JP2011052784A - 樹脂保持器 - Google Patents

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ゆりえ 落合
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Abstract

【課題】繊維強化樹脂を射出されたゲート部とウェルド部とが別々の柱部に位置する樹脂保持器において、ゲート部が位置する柱部と、ウェルド部が位置する柱部の耐折損性の差を改善する。
【解決手段】円環部10と、その円環部10に円周方向に等間隔に配置された複数の柱部11と、円周方向に隣接する柱部11,11と円環部10とで囲まれる複数のポケット12とを有し、そのポケット12の柱部11と円環部10とがなす隅部17が、保持器中心軸と同心の任意の円筒面上で円弧状の曲面であり、繊維強化材を含有する合成樹脂で射出成形され、ゲート部14とウェルド部15が別々の柱部11に位置する樹脂保持器7において、ゲート部14が位置する柱部11と円環部10がなす隅部17の円弧状の曲率半径r1をウェルド部15が位置する柱部11と円環部10がなす隅部17の円弧状の曲率半径r2よりも大きくすることにより、ゲート部14側の隅部17とウェルド部15側の隅部17間における破断強度差を小さくした。
【選択図】図2

Description

この発明は、ころ軸受に好適な樹脂保持器に関する。
近年、マシニングセンタ、CNC旋盤、フライス盤といった工作機械の主軸の支持に用いられる円筒ころ軸受には、運転時の保持器の摩耗粉による潤滑剤劣化の問題や軽量化の点から、合成樹脂製の保持器が利用されるようになっている。
上記のような樹脂保持器31として、例えば図12に示すように、円環部32と、その円環部32の軸方向側面33に円周方向に等間隔に配置されて軸方向の一方に延びる複数の柱部34と、円周方向に隣接する柱部34,34と円環部32とで囲まれる複数のポケット35とを有し、キャビティ内のうち柱部34の内側を成形する部分にゲートを位置させた金型を用いて合成樹脂で射出成形したものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
ところで、上記射出成形により成形された樹脂保持器31は、射出成形に伴って金型のゲートから合成樹脂が注入されたゲート部37付近の強度と、金型のキャビティ内で樹脂が合流するウェルド部36の強度が他の部分と比べて劣る傾向にある。そこで、この樹脂保持器31では、ウェルド部36を柱部34に位置させてウェルド部36の強度を高めたり、炭素繊維やガラス繊維などの繊維強化材を添加することにより保持器全体の強度を高めたりしている。
さらに、ポケット35の柱部34と円環部32とがなす隅部38を、保持器中心軸と同心の任意の円筒面上で円弧状の曲面とすることにより、軸受の回転時に隅部38に生じる応力集中を緩和して隅部38の強度を高めることが一般的に行なわれている。
特開2004−19723号公報 特開2007−78118号公報
しかしながら、繊維強化樹脂を用いた樹脂保持器の耐久性評価を行うと、ウェルド部36が位置する柱部34と比して、ゲート部37が位置する柱部34は、隅部38から折損し易いことが分かった。ゲート部37、ウェルド部36のせいで耐折損性が低下する両柱部34間で耐折損性に差があると、特に耐折損性に劣ったゲート部37が位置する柱部34の耐折損性が樹脂保持器全体としての柱部の耐折損性となり、耐久性の確保に不利である。
この発明が解決しようとする課題は、繊維強化樹脂を射出されたゲート部とウェルド部とが別々の柱部に位置する樹脂保持器において、ゲート部が位置する柱部と、ウェルド部が位置する柱部の耐折損性の差を改善することである。
