JP2011063790A - 高熱伝導性熱可塑性樹脂 - Google Patents

高熱伝導性熱可塑性樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱伝導性に優れる熱可塑性樹脂であって、高熱伝導性無機充填剤を配合しなくても樹脂単体で高熱伝導性を有し、かつ汎用射出成形用金型でも射出成形可能な熱可塑性樹脂を提供すること。
【解決手段】 樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが少なくとも一つ観測されることを特徴とする熱可塑性樹脂。前記熱可塑性樹脂は、主鎖が主としてメソゲン基とスペーサーで示される単位の繰り返し単位からなり、主として鎖状の構造よりなるものであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂単体で熱伝導性に優れ、射出成形可能な熱可塑性樹脂に関する。
熱可塑性樹脂組成物をパソコンやディスプレーの筐体、電子デバイス材料、自動車の内外装、など種々の用途に使用する際、プラスチックは金属材料など無機物と比較して熱伝導性が低いため、発生する熱を逃がしづらいことが問題になることがある。このような課題を解決するため、高熱伝導性無機充填剤を大量に熱可塑性樹脂中に配合することで、高熱伝導性樹脂組成物を得ようとする試みが広くなされている。高熱伝導性無機充填剤としては、グラファイト、炭素繊維、アルミナ、窒化ホウ素、等の高熱伝導性無機充填剤を、通常は30体積%以上、さらには50体積%以上もの高含有量で樹脂中に配合する必要がある。しかしながら、無機充填剤を大量に配合しても樹脂単体の熱伝導性が低いために、樹脂組成物の熱伝導率には限界があった。そこで樹脂単体の熱伝導性の向上が求められている。
樹脂単体の熱伝導性が優れた熱硬化性樹脂としては、例えば、特許文献1に記載のエポキシ樹脂、又は特許文献2に記載のビスマレイミド樹脂が報告されている。該樹脂は、ある程度熱伝導性を有する一方、分子構造が複雑であり、製造が困難であるという欠点を有する。特許文献3に記載のエポキシ樹脂は合成が比較的簡便であるが、熱伝導率が不十分であった。
一方、熱可塑性樹脂については、特許文献4に記載の、熱液晶ポリエステルを流動場、せん断場、磁場、及び電場から選ばれる少なくとも一種の外場によって配向させることで、熱液晶ポリエステルの配向方向に熱伝導性が高い樹脂成形体がある。該樹脂成形体は一軸方向について熱伝導性が高いが、他の二軸方向は熱伝導性が低く、また、所望の熱伝導率を得るには、磁場の場合、少なくとも3テスラ以上の磁束密度を必要とし、製造が困難である。
その他、これまで延伸、磁場配向など特殊な成形加工なしに、樹脂単体が高熱伝導性を有する熱可塑性樹脂について研究報告例はない。液晶性熱可塑性樹脂については非特許文献1〜4に液晶相を示すメソゲン基とアルキル鎖との交互重縮合体が記載されている。しかし、これらポリマーの熱伝導率及び熱伝導率とX線回折ピークの関係に関しては一切記載されていない。
国際公開番号WO2002/094905号公報 特開2007−224060号公報 国際公開番号WO2006/120993号公報 特開2008−150525号公報
Macromolecules,vol17,P2288(1984) Polymer,vol24,P1299(1983) Eur.Polym.J.,vol16,P303(1980) Mol.Cryst.Liq.Cryst.,vol88,P295(1982)
本発明は、樹脂単体で熱伝導性に優れる熱可塑性樹脂を提供することを目的とする。
本発明者は、樹脂表面をXRDにて測定したとき、樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが2θ=35°〜50°に少なくとも一つ観測される熱可塑性樹脂が、樹脂単体として優れた熱伝導性を示すことを見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記1)〜10)である。
1)樹脂表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが少なくとも一つ観測されることを特徴とし、樹脂単体の熱伝導率が0.45W/(m・K)以上である熱可塑性樹脂。
2)前期熱可塑性樹脂の主鎖が主として下記一般式(1)で示される単位の繰り返し単位からなり、主として鎖状の構造よりなる、熱可塑性樹脂であることを特徴とする、1)に記載の熱可塑性樹脂。
−M−Sp− ...(1)
(式中、Mはメソゲン基、Spはスペーサーを示す。)
3)前記熱可塑性樹脂の数平均分子量が3000〜40000であることを特徴とする1)または2)に記載の熱可塑性樹脂。
4)前記一般式(1)が下記一般式(2)である、2)または3)に記載の熱可塑性樹脂。
−A1−x−A2−y−R−z− ...(2)
(式中、A1およびA2は、各々独立して芳香族基、縮合芳香族基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。x、yおよびzは、各々独立して直接結合、−CH2−、−C(CH32−、−O−、−S−、−CH2−CH2−、−C=C−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−または−N(O)=N−の群から選ばれる2価の置換基を示す。Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の置換基を示す。)
5)前記熱可塑性樹脂の−A1−x−A2−に相当する部分が下記一般式(3)で表されるメソゲン基であることを特徴とする、4)に記載の熱可塑性樹脂。
Figure 2011063790
(式中、Xはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2、nは0〜4の整数、mは2〜4の整数を示す。)
6)前記熱可塑性樹脂のRに相当する部分が直鎖の脂肪族炭化水素鎖である、4)または5)いずれかに記載の熱可塑性樹脂。
7)前記熱可塑性樹脂のRに相当する部分の炭素数が偶数である6)に記載の熱可塑性樹脂。
8)前記熱可塑性樹脂のRが−(CH28−、−(CH210−、および−(CH212−から選ばれる少なくとも1種である7)に記載の熱可塑性樹脂。
9)前記熱可塑性樹脂の−y−R−z−が−O−CO−R−CO−O−である、4)〜8)いずれかに記載の熱可塑性樹脂。
10)樹脂表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが観測されることを特徴とし、樹脂単体での熱伝導率が0.45W/(m・K)以上である熱可塑性樹脂成形体。
本発明の熱可塑性樹脂は樹脂単体で高熱伝導性を示すため、高熱伝導性無機充填剤を配合する必要がなく、また高熱伝導性無機充填剤を大量に配合した場合、樹脂組成物の熱伝導率は大きく向上する。
実施例5のXRD回折ピーク
本発明の熱可塑性樹脂は、樹脂表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが少なくとも一つ観測されることを特徴とする。
