JP2020117818A - 剥離紙用原紙、剥離紙用基材及び剥離紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】抄紙系の汚れに起因する欠点が少なく、かつ、印刷適性に優れた剥離紙用原紙を提供する。【解決手段】炭素数が24、26、及び28からなる群より選択される炭素数である一価の直鎖アルコール(A)と、炭素数が24、26、及び28からなる群より選択される炭素数である直鎖脂肪酸(B)との合計含有量が、剥離紙用原紙全体に対して300〜2000質量ppmであり、サイズ剤の含有量が、剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に対して0.1質量%以下であり、JIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプのJIS P 8121:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度が、200〜450mLである、ことを特徴とする剥離紙用原紙。【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチックをラミネートし、剥離剤を塗布することにより粘着ラベル等の粘着製品の剥離紙となる剥離紙用原紙とこれを用いた剥離紙用基材及び剥離紙に関する。さらに詳しくは、抄紙系の汚れに起因する欠点が少なく、かつ、印刷適性に優れた剥離紙用原紙、剥離紙用基材及び剥離紙に関する。
剥離紙は粘着ラベルの粘着層等との剥離性を良好にするため、剥離紙用原紙に剥離剤を塗工したものが使用されている。剥離紙用原紙としては、従来グラシンタイプのものが多用されているが、近年アカシア剤を配合したものが、注目されている。
特許文献1では、グラシンパルプの代わりにパルプ中のヘミセルロース率が高いアカシア材を使用することで生産性に優れ、高い光透過性を有する剥離紙用原紙を製造する技術が開示されている。
また、特許文献2では、アカシア材を用いることにより、表面基材の凹凸が抑えられ平滑性の高い剥離紙用原紙を製造する技術が開示されている。
特開2007−186816号公報 特開平11−21795号公報
しかし、特許文献1、2に記載された剥離紙用原紙は、製造時に抄紙系を汚染しやすく、汚れに起因する欠点が生じる場合があった。また、剥離紙用原紙には、印刷が施される場合が多いが、印刷に適したサイズ性についての検討が不充分であった。
上記事情に鑑みて、本発明は、抄紙系の汚れに起因する欠点が少なく、かつ、印刷適性に優れた剥離紙用原紙とこれを用いた剥離紙用基材及び剥離紙を提供することを課題とする。
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]炭素数が24の一価の直鎖アルコール、炭素数が26の一価の直鎖アルコール、及び炭素数が28の一価の直鎖アルコールから選ばれる少なくとも一種の直鎖アルコール(A)と、炭素数が24の直鎖脂肪酸、炭素数が26の直鎖脂肪酸、及び炭素数が28の直鎖脂肪酸から選ばれる少なくとも一種の直鎖脂肪酸(B)とを含み、
前記直鎖アルコール(A)と前記直鎖脂肪酸(B)の合計含有量が、剥離紙用原紙全体に対して300〜2000質量ppmであり、
サイズ剤の含有量が、剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に対して0.1質量%以下であり、
JIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプのJIS P 8121:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度が、200〜450mLである、ことを特徴とする剥離紙用原紙。
[2]剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に占めるアカシア材由来のパルプの固形分換算の質量の割合が20質量%以上である、[1]に記載の剥離紙用原紙。
[3]JIS R 3257に基づき測定される表面の水接触角が80度以上である、[1]または[2]に記載の剥離紙用原紙。
[4][1]〜[3]に記載の剥離紙用原紙と、前記剥離紙用原紙の少なくとも一方の面に設けられたプラスチックラミネート層を備えることを特徴とする剥離紙用基材。
[5][4]に記載の剥離紙用基材と前記剥離紙用基材の前記プラスチックラミネート層の表面に設けられた剥離剤層を備えることを特徴とする剥離紙。
本発明の剥離紙用原紙とこれを用いた剥離紙用基材及び剥離紙は、抄紙系の汚れに起因する欠点が少なく、かつ、印刷適性に優れる。
本発明の剥離紙用原紙は、炭素数が24の一価の直鎖アルコール、炭素数が26の一価の直鎖アルコール、及び炭素数が28の一価の直鎖アルコールから選ばれる少なくとも一種の直鎖アルコール(A)と、炭素数が24の直鎖脂肪酸、炭素数が26の直鎖脂肪酸、及び炭素数が28の直鎖脂肪酸から選ばれる少なくとも一種の直鎖脂肪酸(B)とを含み、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の合計含有量が、剥離紙用原紙全体に対して300〜2000質量ppmである。
なお、直鎖アルコール(A)は、末端の炭素に水酸基が結合した、第一級アルコールである。
植物内においては、一般に酢酸を出発物質としてアルコールや脂肪酸が合成されるため、合成されたアルコールや脂肪酸の炭素数は偶数となる。
剥離紙用原紙における直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の合計含有量が剥離紙用原紙全体の質量に対して300質量ppm以上であると、パルプ繊維の撥水性が向上するので、サイズ剤の使用量を削減することができる。また、紙の水分含有率を低減でき、寸法安定性が向上する。また、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)とが紙の繊維間結合を阻害して繊維間結合を緩めることにより、環境中の水分が変化した際にも紙の伸縮が抑制でき、寸法安定性を良好に維持することができる。また、カールも発生しにくくなる。
