JPH1046494A - オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法 - Google Patents

オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法

Info

Publication number
JPH1046494A
JPH1046494A JP20219396A JP20219396A JPH1046494A JP H1046494 A JPH1046494 A JP H1046494A JP 20219396 A JP20219396 A JP 20219396A JP 20219396 A JP20219396 A JP 20219396A JP H1046494 A JPH1046494 A JP H1046494A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
pulp
enzyme
base paper
coated paper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20219396A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Hirabayashi
哲也 平林
Yosuke Uchida
洋介 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Paper Co Ltd
Priority to JP20219396A priority Critical patent/JPH1046494A/ja
Publication of JPH1046494A publication Critical patent/JPH1046494A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ギャップフォーマ仕様のツインワイヤを装備し
た抄紙機で抄紙された原紙を使用して、耐ブリスタ適性
に優れたオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法を提供
する。 【解決手段】ツインワイヤを装備した抄紙機で抄紙した
原紙に、顔料および接着剤を主成分とする水性塗被組成
物を塗被、乾燥して仕上げるオフセット輪転印刷用塗被
紙の製造方法であって、該原紙を構成する全パルプの5
0〜100重量%が、叩解後にセルロース分解活性を有
する酵素で処理されたパルプで占められ、かつ前記の酵
素処理されたパルプの酵素処理前および酵素処理後にお
けるJIS P−8121に準拠して測定されるカナダ
標準濾水度(CSF)での差が20〜120mlである
オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット輪転印
刷用塗被紙の製造方法に関し、特にギャップフォーマ仕
様のツインワイヤを装備した抄紙機で抄紙された原紙を
使用して製造するオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省力化傾向と相まって、抄紙機の
高速化への要求がますます高まっている。そして、最新
の抄紙機では、塗被紙用原紙の抄紙に際しても1000
m/分以上での操業が一般的となりつつある。ところ
で、このような高速抄紙へ移行するにあたって、その抄
紙方式、特に抄紙機のワイヤーパートにおける変革が大
いに寄与している。
【0003】即ち、ワイヤーパートを具備した抄紙機と
しては、従来より主として使用されている、上方が自由
で下方にのみに長網を通して脱水を行う、所謂長網抄紙
機(図1)といわれるもの、次いで長網抄紙機の長網の
後半部(下流部)の上方にループをなすトップワイヤを
配置して、その部分では上下で脱水が行われるツインワ
イヤによる抄紙方式、所謂オントップフォーマ型あるい
はハイブリッドフォーマ型抄紙機(図2)が実用化され
ている。特に、このツインワイヤの開発が抄紙機の高速
化を可能とした1つの要因でもある。
【0004】しかし、ハイブリッドフォーマ(ツインワ
イヤ)型抄紙機を使用して、さらに高速化を図ると、ト
ップワイヤより前半、即ち従来の長網部分で相対的にパ
ルプ濃度の低い、所謂初期脱水部分での紙料のジャンピ
ングや乱れが発生し、結果的に抄紙された紙の地合が極
めて劣ったものとなり商品価値を無くしてしまうといっ
た難点がある。
【0005】そこで考案されたのが、ハイブリッドフォ
ーマ型抄紙機におけるトップワイヤからなる脱水ゾーン
を、下部のボトムワイヤ部分と同規模に大きくしたも
の、即ち、従来の長網式のように下方からの脱水機構を
