JP4791945B2 - 磁気光学式空間光変調器 - Google Patents
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また、特許文献2に記載されたMOSLMは、平面視で画素の4辺の周囲を取り囲むX駆動ラインおよびY駆動ラインの組への通電による合成磁界を利用するために、画素を微細化すると隣接した画素へのクロストークが大きくなってしまうという問題がある。
また、かかる構成によれば、磁気光学式空間光変調器において、磁気光学素子としてCPP(Current Perpendicular to the Plane)−GMR(Giant Magneto-Resistance)素子を用いた場合には、膜面に垂直に電流を流すことができるので、膜面内に電流を流すCIP(Current In Plane)−GMR素子と比べて構造上、磁気光学式空間光変調器の微細化に適している。また、磁気光学素子としてTMR(Tunneling Magnetoresistive)素子を用いた場合には、CIP−GMR素子と比べて、磁気抵抗変化が数倍大きくなるので信頼性を高めることができる。
請求項6に記載の発明によれば、微細化の程度や信頼性を高めることができる。
[磁気光学式空間光変調器の構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示した画素の構成の一例を示す図であって、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図をそれぞれ示している。磁気光学式空間光変調器1は、反射型であって、図1に示すように、下部電極2と上部電極3との交差した領域に形成される画素(ピクセル)4をマトリクス状に2次元配列したものである。ここでは、一例として5×5のマトリクス状に2次元配列した。
複数(図1では5本)の下部電極2は帯状の金属電極であって、それぞれ平行に設けられている。下部電極2は、例えば、Cu、Al、Ta、Cr等の金属や合金等からなる一般的な電極用金属材料から構成される。
また、互いに隣り合った上部電極3と上部電極3との隙間には、例えば、SiO2やAl2O3等から成る絶縁部材6が配設されている。また、下部電極2と上部電極3との隙間や、互いに隣り合った下部電極2と下部電極2との隙間にも絶縁部材6が堆積されている。
電流源103は、画素4にパルス電流を供給するものである。なお、直流電流を供給するように構成してもよい。
電流制御手段104は、下部電極選択部101、上部電極選択部102および電流源103を制御するものである。この電流制御手段104は、各画素4に流れる電流の方向および大きさを制御して、各画素4にスピン注入することによって、窓5の下に配設された磁気光学素子10(図2参照)の磁化を反転させる。
次に、図2を参照して、図1に示した画素4を構成する磁気光学素子10について説明する。なお、図2では、1画素の領域を示しているが磁気光学式空間光変調器1は、2次元マトリクス状に配列された複数の画素を有している。磁気光学素子10は、例えば、CPP−GMR素子またはTMR素子から構成され、図2(a)に示すように、電流の流れる方向に垂直な面の形状が方形に構成されている。磁気光学素子10は、窓5の下方内側に設けられており、磁気光学素子10の形状および面積は、窓5の形状および面積と同一であって図上で重なっている。ただし、必ずしもこのように形成する必要は無く、窓5の広さは適宜設計変更できる。例えば、窓5を磁気光学素子10よりも狭く形成してもよいし、2つ以上の画素に対応する複数の磁気光学素子10を含むように広く形成してもよい。なお、窓5の広さは1画素に対応する1以上の磁気光学素子10を含む広さ以上で形成されることが好ましい。
また、磁気光学素子10がTMR素子から構成される場合には、非磁性中間層12は、例えば、酸化物Al2O3薄膜やMgO薄膜等の絶縁体から構成される。この非磁性中間層12の厚さは、スピン偏極電子がトンネルリング(tunneling)できる程度の厚さ(数nm以下)である。
保護層14は、微細加工プロセス中に磁化反転層13が受けるダメージを保護する層であり、Ta,Ru,Cuの単層、または、Cu/Ta,Cu/Ruの2層から構成される。なお、Cu/Taの2層またはCu/Ruの2層から構成される場合には、TaまたはRuを外側(上面)とする。
まず、磁気光学素子10と隣接する磁気光学素子10との間の空間を、例えば、SiO2等の絶縁部材6で封止して、DCスパッタ法により上部電極3の金属電極3aを積層した後に、フォトリソグラフィ法等によって、積層した金属電極3aを所望の形状にパターニングして、金属電極3aに所定数(図1では5個)の穴3bを形成する。そして、RFスパッタ法により各穴3bに透明電極材料を積層して窓5とすることで各画素4を形成する。なお、磁気光学素子10と上下の電極とを含めてCPP−GMR素子またはTMR素子を構成するようにしてもよい。すなわち、下部電極2と、磁化固定層11と、非磁性中間層12と、磁化反転層13と、保護層14と、上部電極3とから、CPP−GMR素子またはTMR素子を構成するようにしてもよい。
また、下部電極2および金属電極3aの電極材料としてCuを用いて、DCスパッタ法により形成した場合には、下部電極2および金属電極3a(Cu電極)の比抵抗は2μΩcm程度となる。つまり、窓5の比抵抗は、金属電極3aの比抵抗の約200倍となる。
次に、本実施形態の磁気光学式空間光変調器1の動作について、図4を参照して説明する。ここでは、説明を簡単にするために、磁気光学式空間光変調器1は、1つの画素4に1つの磁気光学素子10を有し、また、1つの画素4のみを備えているものとして説明する。図4は、図2に示した画素の動作を模式的に示す説明図であって、(a)は初期状態、(b)は反転状態をそれぞれ示している。ただし、図4では、磁気光学式光変調器1の動作の概念を分かり易く示すことを主眼としているため、磁気光学素子10の保護層を図示していない。
図5は、本発明の第2実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第1実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素4と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略する。なお、第2実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素24は、1つの画素に1つの磁気光学素子10を有するものである。
図6は、本発明の第3実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第1実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素4と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略する。なお、第3実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素34は、1つの画素に1つの磁気光学素子10を有するものである。
