JP3610686B2 - 印刷用塗被紙の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷用塗被紙の製造方法に関し、特にギャップフォーマ型抄紙機で抄紙して得られた原紙を使用して印刷光沢、および表面平滑性に優れ、かつ高い剛度と優れた耐ブリスタ適性が付与された印刷用塗被紙の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、出版,告,宣伝等の媒体として利用される印刷物のビジュアル化やカラー化が進んでいる。それに伴って、印刷用塗被紙の需要が急速に増加しており、塗被紙の品質についても、より優れた平滑性や印刷光沢が要請されている。
これらの要請に対し、近年高い平滑性と光沢を得ることができる熱ソフトキャレンダが注目されている(紙パルプ技術タイムス/昭和62年8月号31〜36頁;Pulp&Paper International/1987年11月号、45〜47頁)。
【0003】
即ち、熱ソフトキャレンダは通常金属ロールを100℃以上に加温して塗被層を加圧、平滑化する方法である。この方法は、従来のスーパーキャレンダに比較して少ないニップ数で高い表面平滑および印刷光沢を得ることができ、さらに製品の剛度も相対的に高い値が維持できるといった利点を有している。これは少ないニップ数で内部の原紙層を比較的嵩高に保持したまま、加熱金属ロールと弾性ロールからなるニップを通過する間に、塗被層に接着剤として使用されているラテックス等の熱可塑性物質が高熱と圧力によって可塑化され、塗被層中の顔料を効果的に配向させて塗被層表面の平滑化を行うことができることによる。
【0004】
しかしながら、熱ソフトキャレンダによる平滑化は、塗被層表面が過度に緻密になる傾向が強く、塗被層の透気性が悪くなる傾向がある。したがって、そのような塗被紙をオフセット輪転印刷に供すると、オフセット輪転(以後、オフ輪と称す)印刷の熱乾燥時に原紙内部の水分が水蒸気となって外部に逃げ難く、結果的に、逸散する水蒸気の力で紙層の剥離や塗被層に亀裂等を発生させる現象、所謂ブリスタと称される火膨れ現象(層間剥離)を起こし易いといった難点を抱えている。
【0005】
一般に、このオフ輪印刷におけるブリスタ現象を解消するには、原紙の内部(層間)強度を上げる方法が知られている。即ち、抄紙工程において、カチオン化澱粉やポリアクリルアミド等の紙力増強剤を内添として原紙に付加することが行われている。しかしながら、これらの紙力増強剤の多用は、抄紙機上でパルプ繊維が凝集体をつくり易くなるために均一な地合を得ることが困難となり、結果として平滑性の優れた塗被紙を得ることができない。また、紙力増強剤の添加は、抄紙機上での濾水性を悪化させるために高速抄紙ができない等の難点があった。
【0006】
一方、水性塗被組成物についてもブリスタを解消するための幾つかの提案がなされている。例えば、比較的良好な透気度を有する軽質炭酸カルシウムの使用や、高Tgラテックスの使用、あるいはゲル含有量の少ないラテックスの使用等による方法が提案されてはいるが、いずれも塗被層の印刷強度を低下させるという問題がある。
【0007】
また、木材繊維パルプの改質により、ブリスタを発生させない、もしくは発生し難くする、所謂耐ブリスタ適性を付与する方法としては、特開平8−49187号公報に提案されている。即ち、漂白後のパルプ繊維を濾紙分解活性を有する酵素で処理されたパルプを用いることにより、オフセット輪転印刷用塗被紙の耐ブリスタ適性の改善、および折れ割れに対する軽減〜解消効果が開示されている。一方、この方法は漂白後のパルプ繊維を濾紙分解活性を有する酵素で処理するためにパルプ繊維が損傷を受け、パルプ繊維強度が低下するという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、キシラン分解活性を有する酵素で処理されたパルプを含む紙料を調成し、ギャップフォーマ型抄紙機を用いて抄紙した原紙に水性塗被組成物を塗被、乾燥後、熱ソフトキャレンダに通紙することによって、優れた平滑性、印刷光沢、および高い剛度と耐ブリスタ適性を有する印刷用塗被紙の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、木材繊維パルプを主成分とする紙料を用いてギャップフォーマ型抄紙機で抄紙して得られた原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする水性塗被組成物を塗被、乾燥して塗被層を設けた後、熱ソフトキャレンダに通紙して平滑化仕上げを行う印刷用塗被紙の製造方法において、該木材繊維パルプがキシラン分解活性を有し且つ濾紙分解活性を有しない酵素で処理されたパルプを全パルプの60重量%以上含むことを特徴とする印刷用塗被紙の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、使用される木材繊維パルプは、木材を一般に公知公用の蒸解法で蒸解して得られた未晒パルプを酸素脱リグニン処理に供し、次いで特定の酵素で処理後、漂白工程を経て得られる白色パルプを使用するものである。