JP2020133741A - 傾斜型冠形保持器及びアンギュラ玉軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】傾斜型冠形保持器に関して、ポケットの底部が位置する円周方向箇所と柱部が位置する円周方向箇所との肉厚差を小さくすることができる構造を実現する。【解決手段】傾斜型冠形保持器5は、合成樹脂により全体を一体に構成されており、円環状のリム部10と、リム部10の円周方向等間隔となる複数箇所から軸方向片側に突出するとともに、中心軸線Lが軸方向片側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した柱部11とを備える。そして、リム部10と円周方向に隣り合う1対の柱部11とにより三方を囲まれた部分を、玉を転動自在に保持するためのポケット12としている。傾斜型冠形保持器5は、柱部11が位置する円周方向箇所に、リム部10を径方向に貫通する円弧溝形状の凹部13を有している。【選択図】図4
Description
本発明は、アンギュラ玉軸受を構成する複数個の玉を保持するための傾斜型冠形保持器、及び、該傾斜型冠形保持器を備えたアンギュラ玉軸受に関する。
アンギュラ玉軸受を構成する複数個の玉を転動自在に保持するための保持器として、全体が略円すい筒状に構成された冠形保持器である、傾斜型冠形保持器が知られている{例えば、特開2014−77508号公報(特許文献1)参照}。傾斜型冠形保持器は、合成樹脂により全体を一体に造られており、円環状のリム部と、リム部の円周方向複数箇所から軸方向片側に突出するとともに、中心軸線が軸方向片側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した柱部とを備えている。そして、リム部と円周方向に隣り合う1対(2個)の柱部とにより三方を囲まれた部分を、玉を転動自在に保持するためのポケットとしている。
上述したような傾斜型冠形保持器は、円周方向に関して互いに隣り合う箇所である、ポケットの底部が位置する円周方向箇所と、柱部が位置する円周方向箇所との、互いの肉厚差(体積差)が大きい。具体的には、ポケットの底部が位置する円周方向箇所の肉厚に比べて、柱部が位置する円周方向箇所の肉厚が大幅に大きい。このため、例えば、次のような不都合を生じる可能性がある。
傾斜型冠形保持器を射出成形によって造る際に、肉厚が大きい箇所である、柱部が位置する円周方向箇所のヒケが大きくなり、傾斜型冠形保持器全体の寸法精度(特に真円度)が悪化する可能性がある。
また、玉をポケット内に挿入する際には、円周方向に隣り合う1対の柱部の先端部同士の間隔を弾性的に拡げつつ、該先端部同士の間部分を通じて玉をポケット内に押し込むが、この際に生じる傾斜型冠形保持器の変形が、ポケットの底部が位置する円周方向箇所に集中し、該円周方向箇所が破損する可能性がある。
また、ポケットの底部が位置する円周方向箇所と柱部が位置する円周方向箇所との剛性差が大きいこと、具体的には、ポケットの底部が位置する円周方向箇所の剛性が、柱部が位置する円周方向箇所の剛性に比べて大幅に低いことに起因して、ポケット全体で玉をしなやかに包み込んで玉の移動に対する柱部の追従性を良くすることができなくなり、アンギュラ玉軸受の組立時に、ポケットから玉が脱落しやすくなる可能性がある。
なお、特開2014−77508号公報(特許文献1)には、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受として用いられる、複列のアンギュラ玉軸受に関して、傾斜型冠形保持器のリム部の外径側でポケットと円周方向に整合する位置に、内径側に凹んだ切り欠きを設け、該切り欠きを通じて玉の一部分を軸方向に突出させた構造が記載されている。このような構造を採用すれば、両列の玉を保持する1対の傾斜型冠形保持器のリム部同士が軸方向に干渉することを防止できるため、その分、両列の玉の直径を大きくして、複列アンギュラ玉軸受の負荷能力及びモーメント剛性を高めることができる。しかしながら、このような構造を採用する場合には、前記切り欠きを有しない通常の傾斜型冠形保持器に比べて、ポケットの底部が位置する円周方向箇所と柱部が位置する円周方向箇所との肉厚差がより大きくなり、上述したような不都合がより生じやすくなると考えられる。
本発明は、上述したような事情に鑑み、ポケットの底部が位置する円周方向箇所と柱部が位置する円周方向箇所との肉厚差を小さくすることができる傾斜型冠形保持器の構造を実現すべく発明したものである。
