JP2006205802A - 自動二輪車のブレーキ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 前輪側のブレーキ操作により発生した前輪側の液圧に応じて、後輪側のブレーキキャリパ4に供給する液圧を調整する自動二輪車のブレーキ装置において、後輪側のブレーキキャリパ圧の調整パターンを、前輪側のマスターシリンダ圧の時間的な増加率が所定値以上の場合と所定値未満の場合とで異にする。
【選択図】 図1
Description
以下、前後輪の一方側をブレーキ操作することにより前後の車輪制動手段が連動して制動動作するブレーキシステムをCBS(COMBINED BRAKE SYSTEM)と称す。
そこで、この発明は、前後連動ブレーキシステムを採用した自動二輪車の制動フィーリングをより良いものにすることができる自動二輪車のブレーキ装置を提供することを目的とする。
このように構成することにより、前輪側の液圧の時間的な増加率に応じて後輪側の液圧を制御するので、後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少を抑制することが可能になる。
このように構成することにより、前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値未満では後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少が発生する程度が低く、前記所定値以上では後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少が発生する程度が大きいことが予測されるので、前記所定値を境にして後輪側の液圧の調整パターンを変えることで、後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少を抑制することが可能になる。
このように構成することにより、前輪側の液圧の急増に遅れずに、後輪側の車輪制動手段に供給される液圧を急増させることができ、その結果、前輪側の制動力の増大に遅れずに後輪側に大きな制動力を発生させることができる。この後輪側の制動により後輪側のサスペンションを沈み込ませることができるので、前輪側の制動による後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少を抑制することができる。
このように構成することにより、各圧力検出手段の検出値に基づいて、前輪側の車輪制動手段に供給される液圧と後輪側の車輪制動手段に供給される液圧の配分を適切に制御することが可能になる。これは特に、前後輪が独立してバイワイヤ式の場合に有効である。
このように構成することにより、前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値以上の場合に、前記所定値未満の場合よりも後輪側の液圧を大きくすることができる。
このように構成することにより、前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値未満のときには、前輪側の液圧の増加に応じて後輪側の制動力を大きくすることができ、且つ、前輪側の液圧が大きい領域では後輪側をスリップしにくくすることができる。
このように構成することにより、前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値以上の場合に、前記所定値未満の場合よりも後輪側の液圧を大きくすることができる。
このように構成することにより、前輪側の制動による後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少が抑制された後に、後輪側の液圧を低下させることができる。
このように構成することにより、前輪側の制動による後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少が抑制された後に、前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値未満の場合の液圧の調整パターンに戻すことができる。
請求項2に係る発明によれば、前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値未満では後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少が発生する程度が低く、前記所定値以上では後輪側の路面への接地荷重の比較的大きな減少が発生する程度が大きいことが予測されるので、前記所定値を境にして後輪側の液圧の調整パターンを変えることで、後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少を抑制することが可能になり、制動フィーリングが向上する。
請求項3に係る発明によれば、前輪側の制動による後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少を抑制することができ、制動フィーリングが向上する。
請求項4に係る発明によれば、各圧力検出手段の検出値に基づいて、前輪側の車輪制動手段に供給される液圧と後輪側の車輪制動手段に供給される液圧の配分を適切に制御することが可能になる。これは特に、前後輪が独立してバイワイヤ式の場合に有効である。
請求項6に係る発明によれば、前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値未満のときには、前輪側の液圧の増加に応じて後輪側の制動力を大きくすることができ、且つ、前輪側の液圧が大きい領域では後輪側をスリップしにくくすることができる。
請求項7に係る発明によれば、前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値以上の場合に、前記所定値未満の場合よりも後輪側の液圧を大きくすることができるので、後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少を確実に抑制することが可能になる。