即ち、特定の酵素として、キシラン分解活性を有する酵素を使用するもので、一般にキシラナーゼといわれる酵素である。そして、特に該酵素としては、キシラン分解活性は有するが、濾紙分解活性(セルロース繊維に作用を及ぼす)を有さない(濾紙分解活性があっても極く軽微な活性)酵素であることが必要である。因みに、濾紙分解活性の強い酵素で木材繊維パルプを処理すると、木材繊維パルプ中の結晶性セルロースが分解され、パルプの単繊維強度が低下し、原紙強度が低下し、寸法安定性が悪化する傾向にある。
【0011】
一方、濾紙分解活性が無く(あるいは、極く軽微な濾紙分解活性を有する)、キシラン分解活性を有する酵素で木材繊維パルプを処理すると、パルプの主要骨格であるセルロース繊維は作用を受けず、パルプ表面あるいはパルプ中に局在するキシランが選択的に分解される。その結果、セルロース繊維はその骨格を維持したまま、損傷を受けず多孔性となり、良好な紙力を維持することができる。
【0012】
このように、特定の酵素で処理されたパルプが良好な耐ブリスタ適性を示す原因については必ずしも明らかではないが、以下のように推定される。
前述したように、繊維周辺に存在するキシランが選択的に除去され、結果として、パルプはセルロース繊維が主体となり、紙層を形成させた場合に多孔性の構造を呈し、透気度が良好な層構成を取ることに起因しているものと考えられる。また、内添として添加された紙力増強剤の浸透性が増すことにより、原紙の内部強度がより一層補強されることもその要因の一つと考えられる。
【0013】
キシラン分解活性を有する酵素としては、これを生産する微生物、菌体、バクテリア等を培養することによって採取される。さらに、これらの変異株、あるいは酵素の生産を増大させるために遺伝子工学によって製造された菌株、すなわち組み替え体菌株から採取してもよい。また、前記酵素は培養液中に生産されたままのものでも良く、その濃縮混合物、あるいはその乾燥調製物のいずれからか製造された混合物であっても良い。具体的に市販されているキシラン分解活性を有する酵素(キシラナーゼ)としては、例えばパルプザイムHC(ノボノルディスク社製)、エコザイム(ゼネカ社製)、エコパルプ(アルコ社製)、JXL86(昭和電工社製)等を例示できる。
【0014】
本発明において、キシラン分解活性を有する酵素は、キシラン分解活性として、0.1〜10U/絶乾パルプg、好ましくは0.5〜5U/絶乾パルプgの範囲でパルプに対し添加される。
ここに、1U/絶乾パルプgとは、酵素をキシランに作用させた場合に1分間に1μモルのキシロースを生成する酵素量のことを指す。因みに、酵素の添加量が0.1U/絶乾パルプg未満では、パルプからのキシランの溶出が不十分であり、通気性に優れた原紙が得にくく、十分な耐ブリスタ適性が得られない虞れがある。一方、10U/絶乾パルプgを越えると、酵素処理により、全パルプの歩留りが低下し、コスト高となる虞れがあり、望ましくない。
【0015】
次に、パルプへ酵素を添加する場合のパルプ濃度は、1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%の範囲で行われる。因みに、1重量%未満では、処理に大容量の設備を必要とし好ましくない。一方、20重量%を越えると、パルプが粘稠となり酵素が均一に混合し難くなるために好ましくない。
なお、酵素と含水状態のパルプとの混合攪拌については、低濃度ミキサ、中濃度ミキサ、スタティックミキサ、高濃度ミキサ等の中から、処理時のパルプ濃度に応じて最適のミキサが選択される。
【0016】
パルプを酵素で処理するときの温度は30〜80℃、好ましくは40〜60℃の範囲である。因みに、30℃未満では、酵素のキシラン分解活性が低下し処理効果が不十分となり好ましくない。一方、80℃を越えると酵素自体が変性し、不活性になるために好ましくない。また、パルプの酵素処理時のパルプ液、あるいはパルプに含まれる溶液のpHは3〜10、好ましくは5〜9の範囲である。酵素による処理時間は、10分間以上、好ましくは30〜180分間であるが、特に限定されるものではない。
【0017】
本発明におけるパルプの酵素処理は、先ず、未晒パルプを酸素脱リグニン処理に供し、続いて酵素処理を行うのが好ましい実施態様である。勿論、その次に行われる漂白、特に多段漂白工程の途中、あるいは多段漂白の最終段で、本発明の目的を損なわない範囲で酵素処理を複数回繰り返し実施してもよい。
