JP5332224B2 - ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロール、およびその製造方法 - Google Patents
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Description
フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設け、それらの最初と最終の切り出し部との間を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けることによって、合計10個の試料切り出し部を設けたとき、下記要件(1)または(2)を満たすことを特徴とする。
(1)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルムの巻取方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらのHS150の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.1%以下であること
(2)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS150を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS150が、いずれも0.0%以上0.5%未満であること
フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設け、それらの最初と最終の切り出し部との間を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けることによって、合計10個の試料切り出し部を設けたとき、下記要件(3)および(4)を満たすことを特徴とする。
(3)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、180℃で30分間加熱したときのフィルム巻取方向の熱収縮率であるHS180を求め、それらのHS180の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.15%以下であること
(4)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS180を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS180が、いずれも0.7%以上1.5%未満であること
(5)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
(6)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
(7)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること
(8)各熱固定ゾーン内でのプレナムダクトの風速を一定にすること
PETの粉砕試料を乾燥後、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて、30℃で0.4(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、Hugginsの定数が0.38であると仮定して算出する。なお、極限粘度は[η]とも表される。
原料を粉砕した後、ベンジルアルコールに溶解し、クロロホルムを加えてから水酸化ナトリウム溶液で中和滴定し、PET1t当たりの水酸化ナトリウムの当量を算出する。
位相差顕微鏡およびCCDカメラを用いて、溶融させた原料チップの拡大画像を撮影し、画像処理装置を用いて異物数を計数する。
(1)フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設ける。
(2)巻き取ったフィルムの長さを9で除した値(以下、「切り出し部間隔」という)を算出する。
(3)フィルムの巻き終わりから各「切り出し部間隔」の前後10m以内の位置に試料切り出し部を設ける。
(4)フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設ける。
最終的に得られたフィルム特性が本発明の要件を満足するものであれば良い。
(1)熱固定装置におけるプレナムダクトの温度・風量の調節
(2)熱固定装置におけるプレナムダクトの熱風吹き出し口の遮断条件の調整
(3)延伸ゾーンと熱固定装置との間における加熱の遮断
以下、上記した各手段について順次説明する。
熱固定工程では加温・冷却を段階的に行うために、一般に、熱固定装置は温度の異なるいくつかの区分(熱固定ゾーン)に分かれている。本発明のフィルムロールの製造においては、熱固定装置の隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように、各プレナムダクトから吹き出される熱風の温度、風量を調節することが不可欠である。たとえば、熱固定装置が第1〜3の熱固定ゾーンに分割されている場合には、第1ゾーン−第2ゾーン間における温度差と風速差との積、第2ゾーン−第3ゾーン間における温度差と風速差との積のいずれもが、250℃・m/s以下となるように調節される。このように、熱風の温度、風量を調節することによって、「熱風の循環」がスムーズになる。後述する不連続な遮蔽板を熱風吹き出し口に取り付る方法と組み合わせると、「温度のハンチング現象」が効果的に抑制される。これにより初めて、後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性が良好な長尺のフィルムを得ることが可能となる。
