JP2011052335A - フットカバー及びその編成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】口ゴム部2と、その前半周部からつま先を包み込み土踏まずを下から覆う前部袋体3と、その後端から踵を包み込む後部袋体5とを有し、前部袋体3は、口ゴム部2の前半周部に対して編成を開始する位置でのシリンダ振り幅が180°以上となる半回転往復編みで編成された甲面覆い部11と、甲面覆い部11から半回転往復編みで編成されたつま先覆い部12と、つま先覆い部12に続き甲面覆い部11における左右両側縁の相互間を編み繋いで編成された足底覆い部13とを有している。
【選択図】図1
Description
すなわち、着用状態に関しては、前記したように靴100からはみ出さないこと(歩行時などにおけるつま先側のずり上がり及び踵側のずり下がりを含む)が重要とされている。
また使用前状態に関しては、実際に履きやすいことが要求される。また洗濯を終えて干しているときやタンスの引き出しに収納したときの姿として、平坦になること(丸まることを原因として表裏方向に嵩張らないこと)が重要とされる。
このような小さなゴアラインは、フットカバー101の左右両脇部で前後方向に沿って現れる長いゴアラインから枝分かれするような外観を呈することから、「ヒゲ」等と呼称されることもあるが、本明細書では、以下「小ゴアライン」と言い、主たるゴアラインについては「大ゴアライン」と言って両者を区別することにする。
しかしながら、小ゴアラインは、設ける本数が多ければ多いほど編生地として丸みを帯びさせてしまう欠点があった。そのため、つま先部と踵部とに小ゴアラインを多く設けたり、或いは口ゴム部102の前後方向長さを長くする目的で大ゴアラインの中央部にも小ゴアラインを設けるようなことをすると、足底側がU字状に丸まって、つま先部と踵部とが口ゴム部側(上側)を凹形に湾曲させながら異常に接近するような形状となってしまう(前記した特許文献1などでもそのように図示されている)。
また、このように、すぐに丸みを帯びてしまうようなフットカバー101では、洗濯後に干すときやタンスの引き出しに収納したりするときに、非常に見栄えの悪いものとなることも欠点の一つになっている。
即ち、本発明に係るフットカバーは、エンドレスの口ゴム部と、この口ゴム部の前半周部からつま先を足甲側から足裏側へと包み込んで土踏まずを下から覆うように編成された前部袋体と、この前部袋体の後部側から踵を包み込んで口ゴム部の後半周部との連結部を形成するように編成された後部袋体とを有している。
なお、シリンダ振り幅を大きくしたり小さくしたりする方法には、基本的に、シリンダの回転角度を操作する方法と、編成動作する有効針(休止させない編成針)の本数(配置領域)を操作する方法との二通りの方法がある。
これに対して有効針の本数を操作する方法では、シリンダの回転角度を一定にしつつ有効針の本数を増減させるようにするので、「シリンダ振り幅が180°以上となる」ということは、シリンダを180°以上の回転角度にさせながら、そのなかの180°領域又はそれより広い領域を有効針にさせることを指すことになる。
従って、本発明に係るフットカバーでは、口ゴム部を前後方向に長く開口させる状態を保持でき、その着用状態として靴からのはみ出しを可及的に抑えることができるようになる。また、前部袋体、殊に甲面覆い部がずり上がるようになるのを防止できる。ここにおいて、前部袋体に小ゴアラインを数多く形成させる必要はなく、小ゴアラインの形成本数を可及的に減らすことが可能となっている。
一方、本発明に係るフットカバーでは、口ゴム部、前部袋体、後部袋体をこの順番で編成するものであり、後部袋体を編成後に、口ゴム部の後半周部と後部袋体の連結部(編み終わり部分)とを縫合するものである。
前記したように、前部袋体及び後部袋体において小ゴアラインの形成本数を可及的に減らすことが可能であるため、使用前状態では丸みなどが生じずに履きやすいものとなる。また、包装状態及び使用前状態のいずれの状態でも、分岐位置での孔の発生や小ゴアラインの存在自体が原因となる外観の低下を防止できる利点がある。そのため、スッキリとして平坦な外観が得られるものである。