直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の合計含有量は、剥離紙用原紙全体の質量に対して好ましくは400質量ppm以上、より好ましくは450質量ppm以上、さらに好ましくは500質量ppm以上である。
一方、剥離紙用原紙における直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の合計含有量が剥離紙用原紙全体の質量に対して2000質量ppm以下であると、これらが多く含まれることによる紙の欠点が発生しない。ここで紙の欠点としては、チリ(直鎖アルコールや直鎖脂肪酸が固まり、黒色や茶色の斑点、場合によっては透明の斑点として現れるもの。)などが挙げられる。
直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の合計含有量は、剥離紙用原紙全体の質量に対して好ましくは1800質量ppm以下、より好ましくは1500質量ppm以下、さらに好ましくは1000質量ppm以下である。
直鎖アルコール(A)及び直鎖脂肪酸(B)の剥離紙用原紙全体における合計含有量は、パルプ原材料(広葉樹、針葉樹、非木材パルプ繊維のチップ、古紙や損紙など。)を適宜選択することや、前記原材料を蒸解する蒸解工程(蒸解工程での洗浄を含む。);蒸解により得られた未漂白パルプの漂白工程(漂白工程での洗浄及び脱水を含む。);又は得られた漂白パルプを叩解した後の抄紙工程;などの各工程を制御することにより調整できる。
中でも、パルプとして、直鎖アルコール(A)及び直鎖脂肪酸(B)を多く含むアカシア材由来のパルプを、適切な量配合することにより、調整することが好ましい。
本発明の剥離紙用原紙は、剥離紙用原紙を構成する全パルプに占めるアカシア材由来のパルプの固形分換算の割合が20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。
また、剥離紙用原紙を構成する全パルプに占めるアカシア材由来のパルプの固形分換算の割合が90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の剥離紙用原紙は、また、JIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプのJIS P 8121:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度(以下、単に「離解パルプのろ水度」という。)が、200〜450mLである。
離解パルプのろ水度が450mL以下であれば、パルプ繊維が充分に緻密になるため、剥離紙用原紙に要求される層間強度を確保しやすい。また、繊維のフィブリル化により繊維同士の絡み合いが多くなることで密度が上昇し、隙間が埋まり細孔が少なくなって水が入りにくくなるので、水やインクの原紙内部への浸透性が下がる。
離解パルプのろ水度は、440mL以下であることが好ましく、420mL以下であることがより好ましい。
一方、離解パルプのろ水度が200mL以上であれば、ろ水性悪化を起因とした時間ロスによるマシンの操業性低下を避けられると共に、繊維同士の結合が過大にならず、湿度変化等による繊維伸縮の波及が抑えられるため、寸法安定性の悪化を防ぐことができる。
離解パルプのろ水度は、220mL以上であることが好ましく、250mL以上であることがより好ましい。
離解パルプのろ水度は、叩解工程における叩解の程度を制御することにより調整できる。
本発明の剥離紙用原紙は、また、サイズ剤の含有量が、剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に対して0.1質量%以下である。
サイズ剤の含有量が、全パルプの固形分換算の質量に対して0.1質量%以下であれば、抄紙系が汚染されにくく、抄紙系の汚れに起因する欠点の発生を抑制できる。
サイズ剤の含有量は、全パルプの固形分換算の質量に対して0.09質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、含まないことが特に好ましい。
剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に対するサイズ剤の含有量は、熱分解GC−MSで各サイズ剤特有の質量ピークを定量することによって測定することができる。
サイズ剤の含有量は、抄紙工程で内添または外添するサイズ剤の量を制御することにより調整できる。
本発明の剥離紙用原紙は、印刷適性の点から、JIS R 3257に基づき測定される表面の水接触角が80度以上であることが好ましい。JIS R 3257に基づき測定される表面の水接触角は、80〜100度であることがより好ましく、85〜90度であることがさらに好ましい。
表面の水接触角は、直鎖アルコール(A)及び直鎖脂肪酸(B)の含有量、サイズ剤の含有量、離解パルプのろ水度によって調整できる。
本発明の剥離紙用原紙の密度は、0.55〜1.10g/cmであることが好ましく、0.65〜0.95g/cmであることがより好ましい。
密度が0.55g/cm以上であれば、繊維が充分に緻密になることで、剥離紙用原紙に必要な層間強度、及び印刷適性として重要な平滑性を確保しやすい。
密度が1.10g/cm以下であれば、繊維同士の結合が過大にならず、湿度変化等による繊維伸縮の波及が抑えられるため、紙くせや寸法安定性の悪化を防ぐことができる。
本発明の剥離紙用原紙の坪量は、特に限定されないが25〜150g/mであることが好ましく、40〜100g/mであることがより好ましい。
以下、本発明の剥離紙用原紙を製造する方法について説明する。
(パルプの原材料)
