JP4997905B2 - 印刷用塗被紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、リグノセルロース物質そのものを改質することにより紙の層間強度を向上させた、耐ブリスター性に優れた印刷用塗被紙に関する。
従来、紙の強度を高める目的で、変性デンプン、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が製紙用紙力増強剤としてパルプ繊維に添加され、紙料として用いられている。しかしながら、これらは、紙力増強効果が低かったり、高価であったり、或いは抄造条件によっては歩留まりが悪く十分な強度の発現効果を紙に付与しない等種々の欠点があり、紙力を増加させる点で十分に満足し得るものではない。
近年、出版、広告、宣伝等の媒体としての印刷物の重要性が再認識され、その基体となる印刷用塗被紙の需要が増えてきている。その一方で、印刷物のビジュアル化やカラー化のために印刷用塗被紙に対する品質面、特に印刷物の見栄えに関わる光沢の要求も年々高くなってきている。このような紙の需要増に対応するためには、抄紙機の高速化が必須の要件である。
抄紙機の高速化には、その抄紙方式、特に抄紙機のワイヤーパートの変革が大いに寄与した。すなわち、長網抄紙機からオントップフォーマー型或いはハイブリッドフォーマー抄紙機、さらには、ギャップフォーマー型へと変化していった。
このような変化で、抄紙機の脱水能力が強化された結果、塗工用原紙中の微細繊維が表層に偏在し、原紙の層間強度が弱くなるという問題点が生じるようになった。これを基紙として印刷用塗被紙を製造した場合には、オフセット印刷等の乾燥工程において、いわゆる「ブリスター」と呼ばれる、塗工層が膨れ上がる印刷不良を起こしやすくなり、重大な欠陥製品となる場合がある。このブリスターは、高温での乾燥工程で、紙中の水分が気化して紙層外に逃げる際に、紙が層間で破壊される現象であり、原紙の透気性と層間強度が重要な要因となる。
一般に、この種の問題を解決するために、原紙の調成工程において、カチオン化澱粉、或いはポリアクリルアミド等の紙力増強剤を添加、或いは増添して原紙の層間強度を改善する方法が用いられる。しかしながら、このような紙力増強剤の添加量を多くして原紙を抄造した場合、原紙の層間強度は向上するものの、透気性が低下するために、場合によってはブリスターが逆に起こりやすくなったり、原紙の地合が悪化して、塗被紙とした場合に光沢ムラを生じたり、さらに、抄造時の濾水性の低下により操業性も悪化するといった問題点があった。また、紙力増強剤を外添した場合でも、前記のように、原紙表層に微細繊維が局在化するために原紙内部まで紙力増強剤が浸透せず、ブリスターの防止の有効な手段とはならなかった。
この問題に対して、リグノセルロース物質になんらかの処理を加え、パルプそのものに改質を行うことで対応する技術が複数提案されている。
酵素を用いる技術として、パルプ繊維に対し濾紙分解活性を有する酵素で処理することにより、オフセット印刷用塗工紙の耐ブリスター性が向上することが提案されている(特許文献1、2)。また、キシラン分解活性を有する酵素で処理することにより、オフセット印刷用塗工紙の耐ブリスター性が向上することも示されている(特許文献3)。しかしながら、このような酵素で処理したパルプを原料として用いた原紙は透気性が向上し、耐ブリスター性に有効である反面、層間強度が若干劣るため、最終的に耐ブリスター性が十分に改善されない場合もあった。
無機物を用いた技術としては、鉱酸を用いてCMC等を吸着させる技術(特許文献2)がある。また、広葉樹木材チップをアルカリ過酸化水素溶液に含浸させてから、常圧又は加圧リファイニング処理を行った後、薬液とともに常温又は加温下において一定時間保持して製造する機械パルプを用いることで耐ブリスター性が向上することが示されている(特許文献5)。
しかし、無機のペルオキシ酸及び/又はその塩を用いてリグノセルロース物質そのものを改質することにより耐ブリスター性を改善する技術は現在まで示されていない。
特開平8−49187号公報 特開平09−067796号公報 特開平10−046493号公報 特開平9−291490号公報 特開2003−049393号公報
本発明の目的は、リグノセルロース物質そのものを改質することにより紙の層間強度を向上させ、耐ブリスター性に優れた印刷用塗被紙を提供することにある。
