JP4835379B2 - ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロール、およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらのHS150の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.1%以下であること
(2)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS150を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS150が、いずれも0.7%以上2.0%以下であること
(3)前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における片端縁側のHS150の変動量、および、前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における他端縁側のHS150の変動量が、いずれも0.25%以下であること
(4)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
(5)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
(6)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること
PETの粉砕試料を乾燥後、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)の混合溶媒に溶解し、オストワルド粘度計を用いて、30℃で0.4(g/dl)の濃度の溶液の流下時間、および、溶媒のみの流下時間を測定し、それらの時間比率から、Hugginsの式を用いて、Hugginsの定数が0.38であると仮定して算出する。
原料を粉砕した後、ベンジルアルコールに溶解し、クロロホルムを加えてから水酸化ナトリウム溶液で中和滴定し、PET1t当たりの水酸化ナトリウムの当量を算出する。
位相差顕微鏡およびCCDカメラを用いて、溶融させた原料チップの拡大画像を撮影し、画像処理装置を用いて異物数を計数する。
1)フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設ける。
2)巻き取ったフィルムの長さ(巻き長)を9で除した値(以下、「切り出し部間隔」という)を算出する。
3)フィルムの巻き終わりから「切り出し部間隔」毎に、試料切り出し部を設ける。
4)フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設ける。
(1)熱固定装置におけるプレナムダクトの温度・風量の調節
(2)熱固定装置におけるプレナムダクトの熱風吹き出し口の遮断条件の調整
(3)延伸ゾーンと熱固定装置との間における加熱の遮断
以下、上記した各手段について順次説明する。
本発明のフィルムロールの製造においては、熱固定装置の隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように、各プレナムダクトから吹き出される熱風の温度、風量を調節することが不可欠である。たとえば、熱固定装置が第1〜3の熱固定ゾーンに分割されている場合には、第1ゾーン−第2ゾーン間における温度差と風速差との積、第2ゾーン−第3ゾーン間における温度差と風速差との積のいずれもが、250℃・m/s以下となるように調節されている必要がある。そのように、各熱固定ゾーンにおいてプレナムダクトの熱風吹き出し口から吹き出される熱風の温度、風量を調節することによって、後述するように不連続な遮蔽板をプレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付けた場合に、熱固定装置における「熱風の循環」がスムーズに実行され、「温度のハンチング現象」が効果的に抑制されるため、初めて、後加工における熱固定処理を高温にて行った場合の通過性が良好な長尺のフィルムを得ることが可能となる。
本発明のフィルムロールの製造においては、上記の如く、各熱固定ゾーンにおいてプレナムダクトの熱風吹き出し口から吹き出される熱風の温度、風量を調節した上で、熱固定装置内に配置された複数のプレナムダクトに跨る大きな遮蔽板を取り付けるのではなく、図2の如く、個々のプレナムダクト3,3・・の熱風吹き出し口(ノズル)2,2・・を一つずつ遮蔽するように棒状の遮蔽板S,S・・を取り付ける必要がある。また、そのように、各プレナムダクトに棒状の遮蔽板を取り付けるに際して、同一の長さの遮蔽板を各プレナムダクトに取り付けるのではなく、熱固定装置の入口から出口にかけて遮蔽板の長さを次第に長くするのが好ましい(図1参照)。なお、遮蔽板の材質は、熱固定装置内での熱膨張を考慮するとプレナムダクトと同一の材料を用いるのが好ましいが、熱固定装置の温度に耐えることができ、かつ、フィルムを汚したり、フィルムを粘着させたりしないものであれば、特に限定されるものではない。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールは、通常、上記したように縦・横延伸された後に、熱固定処理されることによって製造されるが、本発明のフィルムロールの製造においては、縦・横延伸されるゾーンと熱固定処理される熱固定装置との間に、積極的な熱風の吹き付けを行わない中間ゾーンを設置し、延伸ゾーンと熱固定装置との間において完全に加熱の遮断を行うのが好ましい。より具体的には、延伸ゾーンおよび熱固定装置をフィルム製造時と同一条件に調整し、その状態で延伸ゾーンと熱固定装置との間において、短冊状の紙片を垂らしたときに、その紙片がほぼ完全に鉛直方向に垂れ下がるように、延伸ゾーンおよび熱固定装置の熱風を遮断するのが好ましい。なお、そのように積極的な熱風の吹き付けを行わない中間ゾーンは、ハウジングによって囲われていても良いし、連続的に製造されるフィルムが露出するように設けられていても良い。かかる中間ゾーンにおける熱風の遮断が不十分であると、熱固定装置中における遮蔽板による遮蔽効果が不十分なものとなり、後加工時における良好なフィルムの通過性が得られないので好ましくない。