請求項8に係る発明によれば、前輪側の制動による後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少が抑制された後に、後輪側の液圧を低下させることができる。
請求項9に係る発明によれば、前輪側の制動による後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少が抑制された後に、前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値未満の場合の液圧の調整パターンに戻すことができる。
図1はこの発明の1実施形態の自動二輪車のブレーキ装置の液圧回路図を示している。
同図に示すようにこの実施形態のブレーキ装置は、相互に独立した前輪側のブレーキ回路1aと後輪側のブレーキ回路1bとがコントローラ(ECU)20により連係されたものである。
また、このブレーキ装置では前後輪の一方側をブレーキ操作することにより前後の車輪制動手段が連動して制動動作するブレーキシステム(CBS;COMBINED BRAKE SYSTEM,以下、「CBS」という。)を採用している。
更に、このブレーキ装置では制動時のブレーキ操作によるホイールのスリップ率を制御するブレーキシステム(ABS:ANTI LOCK BRAKE SYSTEM,以下、「ABS」という。)を採用している。
そして、前記分岐通路8には第2の電磁開閉弁V2を迂回してバイパス通路15が設けられ、このバイパス通路15には液損シュミレータ9側からマスターシリンダ3方向への作動液の流れを許容する逆止弁16が設けられている。
ここで、前記電動モータ23は、PWM制御により入力デューティ比(ON時間/ON時間+OFF時間)で決定される電流値を調整することで、前述したカム機構21の回動位置で決定されるピストン18の位置を電気的に正確且つ簡単に調整し、前記液圧室19の圧力を調整するようになっている。
このとき第1の電磁開閉弁V1は閉じられており、マスターシリンダ3と液圧モジュレータ6の連通は遮断され、ライダーのブレーキ操作部2にABS制御の圧力変化が伝達されることはない。
そこで、この実施形態のブレーキ装置では、前輪側のマスターシリンダ圧の増加率が所定値未満の場合には、前輪側のマスターシリンダ圧に基づいて後輪側のブレーキキャリパ4の目標圧を設定する第1の液圧調整パターンとし、前輪側のマスターシリンダ圧の増加率が所定値以上の場合には、増加率が前記所定値に達してからの経過時間に応じて後輪側のブレーキキャリパ4の目標圧を設定する第2の液圧調整パターンとした。
図5のフローチャートに示す後輪側ブレーキキャリパ目標圧設定処理ルーチンは、コントローラ20によってによって繰り返し実行される。
まず、ステップS101において前輪側のブレーキ回路1aにおける入力側の圧力センサ28の検出値(すなわち、前輪側のマスターシリンダ圧)Pfmを読み込む。
次に、ステップS102に進み、図3(a)に示す通常制動時液圧調整マップに基づいて前輪側のマスターシリンダ圧に応じた後輪側のブレーキキャリパ圧を算出し、さらにステップS103に進んで、ステップS102で算出した後輪側のブレーキキャリパ圧を通常制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr1とする。
ステップS105における判定結果が「NO」(ΔPfm<S)である場合は、前輪側のマスターシリンダ圧の増加率が所定値よりも小さいことになるので、ステップS106に進んで後述する急制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr2をリセットして「0」に設定した後、ステップS116に進む。
さらに、ステップS108に進んでタイマー値Tmが「0」か否かを判定し、その判定結果が「YES」(Tm=0)である場合はステップS109に進んでタイマーをスタートしてからステップS110に進み、判定結果が「NO」(Tm≠0)である場合は直接ステップS110に進んで、タイマー値Tmが予め設定した所定時間t1(例えば、0.5秒)よりも大きいか否かを判定する。
一方、ステップS110における判定結果が「YES」(Tm≧t1)である場合は、ステップS112に進み、急制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr2の前回値から、予め設定された一定値Δrcs2を減算して得た差を、急制動時後輪側ブレーキキャリパ圧の今回値Pr2とする(Pr2=Pr2の前回値−Δrcs2)。
次に、ステップS113に進み、急制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr2が0以下か否かを判定し、その判定結果が「NO」(Pr2>0)である場合はステップS116に進み、判定結果が「YES」(Pr2≦0)である場合はステップS114に進んで、急制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr2を「0」に設定し、さらにステップS115に進み、タイマーをリセットしてステップS116に進む。
ステップS116における判定結果が「YES」(Pr1≧Pr2)である場合はステップS117に進み、通常制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr1を後輪側ブレーキキャリパ目標圧Prtに設定して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS116における判定結果が「NO」(Pr1<Pr2)である場合はステップS118に進み、急制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr2を後輪側ブレーキキャリパ目標圧Prtに設定して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
