JP2011051433A - 車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】経路に形成される連通路の設定に煩わされることなく、ABS制御の開始タイミングを適切に設定できると共に、車両制動時における車両の停止距離も適切な距離とすることができる車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法を提供する。
【解決手段】ECUは、運転手によるブレーキ操作に基づく車両制動時において、前輪のスリップ量SLPfr,SLPflがABS開始閾値Kabsよりも小さい値に予め設定された抵抗変更開始閾値KSLPを超える場合に、前輪用のホイールシリンダ内にブレーキ液を供給するための経路の流動抵抗を大きくさせる(第3タイミングt3)。その結果、前輪用のホイールシリンダ内のWC圧Pwcの単位時間あたりの増加量は、上記経路の流動抵抗が大きくなる前に比して減少し、ABS制御の開始タイミングを遅らせることが可能となる。
【選択図】図8
【解決手段】ECUは、運転手によるブレーキ操作に基づく車両制動時において、前輪のスリップ量SLPfr,SLPflがABS開始閾値Kabsよりも小さい値に予め設定された抵抗変更開始閾値KSLPを超える場合に、前輪用のホイールシリンダ内にブレーキ液を供給するための経路の流動抵抗を大きくさせる(第3タイミングt3)。その結果、前輪用のホイールシリンダ内のWC圧Pwcの単位時間あたりの増加量は、上記経路の流動抵抗が大きくなる前に比して減少し、ABS制御の開始タイミングを遅らせることが可能となる。
【選択図】図8
Description
本発明は、車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法に関する。
一般に、車両には、運転手によるブレーキ操作(即ち、急ブレーキ)に基づく車両制動時に、車輪のロックを抑制して車両の操舵性を確保するためのアンチロックブレーキ制御(以下、「ABS制御」という。)を実行するブレーキアクチュエータと、該ブレーキアクチュエータを制御する制動制御装置とが設けられている。この制動制御装置は、運転手によるブレーキ操作時に基づく車両制動時において、車両の車体速度に対する車輪のスリップ量(=車体速度−車輪速度)を演算し、該演算結果が予め設定されたABS開始閾値を超えた場合に、ABS制御を実行させるべくブレーキアクチュエータを制御する。
ブレーキアクチュエータは、運転手によるブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧を発生させるマスタシリンダと、車輪毎に設けられ、内部に発生したホイールシリンダ圧に応じた制動力を車輪に付与するためのホイールシリンダとを連通させる経路を備えている(特許文献1参照)。この経路には、ホイールシリンダ内のホイールシリンダ圧を保持又は減圧する際に閉弁動作する常開型の電磁弁が設けられている。この電磁弁は、弁座と、該弁座に着座する着座位置と弁座から離間した離間位置との間で進退移動可能な弁体とを備えている。こうした常開型の電磁弁は、その電磁コイルに電流が供給されることにより発生する電磁力によって、弁体が離間位置から着座位置に移動することにより、閉弁作動する。
また、弁座には、経路においてマスタシリンダ側となる上流側の経路とホイールシリンダ側となる下流側の経路とを連通させる連通路が貫通形成されている。この連通路は、その流路面積(「通路断面積」ともいう。)がマスタシリンダ側の経路の流路面積及びホイールシリンダ側の経路の流路面積よりも狭くなるように形成されており、オリフィスとして機能する。なお、経路内における連通路を介したブレーキ液の流動は、弁体が着座位置に配置された場合には該弁体によって規制される。
ところで、弁座に形成する連通路の流路面積が広すぎる場合には、流路面積が狭い場合に比してブレーキ液に対する流路抵抗が小さい分、運転手によるブレーキ操作時にマスタシリンダ側から経路を介してホイールシリンダ内に流入する単位時間あたりのブレーキ液の流入量が多くなる。この場合、車輪のスリップ量の単位時間あたりの増加量が多くなり、結果として、ABS制御が早いタイミングで開始される可能性がある。
一方、連通路の流路面積が狭すぎる場合には、流路面積が広い場合に比してブレーキ液に対する流路抵抗が大きい分、運転手によるブレーキ操作時にマスタシリンダ側から経路を介してホイールシリンダ内に流入する単位時間あたりのブレーキ液の流入量が少なくなる。この場合、車輪のスリップ量の単位時間あたりの増加量が少なくなり、結果として、ABS制御の開始タイミングが意図よりも遅くなったり、急制動時に車両の停止距離が長くなったりするおそれがある。
したがって、マスタシリンダとホイールシリンダとを連通させる経路に形成される連通路(即ち、オリフィス)の流路面積や形状などを、車両の重量やブレーキアクチュエータで用いるブレーキ液の液量などの車両特性に基づき適切に設定する必要があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、経路に形成される連通路の設定に煩わされることなく、ABS制御の開始タイミングを適切に設定できると共に、車両制動時における車両の停止距離も適切な距離とすることができる車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、車両の制動制御装置にかかる請求項1に記載の発明は、車輪(FR,FL,RR,RL)毎に個別対応するホイールシリンダ(20a〜20d)内のホイールシリンダ圧(Pwc)に応じた制動力を前記車輪(FR,FL,RR,RL)に付与可能なブレーキアクチュエータ(18)を制御する車両の制動制御装置であって、運転手によるブレーキ操作に伴う車両制動時において、車両の車体速度(VS)に対する車輪(FR,FL,RR,RL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl,SLPrr,SLPrl)が予め設定されたABS開始閾値(Kabs)を超えた場合に、前記ブレーキアクチュエータ(18)を制御することにより前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を調整し、前記車輪(FR,FL,RR,RL)のロックを抑制させるアンチロックブレーキ制御を行なうABS制御手段(19、S22)を備えた車両の制動制御装置において、前記ブレーキアクチュエータ(18)は、前記ホイールシリンダ(20a,20b)内に流体を供給するための経路(16a,17a)と、該経路(16a,17a)内を流動する流体に対する流動抵抗を変更すべく作動する抵抗変更手段(22,23)とを有しており、前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記ABS開始閾値(Kabs)よりも小さい値に予め設定された抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記経路(16a,17a)の流動抵抗が大きくなるように前記抵抗変更手段(22,23)を制御する抵抗変更制御手段(19、S64)をさらに備えることを要旨とする。
上記構成によれば、運転手によるブレーキ操作によって車輪のスリップ量が大きくなり、該スリップ量がABS開始閾値よりも小さい値の抵抗変更開始閾値を超えた場合、ホイールシリンダ内に流体を供給するための経路の流路抵抗が大きくなる。そのため、単位時間あたりのホイールシリンダ圧の増加量は、車輪のスリップ量が抵抗変更開始閾値以下である場合に比して少なくなる。このとき、ホイールシリンダ圧は、保圧されることなく、少しずつ増圧される。その結果、車輪のスリップ量がABS開始閾値を超えるタイミングが遅くなり、アンチロックブレーキ制御が早期に開始されることを抑制できる。その一方で、車輪のスリップ量が抵抗変更開始閾値以下である場合には、経路の流路抵抗が大きい状態となる。そのため、アンチロックブレーキ制御の開始タイミングを遅らせるべく経路の流路抵抗を大きめにした場合に比して、アンチロックブレーキ制御が実行されない車両制動時において制動距離を短くできる。したがって、アンチロックブレーキ制御の開始タイミングを適切に設定できると共に、車両制動時における車両の停止距離を短くできる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の制動制御装置において、前記抵抗変更手段は、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を増圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を許容する開状態となる一方、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を保圧又は減圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を規制する閉状態となる開閉弁(22,23)であり、前記開閉弁(22,23)は、弁孔(42)が形成される弁座(41)と該弁座(41)に着座可能な弁体(44)とを有し、該弁体(44)が前記弁座(41)に着座する着座位置に位置する場合には閉状態となる一方、前記弁体(44)が前記弁座(41)から離間する離間位置に位置する場合には開状態となるように構成されており、前記抵抗変更制御手段(19、S64)は、前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記弁体(44)を前記着座位置と前記離間位置との間の位置であって且つ前記弁体(44)と前記弁座(41)との間に形成される空間(39A)の流路面積が前記弁孔(42)の流路面積よりも小さくなる弁体位置に配置させるべく前記開閉弁(22,23)を制御することを要旨とする。
