JP2008031585A - 紙およびその製造方法 - Google Patents

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由憲 加藤
Yoshiaki Shindo
嘉明 新藤
Koichi Katayama
康一 片山
Yosuke Uchida
洋介 内田
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Abstract

【課題】紙、およびその製造方法に関し、湿紙強度、高速抄紙においても断紙の少ない高速抄紙適性に優れた紙およびその製造方法を提供するものである。
【解決手段】スギを原料とした化学パルプをパルプ原料中に10質量%〜90質量%の範囲で含有し、前記スギは、樹齢15年以上50年以下の材をスギ材中に20質量%〜100質量%含有する紙であり、該紙は抄速750m/分以上で抄紙し、プレス工程でシュープレスを1パス以上経る方法で製造した紙である
【選択図】なし

Description

本発明は紙、およびその製造方法に関し、高速抄紙においても断紙の少ない高速抄紙適性に優れた紙およびその製造方法を提供するものである。
製造工程での断紙は連続的に生産している紙が工程中で途切れる現象であり、生産性に対して多大な損失を生じさせる。特に高速抄紙の場合、停機時間当たりの生産損失が大きく、生産工程を安定化させることが望まれる。
断紙にはその紙が途切れる箇所によって、クーチ断紙、プレス断紙、ドライヤ断紙、カレンダ断紙、リール断紙などと分類される。その中でも紙が乾燥する前の湿紙は繊維間結合力がきわめて弱く、抄紙機のドローに湿紙の強度もしくは伸びが対応できないと、断紙の発生に至ってしまう。
抄紙機での紙の製造を従来より高速化すると、プレス工程の滞留時間が短くなり、相対的に湿紙の搾水が不足し、繊維間での水素結合の形成が少なく、あるいは弱くなり、その結果として断紙が多くなる。
抄紙機の断紙を低減するための技術としては、プレス圧力の増圧やシュープレス化などが考えられるが通常はプレス圧力を最大にして操業するので更なる加圧は望めない。また、シュープレス化には改造となるため、莫大な改造費用と長い停機時間を要する。
特許文献1では、抄紙過程で突発的に発生する紙切れ(断紙)トラブルを未然に防ぐために、抄紙機ワイヤパートの水分率を調整する装置とそれを用いる方法を提供している。これは系内変動を感知し極めて有効であるが、更なる抄紙機の高速化に対応するものではない。
特許文献2では、抄紙原料中に柔軟化剤を添加して紙物性をコントロールする手法が述べられている。しかしこの薬品はパルプの繊維間結合を阻害する作用を有し、むしろ湿紙内の繊維間結合強度を低下させているため、高速抄紙においては断紙の危険性を増してしまう。
特開2006−132074号公報 特開2003−336195号公報
本発明は紙、およびその製造方法に関し、湿紙強度、高速抄紙適性に優れた紙およびその製造方法を提供するものである。
本発明では、原料面からのアプローチを試み、生産性を低下させずにこれまで以上に抄紙機での断紙を低減することに成功した。本発明は以下の発明を包含する。
(1)スギを原料とした化学パルプをパルプ原料中に10質量%〜90質量%の範囲で含有する紙。
(2)前記スギは、樹齢15年以上50年以下の材をスギ材中に20質量%〜100質量%含有する(1)記載の紙。
(3)抄速750m/分以上で抄紙し、プレス工程でシュープレスを1パス以上経る(1)または(2)に記載の紙の製造方法。
高速抄紙においても、断紙回数少なく、湿紙強度に優れた紙を製造できる。
そのまま製品として使用することもでき、又、印刷用紙、情報記録用紙等のように、塗被組成物層を設ける紙の基紙としても使用することができる。
紙の用途としては、例えば各種印刷用紙、新聞用紙、書籍用紙、塗工紙、情報用紙、インクジェット用紙、プリンタ用紙、フォーム用紙、包装用紙、クラフト紙、板紙、白板紙、ライナー、中芯原紙、特殊紙、電材用紙、加工紙、撥水紙、剥離紙、印画紙用紙、防錆紙、アルミ蒸着紙、グラシン紙、粘着紙等、広く利用出来る技術である。
発明者らは本課題につき、鋭意検討を重ねた。
木材繊維より作られる紙の強度に関係する因子はきわめて多く、繊維の長さ、断面積、微細構造、可撓性、膨潤状態、フィブリル化の程度、その他製造条件の如何に影響される。紙の強さは各繊維間の結合の数に支配される。強さを増すためには断面に比べて大きな長さをもち、他の繊維と多くの結合点をつくることが必要である。繊維間の結合は水素結合であると考えられている。直接的には結合面積がより重要であり、叩解時間と湿潤時の加圧圧力に比例する。
