JP2011042915A - 新聞用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】パルプとして利用することが困難であったスギ材を原料とした機械パルプを用いて高不透明度で、かつ強度と嵩高さを備える新聞用紙の提供を目的とするものである。
【解決手段】本発明は、原料パルプとして少なくとも機械パルプ及び古紙脱墨パルプを含む新聞用紙であって、この機械パルプの原料として、スギ属(Cryptomeria)の木材チップと、マツ属(Pinus)の木材チップとが用いられ、このスギ属の木材チップと、マツ属の木材チップとの配合比が、5:95以上50:50以下であることを特徴とする新聞用紙である。上記機械パルプのシャイブ率が、0.01%以上0.075%以下であり、機械パルプが、スリット幅0.12mm以上0.18mm以下のスクリーンで精選処理されていることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、新聞用紙に関し、詳細にはスギ属の木材チップを原料とした機械パルプを含む新聞用紙に関する。
新聞用紙を始めとする紙は、物流コスト、省資源化等の観点から軽量化の需要が非常に高い。しかしながら、紙を軽量化すると紙の厚みが小さくなり、不透明度、特に印刷後の不透明度が大きく低下する。印刷後の不透明度の低下は、反対面から透けて見える現象、いわゆる裏抜けを引き起こし、印刷裏面の印面品質を低下させる。
従来、新聞用紙の不透明度を向上させるために、原料パルプとして、太い繊維を有する機械パルプが多用されてきた。特に、太く長い繊維を有するラジアータパイン等、松属の木材チップが好適に用いられてきた。しかし、古紙パルプの高配合が望まれる近年にあっては、新聞用紙において前記機械パルプのみを原料とすることは非現実的である。また、再生紙の普及に伴って、近年では再生紙である古紙をさらに再利用することになり、パルプ繊維を繰り返し再利用している状況にあることから、得られる古紙パルプは微細繊維が多く、強度も低下している。この古紙を高配合させることは、新聞用紙の強度、不透明度の低下を招き、印刷時の裏抜けや隠蔽性を低下させるとともに、印面のかすれや網点の欠落等、見栄えが低下するなどの不都合が生じる。
このような中、新聞用紙の軽量化に伴って、填料の増量や、古紙パルプ由来の灰分量を増量することで、不透明度を向上させることが行われている。不透明度を高めるための填料としては、例えばホワイトカーボンや炭酸カルシウムなどが一般的に用いられている。填料の添加方法には、バインダ等と共に填料を表面塗工する外添と、填料をパルプ原料と混合して抄紙する内添とがある。填料の中でも微細な填料粒子は、光の散乱係数と吸収係数とが良好であり、不透明度向上効果が高いが、内添填料として利用する場合は歩留まりが低いという不都合がある。しかし、填料を外添塗工して利用する場合は一定以上の塗工層を形成する必要があるため、新聞用紙に要求される軽量化を達成することができない。また、新聞用紙のオフセット輪転印刷機は高速で乾燥設備を持たないため、填料を外添塗工する場合は、インキの乾燥性、表面強度、版汚れなどにおいて、新聞用紙に要求される品質を満足することが困難である。一方、填料を内添する場合は、不透明度を高めるために添加量を増やすと、パルプ繊維間に多量の填料が混在することとなり、紙厚や紙力の低下や、紙粉の堆積が生じ、印刷作業性が悪くなるという不都合が存在する。
また、日本国内に非常に多く植林されているスギは、古くから建築用材や土木材などの様々な用途で利用されてきたが、近年は輸入材が大量にしかも安価に入手できることから輸入材に取って代わられ、スギの利用は減少してきている。この状況から、スギ林の荒廃を避ける観点からも、国内資源であるスギの間伐材などの利用が強く望まれている。
しかしながら、スギ材をパルプ原料として利用することに関しては、スギ材のリグニン含有量が極めて高いことから難蒸解性かつ難漂白性であることが知られている。また、スギ材の繊維形態は、他の針葉樹材に比較して繊維長が短く、繊維幅が小さいなどの欠点を有している。これらの理由でスギ材はパルプの原料に適していないとされてきた。このような中、スギ材を原料としてパルプを製造する方法として、例えば、スギ材100%のチップ原料を、(初期pH=7.0〜9.5の亜硫酸ナトリウムによるチップの予備処理)−(4〜5段のダムを有するリファイナセグメントを装着した一次リファイニングによる解繊)−(二次リファイニングによる叩解)から成る工程を含むケミサーモメカニカルパルプの製造工程で処理し、高収率、高品質のケミサーモメカニカルパルプを得る技術が提案されている(特開2004−225201号公報参照)。しかしながら、この方法は化学処理によって解繊を促進させる工程を含む、ケミサーモメカニカルパルプであり、純粋な機械パルプとしてスギ材を活用する技術は確立していない。
特開2004−225201号公報
本発明はこれらの不都合に鑑みてなされたものであり、パルプとして利用することが困難であったスギ材を原料とした機械パルプを用いて、高不透明度で、かつ強度と嵩高さを備える新聞用紙の提供を目的とするものである。
上記課題を解決するためになされた発明は、
原料パルプとして少なくとも機械パルプ及び古紙脱墨パルプを含む新聞用紙であって、
この機械パルプの原料として、スギ属(Cryptomeria)の木材チップと、マツ属(Pinus)の木材チップとが用いられ、
このスギ属の木材チップと、マツ属の木材チップとの配合比が、5:95以上50:50以下であることを特徴とする新聞用紙である。
当該新聞用紙は、機械パルプの原料として一般的に使用されている長繊維かつ繊維幅の太いマツ属由来のパルプに加え、短繊維かつ繊維幅の細いスギ属由来のパルプを上記の配合比で混合して配合されている。従って、当該新聞用紙は、太く長いマツ属由来のパルプ繊維及び細長い古紙脱墨パルプ繊維が形成する網目間に、細く短いスギ属由来のパルプ繊維が絡み合ってその隙間を埋めるように抄紙されるため、パルプ繊維間の隙間をパルプ繊維によって埋めることが可能となり、その結果、光散乱性が上がると共に光透過性を下げるため、不透明度が向上する。また、当該新聞用紙は、填料の増量によらず不透明度を向上させているため、高い強度及び嵩を備えている。
上記機械パルプのシャイブ率が、0.01%以上0.075%以下であることが好ましい。シャイブとは、パルプ繊維中の解繊されていない結束部分をいう。当該新聞用紙は、機械パルプのシャイブ率が上記範囲であるため、この解繊されていない結束部分を有することで枝状形状であるパルプ繊維が、マツ属由来のパルプ繊維及び古紙脱墨パルプ繊維が形成する比較的大きな網目間に好適に収まることができ、その結果、不透明度を高めることができる。
上記機械パルプが、スリット幅0.12mm以上0.18mm以下のスクリーンで精選処理されていることが好ましい。機械パルプの精選工程において、上記範囲のスリット幅を有するスクリーンを用いてパルプを精選処理することで、シャイブ率の制御を容易に行うことができる。この結果、当該新聞用紙によれば、所望する量のシャイブを含み、高い不透明度を備えることができる。
上記スギ属の木材チップは、スギ間伐材をチップ化したものであることが好ましい。スギ間伐材を用いることは、未利用の間伐材を利用するという環境面からの利点のみならず樹齢の低いスギ材を比較的多く用いることとなるため、リグニン等樹脂成分が少なく機械パルプの製造面において好適であり、さらに、繊維の結束強度が強くないため、叩解等の工程においてシャイブ率の調整を容易に行うことができる。
上記間伐材が、樹齢5年以上35年以下であることが好ましい。樹齢が上記範囲のスギ材は、若い樹木でありリグニン等樹脂成分が多くないため、パルプへの製造工程において処理が容易であることに加え、繊維の結束強度が強くないために、叩解等の工程においてシャイブ率の調整を容易に行うことができる。
当該新聞用紙は、脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体を含有するとよい。再生粒子凝集体の表面にシリカを被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体を含有するとさらに好ましい。当該新聞紙は白色度が高く、多孔質の凝集体構造をするこの再生粒子を含有することにより、多量に填料を含有せずとも不透明度を高めることができるため、紙力の強度を高め、高い嵩を備えることができる。
なお、「シャイブ率」は、TAPPI T275sp98に準拠して、0.15mmのスリット幅のスクリーンプレートを用い、サンプル量絶乾100gのパルプをフラットスクリーンで処理したものを用いて測定した値である。