一般に、アンチロックブレーキ制御を実行可能なブレーキアクチュエータには、ホイールシリンダ圧を増圧させる際には開状態となる一方、ホイールシリンダ圧を保圧又は減圧させる際には閉状態となる開閉弁が設けられている。そこで、本発明では、経路に設けられた開閉弁の弁体を、着座位置と離間位置との間の弁体位置に配置させることにより、開閉弁を介してホイールシリンダ内に流入しようとする流体に対する流路抵抗を大きくすることができる。そのため、経路の流路抵抗を大きくするための機構を、開閉弁とは別に設ける場合に比して、全ブレーキアクチュエータを含み部品点数の増加やコストの増大を抑制可能である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両の制動制御装置において、前記経路(16a,17a)において前記抵抗変更手段(22,23)を挟んだ前記ホイールシリンダ(20a,20b)の反対側には、運転手によるブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧(Pmc)を発生するマスタシリンダ(12)が接続され、前記開閉弁(22,23)は、前記弁体(44)に対して前記着座位置から前記離間位置側への付勢力を付与する付勢手段(45)と、電流が供給された場合に前記弁体(44)を前記離間位置側から前記着座位置側に接近させるような電磁力を発生する電磁コイル(38)とをさらに有しており、前記マスタシリンダ圧(Pmc)を演算するマスタ圧演算手段(19、S13)と、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を演算するホイール圧演算手段(19、S18)と、前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記電磁コイル(38)に供給する電流値(Ano)を、前記弁体(44)が前記着座位置と前記離間位置との間の前記弁体位置に位置するような電流値であって、且つ前記各圧演算手段(19、S13,S18)によって演算された各シリンダ圧(Pmc,Pwc)の差圧(Psub)が大きいほど大きな電流値に設定する電流値設定手段(19、S63)と、をさらに備え、前記抵抗変更制御手段(19、S64)は、前記電流値設定手段(19、S63)によって設定された電流値(Ano)を前記電磁コイル(38)に供給し、前記開閉弁(22,23)を制御することを要旨とする。
一般に、経路に配置される開閉弁は、供給される電流値に応じて弁体の位置を調整可能な比例制御弁(「比例電磁弁」ともいう。)ではなく、着座位置と離間位置とに弁体を配置可能な二位置型の電磁弁である。こうした開閉弁であっても、開閉弁よりも上流側の圧力と下流側の圧力との圧力差に対応した電流値よりも小さい電流値を供給することにより、弁体を着座位置と離間位置との間の弁体位置に配置可能である。なお、「上流側の圧力と下流側の圧力との圧力差に対応した電流値」とは、弁体を着座位置に配置させる際における最低限度の電流値のことである。
そこで、本発明では、マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧に応じ、開閉弁に供給する電流値を調整することにより、開閉弁の弁体が上記弁体位置に配置され、当該開閉弁を介してホイールシリンダ内に供給される流体の単位時間あたりの流動量を少なくする。したがって、ブレーキアクチュエータの開閉弁として比例制御弁を設ける場合に比して、比例制御弁を用いない分、コスト増大を抑制できる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の車両の制動制御装置において、前記経路(16a,17a)において前記抵抗変更手段(22,23)を挟んだ前記ホイールシリンダ(20a,20b)の反対側には、運転手によるブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧(Pmc)を発生するマスタシリンダ(12)が接続されており、前記マスタシリンダ圧(Pmc)を演算するマスタ圧演算手段(19、S13)と、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を演算するホイール圧演算手段(19、S18)と、をさらに備え、前記抵抗変更制御手段(19、S64)は、前記各圧演算手段(19、S13,S18)によって演算された各シリンダ圧(Pmc,Pwc)の差圧(Psub)が大きいほど、前記経路(16a,17a)の流動抵抗が大きくなるように前記抵抗変更手段(22,23)を制御することを要旨とする。
上記構成によれば、マスタシリンダ圧とホイールシリンダ圧との差圧が大きいほど、単位時間あたりのホイールシリンダ圧の増加量が多くなる。そのため、上記差圧が大きいほど、経路の流路抵抗を大きくする。したがって、運転手によるブレーキ操作に関係なく、アンチロックブレーキ制御の早期開始を好適に抑制可能である。
一方、車両の制動制御方法にかかる請求項5に記載の発明は、運転手によるブレーキ操作に基づく車両制動時において、車両の車体速度(VS)に対する車輪(FR,FL,RR,RL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl,SLPrr,SLPrl)が予め設定されたABS開始閾値(Kabs)を超えた場合に、車輪(FR,FL,RR,RL)毎に設けられたホイールシリンダ(20a〜20d)のホイールシリンダ圧(Pwc)を調整し、前記車輪(FR,FL,RR,RL)のロックを抑制させるアンチロックブレーキ制御ステップ(S22)を有する車両の制動制御方法において、前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記ABS開始閾値(Kabs)よりも小さい値に予め設定された抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記ホイールシリンダ(20a,20b)内に流体を供給するための経路(16a,17a)の流動抵抗を大きくさせる抵抗変更ステップ(S64)をさらに有することを要旨とする。
上記構成によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用効果を得ることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両の制動制御方法において、前記経路(16a,17a)は、前記ホイールシリンダ(20a,20b)と、運転手によるブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧(Pmc)を発生するマスタシリンダ(12)とを連通させる経路であり、前記経路(16a,17a)には、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を増圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を許容する開状態となる一方、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を保圧又は減圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を規制する閉状態となる電磁弁(22,23)が設けられ、該電磁弁(22,23)は、弁体(44)が、弁孔(42)が形成される弁座(41)に着座する着座位置に位置する場合には閉状態となる一方、前記弁体(44)が前記弁座(41)から離間する離間位置に位置する場合には開状態となるように構成されており、前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記電磁弁(22,23)の電磁コイル(38)に供給する電流値(Ano)を、前記弁体(44)が前記着座位置と前記離間位置との間の位置であって且つ前記弁体(44)と前記弁座(41)との間に形成される空間(39A)の流路面積が前記弁孔(42)の流路面積よりも小さくなる弁体位置に位置するような電流値であると共に、前記マスタシリンダ圧(Pmc)と前記ホイールシリンダ圧(Pwc)との差圧が大きいほど大きな電流値に設定させる電流値設定ステップ(S63)をさらに有し、前記抵抗変更ステップ(S64)では、前記電流値設定ステップ(S63)で設定した電流値(Ano)に基づき前記電磁弁(22,23)を作動させることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の車両の制動制御方法において、前記経路(16a,17a)は、前記ホイールシリンダ(20a,20b)と、運転手によるブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧(Pmc)を発生するマスタシリンダ(12)とを連通させる経路であり、前記経路(16a,17a)には、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を増圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を許容する開状態となる一方、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を保圧又は減圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を規制する閉状態となる電磁弁(22,23)が設けられ、該電磁弁(22,23)は、弁体(44)が、弁孔(42)が形成される弁座(41)に着座する着座位置に位置する場合には閉状態となる一方、前記弁体(44)が前記弁座(41)から離間する離間位置に位置する場合には開状態となるように構成されており、前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記電磁弁(22,23)の電磁コイル(38)に供給する電流値(Ano)を、前記弁体(44)が前記着座位置と前記離間位置との間の位置であって且つ前記弁体(44)と前記弁座(41)との間に形成される空間(39A)の流路面積が前記弁孔(42)の流路面積よりも小さくなる弁体位置に位置するような電流値であると共に、前記マスタシリンダ圧(Pmc)と前記ホイールシリンダ圧(Pwc)との差圧が大きいほど大きな電流値に設定させる電流値設定ステップ(S63)をさらに有し、前記抵抗変更ステップ(S64)では、前記電流値設定ステップ(S63)で設定した電流値(Ano)に基づき前記電磁弁(22,23)を作動させることを要旨とする。
上記構成によれば、請求項3に記載の発明と同等の作用効果を得ることができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における左右方向は、車両進行方向における左右方向と一致するものとする。
図1に示すように、本実施形態の制動装置11は、複数(本実施形態では4つ)の車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)を有する車両に搭載されている。この車両の制動装置11は、マスタシリンダ12、ブースタ13及びメインタンク14を有する液圧発生装置15と、2つの液圧回路16,17を有するブレーキアクチュエータ18(図1では二点鎖線で示す。)と、該ブレーキアクチュエータ18を制御するための制動制御装置としての電子制御装置(以下、「ECU」という。)19とを備えている。各液圧回路16,17は、液圧発生装置15のマスタシリンダ12にそれぞれ接続されると共に、各車輪FR,FL,RR,RLに対応して設けられたホイールシリンダ20a,20b,20c,20dにそれぞれ接続されている。
液圧発生装置15には、ブレーキペダル21が設けられており、該ブレーキペダル21が車両の運転者によって操作(即ち、ブレーキ操作)された場合には、マスタシリンダ12及びブースタ13がそれぞれ作動する。そして、マスタシリンダ12からは、液圧回路16,17を介してホイールシリンダ20a〜20d内に流体としてのブレーキ液がそれぞれ供給され、各車輪FR,FL,RR,RLには、ホイールシリンダ20a〜20d内のホイールシリンダ圧(以下、「WC圧」という。)Pwc(図8参照)に応じた制動力がそれぞれ付与される。