本発明で言う熱可塑性とは、加熱により可塑化する性質のことである。
本発明の熱可塑性樹脂表面のXRD測定としては、一般に用いられるX線回折法が利用できる。熱可塑性樹脂表面とは、通常、一般に用いられる任意の成形法にて成形された成形体の表面であり、XRD測定のため表面より深さ0.5mmまで研磨などで面出しされた面であってもよい。
本発明者は樹脂表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが少なくとも一つ観測されるような樹脂が、樹脂単体での熱伝導率が0.45W/(m・K)以上となることを見出した。回折ピークとその他ノイズとの区別は、ピーク半値幅が0.01〜2.0degであり、ピークのベースの幅が4.0deg以下であるようなピークを回折ピークとした。2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの半値幅は1°以下であることが好ましく、0.85°以下であることがより好ましく、0.7°以下であることが特に好ましい。1°より大きい場合、結晶構造の秩序性の低下を意味し、熱伝導率が0.45W/(m・K)以下となる場合がある。
2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下である回折ピークの数は特に限定は無く、一つ以上観測されることが好ましい。
本発明の高熱伝導性熱可塑性樹脂の熱伝導率は、通常、0.45W/(m・K)以上であり、好ましくは0.6W/(m・K)以上、さらに好ましくは0.8W/(m・K)以上、特に好ましくは1.0W/(m・K)以上である。熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、成形時に磁場、電圧印加、ラビング、延伸等の物理的処理を施さなければ、一般的には30W/(m・K)以下、さらには10W/(m・K)以下となる。
樹脂表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが少なくとも一つ観測される樹脂としては、主鎖が主として下記一般式(1)で示される単位の繰り返し単位からなり、主として鎖状の構造よりなる熱可塑性樹脂が好ましい。
−M−Sp− ...(1)
(式中、Mはメソゲン基、Spはスペーサーを示す。)
本発明で言う主としてとは、分子鎖の主鎖中に含まれる一般式(1)の量について、全構成単位に対して50mol%以上であり、好ましくは70mol%以上であり、より好ましくは90mol%以上であり、最も好ましくは本質的に100mol%である。50mol%未満の場合は、XRD測定における所望の回折ピークが現れず、熱伝導率が低くなる場合がある。
本発明で言う液晶性とは、樹脂を加熱して可塑化した際にポリマー鎖が配列して液晶相を形成する性質のことであり、光学偏光顕微鏡またはDSCにて液晶相の確認および、液晶相を示す温度領域の確認が可能である。本発明の熱可塑性樹脂は固相から液晶相に相転移する点Tmおよび、液晶相から等方相に相転移する点Tiが存在する。
本発明の高熱伝導性熱可塑性樹脂は、成形加工により得ることができる。本発明の高熱伝導性熱可塑性樹脂の成形加工法としては特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形法、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カレンダー成形等が利用できる。これらの中でも成形サイクルが短く生産効率に優れること、射出成形時の流動性が良好であること、などから、射出成形法を用いることが好ましい。また成形体はアニール処理を施しても良い。例えば本発明の熱可塑性樹脂について、樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが観測されるようなものを得るために好ましい製造条件としては、液晶相を示す温度、すなわちTm〜Tiの温度で溶融し、成形することが好ましい。Tm以下では樹脂に流動性がなく、成形不可能であり、Ti以上では樹脂が等方相となるため、樹脂冷却時に分子鎖が充分に配列せず、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが観測されない場合がある。
ところで本発明の高熱伝導性熱可塑性樹脂を得る方法は、成形加工に限られるわけではない。最も大きな要因は、樹脂の熱履歴であり、適切な熱履歴を与えうる方法であれば、あらゆる方法を特に制限無く使うことができる。
本発明の熱可塑性樹脂の数平均分子量とはポリスチレンを標準とし、本発明の熱可塑性樹脂をp−クロロフェノールとo−ジクロロベンゼンの1:2Vol比混合溶媒に0.25重量%濃度となるように溶解して調製した溶液を用いて、GPCにて80℃で測定した値である。本発明の熱可塑性樹脂の数平均分子量は3000〜40000であることが好ましく、上限を考慮すると3000〜30000であることがさらに好ましく、3000〜20000であることが特に好ましい。一方、下限を考慮すると、3000〜40000であることが好ましく、5000〜40000であることがさらに好ましく、7000〜40000であることが特に好ましい。さらに上限および下限を考慮すると、5000〜30000であることがさらに好ましく、7000〜20000であることが最も好ましい。数平均分子量が3000未満または40000より大きい場合、同一の一次構造を有する樹脂であっても2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが観測されない場合があり、また熱伝導率が0.45W/(m・K)以下になる場合がある。
本発明の熱可塑性樹脂に含まれるメソゲン基Mとは、剛直で配向性の高い置換基を意味する。好ましいメソゲン基としては、下記一般式
−A1−x−A2
(A1およびA2は、各々独立して芳香族基、縮合芳香族基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。xは、直接結合、−CH2−、−C(CH32−、−O−、−S−、−CH2−CH2−、−C=C−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−または−N(O)=N−の群から選ばれる2価の置換基を示す。)で表される基が挙げられる。ここでA1、A2は各々独立して、ベンゼン環を有する炭素数6〜12の炭化水素基、ナフタレン環を有する炭素数10〜20の炭化水素基、ビフェニル構造を有する炭素数12〜24の炭化水素基、ベンゼン環を3個以上有する炭素数12〜36の炭化水素基、縮合芳香族基を有する炭素数12〜36の炭化水素基、炭素数4〜36の脂環式複素環基から選択されるものであることが好ましい。
