JP2011046781A - ポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物からなる成形品 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物からなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】成形流動性、機械的強度、耐ブリスタ性、耐熱性(難燃性)及び低吸水性に優れたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物からなる成形品を提供する。
【解決手段】テレフタル酸単位を60〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなる(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂組成物の融点が280℃以上であり、且つ前記融点と結晶化温度との差(ΔT)が33℃以上である、ポリアミド樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物からなる成形品に関する。
ナイロン6やナイロン66に代表される脂肪族ポリアミドは、耐熱性、耐薬品性、剛性、耐摩耗性、成形性などの点で優れた性質を有する。そのため、エンジニアリングプラスチックとして多くの用途に使用されている。特に、これらの脂肪族ポリアミドを電気・電子部品の材料に用いる場合、UL−94規格に基づく高い難燃性が要求されるため、種々の難燃剤による難燃化の方法が多数提案され、実用化されているものもある。
しかし、これらの脂肪族ポリアミドは吸水性が高く、成形品の寸法変化、物性低下、及び成形品の表面に生じる水膨れ状の膨張(ブリスタ現象)が発生し、問題となっている。さらに近年、難燃化が要求される電気・電子部品では、部品の高密度実装や、半田付け工程の効率化などの目的で、表面実装方式(SMT)と呼ばれる実装方法が急速に浸透している。ところが、従来の脂肪族ポリアミドは、耐熱性の面で、この実装方法を適用できない。特に最近では、環境規制の問題に起因して、従来の鉛半田でなく、融点のより高い鉛レス半田が主流になっており、SMT用途に求められる耐熱性の水準は一層高くなっている。さらに、携帯電話やパソコンの高機能化に伴い、SMTコネクターの薄肉・低背化(厚みを小さくすること)が進んでいる。加えて、最近では、生産性を向上させるため、1ショットで多数個成形できる射出成形法が採用されており、耐熱性だけでなく、高い成形流動性を有し且つ機械的強度にも優れた材料が要求されている。
そこで、特許文献1〜4には、電気・電子部品に用いるための、脂肪族アルキレンジアミン及びテレフタル酸からなるポリアミドを主成分とした高耐熱性の半芳香族ポリアミドが開示されている。
また、特許文献5には、半芳香族ポリアミドに、吸水性の低いポリフェニレンエーテルをアロイ化したポリマーアロイが開示されている。
特開平3−239755号公報 特開平4−96970号公報 特開平5−320503号公報 特開平6−263985号公報 特開2007−154107号公報
しかしながら、特許文献1〜4に開示された高耐熱性の半芳香族ポリアミドは、機械的強度及び耐熱性に優れるものの、薄肉・低背化が進む用途に求められる成形流動性及び吸水性の点で十分とはいえない。
一方、特許文献5に開示されたポリフェニレンエーテルとのポリマーでは、吸水性は改善されるものの、成形流動性は十分に良好とはいえない。
このように、薄肉・低背化が進む用途(SMTコネクター用途)において、要求される性能を満たす材料が求められている。
そこで、本発明の目的は、成形流動性、機械的強度、耐ブリスタ性、耐熱性(難燃性)及び低吸水性に優れたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物からなる成形品を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究した。その結果、特定のポリアミド樹脂組成物の融点を一定の温度以上とし、且つ当該融点と結晶化温度との差を一定の温度以上とすることにより、成形流動性、機械的強度、耐ブリスタ性、耐熱性(難燃性)及び低吸水性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
テレフタル酸単位を60〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなる(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物であって、該ポリアミド樹脂組成物の融点が280℃以上であり、且つ前記融点と結晶化温度との差(ΔT)が33℃以上である、ポリアミド樹脂組成物。
[2]
(A)半芳香族ポリアミドが、ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して85モル%以上の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−1)の半芳香族ポリアミドと、ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して60モル%未満の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−2)の半芳香族ポリアミドとからなり、前記(A−1)の半芳香族ポリアミド及び前記(A−2)の半芳香族ポリアミドを溶融混合してなる、[1]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[3]
テレフタル酸単位を60〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなる(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物であって、(A)半芳香族ポリアミドが、ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して85モル%以上の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−1)の半芳香族ポリアミドと、ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して60モル%未満の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−2)の半芳香族ポリアミドとからなり、(A)半芳香族ポリアミドの融点が280℃以上であり、且つ前記融点と結晶化温度との差(ΔT)が33℃以上である、ポリアミド樹脂組成物。
[4]
(A)半芳香族ポリアミドが、テレフタル酸単位100モル%からなるジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなり、(A)半芳香族ポリアミドが、ジアミン単位(b)の合計100質量%に対して85質量%以上の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−1)の半芳香族ポリアミドと、ジアミン単位(b)の合計100質量%に対して60質量%未満の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−2)の半芳香族ポリアミドとからなり、前記(A−1)の半芳香族ポリアミド及び前記(A−2)の半芳香族ポリアミドを溶融混合してなる、[1]又は[3]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[5]
(B)ポリフェニレンエーテルをさらに含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[6]
(C)ホスフィン酸塩をさらに含む、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[7]
(G)無機フィラーをさらに含む、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[8]
(G)無機フィラーがガラス繊維である、[7]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[9]
(D)衝撃改良材、(E)相溶化剤及び(F)銅化合物からなる群より選択される一以上をさらに含む、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
[10]
[1]〜[9]のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物からなる、成形品。
本発明によれば、成形流動性、機械的強度、耐ブリスタ性、耐熱性(難燃性)及び低吸水性に優れたポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂組成物からなる成形品が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。 本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、テレフタル酸単位を60〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなる(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物であって、当該ポリアミド樹脂組成物の融点が280℃以上であり、且つ前記融点と結晶化温度との差(ΔT)が33℃以上である。
[ポリアミド樹脂]
本実施の形態におけるポリアミド樹脂は、(A)半芳香族ポリアミドを含む。
〔(A)半芳香族ポリアミド〕
本実施の形態における(A)半芳香族ポリアミドは、ジカルボン酸単位(a)とジアミン単位(b)とからなる。
<ジカルボン酸単位(a)>
本実施の形態におけるジカルボン酸単位(a)は、当該単位(a)中、テレフタル酸単位を60〜100モル%含有し、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%、さらにより好ましくは100モル%含有する。