本発明のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールは、未延伸または一軸延伸ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルム(以下、基材フィルムという)の少なくとも片面に、粒子を含有した水分散性または水溶性のアクリル樹脂を含む塗布液を塗工し、塗膜(以下、被覆樹脂層あるいは易滑易接着層という)を乾燥後、少なくとも一方向に延伸して得られる。
<塗布液の調整>
水分散性アクリル樹脂として、日本触媒化学(株)社製のアクリセット270E 9質量部を、水45.5質量部およびイソプロピルアルコール36質量部の混合溶液に加えて、十分に混合した。水分散性ポリエステル共重合樹脂として、スルホン酸ナトリウム含有ポリエステル共重合樹脂である東洋紡績(株)社製のMD−1250 5.5質量部を撹拌しながら加え、さらに架橋剤として、水分散性ウレタン樹脂の一種であるブロック化イソシアネート基含有自己架橋型樹脂の第一工業製薬(株)社製のエラストロンBN−11 1.9質量部を加えた。静電気防止剤として、アルキルスルホン酸ナトリウムである松本油脂製薬工業(株)社製のTB−214 1質量部を添加し、水39質量部およびイソプロピルアルコール39質量部の混合溶液中に加えて、十分に混合した。
一方、微粒子を含有しない(含有量0ppm)ポリエチレンテレフタレートを([η]=0.60)を水分率が50ppmとなるように乾燥した後に押出機直上のホッパ内に仕込み、押出機内で285度の温度にて溶融させた。また、押出機で溶融する際には、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度:10μm以上の粒子を90%カット)で溶融樹脂を濾過した。次いで、溶融させた樹脂をT型のダイスからシートとして押し出し、静電印加キャスト法を用い、表面が30℃に調節されたキャスティングドラムに巻き付けて冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。
上記熱固定処理は、図3の如き構造を有する熱固定装置にて行った。熱固定装置は第1〜4ゾーンという4個の熱固定ゾーンに区切られており、第1〜3ゾーンには、それぞれ、8個ずつのプレナムダクトa〜xが設けられており、第4ゾーンにも、8個のプレナムダクトが設けられている。各プレナムダクトは、フィルムの進行方向に対して垂直となるように、フィルムの進行方向に対して400mm間隔で上下に設置されている。そして、それらのプレナムダクトの熱風吹き出し口(ノズル)から延伸されたフィルムに熱風が吹き付けられるようになっている。
上記の如く得られた6本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、以下の方法により特性の評価を行った。また、熱収縮率の測定においては、フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き終わりから、フィルムの巻き長を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けるとともに、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設けることによって、1本のスリットロールについて合計10個の試料切り出し部を設け、その10個の試料切り出し部から試料フィルムを切り出した。評価結果を表4に示す。
各試料切り出し部から切り出された各試料フィルムを23℃、65%RHの雰囲気中で2時間以上放置した後に、アタゴ社製の「アッベ屈折計4T型」を用いて、巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率、および、巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向(すなわち、上記した45度の角度をなす方向と90度の角度をなす方向)の屈折率をそれぞれ測定した。そして、それらの2つの屈折率の差異の絶対値をΔnabとして算出した。
サンプル幅20mmで測定する方向に200mmの標線を入れ、150℃に調節した加熱オーブンに入れ、JIS C−2318に準拠して、熱収縮量の測定を実施した。
2本のロールの間隔が1,900mmであるコーターを用い、温度を100℃、炉内張力を100Nに設定して、スリットロールの熱処理を行った。次いで、フィルムの平面性を評価するために、ロール間隔が2,000mmの2本の水平に配置したロールにフィルムを98Nの張力下通過させた。なお、このロール間隔が2,000mmのロール間の中央位置には、水平に配置したロール上面の共通接線から30mm下の位置に鉄棒の上面が位置されるように鉄棒を配置し、フィルムを通過させた際に、その鉄棒にフィルムが接触しない場合は○とし、鉄棒に接触した場合には×とした。これらの工程は連続して行ない、フィルムが鉄棒に接触したか否かの確認は目視にて行った。
JIS−K−7136に準拠し、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製、300A)を用いて測定した。なお、測定は2回行い、その平均値を求めた。