本発明の傾斜型冠形保持器は、合成樹脂により全体を一体に構成されており、円環状のリム部と、前記リム部の円周方向等間隔となる複数箇所から軸方向片側に突出するとともに、中心軸線が軸方向片側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した柱部とを備え、前記リム部と円周方向に隣り合う1対の前記柱部とにより三方を囲まれた部分を、玉を転動自在に保持するためのポケットとしている。
また、前記柱部が位置する円周方向箇所に、径方向又は軸方向に貫通する凹部を有している。
なお、前記凹部を有する円周方向箇所は、すべての柱部が位置する円周方向箇所であっても良いし、少なくとも1個の柱部を除いた、残りの柱部が位置する円周方向箇所のみであっても良い。
また、1個の柱部が位置する円周方向箇所における前記凹部の数は、1つでも良いし、複数でも良い。
また、前記柱部が位置する円周方向箇所に、径方向又は軸方向に貫通する凹部を有している。
なお、前記凹部を有する円周方向箇所は、すべての柱部が位置する円周方向箇所であっても良いし、少なくとも1個の柱部を除いた、残りの柱部が位置する円周方向箇所のみであっても良い。
また、1個の柱部が位置する円周方向箇所における前記凹部の数は、1つでも良いし、複数でも良い。
本発明の傾斜型冠形保持器では、前記凹部が、前記リム部を径方向に貫通し、かつ、軸方向他側に開口している構成を採用することができる。
本発明の傾斜型冠形保持器では、前記凹部が、前記リム部の径方向内側部を軸方向に貫通し、かつ、径方向内側に開口している構成を採用することができる。
本発明の傾斜型冠形保持器では、前記凹部が、前記柱部の径方向外側部を軸方向に貫通し、かつ、径方向外側に開口している構成を採用することができる。
本発明の傾斜型冠形保持器では、前記柱部の総数が偶数であり、円周方向に関する配置の位相が互いに180度ずれた2個の柱部が位置する円周方向箇所に前記凹部を有しておらず、残りの柱部のそれぞれが位置する円周方向箇所に前記凹部を有しており、前記2個の柱部のうちの一方の柱部の外径面に射出成形のゲートの切断部が存在し、前記2個の柱部のうちの他方の柱部にウェルドが存在する構成を採用することができる。
本発明のアンギュラ玉軸受は、内周面にアンギュラ型の外輪軌道を有する外輪部材と、外周面にアンギュラ型の内輪軌道を有する内輪部材と、前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に配置された複数個の玉と、前記複数個の玉を保持するための保持器とを備える。
また、前記保持器が、本発明の傾斜型冠形保持器である。
また、前記保持器が、本発明の傾斜型冠形保持器である。
本発明のアンギュラ玉軸受は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受として用いることができる。
本発明によれば、傾斜型冠形保持器に関して、ポケットの底部が位置する円周方向箇所と柱部が位置する円周方向箇所との肉厚差を小さくすることができる。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1〜図5を用いて説明する。
実施の形態の第1例について、図1〜図5を用いて説明する。
本例では、本発明の傾斜型冠形保持器を備えたアンギュラ玉軸受を、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受(複列のアンギュラ玉軸受)に適用した場合について説明する。
本例のハブユニット軸受1は、いわゆる第1世代のハブユニット軸受と呼ばれるものであり、外輪部材に相当する1個の外輪2と、内輪部材に相当する1対(2個)の内輪3と、複数個の玉4と、2個の傾斜型冠形保持器5とを備えている。
外輪2は、内周面にそれぞれがアンギュラ型である複列の外輪軌道6を有している。1対の内輪3のそれぞれは、外周面にアンギュラ型の内輪軌道7を有している。1対の内輪3は、互いの小径側端面同士を突き合わせた状態で、外輪2の内径側に、外輪2と同軸に配置されている。この状態で、1対の内輪3の内輪軌道7は、複列の外輪軌道6と径方向に対向する位置に、複列に配置されている。玉4は、複列の外輪軌道6と複列の内輪軌道7との間に、それぞれの列ごとに複数個ずつ、円周方向に離隔して配置されるとともに、それぞれの列の傾斜型冠形保持器5により転動自在に保持されている。この状態で、複列に配置された玉4には、背面組み合わせ型(DB型)の接触角が付与されている。なお、図1中の鎖線αは、該接触角の方向を示している。