本発明の剥離紙用原紙の製造に用いられるパルプの原材料は、広葉樹材、針葉樹材、非木材パルプ繊維のいずれでもよく、2種類以上の原材料を混合して用いてもよいが、少なくとも、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)とを比較的多く含む広葉樹材を用いることが、本発明の剥離紙用原紙を得やすい点で好ましい。
広葉樹としては、特に限定されないが、そのうち直鎖アルコール(A)及び直鎖脂肪酸(B)を多く含有する樹種としては、Acacia mangium(アカシアマンギューム)、A.auriculiformis(アカシアアウリカルフォルミス)、A.catechu(アカシアカテキュー)、A.decurrens(アカシアデカレンス)、A.holosericea(アカシアホロセリシア)、A.leptocarpa(アカシアレプトカルパ)、A.maidenii(アカシアマイデニアイ)、A.mearnsii(アカシアメランシー)、A.melanoxylon(アカシアメラノキシロン)、A.neriifolia(アカシアネリフォーラ)、A.silvestris(アカシアシリベストリス)、又はA.peregrinalis(アカシアペレグリナリス)等やこれらの交雑種(hybrid:ハイブリッド)であるアカシア材が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種の樹種を使用することが好ましい。
前記広葉樹材、特にアカシア材の配合量は、パルプの原材料全体の質量に対して20質量%以上であることが好ましい。20質量%未満であると、剥離紙用原紙中に含まれる直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の合計含有量が剥離紙用原紙全体の質量に対して300質量ppm未満となりやすい。
前記アカシア材の配合量の範囲は、パルプの原材料全体の質量に対して20〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜70質量%がさらに好ましい。
広葉樹のうち、使用可能なその他の樹種としては、Eucalyptus camaldulensis(ユーカリカマルドレンシス)、E.deglupta(ユーカリデグルプタ)、E.globulus(ユーカリグロブラス)、E.grandis(ユーカリグランディス)、E.maculata(ユーカリマキュラータ)、E.punctata(ユーカリパンクタータ)、E.saligna(ユーカリサリグナ)、E.tereticornis(ユーカリテレニコルニス)、E.urophylla(ユーカリユーロフィラ)、A.aulacocarpa(アカシアアウラコカルパ)、又はA.crassicarpa(アカシアクラシカルパ)等やこれらの交雑種(hybrid:ハイブリッド)が挙げられる。
「A.」はアカシアの略、「E.」はユーカリの略である。
針葉樹材としては特に限定されないが、White Spruce(ホワイトスプルース)、Black Spruce(ブラックスプルース)、若しくはHemlock(ヘムロック)等のとうひ若しくはつが類樹木、White Fir(ホワイトファー)、Douglas Fir(ダグラスファー)、若しくはBalsam Fir(バルサムファー)等のもみ類樹木、Aspen(アスペン)等のポプラ類樹木、Southern Pine(サザンパイン)、Radiata Pine(ラジアータパイン)、Lodgepole Pine(ロッジポールパイン)、若しくはElliot Pine(エリオットパイン)等のまつ類樹木、又はRed Ceder(レッドシーダー)等の杉類樹木等が好ましく使用される。
非木材パルプ繊維としては、コウゾ、若しくはミツマタ等の靭皮繊維類、マニラ麻、若しくはサイザル麻等の葉繊維類、又は木綿、若しくはコットンリンター等の種毛繊維類等が挙げられるが、とりわけ中でも入手の容易さ、品質の均一性、及び価格等を考慮すると国際市場性のあるフィリピン産、又はエクアドル産等のマニラ麻が好適に使用できる。
さらには、パルプ原材料として、古紙や損紙等を用いることもできる。
(蒸解工程)
上述したパルプ原材料を例えばチップなどの形態として蒸解工程に供し、未漂白パルプを得る。
蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、又はアルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、蒸解液を分割添加して蒸解する方法が好ましい。蒸解液を分割添加することにより、蒸解全般でのアルカリ濃度を制御でき、その結果、得られる未漂白パルプ中の直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の合計含有量を調整できる。具体的には、蒸解液のアルカリ濃度を高めると、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量が多くなる。逆に、蒸解液のアルカリ濃度を低くすると、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量が少なくなる。
蒸解液を分割添加できる蒸解法であれば、具体的な蒸解法は特に限定されないが、Lo−solids法、Compact蒸解法、又はKobudomari蒸解法等のクラフト蒸解法は、コンベンショナル蒸解法に比べて、蒸解時に使用するエネルギー量が少ない、又は製造されるパルプの漂白性が良い、といった付帯的な効果の点で好適に用いられる。
また、蒸解工程での洗浄時において、洗浄機において洗浄水として使用するろ過水/清水の比率を適宜変更することによって、洗浄時に除去される直鎖アルコール(A)及び直鎖脂肪酸(B)の量を変えることができる。ろ過水とは、洗浄水として循環使用されている水であり、清水とは循環されていない通常の水である。