本発明のフィルムロールの製造においては、複数のプレナムダクトに跨る大きな遮蔽板を取り付けるのではなく、図2に示すように、個々のプレナムダクト3,3・・の熱風吹き出し口(ノズル)2,2・・を一つずつ遮蔽するように棒状の遮蔽板S,S・・を取り付ける必要がある。このような不連続な遮蔽板を用いることで、「熱風の循環」がスムーズに行われる。また、同一の長さの遮蔽板を各プレナムダクトに取り付けるのではなく、熱固定装置の入口から出口(フィルムの通過方向)にかけて遮蔽板の長さを次第に長くするのが好ましい(図1参照)。このように、長さを調整することで、フィルム端縁部に曝される熱風温度が調整され、フィルム端縁部の歪みの解消が促される。なお、遮蔽板の材質は、熱固定装置の温度に耐えることができ、かつ、フィルムを汚したり、フィルムを粘着させたりしないものであればよいが、熱膨張の点からプレナムダクトと同一の材料を用いるのが好ましい。また、遮蔽板によるフィルム端縁部の熱収縮率差を本発明の程度に抑えるためには、遮蔽板の数は中央部と端部の温度差を考慮して設置することが好ましい。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールは、通常、縦−横延伸された後に、熱固定処理される。本発明のフィルムロールの製造においては、縦−横延伸されるゾーンと熱固定処理される熱固定装置との間に、積極的な熱風の吹き付けを行わない中間ゾーンを設置することが望ましい。これにより、延伸ゾーンと熱固定装置との間で、完全に加熱の遮断が行われる。より具体的には、延伸ゾーンおよび熱固定装置をフィルム製造時と同一条件にした状態で、延伸ゾーンと熱固定装置との間に短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンおよび熱固定装置の熱風を遮断するのが好ましい。なお、そのような中間ゾーンは、ハウジングによって囲われていても良いし、連続的に製造されるフィルムが露出するように設けられていても良い。かかる中間ゾーンにおける熱風の遮断が十分になされると、熱固定装置中における遮蔽板による遮蔽効果が発揮され、後加工時における良好なフィルムの通過性が得られるようになり好ましい。
試料フィルムをフィルムロールの端縁部(端縁から50mm以内の領域)から切り出した。切り出された各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気下で2時間以上放置した。各試料サンプルについて、アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用い、フィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率(na)と、フィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向(すなわち、上記した45度の角度をなす方向と90度の角度をなす方向)の屈折率(nb)とを測定した。これら2つの屈折率の差異の絶対値をΔnabとし、Δnab=│Δna―Δnb│により算出した。フィルムロールの両端縁部についてΔnabを測定し、いずれか大きい方を本発明のΔnabとした。
フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き終わりから、フィルムの巻き長を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けるとともに、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けることによって、1本のスリットロールについて合計10個の試料切り出し部を設けた。その10個の試料切り出し部から試料フィルムを切り出した。各切り出し部について、フィルムロールの左右の端縁部(端縁から50mm以内の部分)から、フィルム巻き取り方向にそって、幅20mm、長さ250mmの試料フィルムを切り出し、左端縁部、右端縁部それぞれにつき10個の試料フィルムを得た。各試料フィルムに200mm間隔で標線をしるし、150℃に調節した加熱オーブンに入れ、JIS C−2318に準拠して、150℃での熱収縮量HS150を測定した。さらに、180℃に調節した加熱オーブンに入れ、上記と同様にして、180℃での熱収縮量HS180を測定した。なお、表中の「各切り出し部における熱収縮率」は幅方向の熱収縮率差が最小のものと最大のものの組み合わせを示している。
熱処理後のフィルムの平面性を下記方法により評価した。熱処理工程として、2本のロールの間隔が1,900mmであるコーターを用い、温度を100℃あるいは160℃、炉内張力を100Nに設定した。次いで、ロール間隔が2,000mmになるよう2本のロールを水平に配置し、さらに2本のロールの中央位置に、ロール上面の共通接線から30mm下の位置に上面が位置されるように鉄棒を配置した。熱処理工程を通過させたフィルムを98Nの張力下で2本のロール間を通過させた。フィルムを通過させた際に、鉄棒にフィルムが接触しない場合は○とし、鉄棒に接触した場合には×とした。これらの工程は連続して行ない、フィルムが鉄棒に接触したか否かの確認は目視にて行った。
添加剤としてシリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア310)を0.03質量%含有したポリエチレンテレフタレートを([η]=0.60)を水分率が50ppmとなるように乾燥した後、押出機直上のホッパ内に仕込み、押出機内で285℃の温度で樹脂を溶融し、溶融した樹脂をステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm以上の粒子を90%カット)により濾過した。次いで、T型のダイスから樹脂シートを押し出し、静電印加キャスト法を用い、表面が30℃に調節されたキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化させることによって、1,350μmの未延伸シートを得た。
上記熱固定処理は、図3に示す構造を有する熱固定装置で行った。熱固定装置は第1〜4ゾーンという4個の熱固定ゾーンに区切られている。第1〜3ゾーンには、それぞれ、8個ずつのプレナムダクトa〜xが設けられている。第4ゾーンにも、8個のプレナムダクトが設けられている。各プレナムダクトは、フィルムの進行方向に対して垂直となるように、フィルムの進行方向に対して400mm間隔で上下に設置されている。そして、プレナムダクトの熱風吹き出し口(ノズル)から、延伸されたフィルムに熱風が吹き付けられるようになっている。
未延伸シートの引取速度を調整して未延伸シートの厚みを2,400μmに変更するとともに、長手方向への延伸倍率を3.3倍に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ188μmで幅3,300mmのフィルムを4,500m巻き取ったミルロールを得た。そのミルロールを巻き返しながら、両端部を150mmずつ除去し、残りの部分を幅方向に等間隔に等間隔に3つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長2,010mの6本のスリットロールを得た。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.041であるが、他端の小さい方のΔnabは0.016であった。