ジカルボン酸単位(a)は、テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位を含有してもよい。かかるテレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位としては、以下に制限されないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;並びに、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位の含有率は、ジカルボン酸単位(a)中、40モル%以下であり、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、さらにより好ましくは0モル%(すなわち、含有しない。)である。さらに、テレフタル酸単位以外のジカルボン酸単位として、トリメリット酸、トリメシン酸やピロメリット酸などの多価カルボン酸から誘導される単位が、溶融成形の可能な範囲内で含有されてもよい。
<ジアミン単位(b)>
本実施の形態におけるジアミン単位(b)は、得られるポリアミド樹脂組成物の耐熱性、低吸水性や耐薬品性などが過度に低下しないようにする観点から、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有し、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは80〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%、さらにより好ましくは100モル%含有する。
1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を併用する場合には、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位(モル比)が、耐熱性を向上させる観点から、好ましくは99:1〜1:99、より好ましくは95:5〜60:40、さらに好ましくは90:10〜75:25である。
1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位(モル比)を上記範囲内にする方法として、以下に制限されないが、重合時に1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位をそれぞれの比率で用いて重合する方法、並びに1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位の比が異なる2種類の半芳香族ポリアミドを溶融混合することによって最終的に所望の比とする方法が挙げられる。好ましくは後者の方法である。
上記した2種類の半芳香族ポリアミドを溶融混合することにより得る方法としては、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位(モル比)が85以上:15以下(好ましくは95:5〜80:20)である半芳香族ポリアミドと、当該モル比が60未満:40超(好ましくは60未満:40超〜40:60)である半芳香族ポリアミドとを調製してから、これらを混合する。
1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を上記した比で含有するポリアミド樹脂を用いた場合、本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物が、耐熱性、成形性及び低吸水性の点で優れたものとなり、さらに表面外観に一層優れた成形品が得られる。
また、ジアミン単位(b)は、1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位以外の炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位を含有してもよい。
上記の1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位以外の炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位としては、以下に制限されないが、例えば、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン等の直鎖状脂肪族アルキレンジアミン;1−ブチル−1,2−エタンジアミン、1,1−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1−エチル−1,4−ブタンジアミン、1,2−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、1,4−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,5−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、3,3−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,4−ジエチル−1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,3−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,4−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、2,5−ジメチル−1,7−ヘプタンジアミン、3−メチル−1,8−オクタンジアミン、4−メチル−1,8−オクタンジアミン、1,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、1,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,5−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、2,2−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、3,3−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、4,4−ジメチル−1,8−オクタンジアミン、5−メチル−1,9−ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族アルキレンジアミンから誘導される単位が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の中でも、好ましくは、1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン及び1,12−ドデカンジアミンから誘導される単位である。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位も含めた炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位は、得られるポリアミド樹脂組成物の耐熱性、低吸水性や耐薬品性などが過度に低下しないようにする観点から、ジアミン単位(b)中、50〜100モル%含有し、好ましくは60〜100モル%、より好ましくは75〜100モル%、さらに好ましくは90〜100モル%、さらにより好ましくは100モル%含有する。
ジアミン単位(b)はまた、炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位以外のジアミン単位を含有してもよい。当該ジアミン単位としては、以下に制限されないが、例えば、エチレンジアミン、プロパンジアミン及び1,4−ブタンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン及びトリシクロデカンジメチルアミン等の脂環式ジアミン;並びに、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記した炭素数6〜18の脂肪族アルキレンジアミン単位以外のジアミン単位の含有率は、ジアミン単位(b)中、50モル%以下であり、好ましくは40モル%以下、より好ましくは25モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下、さらにより好ましくは0モル%(すなわち、含有しない。)である。
〔末端封止剤〕
上述の(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂において、その分子鎖の末端基が末端封止剤により封止されている割合(末端封止率)は、好ましくは10%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは70%以上である。前記末端封止率が10%以上のポリアミド樹脂を用いた場合、得られるポリアミド樹脂組成物の溶融成形性、及び当該組成物から得られる成形品の表面外観などの物性が一層優れたものとなる。
ここで、末端封止率は、ポリアミド樹脂に存在する末端のカルボキシル基及びアミノ基、並びに末端封止剤によって封止された末端の基の数をそれぞれ測定し、下記式(1)に従って求めることができる。それぞれの末端基の数は、H−NMRにより、精度及び簡便さの観点から、それぞれの末端基に対応する特性シグナルの積分値に基づいて求めるのが好ましい。
末端封止率(%)={(A−B)/A}×100 (1)
上記式中、「A」は分子鎖末端基の総数(通常、ポリアミド分子の数の2倍に等しい。)を表し、「B」はカルボキシル基末端及びアミノ基末端の合計数を表す。
(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂の末端を封止するための末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基又はカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば、特に制限されることはない。反応性及び封止末端の安定性などの観点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、加えて取扱いの容易さなどの観点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類やモノアルコール類などを使用することもできる。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限されることはない。かかる具体例として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸及びイソ酪酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸及びフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;並びにこれらの任意の混合物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、及び価格などの観点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及び安息香酸からなる群より選択される一以上が好ましい。