上記課題を解決するために、この発明の樹脂保持器は、円環部と、その円環部に円周方向に等間隔に配置された複数の柱部と、円周方向に隣接する前記柱部と前記円環部とで囲まれる複数のポケットとを有し、そのポケットの前記柱部と前記円環部とがなす隅部が、保持器中心軸と同心の任意の円筒面上で円弧状の曲面であり、繊維強化材を含有する合成樹脂で射出成形され、その射出成形に伴って金型のゲートから合成樹脂が注入されたゲート部と前記金型のキャビティ内で樹脂が合流するウェルド部が別々の柱部に位置し、前記ゲート部が位置する柱部と前記円環部がなす隅部の前記円弧状の曲率半径の大きさと前記ウェルド部が位置する柱部と前記円環部がなす隅部の前記円弧状の曲率半径の大きさの差と、前記ゲート部が位置する柱部の厚みと前記ウェルド部が位置する柱部の厚みの差の少なくとも一方を設けたことにより、当該ゲート部側の隅部と当該ウェルド部側の隅部間における破断強度差を小さくしたのである。
繊維強化樹脂で保持器を成形したとき、ゲート部が位置する柱部と、ウェルド部が位置する柱部との間で耐折損性に差が生じるのは、図13に示すように、ゲートに近い隅部の表層部では繊維強化材の繊維の向きがランダム傾向であるのに対し、ゲートから遠い、ウェルド部が位置する柱部と円環部とがなす隅部の表層部では平行になる傾向が高いことが要因と考えられる。これは、ゲートからの射出樹脂が円環部成形域を通る間に整えられ、その後、ウェルド部が位置する柱部成形域に回り込むからである。ゲート部が位置する柱部と、ウェルド部が位置する柱部間における耐折損性の差は、前記の両隅部における繊維強化材の配向性差によるから、これら両隅部間における破断強度差を小さくすることで両柱部間における耐折損性の差を小さくすることができる。
前記ゲート部が位置する柱部と前記円環部がなす隅部の前記円弧状の曲率半径の大きさと前記ウェルド部が位置する柱部と前記円環部がなす隅部の前記円弧状の曲率半径の大きさの差と、前記ゲート部が位置する柱部の厚みと前記ウェルド部が位置する柱部の厚みの差の少なくとも一方を設ければ、当該ゲート部側の隅部に生じる応力集中を当該ウェルド部側の隅部に比してより緩和し、両隅部間における破断強度差を小さくすることができる。これにより、ゲート部が位置する柱部と、ウェルド部が位置する柱部の耐折損性の差を改善することができる。
前記ゲート部が位置する柱部と前記円環部がなす隅部と前記ウェルド部が位置する柱部と前記円環部がなす隅部の前記円弧状の曲率半径の大きさを異ならせた樹脂保持器の当該ゲート部側の隅部の円弧状の曲率半径を当該ウェルド部側の隅部の円弧状の曲率半径よりも大きくすることができる。
前記ゲート部側の隅部の前記曲率半径を、前記ウェルド部側の隅部の前記曲率半径の1.1倍以上とすれば、両隅部の破断強度を同程度にすることができる。ここで、1.1倍以上の範囲の上限は、両隅部の曲率半径が同じ点でのみ相違する樹脂保持器と比して、両隅部間における破断強度差を小さくすることができる範囲より自ずと定まる。
この発明においては、ゲート部側の隅部の曲率半径を大きくする際、その曲率中心をころ中心側に設定することも可能だが、当該隅部と、転動するころ(特にこの面取り部)との間でポケットすきまが狭まる。このため、転動するころとの歪な接触が生じない限りに制限される。
前記ゲート部側の隅部を、前記ゲート部が位置する柱部の円周方向側面及び前記円環部の軸方向側面にころが接触した状態で当該ころと接触しないようにポケットの外側に逃げる曲面とすれば、当該隅部と、転動するころとの接触を避けつつ、当該隅部の曲率半径を大きくすることができる。
前記ゲート部が位置する柱部と前記ウェルド部が位置する柱部の厚みを異ならせた樹脂保持器の当該ゲート部が位置する柱部を、当該ウェルド部が位置する柱部よりも厚くすることができる。
柱部を厚くする方向は、保持器中心軸回りの円周方向および半径方向の少なくとも一方である。半径方向は、軌道面との干渉を避けるために延長量が比較的に制限されるので円周方向に厚くすることが好ましい。
