JP2011048180A - 反射型空間光変調器 - Google Patents

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Abstract

【課題】表示装置等を小型化できる、反射型の磁気光学式空間光変調器を提供する。
【解決手段】光の入出射側に偏光フィルタ91を配置して、偏光フィルタ91を透過した入射偏光Linを入射されて、反射した光を偏光フィルタ91に再び透過させて取り出す空間光変調器であって、入射した光の偏光方向を異なる2値の角度θP,θAPで回転させて出射する光変調素子1を備えた画素4上にファラデー回転子5を備える。入射偏光Linおよび画素4からの反射光が透過するファラデー回転子5のファラデー回転角θFを(±45°−θP/2)とすることにより、画素4でθP旋光して反射した光が入射偏光Linに対して90°旋光した出射偏光Lout0となって偏光フィルタ91で遮光される。
【選択図】図3

Description

本発明は、入射した光を磁気光学効果により光の位相や振幅等を空間的に変調して出射する空間光変調器に関する。
空間光変調器は、画素として光学素子(光変調素子)を用い、これを2次元アレイ状に配列して光の位相や振幅等を空間的に変調するものであって、ホログラフィー装置等の露光装置、ディスプレイ技術、記録技術等の分野で広く利用されている。また、2次元で並列に光情報を処理することができることから光情報処理技術への応用も研究されている。空間光変調器として、従来より液晶が用いられ、表示装置として広く利用されているが、ホログラフィーや光情報処理用としては、応答速度や画素の高精細性が不十分であるため、近年では、高速処理かつ画素の微細化の可能性が期待される磁気光学材料を用いた磁気光学式空間光変調器の開発が進められている。
磁気光学式空間光変調器においては、磁気光学材料すなわち磁性体に入射した光が透過または反射する際にその偏光の向きを当該磁性体の磁化方向に応じて変化(旋光)させて出射する、ファラデー効果(反射の場合はカー効果)を利用している。詳しくは、磁気光学材料を含んだ光変調素子(磁気光学素子)を画素に備えて、選択された画素(選択画素)における光変調素子とそれ以外の画素(非選択画素)における光変調素子とで磁化方向を異なるものとして、選択画素から出射した光と非選択画素から出射した光で、その偏光の回転角(旋光角)に差を生じさせる。したがって、磁気光学式空間光変調器は、同一の入射光に対して選択画素、非選択画素のそれぞれの出射光が、偏光の向きが異なる2値状態を示す、すなわち光の位相として偏光の向きを変化させるものである。このような光変調素子の磁化方向を変化させる方法として、光変調素子に磁界を印加する磁界印加方式の他に、近年では光変調素子に電流を供給することでスピンを注入するスピン注入方式(特許文献1)がある。
スピン注入方式の光変調素子は、具体的には、TMR(Tunnel MagnetoResistance:トンネル磁気抵抗効果)素子やCPP−GMR(Current Perpendicular to the Plane Giant MagnetoResistance:垂直通電型巨大磁気抵抗効果)素子等の、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)にも適用されるスピン注入磁化反転素子を適用することができ、その上下に一対の電極を接続して膜面に垂直に電流を供給することによりスピンが注入される。スピン注入磁化反転素子を光変調素子とする磁気光学式空間光変調器は、一例として、図1の平面図に示すように、光変調素子1の上側と下側にそれぞれ縦、横に帯状の電極2,3を格子状に配置することで、光変調素子1の膜面に垂直に電流を供給する。そして、光の入出射面である上側の電極2を光を透過する透明電極材料で構成し、下側の電極3を導電性の優れた金属電極材料で構成して、この電極3または光変調素子1で光を反射させて出射する反射型の空間光変調器となる。
また、これらのスピン注入磁化反転素子について、従来は膜面方向の磁化を示す磁性体材料について研究されていたが、最近では、MRAMの、よりいっそうの大容量化および省電力化のために、さらなる微細化が可能で、かつ磁化反転に要する電流を低減できる、膜面に垂直方向の磁化を示す(垂直磁気異方性を有する)磁性体材料が研究されている。光変調素子においても、垂直磁気異方性を有するスピン注入磁化反転素子は、画素の微細化、高速応答、および省電力化を可能とし、さらに膜面にほぼ垂直に光を入射することにより、極カー効果で光変調度を大きくすることができるのでより好ましい。
特開2008−83686号公報(請求項1、図1A)
