JP2008145748A - 磁気光学式空間光変調器 - Google Patents

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Abstract

【課題】画素サイズを微細化すると共に、高速応答で光を変調できる磁気光学式空間光変調器を提供する。
【解決手段】磁気光学式空間光変調器1は、磁気光学素子10を介して上下にそれぞれ上部電極3および下部電極2を備え、上部電極3は、磁気光学素子10に対向する領域に、当該磁気光学素子10への光路である穴を有する金属電極3aと、この金属電極3aに形成された穴を充填する窓(透明電極)5とを備える。透明電極はIZOから構成され、金属電極3aはIZOに比べて比抵抗の低い金属から構成され、磁気光学素子10はCPP−GMR素子やTMR素子から構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、空間光変調素子に関し、特に、CPP−GMR素子やTMR素子で構成する磁気光学素子を用いた磁気光学式空間光変調器に関する。
空間光変調器(SLM:Spatial Light Modulator)は、2次元のアレイ状に配列された光学素子を用いて光の位相や振幅を空間的に変調するものであって、ホログラフィ等の画像露光装置に応用され、ディスプレイ技術や記録技術等の分野で広く利用されている。また、SLMを利用すれば、各光学素子の作用を反映する2次元の光情報を並列に処理することができるので、SLMを光情報処理技術等へ応用するための研究もなされている。
従来、代表的なSLMとして、液晶パネルを用いた空間光変調器が知られている。液晶パネルは、2枚の透明な基板の間に油状で透明な液晶材料を備えている。透明な基板としては主にガラスが用いられることが多いが、プラスチックが用いられることもある。この透明な基板の内面には、液晶に電圧を印加する電極として透明電極が設けられている。透明電極として好ましい材料は、抵抗値が低く、かつ、所望の形状に加工することが容易な材料である。そのため、透明電極の材料としては、インジウム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)が広く用いられている。
また、大量の情報を高速で処理できる磁気光学式空間光変調器(MOSLM:Magneto-optic SLM)が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。特許文献1に記載されたMOSLMは、磁性ガーネット膜を2次元アレイ状に局所熱処理した領域に形成された画素(ピクセル)を備えている。各画素は、磁気光学効果(ファラデー効果)によって入射光に対して磁化の方向に応じた偏光方向の回転を与える。また、このMOSLMは、反射型であり、各画素の上には個別にAl等の光反射膜が形成されている。この光反射膜は応力印加膜を兼ねており、光反射膜が付着していない部分(画素間)に応力を作用させる。また、光反射膜の上には、下から順にX駆動ライン、絶縁膜およびY駆動ラインが積層されている。X駆動ラインおよびY駆動ラインにパルス電流を印加することによって、各画素の磁化を反転させることができる。また、X駆動ラインおよびY駆動ラインは、平面視で各画素をそれぞれ3/4周するように、画素の内側に収まり且つ画素の外形に一致するように形成され、つづら折り状に隣り合う画素を繋ぐように設けられている。このように構成されたX駆動ラインおよびY駆動ラインも、応力印加膜としての機能を兼ねている。光反射膜の応力とX駆動ラインおよびY駆動ラインの応力とによって各画素間が磁気的に分離されて、画素単位の孤立したシングルドメイン構造(単磁区構造)が形成される。これにより、画素間距離を画素サイズ以下に狭めることが可能となっている。
また、特許文献2に記載されたMOSLMは、透過型であって、X駆動ラインおよびY駆動ラインの形状が、特許文献1に記載されたMOSLMのものとは異なる空間光変調器である。各画素は、面に垂直方向に磁化するものであり、各画素間には、磁化方向が画素とは異なる向きに磁化しているパーマロイ等の磁性薄膜が形成されている。X駆動ラインおよびY駆動ラインの組は、各画素の4辺の周囲を取り囲んでおり、所定の組を選択して通電することで、選択された組に囲まれた画素において磁界を発生する。画素の4辺の周囲からの磁界の方向が揃った場合に、その合成磁界によって画素を磁気飽和させることができる。つまり、X駆動ラインおよびY駆動ラインの組を適宜選択することで所望の画素の磁化方向を制御することが可能となっている。このとき、磁性薄膜直下の磁性ガーネット膜部分の磁化方向が、磁性薄膜の磁化方向(画素とは異なる方向)に揃うので画素同士が磁気的に分離され、それによって画素単位のシングルドメイン構造が形成される。
特開2005−70101号公報(段落0016〜0025、図1、図5) 特開2005−221841号公報(段落0013〜0025、図1、図6)
SLMにおいては、画素サイズ(画素ピッチ)を微細化すると共に、応答を高速化することが要望されている。しかしながら、液晶パネルを用いたSLMでは、画素サイズを数μm以下とするような微細化が困難であると共に、印加電圧に対する応答時間が数十μs程度と比較的遅いという問題がある。
また、特許文献1に記載されたMOSLMは、X駆動ラインおよびY駆動ラインを、画素の内側に収まり且つ画素の外形に一致するように形成した構造となっているので、画素サイズを数μm以下とするような微細化が困難である。
