JP2011062874A - 感熱記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】発色感度、耐薬品性及び耐スティッキング性に優れた感熱記録材料を提供することにある。
【解決手段】支持体上に、顔料及びバインダーを主成分とする下塗り層、ロイコ染料と顕色剤を含む感熱記録層、並びに保護層を順次有する感熱記録材料において、前記下塗り層がスチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られたスチレン−アクリル系共重合樹脂を下塗り層全固形分に対して1〜10質量%含有し、更に前記感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成されることを特徴とする感熱記録材料。
【選択図】なし

Description

本発明は感熱記録材料に関するものである。
無色乃至は淡色のロイコ染料と有機または無機の顕色剤との呈色反応を利用し、熱により両発色物質を接触せしめて発色像を得るようにした感熱記録材料はよく知られている。かかる感熱記録材料は比較的安価であり、また記録機器がコンパクトで且つその保守も比較的容易であるため、ファクシミリや各種プリンタ等の記録媒体としてのみならず、幅広い分野において使用されている。
一方、紙やフィルム等の基材に塗液を塗布する方法として、エアナイフ塗布法、ブレード塗布法、ロッド塗布法、ロール塗布法、バー塗布法等の方法が用いられているが、このような方法で作製された感熱記録材料は、塗布品質が悪いこと、上層の塗液の下層への浸み込み、上層塗布時のハジキ等に起因する上層のピンホール、長時間の連続塗布における品質のバラツキ等の問題が生じるほか、高速塗布に限界があること、多数回塗布から生じる生産性の低下等の問題がある。
これらの塗布方法に対して、カーテン塗布方法は塗液の自由落下カーテンを形成し、これを支持体に衝突せしめて塗布する方法(特許文献1参照)であり、塗布品質が良好で、高速塗布に適性を有することが知られている。また、複数層の塗液膜からなる塗料膜を形成してカーテン塗布することも可能であり、多層塗布の生産性を大幅に向上することができる。このカーテン塗布方法は、基材上にスリット状のコーターリップから塗液を膜状に垂らして塗布するもので、塗液の成膜性や基材への濡れ性を改善して塗布ムラや塗布欠点を防止するために、静的表面張力、動的表面張力、粘度等に対して細かな調整が必要である(特許文献2参照)。係る観点から塗布自体の均一安定性は極めて重要であり、それによって得られる感熱記録材料の性能や生産効率が大きく左右される。
カーテン塗布法による同時多層塗布では上述のように複数の層を同時に塗布できるため、生産性を大幅に向上できる利点がある。但し、複数層の塗液膜を積層した後、支持体上に塗布、乾燥・固化させる必要がある。塗液の積層時或いは乾燥時に層構成が乱れ、層間混合が生じると、各層の機能が十分発揮されなくなり、感熱記録材料としての品質が損なわれる。例えば、感熱記録層と保護層を同時塗布した場合に層間混合が起きると保護層の膜厚みが不均一になって可塑剤やアルコール等に対する耐薬品性が低下したり、スティッキング防止が十分でないという欠点も生じる。
従来より、カーテン塗布方法による同時多層塗布が行われている写真感光材料等の分野では、通常塗液中にバインダーとしてゼラチンが含有されており、塗料膜を支持体上に転移させた直後、冷却することにより塗液中のゼラチンがゲル化し、塗液が不動化するため層間の混合が起こらない。
一方、感熱記録材料では、冷却により塗液が不動化するだけのゼラチンを添加すると、発色特性や画像安定性等の諸特性が大幅に悪化する問題があり、またゼラチン以外のものを用いてこれらの特性を損なわずに塗液を不動化する方法は見出されておらず、写真感光材料と同様な方法で層間混合を防止することはできない。
感熱記録材料やインクジェット記録材料等の情報記録材料で、層間混合を防いで良好な層分離状態を発現させるために幾つかの方法が開示されている。例えば、隣接する2つの塗液が接触または混合すると経時的に高粘度化する方法(特許文献3参照)、複数層の塗液膜を構成する塗液の粘度が100mPa・s以上であり、該複数層の塗液膜の最下層の塗液の表面張力が18〜45mN/mとする方法(特許文献4参照)等が開示されている。またカーテン塗布された複数塗膜を、支持体と水平面がなす角度が45度以下の状態で乾燥させる方法(特許文献5参照)、カーテン塗布された複数塗膜を、塗布後2分以内に乾燥させる方法(特許文献6参照)等も開示されている。
しかしながら、特許文献3に記載の隣接する2層の塗液を高粘度化させる方法では2層の反応により凝集物ができて塗工欠陥が発生したり、塗料のゲル化により長時間連続操業が難しくなる。また特許文献4に記載の方法でも、可塑剤やアルコール等に対するバリア性、耐スティッキング性は未だ不十分であった。更に、特許文献5や特許文献6に記載の方法では設備的な制約が大きく、また品質に劣る場合があった。
一方、ドット再現性、発色性を向上させる方法として、下塗り層中にスチレン樹脂系化合物を含有させたり(特許文献7)、アルキルケテンダイマーを下塗り層に含有させる方法(特許文献8)も開示されている。更にまた、アルギン酸ナトリウム等の保水剤を下塗り層塗料に添加して塗布することにより、下塗り塗料の原紙への浸透を防止して均質な下塗り層を形成して画質を向上させる方法も開示されている(特許文献9、特許文献10)。
しかしながら、特許文献7や特許文献8に記載の方法では何れも可塑剤やアルコール等の薬品に対する保存性は実用性十分とはいえないレベルである。また、特許文献9や特許文献10に記載の均質な下塗り層を形成させる方法でも、画質向上はみられるものの、感熱記録層用塗液の下塗り層への不均一な浸透を抑えることができず、更にその上に塗布形成される保護層は厚みが不均一となり、バリア性に対して十分な効果がみられない。
特公昭49−24133号公報 特開昭57−39985号公報 国際公開WO01/076884 特開2001−18526号公報 特開2001−138632号公報 特開2001−113226号公報 特開平4−314590号公報 特開平7−179041号公報 特開平2005−280117号公報 再公表特許WO2005/007419号公報
本発明の課題は、発色感度、耐薬品性及び耐スティッキング性に優れた感熱記録材料を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を種々検討した結果、支持体上に、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の感熱記録材料を提供するものである。
項1:支持体上に、顔料及びバインダーを主成分とする下塗り層、ロイコ染料と顕色剤を含む感熱記録層、並びに保護層を順次有する感熱記録材料において、前記下塗り層がスチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られたスチレン−アクリル系共重合樹脂を下塗り層全固形分に対して1〜10質量%含有し、更に前記感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成されることを特徴とする感熱記録材料。
項2:前記スチレン−アクリル系共重合樹脂を下塗り層全固形分に対して2〜8質量%含有する、項1に記載の感熱記録材料。