スピン注入方式に限らず、偏光の向きを変化させる磁気光学式空間光変調器(以下、適宜空間光変調器)から、選択画素(または非選択画素)からの出射光のみを取り出してスクリーン等の検出器に投影する表示装置とするためには、空間光変調器の出射側に所定の偏光の向きの光を透過させる偏光フィルタを配置する。この偏光フィルタで選択的に取り出せるように、各画素からの出射光はそれぞれが1つの偏光成分の光(偏光)でなくてはならないので、光源から照射される光(入射光)も、空間光変調器に入射する前に別の偏光フィルタを透過させて偏光とする必要がある。具体的には、光変調素子1が入射した光を角度θP,θAPの2値で旋光させて反射するとして、入射光を偏光(入射偏光)とする偏光フィルタ191を透過した偏光の向きを0°とすると、出射光(出射偏光)を取り出す偏光フィルタ192を透過する偏光の向きはθP±90°(またはθAP±90°)とする。このようにすれば、入射偏光に対してθP(またはθAP)旋光した出射偏光が偏光フィルタ192で遮光されるため、θAP旋光した出射偏光のみを取り出すことができる。
ここで、ファラデー効果およびカー効果は、光の入射角が磁性体の磁化方向に平行に近いほど大きい、すなわち旋光角が大きくなる。したがって、垂直磁気異方性を有するスピン注入磁化反転素子を光変調素子とする空間光変調器においては、光を膜面に垂直に入射すること(入射角0°)が最も好ましい。しかしながら、このような入射角にすると出射光の光路が入射光の光路と一致し、透過させる偏光成分の異なる2つの偏光フィルタ191,192を配置することができなくなる。
そこで、図5の断面図に示すように、空間光変調器100の画素4の上にハーフミラー199を傾斜させて(図5では45°)配置し、入射光(入射偏光)は上方からハーフミラー199を透過させて垂直に画素4に入射させ、反射した光をハーフミラー199で側方へ反射させることで、入射光と出射光の光路を分岐させることができ、それぞれの偏光フィルタ191,192を透過させることができる。あるいは、図6の断面図に示すように、入射角を垂直方向に対して傾斜させることで、入射光と出射光の光路をずらして、それぞれの光路上に偏光フィルタ191,192を配置することができる。
しかしながら、いずれの場合も以下の点で改良の余地がある。すなわち、偏光フィルタ191,192や光源93等を、入射光と出射光の光路が重ならないような、空間光変調器100から画素4の配列平面に平行な方向およびその垂直方向の2方向に離れた位置に配置する必要がある。そのため、このような空間光変調器100を用いて表示装置等を構成すると、装置が大型化する、あるいは設置のために広い空間が必要となる。さらに、図5のハーフミラー199を用いた場合は、透過光および反射光の双方の光量を減衰させるため出射光の取り出し効率に劣る。一方、図6の入射角を傾斜させた場合は、入射角が光変調素子1の磁化方向に非平行となり、特に偏光フィルタ191,192等を空間光変調器100に近付けて配置しようとするほど、入射角が磁化方向から大きく傾斜するため、光変調度が低下する。
本発明は前記問題点に鑑み創案されたもので、高精細および高速応答の可能な磁気光学式の光変調素子を用いて、光変調度を低下させることなく、表示装置等を構成するに際して装置を小型化できる空間光変調器を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者らは、空間光変調器に入射する光を1つの偏光成分の光とする偏光フィルタと、所望の画素からの旋光した出射光のみを透過させる偏光フィルタとを共用できる構成を検討した。そして、光変調素子により旋光する2値の角度の一方を入射光に対して90°となるようにすることで、入射光を透過させた偏光フィルタで完全に遮光することに至った。
すなわち、本発明に係る反射型空間光変調器は、光の入出射側に偏光子を配して、この偏光子を透過した光を入射されて、反射した光を前記偏光子に再び透過させて取り出す構成とする。そのために、本発明に係る反射型空間光変調器は、2次元配列された複数の画素と、前記複数の画素から1つ以上の画素を選択する画素選択手段と、前記複数の画素に対して光の入出射側に配置されたファラデー回転子とを備えて、前記画素は、前記画素選択手段による当該画素の選択または非選択の状態に応じて入射した光の偏光方向を異なる2値の角度で回転させて出射する磁気光学素子を備え、前記ファラデー回転子は、前記2値の角度をα、α+2θk(|α|≦180°、0°<|θk|<90°)で表したとき、透過した光の偏光方向を(±45°−α/2)の角度で回転させる構造であることを特徴とする。あるいは、前記ファラデー回転子は、透過した光の偏光方向を(±45°−α/2−θk)の角度で回転させる構造でもよい。
かかる構成により、画素における磁気光学素子による2値の角度の一方で旋光した光が、ファラデー回転子による2回の旋光が加えられるため、入射光に対して90°の旋光となり、入射光を透過させた偏光子で完全に遮光されるので、入射光と出射光の光路が一致しても出射光の選択的な取り出しが可能となる。また、磁気光学素子の膜面に垂直に入射して極カー効果で光変調度を大きくすることができる。
さらに、本発明に係る反射型空間光変調器は、磁気光学素子がスピン注入磁化反転素子であり、画素選択手段が磁気光学素子に電流を供給する手段を備えることが好ましい。スピン注入磁化反転素子を磁気光学素子に用いることで、画素のいっそうの微細化や高速応答、省電力化が可能となる。