また、特許文献2に記載されたMOSLMは、平面視で画素の4辺の周囲を取り囲むX駆動ラインおよびY駆動ラインの組への通電による合成磁界を利用するために、画素を微細化すると隣接した画素へのクロストークが大きくなってしまうという問題がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、画素サイズを微細化すると共に、高速応答で光を変調できる磁気光学式空間光変調器を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の磁気光学式空間光変調器は、1画素が1以上の磁気光学素子で形成され、前記磁気光学素子を介して上下にそれぞれ上部電極および下部電極を備えた磁気光学式空間光変調器であって、前記上部電極が、前記磁気光学素子に対向する領域に、当該磁気光学素子への光路である穴を有する金属電極と、この金属電極に形成された穴を充填する透明電極とを備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、磁気光学式空間光変調器では、磁気光学素子への光路として上部電極に形成された穴に透明電極が配置されるので、この穴に金属電極が配置された場合と比較して、磁気光学素子において磁気光学的カー効果(magneto-optic Kerr effect)による磁化方向の回転が起こり易くなる。つまり、高速応答が可能となる。また、金属電極は、透明電極と比較して比抵抗が非常に小さいので、上部電極と下部電極とが対向する領域に配置された画素に電流が行き渡り易くなる。このような構成によれば、仮に、上部電極の全体が透明電極で形成された場合と比較すると、例えば、9桁ほど大きな電流密度の電流を流すことができるので、磁気光学素子に対してスピン注入することが可能となる。その結果、磁気光学式空間光変調器は、スピン注入によって磁気光学素子を磁化反転させる構造とすることによって、画素サイズが微細化されると共に、高速応答で光を変調することが可能となる。
また、請求項2に記載の磁気光学式空間光変調器は、請求項1に記載の磁気光学式空間光変調器において、前記透明電極が、前記穴の周縁上で、前記金属電極の上に積層されたオーバーラップ部を有することを特徴とする。
かかる構成によれば、磁気光学式空間光変調器では、オーバーラップ部が存在しない場合と比較して、透明電極と金属電極との接触面積が増加する。そのため、透明電極と金属電極との間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、マトリクス状に2次元配列される各画素に均一な電流または電圧を提供することができる。その結果、各行各列に、例えば、数百〜数千もの画素を並設する場合に、上部電極に設けられる各画素を駆動するときの電極抵抗のそれぞれの抵抗値のばらつきを少なくすることができる。
また、請求項3に記載の磁気光学式空間光変調器は、請求項1または請求項2に記載の磁気光学式空間光変調器において、前記金属電極に形成された穴が、下底部が上底部よりも小さくなるような所定の傾きを側面に有していることを特徴とする。
かかる構成によれば、磁気光学式空間光変調器では、金属電極に形成された穴の側面に傾きが無い場合と比較して、透明電極と金属電極との接触面積が増加する。そのため、透明電極と金属電極との間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、マトリクス状に2次元配列される各画素に均一な電流または電圧を提供することができる。その結果、各行各列に、例えば、数百〜数千もの画素を並設する場合に、上部電極に設けられる各画素を駆動するときの電極抵抗のそれぞれの抵抗値のばらつきを少なくすることができる。
また、請求項4に記載の磁気光学式空間光変調器は、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器において、前記透明電極の下地に金属膜を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、磁気光学式空間光変調器は、透明電極の下地に備えられた金属膜によって、透明電極と磁気光学素子との間の接触抵抗を低下させることができる。また、オーバーラップ部が存在する場合や、金属電極に形成された穴が、下底部が上底部よりも小さくなるような所定の傾きを側面に有している場合に、金属膜を下地として透明電極を配した場合には、透明電極と金属電極との間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、マトリクス状に2次元配列される各画素に均一な電流または電圧を提供することができる。その結果、各行各列に、例えば、数百〜数千もの画素を並設する場合に、上部電極に設けられる各画素を駆動するときの電極抵抗のそれぞれの抵抗値のばらつきを少なくすることができる。
また、請求項5に記載の磁気光学式空間光変調器は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器において、前記透明電極が、インジウム亜鉛酸化物(IZO)から構成されることを特徴とする。
かかる構成によれば、磁気光学式空間光変調器では、透明電極がインジウム亜鉛酸化物から構成されるので、透明電極を、比抵抗400μΩcm程度の低抵抗のものとすることができる。また、インジウム亜鉛酸化物は、RFスパッタ法等によって、低温で製膜することができるため、成膜プロセス中において磁気光学素子へのダメージを大幅に軽減できる。
また、請求項6に記載の磁気光学式空間光変調器は、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器において、前記磁気光学素子が、CPP−GMR素子またはTMR素子から構成されることを特徴とする。
かかる構成によれば、磁気光学式空間光変調器において、磁気光学素子としてCPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMR(Giant Magneto-Resistance)素子を用いた場合には、膜面に垂直に電流を流すことができるので、膜面内に電流を流すCIP(Current In Plane)−GMR素子と比べて構造上、磁気光学式空間光変調器の微細化に適している。また、磁気光学素子としてTMR(Tunneling Magnetoresistive)素子を用いた場合には、CIP−GMR素子と比べて、磁気抵抗変化が数倍大きくなるので信頼性を高めることができる。