本発明者等は、かかる背景に鑑み、耐ブリスター性に優れた印刷用塗被紙について種々検討を重ねた結果、塗被用原紙を抄紙する際に、使用するパルプとして特定の方法で改質したパルプを使用すると、即ち公知の蒸解法にて製造されたパルプに、アルカリ酸素漂白を施し、こうして得られたパルプに、無機のペルオキシ酸及び/又はその塩による処理を多段漂白前及び/又は多段漂白後に行うことで得られる漂白パルプを叩解して使用すると、塗被組成物を塗被した後に印刷した時の耐ブリスター性に優れた塗被紙となることを見出し、以下の発明を完成するに至った。本発明は以下の発明のうち、印刷用塗被紙の製造方法の発明に関する
(1)リグノセルロース材から得られるパルプ原料から製造されている原紙の片面又は両面に塗被層を有する印刷用塗被紙であって、該原紙が、該パルプ原料の50質量%以上が漂白処理工程の前及び/又は後において無機ペルオキシ酸及び/又はその塩による処理工程で処理され、さらに叩解されたパルプからなる原紙であることを特徴とする印刷用塗被紙。
(2)前記無機ペルオキシ酸がモノ過硫酸であることを特徴とする(1)に記載の印刷用塗被紙。
(3)前記原紙は、リグノセルロース材に、蒸解処理、アルカリ酸素脱リグニン処理、多段漂白処理を順次施して得られる化学漂白パルプを前記無機ペルオキシ酸及び/又はその塩で処理し、その後叩解したパルプを50質量%以上含有するパルプ原料からなる原紙であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の印刷用塗被紙。
(4)前記原紙は、リグノセルロース材に、蒸解処理、アルカリ酸素脱リグニン処理を順次施して得られる化学パルプを前記無機ペルオキシ酸及び/又はその塩で処理した後、さらに多段漂白工程で漂白処理し、その後叩解したパルプを50質量%以上含有するパルプ原料からなる原紙であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の印刷用塗被紙。
(5)前記無機ペルオキシ酸及び/又はその塩で処理する前及び/処理した後の多段漂白工程が、D−Eop−Dからなる漂白工程であることを特徴とする(3)又は(4)に記載の印刷用塗被紙。
(6)蒸解工程、アルカリ酸素脱リグニン工程、未晒クラフトパルプの多段漂白工程を有し、かつ、該多段漂白工程の前及び/又は後に無機ペルオキシ酸及び/又はその塩による処理工程を配置して漂白パルプを調製する工程、
該漂白パルプ50質量%以上を他の漂白パルプと混合し、叩解してカナダ標準濾水度550〜300mlの叩解パルプを調製する工程、
該叩解パルプを含有する抄紙用紙料を調成する工程、
該抄紙用紙料から塗被紙用原紙を抄造する工程、
該抄造工程から得られる塗被紙用原紙の片面又は両面に塗被層を形成する工程、
からなる印刷用塗被紙の製造方法。
(7)前記無機ペルオキシ酸がモノ過硫酸であることを特徴とする(6)に記載の印刷用塗被紙の製造方法。
(8)前記多段漂白工程が、D−Eop−Dからなる漂白工程であることを特徴とする(6)又は(7)に記載の印刷用塗被紙の製造方法。
本発明の印刷用塗被紙は、木材チップを蒸解し、得られたパルプを酸素脱リグニン処理し、次いで無機ペルオキシ酸及び/又はその塩を用いた処理を多段漂白前処理及び/又は多段漂白後処理として行うことで得られたパルプを叩解した後、高速抄紙機で抄紙して塗被用原紙として使用することによって得られる塗被紙であって、耐ブリスター性に優れているという効果を奏する。
本発明の印刷用塗被紙に用いられるリグノセルロース物質は、好適には、広葉樹材及び/又は針葉樹材であるが、竹や麻のような非木材と呼ばれるものでもよく、さらに、これらの混合物でもよく、特に限定されるものではない。本発明の印刷用塗被紙に使用されるパルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、又は、ポリサルファイド蒸解法が好適に用いられる。
例えば、広葉樹材100%のリグノセルロースをクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃で、蒸解方式は、連続蒸解法或いはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として、公知の環状ケト化合物、例えば、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらには、ディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種或いは2種以上が添加されてもよく、その添加率は通常の添加率であり、例えば、木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。
