領域の次の温度区分領域から最終延伸倍率まで)では5℃以上30℃以下であること
(11)横延伸工程における延伸において最終延伸倍率に到達する温度域が160℃以上220℃未満であること
(12)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
(13)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
(14)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること
また、第3の発明の構成は、前記の発明において、熱固定装置が、複数の熱固定ゾーンに分割されているとともに、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように設定されていることにある。
PETの粉砕試料を乾燥後、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて、30℃で0.4(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、Hugginsの定数が0.38であると仮定して算出する。なお、極限粘度は[η]とも表される。
原料を粉砕した後、ベンジルアルコールに溶解し、クロロホルムを加えてから水酸化ナトリウム溶液で中和滴定し、PET1t当たりの水酸化ナトリウムの当量を算出する。
位相差顕微鏡およびCCDカメラを用いて、溶融させた原料チップの拡大画像を撮影し、画像処理装置を用いて異物数を計数する。
二軸配向ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの製造時において、テンター内に幅方向に延伸する時にフィルム幅方向の物性の均一性が乱れる現象が生じることが知られている。この現象が生じるために、得られる二軸配向フィルムは、フィルム幅方向の中央部から離れるほどΔnab(巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率と巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向の屈折率との差異(絶対値))が大きくなる。ここで、本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムはΔnabが全ての領域において0.015以上0.060以下であるものに限定される。Δnabの下限は0.015であるが、より好ましくは0.020、さらに好ましくは0.030である。Δnabが0.015を下回るフィルムは、上記した「歪み(すなわち、幅方向における物性差)」の問題が生じない。一方、Δnabの上限は0.060であるが、より好ましくは0.055、さらに好ましくは0.050である。Δnabが0.060を上回るフィルムは歪が著しく、本発明の要件を満たすように熱収縮応力差等を調整することが困難である。
また、本発明のフィルムは、フィルムの巻取方向に沿って長さ30m×幅3cmの帯状のフィルム試料を採取し、そのフィルム試料の巻取方向の厚み斑を測定したときに、フィルム試料の巻取方向の厚み変動率、すなわち厚み斑が、いずれも4%以上7%以下の範囲内にあることが必要である。厚み変動率は、6%以下が好ましく、5.5%以下がさらに好ましい。厚み変動率は小さいほど好ましいが、製造上の制約から4%が下限と考える。なお、フィルムの巻取方向の厚み変動率が上記範囲のフィルムを得るための好ましい製膜方法については後述する。
フィルムは加温により寸法変化が生じる。後加工の流れ作業でフィルムを高温(80〜180℃)で処理する場合、長手方向に張力が掛かった状態でフィルムには熱収縮応力が発生する。この熱収縮応力の大きさに異方性がある場合は、フィルムにシワやタルミが生じる要因となる。本発明のフィルムは、フィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向とそれに90度の角度をなす方向との2方向の熱収縮応力値の差が160℃において0.5MPa以下、好ましくは0.4MPa以下であることを特徴とする。上記熱収縮応力差が0.5MPa以下である場合は、後加工での昇温過程でもフィルムの平面性が保持され、シワやタルミが生じにくく、良好な加工性が得られる。
(1)フィルムから巻取方向と45度の角度をなす方向とそれに90度の角度をなす方向の2方向にそってフィルム試料(例えば、サンプル幅4mm、サンプル長15mm)を切り出す。
(2)熱機械分析装置(例えば、セイコー電子工業製、TMA/SS100)を用い、初期加重初期荷重19.6mNの条件下でセットする。初期荷重をゼロ補正し、30℃から230℃までの範囲を5℃/分で昇温していき、一連の昇温過程においてチャック間距離を一定に保った状態でフィルム収縮に伴って発生する応力を計測する。
(3)上記、昇温過程における160℃点での熱収縮応力値を測定し、巻取方向と45度方向での熱収縮応力値と、巻取方向と130度方向での熱収縮応力値との差の絶対値を算出した。
また、本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、後述する方法により試料切り出し部を設定した場合に、各切り出し部から切り出した5つのフィルム試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらの最大値と最小値の差が0.1%以下であることが必要である。
(1)上記Δnabが0.015以上0.060以下である幅方向の長さが70cm以上のフィルムを均等に5分割する。
(2)各分割した5つのフィルムのそれぞれについて幅方向の中央部に切り出し部を設ける。