具体的には、ろ過水の割合を増やすことにより、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量を少なくでき、清水の割合を増やすことにより、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量を多くできる。よって、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の含有量が比較的少ないチップをパルプ原材料として用いた場合などには、洗浄水におけるろ過水の割合を高め、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)があまり除去されないようにするなどの処方を採用できる。
また、洗浄水の温度を高温にすることにより、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量を多くでき、洗浄水の温度を低温にすることにより、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量を少なくできる。
その他の蒸解工程の条件としては、公知の条件を採用できる。
例えば、クラフト蒸解法を用いる場合、蒸解液の硫化度は5〜75%、好ましくは15〜45%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃で、蒸解方式は連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、特に問わない。
また、蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、又はアミノ等の核置換体;前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物;及びディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種あるいは2種以上の蒸解助剤が添加されてもよく、その添加率は材の絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。
(漂白工程)
蒸解工程により得られた未漂白パルプに対して、粗選及び精選を適宜行ってから、漂白工程を行う。
漂白工程としては、アルカリ酸素漂白法、及び多段漂白などを順次実施し、また、これらの各漂白の間には洗浄を行い、最後の漂白の後には洗浄及び脱水を行う方法が挙げられる。
そして、漂白工程での各洗浄や脱水に使用する水のろ過水/清水の比率を適宜変更することによって、これら洗浄時や脱水時に除去される直鎖アルコール(A)及び直鎖脂肪酸(B)の量を変えることができる。ろ過水とは、循環使用されている水であり、清水とは循環されていない通常の水である。
具体的には、清水の割合を増やすことにより、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量を多くして、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の合計含有量を少なくできる。逆に、ろ過水の割合を増やすことにより、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量を少なくできる。また、使用する水の温度を高温にすることにより、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量を多くでき、低温にすることにより、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量を少なくできる。例えば直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量を低く抑えたい場合には、アルカリ酸素漂白法で使用する洗浄水の温度を低くするなどの処方を採用すればよい。
また、漂白工程で用いるアルカリの濃度を高くすると、漂白工程において、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の除去量が多くなる。
漂白工程のその他の条件としては、公知の条件を採用できる。
例えば、漂白工程では、まず、上述したようにアルカリ酸素漂白法により脱リグニンする。アルカリ酸素漂白法で脱リグニンすることで、その後の多段漂白工程での漂白薬品の使用量を削減でき、パルプ品質の低下を最小限に留めることができる。アルカリ酸素漂白法としては、公知の中濃度法或いは高濃度法がそのまま適用できるが、現在汎用的に用いられているパルプ濃度が8〜15質量%で行われる中濃度法が好ましい。
前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、又はVSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
前記酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され、混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。
酸素ガスの添加率は、絶乾パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分間、パルプ濃度は8〜15質量%であり、この他の条件は公知のものが適用できる。アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して2回以上行うことが好ましい。上記アルカリ酸素漂白は3回まで行うことが好ましい。