末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限されることはない。かかる具体例として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン;並びにこれらの任意の混合物が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、反応性、高沸点、封止末端の安定性及び価格などの観点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン及びアニリンからなる群より選択される一以上が好ましい。
[ポリアミド樹脂の製造方法]
上述の(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂は、結晶性ポリアミドを製造する方法として公知である任意の方法を用いて製造することができる。以下に制限されないが、例えば、酸クロライド及びジアミンを原料とする溶液重合法及び界面重合法、並びにジカルボン酸及びジアミンを原料とする溶融重合法、固相重合法、及び溶融押出重合法が挙げられる。
(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂の製造方法の具体例を説明する。最初にジカルボン酸単位(a)となるジカルボン酸成分と、ジアミン単位(b)となるジアミン成分と、触媒と、必要に応じて上記末端封止剤とを一括して添加してナイロン塩を製造する。続いて、200〜250℃で加熱重合し、濃硫酸中30℃における極限粘度[η]が0.1〜0.6dL/gのプレポリマーとし、さらに固相重合するか、又は溶融押出機を用いて重合させる方法があり得る。ここで、プレポリマーの極限粘度[η]が0.1〜0.6dL/gの範囲内である場合、後の重合段階において、カルボキシル基とアミノ基とのモルバランスのズレ、重合速度の低下の度合い、及び分子量分布がいずれも小さい、各種の物性や成形性に優れたポリアミド樹脂が得られる。
重合の最終段階を固相重合により行う場合、減圧下又は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、重合温度が200〜280℃の範囲内であれば、重合速度が大きく、生産性に優れ、且つ着色やゲル化を有効に抑制することができる。重合の最終段階を溶融押出機により行う場合の重合温度としては、370℃以下が好ましい。かかる条件で重合した場合、ポリアミド樹脂が殆ど分解せず、劣化の無いポリアミド樹脂が得られる。
(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂の製造に際し、上記の末端封止剤以外に、例えば、上記の触媒を添加することができる。前記触媒として、以下に制限されないが、例えば、リン酸、亜リン酸及び次亜リン酸、並びにそれらの塩又はエステルが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の塩又はエステルとしては、以下に制限されないが、例えば、リン酸、亜リン酸及び次亜リン酸と、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属との塩;リン酸、亜リン酸及び次亜リン酸のアンモニウム塩;並びに、リン酸、亜リン酸及び次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル及びフェニルエステルが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂において、濃硫酸中30℃で測定した極限粘度[η]は、好ましくは0.4〜3.0dL/gの範囲内、より好ましくは0.5〜2.0dL/gの範囲内、さらに好ましくは0.6〜1.5dL/gの範囲内である。極限粘度[η]が上記の範囲内のものを使用した場合、力学的特性及び耐熱性などに一層優れた、ポリアミド樹脂組成物からなる成形品が得られる。
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物の融点は280℃以上であり、好ましくは285℃以上である。前記融点が280℃以上の場合、電子材料などの表面実装技術を用いた半田リフロー工程において、樹脂の膨れ不良(以下、「ブリスタ」ともいう。)を効果的に抑制できる。本明細書における融点は、示差走査熱量(DSC)測定装置を用いて測定した値を採用する。
また、本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物の上記融点と結晶化温度との差(ΔT)は33℃以上であり、好ましくは35℃以上である。より具体的には、前記ポリアミド樹脂組成物の結晶化温度は、前記融点より33℃以上低く、好ましくは前記融点より35℃以上低い。本明細書における結晶化温度は、示差走査熱量(DSC)測定装置を用いて測定した値を採用する。ΔTが33℃以上である場合(すなわち、結晶化温度が融点より33℃以上低い温度である場合)、成形流動性に優れ、特に、厚み1mm以下の薄肉成形の際に金型内の成形流動性が向上する。
融点及び結晶化温度の具体的測定方法としては、まず、DSCを用い樹脂試料を340℃まで加熱し、2分間保持する。その後、20℃/minの降温速度で40℃まで冷却し、40℃で少なくとも5分間保持する。その後、さらに20℃/minの昇温速度で340℃まで再加熱する。その後に行われる冷却の間の発熱ピークトップを結晶化温度とし、2回目の加熱時に観測される吸熱ピークトップを融点とする。
融解を示す吸熱ピークが複数観測される場合には、吸熱ピークから計算される融解エンタルピーが5J/g以上であるピークのうち、最も高温域にある吸熱ピークトップの温度を融点とする。
(A)半芳香族ポリアミドからなるポリアミド樹脂組成物の場合、又は当該組成物の融点及び結晶化温度に影響を与えない程度の添加剤を加えたポリアミド樹脂組成物の場合、(A)半芳香族ポリアミドの融点及び結晶化温度が(ほぼ)そのままポリアミド樹脂組成物の融点及び結晶化温度となる。
すなわち、上記のような場合、(A)半芳香族ポリアミドの融点が280℃以上であり、且つ前記融点と結晶化温度との差(ΔT)が33℃以上である。また、本明細書におけるポリアミド樹脂組成物の融点、結晶化温度及びΔTに関する記載事項は、(A)半芳香族ポリアミドの融点、結晶化温度及びΔTでも同様である。
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物の融点を280℃以上とし、且つ結晶化温度を前記融点より33℃以上低くする方法としては、種々の方法があり得る。
まず、ポリアミド樹脂組成物の融点を280℃以上とする方法としては、例えば、2種類の半芳香族ポリアミドを溶融混合してポリアミド樹脂組成物を得る方法が挙げられる。具体的にはジカルボン酸単位を全て(100モル%)テレフタル酸とし、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が85:15である(A−1)の半芳香族ポリアミド[ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して85モル%以上の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−1)の半芳香族ポリアミド)]と、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が50:50である(A−2)の半芳香族ポリアミド[ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して60モル%未満の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−2)の半芳香族ポリアミド]と、を選択する。
かかる場合、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が60以上:40以下となるように、1,9−ノナンジアミンがリッチな条件で溶融混合した(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物とすることが必要である。すなわち、ポリアミド樹脂組成物の融点を280℃以上にするために、上述の溶融混合を行った場合、上記の組成(60以上:40以下)になる。
一方、ジカルボン酸単位を全て(100モル%)テレフタル酸とし、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比を67以下:33以上として重合した(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物とすることによっても、ポリアミド樹脂組成物の融点を280℃以上とすることができる。
ジカルボン酸単位を全てテレフタル酸とし、かつ1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比を適当に変化させた場合、単一種の半芳香族ポリアミドの代わりに、2種以上の半芳香族ポリアミドを用いてこれらを溶融混合することで、前記ポリアミド樹脂組成物の結晶化温度をその融点より33℃以上低くすることができる。
前記ポリアミド樹脂組成物の結晶化温度をその融点より33℃以上低くする方法について説明する。上記のとおり、2種以上の半芳香族ポリアミドを溶融混合してポリアミド樹脂組成物を得る方法が挙げられる。ジカルボン酸単位を全てテレフタル酸とし、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が85:15である(A−1)の半芳香族ポリアミド[ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して85モル%以上の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−1)の半芳香族ポリアミド)]と、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が50:50である(A−2)の半芳香族ポリアミド[ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して60モル%未満の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−2)の半芳香族ポリアミド]とを選択した場合、1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位のモル比が79:21〜60:40の範囲となるように溶融混合することによって、上記した結晶化温度を融点より33℃以上低くすることが達成できる。