殆ど取ることなく、インレットを出た原料が当初から2
枚(上下)のワイヤ間に流入し、ワイヤの両側(外側)
へ脱水されるようにした構造を持つ、所謂ギャップフォ
ーマと呼ばれるツインワイヤによる脱水機構を装備した
抄紙機(図3)である。
【0006】この方式はトップワイヤとボトムワイヤで
形成されるギャップ(くさび状の開口)にインレットよ
り吐出された抄紙原料を供給することにより、当初より
パルプスラリ(紙料)が2枚のワイヤに挟まれた状態で
脱水、紙層が形成されていくので、前記のハイブリッド
フォーマ型抄紙機の場合のように原料の乱れを誘発する
ことなく均一な紙層形成ができるものとして、高く評価
されている。
【0007】一方、このギャップフォーマを装備した抄
紙機(以後、ギャップフォーマ型抄紙機と称す)での脱
水機構は、原料がその濃度の低い段階より2枚のワイヤ
間へ流入し、それぞれのワイヤを介して、ワイヤの外側
面へ脱水が促進されるものである。その結果、紙層の両
側面への脱水が強く促進されるために、紙(紙層)の内
部層間強度が低下するといった難点がある。
【0008】そして、このようにして抄紙された原紙
を、オフセット輪転(以後、オフ輪と称す)印刷用塗被
紙の原紙に使用すると、ブリスタが発生し易いといった
問題を抱えている。ここに、ブリスタとは、両面塗被紙
をオフ輪印刷機にかけて、印刷後、熱乾燥させる過程で
該塗被紙に含まれる水分が急激な加熱により水蒸気化し
て紙層内部より外へ逸散する際に、その水蒸気圧で紙層
内部に亀裂を生じさせることによって起こる層間剥離現
象であり、商品価値を著しく低下させる。
【0009】そこで、このようなギャップフォーマ型抄
紙機で抄紙された原紙特有の欠点を改善するために、特
開平4−222288号公報では、ギャップを形成する
トップワイヤのフォーミングロールを上下方向に調節可
能にし、ハイブリッドフォーマのモードとギャップフォ
ーマのモードを同一抄紙機で使用できるように設計し、
要求品質に合わせて使い分けるようにした提案もなされ
ている。しかし、同一の1台の高速抄紙機において、ワ
イヤ仕様(モード)をいろいろ変更して生産すること
は、その間の生産ロス等を考慮すると好ましいことでは
ない。そこで、ギャップフォーマ方式のもつ特徴を活か
したままで、高速抄紙を行い、オフ輪印刷適性を有する
原紙の製造方法が切望されている。
【0010】一方、原紙の主成分であるパルプとして
は、自然保護や環境保全の観点から、できるだけ古紙を
再生して有効利用を図ったり、あるいは漂白工程におい
ては脱塩化の点から、蒸解後のパルプを従来の塩素系薬
品による漂白から酸素漂白にしたり、あるいは酵素処理
等により安全、かつより効率的なパルプ処理が実施の段
階を迎えつつある。
【0011】近年、パルプ繊維に酵素を作用させて、繊
維の改質を図る技術に関して多数の提案がなされてい
る。例えば、特公平2−20756号公報、特開平1−
92490号公報、特公平3−4672号公報、特開平
6−166978号公報、特開平6−316899号公
報、特開平7−279078号公報、あるいは特開平7
−331588号公報等にはパルプ繊維の叩解性改良や
改質等を目的として、叩解前のパルプ繊維にセルラーゼ
を添加する方法が、また特開平2−6681号公報、特
開平2−229291号公報、あるいは特開平3−12
4891号公報等には、ワイヤ上での濾水性を改善し、
操業性を向上させるためにセルラーゼやヘミセルラーゼ
等の酵素を添加する方法が提案されている。また、特開
平2−264087号公報、特開平2−293486号
公報、特開平6−101185号公報、あるいは特開平
6−207390号公報等には漂白時にパルプ繊維をセ
ルラーゼやヘミセルラーゼ等の酵素で処理する技術が開
示されている。さらに、特開平8−49187号公報に
は、酵素で処理されたパルプ繊維が柔軟になることを利
用して、オフ輪印刷用塗被紙の折れ割れ強度と耐ブリス
タ適性を改善する方法等が提案されている。
【0012】なお、高速抄紙に際しては、前述した理由
により、ツインワイヤ、特にギャップフォーマ型抄紙機
が均一な紙層を得る上で好ましく、その利用度が高くな
りつつある。しかし、一方では既述したように、ギャッ
プフォーマ型抄紙機で抄紙された原紙の層構成が特異な
構造を取ることより、内部層間強度が弱くなるといった
難点があり、特にオフ輪印刷用塗被紙の原紙として利用
する場合には、耐ブリスタ適性の改善が重要な課題であ
る。
【0013】ところで、本発明者等はこのギャップフォ
ーマ型抄紙機で抄紙した原紙特性について、従来想定さ
れていた原理とは異なるものであることを見出した。即
ち、ギャップフォーマ型抄紙機とハイブリッドフォーマ
型抄紙機によって得られた各々の原紙のZ軸方向(層方