項3:前記スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンがアニオン性である、項1または2に記載の感熱記録材料。
項4:前記下塗り層の顔料として、吸油量(JIS K 5101に基づく)が90ml/100g以上の焼成カオリンを含有する、項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
項5:前記下塗り層の顔料として、さらにプラスチック中空粒子を前記焼成カオリンに対して、10〜100質量%含有する、項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
項6:前記下塗り層が、下塗り層用塗液をブレード塗布法により塗布、乾燥して形成される、項1〜5のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
項7:前記感熱記録層用塗液の25℃におけるブルックフィールド型粘度(60rpm)が200〜1500mPa・sである、項1〜6のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
項8:前記感熱記録層用塗布液の主たる水溶性接着剤として重合度500以上のポリビニルアルコールを含有し、且つ前記ポリビニルアルコールの含有量が前記感熱記録層の全固形分に対して3〜30質量%である、項1〜7のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
項9:前記感熱記録層用塗液が、下記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩を含有する項1〜8のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
Figure 2011062874
(式中、R、Rは同一または異なる炭素数2〜20の脂肪族または脂環式炭化水素基を表し、Mは水素原子またはカチオン、xは1または2を表す)
本発明によれば、発色感度、耐薬品性及び耐スティッキング性に優れた感熱記録材料を提供することができる。
以下、本発明の感熱記録材料について詳細に説明する。本発明では、支持体上に、顔料及びバインダーを主成分とする下塗り層、ロイコ染料と顕色剤を含む感熱記録層、並びに保護層を順次有する感熱記録材料において、前記下塗り層がスチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られたスチレン−アクリル系共重合樹脂を下塗り層全固形分に対して1〜10質量%含有し、更に前記感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成される。
(下塗り層)
本発明では、支持体と感熱記録層との間に、顔料及びバインダーを主成分とし、更にスチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られたスチレン−アクリル系共重合樹脂を特定量含有する下塗り層を設けることにより、その下塗り層上に感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成された場合に、耐薬品性が特に向上し、更に発色感度、耐スティッキング性も良好である。
本発明で使用されるスチレン−アクリル系共重合樹脂は、スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られた樹脂であり、スチレン−アクリル系共重合樹脂塩(いわゆる溶液型)から得られるスチレン−アクリル系共重合樹脂と比較して、記録部の耐薬品性に優れるものである。なお、スチレンと共重合して得られるアクリル系のモノマーとしては、アクリル酸や、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチルなどのアクリル酸のアルキル若しくはヒドロキシアルキルエステル、更にメタクリル酸や、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチルなどのメタクリル酸のアルキル若しくはヒドロキシアルキルエステル等があげられる。
また、スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンは、アニオン性、カチオン性のいずれも使用することができるが、本発明の効果を達成する上では、アニオン性のエマルジョンがより好ましい。
前記スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られたスチレン−アクリル系共重合樹脂は、下塗り層全固形分に対して1〜10質量%含有するものであるが、より好ましくは2〜8質量%であり、最も好ましくは2〜7質量%である。前記スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られたスチレン−アクリル系共重合樹脂の含有量が、下塗り層全固形分に対して1〜10質量%であれば、層間混合を効果的に抑制でき、塗布均一性を高めて保護層のバリア性が向上し、より一層優れた耐薬品性を発揮できる。1質量%未満では、耐薬品性の改善効果は得られず、10質量%を超えると、下塗り層の役割である熱溶融物を吸収する能力が低下して、サーマルヘッドへの貼りつき、所謂スティッキングの発生が懸念される。
本発明では、下塗り層の顔料の主成分は吸油量(JIS K 5101に基づく)が90ml/100g以上の焼成カオリンを含有することが断熱性付与による発色感度の向上ができるため好ましい。また、より好ましくは吸油量(JIS K 5101に基づく)が90ml/100g以上の焼成カオリン及びプラスチック中空粒子を併用することが発色感度及びスティッキングのバランスの点で好ましい。
ここで、プラスチック中空粒子としては、従来公知のもの、例えば熱可塑性高分子を殻とする微小中空粒子であり、アクリル系樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、塩化ビニリデン系樹脂とアクリロニトリルを主体とする共重合樹脂、イソボニルメタクリレートとアクリロニトリルを主体とする共重合樹脂等からなる中空率が50〜99%程度の粒子が挙げられる。ここで中空率とは内径と外径の比であり、下記式で表示されるものである。
中空率(%)=(中空粒子の内径/中空粒子の外径)×100
プラスチック中空粒子の含有量は、焼成カオリンに対して10〜100質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、15〜70質量%が最も好ましい。100質量%以下とすることにより、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液をカーテン塗布法で同時多層塗布する場合に、層間混合を効果的に抑制でき、塗布均一性を高めて保護層のバリア性が向上し、より一層優れた耐薬品性を発揮できる。また、熱溶融物を吸収する能力に優れ、サーマルヘッドへの貼り付き、所謂スティッキングを抑制する効果を向上できる。一方、10質量%以上とすることにより、記録感度と画質が向上し、感熱記録層と保護層との層間混合の抑制効果を向上できる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、下塗り層中の顔料として、一般の無機及び有機顔料の全てを添加できる。具体例としては、酸化アルミニウム、焼成珪藻土、珪酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、カオリン、非晶質シリカ、タルク等が挙げられる。また本発明の効果を損なわない範囲で密実のプラスチック粒子を含有することもできる。前述のプラスチック中空粒子と焼成カオリンを含む顔料の合計量は、下塗り層全固形分に対して40〜90質量%であることが好ましい。