車両への組み付け状態で、外輪2は、図示しない懸架装置を構成するナックルに内嵌固定される。一方、1対の内輪3は、車輪を支持するためのハブフランジを有する図示しないハブ輪に外嵌固定される。したがって、本例のハブユニット軸受1では、外輪2が使用時にも回転しない静止輪となり、1対の内輪3が使用時に回転する回転輪となる。
外輪2の内周面と1対の内輪3の外周面との間に存在する内部空間8の軸方向両端開口のそれぞれは、組み合わせシールリング9により塞がれている。そして、これらの組み合わせシールリング9によって、内部空間8に封入された潤滑用のグリースが、内部空間8の軸方向両端開口を通じて外部空間に漏洩することを防止するとともに、外部空間に存在する泥水などの異物が、内部空間8の軸方向両端開口を通じて内部空間8に侵入することを防止している。
傾斜型冠形保持器5は、合成樹脂の射出成形によって全体を一体にかつ略円すい筒状に造られている。このような傾斜型冠形保持器5は、円環状のリム部10と、リム部10の円周方向等間隔となる複数箇所から軸方向片側に突出するとともに、中心軸線L(図4参照)が軸方向片側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した柱部11とを備えている。そして、リム部10と円周方向に隣り合う1対の柱部11とにより三方を囲まれた部分を、玉4を転動自在に保持するためのポケット12としている。
なお、傾斜型冠形保持器5に関して、軸方向片側は、図1の右側の列の傾斜型冠形保持器5については右側であり、図1の左側の列の傾斜型冠形保持器5については左側である。また、傾斜型冠形保持器5に関して、軸方向他側は、図1の右側の列の傾斜型冠形保持器5については左側であり、図1の左側の列の傾斜型冠形保持器5については右側である。また、図示の例では、柱部11の総数は16個(偶数)であるが、本発明を実施する場合、柱部の総数は、本例の場合と異なる任意の数とすることができ、偶数に限らず、奇数とすることもできる。
ポケット12の内面は、その曲率半径が玉4の転動面の曲率半径よりも僅かに大きい部分球状凹面である。玉4をポケット12内に挿入する作業は、円周方向に隣り合う1対の柱部11の先端部同士の間隔を弾性的に拡げつつ、該先端部同士の間部分を通じて玉4をポケット12内に押し込むことによって行う。
柱部11の外径面は、軸方向他側部が、軸方向片側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した傾斜外径面14となっており、軸方向片側部が、軸方向に延びる非傾斜外径面15となっている。
また、傾斜型冠形保持器5は、柱部11のそれぞれが位置する円周方向箇所X(図2及び図3参照)に、凹部(肉盗み部)13を1つずつ有している。凹部13は、当該円周方向箇所Xの円周方向中央部において、リム部10の軸方向他側部(ポケット12が形成された面とは反対側の側面)を径方向に貫通し、かつ、軸方向他側及び径方向両側(径方向内側と径方向外側)に開口する溝形状を有している。また、本例では、該溝形状を、リム部10を一様な円弧形断面で径方向に貫通する円弧溝形状としている。
本例では、傾斜型冠形保持器5を造る際の射出成形の方法として、例えば、多数個取りのアキシアルドロー成形を採用することができる。この場合に、傾斜型冠形保持器5は、径方向外側部(軸方向片側部分)が固定型により成形され、径方向内側部(軸方向他側部分)が可動型により成形される。射出成形機は、固定型側に溶融樹脂の送り込み機構を備えるため、通常、成形品への溶融樹脂の入口であるゲートは、いずれか1個の柱部11の非傾斜外径面15に設ける。ゲートから注入された溶融樹脂は、ゲートがある柱部11からリム部10に伝わった後、リム部10を円周方向に伝わりながら、各柱部11にも順次伝わっていくので、溶融樹脂の分子の配向は、リム部10から柱部11へ向かってつながったものとなる。このため、リム部10と柱部11との接続強度を増加させることができる。また、該接続強度は、合成樹脂としてグラスファイバーなどの繊維を含むものを用いると、より効果的に増加させることができる。