アルカリ酸素漂白が施されたパルプはついで洗浄され、その後、多段漂白工程へ送られる。多段漂白工程では、オゾン漂白段(Z)が用いられることが好ましい。オゾン漂白段を用いることで、アカシア材、又はユーカリ材からのパルプ中に多く含まれるヘキセンウロン酸を分解でき、ヘキセンウロン酸に起因するパルプの色戻りを抑制できる。オゾン漂白段の処理条件は、特に限定されるものではないが、オゾンを過度に反応させた場合にはパルプ強度が損なわれるため、好ましくは、オゾンの添加率は絶乾パルプ質量当たり0.1〜1.0質量%であり、さらに好適には0.3〜0.7質量%である。処理温度は10〜100℃、好ましくは20〜70℃、処理時間は1秒間〜60分間、好ましくは10秒間〜5分間、処理pHは1.5〜7、好ましくは2〜4である。オゾン漂白段でのパルプ濃度は中濃度でも高濃度でもよく、限定されるものではない。また、所望により二酸化塩素、又は他の漂白薬品を併用することも可能である。
多段漂白工程で使用できる漂白段は、特に限定されるものではなく、公知の漂白段を用いることができる。公知の漂白段として、二酸化塩素漂白段(D)、アルカリ抽出段(E)、酸素漂白段(O)、過酸化水素漂白段(P)、過酸漂白段(PA)、酸洗浄段(a)、又は酸処理段(A)等が挙げられる。多段漂白工程の一例を挙げると、Z−E−P−D、Z−E−D−P、Z−E−P−AP、A−Z−E−P−D、A−Z−E−D−P、A−Z−E−P−AP、a−Z−E−P−D、a−Z−E−D−P、a−Z−E−P−AP、Z/D−E−P−D、Z/D−E−D−P、Z/D−E−P−AP、A−ZD−E−P−D、A−Z/D−E−D−PA−Z/D−E−P−AP、a−Z/D−E−P−D、a−Z/D−E−D−P、a−Z/D−E−P−AP、Z−EO−P−D、Z−EO−D−P、Z−EO−P−AP、A−Z−EO−P−D、A−Z−EO−D−P、A−Z−EO−P−AP、a−Z−EO−P−D、a−Z−EO−D−P、a−Z−EO−P−AP、Z/D−EO−P−D、Z/D−EO−D−P、Z/D−EO−P−AP、A−ZD−EO−P−D、A−Z/D−EO−D−P、A−Z/D−EO−P−AP、a−Z/D−EO−P−D、a−Z/D−EO−D−P、a−Z/D−EO−P−AP、D−E−P−D、D−E−D−P、D−E−P−AP、A−D−E−P−D、A−D−E−D−P、A−D−E−P−AP、a−D−E−P−D、a−D−E−D−P、a−D−E−P−AP、D−EO−P−D、D−EO−D−P、D−EO−P−AP、A−D−EO−P−D、A−D−EO−D−P、A−D−EO−P−AP、a−D−EO−P−D、a−D−EO−D−P、又はa−D−EO−P−AP等が挙げられ、ハイホン部に洗浄段を設けることもできる。また、さらに漂白段を付け加えたり、別の漂白段を前記漂白段に組み込んで併用したりすることもでき、特に限定されるものではない。
(叩解工程)
漂白されたパルプは、水の存在下で叩解されてパルプスラリーとして用いられる。パルプの叩解方法、叩解装置は特に制限されない。例えばダブルディスクリファイナー、シングルディスクリファイナー、PFIミルが挙げられる。中でもダブルディスクリファイナー、シングルディスクリファイナーが製紙工程においては一般的である。
離解パルプのろ水度を前述の範囲にするためには、漂白されたパルプの叩解を、JIS P 8121:2012に準拠して測定されるパルプのカナダ標準ろ水度が150〜400mLとなるように行うことが好ましく、200〜350mLとなるように行うことがより好ましい。
なお、離解パルプのろ水度には、パルプの叩解程度の他に、内添紙力剤(乾燥、湿潤)や定着剤も影響を与える。
内添紙力剤の添加部数が大きい程、離解パルプのろ水度は小さくなる傾向がある。定着剤の添加部数が大きい程、離解パルプのろ水度は小さくなる傾向がある。
(抄紙工程)
叩解工程後のパルプスラリーは、抄紙工程へ送られる。
ここで抄紙工程へ送られるパルプスラリーは、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量がパルプスラリー中のパルプ(固形分)の全質量に対して600質量ppm以上であることが好ましく、800質量ppm以上であることがより好ましく、900質量ppm以上であることがさらに好ましい。
600質量ppm以上であれば、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量が剥離紙用原紙全体に対して300〜2000質量ppmである剥離紙用原紙を得やすい。
一方、合計含有量がパルプスラリー中のパルプ(固形分)の全質量に対して3500質量ppm以下のパルプスラリーを抄紙工程に供した場合には、得られる剥離紙用原紙の直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の含有量が、剥離紙用原紙全体に対して2000質量ppm以下となりやすい。
抄紙工程へ送られるパルプスラリーの、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量の範囲は、パルプスラリー中のパルプ(固形分)の全質量に対して600〜3500質量ppmが好ましく、800〜3500質量ppmがより好ましく、900〜3500質量ppmがさらに好ましい。
抄紙方法としては、酸性抄紙法あるいは中性ないしアルカリ性抄紙法が任意に採用でき、また、抄紙設備としては長網抄紙機、オントップ型抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機、又はヤンキー抄紙機等を用いることができる。
この際、微細繊維の歩留まりを制御することが、剥離紙用原紙の直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量を調整するうえで重要である。すなわち、微細繊維は、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)の含有量が大きいため、抄紙工程での微細繊維の歩留まりが、得られる剥離紙用原紙の直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量に影響を及ぼす。