また、請求項7に記載の磁気光学式空間光変調器は、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器において、前記上部電極を介して前記磁気光学素子に流れるパルス電流または直流電流の方向および大きさを制御して、前記磁気光学素子にスピン注入することによって、前記磁気光学素子の磁化を反転させる電流制御手段をさらに備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、磁気光学式空間光変調器は、磁気光学素子へのスピン注入磁化反転を用いることで、磁気光学素子の状態変化に要する時間を短縮することができる。特に、磁気光学素子が、強磁性層/中間層(非磁性金属層)/強磁性層からなるGMR素子や、強磁性層/中間層(絶縁体層)/強磁性層からなるTMR素子の場合には、中間層の厚さがせいぜい6nm以下なので、スピン注入磁化反転に要する応答時間を数十ns〜数ps程度にまで短縮することが可能となる。
請求項1に記載の発明によれば、磁気光学素子の上に透明電極を配し、その他の部分に、透明電極よりも比抵抗の小さい金属電極を配することによって、磁気光学素子にスピン注入できる。その結果、画素サイズを微細化すると共に、高速応答で光を変調できる。
請求項2または請求項3に記載の発明によれば、上部電極において透明電極と金属電極との間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、マトリクス状に2次元配列される各画素に均一な電流または電圧を提供することができる。その結果、上部電極に設けられる各画素を駆動するときの電極抵抗のそれぞれの抵抗値のばらつきを少なくすることができるので、信頼性が向上する。
請求項4に記載の発明によれば、透明電極と磁気光学素子との間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、マトリクス状に2次元配列される各画素に均一な電流または電圧を提供することができる。その結果、上部電極に設けられる各画素を駆動するときの電極抵抗のそれぞれの抵抗値のばらつきを少なくすることができるので、信頼性が向上する。
請求項5に記載の発明によれば、微細化や高速化の程度を高めると共に信頼性を高めることができる。
請求項6に記載の発明によれば、応答を高速化できる。
請求項7に記載の発明によれば、微細化の程度や信頼性を高めることができる。
以下、図面を参照して本発明の磁気光学式空間光変調器を実施するための最良の形態(以下「実施形態」という)について詳細に説明する。
(第1実施形態)
[磁気光学式空間光変調器の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示した画素の構成の一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図をそれぞれ示している。磁気光学式空間光変調器1は、反射型であって、図1に示すように、下部電極2と上部電極3との交差した領域に形成される画素(ピクセル)4をマトリクス状に2次元配列したものである。ここでは、一例として5×5のマトリクス状に2次元配列した。
磁気光学式空間光変調器1は、磁気光学素子10(図2参照)を介して上下にそれぞれ上部電極3および下部電極2を備えている。
複数(図1では5本)の下部電極2は帯状の金属電極であって、それぞれ平行に設けられている。下部電極2は、例えば、Cu、Al、Ta、Cr等の金属や合金等からなる一般的な電極用金属材料から構成される。
複数(図1では5本)の帯状の上部電極3は、それぞれ平行に設けられており、下部電極2の上方に下部電極2と直交して配置されている。上部電極3は、磁気光学素子10(図2参照)に対向する領域に、当該磁気光学素子10への光路である穴3b(図2参照)を有する金属電極3aと、この金属電極3aに形成された穴3bを充填する透明電極5とを備えている。以下では、穴3bに充填された透明電極を窓5と呼ぶ場合もある。
窓5は、下部電極2の上に配された磁気光学素子10(図2参照)を覆うように配設されており、窓5を介して入射した光は磁気光学素子10に効率よく到達できる。つまり、画素4は、下部電極2と上部電極3とが対向して交差する領域にある磁気光学素子10と、その直上の窓5とから構成されている。窓5を構成する透明電極材料は、例えば、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide;IZO)、酸化インジウム錫(Indium Ti Oxide;ITO)、酸化錫(SnO2)、酸化アンチモン−酸化錫系(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)およびIn23等が挙げられる。特に、比抵抗と成膜の容易さの観点からインジウム亜鉛酸化物(IZO)が最も好ましい。
また、互いに隣り合った上部電極3と上部電極3との隙間には、例えば、SiO2やAl23等から成る絶縁部材6が配設されている。また、下部電極2と上部電極3との隙間や、互いに隣り合った下部電極2と下部電極2との隙間にも絶縁部材6が堆積されている。
本実施形態では、磁気光学式空間光変調器1は、図1に示すように、さらに、下部電極選択部101と、上部電極選択部102と、電流源103と、電流制御手段104とを備える構成としたが、これらの構成は、磁気光学式空間光変調器1と別の構成としてもよい。
下部電極選択部101は、マトリクス状に配置された複数(図では25個)の画素4の中から図1において縦方向に配置した画素4を選択し、上部電極選択部102は、横方向に配置した画素4を選択する。これら下部電極選択部101および上部電極選択部102の組合せによって、1個の画素4が特定されることとなる。
電流源103は、画素4にパルス電流を供給するものである。なお、直流電流を供給するように構成してもよい。
電流制御手段104は、下部電極選択部101、上部電極選択部102および電流源103を制御するものである。この電流制御手段104は、各画素4に流れる電流の方向および大きさを制御して、各画素4にスピン注入することによって、窓5の下に配設された磁気光学素子10(図2参照)の磁化を反転させる。
[磁気光学素子の構成]