以上説明したように、本発明の新聞用紙によれば、パルプとして利用することが困難であったスギ材を原料とした機械パルプを用いて、高不透明度で、かつ強度と嵩高さを備えることができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の新聞用紙は、少なくとも機械パルプ及び古紙脱墨パルプを含み、その他填料等任意成分を含んでいる。
この機械パルプの原料として、スギ属(Cryptomeria)の木材チップと、マツ属(Pinus)の木材チップとが用いられている。このスギ属の木材チップと、マツ属の木材チップとの配合比としては、5:95以上50:50以下が好ましく、10:90以上40:60が特に好ましく、15:85以上25:75以下であることが更に好ましい。
マツ属の繊維形態は繊維長が長く(通常5mm程度)、繊維幅が太い(通常50μm程度)といった特徴を有している。一方、スギ属の繊維形態は繊維長が短く(通常3mm程度)、繊維幅が細い(通常30μm程度)といった特徴を有している。上記配合比からなる2種類の木材チップを原料とした機械パルプを含む当該新聞用紙によれば、太く長いマツ属由来のパルプ繊維及び細長い古紙脱墨パルプ繊維が形成する網目間に、細く短いスギ属由来のパルプ繊維が絡み合ってその隙間を埋めるように抄紙されるため、パルプ繊維間の隙間をパルプ繊維によって埋めることが可能で、その結果、光散乱性が上がると共に光透過性を下げるため、不透明度が向上する。また、リグニン等樹脂成分が多いスギ由来のパルプ繊維を配合させることで、多種類の異なる繊維間の摩擦効果が発揮され、引張強度を向上させることができる。さらには、当該新聞用紙は、填料の増量によらず不透明度を向上させているため、高い強度及び嵩を備えている。
スギ属の木材チップの配合比が上記下限より小さいと、パルプ繊維とした際に、マツ属由来のパルプ繊維及び古紙脱墨パルプ繊維が形成する網目間にスギ由来のパルプ繊維が埋めきることができず、不透明度が十分に向上しない。また、リグニン等樹脂成分の多いスギ属パルプ混合による繊維間の摩擦向上効果が十分ではなく、引張強度の向上が小さい。逆に、スギ属の木材チップの配合比が上記上限より大きいと、太く長いマツ属由来のパルプ繊維量が低下するため、引裂強度等の紙力が低下する。また、スギ属の木材チップの配合比が上記上限より大きいと、後述するシャイブの発生量が増加し、パルプの品質が低下することとなる。
上記機械パルプのシャイブ率の下限としては、0.01%が好ましく、0.02%が特に好ましく、0.03%がさらに好ましい。一方、この機械パルプのシャイブ率の上限としては、0.075%が好ましく、0.065%が特に好ましく、0.055%がさらに特に好ましい。シャイブとは、パルプ繊維中の解繊されていない結束部分をいう。この「シャイブ率」は、TAPPI T275sp98に準拠して、0.15mmのスリット幅のスクリーンプレートを用い、サンプル量絶乾100gのパルプをフラットスクリーンで処理したものを用いて測定した値である。
スギ属の木材を一般的な形状のリファイナセグメントで処理すると、スギ材特有のシャイブが発生する。このスギ特有のシャイブは他の樹脂で発生するシャイブよりも固く、解繊しにくいという特性を有している。当該新聞用紙は、この主にスギ材から生じるシャイブを積極的に利用し、シャイブの量を上記範囲とすることにより高い不透明度を実現させている。すなわち、このシャイブは、パルプ繊維が解繊されていない結束部分を有することで枝状形状を有している。この枝状形状のシャイブは、主にマツ属由来のパルプ繊維及び古紙脱墨パルプ繊維が形成する比較的大きな網目間に好適に収まることができ、その結果、不透明度を高めることができる。更に、この結束部分にはリグニン等の樹脂成分が微量に付着しており、これが微細な填料としての機能を発揮させ、光を散乱させることで、不透明度を高めることができるとともに、この樹脂分のために紙の強度が向上する。
機械パルプのシャイブ率が上記下限より小さいと、枝状形状を有するパルプ繊維が少なくなるため、スギ由来パルプ繊維がマツ属由来のパルプ繊維及び古紙脱墨パルプ繊維が形成する網目間に引っ掛かりにくくなるため、不透明度の上昇が小さい。また、意図的に若干混在させるリグニン等樹脂成分量も低下するため、この樹脂成分による不透明度上昇機能及び紙力向上機能が十分に発揮されない。
逆に、機械パルプのシャイブ率が上記上限より大きいと、シャイブが最終の新聞用紙中に混在した際に視認可能な量となり、品質が低下する。具体的には、このシャイブは、紙表面に金属のような光沢を有する異物として散見され、紙品質を低下させてしまう。
この機械パルプの原料となるスギ属(Cryptomeria)の木材チップとしては公知のものを用いることができる。スギは、日本国内にはCryptomeria japonicaの一種類であり、これを有効に用いることができる。なお、このCryptomeria japonicaは、挿し木が比較的容易であることから品種改良が進められ、現在では植物学的にみても9変種が存在し、林業的品種が非常に多い樹種となっている。更に細かい品種で言えば、約100品種が存在していると言われている。スギの生育地は本州、四国、九州などの全国各地にまたがり、天然樹林や植林の形で存在する。
このスギとしては、スギ間伐材を用いること、あるいは樹齢が5年以上35年以下のスギを用いることが好ましい。スギ間伐材を用いることは、未利用の間伐材を利用するという環境面からの利点のみならず、樹齢の低いスギ材を比較的多く用いることとなる。このような樹齢の低いスギ材は、リグニン等樹脂成分が少なく機械パルプの製造面において好適であり、さらに、繊維の結束強度が強くないため、叩解等の工程においてシャイブ率の調整を容易に行うことができる。特に、樹齢5年以上35年以下のスギ材がリグニン等の樹脂成分量及び繊維の結束強度が適当であるため好適に用いることができる。
スギ材の樹齢が5年未満の場合は、リグニン等の樹脂成分が少ないため、この樹脂成分を填料として活用することが難しく、従来の填料等を加えて不透明度を高めることが必要となりやすくなる。また、樹齢が5年未満のスギ材は、繊維の結束強度が弱いため、通常の機械パルプ製造工程において、パルプ繊維の結束部分の大部分が解繊され、シャイブ率が所望する値よりも低下しやすくなり、この結果、不透明度の向上機能が十分に発揮されない。
逆に、スギ材の樹齢が35年を超えると、リグニン等の樹脂成分が多くなるため、機械パルプの製造工程において、化学処理等によって樹脂分を減少させることが必要となる等作業性が低下する。また、スギ材の樹齢が35年を超えると、パルプ繊維の結束強度が強くなってくるため、通常の機械パルプ製造工程において、結束部分が解繊されにくく、シャイブ率が上昇してしまう。
この機械パルプに用いられるマツ属の木材チップとしては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、例えば、アカマツ、クロマツ、エゾマツ、トドマツ、ラジアータパインなどが挙げられるが、流通量、コスト面及びパルプ加工の容易さの点からラジアータパインが好適に用いられる。
この機械パルプのフリーネスの下限としては、120ccが好ましく、135ccがさらに好ましく、140ccが特に好ましい。また、このフリーネスの上限としては、170ccが好ましく、155ccがさらに好ましく、150ccが特に好ましい。
この機械パルプのフリーネスが上記下限未満であると、機械パルプの繊維長が短くなるため、引裂強度が低下する。逆に、フリーネスが上記上限を超えると、結果的に繊維長の長いマツ属の木材チップ由来の繊維量が低下することとなり、不透明度が十分に向上しない。
ここで、「フリーネス」とは、JIS−P8220に準拠して標準離解機にて試料を離解処理した後、JIS−P8121に準拠してカナダ標準濾水度試験機にて濾水度を測定した値である。
この機械パルプの製造方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、一次リファイニングによる解繊工程−二次リファイニングによる叩解工程−精選工程−漂白工程から成る製造工程を採ることができる。
