JP2011057089A - 船舶のドック進水用船首尾補助設備 - Google Patents

船舶のドック進水用船首尾補助設備 Download PDF

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Abstract

【課題】痩せ船型でも進水喫水を減じ、現状のドック設備でも環境対応船型である痩せ船型の船舶を進水および建造可能とする進水用補助設備(Launching Lifter)を提供する。
【解決手段】建造される船舶のドック内の渠底上に配置され、内側に同船舶および/またはセミタンデム建造の際のブロックを配置可能で、かつ、船舶進水後に船舶から離脱可能な上部開口断面矩形状の船舶のドック進水用船首尾補助設備50であって、前記上部開口の両上部に設けられた上部ヒールタンク1、当該両上部ヒールタンク1の下部にそれぞれ設けられるボイドスペース2、前記それぞれのボイドスペース2の下部にそれぞれ設けられた下部ヒールタンク3、前記それぞれの下部ヒールタンク3間に設けられた中央タンク4からなり、これらの上部ヒールタンク1、下部ヒールタンク3、中央タンク4間の移水、注排水を行うことにより、船舶のトリム・ヒール調整を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、船舶のドック進水用船首尾補助設備に関する。
近年、世界中を航行する船舶に関しては、国際的な観点から、環境負荷低減の規則化が進められており、今後、建造を行う船舶については、CO排出量(燃費)低減を念頭に入れた船型開発が必要になる。燃費削減には、航行抵抗を減じた船型の採用が不可欠であり、それに対応する船型は痩せ船型となり、痩せ船型の場合には、進水時の喫水は増大することとなる。特に、自動車運搬船においては、現状の船型でも進水による制約を受けており、今後は燃費削減を満たす船型がいっそう求められ、その場合には、進水条件において、厳しい条件をクリアしなければならないことが予想される。
従来、痩せ型の船型のスリップウェイ(船台)による進水では、船首尾の浮力が不足する傾向にあり、船首尾の浮力不足に対しては、進水が困難なため、箱状の浮力体を船首尾船側に取り付けて、進水作業を行う場合がある。ドック進水においてもこれを応用することが可能であり、例えば、特開2007−1562号公報に掲示のものが知られている。
図5、図6は、当該特開2007−1562号公報に図1及び図2として開示される「船舶の付加浮力進水装置」の実施例の設置状態を示す正面図及び側面図であり、当該特開2007−1562号公報に開示ものは、発明名称「船舶の付加浮力進水工法及びその装置」に係り、「船舶の内部または外部に浮力を付加して進水船舶の平衡状態を維持する、付加浮力による船舶の進水方法及び装置を提供する」ことを目的として(同公報要約課題参照)、「所定の大きさを有し、内部に浮力を持つ物体を収納できるように構成された鉄格子状の浮力チャンバと、該浮力チャンバに収納されて浮力を発生させる浮力体と、浮力チャンバを船舶Sの底面に設置するとともに、付加的に発生した浮力が均等に船舶に働くように溶接などの方法で船舶Sと浮力チャンバを連結固定する複数の柱(pillar)と、で構成する」ことにより(同公報明細書段落番号0020参照)、「バラストを詰め込む貨物倉を形成していない小さい長さの部分建造船舶及び大型ブロックの進水が可能になる」、「喫水が低減し、結果として、・・・より多くの意匠品やブロックを搭載した条件で進水可能になる」等の効果を奏するものである(同公報明細書段落番号0017及び0018参照)。なお、図5、図6において、符号101は、浮力チャンバ、102は、浮力体、103は、柱、符号Sは、船舶である。
しかしながら、当該特開2007−1562号公報に開示の「船舶の付加浮力進水工法及びその装置」は、進水後の浮力体102等の取り外しが必要であり、また、船体の塗装等の手直し・仕上作業を行うためには、再度入渠(ファイナルドック)させる必要があるという問題があった。
また、前述の浮力体102は、個船毎にサイズや取り付け位置が異なるため、同型シリーズ以外の船では使用することができないという問題があった。さらに、一般的に痩せ船型の進水作業は、満潮の高潮位を利用して行われるため、進水当日の潮位により時間的な制約を受けたり、場合によっては進水日の変更が必要になるという問題があった。
特開2007−1562号公報