【0018】
この場合の漂白は、特に限定されるものではないが、通常は少なくとも3段以上の多段漂白に供される。例えば、塩素(C)、苛性ソーダ(E)、次亜塩素酸塩化合物(H)、二酸化塩素(D)、酸素(O)、過酸化水素(P)、オゾン(Z)、有機過酸等の公知の漂白薬品を組み合わせてなるシーケンス、具体例として、C/D−Eo−H−D、D−Eop−D、あるいはD−E−D等が例示される。
【0019】
本発明が所望する目的、効果を達成するためには、前述された如き酵素処理、漂白処理された白色パルプが塗被紙を構成する全パルプの60重量%以上となるように配合する必要がある。因みに、60重量%未満の場合には、十分な耐ブリスタ適性を得ることが難しくなる虞れがある。勿論、上記の特定パルプ以外に、通常の晒クラフトパルプ、機械パルプ、脱墨パルプ等を本発明の効果を損なわない範囲で使用できる。
【0020】
而して、上記の如き特定のパルプを用いて抄紙用紙料を調成する方法としては、特に限定されるものではないが、一般の紙料調成と同様に酵素処理パルプが単独、あるいは他の木材繊維パルプ等と混合されてシングルディスクリファイナ、ダブルディスクリファイナ、あるいはビータ等の叩解機により適宜叩解される。この場合の叩解の度合いはカナダ標準濾水度(CSF)で示される値で550〜300mlの範囲となるように叩解される。
【0021】
また、紙料中にはタルク、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム等の填料の他に、一般に紙料調成時に添加される各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性、あるいは両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤が適宜添加される。さらには、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
【0022】
本発明では、上記のようにして調成された紙料を用いて、通称ギャップフォーマといわれる、所謂ツインワイヤで構成される脱水工程を配備した抄紙機(以後、ギャップフォーマ型抄紙機と称す)を用いて、抄紙するものである。このギャップフォーマ型抄紙機は、特に高速抄紙(1000m/分以上での抄紙が可能)が可能で、しかも前述したように紙料を2枚のワイヤに挟んで、その両側より脱水して紙層が形成されるために均一な地合が得られ易く、塗被紙に仕上げた場合には良好な平滑性が得られるといったような特徴を有する。
【0023】
一方、前記したように、ギャップフォーマ型抄紙機を使用して得られた原紙は紙層内部の層間強度が弱く、このような原紙を用いてオフセット輪転(以後、オフ輪と称す)印刷用塗被紙とし、特に加圧処理に熱キャレンダ、例えば熱ソフトキャレンダに通紙して加温、加圧処理して平滑化仕上げを行うとブリスタが発生し、商品価値を落とすといった問題がある。
【0024】
しかしながら、上記特定の酵素で処理され、次いで漂白された白色パルプを主成分とする紙料を用いて、上記の如きギャップフォーマ型抄紙機で高速抄紙し、次いで得られた原紙に顔料と接着剤を主成分とする水性塗被組成物(以後、塗料と称す)を塗被、乾燥して塗被層を設けた後、熱ソフトキャレンダに通紙して平滑化仕上げされた塗被紙は、ブリスタが殆ど発生せず、しかも極めて優れた平滑性および高光沢を呈し、優れた印刷用塗被紙であることがわかった。
【0025】
このように、本発明ではギャップフォーマ型抄紙機で高速抄紙して得られる原紙に塗料を塗工、乾燥して塗被層を設けた後、熱キャレンダ仕上げが施されるものであるが、通常は塗工に先だって、該原紙に各種サイズプレス装置やロールコータを用いて適宜接着剤等を塗布して表面処理を行って、紙力の補強を図ったり、あるいは顔料と接着剤を主成分とする塗料をロールコータやブレードコータ等で予備塗工した原紙等用いることも可能である。さらには、塗工前の原紙をオンラインソフトキャレンダを使用して予め平滑化しておくことは、塗工後の塗被層を均一化する上で特に好ましい。
【0026】
次いで、塗料の主成分となる顔料および接着剤について述べる。先ず、顔料としては、通常の塗被紙製造分野で使用される顔料が適宜使用できる。具体的には、カオリン、クレー、焼成カオリン、無定形シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、プラスチックピグメント等のうち1種以上を適宜混合して使用される。
【0027】