向)における微細繊維の分布状態を調べた。その結果、
後者の原紙では微細繊維が原紙層の中央部に多く存在す
るのに対し、前者の原紙では微細繊維が原紙の両側の表
面に近い部分に2極化した状態で存在することが分かっ
た。
【0014】さらに、ギャップフォーマ型抄紙機で得た
原紙の両側の表面に顔料と接着剤を主成分とする水性塗
被組成物(以後、塗料と称す)を塗被、乾燥して塗被層
を設けた場合、原紙両面のそれぞれの表面層は極めて通
気性の悪い、緻密な層となる。このような塗被紙にオフ
輪印刷を行うと、印刷後、乾燥する過程で層内部の水蒸
気が逃げ場を失って、所謂ブリスタ(層間剥離)を発生
させることになる。
【0015】そこで、本発明者等は叩解条件を変更し、
ギャップフォーマ型抄紙機で得られる原紙の内部層間強
度をハイブリッドフォーマ型抄紙機で得られる原紙のそ
れより高くしても、耐ブリスタ適性はハイブリッドフォ
ーマ型抄紙機で抄紙して得た原紙の場合に比較しても、
及ばないことを実験により確認した。
【0016】最近の高速抄紙機については、ツインワイ
ヤ型抄紙機がその主流となりつつある。そして、ギャッ
プフォーマ仕様のツインワイヤ型抄紙機で抄紙した原紙
については、前記した如く得られる原紙の層構成につい
ては均一なものが得られ易いものの、一方では層内部の
結合強度が相対的に弱く、特にオフ輪印刷用塗被紙の原
紙として利用するには、耐ブリスタ適性等の改善が強く
望まれる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ツインワイ
ヤを装備した抄紙機、特にギャップフォーマ型抄紙機で
抄紙した原紙を用いて、耐ブリスタ適性に優れるオフ輪
印刷用塗被紙の製造方法を提供するものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、ツインワイヤ
を装備した抄紙機で抄紙した原紙に、顔料および接着剤
を主成分とする水性塗被組成物を塗被、乾燥して仕上げ
るオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法において、該
原紙を構成する全パルプの50〜100重量%が、叩解
後にセルロース分解活性を有する酵素で処理されたパル
プで占められ、かつ前記の酵素処理されたパルプの酵素
処理前および酵素処理後におけるJISP−8121に
準拠して測定されるカナダ標準濾水度(CSF)での差
が20〜120mlであることを特徴とするオフセット
輪転印刷用塗被紙の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明において、原紙用に用いら
れるパルプとしては、広葉樹、針葉樹、あるいはケナ
フ、麻のような非木材をクラフト蒸解、サルファイド蒸
解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解等の蒸解法、あ
るいはそれらの蒸解法と蒸解助剤の組み合わせでパルプ
化し、その後酸素漂白、あるいは酸素漂白せずに、塩
素、二酸化塩素、ハイポ、過酸化水素、有機過酸化物、
オゾン、および適宜酸素あるいは過酸化水素で補強され
たアルカリ抽出等を組み合わせた公知の多段漂白が施さ
れ、パルプシートのハンタ白色度値で80〜90%に晒
されたパルプが好適に使用される。さらには、コンピュ
ータ用紙、ファクシミリ用紙等のオフィスから回収され
る上質系古紙や新聞、雑誌等の古紙を解繊、脱墨し、必
要に応じて、さらに漂白して得られる脱墨古紙パルプ等
が適宜併用される。
【0020】ところで、このようなパルプを抄紙用とし
て使用するに当たっては、通常叩解を行って、パルプ繊
維を細かく解繊し、フィブリル化を起こして紙料調成が
施されるのが一般的である。他方、前述したように、パ
ルプに酵素を作用させてパルプの改質を行うことが提案
されている。例えば、特開昭63−135597号公報
には南方材からの広葉樹パルプを酵素で処理して、ベッ
セルピックを軽減〜解消し、平滑度と引張り強度を改善
する方法が、また、特開昭59−9299号公報、特開
昭63−59494号公報等には古紙パルプの古紙再生
処理工程で多糖加水分解酵素を添加して古紙パルプの脱
インキや濾水性の向上を図る方法等が提案されている。
【0021】このように酵素でパルプを改質することは
生化学的な処理法であり、環境、安全性といった点から
は好ましい手法であり、今後ますますその利用が進むも
のと思われる。
【0022】本発明では、原紙を構成するパルプの大半
に酵素処理を施したパルプ繊維を使用することを特徴と
するものである。即ち、本発明では、特にパルプの酵素
処理を行うに当たって、パルプの叩解処理を先に行い、
叩解後に酵素処理を施すことが重要である。因みに、叩