下塗り層のバインダーとしては、水溶性高分子や水性バインダーが挙げられる。これらは1種単独でも、2種以上を併用してもよい。前記水溶性高分子としては、例えば、澱粉、変性澱粉、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、アクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カゼイン等が挙げられ、前記水性バインダーとしては、合成ゴムラテックス、合成樹脂エマルジョンが一般的であり、例えば、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等が挙げられる。
下塗り層のバインダーの使用量としては、塗膜強度や感熱記録層の記録感度との兼ね合いで決定されるが、下塗り層に含まれる顔料に対して、3〜100質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜40質量%が特に好ましい。また、下塗り層用塗液中には、必要に応じて、増粘剤、ワックス、消泡剤、界面活性剤等を添加してもよい。
本発明における下塗り層は従来公知の技術に従って塗布することができ、例えばエアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜使用可能である。下塗り層は、感熱記録層及び保護層と同時に塗布しても、下塗り層塗布後、一旦下塗り層を乾燥させた後に感熱記録層と保護層を同時塗布しても良いが、高濃度塗布が可能であり、塗液中の成分に均一な配向性を付与することができるブレード塗布法により塗布、乾燥させることで本発明の効果を最大限に発揮できる。ここで、ブレードコーターを用いた方法は、ベベルタイプやベントタイプのブレードを使用した塗工法に限らず、ロッドブレード法やビルブレード法等も含み、塗布、乾燥後は更に必要に応じてキャレンダー等の平滑化処理を施して使用してもよい。
下塗り層の塗布量としては、特に制限はないが、感熱記録体の特性に応じて、2g/m以上が好ましく、3g/m以上がより好ましく、4〜10g/mが特に好ましい。
一般に、感熱記録層及び保護層の複数層の塗液からなる塗液膜を、下塗り層上に同時多層塗布する場合、塗布から乾燥が終わるまでの間に、塗液膜を構成する感熱記録層用塗液の水分が下塗り層中へ移動し、それにつれてより上層の保護層用塗液の水分が感熱記録層側へ移動する。このとき保護層に含まれる水以外の成分も水分の移動に起因して、感熱記録層側へ移動してしまい、層間での混合が発生するため、保護層のバリア性が低下して耐薬品性等の品質低下が問題となる。本発明において優れた耐薬品性が得られる理由としては、スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られたスチレン−アクリル系共重合樹脂が、下塗り層用塗液の塗布から乾燥が終わるまでの間により上方に移行して下塗り層表面に整列し、下塗り層表面の疎水性を増大させて、感熱記録層用塗液の水分の浸み込みを抑え、結果として感熱記録層用塗液と保護層用塗液の層間混合を抑制し、保護層のバリア性を向上しているためと考えられる。この時、溶液型よりエマルジョン型のスチレン−アクリル系樹脂の方が、効果が高い。これは水溶性樹脂の場合、エマルジョンに比べ乾燥時の移動が緩慢であり、下塗り層全体に散乱するので、表層の疎水性がエマルジョンに比べて低くなるためと考えられる。
(感熱記録層)
本発明において、感熱記録層用塗液は、25℃における60rpmでのブルックフィールド型粘度(B型粘度)が200〜1500mPa・sの範囲であることが好ましく、特に300〜1200mPa・s程度であることが好ましい。200mPa・s未満では、感熱記録層用塗液が下塗り層へ部分的に不均一に吸収され易くなるため、保護層の厚みも不均一になり易く、バリア性が低下するものと考えられる。また、1500mPa・sを超えると、感熱記録層用塗液中の泡が抜け難くなることにより、泡による塗工欠陥が発生したり、或いは流れ方向にスジ状の塗布ムラが発生し易くなるため、保護層が均一に塗布されなくなってバリア性が低下したり、印画ムラが発生し易くなる。
また、前記感熱記録層の主たる水溶性接着剤として、重合度500以上のポリビニルアルコールを感熱記録層の全固形分に対して3〜30質量%含有する感熱記録層用塗液を調製することにより、25℃における60rpmでのブルックフィールド型粘度(B型粘度)が200〜1500mPa・sの範囲である塗液が得られ、保護層用塗液との同時多層カーテン塗布法により、品質に優れた感熱記録材料を生産性よく製造することができる。
重合度500以上のポリビニルアルコールとしては、未変性及び変性、完全鹸化及び部分鹸化の何れも使用可能である。例えば、変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び珪素変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
感熱記録層中に添加される重合度500以上のポリビニルアルコール以外の水溶性接着剤の具体例としては、例えば、酸化澱粉、酸変性澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉、カチオン変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉及び酢酸ビニル変性グラフト化澱粉等の澱粉類、重合度500未満のポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド・アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド・アクリル酸エステル・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられるが、その含有量は重合度500以上のポリビニルアルコールの含有量を超えてはならない。水溶性接着剤以外にも、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、スチレン・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル系共重合体等のラテックス等の併用が可能である。