1、A2の具体例としては、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン、アントラセニレン、シクロヘキシル、ピリジル、ピリミジル、チオフェニレン等が挙げられる。また、これらは無置換であっても良く、脂肪族炭化水素基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基などの置換基を有する誘導体であっても良い。xは結合子であり、直接結合、−CH2−、−C(CH32−、−O−、−S−、−CH2−CH2−、−C=C−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−または−N(O)=N−の群から選ばれる2価の置換基を示す。これらのうち、結合子に相当するxの主鎖の原子数が偶数であるものが好ましい。すなわち直接結合、−CH2−CH2−、−C=C−、−C≡C−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−または−N(O)=N−の群から選ばれる2価の置換基が好ましい。xの主鎖の原子数が奇数の場合、メソゲン基の分子幅の増加と、結合の回転の自由度の増加による屈曲性のため、結晶化率の低下を促し、樹脂単体の熱伝導率を低下させる場合がある。
このような好ましいメソゲン基の具体例として、ビフェニル、ターフェニル、クォーターフェニル、スチルベン、ジフェニルエーテル、1,2−ジフェニルエチレン、ジフェニルアセチレン、ベンゾフェノン、フェニルベンゾエート、フェニルベンズアミド、アゾベンゼン、2−ナフトエート、フェニル−2−ナフトエート、およびこれらの誘導体等から水素を2個除去した構造を持つ2価の基が挙げられるがこれらに限るものではない。
さらに好ましくは下記一般式(3)で表されるメソゲン基である。このメソゲン基はその構造ゆえに剛直で配向性が高く、さらには入手または合成が容易である。
Figure 2011063790
(式中、Xはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2、nは0〜4の整数、mは2〜4の整数を示す。)
成形性に優れた熱可塑性樹脂組成物を得るためには、熱可塑性樹脂に含まれるメソゲン基は、架橋性の置換基を含まないものであることが好ましい。
熱可塑性樹脂に含まれるスペーサーSpとは、屈曲性分子鎖を意味し、メソゲン基との結合基を含む。熱可塑性樹脂のスペーサーの主鎖原子数は好ましくは4〜28であり、より好ましくは6〜24であり、さらに好ましくは8〜20である。スペーサーの主鎖原子数が4未満の場合、熱可塑性樹脂の分子構造に十分な屈曲性が発現されず、結晶性が低下し、熱伝導率が低下する場合があり、29以上である場合、結晶性が低下し、熱伝導率が低下する場合がある。スペーサーの主鎖を構成する原子の種類は特に限定されず何でも使用できるが、好ましくはC、H、O、S、Nから選ばれる少なくとも1種の原子である。
好ましいスペーサーとしては、下記一般式
−y−R−z−
(yおよびzは、各々独立して直接結合、−CH2−、−C(CH32−、−O−、−S−、−CH2−CH2−、−C=C−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−または−N(O)=N−の群から選ばれる2価の置換基を示す。Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の置換基を示す。)で表される基が挙げられる。ここでRは、炭素原子数2〜20の鎖状飽和炭化水素基、1〜3個の環状構造を含む炭素原子数2〜20の飽和炭化水素基、1〜5個の不飽和基を有する炭素原子数2〜20の炭化水素基、1〜3個の芳香環を有する炭素原子数2〜20の炭化水素基、1〜5個の酸素原子を有する炭素原子数2〜20のポリエーテル基から選択されるものが好ましい。
スペーサーの具体例としては例えば脂肪族炭化水素鎖、ポリエーテル鎖等が挙げられる。Rは分岐を含まない直鎖の脂肪族炭化水素鎖であることが望ましい。分岐を含む場合、結晶性の低下を促し、樹脂単体の熱伝導率を低下させる場合がある。また、Rは飽和でも不飽和でもよいが、飽和脂肪族炭化水素鎖であることが望ましい。不飽和結合を含む場合、充分な屈曲性が発現されず、熱伝導率を低下させる場合がある。Rは炭素数2〜20の直鎖の飽和脂肪族炭化水素鎖であることが好ましく、炭素数4〜18の直鎖の飽和脂肪族炭化水素鎖であることがより好ましく、さらには炭素数6〜16の直鎖の飽和脂肪族炭化水素鎖であることが好ましい。またRの炭素数は偶数であることが好ましい。奇数の場合、メソゲン基が傾くため、結晶化度が低下し、熱伝導率が低下する場合がある。特に熱伝導率が優れた樹脂が得られるという観点から、Rは−(CH28−、−(CH210−、および−(CH212−から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。yおよびzは置換基Rをメソゲン基と結合するための基である。このような基を有するスペーサーの中でも、熱伝導率が優れた樹脂が得られるという観点から−CO−O−R−O−CO−および−O−CO−R−CO−O−が好ましく、−O−CO−R−CO−O−が特に好ましい。
また本発明の熱可塑性樹脂は、ラメラ晶を含むものであることが好ましい。本発明の熱可塑性樹脂では、結晶化度の指標としてラメラ晶の量を用いることができる。ラメラ晶が多いほど結晶化度が高い。
本発明でいうラメラ晶は、長い鎖状の分子が折り畳まれて平行に並び作られる板状結晶に相当する。このような結晶が樹脂中に存在するか否かは、透過型電子顕微鏡(TEM)観察またはX線回折によって容易に判別することができる。
該連続相を成すラメラ晶の割合は、RuO4で染色した試料を透過型電子顕微鏡(TEM)により直接観察することで算出することができる。具体的な方法として、TEM観察用の試料は、成形した厚み6mm×20mmφのサンプルの一部を切り出し、RuO4にて染色した後、ミクロトームにて作成した0.1μm厚の超薄切片を使用するものとする。作成した切片を加速電圧100kVでTEMにて観察し、得られた4万倍スケールの写真(20cm×25cm)から、ラメラ晶の領域を決定することができる。領域の境界は、ラメラ晶領域を周期的なコントラストの存在する領域とし、決定できる。ラメラ晶は深さ方向にも同様に分布していることから、ラメラ晶の割合は写真の全体の面積に対するラメラ晶領域の割合として算出するものとする。また、樹脂自体が高熱伝導性を有するためにはラメラ晶の割合が10Vol%以上であることが好ましい。ラメラ晶の割合は、20Vol%以上であることがより好ましく、30Vol%以上であることがさらに好ましく、さらには40Vol%以上であることが特に好ましい。
また本発明の熱可塑性樹脂は、結晶を含むものであることが好ましい。本発明では、熱可塑性樹脂中のラメラ晶の割合から、以下の計算式により結晶化度を求めることができる。
結晶化度(%)= ラメラ晶の割合(Vol%)× 0.7
樹脂自体が高熱伝導性を有するためには、熱可塑性樹脂の結晶化度が7%以上であることが好ましい。結晶化度は、14%以上であることがより好ましく、21%以上であることがさらに好ましく、28%以上であることが特に好ましい。
