JP2009280644A - 二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム - Google Patents

二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム Download PDF

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Muneo Hirooka
宗生 廣岡
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Abstract

【課題】積層体のベースフィルムに好適な二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】フィルムの長手方向と45度の角度をなす方向の屈折率とそれに90度の角度をなす方向の屈折率との差異Δnabが0.015以上0.060以下である下記要件(1)〜(5)を満たす二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム。(1)150℃で30分間熱処理した場合の四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下、(2)HS150が0.0%以上0.5%未満、(3)HS150の幅方向の差異が0.10%以下、(4)HS180が、0.7%以上1.5%未満、(5)HS180の幅方向の差異が0.15%以下
【選択図】なし

Description

本発明は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムに関する。詳しくは、熱収縮率が小さく、優れた平面性、寸法安定性を有する積層体のベースフィルムに適した二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂からなる二軸延伸フィルムは、優れた透明性、寸法安定性、耐薬品性から、各種積層体のベースフィルムとして広く利用されている。特に、硬化収縮性樹脂組成物を積層するベースフィルム等の用途には、優れた強度、寸法安定性が要求されるため、比較的厚手のフィルムが用いられている。
上記の如き用途のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムには、通常の包装用途等のフィルムに比べて平面性(平面な台の上に戴置した場合のフラットネス)が良好であることが要求される。殊に、近年の製品の高性能化に伴って、平面性に対する要求が高く、平面性の乱れは品質上の欠陥となる。
一方、平面性の良好な空洞含有ポリエステル系フィルムを得ることを目的に、ロール状フィルムから切り出したフィルムのカールと、加熱後のカールを抑えることに関して、特許文献1、2の如く、縦延伸工程での表裏の赤外線の出力の変更および横延伸工程、熱固定工程のフィルムの温度差を設けて実施する方法が記載されている。
特開2001−342273号公報 特開2001−342274号公報
更に、平面性の良好なフィルムを得ることを目的に、フィルムから切り出したフィルムのカールを加重下で抑えることに関して、特許文献3の如く、フィルム表裏の温度差を縦延伸時に10℃以下とすることが記載されている。
特開平10−258458号公報
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムをベースフルムとして使用する場合、後工程において熱処理が施される場合がある。このような熱処理によりフィルムの寸法が変化することが多く、熱処理工程では熱収縮が少ないことが望まれる。寸法変化を特に嫌う用途では、加工前に再度、アニール処理を実施してから使用することも行われている。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの熱収縮率を低減する方法としては、長手方向の緩和処理をオフラインの熱処理工程で実施する方法(特許文献4)、テンターの内で端部に剃刀を入れ切断しクリップの影響を避けて長手方向の緩和処理を行う方法(特許文献5)が、提案されている。
特開2001−138466号公報 特公昭57−054290号公報
また、後加工コストの低減のために幅広のスリットロールに対する要求が増加してきているが、かかる広幅のスリットロールを限られたミルロールの幅から歩留まり良く採取するには、従来のように幅狭のミルロールから採取するよりも幅広のミルロールから採取する方が得策である。しかしながら、ミルロールを幅広にすると、熱固定装置の幅方向における温度の均一性を保つのが難しくなる。つまり、左右に温度差が生じたり、時間的に温度が不安定になってしまう。結果として、熱収縮率を幅方向、長手方向で一定にコントロールするのが難しくなる。そのため、幅方向における熱収縮率の違いが後加工での熱の掛かる工程でフィルムの走行性に影響を与えフィルムの走行において片側に張力が掛からずタルミが生じたり、加工工程のロールの前後を調整して通過性を調整したりしている。それゆえ、調整によるロスが生じたりしている。
ミルロールを幅広化するには、熱固定装置の幅方向における温度の均一性を良好に保つべく、熱固定装置内の熱風吹き出し量等を微調整することが不可欠である。ところが、熱風吹き出し量等の微調整により、幅方向における温度の均一性を改善することができ、左右の熱収縮率差をある程度低減することができるものの、後加工時におけるフィルムの通過性を良好なものにするために十分なレベルにまで左右の端縁際の熱収縮率差を低減させることはできない。
それゆえ、ミルロールの幅に拘わらず、後加工工程におけるフィルムの通過性を良好なものとすべく、フィルムの幅方向における熱収縮率(フィルムの長手方向の熱収縮率)の差を低減する方法として、出願人によって、フィルムの熱固定工程において、フィルムの進行方向に対して一定間隔で上下に配置させたプレナムダクト(熱風の吹き出し口)に連続的な遮蔽板を被せ、その遮蔽板の幅をフィルム進行方向側にいくにしたがって徐々に拡げていくことにより、フィルムの幅方向の温度を中央部から端部にかけて高くして、端部際の緩和量を中央部分の緩和量に近づける方法が提案されている(特許文献6)。さらに、出願人は、フィルムの幅方向における熱収縮率の差を低減する方法として、フィルムの熱固定工程において、5本のプレナムダクトに不連続な遮蔽板を取り付け、各プレナムダクトから単位時間当たりに吹き出す熱風の量を一定にし、プレナムダクトから吹き出す風速を増加させることで端部に当たる熱風量を増加させる方法を開示している(特許文献7)。
特開2001−138462号公報 特開2002−79638号公報
ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムをベースフィルムとして作製された積層体も平面性が良好であることが要求される。平面性の良好な積層体をえるために、上記のように比較的厚手のベースフィルムを用いたり、平面性の優れたベースフィルムを用いることが行われている。また、積層体自体にソリがあったとしても、積層体を部材として組立体を作製する場合は、アセンブリー方法を工夫することで積層体の平面性を調整することが行われている。そのため、従来のベースフィルムであっても問題なく使用することが可能であった。
しかしながら、硬化収縮性樹脂組成物を積層した場合、樹脂の硬化に伴う硬化収縮により、僅かではあるが硬化性樹脂層側に微小なソリが生じていることが分かった。そのため、従来は平面性が良好とされていた積層体においても、より大面積化が求められる用途などにおいては、ソリの程度が少ないものが精密性の向上に役立つと考えた。
熱収縮率を小さくする場合についても、特許文献4の方法ではオフライン処理を行うのは経済的でない。また、特許文献5の方法では、クリップの把持の影響は受けないが、緩和処理中のフィルムの自重で弛み、テンター内のプレナムダクトに接触してフィルムに傷が生じるという問題があった。これを避ける為に上下のエアバランスを微妙に調整し傷防止を行うと、エアバランスの崩れによりオーブン内の温度の均一性が損なわれて、フィルムの平面性が悪化したり均一性が損なわれるという問題があった。
一方、生産性向上の点から、後加工のラインスピードが向上することが予測され、それに対応して高温の後加工でも好適に使用しうるようなフィルムが必要であると考えられる。しかしながら、後加工工程におけるフィルムの通過性を良好なものとするための技術に関しては、熱固定処理においてプレナムダクト(熱風の吹き出し部)に連続的な遮蔽板を被せるだけの方法では、端部際のフィルムを十分に緩和させることができない。したがって、高温にて長時間に亘って後加工する場合には、後加工工程において条件を調整せざるを得ないし、条件調整ができない事態が生じることもある。
加えて、熱固定処理においてプレナムダクトに遮蔽板を被せるだけの方法では、熱固定ゾーンにおける温度のハンチングが大きくなってしまうため、1,000m以上の長尺なフィルム(ミルロール)を製造する際に、通過性の悪い部分(すなわち、フィルムの幅方向における熱収縮率の差が大きい部分)や平面性の悪い部分が形成されてしまう。また、プレナムダクトの1本ずつで風速を変えると温度のハンチングが生じ、これもまた、安定した品質のものが得られなかった。
本発明は、熱収縮率が小さく、優れた平面性、寸法安定性を有する積層体のベースフィルムに適した二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムに関する。例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムに硬化収縮性の樹脂組成物を積層した際に、硬化収縮性樹脂組成物の硬化収縮が発生しても、ベースフィルムが反対面に収縮性を有するために、全体として反りが均衡し、積層体全体として優れた平面性を備えることが可能なベースフィルムとしてに好適に使用できる二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムに関する。