本発明では、公知の蒸解法により得られた未漂白化学パルプが、洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされる。本発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法或いは高濃度法がそのまま適用できるが、現在、汎用されているパルプ濃度が8〜15質量%で行われる中濃度法が好ましい。
前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダ或いは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
前記酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜15質量%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。本発明では、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進めるのが好ましい実施形態である。
アルカリ酸素漂白が施されたパルプは、次いで洗浄工程へ送られる。パルプは洗浄後、無機ペルオキシ酸処理段及び/又は多段漂白工程へ送られる。
本発明で用いられる多段漂白工程は、苛性ソーダ(E)、二酸化塩素(D)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、有機過酸化物等の漂白薬品を用いる公知の漂白シーケンス、例えば、D−Eop―D、D―E―D等が適宜組み合わせたものが使用され、この多段漂白工程の前及び/又は後に必ず無機のペルオキシ酸及び/又はその塩を使用した処理段が存在する。本発明の印刷用塗被紙の効果は、原料パルプの多段漂白工程における漂白薬品の組み合わせには特に影響を受けないので、特に限定するものではない。また、漂白各段の処理条件に関しては公知の条件を用いる。多段漂白後のパルプは無機ペルオキシ酸処理段及び/又は抄紙工程へ送られる。
漂白前処理及び/又は漂白後処理として行われる無機ペルオキシ酸段で使用される無機ペルオキシ酸及び/又はその塩は、例えば、モノ過硫酸(カロ酸)、過硫酸(マーシャル酸)、モノ過燐酸、過硼酸、過炭酸、ペルオクソポリ酸、及びそれらの塩が該当するが、効果及び経済的な面からモノ過硫酸が好ましい。例えば、モノ過硫酸の場合、ペルオキシ二硫酸を加水分解して製造することもできるし、過酸化水素と硫酸を任意の割合で混合して製造することもできるが、その製造方法については特に限定するものではない。また、モノ過硫酸の複塩(2KHSO・KHSO・KSO)であるオキソンのようなものを使用することもできる。ただし、経済性を考慮すると、高濃度の過酸化水素と高濃度の硫酸を混合してモノ過硫酸を製造し、使用するのが好ましい実施形態である。
高濃度の過酸化水素と高濃度の硫酸を混合してモノ過硫酸を製造する方法としては、20質量%〜70質量%、好ましくは35質量%〜45質量%濃度の過酸化水素水に80質量%〜98%質量%、好ましくは93質量%〜96質量%の濃硫酸を滴下、混合する方法が好適である。前記硫酸と過酸化水素の混合モル比は1:1〜5:1であり、好ましくは2:1〜4:1である。過酸化水素、硫酸共に、質量%の低いものを用いるとモノ過硫酸の製造効率が低下するため適さない。また、質量%が高すぎると、発火等の危険性が大きくなるため適さない。さらに、硫酸と過酸化水素の混合モル比が1:1〜5:1から外れる場合にもモノ過硫酸の製造効率が低下するため適さない。
本発明の無機ペルオキシ酸及び/又はその塩による処理の無機ペルオキシ酸添加率は絶乾パルプ質量当たり0.1〜1質量%である。処理pHは1.5〜6.0、好ましくは2.0〜4.0である。処理時間は1分〜10時間であり、好ましくは30分〜200分である。処理温度は20℃〜90℃、好ましくは40℃〜70℃である。パルプ濃度は5〜30%であり、好ましくは8〜15%である。
無機ペルオキシ酸及び/又はその塩による処理pHが1.5より低い場合には、酸加水分解が起こってパルプ粘度が低下し、パルプ強度が低下するため適さない。またpHが6.0よりも高くなるとパルプ中の重金属イオンの影響により無機ペルオキシ酸の無効分解が進むため適さない。処理時間は処理温度にも影響を受けるが、1分よりも短いと反応が十分に進まず、処理温度が低くても処理時間が10時間をこえると無機ペルオキシ酸の無効分解が進むため適さない。なお、pH1.5〜6.0の範囲に調整するためにアルカリや酸を添加することも可能である。