ASTM−D−1894に準拠し、引張試験機(ORIENTEC社製テンシロン RTC−1225A)を用い、23℃・65%RH環境下で、フィルムの表面と裏面とを接合させた場合の動摩擦係数μdを求めた(5回測定して平均値を算出した)。なお、上側のフィルムを巻き付けたスレッド(錘)の重量は、3.5kgであり、スレッドの底面積の大きさは、縦95mm×横90mmであった。また、摩擦測定の際の引張速度は、200mm/min.であった。なお、表4においては、μdが0.45未満のものを“○”、0.45以上0.80未満のものを“△”、0.80以上のものを“×”として示した。
フィルムをA4サイズにサンプリングし、電子写真方式の複写機リコー(株)社製のimagio MF3580Wまたはミノルタ(株)社製のBC3000Aを用いて、フィルムサンプルの被覆樹脂層に画像を複写して、トナー抜け面積を複写する原図と比較して目視チェックを実施し、以下の基準で3段階のランクを付ける。
○:すべてのサンプルの画像でトナー抜けが1%未満
△:すべてのサンプルの画像でトナー抜けが1%以上5%未満
×:すべてのサンプルの画像でトナー抜けが5%以上
フィルムをA4サイズにサンプリングし、電子写真方式の複写機リコー(株)社製のimagio MF3580Wまたはミノルタ(株)社製のBC3000Aを用いて、フィルムサンプルの被覆樹脂層に画像を複写して、トナー転写面にニチバン(株)社製の24mm幅セロテープ(登録商標)を気泡が入らないように貼付し、その上を5回ほど体重を掛けてこすり、充分に密着させた後、上記トナー転写面のセロテープ(登録商標)が密着されていない前後の両端部を手で押さえ、セロテープ(登録商標)の上の方向(角度90度方向)に急速に剥離し、剥離後のトナー転写面を目視で観察し、トナー残留率をもって、以下の基準で4段階のランクを付ける。
◎:すべての測定で、セロテープ(登録商標)剥離テストによるフィルム面側のトナー層の残留率が90/100以上
○:すべての測定のうち、セロテープ(登録商標)剥離テストによるフィルム面側のトナー層の残留率が85/100〜89/100が10%以下、残りは90/100以上
△:すべての測定のうち、セロテープ(登録商標)剥離テストによるフィルム面側のトナー層の残留率が85/100〜89/100が11〜50%以下、残りは90/100以上
×:すべての測定で、セロテープ(登録商標)剥離テストによるフィルム面側のトナー層の残留率が85/100〜89/100が50%を超える
フィルムサンプルを可視光硬化型樹脂(たとえば、エボキシ樹脂)により室温で放置硬化後、ダイヤモンドナイフを装着したウルトラミクロトームを用いて、超薄切片を作製して四酸化ルテニウムにより染色後、日本電子(株)社製のTEM2010を用いて、フィルムの断面写真(倍率は加速電圧200kvでDirect Mas×30000、Final Mag×76200)を得て、この写真より塗膜厚さの幅方向に5点測定した平均値を塗膜厚さとして算出する。
<塗布液の調整>
水分散性アクリル樹脂として、日本触媒化学(株)社製のアクリセット270E 14.5質量部を、水45.5質量部およびイソプロピルアルコール36質量部の混合溶液に加えて、十分に混合した。さらに架橋剤として、水分散性ウレタン樹脂の一種であるブロック化イソシアネート基含有自己架橋型樹脂の第一工業製薬(株)社製のエラストロンBN−11 1.9質量部を加えた。静電気防止剤として、アルキルスルホン酸ナトリウムである松本油脂製薬工業(株)社製のTB−214 1質量部を添加し、水39質量部およびイソプロピルアルコール39質量部の混合溶液中に加えて、十分に混合した。
押出機による溶融押し出し量を増加させて、未延伸フィルムの幅を実施例1の未延伸フィルムよりも増加させるとともに、熱固定装置の各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける遮蔽板を表2の如き遮蔽率となるように変更し、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3の如く変更した。また、縦延伸後に塗布する塗布液を上記した塗布液Bに変更した。それ以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmで幅5,300mmのフィルムを6,500m巻き取ったミルロールを得た。しかる後、そのミルロールを巻き返しながら、両端部を150mmずつ除去しながら残りの部分を幅方向に等間隔に5つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長3,010mの10本のスリットロールを得た。そして、上記の如く得られた10本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、実施例2における遮蔽板による遮蔽態様を「B態様」とし、実施例2における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「II条件」とする。
<塗布液の調整>
水分散性アクリル樹脂として、三菱レーヨン(株)社製のダイアナール LX−1200 9質量部を、水45.5質量部およびイソプロピルアルコール36質量部の混合溶液に加えて、十分に混合した。さらに、水分散性ポリエステル共重合樹脂として、スルホン酸ナトリウム含有ポリエステル共重合樹脂である東洋紡績(株)社製のMD−1250 5.5質量部を撹拌しながら加えた。静電気防止剤として、アルキルスルホン酸ナトリウムである松本油脂製薬工業(株)社製のTB−214 1質量部を添加し、水39質量部およびイソプロピルアルコール39質量部の混合溶液中に加えて、十分に混合した。