前記顔料と併用される接着剤も通常の塗被紙製造分野で使用される接着剤が適宜使用でき、例えば澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス等が単独、あるいは2種以上が併用して用いられる。なお、接着剤の配合量は顔料に対し、固形分対比で5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%で調節される。
なお、塗料中には顔料や接着剤の他に、一般塗被紙の製造分野で使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を適宜添加することもできる。
【0028】
上記材料をもって構成される塗料は、一般に固形分濃度を30〜70重量%程度に調整され、前述した原紙上に片面当たり乾燥重量で2〜40g/mとなるように、1層または複層に分けてブレードコータ、エアーナイフコータ、ロールコータ、ブラシコータ、チャンプレックスコータ、バーコータ、グラビアコータ等の各種公知公用の塗工装置により塗被、乾燥される。
なお、複層に分けて塗工層を設ける場合には最終製品の品質特性等を考慮して、上層と下層の顔料や接着剤の原材料を替えたり、配合比率等を適宜変更することもできる。
【0029】
本発明では、上記のようにして得られた塗被紙を通常100℃〜300℃に加熱された金属ロールと弾性ロールよりなる熱ソフトカレンダーに通紙して加圧仕上げを行うものであるが、キャレンダのニップ圧力、ニップ数等については特に限定されるものではない。なお、表面を硬質クロムメッキ等で鏡面仕上げされた金属ロール等を使用すると、より一層効果的である。
【0030】
また、熱ソフトキャレンダの金属ロールと対をなして使用される弾性ロールの材質については特に限定されるものではないが、一般にウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリレート樹脂等の、高温や高圧で耐久性を示す樹脂ロールが好ましく利用される。また、樹脂ロールの硬度としては、優れた表面平滑性を得る上から、ショアD硬度で85度以上のものが好ましく使用される。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を示す。
【0032】
実施例1
(パルプの製造)
国内産広葉樹チップ70%、ユーカリ材25%、オーク材5%からなる混合チップを原料として、クラフト蒸解液を使用し2ベッセル型連続ダイジェスタで有効アルカリ添加率16%、ダイジェスタ温度160℃、蒸解時間120分でクラフト蒸解を行い、カッパ価20の未晒パルプを得た。この未晒パルプを、酸素添加率2.0%、アルカリ添加率0.7%、パルプ濃度10%、処理温度105℃、処理時間30分にて、中濃度酸素脱リグニン装置で酸素脱リグニン処理を行った。この酸素脱リグニン処理したパルプをパルプ濃度10%に調整した後、希硫酸を加えてPH8.2に調整し、濾紙分解活性を有さずキシラン分解活性だけを有する酵素(商品名:パルプザイムHC、ノボノルディスク社製)を2U/絶乾パルプg添加した後、60℃で100分処理した。さらにこの酵素処理後のパルプを表1に示した条件で多段漂白を行い晒広葉樹クラフトパルプを製造した。
【0033】
(原紙の製造)
上記の晒広葉樹クラフトパルプ90%と晒針葉樹クラフトパルプ10%からなるパルプ濃度4%のスラリをダブルディスクリファイナを用いてカナダ標準濾水度(以下CSF)が500mlとなるように叩解した。叩解後のパルプスラリに、填料としてタルクを紙灰分が7%になるように添加し、さらに内添サイズ剤としてロジンサイズ剤(商品名:サイズパインE、荒川化学社製)0.7%および硫酸アルミニウム2%をパルプ絶乾重量に対して添加し紙料を調成した。この紙料を用いてギャップフォーマにて速度1200m/分で抄紙した。さらに2本ロールサイズプレス装置で、6%濃度の酸化澱粉(商品名:エースA/王子コーンスターチ社製)液を固形分で2g/m(両面)となるように塗布、乾燥して米坪68g/mの塗被紙用原紙を得た。
【0034】
(塗料の調製)
カオリン(商品名:UW90/EC社製)30部、重質炭酸カルシウム(商品名:FMT−90/ファイマテック社製)70部からなる顔料および分散剤(商品名アロンA9/東亜合成社製)をコーレス分散機を用いて分散し、顔料スラリーを得た。このスラリに酸化澱粉糊液(商品名エースA、王子コーンスターチ社製)3部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:SN−113/住化A&L社製)11部を添加し、固形分60%の塗料を調整した。
【0035】
(塗被紙の製造)
このようにして調製した塗料を前述の塗被紙用原紙上に、片面当たり15g/mとなるようにブレードコータで両面塗工を行った。