本発明では、原料面から抄紙工程での断紙を低減する技術を開発した。断紙を低減するためには、湿紙の引張強度、繊維間結合を高めることが有効である。湿紙の強度は繊維間の結合点の数とその接触面積に依存し、いずれも多い方が強度が)高められる。特に高速抄紙の場合、その要求は極めて高くなる。
一般に広葉樹より針葉樹の方が湿紙強度が高く、抄紙機での断紙が少ない。針葉樹種の方が一般に広葉樹種よりも繊維幅が太く、繊維間結合1点あたりの結合面積が大きいことがその理由である。
発明者らは、さらに針葉樹の様々な樹種を詳細に検討した。
スギ材の繊維形態は、他の針葉樹材と比較して繊維長が短く、繊維壁厚が薄いことが特徴である。しかし、繊維幅は他の針葉樹材と比較して同等である。つまり、ルンケル比が低く、繊維は潰れやすいといえる。ルンケル比とは、繊維壁厚の2倍をルーメン径で除した値であり、大きいほど繊維は剛直で潰れにくい指標である。スギ材の繊維形態は、ある程度の繊維幅を有しながら潰れやすいため、繊維間の結合面積が広いという特徴を発現する。スギ材は結束繊維が多いため、機械パルプ化では解繊しにくく、充分に解繊維しようとすると短繊維化が進行するため、繊維間結合面積を増やすことができないため、化学パルプ化して使用することが好ましい。機械パルプを用いた場合、高速抄紙において断紙回数を低減することはできない。
化学パルプ化は、強アルカリから強酸までの薬品を用い、また、温度や圧力をかけて行われる。化学パルプ化により、繊維壁やミドルラメラからリグニンを取り除き、木材繊維を分離される。これには幾つかの方法があり、クラフトパルプ化工程は、漂白化学パルプや未晒化学パルプを製造する主要な方法である。強くて柔軟な繊維を生産でき、抽出物も効果的に使用することができる。サファイト法は、幅広いpHで行え、特殊なパルプの製造に使われている。中性サルファイトセミ−ケミカルパルプ化などのセミケミカル法は、一部の包装グレードの製造に使われている。スギ材の化学パルプ化には、これら既存の技術を広く利用出来る。これらの方法の中で、クラフトパルプ化法が好ましい。
スギを原料とした化学パルプは原料パルプ中に10質量%〜90質量%の範囲で配合することが望ましい。スギ材化学パルプが10質量%以下である場合、繊維間結合面積を増やす効果が少なく、断紙回数の低減が顕著にはならなかった。スギ材化学パルプが90質量%を越えた場合、繊維間結合はスギ同士の結合ばかりになり、薄い繊維壁がプレス圧力によって破壊され、断紙回数がかえって増えると共に、乾燥後の紙の引裂強度が低下してしまう。
樹木の木部組織の中で細胞が生物学的に生きている部材を辺材、死んだ部分を心材といい、一般に心材は着色しているため辺材と目視で区別できる。心材には多くの種類の抽出成分が存在する。
一般にこの心材成分としてはフェノール類が著しい。心材フェノール量は、一般に樹齢、樹高、および横断面の中心からの位置によって異なり、樹齢の大きいもの、末口よりも元口に近いものが大きく、中心部が一番小さく、心材の外周に向かって増加し、移行材に至って急速に減少する。
スギ材の中でも樹齢15年以上50年以下であることを特徴とするスギ材は木材抽出成分が少なく、これに比べ化学パルプ化が容易である。
樹齢15年未満のスギ材は細胞が成長途上であり繊維径が細く、パルプ化しても十分な繊維幅が得られなかった。樹齢50年を越える材は長年に渡り生産された抽出成分が蓄積され、難蒸解性、難漂白性である。樹齢15年以上50年以下の材が20質量%未満の場合、繊維結合面積が十分に増えず、高速抄紙における断紙の低減効果が顕著でなかった。
従って、スギ材として樹齢15年以上50年以下の材を20質量%以上100質量%の比率で使用することが望ましい。
本発明で使用するスギ材を含む針葉樹をクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃で、蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、あるいは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種あるいは2種以上が添加されてもよく、その添加率は木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。
本発明では、公知の蒸解法により得られた未晒クラフトパルプは、洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされる。本発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できるが、現在、汎用的に用いられているパルプ濃度が8〜15質量%で行われる中濃度法が好ましい。