得られた塗布液Cを縦延伸後に塗布した以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを幅1,000mmで巻長3,010mに巻き取った6本のスリットロールを得た。そして、上記の如く得られた6本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例1と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。そして、塗布液を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを幅1,000mmで巻長3,010mに巻き取った6本のスリットロールを得た。そして、上記の如く得られた6本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
熱固定処理に利用する熱固定装置のa〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に、一体となった大型の遮蔽板を取り付けた以外は、実施例1と同様にして、3本のスリットロールを得た。なお、大型の遮蔽板による遮蔽率が、実施例1と同じになるように遮蔽板の形状を調整した。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
塗布液を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmで幅1,000mmのフィルムを巻き取ったフィルムロールの製造を試みたが、フィルムの滑り性が不十分なため、外観の良好なフィルムロールを得ることはできなかった。得られた短尺のフィルムの特性を、実施例1と同様の方法により評価した。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例1と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。それ以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを幅1,000mmで巻長3,010mに巻き取った6本のスリットロールを得た。そして、上記の如く得られた6本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
<塗布液の調整>
まず、ジカルボン酸成分として(ジカルボン酸成分全体に対して)ジメチルテレフタレート49モル%、ジメチルイソフタルレート49モル%、および5−スルホナトイソフタル酸2モル%、グリコール成分として(グリコール成分全体に対して)エチレングリコール50モル%およびネオペンチルグリコール50モル%を用いて、常法によりエステル交換反応および重縮合反応を行って、水分散性スルホン酸金属塩基含有共重合ポリエステル樹脂を調製した。
得られた塗布液Dを縦延伸後に塗布した以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmのフィルムを幅1,000mmで巻長3,010mに巻き取った6本のスリットロールを得た。そして、上記の如く得られた6本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例1と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。また、未延伸シートの作製の際には、押出機による溶融押し出し量を増加させて、未延伸フィルムの幅を実施例1の未延伸フィルムの幅より増加させた。そして、熱固定処理に利用する熱固定装置の各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける遮蔽板を表2の如き遮蔽率となるように変更し、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3の如く変更し、塗布液の塗布は行わなかった以外は、実施例1と同様にして、厚さ100μmで幅5,300mmのフィルムを6,500m巻き取ったミルロールを得た。しかる後、そのミルロールを巻き返しながら、両端部を150mmずつ除去しながら残りの部分を幅方向に等間隔に5つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長3,010mの10本のスリットロールを得た。そして、上記の如く得られた10本のスリットロールのうち、ミルロールの片方の端縁側(フィルムの流れの上流から下流を見たときの右側)に相当するスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.0065wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例1と同様に溶融押し出しし、冷却固化させるときに引取速度を下げて未延伸シートの厚みを2,440μmまで増加させた。そして、長手方向への延伸操作を3.3倍の延伸操作に変更し、塗布液の塗布を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、厚さ188μmで幅3,300mmのフィルムを4,500m巻き取ったミルロールを得た。しかる後、そのミルロールを巻き返しながら、両端部を150mmずつ除去しながら残りの部分を幅方向に等間隔に3つにスリットする工程を繰り返し、ミルロールの表層から凡そ200mを除外することによって、幅1,000mmで巻長2,010mの6本のスリットロールを得た。