解前に酵素処理を施し、その後に叩解を行ったパルプを
用いてギャップフォーマ型抄紙機で抄紙を行うと、得ら
れる原紙は微細繊維が原紙の両表面層近くに偏在、所謂
2極化が進行し、原紙の通気性が著しく低下し、耐ブリ
スタ適性を備えた原紙が得られないことが分かった。
【0023】そこで、本発明者等は、高速抄紙機、特に
ギャップフォーマ型抄紙機で使用するパルプの有りかた
について、パルプの改質を図り、原紙の紙層構成は勿
論、オフ輪用塗被原紙として好適な原紙を得るべく、酵
素処理を主体に鋭意研究、検討を重ねた。その結果、パ
ルプへの酵素処理方法として、叩解処理を先に行い、し
かるのちに酵素処理を施すことにより、その理由につい
ては定かではないが、オフ輪印刷用塗被紙の原紙として
安定した原紙が得られることを見出し、本発明を完成す
るに至ったものである。
【0024】而して、本発明において、叩解後のパルプ
繊維に添加される、セルロース分解活性を有する酵素と
しては、少なくともパルプ繊維中のセルロース鎖を分解
する酵素が含まれなければならない。そのような酵素と
しては、例えばエンドーβー1,4ーグルカナーゼ、β
ーDーグルコシダーゼ、エキソー1,4ーβーDグルコ
シダーゼ、エキソセロビオハイドラーゼ等が例示され
る。これらのうち1種以上が適宜使用できる。勿論、上
記以外の酵素でもセルロース鎖を分解する酵素であれば
使用できる。なお、酵素の起源については、カビ由来あ
るいはバクテリア由来のいずれでもよく、特に限定する
ものではない。
【0025】次に、酵素処理によるパルプの改質の程度
としては、酵素処理前のJIS P−8121で規定さ
れるカナダ標準濾水度(CSF)試験方法による濾水度
(ml)と、酵素処理後の濾水度(ml)の差が20〜
120ml、より好ましくは40〜100mlに調整す
ることが重要である。因みに、20ml未満の場合に
は、パルプの改質程度が十分ではなく、そのようなパル
プを使用してギャップフォーマ型抄紙機で抄紙した原紙
は十分な耐ブリスタ適性を得ることができず、一方12
0mlを越えると、耐ブリスタ適性は十分に得られるも
のの、原紙の紙力低下が著しく、オフ輪印刷用塗被紙原
紙としては好ましくない。
【0026】パルプへの酵素処理方法については、前記
したように酵素処理前、後のカナダ標準濾水度(CS
F)の差が20〜120mlになる条件であれば、いか
なる方法でもよく、特に限定するものではない。例え
ば、セルラーゼ分解活性の高い酵素を用いて短時間での
処理、あるいはセルラーゼ分解活性の低い酵素を用いて
長時間処理、さらには酵素の至適条件下で短時間処理し
ても、至適でない条件下で長時間処理しても、酵素処理
を複数回繰り返すこと等、酵素処理前、後の濾水度の差
が20〜120mlになる条件であれば適宜採用でき
る。しかしながら、経済性や処理効率等を考慮すると、
その酵素のもつ至適条件がpH3〜11、適用温度が1
0〜80℃である酵素を用いて既存のチェスト、タン
ク、タワー等に必要量の酵素を添加して処理する方法が
望ましい。
【0027】また、酵素処理前の叩解後のパルプのカナ
ダ標準濾水度については特に限定するものではないが、
通常の叩解処理等を考慮した場合、カナダ標準濾水度で
300〜500ml、好ましくは350〜450mlの
ものが望ましい。因みに、叩解後のパルプの濾水度が3
00mlより低いと、酵素処理を行った後も微細繊維が
残存し、結果的に通気性が悪化し耐ブリスタ適性の改善
効果が期待できない虞れがあり、さらには、叩解を進め
て濾水度を低くすることは、紙癖(カール等)やオフ輪
印刷皺の発生等が懸念され、また叩解に多くの動力を要
し、得策ではない。一方、500mlを越える場合に
は、通気性は改善されるものの、パルプ繊維の絡みによ
る紙層内部の層間結合強度が低下し、この場合にも耐ブ
リスタ適性の改善効果が得られなくなる虞れがある。
【0028】本発明では、このようにして酵素処理され
たパルプを少なくとも原紙を構成する全パルプの50重
量%以上、好ましくは80重量%以上使用するものであ
る。因みに、50重量%未満の場合は、本発明が所望す
る効果、即ちパルプの改質効果が十分に発揮されず、満
足すべき耐ブリスタ適性を備えた原紙が得られなくなる
虞れがある。勿論、本発明の効果を損なわない範囲で酵
素処理されていない通常のパルプ、あるいは各種の再生
パルプ等を適宜併用できる。
【0029】かくして得られた酵素処理パルプを使用し
て、ギャップフォーマ型抄紙機により抄紙することにな
るが、その場合の抄紙条件については特に限定されるも
のではなく、通常の酸性抄紙、あるいは中性抄紙等の条
件を適宜とり得る。また、パルプスラリ中には填料とし
てタルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カ