更に、感熱記録層には白色度及び画像均一性を向上するため、白色度が高く、平均粒径が10μm以下の微粒子顔料を含有させることもできる。顔料の具体例としては、例えばカオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、焼成クレー、焼成カオリン、酸化チタン、酸化亜鉛、珪藻土、微粒子状無水シリカ、活性白土等の無機顔料、スチレンマイクロボール、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、尿素−ホルマリン樹脂フィラー、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、生澱粉粒子等の有機顔料が挙げられる。顔料の含有量は、発色濃度を低下させない程度の量、即ち感熱記録層の全固形量に対して50質量%以下が好ましい。
更に、本発明では、耐薬品性を向上させるために、感熱記録層用塗液が重合度300〜2400の部分鹸化ポリビニルアルコールを、感熱記録層の全固形量に対して0.3〜10質量%含有することが好ましい。部分鹸化ポリビニルアルコールは発色成分の保護コロイド剤として作用するため耐薬品性が更に向上するものと考えられる。ここで、部分鹸化ポリビニルアルコールの目的として、粘度調整のためではなく保護コロイド剤であるため、上記のポリビニルアルコールで記載された重合度500以上である必要はなく、重合度300以上であればよい。部分鹸化ポリビニルアルコールが0.3〜10質量%の範囲であれば、耐薬品性が更に向上し、発色感度の低下も抑えられる。また、部分鹸化ポリビニルアルコールの重合度が300〜2400の範囲であれば、塗膜強度の低下が抑えられ、感熱記録層用塗液の粘度が高くならず、塗工適性が低下する恐れが少ない。なお、部分鹸化ポリビニルアルコールの鹸化度としては75〜90mol%、好ましくは80〜89mol%程度のものが使用される。鹸化度が90mol%を超えると保護コロイド剤としての能力が不足する。また、鹸化度が75mol%未満のポリビニルアルコールは塗液の泡が多くなるので好ましくない。
重合度300〜2400の部分鹸化ポリビニルアルコールとしては、未変性及び変性の何れもが使用可能である。変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び珪素変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。
本発明の感熱記録層は、各種公知のロイコ染料、顕色剤を含有する。その他、必要に応じて、増感剤、顔料、各種助剤等を含有してもよい。
例えば、黒色発色を与えるロイコ染料としては、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アリニノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−2−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−〔N−(3−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ〕−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン等の少なくとも1種を用いることができる。また、必要に応じて、ロイコ染料としては、黒とは異なる色調に発色する、例えば赤、赤紫、オレンジ、青、緑等の発色色調を与えるロイコ染料を使用してもよい。
本発明で使用されるロイコ染料はこれらに限定されるものではなく、2種以上を併用することもできる。かかるロイコ染料の使用量としては、感熱記録層の全固形分に対して3〜30質量%程度である。
本発明において、前記ロイコ染料を固体微粒子状態として使用する場合、該ロイコ染料を、水を分散媒体として、サンドグラインダー、アトライター、ボールミル、コボーミル等の各種湿式粉砕機によって粉砕し、これをポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、スルホン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体塩及びそれらの誘導体等の水溶性合成高分子化合物のほか、必要に応じて界面活性剤、消泡剤等と共に分散媒体中に分散させて分散液とし、この分散液を感熱記録層用塗液の調製に用いることができる。
またロイコ染料を溶剤に溶解した後、この溶液を水中で上記水溶性高分子を安定化剤として乳化分散後、この乳化液から溶剤を蒸発させ染料前駆体を固体微粒子化して使用することもできる。いずれの場合も固体微粒子状態で使用するロイコ染料の分散粒子の平均粒子径は、適切な発色感度を得るために0.2〜3.0μm程度であることが好ましく、より好ましくは0.3〜1.0μm程度である。
本発明においては、ロイコ染料の使用方法として、上記固体微粒子状態で使用する以外に、有機高分子とロイコ染料とからなる複合粒子としても使用することができる。複合粒子の作製については、公知の方法により可能である。例えば、前記有機高分子がポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種である複合粒子の作製方法について記載する。上記複合粒子は、ロイコ染料、並びに重合によりポリウレア及びポリウレア−ポリウレタンの少なくとも1種を形成する高分子形成性原料を、100℃以下の沸点を有する水不溶性有機溶剤に溶解混合し、この有機溶剤溶液をポリビニルアルコール等の親水性保護コロイド溶液中に平均粒子径が0.5〜3μm程度となるように乳化分散し、更に必要によりポリアミン等の反応性物質を混合後、この乳化分散液を加熱して前記有機溶剤を揮発除去し、その後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製されたもの、或いは前記ロイコ染料を高分子形成性原料に溶解し、この溶解液を前述の方法で平均粒子径が0.5〜3μm程度に乳化分散後、前記高分子形成性原料を高分子化することにより調製される。
本発明において、感熱記録層に使用される顕色剤としては、公知の化合物を使用することができる。かかる顕色剤の具体例としては、例えば、4−tert−ブチルフェノール、4−アセチルフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−フェニルフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、及びビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル等のフェノール性化合物、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシフタル酸ジメチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸プロピル、4−ヒドロキシ安息香酸−sec−ブチル、4−ヒドロキシ安息香酸フェニル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸トリル、4−ヒドロキシ安息香酸クロロフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等のフェノール性化合物、または安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、トリクロル安息香酸、テレフタル酸、サリチル酸、3−tert−ブチルサリチル酸、3−イソプロピルサリチル酸、3−ベンジルサリチル酸、3−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸等の芳香族カルボン酸、及びこれらフェノール性化合物、芳香族カルボン酸と例えば亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム等の多価金属との塩等の有機酸性物質、N−p−トルエンスルホニル−N’−3−(p−トルエンスルホニルオキシ)フェニルウレア、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−ブトキシカルボニル)ウレア、N−p−トルエンスルホニル−N’−フェニルウレア等のウレア化合物が挙げられる。