リンキングは縫合ラインの隆起が小さく且つ目立ちにくいので、この点がロッソなどの他の縫合方法と異なっており、それ故に、リンキングによる縫合を行うことで履き心地が良好になり、外観的な違和感、低級感も払拭できる利点が得られるものとなる。
このようなエンドレス帯を設けると、踵部での深みの調節や足底部の前後方向長さの調節が可能となる。なお、これら踵部の深みと足底部の前後方向長さとの間には、足の適合サイズとの間に密接な相関がある(踵部の深みを大きくする場合には同時に足底の前後方向長さも長くする必要がある、といった具合)ため、エンドレス帯を設けるか否か、或いはエンドレス帯の太さをどの程度にするかの操作は、至極、合理的な操作であると言える。
このようにすると、フィット性を高めたり、場合によってはサポート効果やテーピング効果、ツボ刺激効果などを持たせたりすることができる。また当然に、踵側でのずり落ち防止効果を高めることにも繋がって好適である。
このようにすることで、使用前状態として、土踏まず部分を直線状に見せかけることができるものであり、外観性に優れたものとなる。
前記前部袋体には、大ゴアラインが唯一のゴアラインとして生じているものとすることもできる。
一方、本発明に係るフットカバーの編成方法では、シリンダの全周回転によりエンドレスの口ゴム部を編成し、この口ゴム部の前半周部に対し振り幅が180°以上となるようにしてシリンダを半回転往復させつつつま先を足甲側から足裏側へと包み込み土踏まずへ及ぶ前部袋体を編成し、この前部袋体の編成後にシリンダの半回転往復を行って踵を包み込み更に口ゴム部の後半周部との連結部を形成するように後部袋体を編成する。
このようにすることで、本発明に係るフットカバーを編成することが可能になり、所期の目的を達成することができる。
図1乃至図5は、本発明に係るフットカバー1の一実施形態を示したものであって、そのうち図1はフットカバー1の使用前状態(非使用時)であり、図2は着用状態(足に履いたとき)である。また図3は包装状態(型紙Tを入れて整形させたとき)の一例である。但し、型紙Tの形状は適宜変更可能なものであり、この図3は包装状態を一義的なものとして限定したものではない。なお、包装材自体は省略してある。
本実施形態では、前部袋体3と後部袋体5との前後間及び後部袋体5の連結部4と口ゴム部2の後半周部との上下間に、エンドレス帯6が設けられたものとしてある。また、口ゴム部2の後半周部に対し、エンドレス帯6を介して後部袋体5の連結部4を連結する部分は、リンキング(かがり縫い)により縫合されたものとしてある。
口ゴム部2は、ゴム糸を使用し、またゴム編みをするなどしてエンドレスを縮径させる方向で緊締力が生じるように編成された部分である。
甲面覆い部11は、図2に示すように着用時につま先の足甲側(上面)を覆う部分に相当する。この甲面覆い部11は、口ゴム部2(編み込み部10)の前半周部に対し、シリンダ振り幅が180°以上となるようにして編成を開始し、以後、半回転往復編みを行うことにより編成してある。
つま先覆い部12は、図2に示すように着用時につま先の先端側(前面)を覆う部分に相当する。このつま先覆い部12を編成するには、甲面覆い部11からシリンダ振り幅を適宜調整しつつ半回転往復編みを行うようにする(図5参照)。シリンダ振り幅の調整に際して、当該シリンダ振り幅の拡大及び縮小を交互に行うようにした場合には、つま先の左右両脇に小ゴアライン17,18,19などが生じるようになる。
更に小ゴアライン19は、つま先の根本まわり(親指及び小指の付け根の下面)を通って足裏側へ巻き込むように引き延ばされる。これらの総合作用として、小ゴアライン17,18の相互間となる領域が、ちょうど、つま先(足指の並び)を左右両側から中央へ向けて包み込むような引張作用を生じることになる。
なお、これら小ゴアライン17,18,19については、その配置や指向の向き、長さ、形成本数などが限定されるものではない。目立たない範囲であれば形成本数を増やしてもよいし、目立つようなら減らしてもよい(殊に図示したなかで最も後位置となる小ゴアライン19等は省略してもよい)。場合によっては皆無にすることも可能である。