無機ペルオキシ酸及び/又はその塩による処理後のパルプは、そのまま、或いは洗浄後、多段漂白工程及び/又は抄紙工程へ送られる。本発明の洗浄工程に使用される洗浄機の種類、台数等は特に限定されるものではないが、洗浄効率が高いという理由で、プレスタイプのものが好適に使用される。
本発明の目的を達成するためには、以上に記載したような処理を施されたパルプが塗被用原紙を構成する全パルプの少なくとも50質量%を占める必要がある。50質量%未満の場合には、パルプ繊維としての改質効果の発現が不十分となり、十分な効果が得られない。
原紙を構成する他のパルプとしては、本発明に記載の処理を施されていない晒クラフトパルプ、機械パルプ、脱墨パルプ等が挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で適宜組み合わせて使用される。
本発明の塗被用原紙を抄紙するためには、無機のペルオキシ酸及び/又はその塩で処理されたパルプは、単独で或いは他のパルプと混合された後、叩解されることが必要である。詳細な理由は今後の研究を待たなければならないが、無機ペルオキシ酸及び/又はその塩で処理されたパルプは、叩解されることで格段に繊維間結合が高まり、原紙の層間強度を向上せしめ、さらには印刷用塗被紙の耐ブリスター性を向上させるものと考えられる。
漂白パルプは、シングルディスクレフィナー、ダブルディスクレフィナー、ビーター等の叩解機により叩解されるが、叩解の度合いは、カナダ標準濾水度で示される値で550〜300mlの範囲が好ましい。また、必要に応じて、タルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の填料の他に、一般に使用される各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性或いは両性の歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤、内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤、更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等を必要に応じ添加し、紙料を調成することができる。
この紙料を用いて抄紙を行うことになるが、本発明に用いられる公知の湿式抄紙機には、円網式抄紙機、短網式抄紙機、長網式抄紙機、オントップフォーマー型抄紙機、ハイブリッドフォーマー抄紙機、さらには、ギャップフォーマー型抄紙機等の商業規模の抄紙機が目的に応じて適宜選択して用いられる。
こうして得られた原紙に、各種サイズプレス或いはロールコーターで澱粉、或いはPVA等を用いてサイズ処理することはもちろん可能であるが、製造速度の高速化を考慮した場合には、フィルムメタリングタイプのサイズプレス装置を用いて糊の固形濃度を高くしてサイズプレス処理を行う方法が好適に用いられる。また、ロールコーター、ブレードコーター等で予備塗工を行うことはもちろん可能である。
一方、本発明の塗被紙において、その塗被組成物の主成分の一つである顔料としては、例えば、クレー、カオリン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タルク、プラスチックピグメント等の汎用顔料の内の一種以上を任意に選択し配合することができる。また、接着剤としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタアクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、或いはこれらの各種重合体ラテックス、カルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性或いはアルカリ非溶解性の重合体ラテックスを用いることができる。
また、合成接着剤と併用する水溶性接着剤としては、例えば、カチオン化澱粉、酸化澱粉、熱化学変性澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂等の水溶性接着剤等を任意に選択し使用することができる。