以上のような構成を有する本例のハブユニット軸受1では、傾斜型冠形保持器5のうち、円周方向に関して互いに隣り合う箇所である、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Y(図2及び図3参照)と、柱部11が位置する円周方向箇所Xとの、互いの肉厚差(体積差)を小さくすることができる。すなわち、傾斜型冠形保持器5は、柱部11のそれぞれが位置する円周方向箇所Xの円周方向中央部に、リム部10を径方向に貫通し、かつ、軸方向他側に開口する円弧溝形状の凹部13を有している。このため、傾斜型冠形保持器5に関して、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Yと柱部11が位置する円周方向箇所Xとの肉厚差を、凹部13の存在に基づいて小さくすることができる。このため、次のような効果を奏することができる。
肉厚が大きい箇所である、柱部11が位置する円周方向箇所Xのヒケを防ぐことができ、このことによって、傾斜型冠形保持器5全体の寸法精度(特に真円度)を向上させることができる。また、玉4をポケット12内に挿入する際に生じる傾斜型冠形保持器5の変形が、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Yに集中することを防いで、該円周方向箇所Yが破損するのを防ぐことができる。また、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Yと柱部11が位置する円周方向箇所Xとの剛性差を小さくして、ポケット12全体で玉4をしなやかに包み込み、玉4の移動に対する柱部11の追従性を良くすることができる。このため、ハブユニット軸受1の組立時に、ポケット12から玉4が脱落するのを防ぐことができる。
また、本例では、凹部13の形状である溝形状を、円弧溝形状としている。このため、傾斜型冠形保持器5に関して、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Yと柱部11が位置する円周方向箇所Xとの間で肉厚を徐々に変化させることができる。このため、傾斜型冠形保持器5を射出成形する際に、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Yと柱部11が位置する円周方向箇所Xとの間での溶融樹脂の流れを良くすることができる。このため、例えば、傾斜型冠形保持器5を造る際の射出成形の方法として、前述した多数個取りのアキシアルドロー成形を採用する場合に、リム部10から柱部11に伝わる溶融樹脂の流れをより良くして、リム部10から柱部11へ向かってつながる溶融樹脂の分子の配向をより良くすることができ、リム部10と柱部11との接続強度をより増加させることができる。この結果、玉4をポケット12内に挿入する際に、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Yが破損したり、ハブユニット軸受1の組立時に、ポケット12から玉4が脱落したりすることを、より有効に防止できる。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、図6〜図9を用いて説明する。
実施の形態の第2例について、図6〜図9を用いて説明する。
本例では、ハブユニット軸受のそれぞれの列の傾斜型冠形保持器5aは、凹部13(図1、図3、図4、図5参照)を有していない。その代わりに、傾斜型冠形保持器5aは、柱部11aのそれぞれが位置する円周方向箇所X(図6及び図7参照)に、凹部13aを1つずつ有している。凹部13aは、当該円周方向箇所Xの円周方向中央部において、リム部10aの径方向内側部を軸方向に貫通し、かつ、径方向内側及び軸方向両側(軸方向片側と軸方向他側)に開口する溝形状を有している。また、本例では、該溝形状を、リム部10aの径方向内側部を一様な円弧形断面で軸方向に貫通する円弧溝形状としている。
このような本例の場合も、傾斜型冠形保持器5aに関して、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Y(図6及び図7参照)と柱部11aが位置する円周方向箇所Xとの肉厚差を、凹部13aの存在に基づいて小さくすることができる。また、本例の場合も、凹部13aの形状である溝形状を、円弧溝形状としている。このため、傾斜型冠形保持器5aに関して、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Yと柱部11aが位置する円周方向箇所Xとの間で肉厚を徐々に変化させることができる。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例の場合と同様である。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例の場合と同様である。