また本発明の熱可塑性樹脂が高熱伝導性を発揮するためには、樹脂自体の密度が1.1g/cm3以上であることが好ましく、1.13g/cm3以上であることがより好ましく、1.16g/cm3以上であることが特に好ましい。樹脂密度が大きいということは、ラメラ晶の含有率が高いこと、すなわち結晶化度が高いことを意味している。
また本発明で使用する熱可塑性樹脂は、熱伝導率が等方的に高いことが好ましい。熱伝導率が等方的であるか否かを測定する方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を厚み1mm×25.4mmφの円盤状としたサンプルに対して、Xeフラッシュ法にて厚さ方向、面方向の熱伝導率を別々に測定する方法が挙げられる。本発明に係る熱可塑性樹脂の熱伝導率は等方的に高く、上記の測定方法にて測定された、厚さ方向、面方向の熱伝導率は0.3W/(m・K)以上である。
本発明に関わる熱可塑性樹脂は、公知のいかなる方法で製造されても構わない。構造の制御が簡便であるという観点から、メソゲン基の両末端に反応性官能基を有する化合物と、置換基Rの両末端に反応性官能基を有する化合物とを反応させて製造する方法が好ましい。このような反応性官能基としては水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、シアノ基、など公知のものを使用でき、これらを反応させる条件もとくに限定されない。合成の簡便さという観点からは、メソゲン基の両末端に水酸基を有する化合物と置換基Rの両末端にカルボキシル基を有する化合物、またはメソゲン基の両末端にカルボキシル基を有する化合物と置換基Rの両末端に水酸基を有する化合物を反応させる製造方法が好ましい。
メソゲン基の両末端に水酸基を有する化合物と置換基Rの両末端にカルボキシル基を有する化合物からなる熱可塑性樹脂の製造方法の一例としては、両末端に水酸基を有するメソゲン基を無水酢酸等の低級脂肪酸を用いてそれぞれ個別に、または一括して酢酸エステルとした後、別の反応槽または同一の反応槽で、置換基Rの両末端にカルボキシル基を有する化合物と脱酢酸重縮合反応させる方法が挙げられる。重縮合反応は、実質的に溶媒の存在しない状態で、通常250〜350℃好ましくは270〜330℃の温度で、窒素等の不活性ガスの存在下、常圧または減圧下に、0.5〜5時間行われる。反応温度が250℃より低いと反応の進行は遅く、350℃より高い場合は分解等の副反応が起こりやすい。多段階の反応温度を採用してもかまわないし、場合により昇温中あるいは最高温度に達したらすぐに反応生成物を溶融状態で抜き出し、回収することもできる。得られた熱可塑性樹脂はそのままでも使用してもよいし、未反応原料を除去するまたは、物性をあげる意味から固相重合を行なうこともできる。固相重合を行なう場合には、得られた熱可塑性樹脂を3mm以下好ましくは1mm以下の粒径の粒子に機械的に粉砕し、固相状態のまま250〜350℃で窒素等の不活性ガス雰囲気下、または減圧下に1〜20時間処理することが好ましい。ポリマー粒子の粒径が3mm以上になると、処理が十分でなく、物性上の問題を生じるため好ましくない。固相重合時の処理温度や昇温速度は、熱可塑性樹脂粒子が融着を起こさないように選ぶことが好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂の製造に用いられる低級脂肪酸の酸無水物としては,炭素数2〜5個の低級脂肪酸の酸無水物,たとえば無水酢酸,無水プロピオン酸、無水モノクロル酢酸,無水ジクロル酢酸,無水トリクロル酢酸,無水モノブロム酢酸,無水ジブロム酢酸,無水トリブロム酢酸,無水モノフルオロ酢酸,無水ジフルオロ酢酸,無水トリフルオロ酢酸,無水酪酸,無水イソ酪酸,無水吉草酸,無水ピバル酸等が挙げられるが,無水酢酸,無水プロピオン酸,無水トリクロル酢酸が特に好適に用いられる。低級脂肪酸の酸無水物の使用量は,用いるメソゲン基が有する水酸基の合計に対し1.01〜1.50倍当量,好ましくは1.02〜1.2倍当量である。その他メソゲン基の両末端にカルボキシル基を有する化合物と置換基Rの両末端に水酸基を有する化合物を反応させる製造方法については例えば、特開平2−258864号公報に記載のように4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチルと脂肪族ジオールを溶融重合する方法が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂の末端の構造はとくに限定されないが、射出成形に適した樹脂が得られると言う観点からは、水酸基、カルボキシル基、エステル基、アシル基、アルコキシ基などで末端が封止されていることが好ましい。末端にエポキシ基、マレイミド基などの反応性が高い官能基を有する場合は、樹脂が熱硬化性となり、射出成形性が損なわれることがある。
本発明の熱可塑性樹脂は、その効果の発揮を失わない程度に他のモノマーを共重合して構わない。例えば芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン、芳香族ジアミン、芳香族アミノカルボン酸またはカプロラクタム類、カプロラクトン類、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ジアミン、脂環族ジカルボン酸、および脂環族ジオール、芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオールおよび芳香族メルカプトフェノールが挙げられる。
芳香族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−5−ナフトエ酸、2―ヒドロキシ―7―ナフトエ酸、2―ヒドロキシ―3―ナフトエ酸、4’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、3’−ヒドロキシフェニル−4−安息香酸、4’−ヒドロキシフェニル−3−安息香酸およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、1,6―ナフタレンジカルボン酸、2,7―ナフタレンジカルボン酸、4,4’―ジカルボキシビフェニル、3,4’―ジカルボキシビフェニル、4,4’―ジカルボキシターフェニル、ビス(4−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4−カルボキシフェノキシ)ブタン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、ビス(3−カルボキシフェニル)エーテルおよびビス(3−カルボキシフェニル)エタン等、これらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
芳香族ジオールの具体例としては、例えばハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェノールエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび2,2’−ジヒドロキシビナフチル等、およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