さらに、本発明に係る反射型空間光変調器は、ファラデー回転子の周囲に磁界印加手段をさらに備えることが好ましく、磁気光学素子がスピン注入磁化反転素子である場合は、当該スピン注入磁化反転素子の磁化固定層から漏れる磁界をキャンセルする方向の磁界をさらに印加することがより好ましい。
かかる構成により、ファラデー回転子として外部磁界の印加を要する材料を適用することができる。さらに、スピン注入磁化反転素子を磁気光学素子に用いる場合において、その磁化反転動作を安定したものとすることができる。
本発明に係る反射型空間光変調器によれば、高精細かつ高速応答で画素選択性に優れたものとすることができる。
本発明の一実施形態に係る空間光変調器の構成を模式的に示す平面図である。 本発明の第1実施形態に係る空間光変調器およびこれを用いた表示装置の構成を説明する模式図で、図1のA−A断面図に対応する図である。 本発明の第1実施形態に係る空間光変調器の画素選択の動作を説明する模式図であり、(a)、(b)は画素および画素上のファラデー回転子の斜視図である。 (a)、(b)は本発明の第2実施形態およびその変形例に係る空間光変調器の構成を示す模式図で、画素および画素上のファラデー回転子の斜視図である。 従来の空間光変調器を用いた表示装置の構成および画素選択の動作を説明する模式図で、図1のA−A断面図に対応する図である。 従来の空間光変調器を用いた表示装置の構成および画素選択の動作を説明する模式図で、図1のA−A断面図に対応する図である。
[第1実施形態]
以下、本発明に係る反射型空間光変調器(以下、空間光変調器)を実現するための形態について、図を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る空間光変調器10は、図1に示すように2次元アレイ状に配列された画素4からなる画素アレイ40と、画素アレイ40上に透明な絶縁部材(図示省略)を挟んで配置されたファラデー回転子5(図2参照)と、画素アレイ40から1つ以上の画素4を選択して駆動する電流制御部(画素選択手段)80を備える。なお、本明細書における平面(上面)は空間光変調器の光の入射/出射面であり、空間光変調器10は画素4(画素アレイ40)に上方から入射した光を反射してその光を変調して上方へ出射する反射型の空間光変調器である。また、平面視での縦、横は、図1における縦、横をそれぞれ示す。また、本明細書における画素とは、空間光変調器による表示の最小単位での情報(明/暗)を表示する手段を指す。
図1に示すように、画素アレイ40は、平面視でストライプ状の複数の上部電極2,2,…と、同じくストライプ状で、平面視で上部電極2と直交する複数の下部電極3,3,…と、を備え、上部電極2と下部電極3との交点毎に1つの画素4を設ける。したがって、画素4は、空間光変調器10の光の入射面に、2次元アレイ状に配列されて画素アレイ40を構成する。本実施形態では、画素アレイ40は4行×4列の16個の画素4からなる構成で例示される。なお、上部電極2と下部電極3は、適宜、両者をまとめて電極2,3と称する。そして、画素4は、当該画素4における一対の電極としての上部電極2および下部電極3と、これらの電極2,3に電気的に接続された光変調素子(磁気光学素子)1を備える。また、隣り合う上部電極2,2間、光変調素子1,1間、および下部電極3,3間は、SiO2やAl23等からなる絶縁部材6で埋められている。このような画素4は、例えば表面を熱酸化したSi基板等の公知の材料からなる基板7(図2参照)上に配列されて、画素アレイ40に形成される。
図1に示すように、電流制御部80は、上部電極2を選択する上部電極選択部82と、下部電極3を選択する下部電極選択部83と、これらの電極選択部82,83を制御する画素選択部84と、電極2,3に電流を供給する電源81と、を備える。これらはそれぞれ公知のものでよく、光変調素子1を磁化反転させるために適正な電圧・電流を供給するものとする。
上部電極選択部82は、上部電極2の1つ以上を選択し、下部電極選択部83は、下部電極3の1つ以上を選択し、それぞれに電源81から所定の電流を供給させる。画素選択部84は、例えば図示しない外部からの信号に基づいて画素アレイ40の特定の1つ以上の画素4を選択し、選択した画素4に接続する電極2,3を電極選択部82,83に選択させる。電源81は、選択した画素4に備えられる光変調素子1を後記するようにその磁化方向を反転させるために所定の電流を供給する。このような構成により、特定の画素4が選択され、この画素4の光変調素子1に、所定の電流が供給されて磁化反転させる。なお、図1において、電源81は、電極2,3のそれぞれ一端に電極選択部82,83を介して接続されているが、両端に接続されていてもよい。両端に接続されることにより、応答速度を上げ、画素間の動作ばらつきも低減できる。
(画素)