かかる本発明の内、第1の発明は、フィルムの製膜の長手方向と45度の角度をなす方向の屈折率とそれに90度の角度をなす方向の屈折率との差異Δnabが0.015以上0.060以下であって、下記要件(1)〜(5)を満たす二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムである。
(1)フィルムを製膜の長手方向に300mm、それに直角な幅方向に210mmの試料を採取し、前記試料の片側の面を上にして台紙に載せ、加熱オーブン中で150℃で30分間熱処理した後、台紙ごと前記試料を加熱オーブンより取り出し、前記試料を室温で30分放置した後、前記試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で測定した際に、四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下であること
なお、上記ソリの高さは加熱後に反ったフィルム試料の凹面を上にして測定する。よって、加熱後に室温で放置した後の前記試料のソリの高さが0mmであるか、もしくは、前記試料の断面がM字状である場合は、前記試料の上下面を反対にしてソリの高さを測定する
(2)150℃で30分間加熱したときのフィルムの製膜の長手方向の熱収縮率であるHS150が、0.0%以上0.5%未満であること
(3)フィルムの幅方向における任意の位置と、その位置より幅方向に70cm以上離れた位置から試料を切り出し、それら2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム製膜の長手方向の熱収縮率であるHS150を求めたときに、それらのHS150の差異が0.1%以下であること
(4)180℃で30分間加熱したときのフィルムの製膜の長手方向の熱収縮率であるHS180が、0.7%以上1.5%未満であること
(5)フィルムの幅方向における任意の位置と、その位置より幅方向に70cm以上離れた位置から試料を切り出し、それら2つの試料について、180℃で30分間加熱したときのフィルム製膜の長手方向の熱収縮率であるHS180を求めたときに、それらのHS180の差異が0.15%以下であること
第2の発明は、前記ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの厚みが100μm以上400μm以下である。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、寸法安定性に優れ、熱収縮率が小さく、フィルム単体としても積層体としても平面性が良好である。よって、好ましい実施態様として、本発明のフィルムをベースフィルムとして硬化収縮性樹脂組成物を積層しても、積層体全体としての平面性が良好である。
また、好ましい実施態様として、収縮性の異なる、もしくは収縮性を有する素材を、積層、もしくは張り合わせても、積層体全体としての平面性が良好である。
さらに、好ましい実施態様として、加熱処理での寸法安定性に優れるため、後加工で張力下での加熱加工処理を行う場合は、フィルムの通過性が良好である。
[ポリエチレンテレフタレート系樹脂]
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、エチレングリコールおよびテレフタル酸を主な構成成分として含有する。本発明の目的を阻害しない範囲であれば、他のジカルボン酸成分およびグリコール成分を共重合させても良い。上記の他のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス−(4−カルボキシフェニルエタン)、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シクロヘキサン−1、4−ジカルボン酸等が挙げられる。上記の他のグリコール成分としては、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA等のエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。この他、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸成分も利用され得る。
このようなポリエチレンテレフタレート(以下、単にPETという)の重合法としては、テレフタル酸とエチレングリコール、および必要に応じて他のジカルボン酸成分およびジオール成分を直接反応させる直接重合法、およびテレフタル酸のジメチルエステル(必要に応じて他のジカルボン酸のメチルエステルを含む)とエチレングリコール(必要に応じて他のジオール成分を含む)とをエステル交換反応させるエステル交換法等の任意の製造方法が利用され得る。
本発明のフィルムをPETによって形成する場合には、原料であるPETの極限粘度(IV)は、0.45〜0.70dl/gが好ましく、0.55〜0.65dl/gがより好ましい。PET原料の極限粘度が0.45以下であると、回収されて再度押出機を通過した後のPETの重合度が低くなりすぎて、フィルムの延伸性が悪化したり、耐引き裂き性が低下したりするため好ましくない。反対に、極限粘度が0.70dl/gを上回ると、濾圧が大きくなりすぎて高精度濾過が困難となるので好ましくない。なお、樹脂原料のIVは、たとえば、以下のような方法で求められ、[η]として表される。
[極限粘度(IV)]
PETの粉砕試料を乾燥後、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて、30℃で0.4(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、Hugginsの定数が0.38であると仮定して算出する。
また、本発明のフィルムをPETによって形成する場合には、PET原料の酸価(AV)は、3〜30eq/tの範囲が好ましく、5〜25eq/tであるとより好ましい。酸価が3eq/t以下であると、重合速度が遅くなってしまい、製造効率が低下するので好ましくない。反対に、酸値が30eq/t以上であると、加水分解が進行し易く、重合度の低下を引き起こし易いので好ましくない。なお、樹脂原料の酸価は、たとえば、以下のような方法で求められる。
[酸価]
原料を粉砕した後、ベンジルアルコールに溶解し、クロロホルムを加えてから水酸化ナトリウム溶液で中和滴定し、PET1t当たりの水酸化ナトリウムの当量を算出する。
[Δnab]
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの製造時において、テンター内に幅方向に延伸する時にフィルム幅方向の物性の均一性が乱れる現象が生じることが知られている。この現象が生じるために、得られる二軸延伸フィルムは、フィルム幅方向の中央部から離れるほどΔnab(フィルムの製膜の長手方向と45度の角度をなす方向の屈折率と、フィルムの製膜の長手方向と135度の角度をなす方向の屈折率との差異(絶対値))が大きくなる。ここで、本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、ミルロールの端部に由来するものであって、Δnabが全ての領域で0.015以上0.060以下であるものに限定される。Δnabが0.015を下回るフィルムは、上記した「歪み(すなわち、幅方向における熱収縮率差)」の問題が生じない。一方、Δnabの上限は0.060であるが、より好ましくは0.057、さらに好ましくは0.055である。Δnabが0.060を上回るフィルムは歪が著しく、本発明の要件を満たすように熱収縮率等を調整することが困難である。なお、本発明におけるΔnabとは、フィルムの製膜の長手方向に平行な片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置においてそれぞれΔnabを測定して求めることができる。
[平面性とソリ]
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムから、製膜の長手方向(縦方向)に300mm、それと直角な幅方向に210mmの長方形のフィルム試料を切り出した場合、下記測定条件により150℃、30分間の熱処理により四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下になることが必要である。
加熱後のソリは以下の方法により測定する。
(1)フィルム製膜の長手方向(縦方向もしくは機械方向ともいう)300mm×幅方向210mmの長方形のフィルム試料を切り出す。
(2)前記試料を、片側の面(例えばx面とする)を上にして平面な台紙に乗せ、加熱オーブンの棚板に載せる。ここで、台紙は厚紙、板紙ともいい、1mm程度の厚さのものが好適である。
(3)加熱オーブンを150℃に調整し、30分間、加熱処理を行う。
(4)加熱処理後、台紙ごと前記試料を取り出し、室温で30分放置する。なそ、ここでの室温条件は、温度23±2℃、湿度65±5%に管理された条件であることが望ましい。
(5)30分間放置した前記試料を水平なガラス板(厚さが5mm程度が望ましい)に乗せ、前記試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で、目視により最小目盛りの10分の1まで測定する。全試料について四隅のソリの高さを測定し、四隅のソリの高さの平均を求める。