本発明において、感熱記録層中のロイコ染料と顕色剤の使用比率は用いるロイコ染料と顕色剤の種類に応じて適宜選択すべきもので、特に限定するものではないが、一般にロイコ染料1質量部に対して1〜7質量部程度、好ましくは1〜6質量部程度の顕色剤が使用される。これらの物質を含む感熱記録層用塗液の調製は、一般に水を分散媒体とし、ボールミル、アトライター、サンドミル等の撹拌、粉砕機によりロイコ染料と顕色剤とを一緒に、または別々に分散する等して塗液として調製される。
更に、目的に応じて増感剤を併用することもできる。増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メトキシカルボニル−N−ステアリン酸ベンズアミド、N−ベンゾイルステアリン酸アミド、N−エイコサン酸アミド、エチレンビステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、N−メチロールステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジオクチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジルエステル、p−ベンジルビフェニル、トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(2−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、p−ジ(ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1−イソプロピルフェニル−2−フェニルエタン等が例示される。これらの増感剤の使用量は特に限定されないが、一般に顕色剤1質量部に対して4質量部以下の範囲で調節するのが望ましい。
また、所望の効果を損なわない限り、目的に応じて記録像の保存性を更に高めるために、他の保存性改良剤を併用することもできる。かかる保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−(2,2−プロピリデン)ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(5−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−クロロ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−チオビス(3−メチルフェノール)、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ソーダ等が挙げられる。
また、感熱記録層用塗液中には必要に応じて各種の助剤を添加することができる。例えば、界面活性剤、ワックス類、金属石鹸、消泡剤、蛍光染料、着色染料、架橋剤、粘度調整剤等が適宜添加される。
本発明においては、より製品の付加価値を高めるため、多色感熱記録材料とすることもできる。一般に多色感熱記録体は、加熱温度の差、または熱エネルギーの差を利用する試みであり、一般に、支持体上に異なる色調に発色する高温発色層と低温発色層を順次積層して構成されたものであってこれらを大別すると消色型と加色型の2種類、マイクロカプセルを用いた方法及び有機高分子と染料前駆体からなる複合粒子を使用して多色感熱記録材料を製造する方法がある。
本発明において、感熱記録層はカーテン塗布法によって形成されるため、表面張力を調整してカーテン膜を安定化するために感熱記録層用塗液には界面活性剤が添加される。界面活性剤としては、例えば、スルホコハク酸系のアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アセチレングリコール系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、エーテル型界面活性剤、或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等が挙げられるが、カーテン膜安定性の点から、特に好ましくは、下記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。更に、塩としては、アルカリ金属塩またはアンモニウム塩が好ましく、また、アルキル基としては、炭素数2〜20が好ましく、更に炭素数4〜10が特に好ましい。具体的にはイソブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基が好ましい。また、界面活性剤の添加量としては、感熱記録層の全固形分に対して0.05〜3.0質量%程度であることが好ましい。0.05質量%未満では、添加の効果が少なく表面張力が十分に低くならずカーテン膜切れし易くなる。3.0質量%を超えると塗液が泡立ち易くなり塗工欠陥の原因となる。効果と塗料物性等のバランスから、界面活性剤の更に好ましい含有量としては0.10〜2.0質量%程度である。
Figure 2011062874
(式中、R、Rは同一または異なる炭素数2〜20の脂肪族または脂環式炭化水素基を表し、Mは水素原子またはカチオン、xは1または2を表す)
本発明では、カーテン塗布法により感熱記録層及び保護層を同時多層塗布することが、カーテン膜の安定性を高めたり、更に生産効率の向上や、製造時の消費エネルギーをより低減させることができる点で好ましい。本発明では、感熱記録層の塗布において用いられるカーテン塗布法とは、塗液を流下して自由落下させて、支持体に非接触で塗布する方法であり、スライドカーテン法、カップルカーテン法、ツインカーテン法等の公知のものを採用することができ、特に制限されるものではない。また、特開2006−247611号公報に記載のように、カーテンヘッドから塗料を下向きに噴出させて斜面上で塗料層を形成させ、斜面の終端部の下向きのカーテンガイド部から塗料カーテンを形成してウエブ面上に該塗料層を移行させることもできる。感熱記録層用塗液の塗布量は特に制限はなく、乾燥重量で1〜12g/m程度、特に2〜10g/m程度であれば所望の品質を達成できる。なお、感熱記録層は必要に応じて2層以上に分けることができ、各層の組成、塗工量を変えることもできる。なお、塗料濃度、塗布速度、カーテン膜幅、落下角度等の諸条件は、各々のカーテン塗布法及び塗布装置に合わせ、適宜調整して行うことが望ましい。これらのカーテン塗布法は、非接触方式の輪郭塗工であるため、均一な厚さの塗工層が得られる。一方、ブレード、バー、エアナイフ塗工等の接触方式の塗工では、支持体の表面性(凹凸)の影響を受けるため、膜厚が不均一となる。このため、同一塗工量では、カーテン塗布で形成された感熱記録層の方が良好な画質を得ることができる上、画像の保存性も向上する。