空間光変調器10の画素4の構成の詳細を図1、図2、および図3を参照して説明する。上部電極2は、図2に示すように光変調素子1の上に配され、図1に示すように横方向に帯状に延設される。1つの上部電極2は、横1行に配置された複数の画素4,4,…のそれぞれの光変調素子1に電流を供給する。一方、下部電極3は、光変調素子1の下に配され、縦方向に帯状に延設される。1つの下部電極3は、縦1列に配置された複数の画素4,4,…のそれぞれの光変調素子1に電流を供給する。
本実施形態において、光変調素子1は後記するようにスピン注入磁化反転素子であり、図1に示すように、平面視で上部電極2と下部電極3の重なる部分に配され、この電極2,3に上下から挟まれて接続されて膜面に垂直方向に電流を供給される。そして、光変調素子1は、詳しくは後記するように、電極2,3から供給された電流に応じて磁化方向を変化させ、これに伴い画素4に入射した光の偏光の向きを異なる2値の角度(θP,θAP)で旋光させて出射する。光変調素子1の平面視形状は、本実施形態においては正方形であるが、これに限定されるものではない。また、1個の画素4につき1個の光変調素子1が配されているが、例えば1つの画素4に面方向で(1×3)個、(2×2)個等の複数の光変調素子1を備えてもよい。
なお、磁界印加方式の光変調素子(磁気光学素子)を適用することもできる。この場合は、画素の構成として光変調素子とその周縁に張り巡らせた配線とを備え、配線に電流を供給して磁界を印加することにより光変調素子の磁化方向を変化させる。
上部電極2は、光変調素子1の入射光および出射光が透過するように透明電極材料で構成される。透明電極材料は、例えば、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)、インジウム−スズ酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化アンチモン−酸化スズ系(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化インジウム(In23)等の公知の透明電極材料からなる。特に、比抵抗と成膜の容易さとの点からIZOが最も好ましい。これらの透明電極材料は、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布法等の公知の方法により成膜される。
電極(配線)を透明電極材料で構成する場合、電極とこの電極に接続する光変調素子1との間に金属膜を設けることが好ましい。すなわち透明電極材料で構成された上部電極2においては、光変調素子1との間の下地層として金属膜を積層することが好ましい(図示省略)。光変調素子1との間に金属膜を介在させることで、電極用金属材料より抵抗が大きい透明電極材料からなる上部電極2においても、上部電極2−光変調素子1間の接触抵抗を低減させて応答速度を上げることができる。
下地層を構成する金属としては、例えば、Au,Ru,Ta、またはそれらの金属の2種以上からなる合金等を用いることができ、これらの金属はスパッタリング法等の公知の方法により成膜される。そして、下地層とその上の層すなわち透明電極との密着性をよくして接触抵抗をさらに低減するため、下地層となる金属膜は、透明電極材料と連続的に真空処理室にて成膜されることが好ましい。下地層の厚さは、1nm未満であると連続した膜を形成し難く、一方、10nmを超えると光の透過量を低下させる。したがって、下地層の好ましい厚さは1〜10nmである。
下部電極3は、導電性の優れた電極用金属材料で構成され、例えば、Cu,Al,Au,Ag,Ta,Cr等の金属やその合金のような一般的な金属材料からなる。そして、スパッタリング法等の公知の方法により成膜、フォトリソグラフィ、およびエッチングまたはリフトオフ法等によりストライプ状に加工される。
本実施形態において、光変調素子1はスピン注入磁化反転素子であり、CPP−GMR(Current Perpendicular to the Plane Giant MagnetoResistance:垂直通電型巨大磁気抵抗効果)素子、TMR(Tunnel MagnetoResistance:トンネル磁気抵抗効果)素子等の公知の素子からなる。光変調素子1の構成は、図3に示すように、下部電極3の上に、磁化固定層11、中間層12、磁化自由層13、および図示しない保護層の順に積層されてなる。これらの各層は、例えばスパッタリング法や分子線エピタキシー(MBE)法等の公知の方法によりそれぞれ成膜されて積層され、電子線リソグラフィ等により前記形状に加工される。なお、本実施形態において、光変調素子1は、磁化固定層、中間層、および磁化自由層を1ずつ備えた構成であるが、これに限らず、例えばデュアルピン構造のように、磁化自由層の上下にそれぞれ中間層を挟んで、2つの磁化固定層を備える光変調素子であってもよい。