第1液圧回路16は、右前輪FRに対応するホイールシリンダ20aに接続される右前輪用経路16aと、左後輪RLに対応するホイールシリンダ20dに接続される左後輪用経路16bとを有している。同様に、第2液圧回路17は、左前輪FLに対応するホイールシリンダ20bに接続される左前輪用経路17aと、右後輪RRに対応するホイールシリンダ20cに接続される右後輪用経路17bとを有している。
また、各経路16a,16b,17a,17bには、常開型の電磁弁である増圧弁(開閉弁)22,23,24,25がそれぞれ設けられている。これら各増圧弁22〜25は、ホイールシリンダ20a〜20d内のWC圧Pwcを増圧させる際には、マスタシリンダ12側からホイールシリンダ20a〜20dへのブレーキ液の流動を許容する開状態となる。また、各増圧弁22〜25は、WC圧Pwcを保圧又は減圧させる際には、マスタシリンダ12側からホイールシリンダ20a〜20dへのブレーキ液の流動を規制する閉状態となる。なお、各増圧弁22〜25の具体的な構成は後述するものとする。
また、各経路16a,16b,17a,17bには、常閉型の電磁弁である減圧弁26,27,28,29がそれぞれ設けられている。これら各減圧弁26〜29は、ホイールシリンダ20a〜20d内のWC圧Pwcを増圧又は保圧させる際には、ホイールシリンダ20a〜20dからのブレーキ液の流出を規制する閉状態となる。また、各減圧弁26〜29は、WC圧Pwcを減圧させる際には、ホイールシリンダ20a〜20d内からのブレーキ液の流出を許容する閉状態となる。
また、各液圧回路16,17には、各ホイールシリンダ20a〜20d側から各減圧弁26〜29を介して流出したブレーキ液が一時貯留されるリザーバ30,31と、リザーバ30,31内に一時貯留されているブレーキ液を吸引して液圧回路16,17におけるマスタシリンダ12側に吐出するためのポンプ32,33とがそれぞれ配設されている。これら各ポンプ32,33は、ブレーキアクチュエータ18に設けられた駆動モータ34の回転によってそれぞれポンプ作動する。
次に、増圧弁22〜25の構成について図2(a)(b)(c)に基づき説明する。
図2(a)(b)に示すように、増圧弁22〜25は、図示しないバルブボディに固定されるスリーブ状の固定子35と、該固定子35の一端(図2(a)(b)では上端)に固定される有底筒状のケーシング36と、該ケーシング36内において図2(a)(b)における上下方向に摺動可能な可動コア37とを備えている。また、増圧弁22〜25には、固定子35の一端側の部分(図2(a)(b)では上側の部分)及びケーシング36を包囲する電磁コイル38が設けられている。
図2(a)(b)に示すように、増圧弁22〜25は、図示しないバルブボディに固定されるスリーブ状の固定子35と、該固定子35の一端(図2(a)(b)では上端)に固定される有底筒状のケーシング36と、該ケーシング36内において図2(a)(b)における上下方向に摺動可能な可動コア37とを備えている。また、増圧弁22〜25には、固定子35の一端側の部分(図2(a)(b)では上側の部分)及びケーシング36を包囲する電磁コイル38が設けられている。
固定子35内の他端側(図2(a)(b)では下端側)には、液室39が形成されており、固定子35の側壁には、液室39とマスタシリンダ12側とを連通させるための複数(図2(a)(b)では2つのみ図示)のポート40が形成されている。また、固定子35の他端には、液室39を閉塞する弁座41が嵌着されており、該弁座41には、液室39内をホイールシリンダ20a〜20d側に連通させるための連通路としての弁孔42が形成されている。この弁孔42の流路面積は、経路16a,16b,17a,17bの流路面積よりも狭い面積に設定されている。すなわち、弁孔42は、マスタシリンダ12とホイールシリンダ20a〜20dとの間でオリフィス(即ち、流路抵抗)として機能する。その結果、運転手によってブレーキ操作された場合、弁孔42(即ち、増圧弁22〜25)を挟んだマスタシリンダ12側とホイールシリンダ20a〜20d側とで差圧が発生する。なお、本実施形態において前輪FR,FL用の増圧弁22,23における弁孔42を、それらの口径が一般的な車両に搭載されるブレーキアクチュエータの前輪用の増圧弁における弁孔の口径よりも大きくなるように設計してもよい。
また、固定子35内には、可動コア37と連動するロッド状の可動子43が収容されており、該可動子43の他端には、弁座41に着座した際に弁孔42を閉塞可能な弁体部(弁体)44が形成されている。そして、可動子43は、該可動子43と弁座41との間に配置される付勢手段としてのスプリング45によって弁座41から離間する方向に付勢されている。
こうした増圧弁22〜25は、図2(a)に示すように、その電磁コイル38が非通電状態である場合には可動子43の弁体部44がスプリング45の付勢力によって弁座41から離間するため、開状態になる。すなわち、弁体部44が弁座41から離間する離間位置に配置される場合には、マスタシリンダ12側から増圧弁22〜25を介したホイールシリンダ20a〜20d側へのブレーキ液の流動が許容される。一方、電磁コイル38が通電されて該電磁コイル38で発生した電磁力(即ち、可動子43を弁座41側に移動させる力)がスプリング45の付勢力よりも大きい場合には、図2(b)に示すように、可動子43が付勢力に抗して弁座41側に移動し、可動子43の弁体部44が弁座41に着座する。その結果、増圧弁22〜25は、閉状態となる。すなわち、弁体部44が弁座41に着座する着座位置に配置される場合には、マスタシリンダ12側から増圧弁22〜25を介したホイールシリンダ20a〜20d側へのブレーキ液の流動が規制される。つまり、増圧弁22〜25は、その電磁コイル38への給電態様に応じて、着座位置と離間位置との二位置間で弁体部44が移動可能な二位置型の電磁弁である。
本実施形態の増圧弁22〜25では、弁体部44を着座位置と離間位置との二位置だけではなく、後述するDuty制御を行なうことにより、図2(c)に示すように、着座位置と離間位置との間の中途位置(弁体位置)に配置することが可能である。すなわち、マスタシリンダ12内のマスタシリンダ圧(以下、「MC圧」という。)Pmc(図8参照)と、ホイールシリンダ20a〜20d内のWC圧Pwcとの差圧に対応した電流値よりも小さい電流値Ano(図3参照)を電磁コイル38に供給することにより、弁体部44は、上記中途位置に配置される。この中途位置とは、予め設定された弁座41と弁体部44との間に形成される空間39Aの流路面積が弁孔42の流路面積よりも小さくなるような位置であって、増圧弁22〜25が設けられる車両の重量やブレーキアクチュエータ18で用いるブレーキ液量などの車両特性に基づいた位置に設定される。そして、増圧弁22〜25に供給される電流値Anoが大きくなるほど上記空間39Aの流路面積が狭くなることに基づき、増圧弁22〜25に供給する電流値Anoが適切に設定される(図3参照)。
こうした上記中途位置に弁体部44が配置される場合、マスタシリンダ12側から増圧弁22〜25を介したホイールシリンダ20a〜20d内へのブレーキ液の単位時間あたりの供給量は、「0(零)」ではないものの、上記空間39Aの流路面積が最小流路面積(>0(零))になるため、弁体部44が離間位置に配置される場合に比して少なくなる。なお、「差圧Psubに対応した電流値」とは、弁体部44を着座位置に配置させる際における最低限度の電流値のことである。
次に、本実施形態のECU19について説明する。
ECU19の入力側インターフェースには、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE1,SE2,SE3,SE4、マスタシリンダ12のMC圧Pmcを検出するためのマスタ圧センサSE5及びブレーキペダル21の操作の有無を検出するためのブレーキスイッチSW1などが電気的に接続されている。また、ECU19の出力側インターフェースには、各弁22〜29及び駆動モータ34などが電気的に接続されている。そして、ECU19は、各種センサSE1〜SE5及びブレーキスイッチSW1からの各種検出信号に基づき、各弁22〜29及び駆動モータ34の作動を個別に制御する。
ECU19の入力側インターフェースには、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE1,SE2,SE3,SE4、マスタシリンダ12のMC圧Pmcを検出するためのマスタ圧センサSE5及びブレーキペダル21の操作の有無を検出するためのブレーキスイッチSW1などが電気的に接続されている。また、ECU19の出力側インターフェースには、各弁22〜29及び駆動モータ34などが電気的に接続されている。そして、ECU19は、各種センサSE1〜SE5及びブレーキスイッチSW1からの各種検出信号に基づき、各弁22〜29及び駆動モータ34の作動を個別に制御する。
こうしたECU19は、CPU50、ROM51及びRAM52などから構成されるデジタルコンピュータ、各弁22〜29を作動させるための図示しない弁用ドライバ回路、及び駆動モータ34を作動させるための図示しないモータ用ドライバ回路を有している。デジタルコンピュータのROM51には、各種制御処理(後述する制動制御処理など)、各種マップ(図3に示すマップなど)及び各種閾値(後述する変化量閾値、第1経過時間閾値、MC圧閾値、抵抗変更開始閾値、第2経過時間閾値、車輪減速度閾値、ABS開始閾値など)などが予め記憶されている。また、RAM52には、車両の図示しないイグニッションスイッチが「オン」である間、適宜書き換えられる各種の情報(後述する車輪速度、推定車体速度、MC圧、MC圧変化量、WC圧、スリップ量、要求増圧勾配、車輪減速度、差圧、目標差圧、電流値、各経過時間、各フラグなど)などがそれぞれ記憶される。
次に、ROM51に予め記憶されるマップについて図3に基づき説明する。
図3に示すマップは、前輪FR,FL用の増圧弁22,23の電磁コイル38に供給する電流値Anoを、後述する目標差圧TPsubに基づき設定するためのマップである。図3に示すように、電流値Anoは、目標差圧TPsubの値が大きいほど大きな値に設定される。すなわち、目標差圧TPsubが第1目標差圧TPsub1である場合に、前輪FR,FL用の増圧弁22,23の電磁コイル38に第1電流値A1を供給することにより、増圧弁22,23において弁体部44は、着座位置と離間位置との間の中途位置に配置される(図2(c)参照)。なお、増圧弁22,23が図2(a)に示す開状態となる場合における電流値は、図3における実線よりも図3において下側となる。
