JP4448544B2 - 新聞用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、新聞用紙に関する。さらに詳しくは、例えばコールドセット型インキを使用した高速オフセット輪転印刷等に特に好適な新聞用紙に関する。
配達業務負荷の軽減や配送費用の低廉化、資源の有効活用のために、日々大量に使用される新聞用紙やフリーペーパー等の印刷用紙においては、軽量化が望まれ、特に近年の新聞用紙では、坪量が36〜50g/m2といった軽量なものが主体となっている。
ところが、このような軽量化や資源の有効利用に伴い、古紙の使用割合が増大することから、得られる新聞用紙の白紙不透明度や印刷不透明度が低下してしまう。そこで、この不透明度低下対策として、通常原料パルプに無機填料が配合されるが、かかる無機填料の増配により、やはり新聞用紙の表面強度の低下や、紙粉の発生等のトラブルが生じている。
一般に、脱墨古紙パルプ等の古紙パルプは、一度抄紙、カレンダー処理され、市場での使用後に回収された古紙から再生したパルプであるため、パルプ繊維が損傷して繊維が短く、クッション性が低くなっている。そのため、古紙パルプを多く配合した新聞用紙は密度が高く、クッション性が低い用紙となり、インキセット性やインキ着肉性の低下、表面強度の低下による紙粉の発生のほか、これらに起因するインキ濃度の低下を招く。特に新聞用紙においては、構成原料が近似であり、資源のリサイクルの面で最も効率よい新聞古紙が多量に使用されるため、このような問題が発生しやすい。
新聞古紙由来の脱墨古紙パルプは、新聞用紙中に含有される填料由来の微細な無機物を多く含有し、脱墨工程における脱墨処理や洗浄工程を経ても、原料パルプ繊維に根強く固着した微細な無機微粒子が残存している。近年の幾度となく繰り返されるリサイクル処理において、このような残存無機粒子の含有割合がさらに多くなり、白抜けや、表面強度の低下による紙粉の発生、印刷操業性、色ずれ等の印刷適性の低下、印刷不透明度の低下といった問題の原因となっている。
そこで、このような問題を解決する技術として、例えば特許文献1には、従来の金属ロールで構成されるカレンダーを、弾性ロールと金属ロールとの組合せからなるソフトカレンダーに替え、金属ロール(ヒートロール)の温度を20〜150℃に調整して平坦化処理することで、紙粉の発生量が少ないオフセット印刷用新聞用紙を製造する方法が記載されている。しかしながら、このような物理的な平坦化処理は、用紙の剛度を低下させ、新聞用紙としての取り回しを悪化させ、読者にとって新聞用紙が扱い難くなるとともに、新聞用紙表面が緻密になることで、新聞用インキの吸収乾燥性を阻害し、インキ汚れや裏移りの問題を惹き起こしてしまう。
一方、原紙表面に単に澱粉(表面処理剤)を塗布する技術では、例えば2.0g/m2を超える澱粉塗布量が必要であり、このように多量に澱粉を塗布すると、オフセット印刷における湿水によりネッパリが生じ、新聞用紙がブランケットから剥離し難くなって作業性が低下するといった問題がある。
そこで、このような問題を解決する技術として、例えば特許文献2には、特定の重合体ラテックスを含有する新聞用紙用塗被組成物を新聞原紙に塗布することで、コールドセット型インキによる高速多色オフセット輪転印刷において、表面強度、インキ着肉性、インキセット性等のオフセット印刷適性と、引張強度(特に湿潤引張強度)とに優れ、かつこれらオフセット印刷適性と引張強度とのバランスがよい新聞用紙用塗被組成物及び新聞用紙を得る技術が開示されている。これは、一般にラテックスは被膜性が高いため、新聞用紙表面の強度を高め、コールドセット型インキを用いて印刷を行った際に、インキを新聞用紙表面に留め、インキ着肉性、インキセット性等のオフセット印刷適性を得ようとするものである。しかしながら、従来の新聞用紙に比べ格段に被膜形成性の高いラテックス被膜を有する新聞用紙は、オフセット印刷時のコールドセット型インキ付与量を絞る(付与量を少なくする)対応を高速多色オフセット輪転印刷機にて行わなければ、新聞印刷におけるコールドセット型インキのインキセット性が充分に進まず、反って低下し、擦れ汚れや、インキの裏移りといった問題を惹き起こしてしまう。よって、従来の慣用的な高速多色オフセット輪転印刷と異なる印刷機の設定を行うことが必要になり、反って印刷作業性の低下や、印刷不良を招いてしまう問題を有する。