磁化固定層11および磁化自由層13は磁性体であり、共に面内磁気異方性を有するか、または共に垂直磁気異方性を有するものとし、垂直磁気異方性を有するものが好ましい。そして、磁化固定層11の磁化方向は固定されているのに対し、磁化自由層13の磁化方向は固定されておらず、スピン注入によって容易に回転(反転)させることができる。これら2層の間に設けられる中間層12は、光変調素子1がTMR素子であれば絶縁体、CPP−GMR素子であれば非磁性の導体で形成される。これら3層でスピン注入磁化反転素子として動作するが、製造工程におけるダメージからこれらの層(特に磁化自由層13)を保護するために、最上層に保護層が設けられる。
磁化固定層11は、その厚さは数〜数十nmであり、面内磁気異方性を有する磁化固定層11とする場合は、強磁性金属(FM)や磁性半導体からなる。強磁性金属としては、Fe,Co,Ni等の遷移金属およびそれらを含む合金、FM/PtMn、FM/Ru/FM/PtMn(シンセティックピン層、積層フェリ構造)のような多層膜、さらにIrMn等の磁化固着層を下層に設けたFM/IrMn、FM/Ru/FM/IrMnが挙げられる。また、磁性半導体としては、ZnO:Mn、ZnO:Mn1-XFeX、ZnO:Cr1-XMnX等のZnOを母体とするもの、III-V族化合物半導体を母体とするもの、TiOを母体とするもの、II−VI族化合物半導体を母体とするものが挙げられる。一方、垂直磁気異方性を有する磁化固定層11とする場合は、Fe,Co,Ni等の遷移金属およびそれらを含む合金、[Fe/Pt]×n、[Co/Pt]×nの多層膜、Sm,Eu,Gd,Tb等の希土類を含む合金のような強磁性金属が挙げられる。
中間層12は、磁化固定層11と磁化自由層13との間に設けられる。光変調素子1がTMR素子であれば、中間層12は、MgO,Al23,HfO2のような絶縁体や、Mg/MgO/Mgのような絶縁体を含む積層膜からなり、その厚さは0.5〜3nm程度である。また、光変調素子1がCPP−GMR素子であれば、中間層12は、Cu,Au,Agのような非磁性金属からなり、その厚さは3〜20nm程度である。
磁化自由層13は、強磁性金属や磁性半導体からなり、その厚さは1〜20nm程度である。面内磁気異方性を有する磁化自由層13とする場合の材料としては、Fe,Co,Ni等の遷移金属およびそれらを含むCoFe,CoFeB,NiFe等の合金、これらの材料の2種以上からなる積層膜、FM/Ru/FM(シンセティックフリー層、積層フェリ構造)のような強磁性金属が挙げられる。または、ZnO:Mn、ZnO:Mn1-XFeX、ZnO:Cr1-XMnX等のZnOを母体とする磁性半導体、III-V族化合物半導体やII−VI族化合物半導体を母体とするものが挙げられる。一方、垂直磁気異方性を有する磁化自由層13とする場合の材料としては、Fe,Co,Ni等の遷移金属およびそれらを含む合金、CoPt,CoCr基合金(CoCr,CoCrPt,CoCrTa等)、[Fe/Pt]×n、[Co/Pt]×nの多層膜、Sm,Eu,Gd,Tb等の希土類を含む合金、MnBiのような強磁性金属が挙げられる。
保護層は、Ta,Ru,Cuの単層、または、Cu/Ta,Cu/Ruの2層等から構成される。なお、前記の2層とする場合は、いずれもCuを内側(下層)とする。保護層の厚さは、1nm未満であると連続した膜を形成し難く、一方、10nmを超えて厚くしても効果が飽和する上、入射光および出射光の透過光量を減衰させる。したがって、保護層の厚さは1〜10nmが好ましく、3〜5nmがより好ましい。
(ファラデー回転子)
ファラデー回転子5は、空間光変調器10において、画素アレイ40の光の入出射側、すなわち上方に配置され、詳しくは後記するように、入射偏光および光変調素子1からの反射光を透過して、所定の方向および角度+θFでそれぞれ旋光させる。ファラデー回転子5は、光アイソレータ等に用いられる公知の磁気光学材料で構成されるが、例えば特許第3953812号公報に記載されたビスマス置換型希土類鉄ガーネット単結晶膜を用いることで、外部磁界を印加することなく、透過した光を一定の角度θFで旋光させることができる。なお、角度θFはファラデー回転子5のファラデー回転角であり、ファラデー回転子5の材料および膜厚、温度、入射光の波長および入射角等で決定される。角度θFの狙い値にもよるが、ファラデー回転子5は、光変調素子1(磁化固定層11および磁化自由層13)の磁化方向と平行または反平行(同方向または逆方向)な磁化方向が好ましい。光変調素子1が垂直磁気異方性材料で構成されている場合は、ファラデー回転子5は膜面に垂直な(膜成長方向の)磁化容易軸を有することが好ましく、本実施形態においては磁化固定層11と同じ上方向の磁化としている。
(空間光変調器の製造方法)
次に、本実施形態に係る空間光変調器10の画素4(画素アレイ40)の製造方法について、その一例を説明する。
まず、下部電極3を形成する。基板7の表面に、金属電極材料をスパッタリング法等により成膜し、フォトリソグラフィ等によりストライプ状に形成して下部電極3とする。そして、下部電極3,3間にSiO2等の絶縁膜(絶縁部材6となる)を堆積させる。