[(B)ポリフェニレンエーテル]
本発明者らは、さらに、ポリフェニレンエーテルとアロイ化したポリアミド樹脂組成物において、当該組成物の融点及び結晶化温度を一定の温度以上とすることにより、成形流動性、機械的強度、耐ブリスタ性、耐熱性(難燃性)及び低吸水性に顕著に優れたポリアミド樹脂組成物が得られることを見出した。
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、(B)ポリフェニレンエーテルをさらに含むことが好ましい。
(B)ポリフェニレンエーテルとしては、例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニルフェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロフェニレンエーテル)、及び2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−17880号公報に記載されているような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)といったポリフェニレンエーテル共重合体が挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンエーテル)、及び2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、並びにこれらの混合物である。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記した2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体を使用する場合、2,3,6−トリメチルフェノールの量として、好ましくは15〜40モル%の範囲内である。
(B)ポリフェニレンエーテルの製造方法は、公知の方法であれば特に制限されることはない。例えば、米国特許第3306874号明細書、米国特許第3306875号明細書、米国特許第3257357号明細書、米国特許第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報、特公昭52−17880号公報、及び特公昭63−152628号公報などに記載された製造方法などが挙げられる。
(B)ポリフェニレンエーテルの還元粘度(0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定)は、好ましくは、0.35dL/g〜0.65dL/gの範囲内である。より好ましくは、0.40dL/g〜0.60dL/gの範囲である。
(B)ポリフェニレンエーテルは、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであってもよい。
(B)ポリフェニレンエーテルは、全部又は一部が変性されたポリフェニレンエーテルであってもよい。前記変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に一以上の炭素同士の二重結合及び/又は三重結合、並びにカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基及びグリシジル基からなる群より選択される一以上の基を有する、1種以上の変性化合物により変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
当該変性されたポリフェニレンエーテルの製造方法としては、以下に制限されないが、ラジカル開始剤の存在下又は不存在下で、
(1)100℃以上、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法、
(2)ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、及び
(3)ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物を溶液中で反応させる方法、
が挙げられる。中でも好ましくは、上記(1)又は(2)の方法である。
分子構造内に一以上の炭素同士の二重結合及び/又は三重結合、並びにカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基及びグリシジル基からなる群より選択される一以上の基を有する、1種以上の変性化合物が、上記の方法において好適に使用できる。これらの変性化合物について以下で具体的に説明する。
分子構造内に炭素同士の二重結合、及びカルボン酸基又は酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、以下に制限されないが、例えば、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、及びシス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、並びにこれらの酸無水物が挙げられる。中でも、好ましくは、マレイン酸、クエン酸、イタコン酸、無水マレイン酸及びフマル酸であり、より好ましくはクエン酸、イタコン酸及び無水マレイン酸である。また、上記変性化合物として、これら不飽和ジカルボン酸における2個のカルボキシル基のうちの1個又は2個がエステルになっているものもあり得る。
分子構造内に炭素同士の二重結合及びグリシジル基を同時に有する変性化合物としては、以下に制限されないが、例えば、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、及びエポキシ化天然油脂が挙げられる。中でも、グリシジルアクリレート及びグリシジルメタアクリレートが好ましい。
分子構造内に炭素同士の二重結合及び水酸基を同時に有する変性化合物としては、以下に制限されないが、例えば、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オール等の一般式C2n−3OH、C2n−5OH、及びC2n−7OH(いずれもnは正の整数)で表される不飽和アルコールが挙げられる。
上述した変性化合物は、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、より好ましくは0.3〜5質量部である。
ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.001〜1質量部である。
また、変性されたポリフェニレンエーテルへの変性化合物の付加率は、0.01〜5質量%が好ましい。より好ましくは0.10〜3質量%である。
当該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/又は変性化合物の重合体が1質量%未満の量であれば残存してもよい。
さらに、ポリフェニレンエーテルに添加可能な公知の添加剤なども、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して10質量部未満の量で添加してもよい。
本実施の形態において、(A)ポリアミド及び(B)ポリフェニレンエーテルの質量比は、両者の合計を100質量部としたときに、好ましくは(A)ポリアミド50〜100質量部及び(B)ポリフェニレンエーテル50〜0質量部である。より好ましくは(A)ポリアミド50〜80質量部及び(B)ポリフェニレンエーテル50〜20質量部であり、さらに好ましくは(A)ポリアミド50〜70質量部及び(B)ポリフェニレンエーテル50〜30質量部である。
また、本実施の形態では、スチレン系熱可塑性樹脂を、ポリアミド及びポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して、30質量部未満の量であれば配合してもよい。
前記スチレン系熱可塑性樹脂としては、以下に制限されないが、例えば、ホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)及びスチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)が挙げられる。
[(C)ホスフィン酸塩]
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、(C)ホスフィン酸塩をさらに含むことが好ましい。
上記(C)ホスフィン酸塩として、以下に制限されないが、下記式(1)で表されるホスフィン酸塩及び下記式(2)で表されるジホスフィン酸塩、並びにこれらの縮合物からなる群より選択される一以上のホスフィン酸塩類が挙げられる。以下ではこれらについて説明する。
Figure 2011046781

式中、R及びRは、同一か又は異なり、直鎖状若しくは分岐状のC1〜C6のアルキル基及び/又はアリール基であり、Rは、直鎖状若しくは分岐状のC1〜C10のアルキレン、C6〜C10のアリーレン、C6〜C10のアルキルアリーレン又はC6〜C10のアリールアルキレンであり、Mは、カルシウム(イオン)、マグネシウム(イオン)、アルミニウム(イオン)、亜鉛(イオン)、ビスマス(イオン)、マンガン(イオン)、ナトリウム(イオン)、カリウム(イオン)及びプロトン化された窒素塩基からなる群より選択される一以上であり、mは2又は3であり、nは1〜3であり、xは1又は2である。
上記のホスフィン酸塩類は、例えば欧州特許出願公開第699708号明細書や特開平08−73720号公報に記載されているように、ホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物又は金属酸化物とを用いて水溶液中で製造されたものが好適に利用可能である。
これらは、本質的にモノマー性化合物であるが、反応条件に依存して環境によっては、縮合度が1〜3の縮合物であるポリマー性ホスフィン酸塩も含む。