具体的には抄速、ワイヤーメッシュのメッシュサイズ、又はフォイル角度をそれぞれ大きくしたり、添加する歩留まり剤や凝集剤を減量したりすることは、微細繊維の歩留まりを低下させ、得られる剥離紙用原紙の直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量を大きく低減させる。また、抄紙に使用する白水(パルプ繊維を含む循環再利用水)/清水の比率を清水の割合を高めるように変更することも、微細繊維の歩留まりを低下させ、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量を低減させる。
パルプスラリーには、一般に使用される填料;内添サイズ剤;アニオン性、ノニオン性、カチオン性若しくは両性の歩留向上剤;濾水性向上剤;又は紙力増強剤等の抄紙用内添助剤を所望により添加することができる。
填料としては、例えば、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、カオリン、デラミネーテッドカオリン、水和ケイ酸塩、珪藻土、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、若しくは水酸化亜鉛等の無機顔料や尿素・ホルマリン樹脂微粒子、若しくは微小中空粒子等の有機顔料等が例示できる。填料は2種以上の混合使用も可能である。
また、古紙や損紙等をパルプ原料として用いた場合には、これらのパルプ原料に由来する填料も含有していてもよい。
内添サイズ剤の具体例としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、アルケニルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系、又はロジン系などのサイズ剤(耐水性向上剤)が挙げられる。
また、歩留向上剤、濾水性向上剤、及び紙力増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多価金属化合物(具体的には、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、又は塩基性アルミニウム化合物等)、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポリアミドポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリビニルアルコール、又はポリエチレンオキサイド等が例示できる。
また、抄紙後に、サイズプレス装置を用いて、ポリアクリルアミド等の合成接着剤や澱粉等の天然接着剤を主成分とするサイズプレス液で表面処理を施すことで、紙の表面強度及び紙層間強度を強化することもできる。
サイズプレス装置としては、従来の汎用タイプである2ロールタイプのサイズプレス装置やゲートロールサイズプレス、若しくはシムサイザーのようなアプリケーションヘッドメタリングサイズプレス等の転写型サイズプレス装置が挙げられる。
サイズプレス工程で使用される接着剤としては、天然植物から精製した澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉;又はデキストリン、マンナン、キトサン、アラビノガラクタン、グリコーゲン、イヌリン、ペクチン、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、若しくはヒドロキシエチルセルロース等の天然多糖類及びそのオリゴマーさらにはその変性体が挙げられる。さらに、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、若しくはコラーゲンなどの天然タンパク質及びその変性体;又はポリ乳酸、若しくはペプチドなどの合成高分子やオリゴマー等が挙げられる。加えてスチレン−ブタジエン系、アクリル系、ポリ酢酸ビニル、若しくはエチレン−酢酸ビニルなどの各(共)重合体ラテックス;又はポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリア若しくはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、若しくはポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等の水溶性高分子等が挙げられる。これらは一種以上で使用することができる。この他、公知の天然、又は合成有機化合物を使用することは特に制限されない。
サイズプレス工程で使用される外添サイズ剤としては、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸が挙げられる。
内添サイズ剤と外添サイズ剤は、剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に対して、サイズ剤の含有量が0.1質量%以下となる範囲で使用する。内添サイズ剤と外添サイズ剤は、剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に対して、サイズ剤の含有量が0.09質量%以下となる範囲で使用することが好ましく、0.05質量%以下となる範囲で使用することがより好ましい。内添サイズ剤は、抄紙系の汚れに起因する欠点の発生を抑制する観点から、使用しないことが好ましい。
抄紙後には、プレス処理、カレンダー処理等により、密度を増加させる処理を行ってもよい。密度を増加させると、繊維が充分に緻密になることで、剥離紙用原紙に必要な層間強度が増加すると共に、平滑性が確保されるため印刷適性も向上する。
プレス装置としては、ロールプレス、ベルトプレス、液圧プレス、エアープレス、機械プレス等が挙げられる。
カレンダー装置としては、マシンカレンダー、TGカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー、コンパクトカレンダー、マットスーパーカレンダー、マットカレンダー等が挙げられる。
<剥離紙用基材>