そこで本願発明は、上記の従来技術上の問題点に鑑み、痩せ船型でも進水喫水を減じ、現状のドック設備でも環境対応船型である痩せ船型の船舶を進水および建造可能とする進水用補助設備(Launching Lifter)を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本願請求項1に係る発明は、建造される船舶のドック内の渠底上に配置され、内側に同船舶および/またはセミタンデム(Semi-Tandem)建造の際のブロックを配置可能で、かつ、船舶進水後に船舶から離脱可能な上部開口断面矩形状の船舶のドック進水用船首尾補助設備であって、前記上部開口の両上部に設けられた上部ヒールタンク、当該両上部ヒールタンクの下部にそれぞれ設けられるボイドスペース、前記それぞれのボイドスペースの下部にそれぞれ設けられた下部ヒールタンク、前記それぞれの下部ヒールタンク間に設けられた中央タンクからなり、これらの上部ヒールタンク、下部ヒールタンク、中央タンク間の移水、注排水を行うことを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備において、前記船舶のドック進水用船首尾補助設備内に配置される少なくとも弁、エア抜き兼送気ライン、ヒールタンク移水ライン、ヒールタンク排水ライン、船外排水ラインを遠隔操作にて作動させることにより、前記上部ヒールタンク、下部ヒールタンク、中央タンク間の移水、注排水が行われることを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、前記請求項1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備において、前記船舶のドック進水用船首尾補助設備の総重量は、建造ドックのクレーン能力以下であり、また、その浮力は、1500〜2000トン程度で、船舶の進水時の喫水を略0.5〜1.0m程度を減じることが可能な総重量及び容積比を有することを特徴とする。
そして、本願請求項4に係る発明は、前記請求項1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備において、前記船舶のドック進水用船首尾補助設備の底部の高さは略1mとし、前記船舶のドック進水用船首尾補助設備の上に高さ略0.8mの低盤木を設置し、前記船舶のブロックを該低盤木の上へ搭載することを特徴とする。
本願発明は、上述のとおり構成されているので、次のような効果を奏する。
(1)進水後の浮力体の取り外しや塗装等の手直し・仕上作業を行うためのファイナルドックが不用となる。
(2)また、進水当日の潮位による時間的な制約を受けなくなり、進水日が変更されることがないという効果を有する。
(3)更に、ドライドックを建造する場合に本装置を用いることにより、比較的浅いドックを掘ることで充分となり、ドライドックの建造コストを低減することが可能という効果を有する。
図1は、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50の概略構成図、 図2は、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を利用した場合の進水作業を行う場合の配置図、 図3は、図2のA−A断面図、 図4は、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を利用した場合の進水手順を示す図、 図5は、特開2007−1562号公報に図1として開示される「船舶の付加浮力進水装置」の実施例の設置状態を示す正面図、 図6は、特開2007−1562号公報に図2として開示される「船舶の付加浮力進水装置」の実施例の設置状態を示す側面図である。
本発明に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備を実施するための形態として一実施例を示す船舶のドック進水用船首尾補助設備50を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50の概略構成図であり、図2は、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を利用した場合の進水作業を行う場合の配置図、図3は、図2のA−A断面図である。図1、図2、図3において、符号50は、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備であり、1は、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備を構成する上部ヒールタンク、2は、同ボイドスペース、3は、同下部ヒールタンク、4は、同中央タンク、5は、同エア抜き兼送気ライン、6は、同ヒールタンク移水ライン、7は、同ヒールタンク排水ライン、8は、同弁、9は、同船外排水ライン、10、11は同弁、12は、同圧縮空気ボンベ、13、14は、同弁、C.L.は、船舶中心線であり、上記弁8、10、11は、操作ステーション15から遠隔操作可能に構成される。また、図において、Sは、船舶、50は、前記本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備、60は、渠底、70は、盤木、80は、設備内低盤木である。