前記保持器は、前記柱部を前記円環部の軸方向側面から軸方向に延びるように形成した、所謂くし型保持器とすることができる。
また、前記くし型保持器に代えて、前記円環部が軸方向に対向する一対の円環部からなり、前記柱部が軸方向に延びて前記一対の円環部の対向面に連なる、所謂かご型保持器とすることもできる。
前記ゲート部を前記柱部一本おきに位置させることが好ましい。このようにすると、ゲート部が位置する柱部と、ウェルド部が位置する柱部とが円周方向に交互に並ぶことになる。ある1つの基準柱部から円周方向に数えて奇数番目の柱部は、その柱部で区切られた2箇所のポケットのゲート部側の隅部をなす。偶数番目の柱部は、その柱部で区切られた2箇所のポケットのウェルド部側の隅部をなす。すなわち、円周方向に隣接する任意の2箇所のポケットの組合せを考えたとき、全ての組合せの両ポケットは、これらを区切る柱部の円周方向幅中央を通る軸方向に平行な平面を境とした対称形にすることができる。ひいては、全ポケットでポケットすきまを同じに設定することができ、保持器の回転性能やポケットへのころ入れ性を維持するのに都合がよい。
前記合成樹脂としてポリフェニレンサルファイド(PPS)を用いることができる。
前記繊維強化材としてガラス繊維、炭素繊維の中の少なくとも1種を用いることができる。PPSと共にガラス繊維、炭素繊維等をこの発明に採用すれば、実用化された樹脂保持器素材を使用しながら樹脂保持器の強度を最も向上させるのに好適である。
この発明に係る樹脂保持器は、ころ軸受に使用することができる。
上述のように、この発明の樹脂保持器は、繊維強化樹脂を射出されたゲート部とウェルド部とが別々の柱部に位置する樹脂保持器において、ゲート部が位置する柱部と円環部がなす隅部の円弧状の曲率半径の大きさとウェルド部が位置する柱部と円環部がなす隅部の円弧状の曲率半径の大きさの差と、ゲート部が位置する柱部の厚みとウェルド部が位置する柱部の厚みの差の少なくとも一方を設けることにより、ゲート部が位置する柱部と、ウェルド部が位置する柱部の耐折損性の差を改善することができる。
この発明の第1実施形態の樹脂保持器を備えた複列円筒ころ軸受の要部を示す断面図 第1実施形態の樹脂保持器を示す部分側面図 図2の樹脂保持器を示す平面図 図2の樹脂保持器の柱部の破断強度を示すグラフ 図2の樹脂保持器のゲート部側の隅部をポケットの外側に逃げる曲面とした部分側面図 ポケットの隅部と円筒ころの面取りとの間の接触が回避された状態を示す部分側面図 第2実施形態の樹脂保持器を示す部分側面図 ゲート部が位置する柱部を半径方向に厚くした樹脂保持器を示す部分側面図 第3実施形態の樹脂保持器を示す部分側面図 図9の樹脂保持器のゲート部側の隅部をポケットの外側に逃げる曲面とした部分側面図 第4実施形態の樹脂保持器を示す部分側面図 従来の樹脂保持器を示す部分側面図 樹脂保持器中における繊維強化材の繊維の配向状態を示す概念図
以下、この発明の第1実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1に例示するころ軸受1は、複列の軌道面2を有する内輪3と、軌道面4を有する外輪5と、内輪3の軌道面2および外輪5の軌道面4の間に配置されたころ6と、ころ6を保持する樹脂保持器7とを備えている。内輪3は、その軸方向中央部に中鍔8が設けられ、軸方向両外側の端部に外鍔9,9が設けられた複列軌道輪になっている。樹脂保持器7は、内輪3の各列に対応して一対で組み込まれている。ころ6は、円筒ころからなる。なお、この発明は、円筒ころ用の樹脂保持器に限定されず、円錐ころ用、球面ころ用にも採用することができる。
樹脂保持器7は、図2に示すように、円環部10と、その円環部10に円周方向に等間隔に配置された複数の柱部11と、円周方向に隣接する柱部11,11間に形成されころ6を回転自在に保持する複数のポケット12とを有し、柱部11が円環部10の軸方向側面13から軸方向の一方に延びるように形成されたくし型樹脂保持器である。