これらの顔料、接着剤には、分散剤、耐水化剤、流動性変性化剤、着色剤、蛍光増白剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。塗工層の塗工は、一般の塗被紙の製造に用いられる塗工装置、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロッドコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、サイズプレスコーター等の塗工装置を設けたオンマシン或いはオフマシンコーターによって、基紙上に片面か両面に一層或いは多層に塗工される。その際の塗被組成物の固形分濃度は、一般に45〜70質量%の範囲が好ましい。また、カレンダー仕上げの方法は、グロス或いはマットカレンダーとして、例えば、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、ソフトコンパクトカレンダー等の金属又はドラムと弾性ロールよりなる各種カレンダーが、オンマシン又はオフマシンで任意に選択し使用できる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例におけるモノ過硫酸処理、漂白処理における薬品の添加率は絶乾パルプ質量当たりの質量%示す。また、塗工に関しては断りが無い限り質量%である。
処理に使用したモノ過硫酸の製造について以下に記す。
液温が60℃超えないように適宜冷却しながら、市販の50質量%過酸化水素水に対し、市販の96%硫酸添加を質量で4.41倍の割合で混合し、モノ過硫酸を製造した。製造したモノ過硫酸の濃度は、415g/Lであった。
実施例1
(印刷用塗被紙の製造)
蒸解−酸素脱リグニンをした広葉樹未晒クラフトパルプ(白色度50.3%、カッパー価10.2、パルプ粘度が18.0mPa・s)をモノ過硫酸処理に供した。モノ過硫酸処理条件は、モノ過硫酸添加率は対絶乾パルプ質量0.28%、温度60℃、処理時間90分、パルプ濃度10%で行った。得られたパルプを水で濃度3%に希釈した後、濃度10%まで脱水し洗浄した。
前記モノ過硫酸処理パルプに対し、絶乾パルプ質量当たり0.6%の二酸化塩素を添加し、60℃で60分間D1段処理を行った。得られたパルプを水で濃度3%に希釈した後、濃度10%まで脱水し洗浄した。
D1段後のパルプを絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.0%、過酸化水素0.3%添加し、酸素ガスで0.15MPaに加圧し、70℃で90分間E/OP段処理を行った。得られたパルプを水で濃度3%に希釈した後、濃度10%まで脱水し洗浄した。
E/OP段後のパルプを絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.2%と苛性ソーダを0.05%添加し、70℃で180分間D2段処理を行った。得られたパルプを水で濃度3%に希釈した後、濃度30%まで脱水した。
上記の多段漂白工程により、白色度は86.0%、K価は1.0、粘度は14.1mPa・sのパルプを得た。その後、固形分濃度4%に調製した前記パルプをダブルディスクリファイナーを用いてカナダ標準ろ水度が500mlとなるように叩解した。叩解後、濃度を2%としたパルプスラリーに、内添サイズ剤としてロジンサイズ剤(商品名:サイズパインE、荒川化学社製)0.7%及び硫酸バンド2%、及び填料としてタルク20%を絶乾パルプ質量当たり添加し紙料とした。
(塗被液の調製)
重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−90、ファイマテック社製)25%とカオリン(商品名:アマゾン88、CADAM社製)75%からなる顔料をコーレス分散機を用いて分散し、固形分濃度72%の顔料スラリーを得た。このスラリーにスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:SN307、住友ダウ社製)を顔料質量当り固形分で10%、酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)を固形分で4%、その他の助剤を添加分散して固形分濃度58%の塗被液を調製した。
(塗被紙の製造)
前記のオフセット印刷塗被紙用原紙に前記の塗被液を用いて、片面18g/m2となるようにブレードコーターで両面塗被を行った。得られた塗被紙を金属ロール6本とコットンロール6本からなるオフマシンスーパーカレンダーにニップ圧200kg/cmで通紙し、王研式平滑度が表1100秒、裏1120秒のオフセット印刷用塗被紙を製造した。
(品質評価)
品質評価するため、下記の試験方法を用い、層間強度、耐ブリスター性を測定した。なお、その他の試験方法についても後記する。
実施例2
モノ過硫酸処理を前記多段漂白工程後に行ったこと以外は、実施例1と同様の処理を行い、品質評価するため、後記の試験方法を用い、層間強度、耐ブリスター性を測定した。なお、モノ過硫酸処理後のパルプの白色度は85.9%、K価は1.0、粘度は13.8mPa・sであった。