このとき、コース数が増加するにしたがって(足裏の後方となるほど)、シリンダ振り幅を徐々に拡大させるようにする。これにより、使用前状態(図1参照)として、土踏まず部分を直線状に見せかけることができる。
エンドレス帯6は、エンドレスのリング形体を呈するようになったもので、その約半周が、前部袋体3と後部袋体5との前後間に挟まるように配置され、また残り約半周が、後部袋体5の連結部4と口ゴム部2の後半周部との上下間に挟まれるように配置される。このエンドレス帯6を編成するには、シリンダの全周回転編みを行うようにする(図4及び図5参照)。
反対に、エンドレス帯6のコース数を少なく編めば、帯幅が狭くなり、前部袋体3と後部袋体5との間をそれだけ接近させることができる。またエンドレス帯6を編成しなければ、前部袋体3と後部袋体5とを直接連結させることができる。すなわち、フットカバー1として、踵部の深みが浅くなり、同時に足底の前後方向長さも短くなる。
後部袋体5を編成するには、エンドレス帯6からシリンダ振り幅の拡大及び縮小を交互に行う半回転往復編みを行うようにする(図5参照)。これに伴い、踵の左右両脇には小ゴアライン25が生じるようになる。
なお、この小ゴアライン25についても、その配置や指向の向き、長さ、形成本数などが限定されるものではない。目立たない範囲であれば形成本数を増やしてもよいし、目立つようなら減らしても、また場合によっては皆無にしてもよい。
次に、この口ゴム部2(編み込み部10)の前半周部に対し、振り幅が180°以上となるようにしてシリンダを半回転往復させつつ、つま先を足甲側から足裏側へと包み込み、更に土踏まずへ及ぶように前部袋体3を編成する(図4及び図5のA〜Jの部分)。
この前部袋体3において、足底覆い部13を編成する場合は、前記したように甲面覆い部11における左右両側縁の相互間を編み繋ぐようにするので、甲面覆い部11と足底覆い部13との接合間に大ゴアライン20が生じることになる(図4及び図5のI−J)。
エンドレス帯6の編成後は、再びシリンダの半回転往復を行うことで、踵を包み込み、且つ口ゴム部2の後半周部との連結部4を形成させるようにして、後部袋体5を編成する。この後部袋体5の編成中、シリンダの振り幅を拡大させたり縮小させたりすることで、小ゴアライン25(図4及び図5のK−L−M)を生じさせる。
以上説明したところから明かなように、本発明に係るフットカバー1は、前部袋体3の甲面覆い部11が、180°以上のシリンダ振り幅による半回転往復編みで編成されており、これによって口ゴム部2の周方向全長のうち、その半周又はそれを超える範囲から甲面覆い部11が設けられたものとなっている。
なぜなら、この緊締作用Pは、口ゴム部2に近ければ近いほど(上位側となればなるほど、また口ゴム部2の前後方向中央部に近接するか又はそれより後方側となればなるほど)、編生地としてのコース方向(編成糸がループを形成している方向)で発生するからである(なお、図4参照)。
更に言えば、甲面覆い部122の口ゴム部123に近い部分は、口ゴム部2の前部にしか面していないため、図8に示すようにこの比較カバー120を着用しても、甲面覆い部122と足底覆い部124とが引き合うような緊締作用Qしか生じないのである。
これにより足の甲へのフィット性が高められ、その結果、口ゴム部2は、その開口形状として前後方向長さを大きく形成させることができるようになる。それ故、着用状態として靴からのはみ出しを可及的に抑えることができ、前部袋体3、殊に甲面覆い部11がずり上がるようになるのを防止できる。
〔その他〕
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
ここにおいて「緊締力」とは、前部袋体3や後部袋体5が着用に必要な程度に有した緊締力(引っ張り作用)に比べて更に強く(積極的に)生じさせるものを原則として言う。また例外的には、前部袋体3や後部袋体5が着用に必要な程度に有した伸縮性を局部的に抑制させる作用(延びないようにする作用)を言うものとする。