樹脂保持器7は、繊維強化材を含有する合成樹脂(いわゆる繊維強化樹脂)で射出成形されている。この樹脂保持器7は、偶数の柱部11を有する。前記射出成形には、円周方向に並ぶ柱部一本おきに、柱部11の内径部を成形するキャビティ部分にゲートを位置させたトンネルゲート構造の金型が使用されている。
合成樹脂としては、樹脂保持器7の強度を上げるために、例えば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリアミド樹脂(PA:PA66、PA46)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の結晶性樹脂が用いられる。また、繊維強化材としては、カーボンファイバ(CF)、グラスファイバ(GF)等が挙げられる。
この樹脂保持器7は、射出成形に伴って金型のゲートから合成樹脂が注入されたゲート部14と、金型のキャビティ内で樹脂が合流するウェルド部15とが柱部一本おきに交互に位置している。なお、各図に示すGとWは、それぞれ、ゲート部の位置とウェルド部の位置を示す。ゲート部14は、柱部11の内側の円周方向の中央部に位置している。このゲート部配置の結果、ウェルド部15は、概ね柱部11の円周方向の中央部に位置し、軸方向に延びるように形成されている。このように、この樹脂保持器7は、ウェルド部15が柱部11に位置しているので、ウェルド部15が円環部10に位置する場合と比べてウェルド部15の面積が大きく、ウェルド部15の強度が確保されている。また、ゲート部14は、軸方向に関して隅部17と同じ位置にある。柱部11の隅部17をなす部分は、円周方向肉厚が柱先端側よりも厚く比較的に破断強度が高い。このような位置にゲート部14を配置することにより、ゲート部14による破断強度の低下を避けることができる。
ポケット12は、円周方向に隣接する柱部11の円周方向側面16,16と円環部10の軸方向側面13とで三方から囲まれている。円周方向に隣接する2箇所のポケット12、12の全組合せを考えたとき、全組合せにおいて両ポケット12、12は、これらを区切る柱部11の円周方向中央を通る軸方向に平行な平面を境とした対称形になっている。各ポケット12は、ころ6を軸方向及び半径方向に関してポケット12の内面に対して中央に配置した状態で、ころ中心軸と同軸の円柱空間となっている。
ポケット12は、柱部11の円周方向側面16と円環部10の軸方向側面13とがなす各隅部17が、保持器中心軸と同心の任意の円筒面上で円弧状の曲面となっている。すなわち、各隅部17は、樹脂保持器7の内外径面上だけでなく、円環部10と柱部11とを含み得る円筒径をもった全ての円筒切断面視でも円弧状をなす。これにより、軸受1の回転時に各隅部17に生じる応力集中が緩和されている。
くし型樹脂保持器で前記のように1本おきにゲート部14を設けたため、ゲート部14が位置する柱部11と円環部10とがなす隅部17は、各ポケット12に一箇所存在する(以下、この隅部をゲート部14側の隅部17と呼ぶ)。また、ウェルド部15が位置する柱部11と円環部10とでなす隅部17も各ポケット12に一箇所存在する(以下、この隅部をウェルド部15側の隅部17と呼ぶ)。
ゲート部14側の隅部17における前記円弧状の曲率半径r1とし、ウェルド部15側の隅部17における前記円弧状の曲率半径r2と呼び分ける。ゲート部14側の隅部17の曲率半径r1は、ウェルド部15側の曲率半径r2よりも大きい。この曲率半径差によりゲート部14側の隅部17で比較的に応力緩和効果を高めた結果、ゲート部14側の隅部17の破断強度と、ウェルド部15側の隅部17の破断強度との差を小さくすることができる。樹脂保持器7では、ゲート部14側の隅部17の破断強度と、ウェルド部15側の隅部17の破断強度が同程度になっている。したがって、樹脂保持器7は、隅部破断に由来した柱部11の耐折損性をゲート部14が位置する柱部11と、ウェルド部15が位置する柱部11間で同程度にした分、ゲート部14が位置する柱部11と、ウェルド部15が位置する柱部11の耐折損性の差を改善することができる。