芳香族ヒドロキシアミンの具体例としては、4−アミノフェノール、N−メチル−4−アミノフェノール、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、4−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルエーテル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルメタン、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニルスルフィドおよび2,2’−ジアミノビナフチルおよびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
芳香族ジアミンおよび芳香族アミノカルボン酸の具体例としては、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノフェニルスルフィド(チオジアニリン)、4,4’−ジアミノビフェニルスルホン、2,5−ジアミノトルエン、4,4’−エチレンジアニリン、4,4’−ジアミノビフェノキシエタン、4,4’−ジアミノビフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,4’−ジアミノビフェニルエーテル(オキシジアニリン)、4−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、6−アミノ−2−ナフトエ酸および7−アミノ−2−ナフトエ酸およびこれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体などが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。
脂肪族ジアミンの具体例としては、1,2−エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、および1,12−ドデカンジアミンなどが挙げられる。
脂環族ジカルボン酸、脂肪族ジオールおよび脂環族ジオールの具体例としては、ヘキサヒドロテレフタル酸、トランス−1,4−シクロヘキサンジオール、シス−1,4−シクロヘキサンジオール、トランス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、シス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トランス−1,3−シクロヘキサンジオール、シス−1,2−シクロヘキサンジオール、トランス−1,3−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコールなどの直鎖状または分鎖状脂肪族ジオールなど、ならびにそれらの反応性誘導体が挙げられる。
芳香族メルカプトカルボン酸、芳香族ジチオールおよび芳香族メルカプトフェノールの具体例としては、4−メルカプト安息香酸、2−メルカプト−6−ナフトエ酸、2−メルカプト−7−ナフトエ酸、ベンゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオール、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレン−ジチオール、4−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、6−メルカプト−2−ヒドロキシナフタレン、7−メルカプト−2−ヒドロキシナフタレンなど、ならびにそれらの反応性誘導体が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂は無機充填剤を配合し樹脂組成物としてもよい。樹脂組成物の熱伝導率は好ましくは0.4W/(m・K)以上であり、より好ましくは1.0W/(m・K)以上、さらに好ましくは5.0W/(m・K)以上、特に好ましくは10W/(m・K)以上である。この熱伝導率が0.4W/(m・K)未満であると、電子部品から発生する熱を効率的に外部に伝えることが困難である。熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には100W/(m・K)以下、さらには80W/(m・K)以下のものが用いられる。本発明の熱可塑性樹脂は、優れた熱伝導性を有するため、上記の範囲の熱伝導率を有する高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物を容易に得ることが可能となる。
本発明の熱可塑性樹脂における無機充填剤の使用量は、好ましくは熱可塑性樹脂と無機充填剤の体積比で90:10〜30:70であり、より好ましくは80:20〜40:60であり、特に好ましくは70:30〜50:50である。熱可塑性樹脂と無機充填剤の体積比が90:10よりも無機充填剤が少ない場合では熱伝導率が満足に得られないことがある。熱可塑性樹脂と無機充填剤の体積比が30:70よりも無機充填剤が多い場合では機械物性が低下することがある。本発明の熱可塑性樹脂が優れた熱伝導性を有するため、無機充填剤の使用量が熱可塑性樹脂と無機充填剤の体積比で90:10〜70:30と少量の場合でも、樹脂組成物は優れた熱伝導性を有し、さらに同時に無機充填剤の使用量が少量だけに密度を下げることができる。熱伝導率に優れ、かつ密度が小さいことは電気・電子工業分野、自動車分野、等さまざまな状況で放熱・伝熱用樹脂材料として用いる際に有利である。
無機充填剤としては、公知の充填剤を広く使用できる。無機充填剤単体での熱伝導率は特に限定が無いが、好ましくは0.5W/(m・K)以上、より好ましくは1W/(m・K)以上のものである。得られる組成物が熱伝導性に優れるという観点からは、単体での熱伝導率が10W/(m・K)以上の高熱伝導性無機化合物であることが特に好ましい。高熱伝導性無機化合物単体での熱伝導率は、好ましくは12W/(m・K)以上、さらに好ましくは15W/(m・K)以上、最も好ましくは20W/(m・K)以上、特に好ましくは30W/(m・K)以上のものが用いられる。高熱伝導性無機化合物単体での熱伝導率の上限は特に制限されず、高ければ高いほど好ましいが、一般的には3000W/(m・K)以下、さらには2500W/(m・K)以下、のものが好ましく用いられる。
組成物として特に電気絶縁性が要求されない用途に用いる場合には、高熱伝導性無機化合物としては金属系化合物や導電性炭素化合物等が好ましく用いられる。これらの中でも、熱伝導性に優れることから、グラファイト、炭素繊維、等の導電性炭素材料、各種金属を微粒子化した導電性金属粉、各種金属を繊維状に加工した導電性金属繊維、軟磁性フェライト等の各種フェライト類、酸化亜鉛、等の金属酸化物、等の高熱伝導性無機化合物を好ましく用いることができる。