また、ステップS105で肯定判定される急制動時においては、ステップS107〜118の処理を実行することにより、急制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr2が通常制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr1よりも大きい間は急制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr2を後輪側ブレーキキャリパ目標圧Prtに設定することになるが、急制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr2が通常制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr1以下になると、通常制動時後輪側ブレーキキャリパ圧Pr1を後輪側ブレーキキャリパ目標圧Prtに設定することになる。
この例では、前輪の制動操作開始から制動初期の段階において前輪側のマスターシリンダ圧の増加率が小さいので、通常制動時液圧調整マップにしたがって後輪のブレーキキャリパ目標圧が設定され、これに一致するように後輪のブレーキキャリパ圧(図6において太い実線)が緩やかに上昇していく。
そして、時間T1においてライダーによりブレーキレバー2が急制動操作されると前輪側のマスターシリンダ圧が急増し、その液圧の増加率が所定値以上(マスターシリンダ圧増加量ΔPfmが所定値S以上)の場合には、後輪の液圧調整マップが通常制動時液圧調整マップから急制動時液圧調整マップに持ち替えられて後輪のブレーキキャリパ目標圧Prtが設定され、図4に示される第2の液圧調整パターンに一致するように後輪のブレーキキャリパ圧が制御される。その結果、後輪のブレーキキャリパ圧は時間T1の直後に上限値rcs2まで一気に増圧され、t1時間が経過するまで後輪のブレーキキャリパ圧が上限値rcs2に保持される。
そして、急制動開始から時間t1が経過した後は、後輪側のブレーキキャリパ圧は徐々に低下していく。そして、後輪側のブレーキキャリパ圧が、通常制動時液圧調整マップに基づいて設定したときの後輪側のブレーキキャリパ圧まで低下すると(T2)、その後は通常制動時液圧調整マップにしたがって後輪側のブレーキキャリパ圧の制御が行われる。
そして、この後輪側の制動により後輪側のサスペンションを沈み込ませることができるので、後輪の路面への接地荷重の比較的大きな減少を抑制することができる。したがって、制動フィーリングが向上する。
尚、この発明は前述した実施形態に限られるものではない。
例えば、前述した実施形態では、ABSとCBSを備えたバイワイヤ式のブレーキ装置を例示したが、ABSを備えなくてもよい。
また、前述した実施形態では前後輪が独立してバイワイヤ式のブレーキ装置に本発明を適用した例で説明したが、CBS制御を実行しないときは前後輪のそれぞれの回路において入力側と出力側を連通させて入力側で発生させた液圧を出力側のブレーキキャリパ(車輪制動手段)に供給して制動力を発生させる非バイワイヤ式にし、CBS制御を実行するときに入力側と出力側を遮断してバイワイヤ式にするタイプのブレーキ装置にも、本発明を実施することが可能である。
4 ブレーキキャリパ(車輪制動手段)
28 圧力センサ(圧力検出手段)
29 圧力センサ(圧力検出手段)
Claims (9)
- 前輪側のブレーキ操作により発生した前輪側の液圧に応じて、後輪側の車輪制動手段に供給する後輪側の液圧を調整する自動二輪車のブレーキ装置において、
前記前輪側の液圧の時間的な増加率に応じて前記後輪側の液圧を制御するようにしたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ装置。 - 前記後輪側の液圧の調整パターンが、前記前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値以上の場合と前記所定値未満の場合とで異なることを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
- 前記増加率が前記所定値以上の場合の前記後輪側の液圧の調整パターンは、前記増加率が前記所定値に達してからの経過時間に応じて設定され、初めは前記後輪側の液圧が急増し、その後ほぼ一定になり、漸次減少することを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
- 前輪側のブレーキ操作により発生した前輪側の液圧を検出する圧力検出手段と、前輪側の車輪制動手段に供給される液圧を検出する圧力検出手段と、後輪側の車輪制動手段に供給される液圧を検出する圧力検出手段と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
- 前記液圧の調整パターンは、前記前輪側の液圧の時間的な増加率が所定値以上の場合は、前記所定値未満の場合に設定される後輪側の液圧よりも大きな液圧が設定されることを特徴とする請求項2に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
- 前記液圧の調整パターンは、前記前輪側の液圧に対する液圧マップにて設定され、前記前輪側の液圧の時間的な増加率が前記所定値未満の場合の液圧マップは、前記前輪側の液圧が小さい領域では増加し、中間の領域では一定値となり、大きい領域では漸減する如く設定されることを特徴とする請求項5に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
- 前記前輪側の液圧の時間的な増加率が前記所定値以上の場合の液圧マップは、前記一定値よりも大なる一定値が設定されることを特徴とする請求項6に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
- 前記液圧マップにより検索された液圧値は、所定時間経過後、漸減されることを特徴とする請求項7に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
- 前記前輪側の液圧の時間的な増加率が前記所定値以上の場合のマップ値と前記所定値未満の場合のマップ値は比較され、どちらか大きい方のマップ値を後輪側の液圧値として設定されることを特徴とする請求項8に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
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