特開2002−285496号公報 特開平6−123099号公報
本発明は、前記背景技術に鑑みてなされたものであり、例えば抄速1300m/分以上といった高速抄造が可能であり、白抜けや、表面強度の低下による紙粉の発生、印刷操業性、色ずれ等の印刷適性の低下、印刷不透明度の低下といった従来の問題が改善され、かつ、近年主流となっている、コールドセット型インキを使用した、例えば17〜20万部/時といった高速でのオフセット輪転印刷に好適な新聞用紙を提供することを目的とする。
本発明は、
JIS P 8124に準拠した坪量が36〜50g/m2の新聞用紙であって、
原料パルプとして、脱墨古紙パルプが全パルプ成分を基準として30〜100質量%含有され、
原料パルプ中に、填料として、体積平均粒子径が3〜7.6μmで、かつ、粒子径が1〜30μmの粒子の割合が80質量%以上の水和珪酸と体積平均粒子径が1.0〜10.0μmの毬栗炭酸カルシウムとが内添され、該水和珪酸と毬栗炭酸カルシウムとの割合(水和珪酸:毬栗炭酸カルシウム(質量比))が20:80〜95:5であり、
JIS P 8251に準拠して測定した灰分が7〜17質量%であり、該灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)が、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型又はリン酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤からなる脱墨剤或いは該アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを併用してなる脱墨剤により7.5質量%以下に調整されたことを特徴とする、新聞用紙
に関する。
本発明によれば、例えば抄速1300m/分以上といった高速抄造が可能であり、坪量が36〜50g/m2と小さく、軽量であるにもかかわらず、コールドセット型インキを使用した、例えば17〜20万部/時といった高速での多色オフセット輪転印刷に供した場合であっても、印刷操業性が良好で、高いインキ濃度及びインキ着肉性を有しながら、インキセット性も良好で、色ずれの問題が生じず印刷適性に優れるだけでなく、白抜けや、表面強度の低下による紙粉も発生せず、しかも高い印刷不透明度が維持された新聞用紙が提供される。
(実施の形態)
本発明の新聞用紙は、填料として水和珪酸及び毬栗炭酸カルシウムが内添されており、坪量が36〜50g/m2のものである。
まず、本発明に用いられる原料パルプについて説明する。本発明の新聞用紙の原紙を構成するパルプには、脱墨古紙パルプを少なくとも用いる。
脱墨古紙パルプの使用は環境保全の面から好ましく、新聞用紙においても、資源の有効利用という観点から、近年特に脱墨古紙パルプの利用、高配合化が求められている。ところが一方、脱墨古紙パルプの増配は、一般に所定の表面強度を確保することが困難になるとともに、インキセット性、インキ着肉性等の印刷適性を低下させてしまう。すなわち、脱墨古紙パルプは、一度抄紙され、カレンダー処理され、市場での使用後に回収された古紙から再生したパルプであるため、パルプ繊維が損傷して繊維が短く、クッション性が低くなっている。そのため、脱墨古紙パルプを多く配合した新聞用紙は密度が高く、クッション性が低い用紙となり、インキセット性やインキ着肉性の低下、表面強度の低下による紙粉の発生のほか、これらに起因するインキ濃度の低下を招く。
特に脱墨古紙パルプの中でも、新聞古紙が脱墨処理された脱墨古紙パルプを使用することが、構成原料が近似であり、資源のリサイクルの面で最も効率よいが、新聞古紙中には、繰り返しリサイクルされた脱墨古紙パルプが存在し、再生化処理の繰り返しにより、パルプ繊維の劣化が進むため、新聞用紙の不透明度が低下するだけでなく、脆くなり、紙粉や粉落ち、用紙表面の繊維がオフセット印刷ブランケットに取られるといった問題が生じる。
ところが本発明の新聞用紙には、水和珪酸が含有され、しかも用紙表面において、特定の粒子径を有する水和珪酸粒子の所定領域における面積割合が高く調整されており、かつ、用紙中の灰分量及び該灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)が、それぞれ特定範囲内に調整されているので、たとえ脱墨古紙パルプを多量に配合した場合であっても、インキセット性やインキ着肉性の低下、表面強度の低下による紙粉の発生のほか、これらに起因するインキ濃度の低下を招くといった従来の問題が解決され、しかも高い印刷不透明度が維持される。