図3に示すマップは、前輪FR,FL用の増圧弁22,23の電磁コイル38に供給する電流値Anoを、後述する目標差圧TPsubに基づき設定するためのマップである。図3に示すように、電流値Anoは、目標差圧TPsubの値が大きいほど大きな値に設定される。すなわち、目標差圧TPsubが第1目標差圧TPsub1である場合に、前輪FR,FL用の増圧弁22,23の電磁コイル38に第1電流値A1を供給することにより、増圧弁22,23において弁体部44は、着座位置と離間位置との間の中途位置に配置される(図2(c)参照)。なお、増圧弁22,23が図2(a)に示す開状態となる場合における電流値は、図3における実線よりも図3において下側となる。
なお、図3における破線は、前輪FR,FL用の増圧弁22,23を図2(b)に示す閉状態にするための電流値の最低値を、目標差圧TPsubの大きさ毎にプロットしたものである。すなわち、目標差圧TPsubが第1目標差圧TPsub1である場合に、前輪FR,FL用の増圧弁22,23の電磁コイル38に対して、第1電流値A1よりも大きな第2電流値A2若しくは該第2電流値A2以上の電流値が供給されると、増圧弁22,23の弁体部44は、着座位置に配置される。
次に、本実施形態のECU19が実行する制動制御処理ルーチンについて、図4〜図7に示す各フローチャート及び図8に示すタイミングチャートに基づき説明する。なお、図8は、運転手がブレーキ操作した後、そのブレーキペダル21の操作量が一定に維持される場合のタイミングチャートである。
さて、ECU19は、予め設定された所定周期(例えば「6msec. 」)毎に制動制御処理ルーチンを実行する。この制動制御処理ルーチンにおいて、ECU19は、各車輪速度センサSE1〜SE4からの各検出信号に基づき、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWを個別に演算し(ステップS10)、該各車輪速度VWに基づき車両の推定車体速度VSを演算する(ステップS11)。続いて、ECU19は、ステップS11で演算した推定車体速度VSからステップS10で演算した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWを減算することにより、各車輪FR,FL,RR,RLのスリップ量SLPfr,SLPfl,SLPrr,SLPrlを個別に演算する(ステップS12)。そして、ECU19は、マスタ圧センサSE5からの検出信号に基づき、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcを演算する(ステップS13)。この点で、本実施形態では、ECU19が、マスタ圧演算手段としても機能する。
続いて、ECU19は、ブレーキスイッチSW1からの検出信号に基づき、運転手がブレーキ操作を行なっているか否かを判定する(ステップS14)。すなわち、ブレーキスイッチSW1は、運転手がブレーキ操作を実行中である場合に「ON」となるスイッチである。ステップS14の判定結果が肯定判定(SW1=ON)である場合、ECU19は、運転手によるブレーキ操作が開始されてからの経過時間に相当するブレーキ経過時間Tbを「1」だけインクリメントし(ステップS15)、その処理を後述するステップS17に移行する。一方、ステップS14の判定結果が否定判定(SW1=OFF)である場合、ECU19は、ブレーキ経過時間Tbを「0(零)」にリセットし(ステップS16)、その処理を次のステップS17に移行する。
ステップS17において、ECU19は、ステップS13で演算したMC圧Pmcを微分することにより、MC圧Pmcの単位時間あたりの変化量(以下、「MC圧変化量」という。)ΔPmcを演算する。続いて、ECU19は、各前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcを個別に推定(演算)する(ステップS18)。本実施形態では、各WC圧Pwcは、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcと、各弁22〜29の開閉状態とに基づきそれぞれ推定される。すなわち、増圧弁22〜25が開状態であると共に減圧弁26〜29が閉状態である場合には、MC圧Pmcが高圧な状態であったり、MC圧Pmcの高圧な状態が長時間続いたりするほど、WC圧Pwcは大きな値となる。したがって、本実施形態では、ECU19が、ホイール圧演算手段としても機能する。
そして、ECU19は、図5で詳述する急制動判定処理を実行する(ステップS19)。この急制動判定処理では、運転手のブレーキ操作によって車両に急制動が加わり、アンチロックブレーキ制御(以下、「ABS制御」という。)が開始し得る状態であると判定された場合には後述する急制動判定フラグFLG2が「ON」にセットされる一方、ABS制御が実行中又はABS制御を実行し得るような急制動が車両に加わっていないと判定された場合には急制動判定フラグFLG2が「OFF」にセットされる。続いて、ECU19は、図6で詳述するABS開始終了判定処理を実行する(ステップS20)。このABS開始終了判定処理では、ABS制御の開始条件が成立した場合には後述するABSフラグFLG1が「ON」にセットされる一方、ABS制御の終了条件が成立した場合にはABSフラグFLG1が「OFF」にセットされる。
そして、ECU19は、ABSフラグFLG1が「OFF」であるか否かを判定する(ステップS21)。この判定結果が否定判定(FLG2=ON)である場合、ECU19は、ABS制御の開始条件が成立した、又はABS制御中であると判断し、ABS制御処理を実行する(ステップS22)。具体的には、ECU19は、各車輪FR,FL,RR,RLがロックしないように各弁22〜29及び各ポンプ32,33の作動を個別に制御し、各ホイールシリンダ20a〜20d内のWC圧Pwcの減圧、保圧及び増圧を繰り返させる。したがって、本実施形態では、ECU19が、ABS制御手段としても機能する。また、ステップS22が、アンチロックブレーキ制御ステップに相当する。
一般的に、車両に急制動が加わると、車両の重心は前側にシフトする。その結果、前輪FR,FLに加わる荷重は、後輪RR,RLに加わる荷重よりも徐々に増加する。そして、前輪FR,FLに最も荷重が加わった状態でABS制御を開始させると、車両に対して制動力を効果的に付与でき、結果として、車両の制動距離の短縮化を図ることが可能となる。そのため、車両に急制動が加わった場合には、制動距離の短距離化の観点から鑑みると、ABS制御の開始タイミングを可能な限り遅らせることが望ましい。
しかし、図8のタイミングチャートに示すように、従来の制動制御方法、即ち大きめのオリフィスを用いて弁体部44の位置を強制的に変位させない方法では、本実施形態の制動制御方法の場合に比して早いタイミングでABS制御が開始される(第4タイミングt4)。この場合、車両の重心が前側にシフトする途中でABS制御が実行される可能性がある。その結果、前輪FR,FLに加わる荷重が十分に大きくなる前にABS制御が開始されることになり、前輪FR,FLのロックは抑制できるものの、車両の車体減速度DVSが最大値となるまでには、ABS制御が開始されてからある程度時間がかかる(第8タイミングt8)。したがって、車両の制動距離が長くなるおそれがある。
この点、本実施形態では、前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflが増加し、ABS制御の開始直前になると、後述するWC圧増圧速度調整処理が実行される(第3タイミングt3)。その結果、ABS制御の開始タイミングは、従来の制動制御方法の場合の第4タイミングt4よりも遅い第6タイミングt6となる。そのため、ABS制御が開始されるときには、車両重心の前側へのシフトが完了しており、従来の制動制御方法の場合に比してより大きな荷重が前輪FR,FLに加わった状態でABS制御が開始される。したがって、ABS制御が開始される前の第5タイミングt5で、車両の車体減速度DVSが最大値となる結果、車両の制動距離は、従来の制動制御方法の場合に比して短くなる。
図4に示すフローチャートに戻り、ECU19は、後述する要求増圧勾配Pupを「0(零)」にリセットし(ステップS23)、その後、制動制御処理ルーチンを一旦終了する。
その一方で、ステップS21の判定結果が肯定判定(FLG1=OFF)である場合、ECU19は、ABS制御の開始条件が成立していないため、急制動判定フラグFLG2が「ON」であるか否かを判定する(ステップS24)。この判定結果が否定判定(FLG2=OFF)である場合、ECU19は、ABS制御を実行させるような急制動が車両に加わっていないため、その処理を前述したステップS23に移行する。一方、ステップS24の判定結果が肯定判定(FLG2=ON)である場合、ECU19は、ABS制御が開始される直前であると判断し、図7で詳述するWC圧増圧速度調整処理を実行する(ステップS25)。このWC圧増圧速度調整処理は、ABS制御の開始タイミングを遅らせつつ車両の制動距離の短縮化を図るために、前輪FR,FL用の経路16a,17aのブレーキ液に対する流路抵抗を大きくする処理である。その後、ECU19は、制動制御処理ルーチンを一旦終了する。
ここで、図8のタイミングチャートに示すように、第3タイミングt3でWC圧増圧速度調整処理が開始されると、前輪FR,FL用の経路16a,17aのブレーキ液に対する流路抵抗が大きくなる。そのため、マスタシリンダ12側からは、ブレーキ液が経路16a,17aを介して前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20b内に流入しにくくなり、該ホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcの単位時間あたりの増加量は、WC圧増圧速度調整処理の開始前に比して少なくなる。すると、前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflは、従来の制動制御方法、即ち大きめのオリフィスを用いて弁体部44の位置を強制的に変位させない方法の場合とは異なり、WC圧増圧速度調整処理の実行に伴い一時的に小さくなる。その結果、従来の制動制御方法においてABS制御が開始される第4タイミングt4が経過しても、前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflを比較的小さい値に抑えることができるため、本実施形態ではABS制御が未だ実行されない。すなわち、車両の重心の前側へのシフトが完了するまでの時間を稼ぐことができる。そして、第4タイミングt4よりも遅い第6タイミングt6が経過した時点で、前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflが大きくなり、ABS制御が開始されることになる。
次に、上記急制動判定処理(急制動判定処理ルーチン)について、図5に示すフローチャート及び図8に示すタイミングチャートに基づき説明する。