船舶Sの建造の際には、図2、図3に示すように、ドック渠底60上の盤木70上に船舶Sを配置し、さらに、前記船舶Sの船首部及び船尾部の渠底60上に本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を2箇所配置し、当該船舶のドック進水用船首尾補助設備50内に配置した前記設備内低盤木80上に、前記船舶Sの船底高さを一致させて、前記船舶Sを配置する。
本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50は、図2、図3に示すように、船舶Sの高さに対して80%程度の高さを有する上部開口断面矩形状の小型フローティングドック形状であって、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50は、図1に示すように、当該進水用補助設備50の断面矩形状の両上部に設けられた前記上部ヒールタンク1、1、当該上部ヒールタンク1、1の両下部に設けられた前記ボイドスペース2、2、当該ボイドスペース2、2の下部であって、かつ、前記進水用補助設備50の底部に設けられた前記下部ヒールタンク3、3、さらには、前記下部ヒールタンク3、3の横で、かつ、前記進水用補助設備50の底部に前記中央タンク4からなる。
すなわち、前記進水用補助設備(Launching Lifter)50は、図1に示すように、進水用補助設備50の両上部に設けられた上部ヒールタンク1、1、該両上部ヒールタンク1、1の下部に設けられたボイドスペース2、2、該ボイドスペース2、2の下部に設けられ、かつ、該進水用補助設備50の底部に設けられた下部ヒールタンク3、3が設けられ、該下部ヒールタンク3、3の間の前記進水用補助設備50の底部に前記中央タンク4が設けられる。
このような構成からなる本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を用いて、船舶を進水させる場合には、次のような進水手順にて行われる。
図4は、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を利用した場合の進水手順を示す図であり、図4において、図4(1)は、手順1の概略を示す図であり、図4(2)は手順2の概略を示す図、図4(3)は手順3の概略を示す図、図4(4)は手順4の概略を示す図、図5(5)は手順5の概略を示す図である。
すなわち、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を利用した場合の船舶進水は、まず、渠底60上に進水用補助設備(Launching Lifter)50を据付、船舶Sのブロックを該進水用補助設備50の上に搭載し、船舶Sの建造を行う。該進水用補助設備50の底部の高さは略1mとし、該進水用補助設備50の上に高さ略0.8mの前記低盤木80を設置し、前記船舶Sのブロックを該低盤木80の上へ搭載する(手順1)。
したがって、前記渠底60上に設置する盤木70の高さは略1.8mとなる。
なお、セミタンデム(Semi-Tandem)建造の際の1つのドックで船舶を1.5隻づつ順次すすめて建造する建造方法において、先行の建造船の進水時に、後続の船尾構造(セミタン船)も浮上させ、移動させる進水方法を取る場合においては、このセミタン船の進水前に該進水用補助設備50付近のブロックの工事が完了していれば、前記低盤木80が不用となり、前記盤木70の高さを更に低く抑えられ、進水はより有利となる。
次ぎに、進水の際には、ドックに注水し、該進水用補助設備50ごと船舶Sを浮上させる(手順2)。
この手順2において、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を船舶Sと一緒に浮上させるようにするので、従来、進水時に調整用として船舶のバラストタンクに張水していたバラスト水は、艤装時に必要な最小の量のみを船舶のバラストタンクへ張水し、トリムについては該進水用補助設備を設置する位置によってトリム調整を行い、バラスト水の総量を最小限にすることが可能となる。
また、浮上時に発生する不測のトリム・ヒールについては、前記操作ステーション15から遠隔操作によって、前記進水用補助設備50内の前記エア抜き兼送気ライン5、ヒールタンク移水ライン6、ヒールタンク排水ライン7、弁8、船外排水ライン9、弁10、11、圧縮空気ボンベ12を作動させて、前記上部ヒールタンク1、前記下部ヒールタンク3、前記中央タンク4に移水・注排水を行うことでトリム・ヒール調整を行う。
すなわち、進水時のトリム調整は、船首部進水用補助設備50または船尾部進水用補助設備50のいずれか(非トリム側)の弁10を開き、中央タンク4に注水し、調整を行い、また、進水時のヒール調整は、前記弁11を開き、ヒール側の前記上部ヒールタンク1から、重力にて反対舷の下部ヒールタンク3へ移水し、調整を行うようにする。
そして、船舶Sが完全に浮上したあとは、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を船舶Sに据付たままの状態で、船舶Sをドック外にタグボートにて引き出し、充分な水深のある場所へ船舶Sを移動する(手順3)。なお、ここで、セミタン船は、ドック外で係留し待機させる。