本発明の剥離紙用基材は、本発明の剥離紙用原紙と本発明の剥離紙用原紙の少なくとも一方の面に設けられたプラスチックラミネート層を備える。
プラスチックラミネート層を構成する材料は、ラミネートが可能な熱可塑性樹脂であれば特に限定はなく、各種のプラスチック材料(熱可塑性樹脂)が用いられる。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチル−1−ペンテン等の各種ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニリデン系共重合体、エチレンとアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル等との共重合体などが使用できる。
特に加工性等の点からはポリエチレン樹脂が好ましく、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などが挙げられる。これらの密度は0.950g/cm以下が好ましく、また、樹脂の粘性、流れ性を示す目安として用いられるメルトインデックスは10g/分以下が好ましい。
プラスチックラミネート層の厚みは、通常10〜30μmの範囲であり、好ましくは15〜25μmである。10μm未満ではピンホールを防ぐことが困難となる場合があり、30μmを超えるとコスト高となる。
剥離紙用原紙の少なくとも一方の面にプラスチックラミネート層を形成する方法としては、Tダイ等の各種押出成形機を利用した押出しラミネーションや、フィルムラミネーションを採用することができる。
プラスチックラミネート層を構成する材料としてポリエチレン樹脂を用いる場合、押出しラミネーションの条件としては、押出機のダイ直下の樹脂温度が300〜340℃であることが好ましい。樹脂温度が300℃未満では樹脂の膜切れが発生しやすくなり、また紙基材と樹脂との接着性が劣ることとなる。一方、樹脂温度が340℃を超えるとポリエチレン樹脂の熱劣化が起こりうる。
剥離紙用原紙のラミネートされる面には、プラスチックラミネート層との密着性をさらに高めるため、オゾン処理やコロナ処理が施されていてもよい。
<剥離紙>
本発明の剥離紙は、本発明の剥離紙用基材と本発明の剥離紙用基材のプラスチックラミネート層の表面に設けられた剥離剤層を備える。
剥離剤としては、エマルジョン型や溶剤型、または無溶剤型のシリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂等が使用される。これらの剥離剤を塗工する方法としては、バーコーター、多段式ロールコーター、グラビアコーター、等が適宜使用される。なお塗工量については特に限定されるものではないが、固形分で0.3〜3.0g/m、好ましくは0.5〜1.5g/mの範囲で調節される。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、例4〜7は実施例、例1〜3、8は比較例である。また、%は特に断りのない限り質量%であり、ppmは質量ppmである。また、内添薬品の配合量、外添薬品の付着量は分散媒体を含まない。
<例1>
(未漂白パルプの製造(蒸解工程))
Lo−solids蒸解釜(アンドリッツ社製)を用い、ユーカリ材チップ92質量%、アカシア材チップ8質量%からなる広葉樹チップをLo−solids蒸解法でクラフト蒸解した。ここで、硫化度28の白液(蒸解液)を用いて、白液添加率が、活性アルカリとして、チップ供給系に対チップ絶乾質量当たり10%を、蒸解ゾーンに8%、洗浄ゾーンに2%分割して添加し、蒸解温度146℃で行なった。蒸解後のチップを解繊した後、洗浄工程(ろ過水/清水(100/0))、スクリーン工程、さらに再度洗浄工程(ろ過水/清水(100/0))を経て、未晒パルプ(未漂白パルプ)を得た。
(漂白工程)
前記未晒パルプに対し、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.7%、酸素を1.8%添加し、パルプ濃度10%、98℃、50分の条件で二段アルカリ酸素漂白を行なった。
ここで、苛性ソーダは一段目に一括添加し、酸素ガスは一段目に1.0%、二段目に0.8%と分割添加した。アルカリ酸素漂白後のパルプは、洗浄工程で洗浄処理した。
前記アルカリ酸素漂白後のパルプに対し、絶乾パルプ質量当たり硫酸を1.2%添加し、パルプ濃度10%、60℃、60分の条件で滞留させた後、洗浄工程で洗浄処理した。
ついで、絶乾パルプ質量当たりオゾンを0.5%、二酸化塩素を0.5%添加し、パルプ濃度10%、58℃、60分の条件で中濃度オゾン/二酸化塩素漂白を行なった後、洗浄工程で洗浄処理した。ついで、絶乾パルプ質量当たり苛性ソーダを1.0%、過酸化水素を0.1%添加し、パルプ濃度10%、60℃、90分の条件でアルカリ抽出を行なった後、洗浄工程で洗浄処理した。ついで絶乾パルプ質量当たり二酸化塩素を0.2%添加し、パルプ濃度10%、70℃、120分の条件で二酸化塩素漂白を行なった後、洗浄工程で洗浄処理して漂白パルプを得た。ついでバルブレスフィルターにおいてろ過水/清水(100/0)で洗浄を行った。叩解工程へ送る漂白パルプの固形分に占める直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量は542ppmであった。
(叩解工程)
ろ過水/清水(100/0)で洗浄を行った漂白パルプ(濃度4.2質量%)を、JIS P8221−2:1998に規定するPFIミル法にて、カナダ標準ろ水度の目標値を300mLとして、306mLまで叩解処理し、叩解パルプスラリーを得た。
(抄紙工程)
前記叩解パルプスラリーに、ロジン系内添サイズ剤を0.09%(対パルプ)、硫酸アルミニウムを1.0%(対パルプ)、両性ポリアクリルアミド系樹脂紙力増強剤を0.7%(対パルプ)添加して紙料を得た。