さて、急制動判定処理ルーチンにおいて、ECU19は、急制動判定フラグFLG2が「OFF」であるか否かを判定する(ステップS30)。この判定結果が肯定判定(FLG2=OFF)である場合、ECU19は、マスタシリンダ12のMC圧変化量ΔPmcが予め設定された変化量閾値KDPを超えたか否かを判定する(ステップS31)。この変化量閾値KDPは、MC圧変化量ΔPmcの大きさから車両に急制動が加わっているか否かを判断するための基準値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。ステップS31の判定結果が肯定判定(ΔPmc>KDP)である場合、ECU19は、MC圧変化量ΔPmcが変化量閾値KDPを超えてからの経過時間に相当する第1経過時間T1を「1」だけインクリメントし(ステップS32)、その処理を後述するステップS34に移行する。一方、ステップS31の判定結果が否定判定(ΔPmc≦KDP)である場合、ECU19は、第1経過時間T1を「0(零)」にリセットし(ステップS33)、急制動判定処理ルーチンを終了する。
さて、急制動判定処理ルーチンにおいて、ECU19は、急制動判定フラグFLG2が「OFF」であるか否かを判定する(ステップS30)。この判定結果が肯定判定(FLG2=OFF)である場合、ECU19は、マスタシリンダ12のMC圧変化量ΔPmcが予め設定された変化量閾値KDPを超えたか否かを判定する(ステップS31)。この変化量閾値KDPは、MC圧変化量ΔPmcの大きさから車両に急制動が加わっているか否かを判断するための基準値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。ステップS31の判定結果が肯定判定(ΔPmc>KDP)である場合、ECU19は、MC圧変化量ΔPmcが変化量閾値KDPを超えてからの経過時間に相当する第1経過時間T1を「1」だけインクリメントし(ステップS32)、その処理を後述するステップS34に移行する。一方、ステップS31の判定結果が否定判定(ΔPmc≦KDP)である場合、ECU19は、第1経過時間T1を「0(零)」にリセットし(ステップS33)、急制動判定処理ルーチンを終了する。
ステップS34において、ECU19は、ステップS32で更新した第1経過時間T1が予め設定された第1経過時間閾値KT1以下であるか否かを判定する。この判定結果が肯定判定(T1≦KT1)である場合、ECU19は、ステップS15で更新したブレーキ経過時間Tbが第1経過時間閾値KT1未満であるか否かを判定する(ステップS35)。運転手によるブレーキ操作によって急制動が車両に加わった状態で第1経過時間閾値KT1に相当する時間が経過した場合には、ブレーキペダル21の操作量が少なくなったり、車両が停止したりすることがある。こうした場合には、ABS制御が後に実行されることはないため、WC圧増圧速度調整処理を実行する必要がない。そこで、本実施形態では、WC圧増圧速度調整処理を実行する必要がないと判断するための基準値として、第1経過時間閾値KT1が設定される。
ステップS35の判定結果が肯定判定(Tb<KT1)である場合、ECU19は、ステップS13で演算したMC圧Pmcが予め設定されたMC圧閾値KPmcを超えたか否かを判定する(ステップS36)。このMC圧閾値KPmcは、運転手によるブレーキペダル21の操作量(即ち、踏込み量)が多いか否かを判断するための基準値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。ステップS36の判定結果が肯定判定(Pmc>KPmc)である場合、ECU19は、各前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflのうち少なくとも一方のスリップ量が予め設定された抵抗変更開始閾値KSLPを超えたか否かを判定する(ステップS37)。この抵抗変更開始閾値KSLPは、各前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflが大きくなり、ABS制御の開始直前の状態であるか否かを判断するための基準値であって、後述するABS開始閾値Kabsよりも小さな値に予め設定される。
ステップS37の判定結果が肯定判定(SLPfr,SLPflのうち少なくとも一方>KSLP)である場合、ECU19は、急制動判定フラグFLG2を「ON」にセットし(ステップS38)、その後、急制動判定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS34〜S37の各判定結果のうち少なくとも一つの判定結果が否定判定である場合、ECU19は、急制動判定フラグFLG2を「ON」にセットすることなく、急制動判定処理ルーチンを終了する。
ここで、図8のタイミングチャートに示すように、車両に急制動が加わった第1タイミングt1が経過すると、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcが急激に増圧されると共に、MC圧変化量ΔPmcも増加する。すると、各前輪FR,FLの車輪速度VWがそれぞれ減速され、その結果、各前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflが徐々に大きくなる。そして、第2タイミングt2を経過すると、マスタシリンダ12内のMC圧PmcがMC圧閾値KPmcを超え、さらに第3タイミングt3を経過すると、各前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflの少なくとも一方が抵抗変更開始閾値KSLPを超える。この第3タイミングt3では、運転手によるブレーキ操作が開始されてからのブレーキ経過時間Tbが第1経過時間KT1未満であると共に、MC圧変化量ΔPmcが変化量閾値KDPを超えてからの第1経過時間T1が第1経過時間閾値KT1未満である。そのため、第3タイミングt3で、急制動判定フラグFLG2が「ON」にセットされ、WC圧増圧速度調整処理が開始される。
図5のフローチャートに戻り、ステップS30の判定結果が否定判定(FLG2=ON)である場合、ECU19は、急制動判定フラグFLG2が「ON」にセットされてからの経過時間に相当する第2経過時間T2を「1」だけインクリメントする(ステップS39)。続いて、ECU19は、ABSフラグFLG1が「OFF」であるか否かを判定する(ステップS40)。この判定結果が肯定判定(FLG1=OFF)である場合、ECU19は、ABS制御の開始条件が未だ成立していないと判断し、ブレーキスイッチSW1が「ON」であるか否かを判定する(ステップS41)。この判定結果が肯定判定(SW1=ON)である場合、ECU19は、ステップS39で更新した第2経過時間T2が予め設定された第2経過時間閾値KT2以下であるか否かを判定する(ステップS42)。この第2経過時間閾値KT2は、車両が停止したり、運転手によるブレーキペダル21の操作量が少なくなったりし、ABS制御の実行が必要なくなったか否かを時間で判断するための基準値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。ステップS42の判定結果が肯定判定(T2≦KT2)である場合、ECU19は、WC圧増圧速度調整処理の実行を継続させる必要があると判断し、急制動判定処理ルーチンを終了する。
その一方で、ステップS40〜S42の各判定結果のうち少なくとも一つの判定結果が否定判定である場合、ECU19は、WC圧増圧速度調整処理の実行を停止させるために急制動判定フラグFLG2を「OFF」に設定する(ステップS43)。続いて、ECU19は、第2経過時間T2を「0(零)」にリセットし(ステップS44)、その後、急制動判定処理ルーチンを終了する。
ここで、図8のタイミングチャートに示すように、WC圧増圧速度調整処理が開始されてからの第2経過時間T2が第2経過時間閾値KT2以下である状態で運転手によるブレーキ操作が継続されると、WC圧増圧速度調整処理が継続される(第4タイミングt4)。すると、車両の車体減速度DVSが最も大きな値になる第5タイミングt5を経過しても、ABS制御が開始されない。そして、第5タイミングt5よりも遅い第6タイミングt6になると、第2経過時間T2が第2経過時間閾値KT2以下である状態でABS制御が開始されると共に、WC圧増圧速度調整処理が停止される。なお、第7タイミングt7のように、WC圧増圧速度調整処理が開始されてからの第2経過時間T2が第2経過時間閾値KT2を超えた場合には、運転手によるブレーキ操作が継続されると共にABS制御が開始されていなくても、WC圧増圧速度調整処理が停止される。
次に、上記ABS開始終了判定処理(ABS開始終了判定処理ルーチン)について、図6に示すフローチャートに基づき説明する。
さて、ABS開始終了判定処理ルーチンにおいて、ECU19は、ブレーキスイッチSW1が「ON」であるか否かを判定する(ステップS50)。この判定結果が否定判定(SW1=OFF)である場合、ECU19は、ブレーキペダル21が操作されていないと判断し、ABSフラグFLG1を「OFF」にセットし(ステップS51)、その後、ABS開始終了判定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS50の判定結果が肯定判定(SW1=ON)である場合、ECU19は、ステップS10で演算した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWを微分し、該演算結果に基づき各車輪FR,FL,RR,RLの車輪減速度DVWを演算する(ステップS52)。続いて、ECU19は、ステップS52で演算した車輪減速度DVWが予め設定された車輪減速度閾値KDVW以上であるか否かを判定する(ステップS53)。この車輪減速度閾値KDVWは、ABS制御を開始させるか否かを判断するための基準値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。
さて、ABS開始終了判定処理ルーチンにおいて、ECU19は、ブレーキスイッチSW1が「ON」であるか否かを判定する(ステップS50)。この判定結果が否定判定(SW1=OFF)である場合、ECU19は、ブレーキペダル21が操作されていないと判断し、ABSフラグFLG1を「OFF」にセットし(ステップS51)、その後、ABS開始終了判定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS50の判定結果が肯定判定(SW1=ON)である場合、ECU19は、ステップS10で演算した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度VWを微分し、該演算結果に基づき各車輪FR,FL,RR,RLの車輪減速度DVWを演算する(ステップS52)。続いて、ECU19は、ステップS52で演算した車輪減速度DVWが予め設定された車輪減速度閾値KDVW以上であるか否かを判定する(ステップS53)。この車輪減速度閾値KDVWは、ABS制御を開始させるか否かを判断するための基準値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。