スギ属の木材チップと、マツ属の木材チップとが混合された木材チップは、まず一次リファイニング処理される。この処理に用いる装置は、加圧もしくは大気圧リファイニング装置であり、公知の条件でパルプ繊維に解繊される。リファイニングは一般の解繊装置で充分であり、好ましくは、シングルディスクリファイナー、コニカルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー、ツインディスクリファイナー等で解繊される。リファイニング工程中のチップの濃度としては約20〜60固形分質量%で実施するのが好ましく、処理温度は100〜150℃が好ましい。更に好ましくは120〜135℃である。また、解繊を良好とする目的で、一次リファイニングに先立ってプレヒーターで予熱処理することが好ましい。この場合の温度は100〜135℃が好ましい。
次いで、解繊パルプは二次リファイニング処理される。この装置としては、公知のリファイニング装置を用い、公知の条件で精砕し、所望のパルプ濾水度まで低下させる。この工程は加圧、或いは常圧下で行い、リファイニング装置は一般の加圧または常圧型解繊装置を用いるのが好ましく、濃度は約10〜60%で実施することができる。
次いで、濃度1〜5%に希釈し、精選スクリーンにて未叩解の繊維やシャイブを除去する。なお、精選工程において、スリット幅0.12mm以上0.18mm以下のスクリーンで精選処理されていることが好ましい。通常のスクリーンはスリット幅が0.2mm程度のものが用いられるが、上記範囲のスリット幅を有するスクリーンを用いてパルプを精選処理することで、スギ材に多く含まれるシャイブを多めに取り除くことで、当該新聞用紙に最適なシャイブ率の調整を行うことができる。この結果、当該新聞用紙は、適度な量のシャイブを含み、高い不透明度を備えることができる。
その後、濃度10〜20%に脱水・濃縮される。脱水濃縮装置は、一般のパルプ脱水濃縮設備を用いて実施することができる。脱水後のパルプは所定の白色度まで漂白される。この漂白薬剤としては、過酸化水素、オゾン、過酢酸等の酸化剤またはハイドロサルファイト(アニオン酸ナトリウム)、硫酸水素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、ホルムアミジンスルフィン酸(FAS)等の還元剤を用いることができる。中でも、過酸化物漂白を行う場合に、漂白効率改善と白色度向上の効果が大きい。反応条件は各漂白薬剤の公知の条件で行うことができる。
上記機械パルプと混合される古紙脱墨パルプは通常使用するものが用いられる。この古紙脱墨パルプの中でも新聞古紙由来の新聞古紙パルプ、雑誌古紙由来の雑誌古紙パルプ等が好ましく、新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプを混合して用いることが特に好ましい。かかる新聞古紙パルプ及び雑誌古紙パルプは、古紙の回収率が高く、各製紙メーカーで新聞用紙、雑誌用紙を構成する原料パルプ種や填料類が近似していることから、原料構成の変動を抑えることができる点で好適である。特に、新聞古紙パルプは、新聞用紙には一般的に古紙パルプが既に50%以上配合され、バージンの機械パルプやクラフトパルプの含有量が少ないため、また、バージンの各種パルプが用いられていても、一度抄紙され、古紙処理により古紙パルプ化されているため、その性状は均質化し、ほぼ一定の性状を有している点で特に好ましい。
原料パルプにおける古紙脱墨パルプの含有量としては、60質量%以上が好ましく、70質量%以上が特に好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。原料パルプ中の古紙脱墨パルプの含有量を上記範囲とすることで、資源の有効利用等の環境性が向上し、さらにインキ着肉性等の印刷適性も向上する。逆に、原料パルプにおける機械パルプの含有量としては、10質量%以上が好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。機械パルプの含有量が上記範囲未満では、古紙から得る古紙脱墨パルプの調整が困難となり、また、嵩が出ず腰のない新聞用紙になり、搬送性や作業性が低下するおそれがある。
本発明に用いられる填料には特に限定がないが、剛直な機械パルプを多く含有する当該新聞用紙に対しては、後述する再生粒子凝集体や、脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体の表面にシリカを被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体が、このようなパルプとの化学的、物理的なパルプ繊維間での保持に有効であり、好適である。シリカ被覆再生粒子は表面が多孔質形状を有するため、当該新聞用紙は、極めて高い吸油機能を発揮することができ、加えて高い光散乱性から不透明度をさらに高めることができる。さらには、当該新聞用紙において、太く長いマツ属由来のパルプ繊維と、細く短いスギ属由来のパルプ繊維を特定量含む機械パルプを配合し、その隙間を埋めるようにシリカ被覆再生粒子が抄紙されるため、光散乱性が上がると共に光透過性を下げるため、不透明度が向上する。
〔再生粒子〕
本発明では填料として、不透明度に優れた再生粒子や再生粒子凝集体、更にはシリカ被覆再生粒子凝集体を使用すると、填料使用量が少なくても印刷不透明度が優れた新聞用紙が得られるため好ましい。
〔再生粒子および再生粒子凝集体の製造工程〕
再生粒子は、古紙パルプを製造する古紙処理設備の脱墨工程においてパルプ繊維から分離された脱墨フロスを主原料として、前記主原料を脱水、乾燥、燃焼及び粉砕工程を経て得られる。製造方法は、例えば特許第3869455号公報の記載の製法を用いることができる。内添填料として用いる場合は、公知の粉砕方法により体積平均粒子径を5〜十数μmにまで粉砕して粒子径を調整することが好ましい。体積平均粒子径が5μmよりも小さいと歩留りが悪く抄紙機系内において異物化しやすいため好ましくなく、十数μmよりも大きいと地合が悪化したり、強度(引張強度や引裂強度)が低下する可能性があるため好ましくない。
上記方法で製造した再生粒子は、個々の粒子が幾つか集まって凝集した再生粒子凝集体を形成しており、ランチュウの肉瘤状のような、不定形な形をしている。この不定形性により、基紙に含有させた場合は紙厚が出やすく、また、高不透明度の粒子であるため填料含有量を低減でき剛度が高くなりやすいため好ましい。
これら再生粒子または再生粒子凝集体は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)による元素分析において、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを酸化物換算で30〜82:9〜35:9〜35の質量割合で含む。好ましくは、40〜82:9〜30:9〜30の質量割合、より好ましくは、60〜82:9〜20:9〜20の割合である。
焼成工程において、再生粒子凝集体のカルシウム、ケイ素及びアルミニウムの酸化物換算割合を調整するための方法としては、脱墨フロスにおける原料構成を調整することが本筋ではあるが、乾燥・分級工程、焼成工程において、出所が明確な塗工フロスや調整工程フロスをスプレー等で工程内に含有させる手段や、焼却炉スクラバー石灰を含有させる手段にて調整することも可能である。
例えば、無機粒子凝集体中のカルシウムの調整には、中性抄紙系の排水スラッジや、塗工紙製造工程の排水スラッジを用い、ケイ素の調整には、不透明度向上剤として多量添加されている新聞用紙製造系の排水スラッジを、アルミニウムの調整には酸性抄紙系等の硫酸バンドの使用がある抄紙系の排水スラッジや、タルク使用の多い上質紙抄造工程における排水スラッジを適宜用いることができる。
〔付帯工程〕
製造設備において、より品質の安定化を求めるには、再生粒子凝集体の粒度を、各工程で均一に揃えるための分級を行うことが好ましく、粗大や微小粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。
また、乾燥工程の前段階において、脱水処理を行った脱墨フロスを造粒することが好ましく、更には、造粒物の粒度を均一に揃えるための分級を行うことがより好ましく、粗大や微小の造粒粒子を前工程にフィードバックすることでより品質の安定化を図ることができる。造粒においては、公知の造粒設備を使用でき、回転式、攪拌式、押し出し式等の設備が好適である。
製造設備においては、再生粒子凝集体以外の異物を除去することが好ましく、例えば古紙パルプ製造工程の脱墨工程に至る前段階のパルパーやスクリーン、クリーナー等で砂、プラスチック異物、金属等を除去することが、除去効率の面で好ましい。特に鉄分の混入は、鉄分が酸化により微粒子の白色度低下の起因物質になるため、鉄分の混入を避け、選択的に取り除くことが推奨され、各工程を鉄以外の素材で設計又はライニングし、磨滅等により鉄分が系内に混入することを防止するとともに、更に、乾燥・分級設備内等に磁石等の高磁性体を設置し選択的に鉄分を除去することが好ましい。