上記のホスフィン酸塩類を形成するための好ましいホスフィン酸としては、以下に制限されないが、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)、メチルフェニルホスフィン酸及びジフェニルホスフィン酸、並びにこれらの混合物からなる群より選択される一以上が挙げられる。
また、上記のホスフィン酸塩類を形成するための好ましい陽イオンとしては、以下に制限されないが、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、亜鉛イオン、ビスマスイオン、マンガンイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びプロトン化された窒素塩基からなる群より選択される一以上である。より好ましくは、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及び亜鉛イオンからなる群より選択される一以上である。
形成されたホスフィン酸塩類としては、以下に制限されないが、例えば、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−(ジメチルホスフィン酸)亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム及びジフェニルホスフィン酸亜鉛が挙げられる。好ましくは、上記で列挙したもののうち一以上である。
中でも、難燃性やモールドデポジット(MD)抑制の観点から、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム及びジエチルホスフィン酸亜鉛からなる群より選択される一以上がより好ましい。
また、上記のホスフィン酸塩類は、本実施の形態の効果を損なわない程度で、未反応物又は副生成物が残存又は混在していてもよい。
ホスフィン酸塩類の量は、(A)ポリアミド及び(B)ポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部である。より好ましくは2〜35質量部、さらに好ましくは2〜30質量部、さらにより好ましくは6〜25質量部である。十分な難燃性を発現させる観点からホスフィン酸塩類の量は1質量部以上が好ましく、押出加工性などの生産性の観点からホスフィン酸塩類の量は60質量部以下が好ましい。
ホスフィン酸塩をポリフェニレンエーテル等とのアロイとして用いる場合であって、加工温度が300℃を超える場合には、ホスフィン酸塩100質量%に対して0.1〜5.0質量%の水酸化カルシウムを加えることにより、腐食を効果的に防止することができる。
水酸化カルシウムとしては、一般的に流通しているものの例として、消石灰が挙げられる。消石灰は、日本工業規格において工業用石灰(JIS R9001:2006)として、種々の特性が規定されている。
水酸化カルシウムとして工業用石灰を用いる場合の、当該消石灰中の好ましい酸化カルシウムの純度は、工業用消石灰2号以上の純度である。
水酸化カルシウムは、酸化カルシウム及び水が反応することにより得られるものである。そのため、JIS R9001:2006においては、水酸化カルシウムの純度は、酸化カルシウムの含有量で表される。具体的に、かかる純度は、消石灰中の酸化カルシウムとして、好ましくは65質量%以上である。より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは72.5質量%以上、さらにより好ましくは75質量%以上である。
工業用消石灰に含まれ得る他の成分として、以下に制限されないが、例えばCO、SiO、Al、Fe及びMgOが挙げられる。これらの成分の中でも、SiO、Al、Fe及びMgOの合計の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。難燃性樹脂組成物の機械的特性の低下を抑制するためには、これらの無機不純物の濃度を低くすることが好ましい。
水酸化カルシウムの平均粒子径としては、JIS R9001:2006で規定される590μmでの粉末度残分が実質的に0質量%のものが好ましい。より好ましくは149μmでの粉末度残分が15質量%以下のものであり、さらに好ましくは149μmでの粉末度残分が10質量%以下のものであり、さらにより好ましくは149μmでの粉末度残分が5質量%以下のものである。
具体的な平均粒子径としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。平均粒子径の下限としては、0.5μm以上であれば特に問題なく使用できる。高い腐食抑制効果を発現し、且つ難燃性樹脂組成物の高い機械的強度を維持する観点から、平均粒子径は100μm以下であることが好ましい。一方、取扱い性を悪化させない観点から、平均粒子径は0.5μm以上であることが好ましい。但し、例えば、顆粒化処理などにより取扱い性を向上させた場合には、平均粒子径が0.5μm以下のものも好適に使用可能である。なお、本明細書における平均粒子径の測定は、レーザー回折式粒度分布計(例えば、島津製作所社製、商品名:SALD−2000)を用い、メタノール/水=50/50質量%中にサンプルを分散させ測定解析することができる。測定によって得られる、粒子径と粒子数の頻度分布より数平均粒子径を計算することができる。
また、高反応性の水酸化カルシウムも好適に使用できる。かかる高反応性の水酸化カルシウムとしては、以下に制限されないが、例えば、カルテック、カルテックLT(以上、鈴木工業社製)、カルブリードEX(宇部マテリアルズ社製)、及びヒシカール(菱光石灰社製)が挙げられる。
[(D)衝撃改良剤]
また、本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、耐衝撃性を向上させる目的で、(D)衝撃改良剤をさらに含んでもよい。その際の衝撃改良剤として、好ましくは、芳香族ビニル化合物を主体とする1個以上のブロック及び共役ジエン化合物を主体とする1個以上のブロックを含むブロック共重合体、並びに/又は当該ブロック共重合体の水素添加物である。
上記のブロック共重合体の一部を構成する芳香族ビニル化合物としては、以下に制限されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン及びビニルトルエンが挙げられる。これらの芳香族ビニル化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも好ましくはスチレンである。
また、当該ブロック共重合体の一部を構成する共役ジエン化合物としては、以下に制限されないが、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン及び1,3−ペンタジエンが挙げられる。これらの共役ジエン化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましい。
本明細書における「主体とする」とは、50%以上の量を含むということを意味し、好ましくは70%以上の量を含むということを意味する。
ブロック共重合体の共役ジエン化合物としてブタジエンを使用する場合、ポリブタジエンブロック部分のミクロ構造は、1,2−ビニル結合量及び3,4−ビニル結合量の合計量が5〜80%であることが好ましく、より好ましくは10〜50%であり、さらに好ましくは15〜40%である。通常、共役ジエン化合物の結合形態として、1,2−ビニル結合、3,4−ビニル結合及び1,4−ビニル結合があるが、上記のビニル結合量とは、重合時の共役ジエン化合物の結合形態の割合を示すものである。例えば、1,2−ビニル結合量は、上記3種の結合形態中の1,2−ビニル結合の割合を意味するものであり、赤外分光光度計や核磁気共鳴装置などを用いて測定することができる。
1個以上の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと1個以上の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)とが、S−B型、S−B−S型及びS−B−S−B型の中から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体であることが好ましい。これらの中でもS−B−S型及び/又はS−B−S−B型がより好ましく、S−B−S型がさらに好ましい。これらは混合物であってもよい。
本実施の形態においては、芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物の水素添加されたブロック共重合体を使用することもできる。すなわち、かかる水素添加されたブロック共重合体とは、上述の芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物のブロック共重合体中の脂肪族二重結合を水素添加処理することにより、0%を超えて100%以下の二重結合に対する水素添加処理の割合において制御したものをいう。当該水素添加されたブロック共重合体の水素添加率は、好ましくは50%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
本実施の形態において、芳香族ビニル化合物及び共役ジエン化合物の(場合によっては水素添加された)ブロック共重合体は、数平均分子量が100,000以上のブロック共重合体であることが好ましい。より好ましくは150,000以上のブロック共重合体である。
ここで、本明細書における数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置を用いて、紫外分光検出器で測定し、標準ポリスチレンで換算した数平均分子量を意味する。この時、重合時の触媒失活に起因して低分子量成分が検出されることがあるが、かかる場合、分子量の計算に前記低分子量成分は含めない。通常、計算された正しい分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.0〜1.1の範囲内である。
本実施の形態においては、芳香族ビニル化合物を主体とする一の重合体ブロックの数平均分子量は、15,000以上であることが好ましい。より好ましくは30,000以上である。芳香族ビニル化合物を主体とする一の重合体ブロックの数平均分子量を15,000以上とすることにより、ポリアミド樹脂組成物の耐衝撃性(面衝撃強度)のばらつきを効果的に抑えることができる。
なお、芳香族ビニル化合物を主体とする一の重合体ブロックの数平均分子量は、上述したブロック共重合体の数平均分子量を用いて、下記式により求めることができる。
Mn(a)={Mn×a/(a+b)}/N