次に、図2を参照して、図1に示した画素4を構成する磁気光学素子10について説明する。なお、図2では、1画素の領域を示しているが磁気光学式空間光変調器1は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有している。磁気光学素子10は、例えば、CPP−GMR素子またはTMR素子から構成され、図2(a)に示すように、電流の流れる方向に垂直な面の形状が方形に構成されている。磁気光学素子10は、窓5の下方内側に設けられており、磁気光学素子10の形状および面積は、窓5の形状および面積と同一であって図上で重なっている。ただし、必ずしもこのように形成する必要は無く、窓5の広さは適宜設計変更できる。例えば、窓5を磁気光学素子10よりも狭く形成してもよいし、2つ以上の画素に対応する複数の磁気光学素子10を含むように広く形成してもよい。なお、窓5の広さは1画素に対応する1以上の磁気光学素子10を含む広さ以上で形成されることが好ましい。
また、本実施形態では、図2(b)に示すように、下部電極2の上には、磁気光学素子10として、磁化固定層11、非磁性中間層12、磁化反転層13および保護層14が積層されている。この下部電極2の上へ各層を積層する方法は、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法やスパッタリング法を用いることができる。なお、下部電極2は、基板7上に金属材料を蒸着法、スパッタリング法等により積層した後、フォトリソグラフィ法等によって、金属層を所望の形状にパターニングすることで作製される。基板7は、例えば、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、ガラス等から成る。
磁化固定層11は、磁化方向が固定された層であり、例えば、ホイスラー合金等の導電性のある強磁性体から構成される。この磁化固定層11は、IrMn等のスピン固着層と組み合わせた2〜3層構造の構成としてもよい。
非磁性中間層12は、磁化固定層11と磁化反転層13とに挟まれた中間に位置する非磁性層である。磁気光学素子10がCPP−GMR素子から構成される場合には、非磁性中間層12は、非磁性金属から構成される。非磁性金属としては、Au、Al、Cu、またはそれらの合金が好ましい。このうちCuは、電気抵抗が小さくスピン拡散長(スピンの偏極状態を保持して輸送できる距離)も長いので特に好ましい。この非磁性中間層12の厚さは、スピンの偏極状態を保持できる程度の厚さ(6nm以下)である。
また、磁気光学素子10がTMR素子から構成される場合には、非磁性中間層12は、例えば、酸化物Al23薄膜やMgO薄膜等の絶縁体から構成される。この非磁性中間層12の厚さは、スピン偏極電子がトンネルリング(tunneling)できる程度の厚さ(数nm以下)である。
磁化反転層13は、磁化方向が予め磁化固定層11の磁化方向と平行な方向に揃えられた層である。この磁化反転層13の磁化方向は、固定されておらず、スピン注入により容易に回転(反転)することができる。この磁化反転層13は、磁気光学的カー効果が生じ、偏極率が比較的高い強磁性体から構成される。ここで、偏極率が低いほど磁化反転に必要な電流の値が大きくなるので偏極率は50%以上であることが好ましい。なお、本実施形態は、反射型なので、磁化反転層13は、光に対する透明性が高い材料で構成されることが好ましく、前記した磁化固定層11および非磁性中間層12は、入射光に対する反射率の大きい材料で構成されることが好ましい。
保護層14は、微細加工プロセス中に磁化反転層13が受けるダメージを保護する層であり、Ta,Ru,Cuの単層、または、Cu/Ta,Cu/Ruの2層から構成される。なお、Cu/Taの2層またはCu/Ruの2層から構成される場合には、TaまたはRuを外側(上面)とする。
磁気光学素子10を製造する方法は、以下の通りである。すなわち、下部電極2の上に、前記した磁化固定層11、非磁性中間層12、磁化反転層13および保護層14の4層構造を積層した後に、フォトリソグラフィ法等によって、4層を所望の形状にパターニングして、磁気光学素子10を形成する。また、各画素4を製造する方法は、以下の通りである。なお、磁気光学式空間光変調器1では、各画素4の領域が一度に製造される。
まず、磁気光学素子10と隣接する磁気光学素子10との間の空間を、例えば、SiO2等の絶縁部材6で封止して、DCスパッタ法により上部電極3の金属電極3aを積層した後に、フォトリソグラフィ法等によって、積層した金属電極3aを所望の形状にパターニングして、金属電極3aに所定数(図1では5個)の穴3bを形成する。そして、RFスパッタ法により各穴3bに透明電極材料を積層して窓5とすることで各画素4を形成する。なお、磁気光学素子10と上下の電極とを含めてCPP−GMR素子またはTMR素子を構成するようにしてもよい。すなわち、下部電極2と、磁化固定層11と、非磁性中間層12と、磁化反転層13と、保護層14と、上部電極3とから、CPP−GMR素子またはTMR素子を構成するようにしてもよい。
一例として、窓5を構成する透明電極材料にIZOを用いて、RFスパッタ法により形成した場合には、窓5(IZO電極)の比抵抗は400μΩcm程度となる。
また、下部電極2および金属電極3aの電極材料としてCuを用いて、DCスパッタ法により形成した場合には、下部電極2および金属電極3a(Cu電極)の比抵抗は2μΩcm程度となる。つまり、窓5の比抵抗は、金属電極3aの比抵抗の約200倍となる。
本実施形態の磁気光学式空間光変調器1において、1つの画素4は、1つの磁気光学素子10を備えるものに限定されるものではなく、図3に示すように、複数の磁気光学素子を備えるようにしてもよい。図3は、図1に示した画素の構成の他の例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図をそれぞれ示している。図3(a)に示すように、画素4Aは、窓5の下方内側に、一例として、4個の磁気光学素子10Aを所定の間隔を空けて2×2のマトリクス状に2次元配列したものである。これらの磁気光学素子10Aは、サイズが小さいことを除いて、図2に示した磁気光学素子10と同様に構成されているので、同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、図3(b)に示すように、互いに隣り合う磁気光学素子10Aと磁気光学素子10Aとの間は、絶縁部材6によって封止されている。なお、磁気光学素子10Aの個数は、縦横の個数が等しければその個数は任意である。