〔シリカ被覆再生粒子、シリカ被覆再生粒子凝集体〕
本発明においては、一般に製紙用途で使用する填料、すなわち、炭酸カルシウム(重質および軽質)、クレー、タルクなどをシリカで被覆したシリカ被覆無機粒子を用いることも好ましく、特に、上述の再生粒子または再生粒子凝集体の表面をシリカで被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体は、その表面が高い多孔性を有し、比表面積が飛躍的に高くなっているので、原料パルプ繊維、繊維間において化学的、物理的な付着性に優れ、印刷不透明度がさらに高く、しかも印刷適性に優れ、特に高速でのオフセット印刷に好適な新聞用紙を得ることができる。
再生粒子凝集体にシリカを析出させる好適な方策としては、特許第3907688号公報や、特許第3935496号公報に記載の方法で行うことが出来る。但し、次のとおり行うことで、より不透明性に優れたシリカ被覆粒子が得られるため好ましい。
以下に、被覆したい粒子が再生粒子凝集体である場合を例に、シリカ被覆する方法を記述する。
前記製造工程で得られた再生粒子または再生粒子凝集体を珪酸アルカリ水溶液に添加・分散しスラリーを調製した後に、加熱攪拌しながら、液温70〜100℃で硫酸、塩酸または硝酸などの鉱酸の希釈液を添加し、シリカゾルを生成させ、最終反応液のpHを8.0〜11.0の範囲に調整することにより、再生粒子表面に粒子径10〜20nmのシリカゾル粒子を生成させて、シリカ被覆再生粒子またはシリカ被覆再生粒子凝集体を得る。このシリカ被覆した粒子は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)による元素分析において、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを、酸化物換算で30〜62:29〜55:9〜35の質量割合とすることにより、シリカ析出効果による不透明性を更に向上させることができる。
被覆したい粒子(再生粒子凝集体など)および珪酸アルカリを9:1の質量割合で混合した水溶液を調整し、加熱攪拌しながら液温を昇温させた後、酸を添加してシリカゾルを生成させることで、被覆したい粒子(再生粒子凝集体)の表面にシリカを析出させることができる。
使用する珪酸アルカリ溶液は特に限定されないが、珪酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が入手性の点で望ましい。珪酸アルカリ溶液の濃度は水溶液中の珪酸分(SiO換算)で3〜10質量%が好適である。10質量%を超えるとホワイトカーボンが析出しやすくなるため、再生粒子凝集体表面にシリカが析出しにくくなり、不透明性が充分に向上できないため好ましくない。また、3質量%未満であっても再生粒子凝集体にシリカが析出しにくいため好ましくない。
液温は、70〜100℃が好ましく、80〜100℃が更に好ましく、90〜100℃が最も好ましい。液温が70℃未満では粒子径が成長せず、填料として使用できる数μm程度にまで粒子が大きくならない可能性があるため好ましくない。液温を70℃以上、好ましくは80℃以上、最も好ましくは90℃以上とすることで、体積平均粒子径で1〜2μmにまで粉砕した再生粒子または再生粒子凝集体を、内添填料として使用できる5〜十数μm程度にまで成長させることができる。
再生粒子または再生粒子凝集体の体積平均粒子径が2μmよりも大きい場合、シリカ被覆した後に体積平均粒子径が数十μmと大きくなりやすく、得られる新聞用紙の地合が悪化したり、強度(引張強度や引裂強度)が低下する可能性があるため好ましくない。またシリカ被覆前の粒子が2μm以上と大きく、かつ70℃未満でシリカ被覆した場合は、粒子径は5〜10数μm程度に収まる可能性はあるが、シリカゾルの生成が緩やかとなるため得られるシリカ被覆粒子は、充分な不透明度が得られない可能性があるため好ましくない。また、後工程において粉砕等、機械的に粒子径を調整すると、シリカの被覆状態が壊れて不透明度が向上しにくくなる。
最終反応液のpHは8.0〜11.0が好ましく、8.3〜10.0がより好ましく、8.5〜9.0が最も好ましい。通常、シリカ粒子(ホワイトカーボン)の製造においては、水和珪酸と鉱酸の反応を完了させるため、pH5.5〜7.0になるまで鉱酸を添加する方法が一般的だが、pHが7以下と酸性領域になると、再生粒子または再生粒子凝集体に含まれる炭酸カルシウムが水酸化カルシウムおよび炭酸に分解しやすくなり、粒子径が低下して紙への歩留りが低下しやすくなったり、充分な不透明性が得られにくいため好ましくない。pHが11.0を超過すると、シリカが析出しにくく、粒子が充分にシリカにより被覆されにくくなるため、充分な不透明性が得られにくい。
このようにして得られたシリカ被覆した粒子は、粒子表面がシリカで被覆されているためワイヤー磨耗度が低くでき、填料として好適に使用することができる。紙に内添する無機粒子においては、粒子が硬いと抄紙機のワイヤー(網部)を傷つけやすくなり、ワイヤー寿命を縮めるだけでなく、抄紙機系内に異物が堆積しやすいため好ましくない。しかしながら本発明のごとく、シリカで被覆した無機粒子、好ましくはシリカ被覆再生粒子凝集体を用いることで、ワイヤーを傷つけにくい柔らかい無機粒子を得ることができる。
ワイヤー磨耗度は、フィルコン式ワイヤー磨耗度試験で評価することができる。磨耗度が約80mgの再生粒子凝集体では、シリカ被覆により磨耗度を約20mgにまで低下させることができ、内添填料として充分に使用可能な粒子を得ることができる。尚、重質炭酸カルシウムのワイヤー磨耗度は100mg以上、軽質炭酸カルシウムは約50mg、ホワイトカーボンは約15mgであり、おおむね50mg以下であれば、内添填料として使用できる。
上述のとおり、填料として、シリカ被覆再生粒子凝集体を用いた場合には、シリカが保有する不透明性とインキ吸収能の向上に寄与する多孔性の付与が可能になると共に、新聞用紙を構成するパルプ繊維の間隙にシリカ被覆再生粒子凝集体が含有されると、パルプ繊維同士のズレが抑えられ、例えば平坦化処理において密度が上昇し過ぎるのを抑制することができる。さらにこのようなシリカ被覆再生粒子凝集体を填料として用いた場合には、シリカで被覆していない再生粒子凝集体を用いた場合よりも得られる新聞用紙の白色度、印刷不透明度、表面強度、インキ乾燥性の向上、インキ吸収ムラの抑制、嵩高の付与といった効果をより向上させることができる。
本発明に好適に用いられる再生粒子凝集体の粒子径は、パルプ中への歩留りや再生粒子凝集体の白水中への流失防止という点から、体積平均粒子径が5μm以上、さらには8μm以上であることが好ましく、また印刷適性の維持と剣先詰まりの防止という点から、体積平均粒子径が20μm以下、さらには18μm以下、特に15μm以下であることが好ましい。
また本発明に好適に用いられる再生粒子凝集体は、粒子径の体積分布において20μm以下である凝集体の割合が70質量%以上に、かつ該粒子径の体積分布において18μmを越える凝集体の割合が0.5質量%以下に調整されていることがより好ましい。
なお本明細書において、再生粒子凝集体の体積平均粒子径及び体積分布は、レーザー粒径分布測定装置(レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD−2200型、標準屈折率(1)にて測定、(株)島津製作所製)にて測定した値をいう。
さらに前記シリカ被覆再生粒子凝集体は、JIS−K5101−13−1に記載の「顔料試験方法−第13部:吸油量−第1節:精製あまに油法」に準拠した吸油量が、30ml/100g以上、さらには40ml/100g以上であることが好ましく、また180ml/100g以下、さらには120ml/100g以下であることが好ましい。該再生粒子凝集体の吸油量が30ml/100g未満では、白紙不透明度と印刷不透明度との差が少なく、印刷の裏抜けが生じたり、ネッパリが生じたりする恐れがあり、180ml/100gを超えると、紙面pHが高めに推移する傾向があり、インキ濃度が低下する恐れがある。
本発明において、前記再生粒子凝集体の使用量があまりにも少ない場合には、例えば抄紙機でのカレンダー処理において、平滑化の効果が発現されにくくなり、新聞用紙の白紙不透明度が充分に向上せず、印刷不透明度が不充分となったり、新聞用紙の剛度が高くなり、輪転機上での走行性が低下したりする恐れがあるので、再生粒子凝集体は、パルプ固形分100質量部に対して2質量部以上、さらには3質量部以上であることが好ましい。逆に再生粒子凝集体の使用量があまりにも多い場合には、表面性や剛度の点では望ましいものの、印刷機内での搬送に伴って灰分が脱落し易くなり、表面強度の低下や、剥け・ケバ立ち、印刷白抜け、紙粉等が発生する恐れがあるので、パルプ固形分に100質量部に対して15質量部以下、さらには10質量部以下とすることが好ましい。