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、図10〜図14を用いて説明する。
実施の形態の第3例について、図10〜図14を用いて説明する。
本例では、ハブユニット軸受のそれぞれの列の傾斜型冠形保持器5bは、凹部13(図1、図3、図4、図5参照)を有していない。その代わりに、傾斜型冠形保持器5bは、総数が偶数(図示の例では16個)である柱部11、11bのうち、円周方向に関する配置の位相が互いに180度ずれた2個の柱部11を除いた、残りの柱部11bのそれぞれが位置する円周方向箇所X(図10及び図11参照)に、凹部13bを1つずつ有している。凹部13bは、当該円周方向箇所Xの円周方向中央部において、柱部11bの軸方向片側部の径方向外側部を軸方向に貫通し、かつ、径方向外側及び軸方向両側に開口する溝形状を有している。また、本例では、該溝形状を、柱部11bの軸方向片側部の径方向外側部を一様な円弧形断面で軸方向に貫通する円弧溝形状としている。本例では、前記2個の柱部11のそれぞれが位置する円周方向箇所Z(図10及び図11参照)には、凹部13bを有していない。
このような本例の場合も、傾斜型冠形保持器5bに関して、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Yと柱部11bが位置する円周方向箇所Xとの肉厚差を、凹部13bの存在に基づいて小さくすることができる。また、本例の場合も、凹部13bの形状である溝形状を、円弧溝形状としている。このため、傾斜型冠形保持器5bに関して、ポケット12の底部が位置する円周方向箇所Yと柱部11bが位置する円周方向箇所Xとの間で肉厚を徐々に変化させることができる。
また、本例では、傾斜型冠形保持器5bを多数個取りのアキシアルドロー成形で造る場合に、ゲートは、円周方向に関する配置の位相が互いに180度ずれた2個の柱部11のうち、いずれか一方の柱部11の非傾斜外径面15に設ける。この結果、本例では、2個の柱部11のうちの他方の柱部11に、溶融樹脂の合流部(脆弱部)であるウェルドが形成される。すなわち、完成品の傾斜型冠形保持器5bには、一方の柱部11の非傾斜外径面15にゲートの切断部が存在し、他方の柱部11にウェルドが存在するようになる。
このように本例では、ウェルドが存在する他方の柱部11に凹部13bを設けていないため、該柱部11の強度を確保することができる。また、ウェルドが存在する他方の柱部11だけでなく、該柱部11に対して円周方向に関する配置の位相が180度ずれた、ゲートの切断部が存在する一方の柱部11にも凹部13bを設けていないため、傾斜型冠形保持器5bのアンバランスが生じることを回避できる。
なお、本発明を実施する場合には、すべての柱部に凹部13bが形成された構成を採用することもできる。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例の場合と同様である。
なお、本発明を実施する場合には、すべての柱部に凹部13bが形成された構成を採用することもできる。
その他の構成及び作用効果は、実施の形態の第1例の場合と同様である。
上述した各実施の形態の構成は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせて実施することができる。例えば、本発明を実施する場合には、傾斜型冠形保持器の柱部が位置する円周方向箇所に、3種の凹部13、13a、13bのうちの少なくとも2種の凹部を有する構成を採用することができる。また、本発明を実施する場合、傾斜型冠形保持器の凹部の溝形状は、円弧溝形状(雨樋形状)に限定されず、三角溝形状、台形溝形状、多角溝形状などの各種形状を採用することができる。また、傾斜型冠形保持器の凹部の溝形状は、その軸方向に関して溝深さが変化する形状を採用することもできる。
本発明を実施する場合には、特開2014−77508号公報(特許文献1)に記載された構造のように、ハブユニット軸受などの複列のアンギュラ玉軸受に関して、傾斜型冠形保持器のリム部の外径側でポケットと円周方向に整合する位置に、内径側に凹んだ切り欠きを設け、該切り欠きを通じて玉の一部分を軸方向に突出させた構造を採用することもできる。このような構造を採用する場合も、上述した各実施の形態の場合と同様の作用効果を奏することができる。