(6)なお、加熱後室温で放置した後の前記試料のソリの高さが0mmであるか、もしくは、前記試料の断面(長方形のいずれかの辺)がM字状である場合は、前記試料の上下面を反対にして(前記x面を下にして)ソリの高さを測定する。つまり、本願のソリは加熱後にフィルムにソリが生じた場合の凹面を上にして四隅の高さを測定する。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均は、0.6m以上がより好ましく、0.7mm以上がさらに好ましい。上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均が、0.5mm未満の場合は、硬化収縮性樹脂を積層した場合、樹脂の硬化収縮によりソリに抗しきれず、積層体が全体として硬化樹脂組成層側に反り易くなる。また上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均は、4.0mm以下がより好ましく、3.5mm以下がさらに好ましい。上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均が、5。0mmを超える場合は、硬化収縮性樹脂を積層した場合、樹脂の硬化収縮によりソリ以上に強いソリが生じ、積層体が全体としてベースフィルム側に反り易くなり好ましくない。
上記条件で測定した150℃、30分間の熱処理による四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下である場合、片面に硬化収縮性樹脂組成物を積層し、硬化に伴う硬化収縮が生じても、積層体全体としては平面性が保持される。積層体全体としての平面性の許容範囲は、用途にもよるが、例えば、長手方向(縦方向)300mm×幅方向210mmの長方形の積層体の場合、四隅のソリの高さの平均は、0.5mm以下が好ましい。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、加熱処理前の状態では、平面性が良好であることが望ましい。よって、長手方向に300mm、それと直角な幅方向に210mmの長方形のフィルム試料を切り出した場合、加熱処理を行わず、四隅のソリの高さを測定した際に、ソリの高さの最大値はフィルム厚み以下であり、四隅のソリの高さの平均値は、フィルムの厚みの20%以下であることが好ましい。
加熱処理を行わない場合の、ソリの高さの最大値は、フィルム厚み以下であることが好ましく、フィルム厚みの90%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらに好ましく、50%以下であることが特に好ましい。また、加熱処理を行わない場合のソリの高さの平均は、20%以下であることが好ましい。加熱処理を行わない場合のソリの高さ最大値がフィルム厚み以下、もしくは平均値が20%以下である場合は、硬化性樹脂の塗布などのフィルムの加工時において平面性の歪みが少なく加工精度が良好であるため、歩留まりの点から好ましい。
[熱収縮率]
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、フィルムの幅方向における任意の位置から試料を切り出し、150℃で30分間加熱したときのフィルムの製膜の長手方向の熱収縮率である、HS150を求めたときに、それらのHS150が、0.0%以上0.5%未満である。
上記HS150が、0.5%未満であると、後加工における熱処理においても寸法安定性が良好となりこのましい。上記HS150は、0.3%以下であるとより好ましく、0.2%以下であるとさらに好ましい。なお、各切り出し部におけるHS150は、低いほど好ましいが、設計上、0.0%が下限であると考えられる。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、フィルムの幅方向における任意の位置と、該任意の位置より幅方向に70cm以上離れた位置から試料を切り出し、それら2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルムの製膜の長手方向の熱収縮率であるHS150を求めたときに、それらのHS150の差異が、0.10%以下である。
上記HS150の差異が、0.10%以下であると、後加工におけるフィルムの通過性が良好となり好ましい。また、上記HS150の差異は、0.08%以下であるとより好ましい。なお、上記HS150の差異は、低いほど好ましいが、測定精度を考慮すると、0.05%程度が限界であると考えられる。
熱収縮率の測定に使用するフィルム試料は、次の手順によって設けた2個の切り出し部から切り出す。
(1)フィルムの任意の点に一つの切り出し部を設ける。
(2)(1)の切り出し部から、幅方向に70cm以上離れた位置から試料の切り出し部を設ける。
(3)各切り出し部からフィルムの製膜の長手方向にそって、幅20mm、長さ250mmの試料フィルムを切り出す。
さらに、本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、フィルムの幅方向における任意の位置から試料を切り出し、180℃で30分間加熱したときのフィルムの製膜の長手方向の熱収縮率であるHS180が、いずれも0.7%以上1.5%未満であることが必要である。
上記HS180が1.5%未満であると、後加工における高温でのフィルムの通過性が良くなるので好ましい。また、各切り出し部から切り出したフィルム試料のHS180の値は、1.2%以下であるとより好ましく、1.0%以下であると特に好ましい。なお、各切り出し部から切り出したフィルム試料のHS180の値は、低いほど好ましいが、生産性の点から0.7%が下限であると考えている。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、上記のように、フィルムの幅方向における任意の位置と、該任意の位置より幅方向に70cm以上離れた位置から試料を切り出し、それら2つの試料について、180℃で30分間加熱したときのフィルムの製膜の長手方向の熱収縮率であるHS180を求めたときに、それらのHS180の差異が、0.15%以下である。
上記HS180の差異が、0.15%以下であると、高温での後加工におけるフィルムの通過性が良好となり好ましい。また、上記HS180の差異は、0.10%以下であると特に好ましい。なお、上記HS180の差異は、低いほど好ましいが、測定精度を考慮すると、0.05%程度が限界であると考えられる。
本発明における熱収縮率の測定は、試料フィルムに200mm間隔で標線を印し、150℃、または180℃に調節した加熱オーブンに入れ、JIS/C−2318に準拠し、150℃、または180℃で30分間の加熱処理による熱収縮率を測定する。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを構成するフィルムの厚みは、特に限定はされない。しかしながら、積層体のベースフィルムとしては、100μm以上400μm以下の厚みであると好ましい。また、フィルムの厚みは110μm以上がよりに好ましく、120μm以上がさらに好ましい。フィルムの厚みは100μm以上であれば、枚葉での取り扱いが容易となり好ましい。また、フィルムの厚みは、400μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、250μm以下がさらに好ましい。フィルムの厚みが400μm以下であれば、切断加工が容易となり好ましい。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの幅方向の長さは、特に限定はされないが、取扱い易さの点から、フィルム幅の下限は、0.7m以上であると好ましく、1.0m以上であるとより好ましい。一方、フィルムロールの幅の上限は、後加工する装置の大きさによって定まるが、生産性の点から、2.5m以下であることが好ましく、2.0m以下であるとより好ましく、1.5m以下であるとさらに好ましい。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの製膜の長手方向の長さは、特に限定はされないが、フィルムロールとする場合、巻き易さや取扱い易さの点から、フィルムが100μm程度の厚みである場合には、8,000m以下であると好ましく、7,000m以下であるとより好ましい。また、フィルムが400μm程度の厚みである場合には、1,200m以下であると好ましく、1,100m以下であるとより好ましい。したがって、フィルムの厚みが100〜400μmの中間である場合には、300m以上8,000m以下の巻長となるように設定するのが好ましい。なお、巻取りコアとしては、通常、3インチ、6インチ、8インチ等の紙、プラスチックコアや金属製コアを使用することができる。
本発明の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは単層でも、2層以上の積層構造を有するフィルムでも良いし、透明性を重視して微粒子を入れない二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの片面、又は両面に後加工工程時の接着性を改良する目的や滑り性を改良する目的で種々のコーティングを製膜時に付与したものでもなんら差し支えがない。
さらに、本発明のフィルムを構成するポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムには、フィルム表面の接着性を良好にするためにコロナ処理、コーティング処理や火炎処理等を施したりすることも可能である。