[磁気光学式空間光変調器の動作]
次に、本実施形態の磁気光学式空間光変調器1の動作について、図4を参照して説明する。ここでは、説明を簡単にするために、磁気光学式空間光変調器1は、1つの画素4に1つの磁気光学素子10を有し、また、1つの画素4のみを備えているものとして説明する。図4は、図2に示した画素の動作を模式的に示す説明図であって、(a)は初期状態、(b)は反転状態をそれぞれ示している。ただし、図4では、磁気光学式光変調器1の動作の概念を分かり易く示すことを主眼としているため、磁気光学素子10の保護層を図示していない。
前提として、磁気光学素子10の磁化固定層11は、磁化方向が所定方向(図では模式的に左方向の矢印で示す)に固定されている。また、磁化反転層13は、初期状態では、図4(a)に示すように、磁化方向が磁化固定層11における向きと反対方向(図では模式的に右方向の矢印で示す)に予め揃えられている。
レーザ光源105から照射された光は、様々な偏光成分を含んでいるが、偏光フィルタ106aによって、ある方向の偏光成分だけを含むようにフィルタリングされる。このフィルタリングされた光は、上部電極3の開口部に設けられた窓5を介して磁気光学素子10に入射し、この磁気光学素子10によって所定方向に反射される。なお、この所定方向には、スクリーン107が配置される。
図4(a)に示す初期状態では、例えば、電流源103は電流を流していない。あるいは、電流源103は、電流を下部電極2から上部電極3(金属電極3aおよび透明電極5)に向かう方向に流している。この初期状態では、反射光は、磁化反転層13の磁化方向(図では模式的に右方向の矢印で示す)に従って偏光面を変えることがない。つまり、反射光は入射光と同じ偏光成分を有しており、偏光フィルタ106b(偏光フィルタ106aと同特性)を透過して、スクリーン107に到達して表示される。その結果、スクリーン107には、明るい映像が表示されることとなる。
一方、図4(b)に示す反転状態では、例えば、電流源103は電流を流している。あるいは、電流源103は、電流を上部電極3(金属電極3aおよび透明電極5)から下部電極2に向かう方向に流している。この電流によって、磁化固定層11から非磁性中間層12を介して磁化反転層13へ電子がスピンを保ったまま注入されるため、磁化反転層13の磁化方向は、磁化固定層11と同じ向き(図では模式的に左方向の矢印で示す)となるように回転(反転)する。この反転状態では、反射光は、磁化反転層13の磁化方向(図では模式的に左方向の矢印で示す)に従って磁気光学的カー効果により偏光面が回転する。つまり、反射光は入射光とは異なる偏光成分を有し、偏光フィルタ106bを透過しないので、スクリーン107に到達できない。その結果、スクリーン107は暗くなることとなる。
電流制御手段104は、このように磁気光学素子10に流す電流の大きさや向きを変化させることで、スピン注入を行い、磁化反転層13の磁化方向の向きや大きさを制御することができる。そして、磁気光学素子10の光磁気カー効果によって、初期状態と反転状態(スピン注入磁化反転状態)とにそれぞれ、光の明暗の2状態を割り当てることが可能である。なお、初期状態を暗状態に割り当てると共に、反転状態に明状態を割り当てるようにしてもよい。
本実施形態によれば、磁気光学式空間光変調器1において、穴3bを有する金属電極3aが、窓(透明電極)5と比較して比抵抗が非常に小さいので、上部電極3と下部電極2とが対向して交差する領域にある画素4に電流が行き渡り易くなる。したがって、磁気光学素子10に対してスピン注入することが可能となる電流密度を有した電流を上部電極3に流すことができる。そのため、磁気光学式空間光変調器1を、スピン注入によって磁気光学素子10を磁化反転させる構造としたので、公知の微細加工技術によって、サブミクロンの画素サイズを実現することが可能であると共に、高速応答で光を変調することができる。しかも、上部電極3の穴3bに配設された窓5が磁気光学素子10への光路となっているので、磁気光学素子10に対する透明性が確保されて磁気光学的カー効果による磁化方向の回転が起こり易くなる。
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第1実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素4と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略する。なお、第2実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素24は、1つの画素に1つの磁気光学素子10を有するものである。
図5に示すように、画素24は、上部電極3の穴3bに、窓(透明電極)25が設けられている。この透明電極5は、穴3bの周縁上で、金属電極3aの上に積層されたオーバーラップ部25aを有している。このような構造にすることにより、オーバーラップ部25aが存在しない場合と比較して、透明電極5と金属電極3aとの接触面積が増加する。そのため、透明電極5と金属電極3aとの間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、上部電極3に対してより大きな電流密度の電流を流すことができるので、磁気光学素子10にスピン注入し易くなる。ここで、平面視でオーバーラップ部25aの面積が大きいほど、接触抵抗を低下させる効果が高いので、上部電極3において、画素24のオーバーラップ部25aは、当該画素24の両隣に配置される画素の上のオーバーラップ部と接続されることが好ましい。