本発明において、填料には前記再生粒子凝集体やシリカ被覆再生粒子凝集体が含有されることが好ましいが、これら以外にも、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えばホワイトカーボン、カオリン、エンジニアードカオリン、クレー、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ケイ酸、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、サチンホワイト等の無機填料や有機填料を、単独で又は2種類以上を同時に使用することができる。
前記パルプに対する填料の割合は、填料を用いたことによる、高い印刷不透明度を維持しながら、印刷操業性、印刷適性等を向上させる効果を充分に発現させるには、パルプ固形分100質量部に対して3質量部以上、さらには5質量部以上とすることが好ましく、また新聞用紙の紙粉発生の恐れがないようにするには、パルプ固形分100質量部に対して20質量部以下、さらには15質量部以下とすることが好ましい。
本発明の新聞用紙を構成する基紙を得るには、前記パルプからなるパルプスラリーに填料を添加し、例えば好適にはpH6.0〜10.0、さらに好適にはpH6.5〜9.5の中性〜アルカリ性となるようにpH等の条件を調整して、長網型抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機等の通常の抄紙機にて抄紙する方法を採用することが、光学的性質を向上するという点から好ましい。すなわち、抄紙pHが中性〜アルカリ性であると、酸性の場合と比べて、繊維1本1本が膨潤し易く、外部フィブリル化、内部フィブリル化された繊維相互の水素結合を形成する領域が増加する。したがって、灰分が酸性新聞用紙と同程度の場合には、中性新聞用紙の紙力の方が高くなる。この結果、例えば35〜50g/m2といった低坪量の新聞用紙であっても、高速オフセット印刷に耐え得る充分な品質を確保することができる。
また本発明においては、基紙を得る際、パルプの調製段階で凝結剤を添加し、さらに該パルプの調製段階に続く抄紙工程前段で凝集剤を添加することが、パルプ懸濁液中に混在する微細な無機粒子の凝集を推進し、さらに原料パルプに無機粒子を付着させて填料歩留りを向上させる、濾水性が向上してウェットエンドの安定性が得られるといった利点があるので好ましい。
本発明に用いられる原料パルプは、機械パルプの割合が高く、パルプ表面が比較的高いアニオン性を呈するので、パルプの調製段階で凝結剤を添加し、さらに該パルプの調製段階に続く抄紙工程前段で凝集剤を添加することが、パルプ繊維間に、物理的、化学的に填料を付着させて填料歩留りを向上させ、また、濾水性の向上によりウェットエンドの安定性を得ることができる点から好適である。
前記のごとくパルプの調製段階で添加することが好ましい凝結剤としては、例えばポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリダドマック、PDADMAC)、ポリアミン(PAm)、ポリエチレンイミン(PEI)等の有機高分子系凝結剤や、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等の無機系凝結剤があげられる。これらの中でも、PAM、PAm及びPEIの少なくとも1種を用いることが好ましい。
前記有機高分子系凝結剤は、例えば再生粒子凝集体やシリカ被覆再生粒子凝集体を使用した場合、該再生粒子凝集体をパルプ中に留め、濾水性を向上させることができるという点から、その電荷密度が3meq/g以上、さらには10meq/g以上であることが好ましい。かかる電荷密度が3meq/g未満の場合、パルプのカチオン要求量を所定値まで上昇させるには有機高分子系凝結剤の添加量を多くしなければならず、コストが高くなり、新聞用紙の地合(シートフォーメーション)が低下する恐れがある。また有機高分子系凝結剤の平均分子量は70万〜130万、更には80万〜120万であることが好ましい。かかる平均分子量が70万未満では、凝集力が弱く、再生粒子凝集体やシリカ被覆再生粒子凝集体の湿紙への定着が不充分となり、その結果、目的とする効果の向上が望めない恐れがあり、一方130万を超えると、凝集力が強過ぎるため、新聞用紙の紙合が低下し、紙合を良好に維持するためには添加量を少なくしなければならず、やはり目的とする効果の向上が望めない恐れがある。
有機高分子系凝結剤の添加量は、カチオン要求量低減率と、有機高分子系凝結剤添加後の紙料濾液のカチオン要求量とが満足されるように調整することが好ましい。したがって有機高分子系凝結剤の添加量は、後述する無機系凝結剤の添加量にも左右されるが、パルプに対して固形分で1000〜4000ppm、さらには1200〜3800ppmであることが好ましい。かかる有機高分子系凝結剤の添加量が1000ppm未満では、その効果が不充分となる恐れがあり、一方4000ppmを超えると、紙の地合が低下し、コストも上昇する恐れがある。
また、無機系凝結剤の添加量は、パルプに対して0.1〜5.0質量%、さらには0.1〜3.0質量%、特に0.1〜2.0質量%であることが好ましい。
本発明においては、前記したように、パルプの調製段階で凝結剤を添加することが好ましいが、例えば、前記パルプ及び填料、並びに必要に応じて内添サイズ剤、定着剤、歩留り向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤、消泡剤等の各種製紙助剤等は、配合チェストで混合されて完成原料となる。したがって、配合チェストからマシンチェストの間で凝結剤が添加されることが好ましく、該凝結剤を完成原料に充分に混合するには、配合チェストへ添加することがより好ましい。
さらに本発明においては、前記パルプの調製段階で凝結剤を添加した後、該パルプの調製段階に続く抄紙工程前段で凝集剤を添加することが好ましい。
前記凝集剤としては、アニオン性を呈するパルプや填料に対してカチオン性凝集剤が特に好適である。かかるカチオン性凝集剤としては、例えば平均分子量が800万〜1200万、さらには850万〜1100万であり、かつカチオン性単量体の割合が5〜100モル%、さらには10〜100モル%のカチオン性水溶性重合体又は共重合体を使用することができる。かかるカチオン性凝集剤の代表例としては、例えば、PAM等があげられる。カチオン性凝集剤の平均分子量が800万未満であると、該カチオン性凝集剤を用いた効果が充分に発現されない恐れがあり、一方1200万よりも大きくても、所望の効果の向上があまり望めず、コスト高となる恐れがある。
凝集剤の添加は、前記したように、抄紙工程前段、すなわち抄紙網前のヘッドボックスにおいて行われることが特に好ましい。これにより、抄紙網において欠損する再生粒子やシリカ被覆再生粒子の量を格段に低減させることができる。
また凝集剤の添加量は、パルプに対して純分で100〜150ppm、さらには120〜140ppmであることが好ましい。凝集剤の添加量が100ppm未満であると、再生粒子凝集体やシリカ被覆再生粒子凝集体の歩留り向上効果が充分に得られない恐れがあり、一方150ppmを超えると、新聞用紙の地合が低下する恐れがある。
本発明では、例えば前記凝結剤や凝集剤を使用することにより、最終的な新聞用紙の地合指数を5.0〜10.0%、さらには6.0〜9.5%、特に8.0〜8.5%に調整することが好ましい。本発明の新聞用紙は、主に輪転機で印刷される関係で、所定の引張り強度が必要となる。したがって、所定の縦方向の引張り強度を得るためには、地合指数が5.0%以上であることが好ましい。一方地合指数が10.0%を超えても、充分な縦方向の引張り強度が得難いとともに、例えばオフセット印刷において、特にカラー印刷でのインキの吸収ムラが生じ、印刷適性、特に印刷不透明度の低下に繋がる恐れがある。なお、本明細書において、新聞用紙の地合指数とは、シートフォーメーションテスター((株)東洋精機製作所製)にて測定した値をいう。
さらに本発明の新聞用紙を構成する基紙を製造する際には、複数の紙料を調製して種箱に供給する前に、各紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置に供して測定したカチオンデマンド測定値に基づき、調製段階にて添加する凝結剤の添加量を制御することもできる。