また、本発明のフィルムを構成するポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム中には、必要に応じて微粒子を添加することができる。その際に添加する微粒子としては、公知の無機微粒子や有機微粒子を挙げることができる。さらに、フィルムを形成する樹脂の中には、必要に応じて各種の添加剤、たとえば、ワックス類、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、減粘剤、熱安定剤、着色用顔料、着色防止剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。本発明におけるポリエチレンテレフタレート系樹脂には、微粒子を添加してポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの作業性(滑り性)を良好なものとすることが好ましい。微粒子としては任意のものが選べるが、たとえば無機系微粒子として、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム等を挙げることができる。また、有機系微粒子として、たとえばアクリル系樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、架橋ポリスチレン粒子等を挙げることができる。微粒子の平均粒径は、0.05〜2.0μmの範囲内で、必要に応じて適宜選択することができる。
なお、上記の粒子の平均粒径の測定は下記方法により行う。
粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で写真を撮り、最も小さい粒子1個の大きさが2〜5mmとなるような倍率で、300〜500個の粒子の最大径(最も離れた2点間の距離)を測定し、その平均値を平均粒径とする。
ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムに上記粒子を配合する方法としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を製造する任意の段階において添加することができるが、好ましくはエステル化の段階、もしくはエステル交換反応終了後、重縮合反応開始前の段階でエチレングリコール等に分散させたスラリーとして添加し、重縮合反応を進めても良い。また、ベント付き混練押出し機を用いてエチレングリコールまたは水等に分散させた粒子のスラリーとポリエチレンテレフタレート系樹脂原料とをブレンドする方法、または混練押出し機を用いて、乾燥させた粒子とポリエチレンテレフタレート系樹脂原料とをブレンドする方法等によって行うことができる。
本発明のソリに対する技術思想は以下の通りである。
(1)硬化収縮性樹脂組成物は、硬化による架橋構造を形成し、硬化前後において体積が10%程度減少する。そのためベースフィルムの片面に硬化性樹脂組成物を積層した場合、樹脂の硬化に伴う硬化収縮により、積層体全体として、硬化性樹脂組成物側が凹部になるようなソリが生じる。
(2)(1)のソリを防止する為に、硬化性樹脂の硬化収縮に抗するように、ベースフィルムに反対側のソリが生じれば、積層体全体としてソリが相殺できると考えた。このため、硬化性樹脂組成物層が無い、ベースフィルム単独では、積層面と反対側にソリが生じることが必要である。
(3)本発明者らはベースフィルムの片側に高温短時間の熱処理を行うと、熱処理面が収縮し、僅かにソリが発生することを確認して本発明の着想を得た。そこから、ベースフィルムにソリを発生させるにはフィルム表裏の熱収縮率が異なると良いと考えた。フィルムの表裏に熱収縮率差がある場合、硬化性樹脂の硬化処理に際して生じる熱により、収縮率の大きい面が凹部になるようなソリが発生する。ただし、加熱により発現するソリは僅かなものであった。しかし、本発明者らは、10%程度の大きな収縮率を有する硬化収縮性樹脂組成物を塗布した場合であっても、ベースフィルムを僅かに反らせるだけで、硬化収縮に抗して積層体全体として平面性が保たれるという驚くべき効果を見出した。
(4)しかも、このベースフィルムは、加工性の点から、加熱処理を施さない状態ではソリがなく実質上平面であり、従来のベースフィルムと同様に使用が出来る必要がある。つまり、本願発明のフィルムは、加熱処理前には平面であるにもかかわらず、加熱により顕在化する潜在的なソリを有するという従来にない特性を有するフィルムである。
[本発明のフィルムの製造方法]
<従来の延伸方法の問題点>
これまで、フィルムの平面性を制御する方法として、特許文献1(特開2001−342273号公報)、特許文献2(特開2001−342274号公報)に記載された方法が開示されている。特許文献1、特許文献2では、空洞含有ポリエステル系フィルムの場合、フィルム表裏の構造差に起因するカールを抑制する手段として、「(1)空洞の体積分率を小さくし、且つ各々の空洞サイズを小さく抑制しすることで、内部歪に耐えてカールの発生を抑制する方法、(2)フィルム厚み方向に空洞に分布を持たせる方法、(3)押し出し時の冷却差によるフィルム厚み方向の結晶化度の差に始まる各工程で付与されるフィルム表裏の構造差に起因するカールを制御するために、積極的にフィルム表裏の構造差を発生させ、必然的な構造差と補完しあってカール値をゼロに近づける方法」が記載されている。
さらに、「ポリエステル樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂に由来する空洞をフィルム内部に多数含有する空洞含有ポリエステル系フィルムでは、カールの少ないフィルムを得ることは従来の技術では非常に困難である」が、「通常の透明ポリエステルフィルムでは、巻き癖カールの発生は非常に緩やかであり、問題となることは非常に少ない。」ことが記載されている。
しかしながら、特許文献1、2ではカールをなくす点に主眼が置かれているのに対し、本発明ではフィルムに潜在的なソリを積極的に付与することを目的とするものである。さらに、特許文献1、2では空洞含有フィルムが前提であるのに対し、本発明では空洞を含有しない透明なポリエチレンテレフタレート系フィルムにおいて潜在的なソリを付与するものである。
空洞含有フィルムと、空洞を含有しないポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムとでは熱伝導度が異なる(空洞含有フィルムは熱伝導度小さいが、空洞の無いフィルムにおいては熱伝導度大きい)。よって、空洞を含有しないポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの場合、特許文献1、2の方法では、製造工程中において、潜在的なソリの発現に必要な表裏の温度差を付けることは難い。
更に、フィルムに加重を掛けた時にカールが生じないことを目的として、特許文献3(特開平10−258458号公報)に記載された方法により縦延伸工程でのフィルム表裏の温度差を10℃以下に設定する方法が開示されている。
特許文献3はカールを生じないフィルムを得ることを目的とするに対し、本発明ではフィルムに、硬化性樹脂の硬化に伴う硬化収縮が生じても、それに均衡しうる潜在的なソリを有するフィルムを得ることを目的とするものである。そのため、加熱による熱収縮を表裏で異なるようにするためには、特許文献3のように、一段延伸では不十分であった。本願発明のフィルムを得るためには、理由は明確ではないが、後述するように多段の延伸が必要であった。
本発明者らは、上記した従来の延伸方法が有する問題点を解消すべく、どうすれば、加熱処理前には平面であるにもかかわらず、加熱により顕在化する潜在的なソリを有するフィルムを得ることが出来るか鋭意検討した。その結果、従来の延伸方法とは異なり、フィルムの製造工程において積極的にフィルム表裏における分子配向差を設けることにより、加熱によりソリが発現するフィルムを得ることを見出し、本願発明を完成するに至った。より具体的には、以下のような(1)〜(3)に記載した達成手段を相互に関連させることにより、加熱処理前には平面であるにもかかわらず、加熱により顕在化する潜在的なソリを有するという従来にない特性を有するフィルムを得たのである。
<本発明のフィルムの製造方法の特徴1>
(1)未延伸シートの表裏の温度差
本発明のフィルムの製造において、まず溶融した樹脂を口金より押出し、冷却したキャスティングドラムに巻き取ることで急冷固化し、未延伸シートを得る。この際、未延伸シートの厚みは、例えば、100μm以上の厚手のフィルムにおいては、凡そ1000μmかそれ以上になる。未延伸シートの冷却はシート表面から行われるため、キャスティングドラムに接した面(以下、表面(F)と言う)と、その反対面(以下、裏面(B)という)とで冷却効率が異なり、未延伸シートの表裏で温度差が生じる。
未延伸シートの厚みにも依存するが、この未延伸シートの表裏の温度差により、フィルムのカールの発現が異なる。表裏の温度差が大きくなると、シート自体がカールし、ロール表面にシート中央部がロールに密着せず、ロール上で接触が不十分となる。これにより、工程内での意図しない個所との接触し、フィルムにキズが発生することとなる。このため、通常、シートの表裏の温度差は大きくし過ぎないようにすることが行われていた。しかしながら、本願発明では、加熱処理によりソリを発現させるためには、シートの表裏で結晶性に差異を設けることにより延伸工程において延伸配向に差異を生じさせて、加熱後のソリの発現を図るものである。この表裏の結晶性に差異を設けるには表裏の温度差が低くてもまた、高くても不可で適当な範囲があると推定した。
本願発明者は、上記特性を満たすため、未延伸シートの表裏の温度差とシート全体の温度の適正化について鋭意検討を行った。その結果、キャスティングドラムに続く第二冷却ロール(引き離しロール)の離れ際において、未延伸シートの表面(F)の表面温度をF、裏面(B)の表面温度をBとした場合に、未延伸シート表裏の表面温度差(F−B)は0℃以上33℃以下が望ましいことを見出した。
具体的には、第二冷却ロールの出口でシート表裏の表面温度差は5℃以上がより好ましく、8℃以上がさらに好ましく、10℃以上が特に好ましい。またシート表裏の表面温度差は、30℃以下がより好ましく、28℃以下がさらに好ましく、25℃以下が特に好ましい。