(第3実施形態)
図6は、本発明の第3実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第1実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素4と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略する。なお、第3実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素34は、1つの画素に1つの磁気光学素子10を有するものである。
図6に示すように、画素34は、上部電極3の穴に、窓(透明電極)35が設けられている。上部電極3の穴は、下底部が上底部よりも小さくなるような所定の傾きを側面に有している。このため、透明電極35は、穴のスロープ3c上で金属電極3aにオーバーラップする。このような構造にすることにより、金属電極3aの穴の側面に傾きが無い場合と比較して、透明電極35と金属電極3aとの接触面積が増加する。そのため、透明電極35と金属電極3aとの間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、上部電極3に対してより大きな電流密度の電流を流すことができるので、磁気光学素子10にスピン注入し易くなる。ここで、金属電極3aの穴は、側面に所定の傾きを有したすり鉢状に形成されるが、このすり鉢の底面の形状は、任意であり、正方形でも円形でもよい。すり鉢の底面が正方形の場合には、すり鉢の斜面は正四角錐の斜面と同様のものとなり、すり鉢の底面が円形の場合には、すり鉢の斜面は円錐の斜面と同様のもとなる。なお、窓35の面積や窓の幅と言う場合には、磁気光学素子10側の下底部(底面)の面積や幅を指すものとする。
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第2実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素24と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略する。なお、第4実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素44は、1つの画素に1つの磁気光学素子10を有するものである。
図7に示すように、画素44は、上部電極3の穴に、窓(透明電極)45が設けられており、この透明電極45の下地として、金属膜から成る下地層46が積層されている。このような構造にすることにより、下地層46によって、透明電極45と磁気光学素子10との間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、マトリクス状に2次元配列される各画素44に均一な電流または電圧を提供することができる。その結果、各画素44における抵抗を、画素間のばらつきが少ないものとすることができる。なお、図2に示した画素4において、窓(透明電極)5の下地として、金属膜から成る下地層46を積層するようにしてもよい。
また、図7に示した画素44は、穴の周縁上で、金属電極3aの上に下地層46を介して積層されたオーバーラップ部45aを有している。このような構造にすることにより、透明電極45と金属電極3aとの間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、マトリクス状に2次元配列される各画素44に均一な電流または電圧を提供し易くなる。その結果、上部電極3に設けられる各画素44(図7では1個だけを示す)を駆動するときの電極抵抗のそれぞれの抵抗値のばらつきを少なくすることができる。
ここで、下地層46を形成する金属元素は、例えば、Au、Ru、Ta、または、それらのうち2種以上を含む合金等を用いることができる。また、下地層46の厚さを1nm未満とした場合には、連続した金属膜にならず、下地層46の厚さを10nmより大きくした場合には、窓45を透過する光の透過率が悪くなり、磁気光学的カー効果も減少し、空間光変調器としてのSN比が劣化することとなる。そのため、下地層46の厚さは、1〜10nmであることが好ましい。
(第5実施形態)
図8は、本発明の第5実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第3実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素34と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略する。なお、第5実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素54は、1つの画素に1つの磁気光学素子10を有するものである。
図8に示すように、画素54は、上部電極3の穴に、窓(透明電極)55が設けられており、この透明電極55の下地として、金属膜から成る下地層56が積層されている。下地層56は、磁気光学素子10の上に積層されており、図7に示した下地層46と同様な材料および厚みを有している。このような構造にすることにより、透明電極55と磁気光学素子10との間の接触抵抗を低下させることができる。
また、画素54は、穴の側面のスロープ3cの上に下地層56が積層されている。このような構造にすることにより、透明電極55と金属電極3aとの間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、マトリクス状に2次元配列される各画素54に均一な電流または電圧を提供し易くなる。その結果、上部電極3に設けられる各画素54(図8では1個だけを示す)を駆動するときの電極抵抗のそれぞれの抵抗値のばらつきを少なくすることができる。
(第6実施形態)