ステップS53の判定結果が否定判定(少なくとも一つのDVW<KDVW)である場合、ECU19は、ABS制御を開始させる必要がまだないと判断し、ABS開始終了判定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS53の判定結果が肯定判定(DVW≧KDVW)である場合、ECU19は、ステップS12で演算したスリップ量SLPfr,SLPfl,SLPrr,SLPrlのうち少なくとも一つのスリップ量が予め設定されたABS開始閾値Kabsを超えたか否かを判定する(ステップS54)。このABS開始閾値Kabsは、ABS制御を開始させるか否かを判断するための基準値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。ステップS54の判定結果が肯定判定(SLPfr,SLPfl,SLPrr,SLPrlのうち少なくとも一つ>Kabs)である場合、ECU19は、ABSフラグFLG1を「ON」にセットし(ステップS55)、その後、ABS開始終了判定処理ルーチンを終了する。
次に、上記WC圧増圧速度調整処理(WC圧増圧速度調整処理ルーチン)について、図7に示すフローチャートに基づき説明する。
さて、WC圧増圧速度調整処理ルーチンにおいて、ECU19は、ROM51に記憶される要求増圧勾配Pup用の数値(例えば「2MPa/sec.(メガパスカル・パー・セック(秒))」)を読み出し、該数値を増圧速度調整のための要求増圧勾配Pupに設定する(ステップS50)。続いて、ECU19は、ステップS13で演算したMC圧PmcからステップS18で推定した前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcを減算し、該減算結果を差圧Psubとする(ステップS61)。そして、ECU19は、ステップS60で設定した要求増圧勾配Pup及びステップS61で演算した差圧Psubに基づき、目標差圧TPsubを設定する(ステップS62)。
さて、WC圧増圧速度調整処理ルーチンにおいて、ECU19は、ROM51に記憶される要求増圧勾配Pup用の数値(例えば「2MPa/sec.(メガパスカル・パー・セック(秒))」)を読み出し、該数値を増圧速度調整のための要求増圧勾配Pupに設定する(ステップS50)。続いて、ECU19は、ステップS13で演算したMC圧PmcからステップS18で推定した前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcを減算し、該減算結果を差圧Psubとする(ステップS61)。そして、ECU19は、ステップS60で設定した要求増圧勾配Pup及びステップS61で演算した差圧Psubに基づき、目標差圧TPsubを設定する(ステップS62)。
この目標差圧TPsubは、前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcの単位時間あたりの変化量を要求増圧勾配Pupに相当する値に接近させるための値である。上述したように、増圧弁22,23は、いわゆる二位置弁であるため、比例電磁弁とは異なり、その電磁コイル38に供給する電流値を所定値に設定したとしても、弁体部44の位置は、差圧Psubに応じて変位する。そのため、差圧Psubを考慮した目標差圧TPsubを設定しないと、WC圧Pwcの単位時間あたりの変化量を要求増圧勾配Pupに相当する値に接近させることが困難となる。そこで、本実施形態では、目標差圧TPsubは、MC圧PmcとWC圧Pwcとの差圧Psubが大きいほど大きな値に設定される。
続いて、ECU19は、ステップS62で設定した目標差圧TPsubを図3に示すマップに代入することにより、前輪FR,FL用の増圧弁22,23の電磁コイル38に供給する電流値Anoを設定する(ステップS63)。この点で、本実施形態では、ECU19が、電流値設定手段としても機能する。また、ステップS63が、電流値設定ステップに相当する。
なお、本実施形態では、各弁22〜29は、ECU19によってそれぞれPWM(Pulse Width Modulation)制御されている。そのため、ECU19は、弁22〜29の状態(即ち、開状態又は閉状態)を変更するためには電磁コイル38に供給する電気信号のDuty比を変更する。そのため、ステップS63では、前輪FR,FL用の増圧弁22,23の電磁コイル38に向けて出力する電気信号のDuty比が設定されるということもできる。
そして、ECU19は、ステップS63で設定された電流値Anoを前輪FR,FL用の各増圧弁22,23の電磁コイル38にそれぞれ供給し、各増圧弁22,23の作動を制御する(ステップS64)。すなわち、ECU19は、各増圧弁22,23の弁体部44を着座位置と離間位置との間の中途位置(図2(c)参照)にそれぞれ配置させることにより、ホイールシリンダ20a,20bに接続される経路16a,17aのブレーキ液に対する流路抵抗を各弁体部44が離間位置に配置される場合に比して大きくする。したがって、本実施形態では、増圧弁22,23が、抵抗変更手段としても機能すると共に、該増圧弁22,23を制御するECU19が、抵抗変更制御手段としても機能する。また、ステップS64が、抵抗変更ステップに相当する。その後、ECU19は、WC圧増圧速度調整処理ルーチンを終了する。
ここで、図8のタイミングチャートに示すように、WC圧増圧速度調整処理が開始されると、各増圧弁22,23の電磁コイル38には、ステップS63で設定された電流値Anoがそれぞれ供給される(第3タイミングt3)。つまり、周知のDuty制御、即ち増圧弁22,23への通電のON・OFFを与えるパルス幅の比率を調整することにより、その制御期間中の増圧弁22,23に対する供給電流エネルギーを変更する制御がなされる。すると、各増圧弁22,23において弁体部44は上記中途位置にそれぞれ配置され(図2(c)参照)、前輪FR,FL用の各ホイールシリンダ20a,20bのWC圧Pwcの増圧速度は、それぞれ遅くなる。この場合、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcは変動していないため、WC圧増圧速度調整処理の実行中は、時間が経過するに連れてMC圧PmcとWC圧Pwcとの差圧Psubが徐々に減少する。その結果、各増圧弁22,23の電磁コイル38に供給される電流値Anoは、徐々に小さくなる。
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)運転手によるブレーキ操作によって前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflが大きくなり、該スリップ量SLPfr,SLPflが抵抗変更開始閾値KSLPを超えた場合、ホイールシリンダ20a,20bに接続される経路16a,17aの流路抵抗が大きくなる。そのため、ホイールシリンダ20a,20bにおける単位時間あたりのWC圧Pwcの増加量は、WC圧増圧速度調整処理が開始される前に比して少なくなる。このとき、WC圧Pwcは、保圧されることなく、少しずつ増圧される。その結果、前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflがABS開始閾値Kabsを超えるタイミングが遅くなり、ABS制御が早期に開始されることを抑制できる。したがって、アンチロックブレーキ制御の開始タイミングを適切に設定できる。
(1)運転手によるブレーキ操作によって前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflが大きくなり、該スリップ量SLPfr,SLPflが抵抗変更開始閾値KSLPを超えた場合、ホイールシリンダ20a,20bに接続される経路16a,17aの流路抵抗が大きくなる。そのため、ホイールシリンダ20a,20bにおける単位時間あたりのWC圧Pwcの増加量は、WC圧増圧速度調整処理が開始される前に比して少なくなる。このとき、WC圧Pwcは、保圧されることなく、少しずつ増圧される。その結果、前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflがABS開始閾値Kabsを超えるタイミングが遅くなり、ABS制御が早期に開始されることを抑制できる。したがって、アンチロックブレーキ制御の開始タイミングを適切に設定できる。
(2)その一方で、前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflが抵抗変更開始閾値KSLP以下である場合には、経路16a,17aの流路抵抗が大きい状態となる。そのため、ABS制御の開始タイミングを遅らせるべく経路16a,17aの流路抵抗を大きめにした場合に比して、ABS制御が実行されない車両制動時における制動距離の短距離化に貢献できる。
(3)従来の制動制御方法では、急制動が車両に加わることに基づく車両重心の前側へのシフトの途中でABS制御が開始されるおそれがある。この場合、前輪FR,FLに対して十分に荷重がかからない状態で該前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcが減圧されるため、所望する車両の車体減速度DVSを得ることができないおそれがある。この点、本実施形態の制動制御方法では、急制動が車両に加わることに基づく車両重心の前側へのシフトが完了した状態でABS制御が開始される。すなわち、荷重が十分に加わった前輪FR,FLに対して、大きな制動力を付与することができる。そのため、ABS制御が実行された場合であっても、従来の制動制御方法の場合に比して、車両の制動距離の短縮化に貢献できる。
(4)従来の制動制御方法では、ABS制御を適切なタイミングで実行させるために、増圧弁22,23の弁孔42の口径を小さく設計する必要がある。しかし、弁孔42の口径を小さくし過ぎると、ABS制御が実行されない通常制動時における制動距離が長くなるおそれがある。この点、本実施形態では、弁孔42の口径を比較的大きめに設計できる。そのため、車両の通常制動時には、ホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcを、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcの増圧に対して速やかに対応させることができる。すなわち、前輪FR,FLに対して、運転手によるブレーキペダル21の操作量に応じた制動力を速やかに付与することができる。
(5)前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20bに接続される経路16a,17aの流動抵抗は、各増圧弁22,23の弁体部44の弁座41に対する位置を調整することにより、適宜変更される。そのため、ブレーキアクチュエータ18の搭載される車種毎に、弁孔42の流路面積を変更しなくてもよい。