未延伸シート表裏の表面温度差(F−B)を上記範囲に制御する方法としては、冷却時間や、冷却ロールの温度を適宜制御することが望ましい。冷却されたキャスティングドラムに直接接する表面(F)は、裏面(B)に比較して早く冷却される。よって、1,000μm以上に厚くなると、表面温度差はキャスティングドラムで冷却している間、シート表裏の表面温度差が大きくなる状態が生じる。その後、キャスティングドラムに続く第二冷却ロールがある場合は、第二冷却ロールにより裏面(B)が冷却され、シート表裏の表面温度差が小さくなる。上記のような場合、例えば、冷却エアを用いて裏面を冷却させたり、キャスティングドラム径を小さくすることで早めに第二冷却ロールによる裏面の冷却を行うことにより、シート表裏の表面温度差を制御するのができる。また、冷却に要する時間は、シートの厚みや冷却ロールの速度などに依存するので、適宜、冷却エアの温度、冷却範囲、第二冷却ロールの温度などを調整するのが好ましい。
(2)縦延伸における表裏の温度差
本発明のフィルムを得るためには、縦延伸工程においてフィルム表裏に温度差を設け、フィルム表裏において分子の配向の程度を変えることが望ましい。縦延伸工程においてフィルム表裏の温度差を設けると、表面温度の高い側より表面温度が低い側の方が、配向歪みが残存し、加熱処理により発現する潜在的なソリが生じやすくなる。本発明のフィルムの製造での縦延伸時において、表裏の温度差を設けるために、ロールの温度設定や、非接触の赤外線照射、高速加熱エアによる加熱、その他の加熱または冷却手段を用いることが可能である。
さらに、本発明のフィルムを得るためには、表裏の温度差を設けた縦延伸を、多段、少なくとも2段以上で行いことが望ましい。本願の目的とする加熱により発現する潜在的なソリを設けるためには、一段で延伸しても、温度差による効果は少なく、延伸配向が進んだ状態で更に、温度差を設けた延伸を行うことが望ましい。すなわち、表裏で温度差を設けた延伸操作を少なくとも2回繰り返すことで、一段目の処理により表裏の配向が異なった状態を、更に温度差を設けて延伸を行うことにより、硬化収縮に拮抗しうるような十分な配向歪が得られないのではないかと考えている。特に、表裏の温度差を付けて一段で延伸した後に、一旦、冷却し、再度、表裏の温度差を設けた縦延伸を行うことは、効果的に配向歪を設ける点でより好ましい。
二段以上の縦延伸を行う場合、延伸倍率や表裏の温度差は、フィルムの厚さに応じて設定するのが望ましい。具体的には、周速差を設けたロール間において赤外線ヒータにより縦延伸を行い、100〜300μmの製品厚みのフィルムを作成する場合は、長手方向(縦方向)に2.0倍以上3.2倍以下の倍率となるように延伸した後に、その縦延伸後のフィルムを、表面温度が冷却されたニップロール間を通過させ、長手方向に1.03倍以上1.5倍以下の倍率となるように二段以上の延伸をすることが好ましい。表裏の温度差については、例えば、125μmの製品厚みのフィルムを作成する場合、一段目については、表裏の温度の平均が70℃以上115℃以下であって、表裏の温度差が0.3℃以上3℃以下となるように調整することが好ましく、二段目については、表裏の温度差が2℃以上5℃以下に調整することが好ましい。表裏の温度の平均が70℃未満では延伸が困難で厚み斑が生じやすくなり、115℃を超えでは表裏の温度差をつけることによる効果が得られにくくなる。また、表裏の温度差が5℃を超えると縦延伸後のシート自体にカールが生じ、ロールに沿わなくなり、キズが生じる原因となる。(なお、縦延伸工程におけるフィルム表裏の温度とはシートを厚み方向に三分割した中央以外の二つをいう。具体的には、伝熱計算により求めることが可能である。)
延伸工程においてフィルム表裏に温度差を設けて配向歪みを設ける場合は、延伸変形速度が高い方が適している。そのため、表裏の配向歪を設ける上では、上記のように縦延伸工程の方が、横延伸工程よりも適している。ただし、横延伸工程においても上下に温度差を設け、多段の延伸を行うことでフィルム表裏の配向歪を設けることは可能である。
(3)熱固定温度の上下の温度差
本発明おいて、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程において、フィルムの表裏の温度を0.1℃以上、0.5℃以下の温度差を設けることが好ましい。これは表裏の熱処理の程度に差異を設けることで、実質的に表裏の収縮率を変更することにある。熱固定工程において表裏の温度差を設けるには、例えば、熱固定装置のフィルムを介した上下で温度を変更する、または/そして風速差を設けることで可能となる。フィルムの表裏に上記温度差を設けるためには、熱固定装置の上下の温度差は3℃以上30℃以下が好ましい。3℃未満ではフィルムの温度差を付けるのに上下の風速差が5m/秒を超すこととなり、フィルムに歪み力が働くため、熱収縮率の制御が困難となったり、平面性の不均一が生じたり、厚みが変化する場合があり好ましくない。また、30℃超の温度ではフィルム上下の空気の密度差によりエアバランスの崩れが生じやすく好ましくない。熱固定工程において表裏の温度を実際に測定するのは困難な場合がある。そのため、シュミレーションによる表裏の温度の推定することが可能である。
本願発明においては、加熱処理前には平面であるにもかかわらず、加熱により顕在化する潜在的なソリを有するフィルムを得るためには、上記達成手段(1)〜(3)を適宜選択、もしくは組み合わせることが望ましい。本発明の表裏の熱収縮率を直接評価するのは困難であるが、上記達成手段により、表裏の熱収縮率と言う物性を微妙にコントロールするという思想が達成できたと考えている。
上記に詳述した方法以外、例えば製膜中に片面熱処理を行う加熱ロールを通過させたり、片面冷却反対面を赤外線加熱、熱風加熱など他の方法を用いることも可能と考えられる。更に、二軸延伸後のフィルムを表裏のフィルムの温度をオフラインで変更して熱処理を行って熱処理することにより、表裏の熱収縮率を変更することにより、加熱後のソリを望みの熱収縮率差にすることも可能である。
<本発明のフィルムの製造方法の特徴2>
通常、延伸後のフィルムの熱固定処理は、長尺状の熱風吹き出し口を有する複数本のプレナムダクトをフィルム製膜の長手方向に垂直に配置した熱固定装置内で実施される。このような熱固定装置では、加熱効率を良くするために、「熱風の循環」が行われる。熱固定装置に設置された循環ファンにより熱固定装置内の空気を吸引し、その吸引した空気を温調して、再度、プレナムダクトの熱風吹き出し口から排出される。このようにして、「熱風の吹き出し→循環ファンによる吸引→吸引した空気の温調→熱風の吹き出し」の「熱風循環」が行われる。
また、上述したように、フィルムの幅方向における熱収縮率差(フィルムの幅方向における任意の位置と、該任意の位置より幅方向に70cm以上離れた位置での熱収縮率差)は、熱固定を行う際にフィルム端部の緩和が不十分であるために発生する。図1に示すように、熱固定処理において各プレナムダクト3,3・・の熱風吹き出し口2,2・・の中央部分に連続した大型の遮蔽板Sを被せる方法(特開2001−138462号公報参照)によって、短尺のフィルムを後加工で比較的低温(例えば120℃)で処理する場合の通過性は改善される。しかし、長尺のフィルムにおいて過度な張力を掛けると通過性は改善されるものの平面性が崩れたり、シワの発生が起こり、後加工での熱処理を高温(例えば、160℃)で行った場合に、加工中のフィルムの平面性(シワなど)は、改善されない。また、図2に示すように、プレナムダクト毎に非連続の遮蔽板を被せ、風速を変更して行う方法(特開2002−79638号公報参照)では安定性に欠けることが判った。
本発明者らは、図1に示す方法では何故「長尺のフィルムにおける平面性」や「後加工での熱処理を高温にて行った場合の平面性」が改善されないのか、図2に示す方法では何故、安定性に欠けるのかを理解するため、熱固定装置内における現象の解析を詳細に行った。その結果、複数本のプレナムダクトに跨るような連続した大型の遮蔽板をプレナムダクトの熱風吹き出し口に被せると、遮蔽板により熱風の流れが制限され、上記した「熱風の循環」がスムーズに行われず、熱固定装置内で温度の乱調(温度のハンチング現象)が生じることを突き止めた。図2の場合もプレナムダクト毎に風速が異なり風のバランスが崩れ易く、温度の乱調が生じ、安定性が欠けることが判った。
本発明者らは、上記した「温度のハンチング現象」によりフィルム端部の熱緩和が不十分になる為に、「長尺のフィルムにおける平面性」や「後加工での熱処理を高温にて行った場合の平面性」が悪くなるのではないかと推測した。そこで、本発明者らは、「熱風の循環」をスムーズにするとで、「長尺のフィルムにおける平面性」および「後加工での熱処理を高温にて行った場合の平面性」を改善できるのではないかと考えた。そして、熱固定装置の温度風量条件、遮蔽板の被覆態様、および後加工におけるフィルムの通過性の三者の関係を把握すべく試行錯誤した結果、フィルム製造の際に、下記(1)の手段を講じることにより、「長尺のフィルムにおける平面性」や「後加工での熱処理を高温にて行った場合の平面性」が改善される傾向が見られた。そして、その知見に基づいて、本発明者らが、さらに試行錯誤した結果、下記(1)の手段を講じた上で、下記(2),(3)の手段を講じることにより、後加工における通過性の良好なフィルムを得ることが可能となることを見出し、本発明を案出するに至った。
(1)熱固定装置におけるプレナムダクトの温度・風量の調節
(2)熱固定装置におけるプレナムダクトの熱風吹き出し口の遮断条件の調整
(3)延伸ゾーンと熱固定装置との間における加熱の遮断
以下、上記した各手段について順次説明する。
(1)熱固定装置におけるプレナムダクトの温度・風量の調節