本発明に用いられる脱墨古紙パルプとしては、例えば茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、更紙古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙等から製造される離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白脱墨古紙パルプ等があげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明において、新聞用紙の軽量化及び資源の有効利用という点から、前記脱墨古紙パルプは全パルプ成分を基準として30〜100質量%、好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%含有される。
新聞用紙の構成成分であるパルプとして、本発明の目的を阻害しない限り、前記脱墨古紙パルプのほかにも、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ;広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ等の化学パルプ等の、公知の種々のパルプがあげられ、これらの中から1種又は2種以上を適宜選択し、その割合を調整して使用することができる。
なお、化学パルプを製造する際の漂白方法についても特に限定がないが、漂白工程で塩素ガスのような分子状塩素を使用せずに漂白した無塩素漂白(ECF)パルプ、さらには二酸化塩素のような塩素化合物も一切使用せずに漂白した無塩素漂白(TCF)パルプが、環境保全の点から好ましい。
本発明の新聞用紙を構成する原紙を得るには、前記原料パルプとともに填料が用いられ、該填料として水和珪酸及び毬栗炭酸カルシウムが内添される。
従来、特に不透明度の向上効果が高い水和珪酸を凝集させ、凝集剤や凝結剤として原料パルプ繊維に固着させる方法が採用されているが、これは、新聞用紙の均質な不透明度、印刷不透明度、コールドセット型インキによる印刷適性を阻害することが見出されている。そこで、本発明では不透明度の向上効果が高い水和珪酸が、填料として原料パルプに内添されている。
本発明では、例えば、珪酸アルカリ水溶液に鉱酸を添加して珪酸アルカリ水溶液を中和し、さらに析出した水和珪酸に対し、最初に珪酸アルカリ水溶液に分散させた粒子と少なくとも同モル以上の鉱酸を添加して製造された、反応後乾燥段階を経ない水和珪酸を好適に使用することができる。
本実施の形態においては、前記反応後乾燥段階を経ない水和珪酸を用い、JIS P 8251に準拠して測定した灰分を7〜17質量%とし、該灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)を7.5質量%以下とすることで、高速での多色オフセット輪転印刷に供した場合であっても、印刷操業性が良好で、高いインキ濃度及びインキ着肉性を有しながら、インキセット性も良好で、色ずれの問題が生じず印刷適性に優れるだけでなく、白抜けや、表面強度の低下による紙粉も発生せず、しかも高い印刷不透明度が維持された新聞用紙を得ることができる。
さらに詳しくは、例えば、SiO2/R´2O(モル比、R´はNa又はKを示す)が2.0〜3.4の範囲にある珪酸アルカリ水溶液(珪酸ナトリウム水溶液又は珪酸カリウム水溶液)に、硫酸等の鉱酸を添加し、珪酸アルカリ水溶液を中和する。鉱酸は1回で添加しても複数に分割して添加してもよい。複数に分割して添加する場合、1回目の鉱酸の添加は珪酸アルカリ水溶液の温度が20〜60℃の範囲で行われ、珪酸アルカリ水溶液を中和させるのに必要な鉱酸量の10〜50質量%を添加する。さらに珪酸アルカリ水溶液を、85℃以上かつ水溶液の沸点未満の範囲まで昇温した後、必要に応じて熟成時間を設け、その後2回目以降の鉱酸を一度に、あるいは連続的に添加する。添加後、必要に応じて熟成時間を設けてもよい。
前記のごとき方法にて製造された水和珪酸には、さらに鉱酸を添加してもよく、このとき水和珪酸を含むスラリーのpHを4〜6の範囲に調整することが好適である。