組成物として電気絶縁性が要求される用途に用いる場合には、高熱伝導性無機化合物としては電気絶縁性を示す化合物が好ましく用いられる。電気絶縁性とは具体的には、電気抵抗率1Ω・cm以上のものを示すこととするが、好ましくは10Ω・cm以上、より好ましくは105Ω・cm以上、さらに好ましくは1010Ω・cm以上、最も好ましくは1013Ω・cm以上のものを用いるのが好ましい。電気抵抗率の上限には特に制限は無いが、一般的には1018Ω・cm以下である。本発明の高熱伝導性熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の電気絶縁性も上記範囲にあることが好ましい。
高熱伝導性無機化合物のうち、電気絶縁性を示す化合物としては具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化ベリリウム、酸化銅、亜酸化銅、等の金属酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、等の金属窒化物、炭化ケイ素等の金属炭化物、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、ダイヤモンド、等の絶縁性炭素材料、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等の金属水酸化物、を例示することができる。これらは単独あるいは複数種類を組み合わせて用いることができる。
高熱伝導性無機化合物の形状については、種々の形状のものを適応可能である。例えば粒子状、微粒子状、ナノ粒子、凝集粒子状、チューブ状、ナノチューブ状、ワイヤ状、ロッド状、針状、板状、不定形、ラグビーボール状、六面体状、大粒子と微小粒子とが複合化した複合粒子状、液体、等種々の形状を例示することができる。またこれら高熱伝導性無機化合物は天然物であってもよいし、合成されたものであってもよい。天然物の場合、産地等には特に限定はなく、適宜選択することができる。これら高熱伝導性無機化合物は、1種類のみを単独で用いてもよいし、形状、平均粒子径、種類、表面処理剤等が異なる2種以上を併用してもよい。
これら高熱伝導性無機化合物は、樹脂と無機化合物との界面の接着性を高めたり、作業性を容易にしたりするため、シラン処理剤等の各種表面処理剤で表面処理がなされたものであってもよい。表面処理剤としては特に限定されず、例えばシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、等従来公知のものを使用することができる。中でもエポキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、及び、アミノシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、ポリオキシエチレンシラン、等が樹脂の物性を低下させることが少ないため好ましい。無機化合物の表面処理方法としては特に限定されず、通常の処理方法を利用できる。
本発明の熱可塑性樹脂には、前記の高熱伝導性無機化合物以外にも、その目的に応じて公知の無機充填剤を広く使用できる。樹脂単体の熱伝導率が高いために、無機化合物の熱伝導率が10W/(m・K)未満と比較的低くても、樹脂組成物として高い熱伝導率を有する。高熱伝導性無機化合物以外の無機充填剤としては、例えばケイソウ土粉;塩基性ケイ酸マグネシウム;焼成クレイ;微粉末シリカ;石英粉末;結晶シリカ;カオリン;タルク;三酸化アンチモン;微粉末マイカ;二硫化モリブデン;ロックウール;セラミック繊維;アスベストなどの無機質繊維;およびガラス繊維、ガラスパウダー、ガラスクロス、溶融シリカ等ガラス製充填剤が挙げられる。これら充填剤を用いることで、例えば熱伝導性、機械強度、または耐摩耗性など樹脂組成物を応用する上で好ましい特性を向上させることが可能となる。さらに必要に応じて紙、パルプ、木料;ポリアミド繊維、アラミド繊維、ボロン繊維などの合成繊維;ポリオレフィン粉末等の樹脂粉末;などの有機充填剤を併用して配合することができる。
本発明の熱可塑性樹脂には、本発明の効果の発揮を失わない範囲で、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ウレタン樹脂等いかなる公知の樹脂も含有させて構わない。好ましい樹脂の具体例として、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリマー、ナイロン6、ナイロン6,6等が挙げられる。これら樹脂の使用量は、通常樹脂組成物に含まれる本発明の熱可塑性樹脂100重量部に対し、0〜10000重量部の範囲である。
本発明の熱可塑性樹脂には、上記樹脂や充填剤以外の添加剤として、さらに目的に応じて他のいかなる成分、例えば、補強剤、増粘剤、離型剤、カップリング剤、難燃剤、耐炎剤、顔料、着色剤、その他の助剤等を本発明の効果を失わない範囲で、添加することができる。これらの添加剤の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、合計で0〜20重量部の範囲であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂に対する配合物の配合方法としては特に限定されるものではない。例えば、上述した成分や添加剤等を乾燥させた後、単軸、2軸等の押出機のような溶融混練機にて溶融混練することにより製造することができる。また、配合成分が液体である場合は、液体供給ポンプ等を用いて溶融混練機に途中添加して製造することもできる。
本発明の熱可塑性樹脂は、電子材料、磁性材料、触媒材料、構造体材料、光学材料、医療材料、自動車材料、建築材料、等の各種の用途に幅広く用いることが可能である。特に優れた成形加工性、高熱伝導性、という優れた特性を併せ持つことから、放熱・伝熱用樹脂材料として、非常に有用である。
本発明の熱可塑性樹脂は、家電、OA機器部品、AV機器部品、自動車内外装部品、等の射出成形品等に好適に使用することができる。特に多くの熱を発する家電製品やOA機器において、外装材料として好適に用いることができる。さらには発熱源を内部に有するがファン等による強制冷却が困難な電子機器において、内部で発生する熱を外部へ放熱するために、これらの機器の外装材として好適に用いられる。これらの中でも好ましい装置として、ノートパソコンなどの携帯型コンピューター、PDA、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯型音楽プレーヤー、携帯型TV/ビデオ機器、携帯型ビデオカメラ、等の小型あるいは携帯型電子機器類の筐体、ハウジング、外装材用樹脂として非常に有用である。また自動車や電車等におけるバッテリー周辺用樹脂、家電機器の携帯バッテリー用樹脂、ブレーカー等の配電部品用樹脂、モーター等の封止用材料、としても非常に有用に用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂は従来良く知られている樹脂に比べて、高熱伝導化付与のための高熱伝導性無機物の配合量を減らすまたはゼロにすることができるため成形加工性が良好であり、上記の用途における部品あるいは筐体用として有用な特性を有するものである。