(3)各切り出し部からフィルム巻き取り方向にそって、幅20mm、長さ250mmの試料フィルムを切り出し5つのフィルム試料を切り出す。
<従来の延伸方法の問題点>
未延伸フィルムは、上記の如くシート状の溶融樹脂を金属冷却ロールに巻き付けることによって形成される。その際に、金属冷却ロール形状の不均一性、溶融樹脂の吐出量の変動等の要因によって、未延伸フィルムには少なからず厚み斑が形成されてしまう。かかる厚み斑を低減するために従来から様々な試みがなされているが、未延伸フィルムの厚み斑を完全になくすことは、現状では不可能である。したがって、最終的に厚み斑の良好なフィルムを得るためには、未延伸フィルムにおける厚み斑を延伸工程において如何にして増幅させないか、が大きなポイントとなる。
縦延伸工程を経たフィルムは次いでテンター内で横延伸処理がなされる。テンター内は(イ)縦延伸を施されたフィルムを横方向に延伸する為にフィルムを延伸に適した温度まで昇温する予熱部分と、(ロ)昇温されたフィルムを横方向に延伸する延伸部分、(ハ)引き続き縦及び横延伸による歪を低減する熱処理を施す熱固定処理部分、(ニ)横方向の歪を更に低減する緩和処理部分、(ホ)最後に熱の掛かったフィルムをガラス転移点(Tg)以下に冷却する冷却部分、に区分できる。テンター側部には、チェーンにつながれたクリップを走行させるレールが設置されており、フィルムはクリップに保持された状態でテンター内を走行する。
(ロ)の延伸部分ではフィルムを横方向に延伸する為に、フィルム全体の長手方向の進行に対してクリップチェーンは斜め方向に向かってフィルム幅方向に拡がるように設置される。端部をクリップで保持されたフィルムは進行に伴い、幅方向に引っ張られて横方向の延伸が施される。フィルムの延伸倍率はクリップチェーンの走行レールの拡がりの程度(角度と距離)に応じて決定される。
(ハ)の熱固定部分ではフィルムが縦方向及び、横方向に延伸された際に生じた歪を低減する為に、フィルムに高温の熱を掛け、歪を除去している。この部分の温度により主として縦方向の熱収縮率の大きさが決定される。
(ニ)の緩和処理部分は横方向の歪を更に低減する為に、クリップチェーンの走行レール幅を幅方向に縮めるなどの処理により、幅方向の歪を除去している。この処理の程度(温度及び緩和率)に応じて主として横方向の熱収縮率は決まる。
(ホ)の冷却部分ではフィルムをTg以下に冷却し、(ハ)、(ニ)の歪を低減した状態でフィルムを室温付近で取り出す様に冷却している。
横延伸工程において、テンター内は通常、複数の温度区分域が設けられているが、本発明のフィルムを得るためには、連続する各温度区分域の設定温度差を延伸の前半部分(延伸倍率が1.8倍を含む温度区分領域まで)までは5℃以上30℃以下とし、後半部分(延伸倍率が1.8倍を含む温度区分領域の次の温度区分領域から最終延伸倍率まで)は5℃以上30℃以下とする必要がある。一方、1.8倍を含む温度区分領域と次の温度区分領域での温度差は5℃以上40℃以下とするのが好ましい。
横延伸工程の初期の部分ではフィルムの温度は予熱部分で昇温された後、横延伸工程の延伸前半では、フィルムの引っ張り特性のS−Sカーブの延伸応力増大域で延伸が行なわれる。本発明のフィルムを得るためには、横延伸工程の前半部分の温度域を100℃以上160℃未満とし、比較的低温で横延伸を行うことが好ましい。設定温度を100℃未満とすると、フィルムが破断し易くなり、好ましくない。また、設定温度を160℃以上とすると、延伸条件が「S−S曲線におけるプラトーな領域に相当する歪み量を与えるような延伸」に相当するだけでなく、予熱部分との温度の差異が大きくなり、テンター内の温度バランスが不安定となり、厚み斑が生じ易くなり好ましくない。なお、後述のごとく、延伸前半から後半に掛けて温度は高める方向で設定することが望ましい。しかしながら、延伸前半で複数の温度区分域による段階的な温度設定を設けることが困難な場合には、延伸前半と後述する延伸後半の領域間で、目的の効果を得る為に温度差を調整しても良い。
本発明のフィルムを得るためには、横延伸工程の最終到達部をの温度域を160℃以上220℃未満とし、比較的高温に設定することが好ましい。高温に設定することで前述の熱収縮応力値の差異が小さくなり、高温加工におけるシワの発生を抑えることができる。
通常、延伸後のフィルムの熱固定処理は、長尺状の熱風吹き出し口を有する複数本のプレナムダクトを長手方向に垂直に配置した熱固定装置内で実施される。このような熱固定装置では、加熱効率を良くするために、「熱風の循環」が行われる。熱固定装置に設置された循環ファンにより熱固定装置内の空気を吸引し、その吸引した空気を温調して、再度、プレナムダクトの熱風吹き出し口から排出される。このようにして、「熱風の吹き出し→循環ファンによる吸引→吸引した空気の温調→熱風の吹き出し」の「熱風循環」が行われる。
(1)熱固定装置におけるプレナムダクトの温度・風量の調節
(2)熱固定装置におけるプレナムダクトの熱風吹き出し口の遮断条件の調整
(3)延伸ゾーンと熱固定装置との間における加熱の遮断
以下、上記した各手段について順次説明する。
熱固定工程では加温・冷却を段階的に行うために、一般に、熱固定装置は温度の異なるいくつかの区分(熱固定ゾーン)に分かれている。本発明のフィルムの製造においては、熱固定装置の隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように、各プレナムダクトから吹き出される熱風の温度、風量を調節することが不可欠である。たとえば、熱固定装置が第1〜3の熱固定ゾーンに分割されている場合には、第1ゾーン−第2ゾーン間における温度差と風速差との積、第2ゾーン−第3ゾーン間における温度差と風速差との積のいずれもが、250℃・m/s以下となるように調節される。このように、熱風の温度、風量を調節することによって、「熱風の循環」がスムーズになる。後述する不連続な遮蔽板を熱風吹き出し口に取り付る方法と組み合わせると、「温度のハンチング現象」が効果的に抑制される。これにより初めて、後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の平面性が良好な長尺のフィルムを得ることが可能となる。