式中、Mn(a)は芳香族ビニル化合物を主体とする一の重合体ブロックの数平均分子量、Mnは一以上の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと一以上の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとからなるブロック共重合体の数平均分子量、aはブロック共重合体中のすべての芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、bはブロック共重合体中のすべての共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの質量%、及びNはブロック共重合体中の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックの数を表す。
これらのブロック共重合体は、本実施の形態の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量と3,4−結合ビニル含有量が異なるもの、芳香族ビニル化合物の成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等の各々について、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのブロック共重合体は、全部又は一部が変性されたブロック共重合体であってもよい。
前記変性されたブロック共重合体は、分子構造内に炭素同士の二重結合及び三重結合、並びにカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基及びグリシジル基からなる群より選択された一以上を有する変性化合物(少なくとも1種)で変性されたブロック共重合体を意味する。
当該変性されたブロック共重合体の製造方法としては、ラジカル開始剤の存在下又は不存在下で、(1)ブロック共重合体の軟化点温度以上250℃以下で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(2)ブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物を溶液中で反応させる方法、(3)ブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物とを溶融させることなく反応させる方法などが挙げられる。中でも、(1)の方法が好ましく、(1)の中でも、ラジカル開始剤存在下で行う方法がより好ましい。
上記の分子構造内に炭素同士の二重結合及び三重結合、並びにカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基及びグリシジル基からなる群より選択された一以上を有する変性化合物(少なくとも1種)として、変性されたポリフェニレンエーテルの項で説明した変性化合物と同じものが使用可能である。
上記の衝撃改良剤の量は、ポリアミド及びポリフェニレンエーテルの合計を100質量部としたときに、好ましくは5〜25質量部である。より好ましくは7〜15質量部である。
[(E)相溶化剤]
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド及びポリフェニレンエーテルの相溶性を向上させる観点から、(E)相溶化剤をさらに含むことが好ましい。(E)相溶化剤を使用する主な目的は、ポリアミド及びポリフェニレンエーテルの混合物の物理的性質を改良することである。
(E)相溶化剤とは、ポリフェニレンエーテル及びポリアミド、並びにこれらと相互作用する多官能性の化合物を意味する。かかる相互作用は、化学的(例えばグラフト化)であってもよく、物理的(例えば、分散相の表面特性の変化)であってもよい。いずれにしても、得られるポリアミド及びポリフェニレンエーテルの混合物の相溶性は向上する。
(E)相溶化剤の例としては、特開平8−8869号公報及び特開平9−124926号公報などに記載されているものが挙げられ、これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、さらに2種以上の併用も可能である。
上記した種々の(E)相溶化剤の中でも、好ましくは、クエン酸、マレイン酸及びイタコン酸並びにそれらの無水物からなる群より選択される一以上である。中でも、無水マレイン酸及び/又はクエン酸がより好ましい。
(E)相溶化剤の量は、ポリアミド及びポリフェニレンエーテルの混合物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部であり、より好ましくは0.10〜5質量部、さらに好ましくは0.10〜2質量部である。
[(G)無機フィラー]
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、(G)無機フィラーをさらに含むことが好ましい。(G)無機フィラーとしては、以下に制限されないが、例えば、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、石膏繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ゾノトライト、アパタイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン及び着色用カーボンブラックといった、繊維状、粒状、板状及び針状の無機質強化材が挙げられる。これらの中でも、より好ましくは、タルク、ウォラストナイト及びガラス繊維である。これらの無機フィラーは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、無機フィラーはシランカップリング剤などの表面処理剤を用いて公知の方法により表面処理したものを使用してもよい。
(G)無機フィラーの量は、ポリアミド樹脂組成物を100質量%としたとき、好ましくは0〜60質量%である。より好ましくは10〜50質量%であり、さらに好ましくは15〜40質量%である。
さらに、本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物には、種々の導電用フィラーを用いることができる。前記導電用フィラーの例として、以下に制限されないが、例えば、導電用カーボンブラック、カーボンナノチューブ(カーボンフィブリル)、グラファイト及び炭素繊維が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。中でも好ましくは、導電用カーボンブラック及び/又はカーボンナノチューブ(カーボンフィブリル)である。
上記の導電用フィラーの使用量は、ポリアミド樹脂組成物を100質量%としたとき、好ましくは0.5〜20質量%である。より好ましくは1〜10質量%であり、さらに好ましくは1〜5質量%であり、さらにより好ましくは1〜3質量%である。
上記の導電性フィラーの添加方法として、特に制限はない。好ましい方法としては、導電用フィラーをポリアミド中に予め溶融混練した導電用マスターバッチの形態で添加する方法が挙げられる。その際のマスターバッチ中の導電用フィラーの量として、導電用マスターバッチを100質量%としたとき、好ましくは約5〜30質量%である。導電用フィラーとして導電用カーボンブラックを用いた場合には、5〜15質量%がより好ましく、8〜12質量%がさらに好ましい。導電用フィラーとして、カーボンナノチューブ(カーボンフィブリル)、グラファイト又は炭素繊維を含む導電用カーボンブラック以外の導電用フィラーを用いた場合には、より好ましくは10〜30質量%であり、さらに好ましくは15〜25質量%である。
上記の導電用マスターバッチの製造方法としては、以下に制限されないが、二軸押出機を用いて製造する方法が好ましい。より好ましくは、導電用フィラーを溶融したポリアミド中に添加してさらに溶融混練する方法である。
[ポリアミド樹脂組成物に含まれ得るその他の成分]
また、本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、(C)ホスフィン酸塩以外の難燃剤をさらに含んでもよい。かかる難燃剤としては、以下に制限されないが、例えば、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等に代表される公知の無機難燃剤;トリフェニルフォスフェートや水酸化トリフェニルフォスフェートやビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等に代表される有機リン酸エステル類;特開平11−181429号公報に記載されているようなホスファゼン系化合物;シリコーンオイル類;赤燐;臭素化ポリスチレン等の臭素系難燃剤;三酸化アンチモン等のアンチモン化合物;その他公知の難燃剤が挙げられる。
また、滴下防止剤として知られるテトラフルオロエチレン等に代表されるフッ素系ポリマーも、ポリアミド樹脂組成物中に2質量%未満の量であれば使用可能である。
また、公知の有機又は無機安定剤も好適に使用することができる。かかる有機安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、イルガノックス1098(チバスペシャリティーケミカルズ製)等に代表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤、イルガフォス168(チバスペシャリティーケミカルズ製)等に代表されるリン系加工熱安定剤、HP−136(チバスペシャリティーケミカルズ製)に代表されるラクトン系加工熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤、及びヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及び/又はリン系加工熱安定剤がより好ましい。
上記の無機安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、酸化亜鉛や硫化亜鉛などの金属系安定剤が挙げられる。
上記の有機又は無機安定剤の配合量は、ポリアミド及びポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部であり、より好ましくは0.010〜3質量部である。
本実施の形態では、上記した成分以外であっても、本実施の形態の効果を損なわない範囲で、必要に応じて付加的成分を任意の段階で添加してもよい。