(6)前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20bに接続される経路16a,17aの流動抵抗を変更させる手段として、一般的なブレーキアクチュエータ18に設けられる増圧弁22,23が用いられる。そのため、ブレーキアクチュエータ18に、経路16a,17aの流路抵抗を変更するための機構を、増圧弁22,23とは別に設ける場合に比して、装置全体の部品点数の増加やコストの増大を抑制できる。
(7)近年では、前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20bに接続される経路16a,17aに設けられる増圧弁として、比例制御弁(「比例電磁弁」ともいう。)が用いられることがある。この場合、弁体の位置を適切に調整することができるものの、増圧弁として本実施形態のように二位置型の電磁弁を用いる場合に比してコストが高くなる。この点、本実施形態では、増圧弁22,23として二位置型の電磁弁が用いられる。したがって、ブレーキアクチュエータ18の増圧弁として比例制御弁を設ける場合に比して、コスト増大を抑制できる。
(8)また、WC圧増圧速度調整処理時において増圧弁22,23に供給する電流値Anoの大きさは、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcと前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcとの差圧Psubに基づき設定される。そのため、差圧Psubの大きさに関係なく、WC圧増圧速度調整処理時に増圧弁22,23を作動させることにより、ホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcの単位時間あたりの増加量を少なくすることができる。
(9)一般に、ABS制御は、運転手によるブレーキ操作によって急制動が車両に加わった際に実行され得る制御である。そのため、WC圧増圧速度調整処理は、急制動が車両に加わった場合にのみ実行され得る制御処理である。そこで、本発明では、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcの大きさ及びMC圧変化量ΔPmcの大きさから、車両に急制動が加わったか否かが判定される。したがって、車両に急制動が加わっていない場合に、WC圧増圧速度調整処理が不必要に実行されることを抑制できる。
(10)WC圧増圧速度調整処理が開始されてからの第2経過時間T2が第2経過時間閾値KT2を経過してもABS制御が開始されない場合には、WC圧増圧速度調整処理が停止される。これは、WC圧増圧速度調整処理中に、運転手によるブレーキペダル21の操作量が少なくなったり、車両が停止したりすると、ABS制御が実行されない可能性が高いためである。ABS制御が実行されないのであればWC圧増圧速度調整処理を実行する必要がない。したがって、WC圧増圧速度調整処理が不必要に継続されることに起因したECU19の制御負荷の増大を抑制できる。
なお、実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、前輪FR,FL用の経路16a,17aに設けられる増圧弁22,23は、供給される電流値に応じて弁体の位置を制御可能な比例電磁弁であってもよい。こうした増圧弁22,23では、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcとホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcとの差圧Psubに応じて電流値を決定することにより弁体の位置を設定することができる。
・実施形態において、前輪FR,FL用の経路16a,17aに設けられる増圧弁22,23は、供給される電流値に応じて弁体の位置を制御可能な比例電磁弁であってもよい。こうした増圧弁22,23では、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcとホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcとの差圧Psubに応じて電流値を決定することにより弁体の位置を設定することができる。
また、増圧弁22,23として比例電磁弁を用いる場合には、マスタシリンダ12内のMC圧Pmcとホイールシリンダ20a,20b内のWC圧Pwcとの差圧Psubが大きいほど、経路16a,17aのブレーキ液に対する流路抵抗を大きくするように増圧弁22,23を制御してもよい。この場合、差圧Psubが大きい場合には、差圧Psubが小さい場合に比して弁体を弁座に接近させることになる。このように構成すると、運転手によるブレーキペダル21の操作量が非常に多い場合であっても、該操作量に応じてホイールシリンダ20a,20b内に流入するブレーキ液の供給量が少しだけ調整される。したがって、運転手によるブレーキ操作に関係なく、ABS制御の早期開始を好適に抑制できる。
・実施形態において、抵抗変更手段は、前輪FR,FL用の増圧弁22,23とは別体であってもよい。例えば、前輪FR,FL用の経路16a,17aの少なくとも一部が可撓性を有する配管内に形成される場合には、該可撓性を有する配管内の流路面積を変更させることが可能な押圧部材を抵抗変更手段として設けてもよい。
また、抵抗変更手段は、ブレーキ液の流動の妨げとなるような障害物と、前輪FR,FL用の経路16a,17a内の所定位置と経路16a,17a外の退避位置との二位置間で当該障害物を進退移動させ、ブレーキ液の流動の妨げとなる程度を調整する駆動部とを備えた構成であってもよい。
また、抵抗変更手段は、前輪FR,FL用の経路16a,17aに設けられた圧力調整弁であってもよい。
また、前輪FR,FL用の経路(以下、便宜的に「第1経路」という。)16a,17aと並列な第2経路をさらに設け、該第2経路にも増圧弁(以下、「他の増圧弁」という。)を配設してもよい。また、マスタシリンダ12からのブレーキ液を第1経路(16a,17a)又は第2経路に切り替えるための切替装置を設けてもよい。この場合、他の増圧弁を、その弁孔の大きさが増圧弁22,23の弁孔42よりも小径となるように形成することが望ましい。そして、WC圧増圧速度調整処理の実行時には、切替装置の作動によって、マスタシリンダ12からのブレーキ液を第1経路ではなく第2経路を介してホイールシリンダ20a,20b内に供給するようにしてもよい。この場合、第2経路、他の増圧弁及び切替装置によって、抵抗変更手段が構成される。このように構成しても、上記実施形態の効果(1)と同等の効果を得ることができる。
また、前輪FR,FL用の経路(以下、便宜的に「第1経路」という。)16a,17aと並列な第2経路をさらに設け、該第2経路にも増圧弁(以下、「他の増圧弁」という。)を配設してもよい。また、マスタシリンダ12からのブレーキ液を第1経路(16a,17a)又は第2経路に切り替えるための切替装置を設けてもよい。この場合、他の増圧弁を、その弁孔の大きさが増圧弁22,23の弁孔42よりも小径となるように形成することが望ましい。そして、WC圧増圧速度調整処理の実行時には、切替装置の作動によって、マスタシリンダ12からのブレーキ液を第1経路ではなく第2経路を介してホイールシリンダ20a,20b内に供給するようにしてもよい。この場合、第2経路、他の増圧弁及び切替装置によって、抵抗変更手段が構成される。このように構成しても、上記実施形態の効果(1)と同等の効果を得ることができる。
・実施形態において、ステップS37,S38を、各前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflが共に抵抗変更開始閾値KSLPを超えた場合に、急制動判定フラグFLG2を「ON」にセットするようにしてもよい。
・実施形態において、スリップ量が抵抗変更開始閾値KSLPを超えた前輪に対してのみ、WC圧増圧速度調整処理を行なうようにしてもよい。
・実施形態において、マスタ圧センサSE5を省略してもよい。この場合、ブレーキスイッチSW1が「ON」になってからのブレーキ経過時間Tbが第1経過時間閾値未満である間に、前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflのうち少なくとも一方が抵抗変更開始閾値KSLPを超えた場合に、WC圧増圧速度調整制御を行なってもよい。
・実施形態において、マスタ圧センサSE5を省略してもよい。この場合、ブレーキスイッチSW1が「ON」になってからのブレーキ経過時間Tbが第1経過時間閾値未満である間に、前輪FR,FLのスリップ量SLPfr,SLPflのうち少なくとも一方が抵抗変更開始閾値KSLPを超えた場合に、WC圧増圧速度調整制御を行なってもよい。
・実施形態において、各ホイールシリンダ20a〜20d内のWC圧Pwcを検出するためのホイール圧センサが車両に搭載される場合には、該ホイール圧センサからの検出信号に基づき前輪FR,FL用のホイールシリンダ20a,20bのWC圧Pwcを演算してもよい。
・実施形態において、要求増圧勾配Pupを、車両の走行状態に応じて変更してもよい。例えば、要求増圧勾配Pupを、車両の走行する路面の悪路指数(即ち、路面の凹凸度合い)に応じて変更してもよい。また、要求増圧勾配Pupを、車両の走行する路面のμ値によって変更してもよい。
また、車両が旋回中である場合には、内輪に対する要求増圧勾配Pupと、外輪に対する要求増圧勾配Pupとを個別に設定してもよい。
さらに、スプリットμ路面を走行中である場合には、右前輪FRに対する要求増圧勾配Pupと、左前輪FLに対する要求増圧勾配Pupとを個別に設定してもよい。スプリットμ路面を走行中であるか否かを判断するために、路面状況をモニタ可能な撮像装置を車両の前側に設けてもよい。この場合、撮像装置による撮像結果からスプリットμ路面であるか否かが判定される。なお、「スプリットμ路面」とは、左前輪FLの走行する路面のμ値と右前輪FRの走行する路面のμ値とが互いに異なる路面のことである。
さらに、スプリットμ路面を走行中である場合には、右前輪FRに対する要求増圧勾配Pupと、左前輪FLに対する要求増圧勾配Pupとを個別に設定してもよい。スプリットμ路面を走行中であるか否かを判断するために、路面状況をモニタ可能な撮像装置を車両の前側に設けてもよい。この場合、撮像装置による撮像結果からスプリットμ路面であるか否かが判定される。なお、「スプリットμ路面」とは、左前輪FLの走行する路面のμ値と右前輪FRの走行する路面のμ値とが互いに異なる路面のことである。
また、グローバル・ポジショニング・システム(以下、「GPS」という。)などのように外部から各種情報を取得可能な車両の場合には、外部からの情報に基づきスプリットμ路面を走行中であるか否かを判定してもよい。