このようにオンラインで凝結剤の添加量を制御することで、最適なカチオンデマンドによる電位制御が可能である。特に迅速なカチオンデマンド測定値をフィードバックし、これを制御することが可能であり、抄紙機のワイヤーパートでの濾水性の安定化を図ることができるとともに、ウェットパートでの断紙の低減のみならず、得られる新聞用紙の地合を良好に維持することができる。なお、前記カチオンデマンドとは、アニオン物質が有する総電荷のことである。また、アニオン物質(アニオントラッシュ)とは、負(マイナス)に帯電した物質であり、パルプ(微細繊維を含む)、填料(好適に使用される再生粒子凝集体やシリカ被覆再生粒子凝集体等)、各種ウェットエンド製紙助剤(その他の填料、内添サイズ剤、消泡剤等)、樹脂ピッチ、溶出リグニン等のことである。
オンラインのカチオンデマンドを測定する装置の代表例としては、カチオンデマンド測定装置(型番:PCT15又はPCT20、mutek社製)があげられる。該カチオンデマンド測定装置では、紙料を試験機のセル中に導入すると、上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンとの間にサンプル液の流れが生じ、コロイド粒子の表面電荷の歪みによって電気が生じる。パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子は、イオンにより電気を帯びており、これを利用することでチャージ要求量を高分子電解質測定によって測定する。
更に、前記基紙の表面に、水溶性高分子化合物を含む塗工液を基紙表面に設けて、本発明の新聞用紙を得ることができる。
前記塗工液に含まれる水溶性高分子化合物としては、例えば澱粉、ポリビニルアルコール(以下、PVAという)等があげられ、これらは単独で又は同時に用いることができ、特に澱粉を主成分として用いることが好ましい。
本発明においては、原料パルプに機械パルプを多く含有し、そのパルプ繊維は剛直で、繊維表面には微細な叩解によるフィブリル繊維が存在する。この剛直な機械パルプと微細なフィブリル繊維を有する用紙表面に、水溶性高分子化合物を固形分で0.2〜5.0g/m2含有させることで、好ましくは、さらに公知のマシンカレンダーやソフトカレンダー等の平坦化処理設備で平坦化処理を施すことで、用紙表面に突出した繊維・フィブリル繊維を平坦にしながら、水溶性高分子化合物にて用紙表面を確保し、用紙内部の嵩高性を維持しながら高速輪転印刷に耐え得る印刷適性を満足させることができる。
前記澱粉の種類には特に限定がないが、本発明においては、例えばエステル化澱粉や酸化澱粉を好適に用いることができ、特にエステル化澱粉が好ましい。
例えば変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張り強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、中性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が低く、被膜性が低い。したがって、本発明では、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性の澱粉を用いることが好ましい。また、エステル化澱粉や酸化澱粉を用いた場合には、パルプ繊維に対する定着性が高く、被膜性に優れ、また新聞用紙表面の品質も向上する。
エステル化澱粉を用いた場合は、インキ濃度及びインキセット性が飛躍的に向上する。かかるエステル化澱粉を得る際の原料澱粉としては、例えば未処理澱粉、処理澱粉の他、各種澱粉含有物があげられる。このような原料澱粉の代表例としては、例えば小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ粉、高アミロース含量トウモロコシ澱粉等の未処理澱粉;小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンフラワー、米粉等の澱粉含有物に、酸化、酸処理化等を行った処理澱粉等があげられる。これらの中でも、タピオカ澱粉は、エステル変性物が粘性、被膜性、弾力性、伸展性の面で他の穀物澱粉類よりも優れる点で好ましい。さらにチキソトロピック性を有するエステル化澱粉が、基紙の表面への塗工時は流動性を示しながら、塗工後は基紙中に浸透し難く、基紙表面に高い被膜性を呈する点から好ましい。
酸化澱粉としては、従来から使用されている化工澱粉が好適に例示され、例えば次亜塩素酸ナトリウム等による酸化反応によって、低分子量化と、分子中へのカルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基等の導入とを行ったものがあげられる。
なお、本発明に用いられる澱粉としては、平均分子量が60万〜300万、さらには80万〜280万のものが、用紙表面の被覆性とインキ成分を用紙表面に留めながら、溶媒成分を紙中に取り込み吸収乾燥性を向上させるという点から好ましい。
また前記澱粉としては、粘度(10%)が30×10-3Pa・s以下、さらには15×10-3〜25×10-3Pa・sのものが、用紙表面に突出した繊維・フィブリル繊維の平坦化において、粘度が高いことから紙中に浸透せず、紙表面に留まることができるという点から好ましい。
前記したように、水溶性高分子化合物としては、澱粉の他にも例えばPVAがあげられる。一般にPVAを単独で新聞用紙の表面に塗工した場合には、澱粉を単独で塗工した場合と比べて、略3倍の表面強度を示し、被膜性に優れる反面、かかる被膜性が高いためにコールドセット型インキのように、用紙中に溶媒が浸透して乾燥する印刷インキを用いると、印刷インキの溶媒の吸収性が低く、充分なインキセット性が得られない恐れがある。またPVAを単独で一定量塗工しようとすると、該PVAを含む塗工液の粘性が高く、例えばフィルムトランスファー方式では、断紙、抄紙設備の汚れ、粕、紙面の汚れ等が生じる場合がある。ところが、このようなPVAは澱粉と併用することで、印刷インキの溶媒の用紙中への浸透を適度に促しながら、インキ填料成分を用紙表面に留める被膜性が向上するとともに、インキセット性の低下も充分に抑制されるという利点が生じる。
PVAの種類には特に限定がなく、本発明で用いることができるPVAには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAの他に、末端をカチオン変性したPVAやアニオン性基を有するアニオン変性PVA等の変性PVAも含まれる。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAとしては、平均重合度が300〜3000、さらには1000〜2400、特に1700〜2000のものが、澱粉との相溶性に優れ、均質な被膜が得られ易いという点から好ましい。
また通常のPVAとしては、ケン化度が80〜100のものが好ましく、ケン化度が90〜100の完全ケン化PVAがより好ましい。完全ケン化PVAを用いた場合には、部分ケン化PVAを用いた場合よりも、新聞用紙表面に、耐水性や耐熱性を有する被膜がより得られ易い。
澱粉とPVAとを併用する場合、両者の割合(澱粉:PVA(固形分質量比))は、10:0.8〜10:2.0、更には10:0.9〜10:1.2であることが好ましい。澱粉に対するPVAの割合が10:2.0を上回ると、両者を含んだ塗工液の粘性が急激に上昇するため、塗工ムラやミストが発生し、塗工品質の低下や設備周辺の汚損が生じる恐れがあり、一方10:0.8を下回ると、澱粉とPVAとの相溶性には問題がないものの、基紙の表面に塗工した際に、澱粉とPVAとの相乗効果が得られず、基紙中への浸透や塗工ムラが生じる恐れがある。
基紙の表面に塗工する塗工液は、例えば前記澱粉、PVA等の水溶性高分子化合物と、必要に応じて、例えばポリアクリルアミド等の表面紙力剤や、例えばスチレン系ポリマー等の表面サイズ剤とを適宜混合して水を加え、固形分濃度を適宜調整することによって得ることができる。
例えば澱粉、PVAといった水溶性高分子化合物を含む塗工液を、基紙の表面に公知の塗工方式にて塗工することができるが、中でもフィルムトランスファー方式で塗工することが好ましい。フィルムトランスファー方式による塗工、特にゲートロールによる塗工は他の塗工方法とは異なり、例えば0.5〜1.0g/mといった低塗工量にて、基紙の表面に被覆性の高い輪郭塗工を施す際に最適であり、塗工液に急激なせん断力がかからないので、循環使用する塗工液の安定性に優れ、高速で均質な被膜を得ることができる。