ルシウム等の鉱物填料の他に、各種のアニオン性、ノニ
オン性、カチオン性、あるいは両性の歩留り向上剤、濾
水性向上剤、紙力向上剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添
助剤が必要に応じて添加される。さらには、染料、蛍光
増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、
あるいはスライムコントロール剤等も適宜添加されて抄
紙が行われる。このようにして得られた原紙に、サイズ
プレス装置やロールコータ等を用いて、澱粉等の接着剤
を塗布して紙力増強を図ることが適宜行われる。勿論、
該原紙にロールコータやブレードコータ等で予め予備塗
工を施したような下塗り原紙の使用も可能である。
【0030】次いで、上記の如くして得られた原紙上に
塗被される塗料は、通常のオフ輪印刷用塗被紙の製造の
場合と同様に顔料と接着剤を主成分とする組成物からな
る。先ず、顔料としては、例えばクレー、カオリン、水
酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、硫
酸バリウム、酸化亜鉛、サチンホワイト、硫酸カルシウ
ム、タルク、プラスチックピグメント等の通常の塗被紙
用顔料の1種以上が適宜選択して使用される。
【0031】また、接着剤としては、例えばスチレン−
ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエ
ン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アク
リル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの
重合体または共重合体等のアクリル系重合体ラテック
ス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合
体ラテックス、あるいはこれらの各種重合体ラテックス
を、カルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したア
ルカリ部分溶解性あるいはアルカリ非溶解性の共重合体
ラテックスを用いることができる。
【0032】さらに、上記の如き共重合体ラテックスの
他に、例えば陽性化澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱
化学変性澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、冷水
可溶澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニ
ルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂などの
水溶性合成接着剤等が適宜併用される。なお、塗料中に
は上記の顔料や接着剤の他に分散剤、耐水化剤、流動変
性剤、着色剤、蛍光増白剤等の各種助剤が、必要に応じ
て添加される。
【0033】原紙へ塗料を塗被する塗工装置としては、
一般の塗被紙の製造に用いられる塗工装置、例えばブレ
ードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、リバ
ースロールコータ、バーコータ、カーテンコータ、ダイ
スロットコータ、グラビアコータ、チャンプレックスコ
ータ、あるいはサイズプレスコータ等の塗工装置が適宜
使用される。そして、原紙の片面あるいは両面に1層ま
たは多層に分けて塗被される。
【0034】その場合の塗料の固形分濃度は、一般に4
0〜75重量%、操業性等を考慮すると、45〜70重
量%程度で調節され、塗被量は最終製品の品質設計に合
わせて片面当たり乾燥重量で3〜25g/m2 程度に調
整される。なお、片面だけの塗工の場合には殆どブリス
タの発生はない。したがって、本発明では特に両面塗被
紙を対象とするものである。
【0035】このようにして得られた印刷用塗被紙は、
一般にキャレンダ等に通紙して平滑性や光沢が付与され
て最終製品に仕上げられる。なお、その場合のキャレン
ダ装置としては、例えばスーパーキャレンダ、グロスキ
ャレンダ、ソフトコンパクトキャレンダ等の金属ロール
またはドラムと弾性ロールよりなるキャレンダが、オン
マシンまたはオフマシン仕様で製品の用途や目的に応じ
て適宜使用される。
【0036】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、勿論、本発明はそれらの範囲に限定されるも
のではない。また、例中の「部」および「%」は特に断
らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示
す。なお、評価方法は下記の通りである。
【0037】(濾水度)JIS P−8121に規定さ
れるカナダ標準濾水度試験方法を採用した。
【0038】(耐ブリスタ適性)RI印刷機(明製作
所)でオフ輪印刷用インキ1ccを展開し、サンプル
(塗被紙)の両面に印刷する。印刷したサンプルを一定
の温度まで加温(例えば170℃)したシリコンオイル
に浸け、発生したブリスタを目視で観察、評価した。 〔評価〕 ◎ : ブリスタの発生は殆ど見られない。 ○ : 極めて軽度のブリスタの発生が見られる △ : ブリスタの発生が見られる。 × : ひどいブリスタの発生が見られる。
【0039】実施例1 (原紙の調製)LBKP90部、NBKP10部からな
るパルプスラリをダブルディスクリファイナーを用い
て、濾水度が400ml(CSF)になるように叩解し
た。この叩解済みのパルプに酵素(商品名;パーガラー
ゼA40/チバガイギー社製)を絶乾パルプに対し0.
05%添加し、pH5.0、50℃、パルプ濃度5%の
条件下で2時間処理した。このときの酵素処理後のパル
プの濾水度は490ml(CSF)であった(酵素処理
前、後の濾水度の差:90ml)。
【0040】次いで、酵素処理後のパルプスラリに、填
料としてタルクを紙灰分が9%になるように添加し、さ
らにパルプ(絶乾パルプ換算)100部に対し、内添サ
イズ剤としてロジンサイズ剤(商品名:サイズパインE
/荒川化学製)を0. 7部および硫酸アルミニウム2部
をそれぞれ添加して紙料を調製した後、ギャップフォー
マ抄紙機にて運転速度1100m/分で抄紙して原紙を
得た。この原紙に、5%濃度の酸化澱粉(商品名:エー
スA/王子コーンスターチ製)液を用いてサイズプレス
装置を使用し、表面処理を施し、乾燥後塗工用原紙を得
た。このときのサイズプレス液の塗布固形量は2g/m
2 (両面)であった。また、得られた原紙の米坪は55
g/m2 であった。
【0041】(塗料の調製)重質炭酸カルシウム(商品
名:FMT−90/ファイマテック社製)25部、カオ
リン(商品名:アマゾン88/CADAM社製)75部
からなる顔料をコーレス分散機を使用して分散し顔料ス
ラリを得た。このスラリにスチレンーブタジエン共重合
体ラテックス(商品名:SN307/住化エイビーエス
・ラテックス社製)10部(固形分)、酸化澱粉糊液
(商品名:エースA/王子コーンスターチ社製)4部
(固形分)、その他助剤を添加し、攪拌分散して固形分
濃度58%の塗料を調製した。
【0042】(塗被紙の製造)上記の塗料を用いて、先
に得た原紙に、片面当たり乾燥重量で18g/m2 にな
るようにブレードコータで両面塗工、乾燥して塗被紙を
得た。このようにして得られた両面塗被紙を、金属ロー
ルとコットンよりなるスーパーキャレンダに通紙し、オ
フ輪印刷用塗被紙を得た。得られた塗被紙の耐ブリスタ
適性試験を行い、その結果を表1に示した。
【0043】実施例2 実施例1において、パルプに添加する酵素をパーガラー
ゼA40からベッセレックス(商品名/合同酒精製)に
代えた以外は実施例1と同様にして、オフ輪印刷用両面
塗被紙を得た。なお、この場合の酵素処理後のパルプの
濾水度は480ml(CSF)であった(酵素処理前、
後の濾水度の差:80ml)。得られた塗被紙の耐ブリ
スタ適性試験を行い、その結果を表1に示した。
【0044】実施例3 実施例1において、パルプに添加する酵素の添加量を
0.02%に変更した以外は実施例1と同様にして、オ
フ輪印刷用両面塗被紙を得た。なお、この場合の酵素処
理後のパルプの濾水度は450ml(CSF)であった
(酵素処理前、後の濾水度の差:50ml)。得られた
塗被紙の耐ブリスタ適性試験を行い、その結果を表1に
示した。
【0045】実施例4 実施例1において、パルプに添加する酵素の添加量を
0.10%とし、かつpH5.0、50℃、パルプ濃度
5%の条件下で30分間処理した以外は実施例1と同様
にして、オフ輪印刷用両面塗被紙を得た。なお、この場
合の酵素処理後のパルプの濾水度は440ml(CS
F)であった(酵素処理前、後の濾水度の差:40m
l)。得られた塗被紙の耐ブリスタ適性試験を行い、そ
の結果を表1に示した。
【0046】実施例5 実施例1において、叩解後のパルプの75%を分取し、
酵素/パーガラーゼA40を絶乾パルプに対し0.05
%添加し、pH5.0、50℃、パルプ濃度5%の条件
下で2時間処理した後、残りの25%を未処理の状態で
前記酵素処理後のパルプに混合し、パルプスラリとして
用いた以外は実施例1と同様にして、オフ輪印刷用両面
塗被紙を得た。なお、この場合の酵素処理後のパルプの
濾水度は470ml(CSF)であった(酵素処理前、