ゲート部14側の隅部17とウェルド部15側の隅部17の破断強度を同程度にするには、次に述べる評価試験の結果から、曲率半径r1を曲率半径r2の1.1倍にすれば十分と考えられる。この評価試験に用いた樹脂保持器は、樹脂保持器7に該当するNTN社製円筒ころ軸受:NN3028用のくし型保持器であって全てのポケットの全ての隅部の曲率半径r1と曲率半径r2を同じとし、その曲率半径:R0.8とした第1の比較評価用保持器と、その曲率半径:R1.2とした第2の比較評価用保持器の2種である。図3の破線で囲まれた領域のように、それぞれの比較評価用保持器の柱部3本分を切り出した試験片(W−G−W)と試験片(G−W−G)の2通りを作製し、各試験片に引張強度試験を行った。柱部3本分を切り出したとは、図3の破線で示すように、円環部をこれら柱部3本と他の柱部間の円周方向2等分位置で切断したことをいう。試験片(W−G−W)は、ウェルド部Wが位置する両柱部11,11に引っ張り力を負荷してウェルド部側の隅部を破断させた。試験片(G−W−G)は、ゲート部Gが位置する両柱部11,11に引っ張り力を負荷してゲート部側の隅部を破断させた。
比較例1:試験片(W−G−W、隅部のR0.8)
比較例2:試験片(G−W−G、隅部のR0.8)
比較例3:試験片(W−G−W、隅部のR1.2)
比較例4:試験片(G−W−G、隅部のR1.2)
材料:PPS+GF(20WT%〜40WT%)
図4に示すように、比較例1の破断強度は628N、比較例2の破断強度は483Nであり、比較例1の破断強度が比較例2の破断強度の約1.3倍となった。また、比較例3の破断強度は1205N、比較例4の破断強度は1032Nであり、比較例3の破断強度が比較例4の破断強度の約1.2倍となった。このことから、ゲート部側の隅部の破断強度が、ウェルド部側の隅部の破断強度よりも小さいことが分かる。
また、隅部の曲率半径R0.8から1.2に大きくした比較例1、3間、比較例2、4間の結果を見ると、比較例1、3間では、破断強度が約1.9倍となり、比較例2、4間では、破断強度が約2.1倍となることが分かった。以上の結果から、ウェルド部側の隅部の破断強度とゲート部側の隅部の破断強度とを同程度にするには、ゲート部側の隅部の曲率半径r1を、ウェルド部側の隅部の曲率半径r2の約1.1倍の大きさとすればいいことが分かる。
前記柱部11の円周方向側面16は、隅部17をなす部分を除き、転動するころ6の転動面に沿って接触可能な部分となっている。前記円環部10の軸方向側面13は、隅部17をなす部分を除き、転動するころ6の端面に沿って接触可能な部分となっている。ゲート部14側の隅部17は、図5、図6に示すように、ころ6が柱部11の円周方向側面16及び円環部10の軸方向側面13に接触した状態でころ6と接触しないようにポケット12の外側に逃げる曲面とされている。これにより、転動するころ6の面取り18と隅部17との接触を回避しつつ、曲率半径r1を大きくすることができる。曲率半径r1の曲率中心o1の位置設定により、ゲート部14側の隅部17を全体として軸方向、円周方向のいずれにも逃がすことができる。柱部11の円周方向側面16の隅部17をなす部分が円周方向に薄肉化しない点で、図示のように隅部17を全体として軸方向に逃がすことが好ましい。