この紙料をJ/W比0.995、抄速1,010m/分でオントップフォーマにより紙層を形成し、3基のロールプレスで搾水後、一段配列ドライヤーで乾燥した後、オンマシン仕様の2ロールサイズプレス装置で表面サイズ処理を行った。即ち、酸化澱粉2.5%のサイズプレス液を、両面あたり固形分で1.5g/mとなるように塗布し、カレンダー処理して、坪量65g/mの例1の剥離紙用原紙を得た。
<例2〜例8>
ユーカリ材チップとアカシア材チップの配合割合、叩解処理後のろ水度(目標値、実測値)、内添サイズ剤の添加量を表1のとおり変更したほかは、例1と同様にして、例2〜例8の剥離紙用原紙を得た。
<測定方法、評価方法>
各種測定、評価は以下のとおり行った。結果を表1に示す。
(剥離紙用原紙の直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量の測定)
剥離紙用原紙の乾燥サンプル50×100mmを精秤し、濃塩酸(12規定)0.1ml、及びクロロホルム2ml加え、10分間超音波処理を行った。得られた抽出液をメンブレンフィルタ(ポア径0.2μm)で濾過した。上記濾液を用いて高速液体クロマトグラフィーにより分析を行った。溶離液としてメタノール:トリフルオロ酢酸を0.1%含んだアセトン=50:50を用い、流量1ml/分とした。使用カラムはウォーターズ社製X Bridge C18, 250mm×4.6mm I.Dで、温度は30℃とし、濾液を2μl注入した。検出器は荷電化粒子検出器を用いて、直鎖アルコール(A)(高級アルコールC2449OH、C2653OH、C2857OH)及び直鎖脂肪酸(B)(高級脂肪酸C2347COOH、C2551COOH、C2755COOH)を検出し、それぞれについて下記の計算式により試料中濃度を求め、合計を算出した。各成分のピーク面積値は、ベーズラインと各ピークで囲まれた部分であるが、部分的に重複するピークについてはJIS K 0124の垂線法によりピーク分離し求めた。
計算式:試料中濃度(ppm)=標品濃度(100ppm)÷標品ピーク面積値×試料ピーク面積値×2(ml)÷(試料質量(mg)÷1000)
(パルプの直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量の測定)
パルプをサンプリング、乾燥させ、乾燥パルプ約200mgを精秤し、濃塩酸(12規定)0.1ml、クロロホルム2ml加え、10分間超音波処理を行った。得られた抽出液をメンブレンフィルタ(ポア径0.2μm)で濾過した。上記濾液を用いて高速液体クロマトグラフィーにより分析を行った。分析方法及び試料中濃度の計算方法は、上述した剥離紙用原紙についての測定の場合と同様に行った。
(剥離紙用原紙の全パルプに対するサイズ剤の含有量)
剥離紙用原紙の全パルプに対するサイズ剤の含有量を、熱分解GC-MSにて測定した。
(叩解処理後の実測ろ水度)
叩解処理後のパルプのカナダ標準ろ水度をJIS P 8121:2012に準拠して測定した。
(離解パルプのろ水度)
剥離紙用原紙をIS P 8220:2012に記載のパルプ離解方法により離解し、これにより得られた離解パルプのカナダ標準ろ水度をJIS P 8121:2012に準拠して測定した。
(密度)
剥離紙用原紙の密度を、JIS P 8188:1998に基づき測定した。
(原紙層間強度)
剥離紙用原紙の原紙層間強度を、JIS K 6854−1:1999に基づき測定した。
(接触角)
剥離紙用原紙の水接触角を、JIS R 3257に基づき測定し、以下の基準で評価した。
◎:85〜90度。
○:80〜100度、ただし、85〜90度の場合を除く。
△:75度以上80度未満。
×:75度未満。
Figure 2020117818
表1に示すように、直鎖アルコール(A)と直鎖脂肪酸(B)との合計含有量が、剥離紙用原紙全体に対して400〜2000質量ppmである例4〜8では、サイズ剤の含有量が、剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に対して0.1質量%以下であっても、表面の水接触角が80度以上であり、良好な印刷適性が得られた。
例4〜8の中でも、離解パルプのろ水度を450mL以下とした例4〜7は、サイズ性が充分発揮され、良好な印刷適性が得られた。

Claims (5)

  1. 炭素数が24の一価の直鎖アルコール、炭素数が26の一価の直鎖アルコール、及び炭素数が28の一価の直鎖アルコールから選ばれる少なくとも一種の直鎖アルコール(A)と、炭素数が24の直鎖脂肪酸、炭素数が26の直鎖脂肪酸、及び炭素数が28の直鎖脂肪酸から選ばれる少なくとも一種の直鎖脂肪酸(B)とを含み、
    前記直鎖アルコール(A)と前記直鎖脂肪酸(B)の合計含有量が、剥離紙用原紙全体に対して300〜2000質量ppmであり、
    サイズ剤の含有量が、剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に対して0.1質量%以下であり、
    JIS P 8220:2012に記載のパルプ離解法により離解して得られる離解パルプのJIS P 8121:2012に準拠して測定されるカナダ標準ろ水度が、200〜450mLである、ことを特徴とする剥離紙用原紙。
  2. 剥離紙用原紙を構成する全パルプの固形分換算の質量に占めるアカシア材由来のパルプの固形分換算の質量の割合が20質量%以上である、請求項1に記載の剥離紙用原紙。
  3. JIS R 3257に基づき測定される表面の水接触角が80度以上である、請求項1又は2に記載の剥離紙用原紙。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の剥離紙用原紙と、前記剥離紙用原紙の少なくとも一方の面に設けられたプラスチックラミネート層を備えることを特徴とする剥離紙用基材。
  5. 請求項4に記載の剥離紙用基材と前記剥離紙用基材の前記プラスチックラミネート層の表面に設けられた剥離剤層を備えることを特徴とする剥離紙。
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