押出機の押出量を増加させて、未延伸シートの幅を増加させるとともに、熱固定装置の各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける遮蔽板を表2に示す遮蔽率となるように変更し、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3のように変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmで幅5,200mmのフィルムを6,500m巻き取ったミルロールを得た。そのミルロールを巻き返しながら、両端部を100mmずつ除去し、残りの部分を幅方向に等間隔に5つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長3,010mの10本のスリットロールを得た。そして、上記の如く得られた10本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、実施例3における遮蔽板による遮蔽態様を「B態様」とし、実施例3における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「II条件」とする。
このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.037であるが、他端の小さい方のΔnabは0.030であった。
未延伸シートの引取速度を調整して未延伸シートの厚みを2,400μmに変更するとともに、長手方向への延伸倍率を3.3倍に変更した以外は、実施例2と同様にして、厚さ188μmで幅5,200mmのフィルムを4,500m巻き取ったミルロールを得た。そのミルロールを巻き返しながら、両端部を100mmずつ除去し、残りの部分を幅方向に等間隔に3つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長2,010mの10本のスリットロールを得た。そして、実施例3と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.035であるが、他端の小さい方のΔnabは0.023であった。
押出機による溶融押し出し量を増加させて、未延伸シートの厚みを1,690μmとし熱固定条件を表3の様に変更した以外は実施例3と同様にして、厚さ125μmで幅5,200mmのフィルムを6,500m巻き取ったミルロールを得た。しかる後、そのミルロールを巻き返しながら、両端部を100mmずつ除去しながら残りの部分を幅方向に等間隔に5つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長3,010mの10本のスリットロールを得た。そして、上記の如く得られた10本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.054であるが、他端の小さい方のΔnabは0.034であった。
実施例5と同様にして得たミルロールから実施例5で評価したスリットロールのミルロールの中央よりのロールを用いて、フィルム及びフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.032であるが、他端の小さい方のΔnabは0.017であった。
引取り機の速度を減少させて未延伸シートの厚みを1,370μmまで増加させると共に縦の緩和量を0.5%に変更した以外は実施例3と同様に得たスリットロールを用いて、フィルム及びフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.038であるが、他端の小さい方のΔnabは0.024であった。
各プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けることなく熱固定を実施し、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3のように変更した以外は実施例1と同様にした。そして、実施例1と同位置のスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、実施例1における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「IV」条件とする。
このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.042であるが、他端の小さい方のΔnabは0.017であった。
各プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けることなく熱固定を実施し、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3のように変更した以外は、実施例2と同様にした。そして、実施例2と同位置のスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.041であるが、他端の小さい方のΔnabは0.016であった。
縦方向の緩和処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にした。そして、実施例1と同位置のスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.041であるが、他端の小さい方のΔnabは0.016であった。
縦方向の緩和処理を実施しなかった以外は、実施例2と同様にした。そして、実施例2と同位置のスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.042であるが、他端の小さい方のΔnabは0.017であった。
引取り機の速度を減少させて未延伸シートの厚みを1,380μmまで増加させると共に熱固定装置のa〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に、一体となった大型の遮蔽板を取り付け縦緩和を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、6本のスリットロールを得た。なお、大型の遮蔽板による遮蔽率が、実施例1と同じになるように遮蔽板の形状を調整した。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.042であるが、他端の小さい方のΔnabは0.017であった。
比較参考例1と同様の未延伸シートを使用して、使用する横延伸機のプレナムダクトが5本のもので表1、2、3に示す様に変更した。実施例1〜7、比較例1〜4、比較参考例1と異なりプレナムダクトの風量を一定とし、風速を遮蔽板を用いた5本については各々異なっているものを用いた。評価結果を表4に示す。このロールのΔnabは大きい方が表4に示した通り0.040であるが、他端の小さい方のΔnabは0.016であった。