この発明の実施形態を第2実施形態として説明する。第2実施形態は、第1実施形態において、ゲート部側の隅部の曲率半径を大きくする代わりに、図7に示すように、ゲート部14が位置する柱部19の全体をウェルド部15が位置する柱部11よりも円周方向に厚くすることにより、ゲート部14が位置する柱部19とウェルド部15が位置する柱部11との間で隅部17の破断強度差を小さくしたものである。また、図8に示すように、ゲート部14が位置する柱部19の全体を半径方向に厚くしてもよい。ゲート部14が位置する柱部19の全体を軸方向及び半径方向の少なくとも一方に厚くすることにより、ゲート部14側の隅部17も同方向に厚肉化されるので、ウェルド部15側の隅部17と曲率半径が同じであっても破断強度を比較的に高めることができる。
次に、この発明の第3実施形態の樹脂保持器21について説明する。以下、第1実施形態と対応する部分は同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態との相違点を中心に述べる。
図9に示すように、この樹脂保持器21は、軸方向に対向する一対の円環部22,22と、円環部22,22に円周方向に等間隔に配置された複数の柱部23と、円周方向に隣接する柱部23,23間に形成されころ6を回転自在に保持する複数のポケット24とを有し、柱部23が軸方向に延びて円環部22,22の対向面25,25に連なるかご型樹脂保持器である。
樹脂保持器21は、この軸方向中央を通り、かつ保持器中心軸に直交する平面を境界面とした対称形になっている。さらにゲート部14が柱部23の軸方向中央部および円周方向中央部に位置するため、各ポケット24に2箇所存在するゲート部14側の隅部27では、繊維強化材の配向性が平行になると考えてよい。また、ウェルド部15は、概ね柱部23の軸方向中央部に円周方向に亘って生じている。かご型保持器は、一対の円環部22、22を有する分、くし型保持器に比して柱部23の負担が少ないため、ウェルド部15の長さを比較的に短くすることができる。
また、樹脂保持器21では、図10に示すように、ゲート部14側の各隅部27をポケット24の外側に逃げる曲面としたことにより、各隅部27の曲率半径r1を大きくしつつ、当該隅部27ところ6との接触を回避するようにしている。なお、柱部23の負担が少ないことから、各隅部27を全体として円周方向に逃がしている。勿論、各隅部27を全体として軸方向に逃がすこと、又は、軸方向及び円周方向に逃がすこともできる。
次に、この発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態の樹脂保持器は、第3実施形態において、ゲート部14側の隅部27の曲率半径r1を大きくする代わりに、図11に示すように、ゲート部14が位置する柱部28をウェルド部15が位置する柱部23よりも円周方向に厚くすることにより、ゲート部14が位置する柱部28とウェルド部15が位置する柱部23との間で隅部27の破断強度差を小さくしたものである。
上記各実施形態では、ゲート部14側の隅部17,27の円弧状の曲率半径をウェルド部15側の隅部17,27の円弧状の曲率半径よりも大きくするか、又は、ゲート部14が位置する柱部19,28をウェルド部15が位置する柱部11,23よりも厚くしたが、ゲート部14側の隅部17,27の円弧状の曲率半径r1の大きさとウェルド部15側の隅部17,27の円弧状の曲率半径r2の大きさの差と、ゲート部14が位置する柱部19,28の厚みとウェルド部15が位置する柱部11,23の厚みの差の少なくとも一方を設けることにより、ゲート部14側の隅部17,27とウェルド部15側の隅部17,27間における破断強度差を小さくしてもよい。
7 樹脂保持器
10 円環部
11 柱部
12 ポケット
13 軸方向側面
14 ゲート部
15 ウェルド部
16 円周方向側面
17 隅部
19 柱部
21 樹脂保持器
22 円環部
23 柱部
25 対向面
r1 曲率半径
r2 曲率半径

Claims (11)