(保護層)
本発明においては、感熱記録層の上には、少なくとも1層以上の保護層が設けられる。保護層は、従来から公知の感熱記録体に使用されている保護層を利用できる。保護層は、顔料と接着剤を主体として構成される。特に保護層には、サーマルヘッドに対するスティッキングを防止する目的で、ポリオレフィンワックス、ステアリン酸亜鉛のような滑剤を添加することが好ましく、紫外線吸収剤を含むこともできる。また光沢のある保護層を設けることにより、製品の付加価値を高めることもできる。
本発明では、水溶性接着剤として重合度1000〜3000のポリビニルアルコールを、保護層の全固形量に対して15〜50質量%含有することにより本発明の効果をより一層高めることができる。重合度1000〜3000のポリビニルアルコールとしては、例えば、完全鹸化または部分鹸化ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、ジアセトン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、及び珪素変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール等が挙げられる。
なかでも、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール及びジアセトン変性のポリビニルアルコールは表面のバリア性を向上させ、耐薬品性等の保存性を向上させることができ、好ましく用いられる。
水溶性高分子の含有量は、総計で、保護層の全固形分に対して10〜80質量%程度が好ましく、特に20〜75質量%程度がより好ましい。
10質量%未満ではバリア性が十分ではないばかりでなく、表面強度が低下し、紙粉の悪化等につながる。一方、80質量%を超えるとスティッキングが悪化する恐れがある。
水溶性高分子以外の接着剤として、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリブチルメタクリレート、スチレン・ブタジエン共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル系共重合体等のラテックス等の併用が可能である。
顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化チタン、無定形シリカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン等の無機顔料、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー、生澱粉粒子等の有機顔料が挙げられる。
なかでも、カオリン、水酸化アルミニウムは可塑剤や油等の薬品に対するバリア性の低下が少なく、しかも記録濃度の低下も小さいため、好ましい。
顔料の使用量は、保護層の全固形分に対して5〜80質量%程度であり、特に10〜70質量%程度の範囲が好ましい。
5質量%未満では、サーマルヘッドとの滑りが悪くなり、スティッキングを起こしたり、ヘッド粕の悪化を招く。一方、80質量%を超えると、バリア性が悪くなり、保護層としての機能が大幅に低下する。
助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホン変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウムアセチレングリコール系化合物、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、エーテル型界面活性剤、或いはベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリン誘導体等の両性系界面活性剤等の界面活性剤、グリオキザール、硼酸、ジアルデヒド澱粉、メチロール尿素、エポキシ系化合物、ヒドラジン系化合物等の耐水化剤(架橋剤)、疎水性ポリカルボン酸共重合物、紫外線吸収剤、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤等が挙げられる。助剤の使用量は、広い範囲から適宜設定することができる。
本発明において、保護層は、感熱記録層と共に同時多層カーテン塗布することで、カーテン流量を多くしてカーテン膜を安定させて塗工欠陥の発生を抑制させたり、また、保護層のバリア性や生産効率を高め、製造時の消費エネルギーをより低減させることができる点で好ましい。カーテン塗布に用いる塗布装置としては、特に限定されないが、エクストルージョンホッパー型カーテン塗布装置、スライドホッパー型カーテン塗布装置、或いは前述の特開2006−247611号公報に記載の方法等が挙げられる。
保護層用塗液の塗布量は特に制限はなく、乾燥重量で0.3〜10g/m程度、特に0.5〜8g/m程度であれば所望の品質を達成できる。なお、保護層は必要に応じて2層以上に分けることができ、各層の組成、塗工量を変えることもできる。
塗液の塗布後は乾燥され、その後は、好ましくはカレンダー処理により平滑化処理され使用に供される。
本発明においては、感熱記録材料の付加価値を高めるために、これに更に加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録材料とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型の粘着剤等の塗布加工を施すことにより粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙として使用することができる。或いは磁気加工を施すことにより裏面に磁気記録可能な層を有する感熱記録体とすることもできる。特に、粘着加工、及び磁気加工を施したものは感熱ラベルや、感熱磁気乗車券等の用途に有用である。また、裏面を利用して、これに熱転写用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン用紙、静電記録紙、ゼログラフィ用紙としての機能を付与し、両面記録が可能な記録材料とすることもできる。勿論、両面感熱記録材料とすることもできる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、特に断らない限り例中の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
実施例1
(下塗り層用塗液の調製)
吸油量110ml/100gの焼成カオリン60部、プラスチック中空粒子エマルジョン(商品名:AE852、固形分濃度26%、中空率80%、平均粒子径1.0μm、JSR社製)80部、軽質炭酸マグネシウム1部、接着剤として固形分濃度50%のスチレン・ブタジエン・アクリロニトリル共重合ラテックス20部、カルボキシメチルセルロース(商品名:セロゲン7A、第一工業製薬社製)の5%水溶液20部、酸化澱粉(商品名:王子エースA、王子コーンスターチ社製)の20%水溶液25部、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、固形分濃度30%、荒川化学工業社製)20部及び水90部を均一に混合攪拌して下塗り層用塗液を得た。
(染料前駆体/増感剤分散液(A液)調製)