かかる付加的成分としては、以下に制限されないが、例えば、ポリエステル及びポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、可塑剤(低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール及び脂肪酸エステル類など)、帯電防止剤、核剤、流動性改良剤(例えばステアリン酸金属塩として、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム及びステアリン酸リチウム)、充填剤、補強剤、各種の過酸化物、展着剤、銅系熱安定剤、ヒンダードフェノール系酸化劣化防止剤に代表される有機系熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、並びに光安定剤が挙げられる。
これらの各々の付加的成分の添加量は、ポリアミド樹脂組成物100質量%中に、好ましくは10質量%以下である。より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物を得るための具体的な加工機械としては、以下に制限されないが、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ及びバンバリーミキサーが挙げられる。中でも二軸押出機が好ましく、上流側供給口と1箇所以上の下流側供給口とを備えた二軸押出機がより好ましい。
溶融混練温度としては、280〜340℃の範囲内が好ましい。
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物を、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形及び流延成形などの、一般に熱可塑性樹脂組成物に対する成形方法を用いて成形することにより、各種形状を有する成形品を製造することができる。例えば、本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物を、シリンダ温度がポリアミド樹脂の融点以上350℃以下の範囲内に調整された射出成形機のシリンダ内で溶融させ、所定の形状の金型内に射出することによって、所定の形状の成形品を製造することができる。また、シリンダ温度が上記の範囲内に調整された押出機内でポリアミド樹脂組成物を溶融させ、口金ノズルより紡出することによって、繊維状の成形品を製造することができる。さらに、シリンダ温度が上記の範囲内に調整された押出機内でポリアミド樹脂組成物を溶融させ、Tダイから押し出すことにより、フィルム状やシート状の成形品を製造することができる。また、このような方法で製造された成形品の表面に、塗料、金属や他種のポリマー等からなる被覆層を形成した形態で使用することもできる。
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、成形流動性に優れ、さらに機械的強度、摺動性及び耐ブリスタ性にも優れているため、産業資材、工業材料、家庭用品、電気・電子部品、自動車部品、家電製品、建築材料、サニタリー用品、スポーツ用品や雑貨などの幅広い分野で使用することができる。具体例としては、コネクター、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、抵抗器、ICやLEDのハウジング、ギア、ベアリングリテーナー、スプリングホルダー、チェインテンショナー、ワッシャー、各種ハウジング、ウェイトローラー、ブレーカーパーツ、クラッチパーツ等が挙げられる。中でも、本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、表面実装技術(SMT)対応用のコネクター、ソケット、カードコネクタ、ジャック、電源部品、スイッチ、センサー、コンデンサー座板、リレー、抵抗器、ヒューズホルダー、コイルボビン、ICやLEDのハウジング等に有用である。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。 なお、実施例中のポリアミド樹脂組成物の成形流動性、成形品の機械的強度、耐ブリスタ性、及び難燃性は以下の方法により評価した。評価結果については、表1〜3に示した。
[評価方法]
<結晶化温度と融点>
示差走査熱量(DSC)測定装置(パーキンエルマー・ジャパン社製:DSC−7)を用いて、樹脂試料約10.0mgを、窒素雰囲気下で340℃まで加熱し、2分間保持した。その後、20℃/minの降温速度で40℃まで冷却し、40℃で少なくとも5分間保持した後、さらに、20℃/minの昇温速度で、340℃まで再加熱した。その冷却時の発熱ピークトップを結晶化温度とし、2回目の加熱時に観測される吸熱ピークのピークトップを融点として測定した。
融解を示す吸熱ピークが複数観測される際は、吸熱ピークから計算される融解エンタルピーが5J/g以上のピークの内、最も高温の吸熱ピークのピークトップ温度を融点とした。
<成形流動性>
射出成形機(東芝機械(株)製:IS−80EPN、型締圧力80トン)のシリンダ温度を320℃に設定し、スケールが予め刻印されている渦巻形状のキャビティー(幅10mm、厚み0.5mm)を有する金型の金型温度を130℃に設定した。得られたペレットを、かかる金型中、120MPaの圧力で射出成形し、樹脂が流れる流動距離(流動長)を測定した(流動長が長いほど、成形流動性に優れる。)。なお、測定にあたっては、10ショット連続成形した後の10ショットの流動長の平均を用いた。
<機械的強度>
シリンダ温度を320℃に設定した射出成形機(東芝機械(株)製:IS−80EPN、型締圧力80トン)を用いて、得られたペレットから厚み4mmの多目的試験片を成形した。かかる試験片を用いて、ISO527に準拠し、引張試験を行った。
<耐ブリスタ性>
シリンダ温度を330℃に設定した射出成形機(東芝機械(株)製:IS−80EPN、型締圧力80トン)を用いて、ポリアミド樹脂組成物から、厚み0.8mm、幅12.7mm、長さ127mmの成型片を成形した。得られた成形片(試験片)を温度40℃、相対湿度95%の条件で72時間放置した。その後、試験片に対し、赤外線リフロー炉(日本アントム社製:UNI−611H)を用いて、最高到達温度より20℃低い温度での時間が20秒となるようにした温度プロファイルのリフロー工程を行った。前記最高到達温度は、240℃から270℃まで、5℃刻みで変わるように設定した。赤外線加熱炉を通過後、試験片の外観を目視で観察した。試験片が溶融せず且つブリスタ(膨れ)が発生しない限界の温度を耐ブリスタ温度とした。前記耐ブリスタ温度が高い程、耐ブリスタ性が良好であると分かる。表1〜3において、耐ブリスタ温度が240℃未満であった場合を「×」、耐ブリスタ温度が240〜250℃の範囲であった場合を「△」、耐ブリスタ温度が250℃を超えた場合を「○」と記載した。
なお、250℃のリフロー温度は、通常のSMT部品実装時に良く用いられる温度である。
<難燃性>
UL94(米国Under Writers Laboratories Inc.で定められた規格)の方法を用いて、1サンプル当たり5本ずつ測定を行った。なお、試験片(長さ127mm、幅12.7mm、厚み0.8mm)は射出成形機(東芝機械(株)製:IS−80EPN)を用いて成形した。成形条件はシリンダ温度330℃、金型温度120℃であった。
難燃性の等級は、UL94垂直燃焼試験によって分類されるものを用いた。全てのサンプルに対して試験は5本行い判定した。分類方法の概要は以下の通りである。
V−0:平均燃焼時間5秒以下、1本当たりの最大燃焼時間10秒以下、有炎滴下なし。
V−1:平均燃焼時間25秒以下、1本当たりの最大燃焼時間30秒以下、有炎滴下なし。
平均燃焼時間とは、各サンプル試験片5本に対して各2回接炎した計10回の接炎から、消炎に至るまでの時間(合計燃焼時間)を10(接炎回数)で除した時間である。また、最大燃焼時間は、消炎に至るまでの時間が最も長かった時の時間を表している。
その他の詳細はUL94規格に準じた。実施例及び比較例で使用したポリアミド樹脂などの原材料を以下に示す。
[原材料]
<成分(A)>
1.PA9MT−H
特開平9−12713号公報の実施例1に記載された方法に準じて調製した。調製されたポリアミド中、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とし、1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位[1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=85:15(モル比)]をジアミン単位とした。前記ポリアミドの特性は、極限粘度[η]0.80dL/g、融点302℃、結晶化温度271℃、及び末端封止率90%(末端封止剤として安息香酸を用いた。)であった。
2.PA9MT−M
特開平9−12713号公報の実施例1に記載された方法に準じて調製した。調製されたポリアミド中、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とし、1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位[1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=70:30(モル比)]をジアミン単位とした。前記ポリアミドの特性は、極限粘度[η]0.80dL/g、融点282℃、結晶化温度258℃、及び末端封止率90%(末端封止剤として安息香酸を用いた。)であった。
3.PA9MT−L
特開平9−12713号公報の実施例1に記載された方法に準じて調製した。調製されたポリアミド中、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とし、1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位[1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=50:50(モル比)]をジアミン単位とした。前記ポリアミドの特性は、極限粘度[η]0.80dL/g、融点261℃、結晶化温度236℃、及び末端封止率90%(末端封止剤として安息香酸を用いた。)であった。
<成分(B)>
4.ポリフェニレンエーテル(以下、「PPE−1」と略記する。)
還元粘度(ηsp/c)が0.40dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を用いた。
5.ポリフェニレンエーテル(以下、「PPE−2」と略記する。)