これに対し、伸縮性を局部的に抑制させる(延びないようにする)緊締力を生じさせるためには、例えば、エンドレス帯6に対して樹脂プリントを施すことで実現できる。
これらの方法によりエンドレス帯6に緊締力を生じさせると、フィット性を高めたり、場合によってはサポート効果やテーピング効果、ツボ刺激効果などを持たせたりすることができる。また当然に、踵側でのずり落ち防止効果を高めることにも繋がって好適である。
後部袋体5に対し、踵の背側を覆うような位置付けとなる内面部分に滑止め加工を施して、一層のずり落ち防止効果を得るようにしてもよい。滑止め加工としては、例えば樹脂ドット(点状の微少な丘を成す突起)を分散配置で設けたり、シート状の適宜滑止め材を縫着や接着などによって付設したりする方法がある。
2 口ゴム部
3 前部袋体
4 連結部
5 後部袋体
6 エンドレス帯
11 甲面覆い部
12 つま先覆い部
13 足底覆い部
17〜19 小ゴアライン
20 大ゴアライン
Claims (8)
- エンドレスの口ゴム部(2)と、
この口ゴム部(2)の前半周部からつま先を足甲側から足裏側へと包み込んで土踏まずを下から覆うように編成された前部袋体(3)と、
この前部袋体(3)の後部側から踵を包み込んで口ゴム部(2)の後半周部との連結部(4)を形成するように編成された後部袋体(5)とを有し、
前記前部袋体(3)は、
口ゴム部(2)の前半周部に対して編成を開始する位置でのシリンダ振り幅が180°以上となるようにして半回転往復編みを行うことにより編成された甲面覆い部(11)と、
この甲面覆い部(11)から半回転往復編みを行うことにより編成されたつま先覆い部(12)と、
このつま先覆い部(12)に続き前記甲面覆い部(11)における左右両側縁の相互間を編み繋ぐように半回転往復編みを行うことにより甲面覆い部(11)との接合間に大ゴアライン(20)を生じさせて編成された足底覆い部(13)とを有している
ことを特徴とするフットカバー。 - 前記口ゴム部(2)の後半周部と後部袋体(5)との連結部(4)がリンキングにより縫合されている
ことを特徴とする請求項1記載のフットカバー。 - 前記前部袋体(3)と後部袋体(5)との前後間及び後部袋体(5)と口ゴム部(2)の後半周部との上下間には、全周回転編みを行うことにより編成されたエンドレス帯(6)が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフットカバー。 - 前記エンドレス帯(6)は、エンドレス形体を縮径させる方向で緊締力を生じる編生地として形成されていることを特徴とする請求項3記載のフットカバー。
- 前記前部袋体(3)の足底覆い部(13)は、コース数の増加にしたがってシリンダ振り幅を徐々に拡大させるように半回転往復編みを行って編成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載されたフットカバー。
- 前記前部袋体(3)には大ゴアライン(20)が唯一のゴアラインとして生じていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のフットカバー。
- シリンダの全周回転によりエンドレスの口ゴム部(2)を編成し、
この口ゴム部(2)の前半周部に対し振り幅が180°以上となるようにしてシリンダを半回転往復させつつつま先を足甲側から足裏側へと包み込み土踏まずへ及ぶ前部袋体(3)を編成し、
この前部袋体(3)の編成後にシリンダの半回転往復を行って踵を包み込み更に口ゴム部(2)の後半周部との連結部(4)を形成するように後部袋体(5)を編成する
ことを特徴とするフットカバーの編成方法。 - 前記前部袋体(3)の編成後、後部袋体(5)を編成開始する前にシリンダの全周回転を行って前部袋体(3)と後部袋体(5)との前後間及び後部袋体(5)と口ゴム部(2)の後半周部との上下間にエンドレス帯(6)を編成する
ことを特徴とする請求項7記載のフットカバーの編成方法。
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