熱固定工程では加温・冷却を段階的に行うために、一般に、熱固定装置は温度の異なるいくつかの区分(熱固定ゾーン)に分かれている。本発明のフィルムロールの製造においては、熱固定装置の隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように、各プレナムダクトから吹き出される熱風の温度、風量を調節することが不可欠である。たとえば、熱固定装置が第1〜3の熱固定ゾーンに分割されている場合には、第1ゾーン−第2ゾーン間における温度差と風速差との積、第2ゾーン−第3ゾーン間における温度差と風速差との積のいずれもが、250℃・m/s以下となるように調節される。このように、熱風の温度、風量を調節することによって、「熱風の循環」がスムーズになる。後述する不連続な遮蔽板を熱風吹き出し口に取り付ける方法と組み合わせると、「温度のハンチング現象」が効果的に抑制される。これにより初めて、後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の平面性が良好な長尺のフィルムを得ることが可能となる。
隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が250℃・m/s以下であると(たとえば、隣接し合う熱固定ゾーン同士の温度差が20℃となるように設定するとともに、隣接し合う熱固定ゾーン同士の風速差が10m/sとなるように設定する)、熱固定装置における「熱風の循環」がスムーズに行われ、「温度のハンチング現象」を効果的に抑制することができるので好ましい。加えて、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が250℃・m/s以下であると、フィルムの通過により生じる随伴流として上流の熱固定ゾーンから下流の熱固定ゾーンへと流れ込む空気の温度差が小さくなる。そのため、下流の熱固定ゾーンの幅方向における温度が安定する為、好ましい。また、当該温度差と風速差との積は、200℃・m/s以下であると好ましく、150℃・m/s以下であるとより好ましい。
(2)熱固定装置におけるプレナムダクトの遮断条件の調整
本発明のフィルムの製造においては、複数のプレナムダクトに跨る大きな遮蔽板を取り付けるのではなく、図3に示すように、個々のプレナムダクト3,3・・の熱風吹き出し口(ノズル)2,2・・を一つずつ遮蔽するように棒状の遮蔽板S,S・・を取り付ける必要がある。このような不連続な遮蔽板を用いることで、「熱風の循環」がスムーズに行われる。また、同一の長さの遮蔽板を各プレナムダクトに取り付けるのではなく、熱固定装置の入口から出口(フィルムの通過方向)にかけて遮蔽板の長さを次第に長くするのが好ましい(図5参照)。このように、長さを調整することで、フィルム端縁部に曝される熱風温度が調整され、フィルム端縁部の歪みの解消が促される。なお、遮蔽板の材質は、熱固定装置の温度に耐えることができ、かつ、フィルムを汚したり、フィルムを粘着させたりしないものであればよいが、熱膨張の点からプレナムダクトと同一の材料を用いるのが好ましい。
(3)延伸ゾーンと熱固定装置との間における加熱の遮断(中間ゾーンの設置)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、通常、縦−横延伸された後に、熱固定処理される。本発明のフィルムの製造においては、縦−横延伸されるゾーンと熱固定処理される熱固定装置との間に、積極的な熱風の吹き付けを行わない中間ゾーンを設置することが望ましい。これにより、延伸ゾーンと熱固定装置との間で、完全に加熱の遮断が行われる。より具体的には、延伸ゾーンおよび熱固定装置をフィルム製造時と同一条件にした状態で、延伸ゾーンと熱固定装置との間に短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンおよび熱固定装置の熱風を遮断するのが好ましい。なお、そのような中間ゾーンは、ハウジングによって囲われていても良いし、連続的に製造されるフィルムが露出するように設けられていても良い。かかる中間ゾーンにおける熱風の遮断が十分になされると、熱固定装置中における遮蔽板による遮蔽効果が発揮され、後加工時における良好なフィルムの平面性が得られるようになり好ましい。本発明での横延伸温度では中間ゾーンが無くても良い。
上述した通り、上記した(1)〜(3)までの方法を採用することにより、熱固定装置における「熱風の循環」がスムーズに実行され、「温度のハンチング現象」を抑えることが可能となり、その結果、幅方向の端部際で長手方向の緩和を十分に促すことができ、「長尺のフィルムにおける平面性」や「後加工での熱処理を高温にて行った場合の平面性」を改善することが可能となる。なお、上記説明においては、プレナムダクトを設置した熱固定装置において「熱風の循環」をスムーズに実行させて「温度のハンチング現象」を抑える方法を示した。上記説明は、生産レベルにおいて如何にフィルムに熱エネルギーを付与すれば本発明のフィルムが得られるか、という技術的思想を開示したものであるが、当業者であれば、かかる技術的思想を上記した方法と異なった方法により容易に実施することができ、異なった方法で本発明のフィルムを得ることができる。例えば、遮蔽板を設けるかわりに、赤外線ヒーターを用いて、フィルム幅方向の温度を中央から端部にかけて高くしても良い。すなわち、別のタイプの熱固定装置であっても、「熱風の循環」をスムーズに実行させて「温度のハンチング現象」を抑えた上で、幅方向の端部際で長手方向に十分に緩和させるに足る熱エネルギーをフィルムに付与することにより、本発明のフィルムの如く「長尺のフィルムにおける平面性」や「加工での熱処理を高温にて行った場合の平面性」の改善されたフィルムを得ることが可能である。
<縦緩和処理>
熱固定後になされる緩和処理では、クリップ近傍のフィルムはクリップにより動きを制限されているために、長手方向の緩和が十分に実施されず、フィルム端縁部については熱収縮率が十分改善されない場合がある。長手方向の熱収縮率を小さくしようとしても、単に熱固定での温度を上げるだけでは、フィルムが着色したり、結晶化が進みフィルムが白化して透明性が悪化するという問題があり、熱収縮率を低下させることが困難であった。
そこで、本発明では、上記熱固定処理方法に加え、さらに以下の方法により長手方向の緩和を行うことでフィルムの熱収縮率を小さくすることができた。すなわち、本発明における長手方向の緩和処理は、図6、7、8に記載のように、クリップ間に屈曲可能な構造を持たせ、縦方向のクリップ間隔を調整することでフィルム端部を保持するクリップ(1)と隣接クリップとの間に屈曲可動なチェンリンク(4)で連結するジョイント部(5)を有し,当該ジョイント部(5)に連結したベアリング(8)がガイドレールを走行することで、チェンリンク(5)の屈曲角度が変位することにより、クリップの進行方向の間隔を収縮することで長手方向の緩和を実施することが可能となる(図6、7、8参照)。本発明の長手方向の緩和処理は、フィルムの製造工程で連続的に行うことができ(インライン工程)、後工程で追加の工程を加えることなく加工が可能となる。本発明における緩和率は1%以上4%以下が好ましく、1.5%以上2.0%以下が更に好ましい。
本発明における達成手段は上記の通りであるが、上記以外の製造条件、製造工程については後述する態様をとることができる。
原料樹脂を溶融押し出しする際には、ポリエチレンテレフタレート系樹脂原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥するのが好ましい。そのようにポリエチレンテレフタレート系樹脂原料を乾燥させた後に、押出機を利用して、200〜300℃の温度で溶融しフィルム状に押し出す。かかる押し出しに際しては、Tダイ法、チューブラー法等、既存の任意の方法を採用することができる。
本発明のフィルムおいて、上記した縦−横延伸を行う際に、縦延伸倍率を2.5倍以上4.5倍以下に調整するのが好ましい。縦延伸倍率が4.5倍を上回って大きくなると、次の横延伸工程で破断しやすくなる。反対に縦延伸倍率が2.5倍を下回って小さくなると、延伸張力が極端に低下してしまうため、結果的にフィルムの厚みが悪くなり易い。
上記した方法により製造される本発明のフィルムは、熱収縮率が小さく、透明性、厚み斑(特に、長手方向の厚み斑)、に優れており、特に硬化収縮性樹脂組成物を塗工するベースフィルムには硬化樹脂が硬化収縮するのでその硬化収縮後の平面性を保つのに好適に使用できる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。なお、フィルム特性の評価方法は以下の通りである。
(1)Δnabの測定
得られたフィルムの製膜の長手方向に平行な両端縁から50mm以内の位置および中央の位置からそれぞれフィルム試験片を採取した。フィルム試験片を23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に、アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、フィルムの製膜の長手方向向と45度の角度をなす方向の屈折率(n)、および、フィルムの製膜の長手方向と135度の角度をなす方向(すなわち、上記した45度の方向と90度の角度をなす方向)の屈折率(n)をそれぞれ測定した。そして、それらの2つの屈折率の差異の絶対値をΔnabとして算出した。これら2つの屈折率の差異の絶対値をΔnabとし、Δnab=│n―n│により算出した。フィルムの両端および中央のΔnabいずれも0.015以上0.060以下であることを確認し、表中には両端部のΔnabを表示した。
(2)フィルムの平面性1
フィルムから長手方向300mm×幅方向210mmの試料を50枚採取する。この試料を未延伸シート工程で最初に冷却ロールに接した面(表面(F))を上にして、温度23±2℃、湿度65±5%に管理された室内で、水平なガラス板(厚さ5mm)の上に載せてフィルム試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で測定する。四隅の高さが「0」もしくは、断面がM字状に見える時は反対面を上にしてソリを測定する。全試料において測定した四隅のソリの高さの平均値と、全試料において測定した四隅のソリの高さの最大値を表示する。
(3)フィルムの加熱後のソリ