図7は、本発明の第4実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第2実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素24と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略する。なお、第4実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素44は、1つの画素に1つの磁気光学素子10を有するものである。
図8は、本発明の第5実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第3実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素34と同一の構成には同一の番号を付して説明を省略する。なお、第5実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素54は、1つの画素に1つの磁気光学素子10を有するものである。
また、画素54は、穴の側面のスロープ3cの上に下地層56が積層されている。このような構造にすることにより、透明電極55と金属電極3aとの間の接触抵抗を低下させることができる。したがって、マトリクス状に2次元配列される各画素54に均一な電流または電圧を提供し易くなる。その結果、上部電極3に設けられる各画素54(図8では1個だけを示す)を駆動するときの電極抵抗のそれぞれの抵抗値のばらつきを少なくすることができる。
図9は、本発明の第6実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第6実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素24Aは、1つの画素に4個(断面図では、4個のうちの2個を表示している)の磁気光学素子10Aを有する以外は、第2実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素24と同一なので、説明を省略する。なお、図9に示した構成に対して、第4実施形態で説明した下地層46(図7参照)をさらに追加するようにしてもよい。この場合には、製造の手間を省力化するために、下地層46を、磁気光学素子10Aの直上のみではなく、窓25の下底部(底面)全体に積層することが好ましい。
図10は、本発明の第7実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素の一例を示す断面図である。第7実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素34Aは、1つの画素に4個(断面図では、4個のうちの2個を表示している)の磁気光学素子10Aを有する以外は、第3実施形態に係る磁気光学式空間光変調器を構成する画素34と同一なので、説明を省略する。なお、図10に示した構成に対して、第5実施形態で説明した下地層56(図8参照)をさらに追加するようにしてもよい。この場合には、製造の手間を省力化するために、下地層56を、磁気光学素子10Aの直上のみではなく、窓35の下底部(底面)全体に積層することが好ましい。
実施例1では、下部電極2および金属電極3aを厚さ700μmのCu層(比抵抗=2μΩcm)で形成し、窓5を厚さ700μmのIZO層(比抵抗=400μΩcm)で形成した(図中、黒丸;Cu−IZO複合窓電極)。
また、比較例1として、穴が存在しない(窓が存在しない)上部電極を厚さ700μmのCu層で形成した(図中、幅広の破線;Cu単一電極)。
また、比較例2として、穴が存在しない(窓が存在しない)上部電極を厚さ700μmのIZO層で形成した(図中、一点鎖線;IZO単一電極)。
図12(b)に示すように、比較例1(図中、幅広の破線;Cu単一電極)では、駆動電圧は1V未満となって充分に小さい。また、比較例2(図中、一点鎖線;IZO単一電極)では、駆動電圧は168Vとなって、駆動不可能となってしまう。
一方、実施例1(図中、黒丸印;Cu−IZO複合窓電極)では、窓幅wを増加させるにつれて、駆動電圧が指数関数的に増加する。具体的には、上部電極3の電極幅の90%以下の幅を有した窓5を形成した場合には(窓幅w=0.9μm)、駆動電圧は4.6V以下となって、高速駆動が可能となる。
2 下部電極
3 上部電極
3a 金属電極
3b 穴
3c スロープ
4(4A),24(24A),34(34A),44,54 画素
5,25,35,45,55 窓(透明電極)
6 絶縁部材
10(10A) 磁気光学素子
11 磁化固定層
12 非磁性中間層
13 磁化反転層
14 保護層
25a(45a) オーバーラップ部
46,56 下地層
101 下部電極選択部
102 上部電極選択部
103 電流源
104 電流制御手段
105 レーザ光源
106a,106b 偏光フィルタ
107 スクリーン
Claims (6)
- 1画素に対して1以上設けられる磁気光学素子と、
前記磁気光学素子を介して上下にそれぞれに配置されて、前記磁気光学素子にスピン注入する上部電極および下部電極と、
を備え、上部側から前記画素に入射する光を変調する磁気光学式空間光変調器であって、
前記磁気光学素子は、スピン注入されることにより磁化を反転させるCPP−GMR素子またはTMR素子から構成され、
前記上部電極は、
前記磁気光学素子に対向する領域に、当該磁気光学素子に前記光が入射するための光路となる穴を有する金属電極と、
この金属電極に形成された穴を充填する透明電極とを備えることを特徴とする磁気光学式空間光変調器。 - 前記透明電極は、前記穴の周縁上で、前記金属電極の上に積層されたオーバーラップ部を有することを特徴とする請求項1に記載の磁気光学式空間光変調器。
- 前記金属電極に形成された穴は、下底部が上底部よりも小さくなるような所定の傾きを側面に有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気光学式空間光変調器。
- 前記透明電極の下地に金属膜を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器。
- 前記透明電極は、インジウム亜鉛酸化物(IZO)から構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器。
- 前記上部電極を介して前記磁気光学素子に流れるパルス電流または直流電流の方向および大きさを制御して、前記磁気光学素子にスピン注入することによって、前記磁気光学素子の磁化を反転させる電流制御手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の磁気光学式空間光変調器。
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