また、本発明のアンギュラ玉軸受は、第1世代のハブユニット軸受に限らず、例えば、第2世代のハブユニット軸受、第3世代のハブユニット軸受などの、他の世代のハブユニット軸受に適用することもできる。また、本発明のアンギュラ玉軸受は、ハブユニット軸受に限らず、各種機械装置に組み込まれる単列または複列のアンギュラ玉軸受に適用することができる。
1 ハブユニット軸受
2 外輪
3 内輪
4 玉
5、5a、5b 傾斜型冠形保持器
6 外輪軌道
7 内輪軌道
8 内部空間
9 組み合わせシールリング
10、10a リム部
11、11a、11b 柱部
12 ポケット
13、13a、13b 凹部
14 傾斜外径面
15 非傾斜外径面
2 外輪
3 内輪
4 玉
5、5a、5b 傾斜型冠形保持器
6 外輪軌道
7 内輪軌道
8 内部空間
9 組み合わせシールリング
10、10a リム部
11、11a、11b 柱部
12 ポケット
13、13a、13b 凹部
14 傾斜外径面
15 非傾斜外径面
Claims (7)
- 合成樹脂により全体を一体に構成されており、
円環状のリム部と、
前記リム部の円周方向等間隔となる複数箇所から軸方向片側に突出するとともに、中心軸線が軸方向片側に向かうほど径方向外側に向かう方向に傾斜した柱部とを備え、
前記リム部と円周方向に隣り合う1対の前記柱部とにより三方を囲まれた部分を、玉を転動自在に保持するためのポケットとしており、
前記柱部が位置する円周方向箇所に、径方向又は軸方向に貫通する凹部を有している、
傾斜型冠形保持器。 - 前記凹部は、前記リム部を径方向に貫通し、かつ、軸方向他側に開口している、
請求項1に記載の傾斜型冠形保持器。 - 前記凹部は、前記リム部の径方向内側部を軸方向に貫通し、かつ、径方向内側に開口している、
請求項1または2に記載の傾斜型冠形保持器。 - 前記凹部は、前記柱部の径方向外側部を軸方向に貫通し、かつ、径方向外側に開口している、
請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の傾斜型冠形保持器。 - 前記柱部の総数が偶数であり、
円周方向に関する配置の位相が互いに180度ずれた2個の柱部が位置する円周方向箇所に前記凹部を有しておらず、残りの柱部のそれぞれが位置する円周方向箇所に前記凹部を有しており、
前記2個の柱部のうちの一方の柱部の外径面に射出成形のゲートの切断部が存在し、前記2個の柱部のうちの他方の柱部にウェルドが存在する、
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の傾斜型冠形保持器。 - 内周面にアンギュラ型の外輪軌道を有する外輪部材と、
外周面にアンギュラ型の内輪軌道を有する内輪部材と、
前記外輪軌道と前記内輪軌道との間に配置された複数個の玉と、
前記複数個の玉を保持するための保持器と、を備え、
前記保持器が、請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の傾斜型冠形保持器である、
アンギュラ玉軸受。 - 自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するためのハブユニット軸受として用いられる、
請求項6に記載のアンギュラ玉軸受。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023132196A1 (ja) | 2022-01-07 | 2023-07-13 | 日本精工株式会社 | アンギュラ玉軸受用保持器およびアンギュラ玉軸受 |
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2019
- 2019-02-19 JP JP2019027203A patent/JP2020133741A/ja active Pending
Cited By (1)
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WO2023132196A1 (ja) | 2022-01-07 | 2023-07-13 | 日本精工株式会社 | アンギュラ玉軸受用保持器およびアンギュラ玉軸受 |
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