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例2と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸フィルムを延伸、熱固定する際に、熱固定装置の各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける遮蔽板を表2の如き遮蔽率となるように変更し、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3の如く変更した以外は、実施例1と同様にして、3本のスリットロールを得た。なお、実施例4における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「III条件」とする。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例1と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸フィルムを延伸、熱固定する際に、熱固定装置のa〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に、一体となった大型の遮蔽板を取り付けた以外は、実施例1と同様にして、3本のスリットロールを得た。なお、大型の遮蔽板による遮蔽率が、実施例1と同じになるように遮蔽板の形状を調整した。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例2と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸フィルムを延伸、熱固定する際に、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3の如く変更し、熱固定装置のa〜vの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に、一体となった大型の遮蔽板を取り付けた以外は、実施例2と同様にして、3本のスリットロールを得た。なお、大型の遮蔽板による遮蔽率が、実施例2と同じになるように遮蔽板の形状を調整した。また、比較例2における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「IV条件」とする。そして、実施例2と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例2と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸フィルムを延伸、熱固定する際に、 熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3の如く変更し、熱固定装置のa〜vの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に、一体となった大型の遮蔽板を取り付けた以外は、実施例2と同様にして、3本のスリットロールを得た。なお、大型の遮蔽板による遮蔽率が、実施例2と同じになるように遮蔽板の形状を調整した。そして、実施例2と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例1と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸フィルムを延伸、熱固定する際に、熱固定装置のa〜oの各プレナムダクトの熱風吹き出し口に取り付ける棒状の遮蔽板による遮蔽態様を表2の如く変更するとともに、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3の如く変更した以外は、実施例1と同様にして、3本のスリットロールを得た。なお、比較参考例4における各遮蔽板の長さ(製造されるフィルムの幅方向における寸法)は、熱固定装置の入口から出口にかけて次第に幅狭になるように調整されている。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例1と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸フィルムを延伸、熱固定する際に、各プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けることなく熱固定を実施するとともに、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3の如く変更した以外は、実施例1と同様にして、3本のスリットロールを得た。なお、比較参考例5における第1〜4ゾーンの温度、風速条件を「VI条件」とする。そして、実施例1と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
微粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートの代わりに、添加剤として平均粒径0.7μmのシリカを0.03wt%含有したポリエチレンテレフタレート([η]=0.60)を用いて、実施例2と同様に溶融押し出しし、冷却固化させることによって、1,380μmの未延伸シートを得た。そして、得られた未延伸フィルムを延伸、熱固定する際に、各プレナムダクトの熱風吹き出し口に遮蔽板を取り付けることなく熱固定を実施するとともに、熱固定装置の第1〜4ゾーンの温度、風速を表3の如く変更した以外は、実施例2と同様にして、5本のスリットロールを得た。そして、実施例2と同位置にあるスリットロールを用いて、フィルムおよびフィルムロールの特性の評価を行った。評価結果を表4に示す。