還元粘度(ηsp/c)が0.31dL/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)を用いた。
<成分(C)>
6.ホスフィン酸塩
クラリアント社製のエクソリットOP1230(Exolit−1、数平均粒子径40μm)を用いた。
7.衝撃改良材
水添ブロック共重合体(SEBSと略記する。)
旭化成ケミカルズ社製のタフテックH1272を用いた。
<成分(E)>
8.相溶化剤(無水マレイン酸:以下、「MAH」と略記する。)
日本油脂製のクリスタルMAN−ABを用いた。
<成分(F)>
9.銅化合物(ヨウ化銅:以下、「CuI」と略記する。)
和光純薬製のCuI試薬を用いた。
<成分(G)>
10.ガラス繊維(以下、「GF」と略記する。)
日本電気硝子社製のECS03−T747(繊維径13μm、チョップ長3mm)を用いた。
11.タルク(以下、「Talc」と略記する。)
林化成製のTalc PK−C(平均粒子径11.0μm)を用いた。
<その他の成分>
12.分散剤(エチレンビスステアリルアミド:以下、「EBS」と略記する。)
花王製のカオーワックスEB−FFを用いた。
13.ヨウ化カリウム(以下、「KI」と略記する。)
和光純薬製のKI試薬を用いた。
14.水酸化カルシウム(以下、「Ca(OH)」と略記する。)
鈴木工業製のカルテックLTを用いた。
15.ステアリン酸カルシウム(以下、「St−Ca」と略記する。)
和光純薬製のSt−Ca試薬を用いた。
[実施例1〜5]
押出機上流部に1箇所の供給口と、真空吸引可能なベントポート(2箇所)とを有する二軸押出機[ZSK−40MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。全シリンダを315℃、ダイを320℃に設定し、スクリュー回転数300rpm、押出吐出量150kg/hrの条件で、下記表1に記載の割合に従い、ポリアミド樹脂組成物を製造した。
得られたポリアミド樹脂組成物を用いて各種の評価項目を実施した。得られた結果を下記表1に示す。
[比較例1〜3]
実施例1〜5と同様にして、下記表1に記載の割合に従い、ポリアミド樹脂を製造した。
得られたポリアミド樹脂を用いて各種の評価項目を実施した。得られた結果を下記表1に示す。
Figure 2011046781
表1より、実施例及び比較例共に、PA9Tにおけるジアミン単位(b)中の1,9−ノナンジアミン(NDA)単位の含有率を低下させると、成形流動性が向上することが分かった。一方で、単一種のPA9Tを用いた比較例の場合よりも、2種のPA9Tを用いた実施例の場合の方が、成形流動性に顕著に優れ、且つ低吸水性を示唆するリフロー炉における耐ブリスタ性が顕著に高いことが明らかとなった。
[実施例6〜10]
押出機上流部に1箇所及び下流部に1箇所の供給口と、真空吸引可能なベントポート(2箇所)とを有する二軸押出機[ZSK−40MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。全シリンダを315℃、ダイを320℃に設定し、スクリュー回転数300rpm、押出吐出量150kg/hrの条件で、下記表2に記載の割合に従い、ポリアミド樹脂組成物を製造した。
得られたポリアミド樹脂組成物を用いて各種の評価項目を実施した。得られた結果を下記表2に示す。
[比較例4〜6]
実施例6〜10と同様にして、下記表2に記載の割合に従い、ポリアミド樹脂組成物を製造した。
得られたポリアミド樹脂組成物を用いて各種の評価項目を実施した。得られた結果を下記表2に示す。
Figure 2011046781
表2より、GF強化ポリアミド樹脂組成物としても、上述の実施例1〜5及び比較例1〜3と同様に、PA9Tのジアミン単位(b)中の1,9−ノナンジアミン(NDA)単位の含有率を低下させると、成形流動性が向上することが分かった。一方で、単一種のPA9Tを用いた比較例の場合よりも、2種のPA9Tを用いた実施例の場合の方が、成形流動性に顕著に優れ、且つ低吸水性を示唆するリフロー炉における耐ブリスタ性が高いことが明らかとなった。さらに、GF強化とすることにより、ポリアミド樹脂組成物は、上述の実施例1〜5及び比較例1〜3と比較して、PA9Tのジアミン単位(b)中の1,9−ノナンジアミン(NDA)単位の含有率がより低くなっても、耐ブリスタ性は一層向上することも明らかとなった。
[実施例11〜15]
押出機上流部に1箇所、並びに中流部及び下流部にそれぞれ1箇所の供給口と、真空吸引可能なベントポート(2箇所)とを有する二軸押出機[ZSK−40MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。上流部供給口から中流部供給口の手前までを320℃、中流部供給口からダイまでを310℃に設定し、スクリュー回転数250rpm、押出吐出量150kg/hrの条件で、下記表3に記載の割合に従い、ポリアミド樹脂組成物を製造した。
得られたポリアミド樹脂組成物を用いて各種の評価項目を実施した。得られた結果を下記表3に示す。
[比較例7〜9]
実施例11〜14と同様にして、下記表3に記載の割合に従い、ポリアミド樹脂組成物を製造した。
得られたポリアミド樹脂組成物を用いて各種の評価項目を実施した。得られた結果を下記表3に示す。
Figure 2011046781
表3より、ポリフェニレンエーテル(PPE)及びホスフィン酸などを加えてPA/PPEのアロイとしても、実施例及び比較例共に、PA9Tのジアミン単位(b)中の1,9−ノナンジアミン(NDA)単位の含有率を低下させると、成形流動性が向上することが分かった。一方で、単一種のPA9Tを用いた比較例の場合よりも、2種のPA9Tを用いた実施例の場合の方が、成形流動性に顕著に優れ、且つ低吸水性を示唆するリフロー炉における耐ブリスタ性が顕著に高いことが明らかとなった。さらに、ポリフェニレンエーテル及びホスフィン酸塩を加えることにより、難燃性及び耐ブリスタ性の点で共に優れたポリアミド樹脂組成物が得られることも明らかとなった。
本発明によれば、優れた成形流動性及び低吸水性を示すポリアミド樹脂組成物が得られる。また、前記ポリアミド樹脂組成物より、機械的強度及び耐ブリスタ性に優れた成形品が得られる。したがって、本発明のポリアミド樹脂組成物及びそれからなる成形品は、産業資材、工業材料、家庭用品、電気・電子部品、自動車用部品などの薄肉流動性及び耐熱性が要求される用途に対し、好適に利用可能である。

Claims (10)

  1. テレフタル酸単位を60〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなる(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物であって、
    該ポリアミド樹脂組成物の融点が280℃以上であり、且つ前記融点と結晶化温度との差(ΔT)が33℃以上である、ポリアミド樹脂組成物。
  2. (A)半芳香族ポリアミドが、ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して85モル%以上の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−1)の半芳香族ポリアミドと、ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して60モル%未満の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−2)の半芳香族ポリアミドとからなり、
    前記(A−1)の半芳香族ポリアミド及び前記(A−2)の半芳香族ポリアミドを溶融混合してなる、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. テレフタル酸単位を60〜100モル%含有するジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなる(A)半芳香族ポリアミドを含むポリアミド樹脂組成物であって、
    (A)半芳香族ポリアミドが、ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して85モル%以上の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−1)の半芳香族ポリアミドと、ジアミン単位(b)の合計100モル%に対して60モル%未満の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−2)の半芳香族ポリアミドとからなり、
    (A)半芳香族ポリアミドの融点が280℃以上であり、且つ前記融点と結晶化温度との差(ΔT)が33℃以上である、ポリアミド樹脂組成物。
  4. (A)半芳香族ポリアミドが、テレフタル酸単位100モル%からなるジカルボン酸単位(a)と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を60〜100モル%含有するジアミン単位(b)とからなり、
    (A)半芳香族ポリアミドが、ジアミン単位(b)の合計100質量%に対して85質量%以上の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−1)の半芳香族ポリアミドと、ジアミン単位(b)の合計100質量%に対して60質量%未満の1,9−ノナンジアミン単位を含有する1種以上の(A−2)の半芳香族ポリアミドとからなり、
    前記(A−1)の半芳香族ポリアミド及び前記(A−2)の半芳香族ポリアミドを溶融混合してなる、請求項1又は3に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. (B)ポリフェニレンエーテルをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. (C)ホスフィン酸塩をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. (G)無機フィラーをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. (G)無機フィラーがガラス繊維である、請求項7に記載のポリアミド樹脂組成物。
  9. (D)衝撃改良材、(E)相溶化剤及び(F)銅化合物からなる群より選択される一以上をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物からなる、成形品。
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