次に、光変調素子1を形成する。下部電極3(および絶縁部材6)の上面に、連続して、磁化固定層11、中間層12、磁化自由層13、保護層を、例えばスパッタリング法や分子線エピタキシー(MBE)法等の公知の方法で、連続的に成膜、積層する。これらの層を電子線リソグラフィおよびイオンビームミリング法等により前記平面視形状に成形加工して、光変調素子1とする。前記成形加工においてマスクとしたレジストを残した状態で、絶縁膜を成膜して、光変調素子1,1間に堆積させ、レジストをその上の絶縁膜ごと除去して(リフトオフ)絶縁部材6とする。あるいは、光変調素子1に成形加工した後レジストを除去して、絶縁膜を成膜して光変調素子1,1間に堆積させ、エッチングやCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)等により光変調素子1の上の絶縁膜を除去してもよい。
次に、上部電極2を形成する。光変調素子1および絶縁部材6の上面に、下地層としての金属膜、透明電極材料を連続して成膜し、下部電極3と直交するストライプ状に形成して上部電極2とする。そして、上部電極2,2間に絶縁部材6を堆積して、画素4(画素アレイ40)とする。
また、別途、透明な基板材料、例えば、SiO2,Al23,MgO等からなる基板上にファラデー回転子5を成膜し、この基板ごと画素アレイ40の上部電極2(および絶縁部材6)の上面に貼り付ける。あるいは、上部電極2,2間に絶縁部材6を堆積させる際に上部電極2上にも堆積させ、その上にファラデー回転子5を貼り付けてもよい。
(空間光変調器の動作)
次に、本発明の一実施形態に係る空間光変調器の動作を、図2および図3を参照して説明する。空間光変調器10の上方には、ファラデー回転子5および画素アレイ40に向けて光を照射する光源93と、偏光フィルタ(偏光子)91と、空間光変調器10から出射した光を検出する検出器94とが配置される。
光源93から照射されたレーザー光等の光(入射光)は様々な偏光成分を含んでいるので、これを偏光フィルタ91を透過させて、1つの偏光成分の光とする。以下、1つの偏光成分の光を偏光と称する。この偏光(入射偏光)Linは、所定の入射角でファラデー回転子5に入射、透過して画素アレイ40のすべての画素4に入射する。それぞれの画素4において、入射した偏光は、上部電極2を透過して光変調素子1に入射し、当該光変調素子1またはその下の下部電極3で反射して光変調素子1から出射し、再び上部電極2を透過して画素4から出射する。そして、それぞれの画素4から出射したすべての偏光は、再びファラデー回転子5を透過して出射偏光Lout0,Lout1として、再び偏光フィルタ91に到達する。偏光フィルタ91は、入射偏光Linに対して90°旋光した偏光Lout0を遮光し、それ以外の出射偏光Lout1を透過させ、この透過した出射偏光Lout1が検出器94に入射される。偏光フィルタ91は偏光板等であり、検出器94はスクリーン等の画像表示手段やカメラ等である。
以下、ファラデー回転子5および画素4(光変調素子1)における偏光の挙動について図3を参照して説明する。入射偏光Linは、ファラデー回転子5を透過する際に、角度+θFで旋光して画素4に入射し、当該画素4における光変調素子1の後記の磁化の状態に応じて角度+θP(図3(a))または+θAP(図3(b))でさらに旋光して画素4から出射する。画素4から出射した偏光は、再びファラデー回転子5を透過する際に、さらに角度+θFで旋光して出射偏光Lout0,Lout1となる。
ここで、光変調素子1の磁化反転の動作を説明する。スピン注入磁化反転素子である光変調素子1は、逆方向のスピンを持つ電子を注入することにより、すなわち電流を反対向きに供給することにより、磁化自由層13の磁化方向を反転(スピン注入磁化反転、以下、適宜磁化反転という)させて、磁化固定層11の磁化方向と同じ方向または180°異なる方向にする。具体的には、上部電極2を「+」、下部電極3を「−」にして、図3(a)に示すように磁化自由層13側から磁化固定層11へ電流を供給すると、磁化自由層13の磁化は磁化固定層11の磁化方向と同じ方向になる。以下、この状態を光変調素子1の磁化が平行である(P:Parallel)という。反対に、上部電極2を「−」、下部電極3を「+」にして、図3(b)に示すように磁化固定層11側から磁化自由層13へ電流を供給すると、磁化自由層13の磁化は磁化固定層11の磁化方向と逆方向になる。以下、この状態を光変調素子1の磁化が反平行である(AP:Anti-Parallel)という。
光変調素子1の磁化が平行、反平行いずれかの磁化を示していれば、その磁化を反転させる電流が供給されるまでは、磁化自由層13の保磁力により磁化が保持される。このように、光変調素子1において磁化は保持されるため、光変調素子1に供給する電流としては、パルス電流のように、磁化方向を反転させる電流値に一時的に到達する電流を用いることができる。