比較例1
モノ過硫酸処理を行っていないこと、D1段における二酸化塩素添加率を0.8%、E/OP段における過酸化水素添加率を0.1%にしたこと以外は、実施例1と同様の処理を行い、品質評価するため、後記の試験方法を用い、層間強度、耐ブリスター性を測定した。なお、モノ過硫酸処理後のパルプの白色度は85.6%、K価は1.2、粘度は14.1mPa・sであった。
実施例3
実施例1で作製したパルプ55%と比較例1で作製したパルプ45%を混合したものを用い印刷用塗被紙を製造したこと以外は、実施例1と同様の処理を行って実施例3の印刷用塗被紙を製造し、品質評価するため、後記の試験方法を用い、層間強度、耐ブリスター性を測定した。なお、モノ過硫酸処理後のパルプの白色度は85.9%、K価は1.0、粘度は13.8mPa・sであった。
比較例2
実施例1で作製したパルプ45%と比較例1で作製したパルプ55%を混合したものを用い印刷用塗被紙を製造したこと以外は、実施例1と同様の処理を行って比較例2の印刷用塗被紙を製造し、品質評価するため、後記の試験方法を用い、層間強度、耐ブリスター性を測定した。なお、モノ過硫酸処理後のパルプの白色度は85.9%、K価は1.0、粘度は13.8mPa・sであった。
1.パルプのカッパー価の測定
カッパー価の測定は、JIS P 8211に準じて行った。
2.パルプの過マンガン酸カリウム価(K価)の測定
過マンガン酸カリウム価の測定は、JIS P 8206に準じて行った。なお、ここではパルプ中のヘキセンウロン酸量の指標として用いた。
3.パルプ粘度の測定
パルプ粘度の測定は、J.TAPPI No.44に準じて行った。
4.パルプ白色度の測定
漂白パルプを離解後、JIS P 8209に従って坪量60g/mのシートを作製し、JIS P 8148に従ってパルプの白色度を測定した。
5.層間強度の測定
漂白パルプを離解後、JIS P 8209に従って坪量60g/mのシートを作製し、TAPPI UM 403に従って層間強度を測定した。
塗工後の紙については、TAPPI UM 403に従って層間強度を測定した。
6.耐ブリスター性の測定
RI印刷機(明製作所社製)でオフセット輪転印刷用インキ1mlを展開し、塗被紙サンプルの両面に印刷する。印刷したサンプルを加温したシリコーンオイルに漬け、発生するブリスターの様子を目視で観察し、次の評価基準で評価した。
評価基準
◎・・・ブリスターの発生が殆ど見られない。
○・・・極めて軽度のブリスターの発生が見られるが、実用的に問題とならない。
△・・・ブリスターの発生が見られ、実用的に使用できない。
×・・・ひどいブリスターの発生が見られ、実用的に使用できない。
Figure 0004997905
表1より、モノ過硫酸処理を行っている実施例1、2とモノ過硫酸処理を行っていない比較例1を比較した場合、モノ過硫酸処理を行ったほうが層間強度が向上し、耐ブリスター性が向上していることがわかる。また、実施例3と比較例2を比較した場合、モノ過硫酸処理をしたパルプが全体の半分より少なくなると、層間強度が低下し、耐ブリスター性が悪化することが明らかになった。
本発明によれば、木材チップを蒸解し、得られたパルプを酸素脱リグニン処理し、次いで無機ペルオキシ酸及び/又はその塩を用いた処理を多段漂白前処理及び/又は多段漂白後処理として行うことで得られたパルプを高速抄紙機で抄紙して塗被用原紙として使用することによって、耐ブリスター性に優れた印刷用塗被紙が提供される。

Claims (2)

  1. 蒸解工程、アルカリ酸素脱リグニン工程、未晒クラフトパルプのD−Eop−Dからなる多段漂白工程を有し、かつ、該多段漂白工程の前及び/又は後に無機ペルオキシ酸及び/又はその塩による処理工程を配置して漂白パルプを調製する工程、
    該漂白パルプ50質量%以上を他の漂白パルプと混合し、叩解してカナダ標準濾水度550〜300mlの叩解パルプを調製する工程、
    該叩解パルプを含有する抄紙用紙料を調成する工程、
    該抄紙用紙料から塗被紙用原紙を抄造する工程、
    該抄造工程から得られる塗被紙用原紙の片面又は両面に塗被層を形成する工程、
    からなる印刷用塗被紙の製造方法
  2. 前記無機ペルオキシ酸がモノ過硫酸であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用塗被紙の製造方法
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