図9は、本発明の第6実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第6実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素24Aは、1つの画素に4個(断面図では、4個のうちの2個を表示している)の磁気光学素子10Aを有する以外は、第2実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素24と同一なので、説明を省略する。なお、図9に示した構成に対して、第4実施形態で説明した下地層46(図7参照)をさらに追加するようにしてもよい。この場合には、製造の手間を省力化するために、下地層46を、磁気光学素子10Aの直上のみではなく、窓25の下底部(底面)全体に積層することが好ましい。
(第7実施形態)
図10は、本発明の第7実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第7実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素34Aは、1つの画素に4個(断面図では、4個のうちの2個を表示している)の磁気光学素子10Aを有する以外は、第3実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素34と同一なので、説明を省略する。なお、図10に示した構成に対して、第5実施形態で説明した下地層56(図8参照)をさらに追加するようにしてもよい。この場合には、製造の手間を省力化するために、下地層56を、磁気光学素子10Aの直上のみではなく、窓35の下底部(底面)全体に積層することが好ましい。
以上、各実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、磁気光学式空間光変調器は、画素中の磁気光学素子10(10A)は、電流の流れる方向に垂直な面の形状が方形であるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、平面形状が多角形、円、楕円である磁気光学素子を備えるようにしてもよい。
本発明の効果を確認するために第1実施形態に係る磁気光学式空間光変調器において、計算機を用いたシミュレーションによって、上部電極3の穴3bに設けられた窓5の幅と電極抵抗との関係を求めた(実施例1)。図11は、図2に示した磁気光学式空間光変調器の一例であって、(a)は画素中の窓幅の割合を示す説明図、(b)は画素数を500×500とした場合の平面図をそれぞれ示している。
実施例1の磁気光学式空間光変調器は、図11(a)に示すように、平面視で正方形の画素4と窓(透明電極)5とを備え、これら画素4と窓5とは、それぞれの中心が一致している。また、画素4の1辺を1μm、窓5の1辺をwμm(w<1)とした。また、実施例1の磁気光学式空間光変調器は、図11(b)に示すように、下部電極2および上部電極3をそれぞれ500本、すなわち、縦横500×500の画素4を備えることとした。そして、1つの上部電極3において、金属電極3aの穴3bに設けられた500個の窓5には、それぞれ図11(b)中で左から識別番号k(k=1〜500)を付与した。上部電極3に電流を流す(左右方向に電流を流す)場合、この500個の画素4のうち、両端の画素4からの距離が最長となる位置は、k=250の位置(またはk=251の位置)であり、この位置において、駆動電圧が最も高くなることになる。そこで、実施例1では、k=250の位置での駆動電圧を想定する。
図12は、図11(b)に示した磁気光学式空間光変調器を構成するk=250に位置する画素を駆動するときの電気特性を示すグラフであって、(a)は窓幅と電極抵抗との関係、(b)は窓幅と駆動電圧との関係をそれぞれ示している。
実施例1では、下部電極2および金属電極3aを厚さ700μmのCu層(比抵抗=2μΩcm)で形成し、窓5を厚さ700μmのIZO層(比抵抗=400μΩcm)で形成した(図中、黒丸;Cu−IZO複合窓電極)。
また、比較例1として、穴が存在しない(窓が存在しない)上部電極を厚さ700μmのCu層で形成した(図中、幅広の破線;Cu単一電極)。
また、比較例2として、穴が存在しない(窓が存在しない)上部電極を厚さ700μmのIZO層で形成した(図中、一点鎖線;IZO単一電極)。
図12(a)に示すグラフと、図12(b)に示すグラフとは同形状である。その理由は、図12(a)に示す電極抵抗は、図12(b)に示す駆動電圧と、電流密度の所定値(1×107A/cm2)とから求められる関係だからである。
図12(b)に示すように、比較例1(図中、幅広の破線;Cu単一電極)では、駆動電圧は1V未満となって充分に小さい。また、比較例2(図中、一点鎖線;IZO単一電極)では、駆動電圧は168Vとなって、駆動不可能となってしまう。
一方、実施例1(図中、黒丸印;Cu−IZO複合窓電極)では、窓幅wを増加させるにつれて、駆動電圧が指数関数的に増加する。具体的には、上部電極3の電極幅の90%以下の幅を有した窓5を形成した場合には(窓幅w=0.9μm)、駆動電圧は4.6V以下となって、高速駆動が可能となる。
また、本発明の効果を確認するために第4実施形態に係る磁気光学式空間光変調器において、透明電極の下地に金属膜の下地層を形成した場合の電極抵抗を測定した(実施例2、実施例3)。図13は、透明電極の下地に金属膜を備えるときの画素位置の違いによる電極抵抗のばらつきの程度を示すグラフである。
本実施例(実施例2、実施例3)では、下地金属膜の効果を調査する実験であるため、作製しやすい素子サイズ(平面視20×20μm2)とし、窓5の大きさも素子サイズと同様とした。この素子において、窓5を形成した上部電極3の金属電極3aと下部電極2との間に電流を流し、上部電極3と下部電極2との間の抵抗を4探針測定法により検出した。実施例2および実施例3の磁気光学式空間光変調器は、図11を参照して説明した実施例1と同様な想定をしている。ただし、実施例2では、窓(透明電極)5を形成する前に、下地層46(図7参照)として、展性・延性に優れたAu(金)を厚さ3nmの層で堆積した(図中、Au/IZO)。また、実施例3では、窓(透明電極)5を形成する前に、下地層46(図7参照)として、Ru(ルテニウム)を厚さ3nmの層を堆積した(図中、Ru/IZO)。また、下地層46(図7参照)を設けることなく窓(透明電極)5を形成したものを比較例として図示した(図中、IZO)。なお、窓幅はそれぞれ0.7μmとした。