前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。前記酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され、混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。
酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜15質量%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。本発明では、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好ましい実施形態である。アルカリ酸素漂白が施されたクラフトパルプは次いで洗浄工程へ送られる。パルプは洗浄後、多段漂白工程へ送られる。
パルプ中の残リグニンは、特に二重結合と反応に伴う酸化物の消費とよく対応し、残リグニンを測定するもっとも代表的な方法はカッパー価法で、国際的な標準方法である。これは、絶乾1gのパルプが室温(25℃)、10分間で何mlの0.1N酸性過マンガン酸カリウムを消費するかを測定する方法である。測定された値は、50%KMnOの消費に対応させて変換される。カッパー価は蒸解収率が70%より低い化学パルプに適応できる。
漂白をする場合も公知の技術が利用出来る。漂白とは、可視光を吸収する物質を除去するか、それらの光吸収能力を低下させることで、パルプ繊維の光学特性を変化させる、化学的精製や修飾工程のことである。
本発明の多段漂白工程で用いられる漂白薬品としては、二酸化塩素(D)、アルカリ(E)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、有機過酸等の公知の漂白剤とエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)等のキレート剤を含む漂白助剤を挙げることができる。また、本発明の多段漂白処理工程で使用される漂白段は、特に限定されるものではないが、初段は二酸化塩素漂白段(D)、あるいはオゾン漂白段(Z)、あるいはオゾン漂白と二酸化塩素漂白を連続して組み合わせた漂白段(Z/D)等が好適に用いられ、二段目にはアルカリ抽出段(E)、あるいは酸素添加アルカリ抽出段(E/O)、あるいは過酸化水素添加アルカリ抽出段(E/P)、あるいは酸素、過酸化水素添加アルカリ抽出段(E/OP)が用いられ、三段目以降には、二酸化塩素、過酸化水素等の組み合わせが好適に用いられる。本発明の多段漂白処理工程で使用される各漂白段の漂白薬品添加率、処理時間、温度、パルプ濃度、pH等の漂白条件は特に限定されるものではなく、公知の条件を使用することができる。
プレス工程では、シュープレスを少なくとも1パス以上経ることが望ましい。シュープレスは、湿紙を挟む上ロールと下ロール間のニップ面積が広いため、湿紙紙層内での単繊維の潰れ方が少なく繊維間結合面積を有効に増やすことができる。そのため、抄紙工程中での湿紙の断紙低減に有効である。シュープレスを用いない場合、断紙のリスクは増大する恐れがある。抄紙工程でシュープレスを2基使用することが望ましい。また、3つ目以降にロールプレスを使用することも有効である。
本発明で求める高速抄紙適性としては、紙中固形分含有率が48%以上52%以下での引張強度が、8.0kN/m以上15.0kN/m以下であることが望ましい。断紙の発生しやすい、プレス工程後の紙中固形分含有率は一般に48%〜52%程度であるから、その条件下での湿紙強度が問題となる。湿紙強度が8.0kN/m未満であると、断紙が極めて発生しやすくなる。15.0kN/m以上という値は、より強固な乾燥紙の強度レベルであり、湿紙では到達しえない値である。
湿紙での繊維間結合強度は、繊維間に存在する水の表面張力に依存すると言われ、繊維間の接触面積が大きい方が湿紙強度に有利である。
本発明においては、製紙用紙力増強剤や湿潤紙力増強剤、サイズ剤、填料、歩留向上剤、CMC(カルボキシメチルセルロース)、澱粉、PVA、PAM、染料、消泡剤、防腐剤、粘度低下剤等の公知抄紙薬品を必要に応じて内、外添することができ、これらの種類及び添加率は得られる紙に必要とされる品質を満足できれば、特に限定されるものではない。
本発明の紙の抄造において抄紙機について制限はなく、公知の湿式抄紙機、例えば長網式抄紙機、ギャップフォーマ型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機を目的に応じて適宜選択して行われる。
本発明でいう高速抄紙とは抄速750m/分以上であり、抄速1000m/分以上ではさらに断紙の危険性が高く、本発明の適用の効果がさらに期待でき、望ましい。抄速1480m/分以上では効果が特に顕著である。