3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン25部、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン20部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液25部、及び水30部からなる組成物を、サンドミルで平均粒子径が0.9μmになるまで粉砕して染料前駆体分散液(A液)を得た。
(顕色剤分散液(B液)調製)
2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン45部、スルホン変性ポリビニルアルコールの20%水溶液25部、及び水30部からなる組成物を、サンドミルで平均粒子径が1.5μmになるまで粉砕して顕色剤分散液を(B液)得た。
(感熱記録層用塗液の調製)
A液40部、B液50部、C液10部、カオリン(1級カオリン、商品名:UW−90、エンゲルハード社製、平均粒子径d50;0.32μm)の50%水分散液50部、完全鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−110、重合度1000、鹸化度98.5mol%、クラレ社製)の15%水溶液20部、部分鹸化ポリビニルアルコール(商品名:PVA−205、重合度500、鹸化度88.0mol%、クラレ社製)の15%水溶液30部、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス(商品名:L−1571、固形分濃度48%、旭化成ケミカルズ社製)15部、アジピン酸ジヒドラジドの30%水分散液10部、ステアリン酸亜鉛の30%水分散液10部、更にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の10%水溶液5部を順次添加、混合攪拌して25℃でのB型粘度700mPa・sの感熱記録層用塗液を得た。
(保護層用塗液の調製)
カオリン(1級カオリン、商品名:UW−90、エンゲルハード社製、平均粒子径d50;0.32μm)の50%水分散液50部に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマーZ―410、重合度2400、日本合成化学社製)の10%水溶液600部、ステアリン酸亜鉛(商品名:ハイドリンZ−8−36、固形分濃度36%、中京油脂社製)25部、更にジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩(商品名:SNウェットOT−70、サンノプコ社製)の5%水溶液20部を混合攪拌して保護層用塗液を得た。
(下塗り層の作製)
坪量60g/mの上質紙の片面に、下塗り層用塗液を乾燥後の塗布量が7g/mとなるようにブレードコーターにて塗布、乾燥して下塗り層塗布済み原紙を得た。
(感熱記録材料の作製)
上記で作製した下塗り層塗布済み原紙の上に、感熱記録層用塗液及び保護層用塗液を、スライドホッパー型カーテン塗布装置を用いて、下層側から感熱記録層用塗液及び保護層用塗液の順で構成される塗料膜を形成し、各層の固形分塗布量が感熱記録層4.0g/m、保護層2.0g/mとなるように、塗工速度600m/分にて同時多層カーテン塗布、乾燥した後、スーパーカレンダー処理を行い、感熱記録材料を得た。
実施例2
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、カチオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロン1603、固形分濃度30%、荒川化学工業社製)20部を使用して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
実施例3
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)を20部から6部に減配して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
実施例4
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)を20部から30部に増配して、下塗層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
実施例5
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、吸油量110ml/100gの焼成カオリンを80部添加し、且つプラスチック中空粒子エマルジョン(商品名:AE852、前出)を添加せず、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
実施例6
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、吸油量110ml/100gの焼成カオリン60部を添加せず、且つプラスチック中空粒子エマルジョン(商品名:AE852、前出)を250部添加して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
実施例7
実施例1の下塗り層の作製において、ブレードコーターの代わりに、カーテンコーターを用いて、塗布、乾燥して下塗り層塗布済み原紙を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例1
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例2
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)を20部から50部に増配した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例3
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、アルギン酸ナトリム(商品名:ケルギンHV、ケルコ社製)2%水溶液5部を添加した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例4
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂塩(商品名:SE2066、固形分濃度25%、星光PMC社製)24部を使用して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例5
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、カチオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂塩(商品名:ポリマロン360、固形分濃度20%、荒川化学工業社製)30部を使用して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例6
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、アニオン性スチレン−マレイン酸共重合樹脂塩(商品名:ポリマロン385、固形分濃度25%、荒川化学工業社製)24部を使用して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例7