次に、本発明の熱可塑性樹脂について、実施例および比較例を挙げさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに制限されるものではない。なお、以下にあげる各試薬は特に特記しない限り和光純薬工業(株)製の試薬を用いた。
[評価方法]
試験片成形:得られた各サンプルを乾燥した後、各サンプルの固相から液晶相への転移点Tmより10℃高い温度でサンプルを溶融し、射出成形機にて厚み6mm×20mmφの円板状サンプルを成形した。成形した円盤状サンプルをXRD測定および熱伝導率測定に使用した。
XRD測定:X線回折装置(スペクトリス製;PANalytical X’Pert Pro)を用い、表1に示す条件で測定した。
数平均分子量測定:本発明の熱可塑性樹脂をp−クロロフェノールとo−ジクロロベンゼンの1:2Vol比混合溶媒に0.25重量%濃度となるように溶解して試料を調製した。標準物質はポリスチレンとし、同様の試料溶液を調製した。高温GPC((株)Waters製;150−CV)にてINJECTOR COMP:80℃、COLUMN COMP:80℃、PUMP/SOLVENT COMP:60℃、Injection Volume:200μl、の条件で測定した。
熱伝導率:厚み6mm×20mmφの円板状サンプルにて、京都電子工業製ホットディスク法熱伝導率測定装置で4φのセンサーを用い、熱伝導率を測定した。
密度:厚み6mm×20mmφの円板状サンプルを用いて、水中置換法にて密度を測定した。
[実施例1]
4,4’−ジヒドロキシビフェニル、セバシン酸、無水酢酸をモル比でそれぞれ1:1.05:2.1の割合で密閉型反応器に仕込み、常圧下、窒素ガス雰囲気で150℃にて3hアセチル化反応を行い、1℃/minの昇温速度で280℃まで加熱し重縮合を行った。酢酸の留出量が理論酢酸生成量の90%に到達した時点で引き続きその温度を保ったまま、約20分かけて10torrに減圧し、高分子量まで溶融重合を行った。減圧開始から1時間後、不活性ガスで常圧に戻し、生成したポリマーを取り出した。分子構造を表2に、樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの中から最も相対強度の高いピークのピーク位置および半値幅、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。
[実施例2,3]
実施例1の減圧開始からの重合時間をそれぞれ1.5時間、3時間にした以外は同様に重合し、数平均分子量の違う樹脂を合成した。分子構造を表2に、樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの中から最も相対強度の高いピークのピーク位置および半値幅、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。
[実施例4〜6]
実施例1〜3のセバシン酸をドデカン二酸にした以外はそれぞれ同様に重合し、数平均分子量の違う樹脂を合成した。分子構造を表2に、樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの中から最も相対強度の高いピークのピーク位置および半値幅、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。また図1に実施例5の熱可塑性樹脂成形体表面のXRD回折ピークを示す。2θ=35°〜50°の範囲に半値幅1°以下のピークが5つ観測された。
[実施例7〜9]
実施例1〜3のセバシン酸をテトラデカン二酸にした以外はそれぞれ同様に重合し、数平均分子量の違う樹脂を合成した。分子構造を表2に、樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの中から最も相対強度の高いピークのピーク位置および半値幅、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。
[実施例10]
重合反応装置に4,4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチルと1,10−デカンジオールを1:1.05のモル比で仕込み、触媒としてTBT(テトラブチルチタネート)をポリエステルの構成単位1モルに対し5×10-4モル添加し、280℃の温度でエステル交換反応させてメタノールを留出させた後、10torrの減圧下、280℃で1.5時間重縮合反応を行った。そののち不活性ガスで常圧に戻し、生成したポリマーを取り出した。分子構造を表2に、樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの中から最も相対強度の高いピークのピーク位置および半値幅、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。
[実施例11]
実施例10の1,10−デカンジオールをトリエチレングリコールに変更した以外は同様に重合した。分子構造を表2に、樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの中から最も相対強度の高いピークのピーク位置および半値幅、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。
[実施例12]
4−アセトキシ安息香酸−4−アセトキシフェニル、ドデカン二酸をモル比でそれぞれ1:1.05の割合で密閉型反応器に仕込み、常圧下、窒素ガス雰囲気で1℃/minの昇温速度で280℃まで加熱し重縮合を行った。酢酸の留出量が理論酢酸生成量の90%に到達した時点で引き続きその温度を保ったまま、約20分かけて10torrに減圧し、高分子量まで溶融重合を行った。減圧開始から1.5時間後、不活性ガスで常圧に戻し、生成したポリマーを取り出した。分子構造を表2に、樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの中から最も相対強度の高いピークのピーク位置および半値幅、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。
[実施例13]
4,4’−ジアセトキシアゾキシベンゼン、ドデカン二酸をモル比でそれぞれ1:1.05の割合で密閉型反応器に仕込み、常圧下、窒素ガス雰囲気で1℃/minの昇温速度で280℃まで加熱し重縮合を行った。酢酸の留出量が理論酢酸生成量の90%に到達した時点で引き続きその温度を保ったまま、約20分かけて10torrに減圧し、高分子量まで溶融重合を行った。減圧開始から1.5時間後、不活性ガスで常圧に戻し、生成したポリマーを取り出した。分子構造を表2に、樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの中から最も相対強度の高いピークのピーク位置および半値幅、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。