本発明では高速抄紙機で紙を製造するに際して、スギを原料とした化学パルプをパルプ原料中に10質量%以上90質量%以下の範囲で配合することが望ましい。10%未満の場合、湿紙の引張強度が低下し、断紙の発生危険率が増大する。また、スギを原料とした化学パルプの配合率が90%より多い場合、比引裂強度は、繊維長に依存するため、紙の比引裂強度が低下するため好ましくない。
本発明では、各種サイズプレス装置、ロールコーター等を用いて、各種薬を外添処理することは勿論可能であるが、製造速度の高速化を考慮した場合には、フィルムメタリングタイプの外添装置を用いる方法が好適に用いられる。又、ロールコーター、ブレードコーター等の予備塗工を行うことは勿論可能である。又、表面処理剤である澱粉、PVA、PAM等に導電剤として種々の電解質を添加することも可能である。電解質としては、芒硝、塩化ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。また、表面処理剤に耐水化剤を添加することも可能である。耐水化剤としては、スチレンマレイン酸系などの表面サイズ剤、炭酸ジルコニウムアンモニウムなどの架橋剤等、公知の技術を適用できる。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。勿論、本発明はそれらに限定されるものではない。
実施例1
樹齢40年のスギ材チップを50質量%、パイン材を50%配合した針葉樹木材チップを以下の方法で蒸解した。
蒸解条件は、クラフト蒸解液の硫化度を30%、有効アルカリ添加率を絶乾木材質量当たり15質量%、蒸解温度を167℃とし、連続蒸解釜で蒸解した。このときのカッパー価は31、抽出成分は0.50と低く、蒸解性は良好であった。
上記のクラフト蒸解して得られたこのパルプに対して、NaOHを2.0%添加し、イオン交換水を加えてパルプ濃度を10%とした後、酸素ガスを注入し、100℃、圧力0.49MPa下で60分間処理を行った。
上記で得たパルプを以下に示すように、Z−E−P−Dの4段漂白処理を行った。オゾン処理(Z)は、パルプ濃度40%に調製し、オゾンを0.5%添加し、40℃で処理を行った。次いで、イオン交換水にて洗浄、脱水後、パルプ濃度を10%に調製し、過酸化水素0.5%、苛性ソーダ0.5%を順次添加し、70℃、120分間の過酸化酸素処理(P)を行った。最後にイオン交換水にて洗浄、脱水し、漂白パルプを得た。
このパルプを4%に希釈し、ダブルディスクリファイナを用いてフリーネスが550ml(CSF)となるように叩解した。叩解後のパルプスラリに填料として軽質炭酸カルシウム(商品名: TP121/奥多摩工業社製)を紙灰分で3%になるように添加し、さらに内添サイズ剤としてロジンサイズ剤(商品名:サイズパインE/荒川化学工業社製)0.7%および硫酸アルミニウム2%をパルプ絶乾質量に対して添加し、紙料を調成した。
上記のように調成した抄紙原料を、ギャップフォーマ型ツインワイヤ抄紙機にて抄紙速度1500m/minにて、56g/mに抄紙した。プレス配置は上流より、サクションプレス、シュープレス、シュープレス、スムーザプレスである。この抄紙機のプレス工程〜ドライヤ工程間の湿紙を採取し、ただちに抄紙機流れ方向200mm、幅方向50mmに断裁して、引張強度試験機にて引張強度を測定した。同時に湿紙の紙中固形分含有率を測定した。このときの紙中固形分含有率は51%、湿紙引張強度は10.6N・m/gであった。また、30日間連続製造したときの抄紙機の断紙回数は2回と少なかった。乾燥した紙の比引裂強度は20.1mN・m/gであった。
実施例2
樹齢30年のスギ間伐材を50質量%、パイン材50質量%を配合した針葉樹木材チップを蒸解した。蒸解条件は、蒸解条件は実施例1と同様である。このときのカッパー価は29、抽出成分は0.46と低く、蒸解性は良好であった。
このパルプを実施例1と同様の方法にて漂白、叩解、調成した抄紙原料を、実施例1と同様の抄紙条件にて56g/mに抄紙した。ただし、プレスの配置は上流よりシュープレス、シュープレスの2基のみである。この抄紙機のプレス工程を終了した箇所で湿紙を採取し、ただちにこの湿紙の紙中固形分含有率と引張強度を測定した。このときの紙中固形分含有率は51%、湿紙引張強度は10.5N・m/gであった。また、30日間連続製造したときの抄紙機の断紙回数は3回と少なかった。乾燥した紙の比引裂強度は19.9mN・m/gであった。
実施例3
抄紙機のプレスレイアウトが、上流よりシュープレス、シュープレス、ロールプレスの第3プレスまでである以外は、実施例2と同様の条件で原料配合、蒸解、漂白、調成、抄紙、紙質測定した。このときの紙中固形分含有率は51%、湿紙引張強度は11.1N・m/gであった。また、30日間連続製造したときの抄紙機の断紙回数は3回と少なかった。乾燥した紙の比引裂強度は21.2mN・m/gであった。