本発明のフィルムの製造においては、複数のプレナムダクトに跨る大きな遮蔽板を取り付けるのではなく、図3に示すように、個々のプレナムダクト3,3・・の熱風吹き出し口(ノズル)2,2・・を一つずつ遮蔽するように棒状の遮蔽板S,S・・を取り付ける必要がある。このような不連続な遮蔽板を用いることで、「熱風の循環」がスムーズに行われる。また、同一の長さの遮蔽板を各プレナムダクトに取り付けるのではなく、熱固定装置の入口から出口(フィルムの通過方向)にかけて遮蔽板の長さを次第に長くするのが好ましい(図5参照)。このように、長さを調整することで、フィルム端縁部に曝される熱風温度が調整され、フィルム端縁部の歪みの解消が促される。なお、遮蔽板の材質は、熱固定装置の温度に耐えることができ、かつ、フィルムを汚したり、フィルムを粘着させたりしないものであればよいが、熱膨張の点からプレナムダクトと同一の材料を用いるのが好ましい。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、通常、縦−横延伸された後に、熱固定処理される。本発明のフィルムの製造においては、縦−横延伸されるゾーンと熱固定処理される熱固定装置との間に、積極的な熱風の吹き付けを行わない中間ゾーンを設置することが望ましい。これにより、延伸ゾーンと熱固定装置との間で、完全に加熱の遮断が行われる。より具体的には、延伸ゾーンおよび熱固定装置をフィルム製造時と同一条件にした状態で、延伸ゾーンと熱固定装置との間に短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンおよび熱固定装置の熱風を遮断するのが好ましい。なお、そのような中間ゾーンは、ハウジングによって囲われていても良いし、連続的に製造されるフィルムが露出するように設けられていても良い。かかる中間ゾーンにおける熱風の遮断が十分になされると、熱固定装置中における遮蔽板による遮蔽効果が発揮され、後加工時における良好なフィルムの平面性が得られるようになり好ましい。本発明での横延伸温度では中間ゾーンが無くても良い。
得られたフィルムのフィルム巻取方向に平行な両端縁から50mm以内の位置および中央の位置からそれぞれフィルム試験片を採取した。フィルム試験片を23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に、アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、フィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率(na)、および、巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向(すなわち、上記した45度の方向と90度の角度をなす方向)の屈折率(nb)をそれぞれ測定した。そして、それらの2つの屈折率の差異の絶対値をΔnabとして算出した。これら2つの屈折率の差異の絶対値をΔnabとし、Δnab=│na―nb│により算出した。フィルムロールの両端縁部および中央部のΔnabがいずれも0.015以上0.060以下であることを確認し、最も大きい値を表中のΔnabとした。なお、本発明においてフィルムの巻取り方向は、フィルムの長手方向もしくは縦方向ともいう。
フィルムの巻取方向に沿ってフィルム長さ30m×幅30mmの長尺なロール状にサンプリングし、ミクロン測定器株式会社製の連続接触式厚み計を用いて、5m/分の速度でフィルム試料の長手方向に沿って連続的に厚みを測定する(測定長さは30m)。そして、測定時の最大厚みをTmax、最小厚みをTmin、平均厚みをTaveとし、下式1からフィルムの巻取方向の厚み変動率を算出する。
厚み変動率={(Tmax−Tmin)/Tave}×100(%) ...式1
まず、測定用試料として、フィルムの巻取方向に対し45度と135度における直角2方向にそってフィルム試料を準備した。次いで、TMA(セイコー電子工業製、TMA/SS100)に、サンプル幅4mm、サンプル長15mmのフィルム試料片を初期荷重19.6mNの条件下でセットした。初期荷重をゼロ補正し、30℃から230℃までの範囲を5℃/分で昇温していき、チャック間距離を一定に保った状態でフィルム収縮に伴って発生する応力を計測し、160℃における熱収縮応力における熱収縮応力値(MPa)を測定した。巻取方向と45度方向での熱収縮応力をσa、巻取方向と135度方向での熱収縮応力をσbとし、その2方向の熱収縮応力の差の絶対値をΔσとした。
Δnabが0.015以上0.060以下である幅方向の長さが70cm以上のフィルムを均等に5分割する。各分割した5つのフィルムのそれぞれについて幅方向の中央部に切り出し部を設ける。各切り出し部からフィルム巻き取り方向にそって、幅20mm、長さ250mmの試料フィルムを切り出し5つのフィルム試料を切り出す。各試料切り出し部から切り出された各試料フィルムに、サンプル幅20mmで測定する方向に200mmの標線を入れ、150℃に調節した加熱オーブンに入れ、JIS C−2318に準拠して、熱収縮率の測定を実施した。