例えば、澱粉及びPVAを主成分とする塗工液は、フィルムトランスファー方式でなくとも、サイズプレスやロッドメタリングサイズプレス等の塗工手段にて塗工することも可能ではあるが、基紙表面の凹凸に沿った輪郭塗工を施さなければ、澱粉及びPVAによる被覆性が充分に発現されず、例えばコールドセット型インキを使用して多色オフセット輪転印刷をする場合、インキ濃度、インキセット性、インキ着肉性等の印刷適性に優れる新聞用紙が得られ難い。したがって、低濃度、低塗工量で、特に澱粉及びPVAを主成分とする塗工液を塗工するには、フィルムトランスファー方式が好適である。
新聞用紙の表面への塗工液の塗工量は、前記水溶性高分子化合物が、用紙表面に固形分で、0.2g/m以上、好ましくは0.5g/m以上、また5.0g/m以下、好ましくは4.0g/m以下含有されるように調整される。用紙表面に含有される水溶性高分子化合物の量が0.2g/mを下回ると、該水溶性高分子化合物による充分な被膜性が得られず、インキ中の填料成分が新聞用紙の表面で留まり難く、充分に高いインキ濃度が得られない。一方、用紙表面に含有される水溶性高分子化合物の量が5.0g/mを上回ると、塗布設備周辺に水溶性高分子化合物を含んだ塗工液のミストが多量に発生し、周辺機器を汚損するとともに、汚れに起因する断紙、用紙の欠陥が生じる。
前記したように、本発明において、水溶性高分子化合物として澱粉を主成分に用い、さらにPVAを併用して両者の割合(澱粉:PVA(固形分質量比))を10:0.8〜10:2.0とした塗工液により、用紙表面に形成された塗工層に、これら澱粉及びPVAが固形分で0.2〜5.0g/m含まれるようにすることが最適である。これにより、例えばコールドセット型オフセットインキの顔料成分を新聞用紙の表面に充分に留め、新聞用紙Z軸方向への溶媒(ビヒクル)浸透性をより向上させることが可能となり、用紙表面でさらに高いインキ濃度を発現させ、さらに適度な溶媒浸透性が得られることで、コールドセット型オフセットインキのインキセット性もより向上する。
なお、オフセットインキのインキセット性を改良するには、澱粉を塗工することでも効果が認められるが、単なる澱粉の塗工だけでは、コールドセット型オフセットインキを新聞用紙の表面で充分に留めることが困難であり、本発明のように、用紙表面に形成された塗工層に含有される水溶性高分子化合物の固形分量を、特定範囲となるように調整することにより、コールドセット型オフセットインキの顔料成分を新聞用紙の表面に留め、新聞用紙Z軸方向へ適度に溶媒を浸透させることが可能になり、インキセット性が良好で、インキ濃度が高く、しかも高精細な印刷画像や印刷不透明度を得ることができる。
さらに、本発明の新聞用紙には、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー設備で平坦化処理を施すことも可能である。
このようにして得られる本発明の新聞用紙は、輸送における労力の軽減、軽量化の点から、JIS−P8124に記載の「坪量測定方法」に準拠した坪量が、好ましくは35g/m以上、さらに好ましくは38g/m以上、また好ましくは50g/m以下、さらに好ましくは48g/m以下の軽量なものである。かかる坪量が35g/m未満では不透明度の確保が不充分となり、例えば17〜18万部/時間にも及ぶ近年の高速印刷においては特に、断紙やシワが生じ易く、操業性、品質に問題が発生する恐れがある。一方坪量が50g/mを超えると、充分な不透明度を確保し易くなるものの、軽量な新聞用紙として扱い難くなる。機械パルプの原料として、スギ属の木材チップと、マツ属の木材チップとの配合比を5:95以上50:50以下とした機械パルプは、不透明度、強度、嵩が高い機械パルプとなるため、前記、機械パルプを配合することで、軽量化しても不透明度を確保した新聞用紙が得られる。
新聞用紙中の灰分は、JIS−P8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定して、4.0%以上、さらには6.0%以上、特に7.0%以上であることが好ましく、また15.0%以下、さらには12.0%以下、特に10.0%以下であることが好ましい。
例えば従来の新聞古紙からなる古紙パルプは、チラシ等の塗工紙が混在するため、古紙由来の灰分が古紙パルプ中に多く存在し、望ましい灰分にするには、古紙パルプ中からの持込灰分を考慮しながら全体的な灰分調整を行うことが必要であり、不用意な灰分の存在によって紙中灰分が上昇し、紙質強度が低下して断紙が生じ、操業性が悪くなるといった問題を有していた。また、古紙由来の灰分は、抄紙後に脱落し易く、印刷機内の摩擦部位や切断時に紙粉が発生する原因にもなる。したがって、古紙原料中の持込灰分はできる限り低く保持することが好ましい。
新聞用紙中の灰分が4.0%未満では、充分な不透明度が得られ難く、裏抜けの原因となる恐れがある。特に高白色度の場合、灰分が少なすぎると裏抜けが目立つ傾向がある。一方、灰分が15.0%を超えると、前記したように紙質強度が低下し易く、抄紙工程における断紙トラブルが生じ、生産性が低下するとともに、系内の汚れが生じる恐れがあるほか、高速輪転印刷における断紙トラブルも生じ易く、印刷操業性が低下する原因となる恐れがある。機械パルプの原料として、スギ属の木材チップと、マツ属の木材チップとの配合比を、5:95以上50:50以下とした機械パルプは、不透明度が優れ、灰分を増加させなくても不透明度を確保できることから、填料の添加量を抑えることができ、紙表面からの填料粒子の脱落による抄紙工程における生産性の低下や、高速輪転印刷機における断紙トラブル、印刷作業性の低下を防止できる。
新聞用紙の紙面pHは、6.0以上、さらには6.5以上であることが好ましく、また10.0以下、さらには9.5以下であることが好ましい。特に新聞用紙への高速輪転オフセット印刷において、印刷前に紙面に塗布される湿し水が、新聞社によって変動するものの、ほぼ中性であることから、湿し水との相性を考慮し、印刷不良発現のリスクを低減させるために、かかる紙面pH範囲に調整することが好ましい。なお本明細書において紙面pHは、紙面用pH測定キット(共立理化学研究所製)にて、試薬(MPC−BCP、pH4.8〜6.8)を使用し、変色標準計で目視にて測定した値をいう。
また新聞用紙の密度は、JIS−P8118に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に記載の方法に準拠して測定して、0.5〜1.0g/cm、さらには0.6〜0.9g/cmであることが好ましい。かかる密度が0.5g/cm未満であると紙質強度が低下して高速輪転印刷における断紙の原因になるとともに、紙粉が発生するという問題が生じる恐れがある。一方、密度が1.0g/cmを超えると、印刷後の裏抜けが生じやすくなり、剛度が低下して印刷作業性も低下する恐れがある。
また新聞用紙の白色度は、JIS−P8212に記載の「パルプ−拡散青色光反射率(ISO白色度)の測定方法」に準拠して測定して、53%以上、さらには54〜58%であることが好ましい。かかる白色度が53%未満であると、印刷前の白紙外観が低下するだけでなく、オフセット印刷後、特にカラー印刷後の印刷物の見映えも低下する恐れがある。
新聞用紙の不透明度は、JIS−P8149に記載の「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)」に準拠して測定して、90%以上、さらには92〜94%であることが好ましい。かかる不透明度が90%未満であると、印刷前の白紙外観が低下するだけでなく、オフセット印刷後の印刷物の見映えも低下する恐れがある。機械パルプの原料としてスギ属の木材チップと、マツ属の木材チップとの配合比を、5:95以上50:50以下とした機械パルプは、不透明度、強度、嵩の高い機械パルプとなるため、前記、機械パルプを配合することで、軽量化しても不透明度の高い新聞用紙が得られる。さらに、再生粒子凝集体や、再生粒子凝集体の表面にシリカを被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体と組み合わせることで、太く長いマツ属由来のパルプ繊維と、細く短いスギ属由来のパルプ繊維の隙間を埋めるように再生粒子凝集体やシリカ被覆再生粒子が抄紙されるため、光散乱性が上がると共に光透過性を下げるため、不透明度が向上する。