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、アニオン性オレフィン−マレイン酸共重合樹脂塩(商品名:ポリマロン1329、固形分濃度25%、荒川化学工業社製)24部を使用して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例8
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、アニオン性パラフィンワックス系エマルジョン(商品名:サイズパインW116H、固形分濃度31%、荒川化学工業社製)20部を使用して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例9
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、アニオン性ロジン系水溶液型サイズ剤(商品名:サイズパインE、30%濃度、荒川化学工業社製)20部を使用して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例10
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、カチオン性アルキルケテンダイマー系エマルジョン(商品名:サイズパインK921、20%濃度、荒川化学工業社製)30部を使用して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例11
実施例1の下塗り層用塗液の調製において、アニオン性スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョン(商品名:ポリマロンE−100、前出)20部に代えて、アルケニル無水コハク酸系サイズ剤(商品名:サイズパインSA864、荒川化学工業社製、100%濃度)6部を使用して、下塗り層用塗液を得た以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
比較例12
実施例1の感熱記録材料の作製において、スライドホッパー型カーテン塗布装置の代わりに、ロッドバー塗布装置を使用して感熱記録層と保護層を逐次塗布、乾燥して形成した以外は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
得られた感熱記録材料について、以下の評価試験を行い、その結果を表1に記載した。
(記録感度)
感熱記録用シミュレーター(TH−PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー0.27mJ/dotにて記録し、ベタ記録部の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。記録部については、実用上、1.30以上であることが必要とされる。
(耐薬品性)
上記0.27mj/dotで発色させた感熱記録材料の印字部分を直径5cmのアクリル製円筒に塩ビラップフイルム(商品名:ハイエスソフトTM350、日本カーバイド工業社製)で上下から挟み込むように巻きつけ、40℃の環境で24時間放置した後、印字部分の濃度をマクベス濃度計(商品名:RD914、マクベス社製)のビジュアルモードで測定した。また、下記式により、印字部の保存率を求めた。塩ビラップフイルム処理後の記録濃度1.00以上で、保存率75%以上であれば問題ない。
保存率(%)=測定値(記録濃度)÷処理前の記録濃度×100
(スティッキング)
感熱評価機(VP−35、セイコー社製)を用いて黒ベタ印字を行い、その時のスティッキング(印字が跳んで横線が見られること)の状況を目視評価した。
○:スティッキングがなく良好である。
△:スティッキングがところどころで見られるが実用レベルである。
×:スティッキングが激しく、実用上問題である。
Figure 2011062874
本発明によれば、支持体と感熱記録層との間に、顔料及びバインダーを主成分とし、スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られたスチレン−アクリル系共重合樹脂を含有する下塗り層を設けることにより、その下塗り層上に感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成された場合に、耐薬品性が特に向上し、感度、スティッキング性にも優れた感熱記録材料を提供することができる。

Claims (9)

  1. 支持体上に、顔料及びバインダーを主成分とする下塗り層、ロイコ染料と顕色剤を含む感熱記録層、並びに保護層を順次有する感熱記録材料において、前記下塗り層がスチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンから得られたスチレン−アクリル系共重合樹脂を下塗り層全固形分に対して1〜10質量%含有し、更に前記感熱記録層と保護層が、感熱記録層用塗液と保護層用塗液を同時多層カーテン塗布法により塗布、乾燥して形成されることを特徴とする感熱記録材料。
  2. 前記スチレン−アクリル系共重合樹脂を下塗り層全固形分に対して2〜8質量%含有する、請求項1に記載の感熱記録材料。
  3. 前記スチレン−アクリル系共重合樹脂エマルジョンがアニオン性である、請求項1または2に記載の感熱記録材料。
  4. 前記下塗り層の顔料として、吸油量(JIS K 5101に基づく)が90ml/100g以上の焼成カオリンを含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
  5. 前記下塗り層の顔料として、さらにプラスチック中空粒子を前記焼成カオリンに対して、10〜100質量%含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感熱記録材料。
  6. 前記下塗り層が、下塗り層用塗液をブレード塗布法により塗布、乾燥して形成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
  7. 前記感熱記録層用塗液の25℃におけるブルックフィールド型粘度(60rpm)が200〜1500mPa・sである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
  8. 前記感熱記録層用塗布液の主たる水溶性接着剤として重合度500以上のポリビニルアルコールを含有し、且つ前記ポリビニルアルコールの含有量が前記感熱記録層の全固形分に対して3〜30質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
  9. 前記感熱記録層用塗液が、下記一般式(1)で表されるジアルキルスルホコハク酸塩を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の感熱記録材料。
    Figure 2011062874
    (式中、R、Rは同一または異なる炭素数2〜20の脂肪族または脂環式炭化水素基を表し、Mは水素原子またはカチオン、xは1または2を表す。)
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