後の濾水度の差:70ml)。得られた塗被紙の耐ブリ
スタ適性試験を行い、その結果を表1に示した。
【0047】比較例1 実施例1において、叩解を終えたパルプに酵素を添加せ
ずそのまま使用した以外は実施例1と同様にして、オフ
輪印刷用両面塗被紙を得た。得られた塗被紙の耐ブリス
タ適性試験を行い、その結果を表1に示した。
【0048】比較例2 実施例1において、パルプへの酵素の添加量を0.00
5%とした以外は、実施例1と同様にして、オフ輪印刷
用両面塗被紙を得た。なお、この場合の酵素処理後のパ
ルプの濾水度は415ml(CSF)であった(酵素処
理前、後の濾水度の差:15ml)。得られた塗被紙の
耐ブリスタ適性試験を行い、その結果を表1に示した。
【0049】比較例3 実施例1において、酵素をパーガラーゼA40からベッ
セレックス(合同酒精製)に代え、かつその添加量を
0.005%とした以外は、実施例1と同様にして、オ
フ輪印刷用両面塗被紙を得た。なお、この場合の酵素処
理後のパルプの濾水度は410ml(CSF)であった
(酵素処理前、後の濾水度の差:10ml)。得られた
塗被紙の耐ブリスタ適性試験を行い、その結果を表1に
示した。
【0050】比較例4 実施例1において、酵素処理をダブルディスクリファイ
ナによる叩解前に行った以外は、実施例1と同様にし
て、オフ輪印刷用両面塗被紙を得た。なお、この場合の
叩解後のパルプの濾水度は410ml(CSF)であっ
た。得られた塗被紙の耐ブリスタ適性試験を行い、その
結果を表1に示した。
【0051】比較例5 実施例1において、パルプへの酵素の添加量を1.0%
とし、処理時間を8時間とした以外は、実施例1と同様
にして、オフ輪印刷用両面塗被紙を得た。なお、この場
合の酵素処理後のパルプの濾水度は550ml(CS
F)であった(酵素処理前、後の濾水度の差:150m
l)。得られた塗被紙の耐ブリスタ適性試験を行い、そ
の結果を表1に示した。
【0052】比較例6 実施例1において、叩解後のパルプの25%を分取し、
酵素/パーガラーゼA40を絶乾パルプに対し、0.0
5%添加し、pH5.0、50℃、パルプ濃度5%の条
件下で2時間処理した後、残りの75%を未処理の状態
で混合し、パルプスラリとして使用した以外は実施例1
と同様にして、オフ輪印刷用両面塗被紙を得た。なお、
この場合のパルプ混合後のパルプスラリの濾水度は42
0mlであった(酵素処理前、後の濾水度の差:20m
l)。得られた塗被紙の耐ブリスタ適性試験を行い、そ
の結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、本発明
に係る製造方法を用いると、ギャップフォーマ抄紙方法
により得られた原紙を使用しても、その固有の欠点であ
る耐ブリスタ適性が大巾に改善されたオフ輪印刷用塗被
紙を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の長網抄紙機の概略線図である。
【図2】通常のハイブリッドフォーマ型抄紙機の概略線
図である。
【図3】通常のギャップフォーマ型抄紙機の概略線図で
ある。
【符号の説明】
1.ヘッドボックス 2.フォーミングボード 3.サクションホイル 4.ボトムワイヤ 5.トップワイヤ 6.サクションボックス

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ツインワイヤを装備した抄紙機で抄紙した
    原紙に、顔料および接着剤を主成分とする水性塗被組成
    物を塗被、乾燥して仕上げるオフセット輪転印刷用塗被
    紙の製造方法において、該原紙を構成する全パルプの5
    0〜100重量%が、叩解後にセルロース分解活性を有
    する酵素で処理されたパルプで占められ、かつ前記の酵
    素処理されたパルプの酵素処理前および酵素処理後にお
    けるJIS P−8121に準拠して測定されるカナダ
    標準濾水度(CSF)での差が20〜120mlである
    ことを特徴とするオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方
    法。
  2. 【請求項2】酵素で処理される前の叩解後のパルプのJ
    IS P−8121に準拠して測定されるカナダ標準濾
    水度(CSF)が300〜500mlである請求項1記
    載のオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法。
  3. 【請求項3】ツインワイヤがギャップフォーマ仕様であ
    る請求項1記載のオフセット輪転印刷用塗被紙の製造方
    法。