  1. 円環部(10)と、その円環部(10)に円周方向に等間隔に配置された複数の柱部(11)と、円周方向に隣接する前記柱部(11,11)と前記円環部(10)とで囲まれる複数のポケット(12)とを有し、そのポケット(12)の前記柱部(11)と前記円環部(10)とがなす隅部(17)が、保持器中心軸と同心の任意の円筒面上で円弧状の曲面であり、繊維強化材を含有する合成樹脂で射出成形され、その射出成形に伴って金型のゲートから合成樹脂が注入されたゲート部(14)と前記金型のキャビティ内で樹脂が合流するウェルド部(15)が別々の柱部(11)に位置する樹脂保持器(7)において、
    前記ゲート部(14)が位置する柱部(11)と前記円環部(10)がなす隅部(17)の前記円弧状の曲率半径(r1)の大きさと前記ウェルド部(15)が位置する柱部(11)と前記円環部(10)がなす隅部(17)の前記円弧状の曲率半径(r2)の大きさの差と、前記ゲート部(14)が位置する柱部(19)の厚みと前記ウェルド部(15)が位置する柱部(11)の厚みの差の少なくとも一方を設けたことにより、当該ゲート部(14)側の隅部(17)と当該ウェルド部(15)側の隅部(17)間における破断強度差を小さくしたことを特徴とする樹脂保持器。
  2. 前記ゲート部(14)が位置する柱部(11)と前記円環部(10)がなす隅部(17)と前記ウェルド部(15)が位置する柱部(11)と前記円環部(10)がなす隅部(17)の前記円弧状の曲率半径(r1、r2)の大きさを異ならせた樹脂保持器の当該ゲート部(14)側の隅部(17)の円弧状の曲率半径(r1)を当該ウェルド部(15)側の隅部(17)の円弧状の曲率半径(r2)よりも大きくしたことを特徴とする請求項1記載の樹脂保持器。
  3. 前記ゲート部(14)側の隅部(17)の前記曲率半径(r1)を、前記ウェルド部(15)側の隅部(17)の前記曲率半径(r2)の1.1倍以上とした請求項2に記載の樹脂保持器。
  4. 前記ゲート部(14)側の隅部(17)を、前記ゲート部(14)が位置する柱部(11)の円周方向側面(16)及び円環部(10)の軸方向側面(13)にころ(6)が接触した状態で当該ころ(6)と接触しないようにポケット(12)の外側に逃げる曲面とした請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂保持器。
  5. 前記ゲート部(14)が位置する柱部(19)と前記ウェルド部(15)が位置する柱部(11)の厚みを異ならせた樹脂保持器の当該ゲート部(14)が位置する柱部(19)を、当該ウェルド部(15)が位置する柱部(11)よりも厚くしたことを特徴とする請求項1記載の樹脂保持器。
  6. 前記柱部(11)を前記円環部(10)の軸方向側面(13)から軸方向に延びるように形成した請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂保持器。
  7. 前記円環部が軸方向に対向する一対の円環部(22,22)からなり、前記柱部(23)が軸方向に延びて前記一対の円環部(22,22)の対向面(25,25)に連なる請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂保持器。
  8. 前記ゲート部(14)を前記柱部一本おきに位置させた請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂保持器。
  9. 前記合成樹脂がポリフェニレンサルファイドである請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂保持器。
  10. 前記繊維強化材がガラス繊維、炭素繊維の中の少なくとも1種である請求項9に記載の樹脂保持器。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂保持器(7,21)を備えたころ軸受。
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