光変調素子1に入射した光が磁性体である磁化自由層13で反射または透過して出射すると、カー効果(透過の場合はファラデー効果)により、入射した光はその偏光の向きが変化(旋光)する。さらに、磁化が平行、反平行な光変調素子1にそれぞれ入射した光は、磁化自由層13の磁化方向が180°異なるため、同じ大きさの旋光角すなわち磁化自由層13のカー回転角またはファラデー回転角で互いに逆方向に回転して出射する。なお、磁化自由層13だけでなく、中間層12および磁化固定層11を透過し、下部電極3で反射して再び光変調素子1の各層を透過して出射した場合、磁化固定層11を透過した際にも旋光するがその磁化は変化しないため、光変調素子1の磁化反転による旋光角の差|θP−θAP|はいずれも場合も磁化自由層13のみで決定される。この旋光角の差|θP−θAP|は、2|θk|(0°<|θk|<90°)で表すことができる。このとき、磁化が平行、反平行である光変調素子1における旋光角θP,θAPは、それぞれ(α)、(α+2θk)で表すことができる(|α|≦180°)。
前記したように、出射偏光Lout0,Lout1は、それぞれ入射偏光Linがファラデー回転子5を2回透過し、さらに光変調素子1に反射または透過した光であるので、入射偏光Linに対して、(θP+2θF)=(α+2θF)、(θAP+2θF)=(α+2θk+2θF)の角度で旋光した偏光である。そして、磁化が平行な光変調素子1を備える画素4(図3(a))を出射した出射偏光Lout0が、入射偏光Linに対して90°旋光した偏光となるように、ファラデー回転子5の回転角θFは(±45°−α/2)とする。
あるいは、磁化が反平行な光変調素子1を備える画素4(図3(b))を出射した出射偏光Lout1が、偏光フィルタ91で遮光されるようにすることもできる。この場合は、出射偏光Lout1が入射偏光Linに対して90°旋光した偏光となるように、ファラデー回転子5の回転角θFは(±45°−α/2−θk)とする。
このように、ファラデー回転子5を光変調素子1の回転角に応じた回転角θFになるように設計することで、1つの偏光フィルタ91を用いて、光変調素子1の磁化が平行、反平行のいずれかとした画素4からの光の取り出しが可能な反射型の空間光変調器10とすることができる。すなわち、図2に示すように、光変調素子1の磁化が反平行である画素4からの出射偏光Lout1は、偏光フィルタ91を透過して検出器94に到達するので、この画素4は明るく(白く)検出器94に表示される。一方、光変調素子1の磁化が平行である画素4からの出射偏光Lout0は、偏光フィルタ91で遮られるので、この画素4は暗く(黒く)、検出器94に表示される。このように、画素毎に明/暗(白/黒)を切り分けられ、電流の向きを切り換えれば明/暗が切り換わる。なお、空間光変調器10の初期状態としては、例えば全体が白く表示されるように、すべての画素4の光変調素子1の磁化を反平行にするべく、上部電極2のすべてを「−」、下部電極3のすべてを「+」にして、上向きの電流を供給すればよい。
そして、偏光フィルタ91は、入出射共用であるため、図2に示すように入射光と出射光の両方の光路を含む領域に配置され、すなわち入射光と出射光の光路が重なる領域に配置できるため、空間光変調器10(画素アレイ40およびファラデー回転子5)に近い位置に配置できる。さらには偏光フィルタ91はファラデー回転子5に接触して、画素アレイ40およびファラデー回転子5と一体に備えてもよい。また、光源93と検出器94が出射光と入射光をそれぞれ遮らなければよいので、図6に示すように入射角を光変調素子1の磁化方向(垂直方向)から大きく傾斜させる必要がなく、極カー効果により光変調度を向上させることができる。
以上のように、第1実施形態に係る空間光変調器によれば、高精細かつ高速応答とすることが可能な垂直磁化異方性を有するスピン注入磁化反転素子を光変調素子とし、極カー効果により光変調度を向上させた反射型の空間光変調器とすることができ、さらにこの空間光変調器を用いた表示装置を小型化することができる。
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態およびその変形例に係る空間光変調器について説明する。第1実施形態(図1〜3参照)と同一の要素については同じ符号を付し、説明を省略する。第2実施形態に係る空間光変調器も反射型であり、第1実施形態に係る空間光変調器のファラデー回転子の周囲に磁界印加手段を備えたものである。
磁石(磁界印加手段)51は、環状であり、図4(a)においては画素アレイ40の端に配置された画素4上のファラデー回転子5A近傍の部分を切り出して示している。磁石51は、ファラデー回転子5Aに磁界を印加して膜面に垂直な磁化を保持させるものであり、公知の永久磁石やコイルを巻回した電磁石等を用いることができる。このような磁石51を設けることにより、ファラデー回転子5Aは磁性ガーネット等の一般的な磁気光学材料で構成されて、一定のファラデー回転角+θFで透過光を旋光させることができる。なお、通常の磁性ガーネットは絶縁性があるため、これをファラデー回転子5Aに適用した場合は、図4(a)に示すように、画素アレイ40上(上部電極2上)に透明な絶縁部材を設けず、直接ファラデー回転子5Aを配置してもよい。ファラデー回転子5Aのファラデー回転角+θFは第1実施形態に係る空間光変調器10におけるファラデー回転子5と同様であり、画素4およびそれに備えられた光変調素子1も含めて入射偏光の旋光の動作については第1実施形態と同様であるので説明を省略する(図2,3参照)。