JP20219396A 1996-07-31 1996-07-31 オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法 Pending JPH1046494A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20219396A JPH1046494A (ja) 1996-07-31 1996-07-31 オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20219396A JPH1046494A (ja) 1996-07-31 1996-07-31 オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1046494A true JPH1046494A (ja) 1998-02-17

Family

ID=16453514

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20219396A Pending JPH1046494A (ja) 1996-07-31 1996-07-31 オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1046494A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009171885A (ja) 2008-01-23 2009-08-06 Nippon Paper Industries Co Ltd セルロース含有物から糖を製造する方法
JP2016005485A (ja) * 2015-10-07 2016-01-14 日本製紙株式会社 セルロース含有物から糖を製造する方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009171885A (ja) 2008-01-23 2009-08-06 Nippon Paper Industries Co Ltd セルロース含有物から糖を製造する方法
JP2016005485A (ja) * 2015-10-07 2016-01-14 日本製紙株式会社 セルロース含有物から糖を製造する方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5288062B2 (ja) 非塗工紙及び塗工紙
JP5332501B2 (ja) 印刷用塗工紙
JP2009263854A (ja) グラビア印刷用塗工紙
JPWO2010113805A1 (ja) 塗工紙
AU2009280359A1 (en) Processes for preparing coated printing papers using hardwood mechanical pulps
WO2020046628A2 (en) Composition of matter in stock preparation zone of wet-laid process
JP5550946B2 (ja) 印刷用塗工紙
JP4814448B2 (ja) 印刷用塗工紙
JP2015021209A (ja) クラフト紙及びクラフト紙の製造方法
JP3252714B2 (ja) オフセット印刷用塗被紙
JPH1046494A (ja) オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法
JP2003049385A (ja) 新聞用紙
Smook Overview of the pulp and paper industry from a chemical industry perspective
JP4997905B2 (ja) 印刷用塗被紙の製造方法
JP4501329B2 (ja) グラビア印刷用塗工紙
JP3744115B2 (ja) オフセット輪転印刷用塗被紙の製造方法
JP5462570B2 (ja) グラビア印刷用塗工紙およびその製造方法
Walker et al. Pulp and paper manufacture
JP3610686B2 (ja) 印刷用塗被紙の製造方法
WO2020041262A1 (en) Improved dewatering in paper making process and articles thereof
JP2020117818A (ja) 剥離紙用原紙、剥離紙用基材及び剥離紙
JP2003049386A (ja) 印刷用紙
JPH0849187A (ja) オフセット印刷用塗工紙
JPH10219596A (ja) グラビア印刷用塗被紙原紙の製造方法
JP5118369B2 (ja) 印刷用塗工紙及びその製造方法