ロール状フィルムを用い、コータで下方及び上方の空気流吹き出し口の間隔が38cmの空気浮上搬送式乾燥装置を用いて、搬送張力4000kPa、温度170℃で13秒間通過させ、後加工処理のモデルフィルムを得た。後加工処理後に50℃の冷却ロールを用いてフィルムを20℃/秒の速度で冷却した後、ロール状に巻き取った。モデルフィルムの平面性は、以下に示す方法により、走行方向に連続した波板状のシワの数を観察することで評価した。すなわち、温度25℃、湿度65%の室内に、100cm幅の加工モデルフィルムをフィルム巻取方向が鉛直になるようにつるし、10N/mの荷重をかけ、30分間静置した。後加工処理後の工程中において、光源(蛍光灯、松下電工社製)を巻取方向に連続した波板状のシワの数を計数する面から1m離して45度上方からフィルム表面に投影させ、シワを計数する面から0.5m離れて45度下方からシワの数を目視によって計数して評価した。シワは、観察する面に対して凸状となるシワを1本のシワとし、フィルム幅方向のシワの数を計数した。
判定
○;シワの評価でシワの本数が10本/m以下でタルミの無いもの
×;シワの評価でシワの本数が11本/m以上かタルミの有るもの
添加剤としてシリカ粒子を0.03質量%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を水分率が50ppm以下となる様に乾燥した後、押出機直上のホッパ内に仕込み押出機内で285℃の温度で樹脂を溶融し、溶融した樹脂をステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm以上の粒子を90%カット)により濾過した。次いで、T型ダイスから樹脂シートを押し出し、静電印加キャスト法を用い、表面温度が30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化さることによって、厚さ425μmの未延伸シートを得た。
上記熱固定処理は、図5の如き構造を有する熱固定装置にて行った。熱固定装置は第1〜4ゾーンという4個の熱固定ゾーンに区切られており、第1〜3ゾーンには、それぞれ、8個ずつのプレナムダクトa〜xが設けられており、第4ゾーンにも、8個のプレナムダクトが設けられている。各プレナムダクトは、フィルムの進行方向に対して垂直となるように、フィルムの進行方向に対して400mm間隔で上下に設置されている。そして、それらのプレナムダクトの熱風吹き出し口(ノズル)から延伸されたフィルムに熱風が吹き付けられるようになっている。
「I条件」とする。
押出機による押出量を増加させて、未延伸フィルムの幅を増加させるとともに、キャスティングドラムに巻き付ける速度を変更し、未延伸シートの厚みを345μmとし、実施例1と同様にして縦延伸を実施した。そして、横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更して、厚みが約25μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
キャスティングドラムに巻き付ける速度を変更し、未延伸シートの厚みを165μmとするとともに縦延伸倍率の倍率を3.6倍に変更した以外は実施例2と同様に縦延伸を実施した。そして、横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更し二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
キャスティングドラムに巻き付ける速度を変更し、未延伸シートの厚みを670μmとし、表1の様にして縦延伸を実施した。そして、横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして、厚みが約50μmの二軸延伸フィルフィルムを得た。評価結果を表4に示す。
実施例1と同様に得た縦延伸フィルムを横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更した以外は実施例2と同様にして二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
実施例2と同様に得た縦延伸フィルムを横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして厚みが約25μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
参考例3と同様に得た縦延伸フィルムを横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして厚みが約12μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
実施例4と同様に得た縦延伸フィルムを横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして厚みが約50μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
実施例1と同様に得た縦延伸フィルムを横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして厚みが約31μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
参考例3と同様に得た縦延伸フィルムを横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして厚みが約12μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
実施例4と同様に得た縦延伸フィルムを横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして厚みが約50μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