本発明の第2実施形態の変形例として、ファラデー回転子5Aだけでなく、画素4の光変調素子1にも磁界が印加されるように構成してもよい。具体的には、図4(b)に示すように、磁石51Aの形状を、ファラデー回転子5A近傍から光変調素子1の磁化固定層11近傍までの高さとする。このとき、磁界の印加方向は光変調素子1の磁化固定層11からの漏れ磁界をキャンセルする方向に設定する。本変形例では、磁化固定層11の磁化は上方向であり、その漏れ磁界も上方向となるため、その逆の下方向の磁界を印加するような磁石51Aとする。光変調素子1(スピン注入磁化反転素子)においては、磁化固定層11から磁化自由層13へ漏れる磁界によってスピン注入磁化反転特性が電流軸方向の正または負の一方にシフトする現象が生じる場合がある。漏れ磁界を磁石51Aから印加される逆方向の磁界がキャンセルすることでこの現象が抑制されて、光変調素子1において、正の磁化反転電流と負の磁化反転電流(磁化の平行から反平行、反平行から平行)とを同じ大きさに近付けてより安定したスピン注入磁化反転動作を得ることができる。漏れ磁界の大きさは磁化固定層11の材料や厚さ等により変化するので、磁石51Aから印加される磁界でキャンセル可能な大きさとなるように調整される。なお、この磁石51Aから印加される磁界により、ファラデー回転子5Aの磁化は、第2実施形態(図4(a)参照)と異なり、磁化固定層11の磁化と逆の下方向となる。
以上のように、第2実施形態に係る空間光変調器によれば、前記第1実施形態に係る空間光変調器による効果に加え、一般的な磁気光学材料でファラデー回転子を構成することができ、さらに第2実施形態の変形例によれば、光変調素子の磁化反転動作を安定したものとすることができる。
以上、本発明の空間光変調器を実施するための各実施形態について述べてきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
10 空間光変調器(反射型空間光変調器)
1 光変調素子(磁気光学素子)
11 磁化固定層
12 中間層
13 磁化自由層
40 画素アレイ
4 画素
2 上部電極
3 下部電極
5,5A ファラデー回転子
51,51A 磁石(磁界印加手段)
6 絶縁部材
7 基板
80 電流制御部(画素選択手段)
91 偏光フィルタ(偏光子)

Claims (5)

  1. 光の入出射側に偏光子を配して、この偏光子を透過した光を入射されて、反射した光を前記偏光子に再び透過させて取り出す反射型空間光変調器であって、
    2次元配列された複数の画素と、前記複数の画素から1つ以上の画素を選択する画素選択手段と、前記複数の画素に対して光の入出射側に配置されたファラデー回転子と、を備えて、
    前記画素は、前記画素選択手段による当該画素の選択または非選択の状態に応じて、入射した光の偏光方向を異なる2値の角度で回転させて出射する磁気光学素子を備え、
    前記ファラデー回転子は、前記2値の角度をα、α+2θk(|α|≦180°、0°<|θk|<90°)で表したとき、透過した光の偏光方向を(±45°−α/2)の角度で回転させる構造であることを特徴とする反射型空間光変調器。
  2. 光の入出射側に偏光子を配して、この偏光子を透過した光を入射されて、反射した光を前記偏光子に再び透過させて取り出す反射型空間光変調器であって、
    2次元配列された複数の画素と、前記複数の画素から1つ以上の画素を選択する画素選択手段と、前記複数の画素に対して光の入出射側に配置されたファラデー回転子と、を備えて、
    前記画素は、前記画素選択手段による当該画素の選択または非選択の状態に応じて、入射した光の偏光方向を異なる2値の角度で回転させて出射する磁気光学素子を備え、
    前記ファラデー回転子は、前記2値の角度をα、α+2θk(|α|≦180°、0°<|θk|<90°)で表したとき、透過した光の偏光方向を(±45°−α/2−θk)の角度で回転させる構造であることを特徴とする反射型空間光変調器。
  3. 前記磁気光学素子がスピン注入磁化反転素子であり、前記画素選択手段が前記磁気光学素子に電流を供給する手段を備える請求項1または請求項2に記載の反射型空間光変調器。
  4. 前記ファラデー回転子の周囲に磁界印加手段をさらに備える請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の反射型空間光変調器。
  5. 前記複数の画素および前記ファラデー回転子の周囲に磁界印加手段をさらに備えて、
    前記磁界印加手段は、前記スピン注入磁化反転素子が備える磁化固定層から漏れる磁界をキャンセルする方向の磁界を印加することを特徴とする請求項3に記載の反射型空間光変調器。
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