水和珪酸は、その製造工程で反応を終えた工程では、水和珪酸の1次粒子が小さく、粒子径は比較的揃っているものの、反応後の安定期においては1次粒子の形では存在しておらず、凝集して2次粒子を形成している。また製品化の工程における乾燥処理を経ると、2次粒子が凝集塊を形成し、さらに粗大粒子が生じる場合がある。理由は定かではないが、スラリー状態の水和珪酸は、一部シリカ原子を有さず、−SiOHの形で遊離しており、2次元的な構造部分が網管となり表面が多孔性を呈している。これに対して、乾燥した水和珪酸は、SiO2の四面体が基本構造になり、酸素を共有して3次元の網目構造を呈する。したがって、水和珪酸を一度乾燥させた場合には、表面の−SiOHによるセルロース繊維との結合力が減少するので、反応を終えた水和珪酸は、スラリー状態のままで、乾燥処理を施さずに湿式粉砕を行い、安定期に生じた過大な2次凝集体の細分化を図ったうえで、填料として原料パルプに添加することが、例えば抄速1300m/分以上といった高速抄造が可能であり、かつ、例えば17〜20万部/時といった高速オフセット輪転印刷にも対応しながら、軽量であり、紙粉の発生もなく、不透明度、特に印刷不透明度に優れた本発明に基づく新聞用紙を得るのに好適である。
前記湿式粉砕を経ても残留する過大な水和珪酸の凝集塊を除去したり、レーザー解析法による、水和珪酸の体積平均粒子径を37.6μmに、かつ粒子径が1〜30μmの水和珪酸粒子の割合を80質量%以上に容易に調整するには、前記湿式粉砕に次いで分級処理を施すことが好ましい。
レーザー解析法による水和珪酸の体積平均粒子径が3μm未満では、抄紙工程における脱水処理での流失が多くなり、白水中に多く残留し、他の異物と結合して設備の汚損や毀損の原因となる。逆に該体積平均粒子径が7.6μmを超えると、新聞用紙表面に凝集塊として点在する様相を呈し、新聞用紙表面の強度低下、紙粉の発生、不透明度、特に印刷不透明度の低下を招く。したがって、本発明にて填料として用いる水和珪酸は、レーザー解析法による体積平均粒子径が3μm以上、好ましくは4μm以上であ、また7.6μm以下であるので、例えば抄速1300m/分以上といった高速抄造が可能であり、かつ、例えば17〜20万部/時といった高速オフセット輪転印刷にも対応しながら、軽量であり、紙粉の発生もなく、不透明度、特に印刷不透明度に優れた新聞用紙を得ることができる
さらに、レーザー解析法による粒子径が1〜30μmの水和ケイ酸粒子の割合を80質量%以上、好ましくは82質量%以上とすること、すなわち粒子径をシャープにすることで、紙層中における水和ケイ酸の分散性を高め、均質な紙層を形成することができる。これにより、新聞用紙表面の強度を向上させ、紙粉の発生を抑制し、同時に不透明度、特に印刷不透明度を向上させることができる。なお、レーザー解析法による粒子径が1〜30μmの水和珪酸粒子の割合をできる限り100質量%に近づけることが好ましいものの、微細な1次粒子の集合体である水和珪酸を工業的に生産するにあたり、100質量%とすることは困難であり、製造コストの点から、粒子径が1〜30μmの水和珪酸粒子の割合は多くとも実情95質量%程度である。
なお、本明細書において、レーザー解析法とは、サンプル10mgをメタノール溶液8mlに添加し、超音波分散機(出力:80W)で3分間分散させた分散溶液について、粒径分布測定装置(レーザー方式のマイクロトラック粒径分析計、日機装(株)製)にて解析する方法をいう。
また本発明に用いられる前記反応後乾燥段階を経ない水和珪酸は、JIS K 5101−13−1に記載の「顔料試験方法−第13部:吸油量−第1節:精製あまに油法」に準拠した吸油量が150ml/100g以上、さらには160ml/100g以上であることが好ましく、また250ml/100g以下、さらには240ml/100g以下であることが好ましい。該水和珪酸の吸油量が150ml/100g未満であると、不透明度の低下や、オフセット印刷での滲みが大きくなる恐れがあり、一方250ml/100gを超えると、印刷インキ中のビヒクル成分が用紙内部に浸透し、例えば17〜20万部/時といった高速オフセット輪転印刷にも対応しながら、軽量であり、紙粉の発生もなく、不透明度、特に印刷不透明度に優れた新聞用紙を製造するにあたり、優れた印刷濃度が得られ難くなる恐れがある。