次に、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50内の弁10を開き、中央タンク4へ注水し満タンにし、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を沈降させ、船舶Sから該進水用補助設備50を離脱させ、船舶Sを艤装岸壁へ移動し、船舶Sを艤装岸壁へ着岸させる(手順4)。
ついで、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50内の弁10は開いた状態で、前記弁14を閉じたあと、さらに、前記弁13を開き、これにより、中央タンク4内の水は圧縮空気により本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50外へ排水され、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50は浮揚する(手順5)。
本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を再浮揚させ、必要に応じてヒール調整を行ったあと、ドック内に移動し、クレーンにより本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を回収し、工場内に進水用補助設備を保管する。なお、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50の総重量は、建造ドックのクレーン能力以下である。また、本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50の浮力は、1500〜2000トン程度であり、船舶の進水時の喫水を略0.5〜1.0m程度を減じることが可能となる。
次の船型の同じ又は異なる船舶を建造時に該進水用補助設備を使用する場合には、ドックを排水し、所定の位置に本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を据え付けたあとに、セミタンを据え付ける。よって、船型が異なる船舶を建造する場合にも本実施例1に係る船舶のドック進水用船首尾補助設備50を使用することが可能である。
本発明は、船舶のドック進水に利用することができ、特に、痩せ型の船型のドック進水における、船首尾の浮力不足が生じる進水に対して有効に利用することができる。
1 上部ヒールタンク
2 ボイドスペース
3 下部ヒールタンク
4 中央タンク
5 エア抜き兼送気ライン
6 ヒールタンク移水ライン
7 ヒールタンク排水ライン
8 弁
9 船外排水ライン
10 弁
11 弁
12 圧縮空気ボンベ
13 弁
14 弁
15 操作ステーション
50 ドック進水用船首尾補助設備
60 ドック渠底
70 盤木
80 低盤木
101 浮力チャンバ
102 浮力体
103 柱
S 船舶

Claims (4)

  1. 建造される船舶のドック内の渠底上に配置され、内側に同船舶および/またはセミタンデム(Semi-Tandem)建造の際のブロックを配置可能で、かつ、船舶進水後に船舶から離脱可能な上部開口断面矩形状の船舶のドック進水用船首尾補助設備であって、前記上部開口の両上部に設けられた上部ヒールタンク、当該両上部ヒールタンクの下部にそれぞれ設けられるボイドスペース、前記それぞれのボイドスペースの下部にそれぞれ設けられた下部ヒールタンク、前記それぞれの下部ヒールタンク間に設けられた中央タンクからなり、これらの上部ヒールタンク、下部ヒールタンク、中央タンク間の移水、注排水を行うことを特徴とする船舶のドック進水用船首尾補助設備。
  2. 前記船舶のドック進水用船首尾補助設備内に配置される少なくとも弁、エア抜き兼送気ライン、ヒールタンク移水ライン、ヒールタンク排水ライン、船外排水ラインを遠隔操作にて作動させることにより、前記上部ヒールタンク、下部ヒールタンク、中央タンク間の移水、注排水が行われることを特徴とする請求項1に記載の船舶のドック進水用船首尾補助設備。
  3. 前記船舶のドック進水用船首尾補助設備の総重量は、建造ドックのクレーン能力以下であり、また、その浮力は、1500〜2000トン程度で、船舶の進水時の喫水を略0.5〜1.0m程度を減じることが可能な総重量及び容積比を有することを特徴とする請求項1に記載の船舶のドック進水用船首尾補助設備。
  4. 前記船舶のドック進水用船首尾補助設備の底部の高さは略1mとし、前記船舶のドック進水用船首尾補助設備の上に高さ略0.8mの低盤木を設置し、前記船舶のブロックを該低盤木の上へ搭載することを特徴とする請求項1に記載の船舶のドック進水用船首尾補助設備。
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