図13に示すように、下地層46(図7参照)を設けることなく窓(透明電極)5を形成したもの(図中、IZO)では、電極抵抗は、画素位置によって、約2〜20Ωのバラツキがあり、その平均値は約10Ωであった。これは、IZOを磁気光学素子10の上に直接堆積すると、IZOと磁気光学素子10との間の界面において不均一な接続となるためであると考えられる。
一方、図13に示すように、実施例2(図中、Au/IZO)では、電極抵抗は、画素位置によって、約1.4〜1.8Ωのバラツキがあり、その平均値は約1.6Ωであった。つまり、下地層46(図7参照)を設けない場合と比較して、電極抵抗が全体的に低下し、かつ、電極抵抗の値のバラツキが大きく低減された。
さらに、実施例3(図中、Ru/IZO)では、図13に示すように、電極抵抗の画素位置によるバラツキは0.1Ωよりも小さくなっている。なお、その平均値は約2.2Ωであった。つまり、下地層46を設けない場合と比較して、電極抵抗が全体的に低下したが、その下げ幅が実施例2(図中、Au/IZO)よりも僅かに小さかった。また、電極抵抗の値のバラツキは、実施例2(図中、Au/IZO)よりもさらに低減される結果となった。
なお、実施例2で用いたAuの代わりに、展性・延性に優れ、かつ、安定度が高いTa(タンタル)を用いた場合や、Au,Ru,Taのうちの2種以上を含む合金でも実施例2や実施例3と同様な結果が得られると考えられる。
本発明は、ホログラフィ等の画像露光装置、ディスプレイ技術や記録技術、光コンピューティングに関連した技術分野に好適に適用されうる。
本発明の第1実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を模式的に示す平面図である。 図1に示した画素の構成の一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図をそれぞれ示している。 図1に示した画素の構成の他の例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図をそれぞれ示している。 図2に示した画素の動作を模式的に示す説明図であって、(a)は初期状態、(b)は反転状態をそれぞれ示している。 本発明の第2実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。 本発明の第6実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。 本発明の第7実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。 図2に示した磁気光学式空間光変調器の一例であって、(a)は画素中の窓幅の割合を示す説明図、(b)は画素数を500×500とした場合の平面図をそれぞれ示している。 図11(b)に示した磁気光学式空間光変調器を構成するk=250に位置する画素を駆動するときの電気特性を示すグラフであって、(a)は窓幅と電極抵抗との関係、(b)は窓幅と駆動電圧との関係をそれぞれ示している。 透明電極の下地に金属膜を備えるときの画素位置の違いによる電極抵抗のばらつきの程度を示すグラフである。
符号の説明
1 磁気光学式空間光変調器
2 下部電極
3 上部電極
3a 金属電極
3b 穴
3c スロープ
4(4A),24(24A),34(34A),44,54 画素
5,25,35,45,55 窓(透明電極)
6 絶縁部材
10(10A) 磁気光学素子
11 磁化固定層
12 非磁性中間層
13 磁化反転層
14 保護層
25a(45a) オーバーラップ部
46,56 下地層
101 下部電極選択部
102 上部電極選択部
103 電流源
104 電流制御手段
105 レーザ光源
106a,106b 偏光フィルタ
107 スクリーン

Claims (7)

  1. 1画素が1以上の磁気光学素子で形成され、前記磁気光学素子を介して上下にそれぞれ上部電極および下部電極を備えた磁気光学式空間光変調器であって、
    前記上部電極は、
    前記磁気光学素子に対向する領域に、当該磁気光学素子への光路である穴を有する金属電極と、
    この金属電極に形成された穴を充填する透明電極とを備えることを特徴とする磁気光学式空間光変調器。
  2. 前記透明電極は、前記穴の周縁上で、前記金属電極の上に積層されたオーバーラップ部を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気光学式空間光変調器。
  3. 前記金属電極に形成された穴は、下底部が上底部よりも小さくなるような所定の傾きを側面に有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気光学式空間光変調器。
  4. 前記透明電極の下地に金属膜を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器。
  5. 前記透明電極は、インジウム亜鉛酸化物(IZO)から構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器。
  6. 前記磁気光学素子は、CPP−GMR素子またはTMR素子から構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器。
  7. 前記上部電極を介して前記磁気光学素子に流れるパルス電流または直流電流の方向および大きさを制御して、前記磁気光学素子にスピン注入することによって、前記磁気光学素子の磁化を反転させる電流制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器。
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