フィルムから長手方向300mm×幅方向210mmの試料を5枚採取する。この試料を未延伸シート工程で最初に冷却ロールに接した面(表)を上にして150℃に調節した加熱オーブンの棚板の上に台紙(厚さ1mm)の上に載せて入れ30分間熱処理する。その後棚板の上に載せた台紙ごとフィルム試料を加熱オーブンより取り出し、温度23±2℃、湿度65±5%に管理された室内で、30分放置する。30分放置後、フィルム試料を水平なガラス板(厚さ5mm)に移し、フィルムの四隅のソリ(水平面から垂直方向の高さ)の高さをJIS金尺(0.5mm目盛)で測定する。四隅の高さが「0」もしくは、断面がM字状に見える時は反対面を上にしてソリを測定する。全試料において測定した四隅のソリの高さを平均して表示する。
(4)硬化性樹脂積層フィルムの平面性2(フィルムに硬化収縮性樹脂組成物を塗布しての評価)
東亞合成(株)製、M−315を40質量部、三菱レイヨン(株)製、ノナブチレングリコールジメタクリレート(PBOM)を40質量部、新中村化学工業(株)製ウレタンアクリレート(U−2PHA)を20質量部、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア184を1.2質量部を用いて樹脂組成物を調製した。前記樹脂組成物を、フィルムアプリケータを用いて、加熱によるソリで凸になる側のフィルムの表面(上記(2)フィルムの加熱後のソリの測定において台紙に接する面)に、硬化後厚みが2mmになるように塗布した。ランプ発光長50cm、160W/cmの高圧水銀灯を光源とし、照射量1J/cm(測定機器:(株)オーク製作所製、UV−350)の紫外線を塗布面よりに照射し、前記樹脂組成物を硬化させた。尚、下記測定法により硬化収縮率を測定した場合、前記樹脂組成物は約8.0%の硬化収縮率を示した。こうして得た硬化性樹脂積層フィルムから長手方向300mm×幅方向210mmの大きさにカットした試料を5枚採取した。樹脂組成物面を上にして水平なガラス板(厚さ5mm)の上に置き、JIS金尺(0.5mm目盛)にて四隅のソリの高さ(水平面からの垂直距離)を測定する。全試料において測定した四隅のソリの高さを平均して表示する。
硬化物の空気中での重量aおよび水中での重量bを測定し、式(i)より固体比重dsを求め、次に比重瓶を用いて硬化前の硬化性樹脂組成物の液比重dを測定し、上記の固体比重d値とから硬化収縮率s(%)を式(ii)より求めた。
=a/(a−b) (i)
s=(1−d/d)×100 (ii)
(5)フィルムの熱収縮率
Δnabが0.015以上0.060以下であるフィルムの幅方向の任意の位置、および該任意の位置から幅方向に70cm以上離れた位置に試料切り出し部を設け、各切り出し部からフィルム製膜の長手方向にそって、幅20mm、長さ250mmの試料フィルムを切り出すことで、一組の対となる試料を得た。さらに長手方向に任意の距離離れた位置より上記の対となる試料を採取することを繰り返し、5組の試料を作成した(計10個の試料)。切り出した幅20mm、長手方向の長さ250mmの試料に200mm間隔で標線を印し、150℃、もしくは180℃に調節した加熱オーブンに入れ、JIS/C−2318に準拠して、各試料について150℃、もしくは180℃で30分間処理したときの熱収縮率を測定した。表4には対となる試料について、熱収縮率差が最大となる組合せと、最小となる組合せを示した。
(6)フィルムの厚み
製膜後のフィルムの厚みは、電子マイクロメーターMILLITRON(精工精密機械販売)を用いて長手方向300mm、それに直角な方向に210mmに切り出したフィルム試料の長手方向に直角な方向に約20mmずつの位置で10回計測し、その平均値を求める。
また、実施例および比較例におけるフィルムの製膜条件を表1に示す。
[実施例1]
添加剤として平均粒径0.7μmのシリカ粒子(富士シリシア化学株式会社製)を0.03質量%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を水分率が50ppm以下となる様に乾燥した後、押出機に仕込み、285℃の温度で溶融した。押出機で、樹脂を溶融し、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm以上の粒子を90%カット)で濾過した。次いで、T型ダイスから樹脂シートを押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度が22℃のキャスティングドラムに巻きつけ、冷却固化させることにより、1680μmの未延伸シートを得た。更に、22℃の第二の冷却ロール(引き離しロール)から離れた未延伸シートの表裏の表面温度差(F−B)は、表1に記載のとおりであった。
そして、得られた未延伸シートを、加熱されたロール群でフィルム温度を昇温した後、前後に配置した第一ニップロールと第二ニップロールとの間で、ニップロールの間に設けた赤外線ヒータ(第一赤外線ヒータ)によって加熱しながら、長手方向(縦方向)に2.77倍延伸した(一段目の縦延伸)。このとき、第一赤外線ヒータにおいて、表の側の赤外線出力を100%とすると、裏側の赤外線の出力を90%とした。ここで後側の第二ニップロールは冷却をした。
しかる後、その縦延伸後のフィルムを、第二ニップロールとその直後に配置した第三ニップロールとの間で、ニップロールの間に設けた赤外線ヒータ(第二赤外線ヒータ)によって加熱しながら、長手方向(縦方向)に1.17倍延伸した(二段目の縦延伸)。更に、第三ニップロールとその直後に配置した第四ニップロールとの間で、ニップロール間に設けた赤外線ヒータ(第三赤外線ヒータ)によって加熱しながら、長手方向(縦方向)に1.08倍延伸した(三段目の縦延伸)。第二、第三赤外線ヒータにおいて、表の側の赤外線出力を100%とすると、裏側の赤外線の出力を95%とした。なお、赤外線ヒータの出力と表面温度の関係を予めモデル機で測定をしておき、上記の設定により、フィルム表面の温度差が表裏で、第一段目は2℃、第二段目は3℃、第三段目は3℃となるように調節した。
上記の如く、未延伸フィルムを縦方向に三段で延伸した後に、テンターに導き、135℃で4倍の横延伸を施した。その後、熱固定工程において、遮蔽板の形状は表2のA態様、温度風速は表3のI条件で下記のように熱固定処理を施し、225℃で2.2%の横緩和処理を行った。また、ベアリングをガイドレールに沿わせることで、チェンリンクの屈曲角度を変位させ、長手方向のクリップ間隔を狭めることにより1.5%の縦緩和処理を行った。この縦緩和処理を行う間にフィルム温度は220℃から150℃に下がった。次いで、両縁部を裁断除去してロール状に巻き取ることによって、厚さ125μmの二軸延伸フィルムを得た。しかる後、得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
[熱固定処理]
上記熱固定処理は、図5の如き構造を有する熱固定装置にて行った。熱固定装置は第1〜4ゾーンという4個の熱固定ゾーンに区切られており、第1〜3ゾーンには、それぞれ、8個ずつのプレナムダクトa〜xが設けられており、第4ゾーンにも、8個のプレナムダクトが設けられている。各プレナムダクトは、フィルムの進行方向に対して垂直となるように、フィルムの進行方向に対して400mm間隔で上下に設置されている。そして、それらのプレナムダクトの熱風吹き出し口(ノズル)から延伸されたフィルムに熱風が吹き付けられるようになっている。
実施例1においては、a〜oの15本のプレナムダクトの熱風吹き出し口に、不連続な棒状の遮蔽板S,S・・を、図5の如き態様で取り付けた。図7は、プレナムダクトa〜oの熱風吹き出し口に遮蔽板S,S・・を取り付けた熱固定装置を上から見た様子を示したものであり、取り付けられた各遮蔽板S,S・・の長手方向の中心は、熱固定装置を通過するフィルムの幅の中心と略一致するように設定されている。また、各遮蔽板S,S・・の長さ(製造されるフィルムの幅方向における寸法)は、熱固定装置の入口から出口にかけて次第に幅広になるように(すなわち、末広がりになるように)調整されている。a〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口の遮蔽率(遮蔽板による熱風吹き出し口の遮蔽面積/熱風吹き出し口の面積)を表2に示す。なお、実施例1における遮蔽板による遮蔽態様を「A態様」とする。
また、実施例1においては、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3の如く調整した。なお、実施例1の熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度条件、風速条件においては、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下になっている。なお、実施例1における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「I条件」とする。
[実施例2]
押出機の押出量を増加させ、未延伸シートの引取り速度を調整するとともに、未延伸シートをキャスティングドラムに巻き付ける際に、19℃の冷却エアによる冷却風を用いて冷却して厚みが2,400μmの未延伸シートを得た。キャスティングドラムの温度は22℃、第二の冷却ロールの温度は30℃とした。この時の第二の冷却ロールから離れた未延伸シートの表面温度差(F−B)は、表1に記載のとおりであった。そして、得られた未延伸シートを、の第一段目の延伸倍率を2.6倍に変更し、第二段目の延伸倍率を1.27倍に変更して二段で縦延伸し、さらに実施例1と同様に横延伸した。その後、横緩和処理を1.7%とし、縦緩和処理を1.7%とすることによって、厚さ188μmの二軸延伸フィルムを製造した。なお、実施例2における遮蔽板による遮蔽態様を「B態様」とし、実施例2における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「II条件」とする。そして得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