表4から、実施例のフィルムロールは、いずれも、ロール全幅に亘る熱収縮率の差(すなわち、熱収縮率差)が小さい上、長手方向における熱収縮率の変動量も小さく、後加工時における通過性が良好である。又、熱の掛かる通過性が行われない、枚葉での加工が施される場合も長手方向の熱収縮量が小さく適していることが分かる。これに対して、比較例のフィルムロールは、ロール全幅に亘る熱収縮率差が小さいが、枚葉での加工が施される場合には長手方向の熱収縮量が大きく、使用するには別途、アニール処理が必要である。遮蔽板をなしで緩和すると幅方向の熱収縮率差が大きくなってしまう。
2:熱風吹き出し口
3,a〜x:プレナムダクト
F:フィルム
S:遮蔽板
A:フィルムの巻き取り方向
Z1:第1ゾーン
Z2:第2ゾーン
Z3:第3ゾーン
Z4:第4ゾーン
N1、N2:中間ゾーン
4:クリップ
5,6:クリップに連結したベアリング
7:チェンリンク
8:ジョイント部
9:クリップが取り付けられる台
10:クリップに連結したベアリング
11:ジョイント部に連結したベアリング
12:クリップ走行レール
13:ガイドレール
Claims (6)
- 長さが300m以上8,000m以下で幅が0.7m以上2.2m以下となるようにスリットされた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを巻き取ってなり、フィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率とフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向の屈折率との差異であるΔnabが0.015以上0.060以下である二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールであって、
フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設け、それらの最初と最終の切り出し部との間を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けることによって、合計10個の試料切り出し部を設けたとき、下記要件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロール。
(1)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、180℃で30分間加熱したときのフィルム巻取方向の熱収縮率であるHS180を求め、それらのHS180の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.15%以下であること
(2)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS180を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS180が、いずれも0.7%以上1.5%未満であること
(3)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻取方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらのHS150の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.1%以下であること - 巻き取られた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの厚みが70μm以上400μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロール。
- 請求項1および2に記載された二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールを製造するための製造方法であって、押出機から原料樹脂を溶融押し出しすることにより未延伸シートを形成するフィルム化工程と、そのフィルム化工程で得られる未延伸シートを縦方向および横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程と、熱固定後のフィルムを長手方向に緩和処理する工程を含んでおり、その熱固定工程が、下記要件(4)〜(7)を満たす熱固定装置において行われることを特徴とする二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールの製造方法。
(4)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
(5)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
(6)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること
(7)各熱固定ゾーン内でのプレナムダクトの風速を一定にすること - 請求項3に記載の長手方向の緩和処理をする工程において、フィルム端部を保持するクリップと隣接クリップとの間に屈曲可動なチェンリンクで連結するジョイント部を有し,当該ジョイント部に連結したベアリングがガイドレールを走行することで、チェンリンクの屈曲角度が変位することにより、クリップの進行方向の間隔を収縮することで当該長手方向の緩和処理を行うことを特徴とする二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールの製造方法。
- 二軸延伸工程がフィルムを縦方向に延伸した後に横方向に延伸するものであるとともに、その横延伸を行うゾーンと熱固定装置との間に、風の吹き付けを実行しない中間ゾーンを設けたことを特徴とする請求項3または4に記載の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールの製造方法。
- 熱固定装置が、複数の熱固定ゾーンに分割されているとともに、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように設定されていることを特徴とする請求項3〜5に記載の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールの製造方法。
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