実施例1と同様に得た縦延伸フィルムを横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして厚みが約31μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
実施例1と同様に得た縦延伸フィルムを横延伸の予熱・延伸温度を表1の様に変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして厚みが約31μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
実施例1と同様にして得られた縦延伸シートを、表1の様に横延伸の予熱・延伸温度を変更し、熱固定条件を表2,3の様に変更した。そして厚みが約31μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
実施例2と同様に得た縦延伸フィルムを表1の様に変更した以外は参考比較例1の様に厚みが約25μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
S:遮蔽板
A:フィルムの巻き取り方向
Z1:第1ゾーン
Z2:第2ゾーン
Z3:第3ゾーン
Z4:第4ゾーン
N1,N2,N3:中間ゾーン
HS:熱固定ゾーン
1:熱固定装置
2:熱風吹き出し口
3,a〜x:プレナムダクト
Claims (3)
- 縦方向および横方向に二軸延伸して得られた、フィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率とそれに90度の角度をなす方向の屈折率との差異Δnabが0.015以上0.060以下である二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムであって、下記要件(1)〜(6)を満たすことを特徴とする二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム。
(1)フィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向とそれに90度の角度をなす方向との2方向の熱収縮応力値の差が160℃において0.5MPa以下であること
(2)フィルムの幅方向の長さが70cm以上のフィルムについて、フィルム幅方向に均等に5分割し、各5分割したフィルムの幅方向における中央部より切り出した5つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求めたときに、それらのHS150の最大値と最小値の差が0.1%以下であること
(3)前記5つの試料のHS150が、いずれも0.7%以上2.0%以下であること
(4)フィルムの巻取方向の厚み変動率が7%以下であること
(5)フィルムの厚みが25μm以上60μm未満であること
(6)搬送張力4000kPa、温度170℃で13秒間通過させたフィルムにおいて下記方法により測定したシワの本数が6本/m以下であること
(測定方法)
光源を巻取方向に連続した波板状のシワの数を計数する面から1m離して45度上方からフィルム表面に投影させ、シワを計数する面から0.5m離れて45度下方からシワの数を目視によって計数して評価した。 - 請求項1に記載された二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを製造するための製造方法であって、押出機から原料樹脂を溶融押し出しすることにより未延伸シートを形成するフィルム化工程と、そのフィルム化工程で得られる未延伸シートを縦方向および横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程とを含んでおり、その横延伸工程が、下記要件(7)〜(11)を満たし、熱固定工程が下記要件(12)〜(14)を満たすことを特徴とする二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
(7)横延伸工程において、連続する温度区分域の設定温度の差が、横延伸の前半部分(延伸倍率が1.8倍を含む温度区分領域まで)では5℃以上30℃以下であること
(8)横延伸工程における延伸において1.8倍を通過する温度域が100℃以上160℃未満であること
(9)横延伸工程において、連続する温度区分域の温度設定の差が、横延伸の前半部分(延伸倍率が1.8倍を含む温度区分領域まで)と次の後半部分の最初の温度区分領域の間では5℃以上40℃以下であること
(10)横延伸工程において、連続する温度区分域の温度設定の差が、横延伸の後半部分(延伸倍率が1.8倍を含む温度区分領域の次の温度区分領域から最終延伸倍率まで)では5℃以上30℃以下であること
(11)横延伸工程における延伸において最終延伸倍率に到達する温度域が160℃以上220℃未満であること
(12)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
(13)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
(14)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること - 熱固定装置が、複数の熱固定ゾーンに分割されているとともに、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法。
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