[実施例3]
押出機の押出量を増加させ、未延伸シートの引取り速度を調整するとともに、未延伸シートをキャスティングドラムに巻き付ける際に、19℃の冷却エアによる冷却風を用いて冷却して厚みが3,090μmの未延伸シートを得た。第一の冷却ロールの温度は22℃、第二の冷却ロールの温度は30℃とした。この時の第二の冷却ロールから離れた未延伸シートの表裏の温度差は表1に記載の通りであった。そして、得られた未延伸シートを表1の様に縦延伸し、その縦延伸フィルムをテンターに導き、横延伸を実施し、熱固定、横緩和、縦緩和を実施した。この様にして厚さ250μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。しかる後、上記した方法により特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
[実施例4]
押出機の押出量を増加させ、未延伸シートの引取り速度を調整し、表面温度が22℃のキャスティングドラムに巻きつけ冷却固化させ実施例1と同様に1,680μmの未延伸シートを得た。この未延伸シートを第一段目の延伸倍率を2.78倍に変更し、第二段目の延伸倍率を1.26倍に変更して二段で縦延伸し、さらに横延伸した。その後、横緩和処理を2.2%とし、縦緩和処理を1.7%とすることによって、厚さ125μmの二軸延伸フィルムを製造した。そして得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
[実施例5]
押出機の押出量を増加させ、未延伸シートの引取り速度を調整し、表面温度が22℃のキャスティングドラムに巻きつけ冷却固化させ実施例1と同様に1,680μmの未延伸シートを得た。この未延伸シートを第一ニップロールの直前に設けた赤外線ヒータにより、表面のみ加熱し、表1に記載のようなフィルム表裏の温度差を設けた。その後、この未延伸シートを第一ニップロールの直前に設けた赤外線ヒータにより、表面のみ加熱し、表1に記載のようなフィルム表裏の温度差を設けた。しかる後、実施例1と同様に三段で縦延伸を実施し、横延伸、熱緩和処理を実施した。この様にして厚さ125μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。しかる後、上記した方法により特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
[比較例1]
縦延伸での赤外線出力を表裏で同一に変更した以外は実施例1と同様に125μmの二軸延伸フィルムを得た。そして得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
[比較例2]
縦延伸での赤外線出力を表裏で同一に変更した以外は実施例2と同様に188μmの二軸延伸フィルムを得た。そして得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
[比較例3]
縦延伸での赤外線出力を表裏で同一に変更した以外は実施例3と同様に250μmの二軸延伸フィルムを得た。そして得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
[比較例4]
押出機の押出量を減少させ、未延伸シートの引取り速度を調整するとともに、未延伸シートをキャスティングドラムに巻き付ける際に、19℃の冷却エアによる冷却風を用いて冷却して厚みが3,150μmの未延伸シートを得た。縦緩和処理を実施せずに、表1の様に実施して、250μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
[比較例5]
未延伸シートの引取り速度を調整して2,440μmの厚みの未延伸シートを得た。その後、縦緩和処理を実施しなかった以外は実施例2と同様に実施して、188μmの二軸延伸フィルムを得た。評価結果を表4に示す。
[比較例6]
未延伸シートの引取り速度を調整し、未延伸シートの厚みを1,710μmのシートを用いて表1の様に縦延伸条件を変更し、縦緩和処理を実施せずに実施例1と同様に125μmの二軸延伸フィルムを得た。そして得られたフィルムの特性を、上記した各測定方法によって評価した。評価結果を表4に示す。
フィルム通過性が「○」であって、平面性1の平均値がフィルムの厚みの20%以下、最大値がフィルムの厚み以下であって、平面性2の平均値が0.5mm以下であり、熱収縮率が本願要件をみたすものを合格と判定して「○」とし、一つでも不合格のものは判定で「×」とした。
表4から、実施例のフィルムは、いずれも、熱収縮率が小さく、平面性が良好である上、硬化収縮性樹脂組成物を塗布し、硬化に伴う硬化収縮が起こっても、表裏の熱収縮率の違いに起因して積層体全体としての平面性は極めて良い。
本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムは、熱収縮率が小さく、平面性、寸歩安定性に優れ、積層体のベースフィルムとして好適である。例えば、レンズフィルム、拡散フィルム、ハードコートフィルム、NIRフィルムなどの各種光学フィルム、タッチパネル、ITOなど積層体のベースフィルムとして好適である。また、硬化性塗剤などを塗布積層する建材用途、硬化性樹脂インキなどを用いる記録材用途、2枚以上のフィルムを張り合わせて用いる張り合わせ部材用途などのベースフィルムとしても好適である。
従来の遮蔽板による遮蔽態様を示す説明図(a)は、熱固定装置の一部の鉛直断面を示したものであり、(b)は、プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けた状態を上から見た状態を示したものである。 特開2002−79638号公報の図、プレナムダクトの遮蔽板により遮蔽されてプレナムダクトから吹き出る風速がプレナムダクト毎に異なっていることを示したものである。 本発明における遮蔽板による遮蔽態様を示す説明図である。(a)は、熱固定装置の一部の鉛直断面を示したものであり、(b)は、プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けた状態を上から見た状態を示したものである。 実施例、比較例で用いた熱固定装置を上から透視した状態を示す説明図である。 遮蔽板による遮蔽態様を示す説明図である。 本発明における長手方向の緩和を実施するクリップチェンの拡大部分を示す平面図である。 (a)本発明における長手方向の弛緩を実施するクリップチェンの拡大部分を示す縦の断面図である。(b)はガイドレールが半分程変位した状態を示す。 本発明における横延伸機全体を示す説明図である。
符号の説明
1:熱固定装置
2:熱風吹き出し口
3,a〜x:プレナムダクト
4:クリップ
5,6:クリップに連結したベアリング
7:チェンリンク
8:ジョイント部
9:クリップが取り付けられる台
10:クリップに連結したベアリング
11:ジョイント部に連結したベアリング
12:クリップ走行レール
13:ベアリングガイドレール
F:フィルム
S:遮蔽板
A:フィルムの巻き取り方向
Z1:第1ゾーン
Z2:第2ゾーン
Z3:第3ゾーン
Z4:第4ゾーン
N1、N2:中間ゾーン

Claims (2)

  1. フィルムの製膜の長手方向と45度の角度をなす方向の屈折率とそれに90度の角度をなす方向の屈折率との差異Δnabが0.015以上0.060以下である二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムであって、下記要件(1)〜(5)を満たす二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム。
    (1)フィルムを製膜の長手方向に300mm、それに直角な幅方向に210mmの試料を採取し、前記試料の片側の面を上にして台紙に載せ、加熱オーブン中で150℃で30分間熱処理した後、台紙ごと前記試料を加熱オーブンより取り出し、前記試料を室温で30分放置した後、前記試料の四隅のソリの高さ(水平面から垂直方向の高さ)をJIS金尺(0.5mm目盛)で測定した際に、四隅のソリの高さの平均が0.5mm以上5.0mm以下であること
    (なお、加熱後に室温で放置した後の前記試料のソリの高さが0mmであるか、もしくは、前記試料の断面がM字状である場合は、前記試料の上下面を反対にしてソリの高さを測定する。)
    (2)150℃で30分間加熱したときのフィルムの製膜の長手方向の熱収縮率であるHS150が、0.0%以上0.5%未満であること
    (3)フィルムの幅方向における任意の位置と、その位置より幅方向に70cm以上離れた位置から試料を切り出し、それら2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム製膜の長手方向の熱収縮率であるHS150を求めたときに、それらのHS150の差異が0.1%以下であること
    (4)180℃で30分間加熱したときのフィルムの製膜の長手方向の熱収縮率であるHS180が、0.7%以上1.5%未満であること
    (5)フィルムの幅方向における任意の位置と、その位置より幅方向に70cm以上離れた位置から試料を切り出し、それら2つの試料について、180℃で30分間加熱したときのフィルム製膜の長手方向の熱収縮率であるHS180を求めたときに、それらのHS180の差異が0.15%以下であること
  2. 前記二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの厚みが100μm以上400μm以下である請求項1に記載の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム。
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