得られた両面塗被紙を180℃に加温した金属ロールと樹脂ロールよりなる熱ソフトキャレンダに、線圧200kg/cmの加圧条件で、片面が金属ロール、樹脂ロールにそれぞれ2回づつ接触するように合計4ニップの通紙を行い、印刷用塗被紙を得た。
【0036】
実施例2
多段漂白を表2に示す条件で行った以外は、実施例1と同じ方法で印刷用塗被紙を得た。
【0037】
実施例3
酸素脱リグニン処理後パルプをパルプ濃度10%に調整した後、希硫酸を加えてpH7.0に調整し、濾紙分解活性を有さずキシラン分解活性だけを有する酵素(Bacillus sp.2113(FERM P−14638)株が生産したキシラナーゼ)を2U/絶乾パルプg添加した後、60℃で120分間処理を行った以外は、実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
【0038】
実施例4
実施例1において、塗工前に金属ロールと樹脂ロールよりなる表面温度100℃のソフトキャレンダに、線圧200kg/cmの加圧条件で、片面が金属ロール、樹脂ロールにそれぞれ1回ずつ接触するように合計2ニップの通紙を行った原紙を使用した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
【0039】
実施例5
実施例1において、使用する酵素としてJXL86(昭和電工社製)を2U/絶乾パルプg添加した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
【0040】
比較例1
実施例1において、素処理を施さなかった以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
【0041】
比較例2
実施例4において、塗工後熱ソフトキャレンダの代わりに、表面温度25℃の金属ロールとコットンロールからなるスーパーキャレンダに線圧200kg/cmの加圧条件で、片面が金属ロール、樹脂ロールにそれぞれ5回ずつ接触するように合計10ニップの通紙を行った以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
【0042】
比較例3
実施例1において、原紙の抄造を長網抄紙機を用いて抄速500m/分で抄紙して得た原紙を使用した以外は実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
【0043】
かくして得られた各塗被紙について、下記に示す品質評価を行い、その結果を表3に示した。
【0044】
〔光沢度〕
JIS−P8142に準拠して測定した。
【0045】
〔剛度(紙腰)の測定〕
クラーク剛度試験機(熊谷理機工業社製)を用いてJIS−P−8143のA法に準拠して測定した。
【0046】
〔目視平滑性〕
塗被紙の表面平滑性を目視により下記標準で判定した。
◎ :非常に良好 ○ :良好 △ :やや劣る
【0047】
〔印刷光沢〕
RI印刷機(明製作所社製)を使用し、オフセット用インキ(Graf−G墨/大日本インキ化学工業製)0.4ccを用いて塗被紙表面を印刷し、印刷後の表面光沢を目視判定した。
◎ :非常に良好 ○ :良好 △ :やや劣る
【0048】
〔耐ブリスタ適性〕
RI印刷機(明製作所社製)を使用し、オフセット用インキ(Graf−G墨/大日本インキ化学工業製)1ccを用いて塗被紙表面を両面印刷し、印刷後のサンプルを加温したシリコーンオイルに浸漬し、ブリスタ発生の有無を観察した。なお、シリコーンオイルの温度は5℃単位で昇温し、最初にブリスタが発生した温度を耐ブリスタ適性の指標とした(即ち、この温度が高い程耐ブリスタ適性が優れる)。
【0049】
【表1】
Figure 0003610686
【0050】
【表2】
Figure 0003610686
【0051】
【表3】
Figure 0003610686
【0052】
【発明の効果】
表3の結果から明らかなように、本発明の方法で得られた印刷用塗被紙は、表面光沢、印刷光沢、平滑性、および耐ブリスタ適性に優れ、かつ剛度が高く、印刷適性の極めて優れる塗被紙であった。

Claims (1)

  1. 木材繊維パルプを主成分とする紙料を用いてギャップフォーマ型抄紙機で抄紙して得られた原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする水性塗被組成物を塗被、乾燥して塗被層を設けた後、熱ソフトキャレンダに通紙して平滑化仕上げを行う印刷用塗被紙の製造方法において、該木材繊維パルプがキシラン分解活性を有し且つ濾紙分解活性を有しない酵素で処理されたパルプを全パルプの60重量%以上含むことを特徴とする印刷用塗被紙の製造方法。
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