・実施形態において、スリップ量を車両の推定車体速度VSで除算したスリップ率を用いて、上記制御処理を行なってもよい。
・実施形態において、マスタシリンダ12から経路16a,16b,17a,17bを介してホイールシリンダ20a〜20d内に供給される流体は、液体に限らず、窒素などの気体であってもよい。
・実施形態において、マスタシリンダ12から経路16a,16b,17a,17bを介してホイールシリンダ20a〜20d内に供給される流体は、液体に限らず、窒素などの気体であってもよい。
12…マスタシリンダ、16a,16b,17a,17b…経路、18…ブレーキアクチュエータ、19…制動制御装置、ABS制御手段、抵抗変更制御手段、マスタ圧演算手段、ホイール圧演算手段、電流値設定手段としてのECU、20a〜20d…ホイールシリンダ、22,23…抵抗変更手段、開閉弁としての増圧弁、38…電磁コイル、39A…空間、41…弁座、42…弁孔、44…弁体としての弁体部、45…付勢手段としてのスプリング、Ano…電流値、FR,FL…前輪、Kabs…ABS開始閾値、KSLP…抵抗変更開始閾値、Pmc…MC圧、Psub…差圧、Pwc…WC圧、RR,RL…後輪、SLPfr,SLPfl,SLPrr,SLPrl…スリップ量、VS…推定車体速度。
Claims (6)
- 車輪(FR,FL,RR,RL)毎に個別対応するホイールシリンダ(20a〜20d)内のホイールシリンダ圧(Pwc)に応じた制動力を前記車輪(FR,FL,RR,RL)に付与可能なブレーキアクチュエータ(18)を制御する車両の制動制御装置であって、
運転手によるブレーキ操作に伴う車両制動時において、車両の車体速度(VS)に対する車輪(FR,FL,RR,RL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl,SLPrr,SLPrl)が予め設定されたABS開始閾値(Kabs)を超えた場合に、前記ブレーキアクチュエータ(18)を制御することにより前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を調整し、前記車輪(FR,FL,RR,RL)のロックを抑制させるアンチロックブレーキ制御を行なうABS制御手段(19、S22)を備えた車両の制動制御装置において、
前記ブレーキアクチュエータ(18)は、前記ホイールシリンダ(20a,20b)内に流体を供給するための経路(16a,17a)と、該経路(16a,17a)内を流動する流体に対する流動抵抗を変更すべく作動する抵抗変更手段(22,23)とを有しており、
前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記ABS開始閾値(Kabs)よりも小さい値に予め設定された抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記経路(16a,17a)の流動抵抗が大きくなるように前記抵抗変更手段(22,23)を制御する抵抗変更制御手段(19、S64)をさらに備えることを特徴とする車両の制動制御装置。 - 前記抵抗変更手段は、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を増圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を許容する開状態となる一方、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を保圧又は減圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を規制する閉状態となる開閉弁(22,23)であり、
前記開閉弁(22,23)は、弁孔(42)が形成される弁座(41)と該弁座(41)に着座可能な弁体(44)とを有し、該弁体(44)が前記弁座(41)に着座する着座位置に位置する場合には閉状態となる一方、前記弁体(44)が前記弁座(41)から離間する離間位置に位置する場合には開状態となるように構成されており、
前記抵抗変更制御手段(19、S64)は、前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記弁体(44)を前記着座位置と前記離間位置との間の位置であって且つ前記弁体(44)と前記弁座(41)との間に形成される空間(39A)の流路面積が前記弁孔(42)の流路面積よりも小さくなる弁体位置に配置させるべく前記開閉弁(22,23)を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両の制動制御装置。 - 前記経路(16a,17a)において前記抵抗変更手段(22,23)を挟んだ前記ホイールシリンダ(20a,20b)の反対側には、運転手によるブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧(Pmc)を発生するマスタシリンダ(12)が接続され、
前記開閉弁(22,23)は、前記弁体(44)に対して前記着座位置から前記離間位置側への付勢力を付与する付勢手段(45)と、電流が供給された場合に前記弁体(44)を前記離間位置側から前記着座位置側に接近させるような電磁力を発生する電磁コイル(38)とをさらに有しており、
前記マスタシリンダ圧(Pmc)を演算するマスタ圧演算手段(19、S13)と、
前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を演算するホイール圧演算手段(19、S18)と、
前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記電磁コイル(38)に供給する電流値(Ano)を、前記弁体(44)が前記着座位置と前記離間位置との間の前記弁体位置に位置するような電流値であって、且つ前記各圧演算手段(19、S13,S18)によって演算された各シリンダ圧(Pmc,Pwc)の差圧(Psub)が大きいほど大きな電流値に設定する電流値設定手段(19、S63)と、をさらに備え、
前記抵抗変更制御手段(19、S64)は、前記電流値設定手段(19、S63)によって設定された電流値(Ano)を前記電磁コイル(38)に供給し、前記開閉弁(22,23)を制御することを特徴とする請求項2に記載の車両の制動制御装置。 - 前記経路(16a,17a)において前記抵抗変更手段(22,23)を挟んだ前記ホイールシリンダ(20a,20b)の反対側には、運転手によるブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧(Pmc)を発生するマスタシリンダ(12)が接続されており、
前記マスタシリンダ圧(Pmc)を演算するマスタ圧演算手段(19、S13)と、
前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を演算するホイール圧演算手段(19、S18)と、をさらに備え、
前記抵抗変更制御手段(19、S64)は、前記各圧演算手段(19、S13,S18)によって演算された各シリンダ圧(Pmc,Pwc)の差圧(Psub)が大きいほど、前記経路(16a,17a)の流動抵抗が大きくなるように前記抵抗変更手段(22,23)を制御することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の車両の制動制御装置。 - 運転手によるブレーキ操作に基づく車両制動時において、車両の車体速度(VS)に対する車輪(FR,FL,RR,RL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl,SLPrr,SLPrl)が予め設定されたABS開始閾値(Kabs)を超えた場合に、車輪(FR,FL,RR,RL)毎に設けられたホイールシリンダ(20a〜20d)のホイールシリンダ圧(Pwc)を調整し、前記車輪(FR,FL,RR,RL)のロックを抑制させるアンチロックブレーキ制御ステップ(S22)を有する車両の制動制御方法において、
前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記ABS開始閾値(Kabs)よりも小さい値に予め設定された抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記ホイールシリンダ(20a,20b)内に流体を供給するための経路(16a,17a)の流動抵抗を大きくさせる抵抗変更ステップ(S64)をさらに有することを特徴とする車両の制動制御方法。 - 前記経路(16a,17a)は、前記ホイールシリンダ(20a,20b)と、運転手によるブレーキ操作に応じたマスタシリンダ圧(Pmc)を発生するマスタシリンダ(12)とを連通させる経路であり、
前記経路(16a,17a)には、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を増圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を許容する開状態となる一方、前記ホイールシリンダ圧(Pwc)を保圧又は減圧させる際には前記経路(16a,17a)内における流体の流動を規制する閉状態となる電磁弁(22,23)が設けられ、該電磁弁(22,23)は、弁体(44)が、弁孔(42)が形成される弁座(41)に着座する着座位置に位置する場合には閉状態となる一方、前記弁体(44)が前記弁座(41)から離間する離間位置に位置する場合には開状態となるように構成されており、
前記車両制動時において前記車輪(FR,FL)のスリップ量(SLPfr,SLPfl)が前記抵抗変更開始閾値(KSLP)を超える場合に、前記電磁弁(22,23)の電磁コイル(38)に供給する電流値(Ano)を、前記弁体(44)が前記着座位置と前記離間位置との間の位置であって且つ前記弁体(44)と前記弁座(41)との間に形成される空間(39A)の流路面積が前記弁孔(42)の流路面積よりも小さくなる弁体位置に位置するような電流値であると共に、前記マスタシリンダ圧(Pmc)と前記ホイールシリンダ圧(Pwc)との差圧が大きいほど大きな電流値に設定させる電流値設定ステップ(S63)をさらに有し、
前記抵抗変更ステップ(S64)では、前記電流値設定ステップ(S63)で設定した電流値(Ano)に基づき前記電磁弁(22,23)を作動させることを特徴とする請求項5に記載の車両の制動制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009200833A JP2011051433A (ja) | 2009-08-31 | 2009-08-31 | 車両の制動制御装置、及び車両の制動制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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