[比較例1〜3]
市販熱可塑性樹脂としてポリカーボネート(出光興産(株)製タフロンA−2200)(PC)、ポリエチレンテレフタレート((株)ベルポリエステルプロダクツ製ベルペットEFG−70)(PET)、液晶ポリマー(上野製薬(株)製5000G)(LCP)について分子構造を表2に、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。ただしLCPの分子構造はA1とA2がランダムな順番に結合基を介して結合している。いずれの市販熱可塑性樹脂においても樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅1°以下の回折ピークは観測されなかった。なお表2は、PC、PET、LCPが、メソゲン基(M)及びスペーサー(Sp)を有することを示すものではない。実際、PCとLCPはスペーサーを有さず、PETはメソゲン基を有さないものである。
[比較例4,5]
実施例4の減圧下での重合時間をそれぞれ0時間、6時間にした以外は同様に重合し、数平均分子量の違う樹脂を合成した。樹脂成形体表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に観測される樹脂由来の回折ピークの中から最も相対強度の高いピークのピーク位置および半値幅、数平均分子量、樹脂単体の熱伝導率を表3に示す。
[実施例14,15]
実施例5で合成した熱可塑性樹脂および無機充填剤として窒化ホウ素粉末(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社製PT110、単体での熱伝導率60W/(m・K)、体積平均粒子径45μm、電気絶縁性、体積固有抵抗1014Ω・cm)(h−BN)を表4の組成で混合したものを準備した。これにフェノール系安定剤であるAO−60((株)ADEKA製)を熱可塑性樹脂100重量部に対して0.2重量部加え、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製 30C150)にて250℃、7分の条件で溶融混合し、評価用樹脂組成物を得た。上記樹脂組成物を射出成形機にて厚み6mm×20mmφの円板状サンプルに成形し、熱伝導率を測定した。結果を表4に示す。
[比較例6〜8]
実施例14の熱可塑性樹脂を比較例1〜3の市販熱可塑性樹脂にした以外は同様にして、評価用樹脂組成物を得た。熱伝導率の測定結果を表4に示す。
[実施例16]
実施例5で合成した熱可塑性樹脂に無機充填剤として天然鱗片状黒鉛粉末(中越黒鉛(株)製BF−250A、単体での熱伝導率1200W/(m・K)、体積平均粒子径250.0μm、導電性)(GC)を表5の組成で混合したものを準備した。これにフェノール系安定剤であるAO−60((株)ADEKA製)を熱可塑性樹脂100重量部に対して0.2重量部加え、ラボプラストミル((株)東洋精機製作所製 30C150)にて250℃、7分の条件で溶融混合し、評価用樹脂組成物を得た。上記樹脂組成物を射出成形機にて厚み6mm×20mmφの円板状サンプルに成形し、熱伝導率を測定した。結果を表5に示す。
[比較例9,10]
実施例16の熱可塑性樹脂を比較例4,5でそれぞれ合成した熱可塑性樹脂にした以外は同様にして、評価用樹脂組成物を得た。熱伝導率の測定結果を表5に示す。
Figure 2011063790
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本発明の熱可塑性樹脂は熱伝導性に優れ、高熱伝導性無機充填剤を配合しなくても、樹脂単体で高熱伝導性を有し、また汎用射出成形用金型でも射出成形可能である。このような組成物は電気・電子工業分野、自動車分野、等さまざまな状況で放熱・伝熱用樹脂材料として用いることが可能で、工業的に有用である。

Claims (10)

  1. 樹脂表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが少なくとも一つ観測されることを特徴とし、樹脂単体の熱伝導率が0.45W/(m・K)以上である熱可塑性樹脂。
  2. 前記熱可塑性樹脂の主鎖が主として下記一般式(1)で示される単位の繰り返し単位からなり、主として鎖状の構造よりなる、熱可塑性樹脂であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
    −M−Sp− ...(1)
    (式中、Mはメソゲン基、Spはスペーサーを示す。)
  3. 前記熱可塑性樹脂の数平均分子量が3000〜40000であることを特徴とする請求工1または2に記載の熱可塑性樹脂。
  4. 前記一般式(1)が下記一般式(2)である、請求項2または3に記載の熱可塑性樹脂。
    −A1−x−A2−y−R−z− ...(2)
    (式中、A1およびA2は、各々独立して芳香族基、縮合芳香族基、脂環基、脂環式複素環基から選ばれる置換基を示す。x、yおよびzは、各々独立して直接結合、−CH2−、−C(CH32−、−O−、−S−、−CH2−CH2−、−C=C−、−C≡C−、−CO−、−CO−O−、−CO−NH−、−CH=N−、−CH=N−N=CH−、−N=N−または−N(O)=N−の群から選ばれる2価の置換基を示す。Rは主鎖原子数2〜20の分岐を含んでもよい2価の置換基を示す。)
  5. 前記熱可塑性樹脂の−A1−x−A2−に相当する部分が下記一般式(3)で表されるメソゲン基であることを特徴とする、請求項4に記載の熱可塑性樹脂。
    Figure 2011063790
    (式中、Xはそれぞれ独立して脂肪族炭化水素基、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2、nは0〜4の整数、mは2〜4の整数を示す。)
  6. 前記熱可塑性樹脂のRに相当する部分が直鎖の脂肪族炭化水素鎖である、請求項4または5いずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  7. 前記熱可塑性樹脂のRに相当する部分の炭素数が偶数である請求項6に記載の熱可塑性樹脂。
  8. 前記熱可塑性樹脂のRが−(CH28−、−(CH210−、および−(CH212−から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の熱可塑性樹脂。
  9. 前記熱可塑性樹脂の−y−R−z−が−O−CO−R−CO−O−である、請求項4〜8いずれかに記載の熱可塑性樹脂。
  10. 樹脂表面のXRD測定にて、2θ=35°〜50°に樹脂由来で、かつ半値幅が1°以下の回折ピークが観測されることを特徴とし、樹脂単体での熱伝導率が0.45W/(m・K)以上である熱可塑性樹脂成形体。
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