実施例4
抄紙機のプレスレイアウトが、上流よりサクションプレス、シュープレス、シュープレス、ロールプレスの第4プレスまでである以外は、実施例1と同様の条件で原料配合、蒸解、漂白、調成、抄紙、紙質測定した。このときの紙中固形分含有率は51%、湿紙引張強度は10.9N・m/gであった。また、30日間連続製造したときの抄紙機の断紙回数は2回と少なかった。乾燥した紙の比引裂強度は20.1mN・m/gであった。
実施例5
抄紙機を第1から第4プレスまですべてロールプレスとした以外は、実施例1と同様の方法にて漂白、叩解、調成、抄紙した。この抄紙機のプレス工程を終了した箇所で湿紙を採取し、ただちにこの湿紙の紙中固形分含有率と引張強度を測定した。このときの紙中固形分含有率は51%、湿紙引張強度は8.7N・m/gであった。また、30日間連続製造したときの抄紙機の断紙回数は8回であった。乾燥した紙の比引裂強度は16.5mN・m/gであった。
比較例1
樹齢40年のスギ材を5質量%、パイン材95質量%を配合した針葉樹木材チップを蒸解した。蒸解条件は、蒸解条件は実施例1と同様である。このときのカッパー価は30、抽出成分は0.55と低く、蒸解性は良好であった。
このパルプを実施例1と同様の方法にて漂白、叩解、調成した抄紙原料を、実施例1と同様の抄紙条件にて56g/mに抄紙した。この抄紙機のプレス工程を終了した箇所で湿紙を採取し、ただちにこの湿紙の紙中固形分含有率と引張強度を測定した。このときの紙中固形分含有率は52%、湿紙引張強度は6.5N・m/gであった。また、30日間連続製造したときの抄紙機の断紙回数は12回と多かった。乾燥した紙の比引裂強度は25.0mN・m/gであった。
比較例2
樹齢40年のスギ材を95質量%、パイン材5質量%を配合した針葉樹木材チップを蒸解した。蒸解条件は、蒸解条件は実施例1と同様である。このときのカッパー価は32、抽出成分は0.53と低く、蒸解性は良好であった。
このパルプを実施例1と同様の方法にて漂白、叩解、調成した抄紙原料を、実施例2と同様の抄紙条件にて56g/mに抄紙した。この抄紙機のプレス工程を終了した箇所で湿紙を採取し、ただちにこの湿紙の紙中固形分含有率と引張強度を測定した。このときの紙中固形分含有率は51%、湿紙引張強度は7.4N・m/gであった。また、30日間連続製造したときの抄紙機の断紙回数は10回であった。乾燥した紙の比引裂強度は14.4mN・m/gと低くなった。
本実施例、比較例で使用した測定方法は以下の通りである。
1.湿紙引張強度:抄紙機のプレス工程〜ドライヤ工程間の湿紙を採取し、抄紙機流れ方向200mm、幅方向50mmに断裁の後、引張強度試験機にて引張強度を測定した。
2.紙中固形分含有率:引張強度測定に供した湿紙を蓋付ガラス製秤量瓶に入れ、その質量を秤量した。蓋を開けた状態でこの湿紙を入れたガラス製秤量瓶を105℃送風乾燥機中に24時間静置した。その後、蓋を閉め、乾燥剤を入れたデシケーター中に30分静置し、乾燥試料の入った秤量瓶を秤量した。秤量瓶から試料を除去し、秤量瓶を秤量した。紙中固形分含有率は次式より算出した。
紙中固形分含有率(%)=(乾燥試料(g)/湿紙試料(g))*100
3.平均繊維長の測定:メッツォオートメーション社製カヤーニ繊維長測定器を用い、長さ加重平均繊維長を記した。
4.パルプのカッパー価:JIS P 8211に準じて測定を行った。
5.抽出成分比率:T204OS−76に準じて、ジクロロメタンを用いて抽出を行い、抽出成分比率を求めた。
6.米坪:JIS P8124に従って測定した。
7.比引裂強度:JIS P8116に従って測定した。
8.断紙回数:30日連続製造の後、製造工程での断紙回数を纏めた。
9.引張強度:SCAN P67に従い引張試験を行い、下記の式より裂断長を求めた。
裂断長は以下の数式より求める。
裂断長(km)=1000*引張強度(kN/m)/9.81*試験片の米坪(g/m
Figure 2008031585

Claims (3)

  1. スギを原料とした化学パルプをパルプ原料中に10質量%〜90質量%の範囲で含有することを特徴とする紙。
  2. 前記スギは、樹齢15年以上50年以下の材をスギ材中に20質量%〜100質量%含有することを特徴とする請求項1記載の紙。
  3. 抄速750m/分以上で抄紙し、プレス工程でシュープレスを1パス以上経ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の紙の製造方法。



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