新聞用紙の印刷不透明度は、印刷時の裏抜けが発生し難いという点から印刷不透明度は高いものが求められるが、後述する印刷不透明度試験方法に準拠して測定した下限として89.5%が好ましく、91%が特に好ましい。また、不透明度の上限としては、94%が好ましく、93%が特に好ましい。印刷不透明度が上記下限未満であると裏抜けが生じやすくなる。逆に、印刷不透明度が上記上限を超えると、必要な填料が増大し、その結果パルプ繊維間の密着性が低下し、新聞用紙の強度が低下したり、紙表面からの填料の脱落によって印刷時の紙紛が増加し印刷作業性が低下する。機械パルプの原料として、スギ属の木材チップと、マツ属の木材チップとの配合比を、5:95以上50:50以下とした機械パルプは、不透明度、強度、嵩が高い機械パルプとなるため、前記、機械パルプを配合することで、軽量化しても印刷不透明度の高い新聞用紙が得られる。さらに、再生粒子凝集体や、再生粒子凝集体の表面にシリカを被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体と組み合わせることで、太く長いマツ属由来のパルプ繊維と、細く短いスギ属由来のパルプ繊維の隙間を埋めるように吸油性の高い再生粒子凝集体やシリカ被覆再生粒子が抄紙されるため光散乱性が上がると共に光透過性を下げるため、印刷不透明度が向上する。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳説するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ラジアータパインチップ95質量%と、スギチップ5質量%とを配合した混合チップを用いて解繊、叩解し、精選工程でスリット幅0.15mmのスクリーンを用いて精選処理して、機械パルプを製造し、この機械パルプと、古紙脱墨パルプとを20:80の質量比で配合して原料パルプスラリーを得た。この原料パルプスラリーに対し、脱墨フロスを主原料とするシリカ被覆再生粒子凝集体(平均粒子径8μm)を3質量部添加し、硫酸バンドでpHを調整した後、ツインワイヤー抄紙機で坪量43g/mの新聞用紙を抄造して実施例1の新聞用紙を得た。なお、脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体をシリカ被覆したシリカ被覆再生粒子凝集体は、特許第3907688号公報に記載の実施例15に従って製造した。
(実施例2)
ラジアータパインチップを90質量%、スギチップを10質量%配合した以外は実施例1と同様にして実施例2の新聞用紙を得た。
(実施例3)
ラジアータパインチップを85質量%、スギチップを15質量%配合した以外は実施例1と同様にして実施例3の新聞用紙を得た。
(実施例4)
ラジアータパインチップを80質量%、スギチップを20質量%配合した以外は実施例1と同様にして実施例4の新聞用紙を得た。
(実施例5)
ラジアータパインチップを75質量%、スギチップを25質量%配合した以外は実施例1と同様にして実施例5の新聞用紙を得た。
(実施例6)
ラジアータパインチップを70質量%、スギチップを30質量%配合した以外は実施例1と同様にして実施例6の新聞用紙を得た。
(実施例7)
ラジアータパインチップを60質量%、スギチップを40質量%配合した以外は実施例1と同様にして実施例7の新聞用紙を得た。
(実施例8)
ラジアータパインチップを50質量%、スギチップを50質量%配合した以外は実施例1と同様にして実施例8の新聞用紙を得た。
(実施例9)
スリット幅0.20mmのスクリーンを用いて精選処理したこと以外は、実施例4と同様にして実施例9の新聞用紙を得た。
(実施例10)
シリカ被覆再生粒子凝集体を添加しなかったこと以外は、実施例4と同様にして実施例11の新聞用紙を得た。
(実施例11)
シリカ被覆再生粒子凝集体の代わりに軽質炭酸カルシウム(平均粒子径2μm)を原料パルプスラリーに対し3質量部添加した以外は、実施例4と同様にして実施例11の新聞用紙を得た。
(比較例1)
スギチップを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の新聞用紙を得た。
(比較例2)
ラジアータパインチップを97質量%、スギチップを3質量%配合した以外は実施例1と同様にして比較例2の新聞用紙を得た。
(比較例3)
ラジアータパインチップを40質量%、スギチップを60質量%配合した以外は実施例1と同様にして実施例7の新聞用紙を得た。
(比較例4)
ラジアータパインを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の新聞用紙を得た。
実施例1〜11及び比較例1〜4の新聞用紙及び機械パルプスラリーについて、以下の基準により性能評価を行った。フリーネス及びシャイブ率は機械パルプについての値である。その結果を表1に示す。
〔評価〕
(1)印刷不透明度
RI印刷適性試験機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)で、オフセット輪転印刷用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)のインキ量を変えて印刷し、印刷面反射率が9%のときの、印刷前の裏面反射率に対する印刷後の裏面反射率の比率:
(印刷後の裏面反射率/印刷前の裏面反射率)×100(%)
を求めた。なお、これら反射率の測定には、分光白色度測色機(スガ試験器(株)製)を用いた。
(2)不透明度
JIS−P8149に記載の「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)」に準拠して測定した。
(3)白色度
JIS−P8148に記載の「紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)」に準拠して測定した。
(4)密度
密度は、JIS−P8124に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」及びJIS−P8118に記載の「紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
(5)引張強度(縦)
JIS−P8113に記載の「紙及び板紙−引張特性の試験方法」に準拠して、新聞用紙の縦方向について測定した。
(6)引裂強度(横)
JIS−P8116に記載の「紙−引裂強さ試験方法−エレメンドルフ形引裂試験機法」に準拠して、新聞用紙の横方向について測定した。
(7)フリーネス(機械パルプ)
JIS−P8121(1995)に記載の「パルプのろ水度試験方法」に準拠して測定した。
(8)シャイブ率(機械パルプ)
TAPPI T275sp98に準拠して、0.15mmのスリット幅のスクリーンプレートを用い、サンプル量絶乾100gのパルプをフラットスクリーンで処理したものを用いて測定した。
Figure 2011042915
表1に示されるように、実施例1〜11の新聞用紙は、高い不透明度(印刷不透明度及び不透明度)を有している。特にスギの配合比率を増加させると、不透明度の増加に加えて、引張強度も増加するが、引裂強度が低下する。一方、スギの配合比率を減少させる(ラジアータパインの配合量を増加させる)と不透明度及び引張強度が低下し、引裂強度が増加する。特に、スギの配合比率を15%以上25%以下とし、機械パルプのシャイブ率を0.03%以上0.055%以下となるように調整した新聞用紙が、引張強度及び引裂強度ともに満足する値を有し、かつ高い不透明度を示している。
本発明の新聞用紙は、例えば17〜20万部/時間といった高速でのオフセット輪転印刷等に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 原料パルプとして少なくとも機械パルプ及び古紙脱墨パルプを含む新聞用紙であって、
    この機械パルプの原料として、スギ属(Cryptomeria)の木材チップと、マツ属(Pinus)の木材チップとが用いられ、
    このスギ属の木材チップと、マツ属の木材チップとの配合比が、5:95以上50:50以下であることを特徴とする新聞用紙。
  2. 上記機械パルプのシャイブ率が0.01%以上0.075%以下である請求項1に記載の新聞用紙。
  3. 上記機械パルプが、スリット幅0.12mm以上0.18mm以下のスクリーンで精選処理されている請求項1又は請求項2に記載の新聞用紙。
  4. 上記スギ属の木材チップが、スギ間伐材をチップ化したものである請求項1、請求項2又は請求項3に記載の新聞用紙。
  5. 上記スギ間伐材が樹齢5年以上35年以下のスギ材である請求項4に記載の新聞用紙。
  6. 脱墨フロスを主原料とする再生粒子凝集体を含有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の新聞用紙。
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