表4から、実施例のフィルムロールは、いずれも、ロール全幅に亘る熱収縮率の差(すなわち、熱収縮率差)が小さい上、長手方向における熱収縮率の変動量も小さく、後加工時における通過性が良好であり、後加工に適していることが分かる。また、透明性がきわめて高く(ヘイズが低く)、その上、滑り性が良好(動摩擦係数が小さい)で、接着性(トナー密着性、トナー転写性)も良好であることが分かる。これに対して、比較例のフィルムロールは、透明性が低かったり、滑り性が不良であったり、ロール全幅に亘る熱収縮率差が大きい上、長手方向における熱収縮率の変動量も大きく、後加工時における通過性が不良であったり、接着性が不良であったりすることが分かる。
Claims (5)
- 長さが300m以上8,000m以下で幅が0.7m以上2.2m以下となるようにスリットされたポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムを巻き取ってなり、
巻き取られたフィルムの巻取方向と45度の角度をなす方向の屈折率と巻き取られたフィルムの巻取方向と135度の角度をなす方向の屈折率との差異であるΔnabが0.015以上0.060以下であるポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールであって、
実質的に粒子を含有していないフィルム基材の少なくとも片面に、水分散性または水溶性のアクリル樹脂と粒子とを含む塗布液を塗工し、乾燥した後に、少なくとも一方向に延伸して巻き取ることによって得られるものであり、かつ、
フィルムの巻き終わりから2m以内に最初の試料切り出し部を設け、フィルムの巻き始めから2m以内に最終の切り出し部を設け、それらの最初と最終の切り出し部との間を9等分した長さ毎に試料切り出し部を設けることによって、合計10個の試料切り出し部を設けたとき、下記要件(1)〜(3)を満たすものであり、なおかつ、
巻き取られたポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムの厚みが70μm以上400μm以下であり、ヘイズが0.2以上1.3以下であることを特徴とするポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロール。
(1)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、その2つの試料について、150℃で30分間加熱したときのフィルム巻き取り方向の熱収縮率であるHS150を求め、それらのHS150の差である熱収縮率差を求めたときに、すべての切り出し部における熱収縮率差が、いずれも0.1%以下であること
(2)前記各切り出し部において、ロールの幅方向における片端縁から50mm以内の位置および他端縁から50mm以内の位置からそれぞれ試料を切り出し、それぞれの試料についてHS150を求めたときに、すべての切り出し部における両端縁の試料のHS150が、いずれも0.7%以上2.0%以下であること
(3)前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における片端縁側のHS150の変動量、および、前記各切り出し部において求めたロールの幅方向における他端縁側のHS150の変動量が、いずれも0.25%以下であること - フィルム内部に存在する粒子の量が1ppm以上100ppm以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロール。
- 請求項1、または請求項2に記載されたポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールを製造するための製造方法であって、
押出機から原料樹脂を溶融押し出しすることにより未延伸シートを形成するフィルム化工程と、そのフィルム化工程で得られる未延伸シートを縦方向および横方向に二軸延伸する二軸延伸工程と、二軸延伸後のフィルムを熱固定する熱固定工程とを含んでおり、
その熱固定工程が、下記要件(4)〜(6)を満たす熱固定装置において行われることを特徴とするポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールの製造方法。
(4)熱風を吹き出す幅広な複数のプレナムダクトが、フィルムの進行方向に対して上下に対向して配置されていること
(5)前記複数のプレナムダクトに熱風の吹き出し口を遮蔽するための遮蔽板が取り付けられていること
(6)前記各遮蔽板のフィルムの進行方向における寸法が、フィルムの進行方向における各プレナムダクトの吹き出し口の寸法と略同一に調整されており、前記各遮蔽板のフィルムの幅方向における寸法が、フィルムの進行方向に対して次第に長くなるように調整されていること - 二軸延伸工程がフィルムを縦方向に延伸した後に横方向に延伸するものであるとともに、その横延伸を行うゾーンと熱固定装置との間に、風の吹き付けを実行しない中間ゾーンを設けたことを特徴とする請求項3に記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールの製造方法。
- 熱固定装置が、複数の熱固定ゾーンに分割されているとともに、隣接し合う熱固定ゾーン間における温度差と風速差との積が、いずれも、250℃・m/s以下となるように設定されていることを特徴とする請求項3、または請求項4に記載のポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムロールの製造方法。
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