本発明においては、例えば前記のごとく反応後乾燥段階を経ずに得られた水和珪酸を、あらかじめ3質量%以下の濃度に希釈し、その希釈液を原料パルプ中に内添して抄紙することが好ましい。
反応後乾燥段階を経ずに得られた水和珪酸は、高剪断速度で見かけ粘度が低下する特性(チキソトロピック性)を有し、水和珪酸の2次凝集体や凝集塊に対して剪断力を与えると、凝集が壊れ、次々と小さな凝集粒になる。この剪断力により小さな凝集粒を得るため、かつ水和珪酸の2次凝集体や凝集塊による問題を発生させないようにするためには、水和珪酸をあらかじめ、好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは2.8質量%以下の濃度に希釈、分散させたうえで、原料パルプ中に内添することが望ましい。なお、既存設備の分散能力、2次凝集体に対する剪断力を効果的に付与すること、分散後の水和珪酸の粒度分布をブロードにさせないという点から、水和珪酸の濃度が1質量%以上となるように、あらかじめ希釈することが、例えば抄速1300m/分以上といった高速抄造において好ましい。
さらに、このような小さな凝集粒の再凝集化を防止するために、反応後乾燥段階を経ない水和珪酸の希釈液はスクリーン前段で原料パルプに添加することが好適である。
本発明では、前記水和珪酸のほかに、填料として、例えばカルサイト系炭酸カルシウムやアラゴナイト系炭酸カルシウムが毬栗状に凝集又結晶化した毬栗炭酸カルシウムが用いられるが、この他にも、一般的な炭酸カルシウム、クレー、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、珪酸、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、サチンホワイト等の無機填料や有機填料といった、通常の製紙用填料を使用することができる。本発明では、原料パルプとして古紙パルプ用いられるので、毬栗炭酸カルシウムは、その特異な形状により繊維間に間隙を設けやすく、また、繊維間に留まりやすいため、特に本発明における、抄速1300m/分以上といった高速抄造において好ましい。
炭酸カルシウムを填料として用いた場合、そのバッファー効果によって紙面pHは7〜9になり、紙面pHが中性あるいはアルカリ性の場合、酸性の場合と比べて繊維1本1本が充分に伸びているので、繊維相互が水素結合を形成する領域が増加する。したがって、灰分が酸性新聞用紙と同程度の場合には、中性新聞用紙の紙力の方が高くなり、この結果、坪量が36〜50g/m2と低い新聞用紙であっても、高速オフセット輪転印刷に耐え得る充分な強度が得られるが、特に、毬栗炭酸カルシウムを水和珪酸とともに填料として用いた場合には、用紙構造がさらに嵩高になり、新聞用紙にクッション性が付与され、例えばコールドセット型インキの着肉性がより向上するほか、白紙不透明度、印刷不透明度、印刷適性等がさらに向上するといった利点がある。
また、水和珪酸単体の白色度は、通常新聞用紙の原紙中でその寄与が比較的低いが、前記毬栗炭酸カルシウムを併用することで、結果として新聞用紙の白色度が向上する。
前記毬栗炭酸カルシウムは、水酸化カルシウムに二酸化炭素含有気体を反応させ、例えば紡錘型や柱状の安定なカルサイト型結晶構造の炭酸カルシウムや、準安定なアラゴナイト型結晶構造の炭酸カルシウムを得る過程において、二酸化炭素含有気体の供給方法を調整したり、脱水、乾燥、熱処理を施す際に、例えば縮合リン酸あるいはその金属塩等の添加剤を添加することで紡錘型や柱状の結晶構造が凝集・結晶化して得られる。
カルサイト系炭酸カルシウムの場合には、カルサイトが他の結晶構造よりも安定であるので、天然にも石灰石として産出されている。また人工的には、例えば天然の石灰石を高温で酸化カルシウムと二酸化炭素とに分解し(不純物の除去作用あり)、酸化カルシウムを水に入れて水酸化カルシウムとした後(消和)、これに、下記反応式のごとく条件(温度、濃度、撹拌の程度)を制御しながら二酸化炭素を吹き込むことで、カルサイト系炭酸カルシウムを得ることができる。
Ca(OH)2+CO2→CaCO3+H2
またアラゴナイト系炭酸カルシウムの場合も、カルサイト系炭酸カルシウムの製法とほぼ同じであり、その生成時の反応条件を調整することにより、アラゴナイト系炭酸カルシウムを得ることができる。例えば下記反応式のごとく、苛性化反応槽で、消石灰と水とを用い、攪拌翼を取り付けた攪拌機で攪拌混合して石灰乳を調製し、炭酸ソーダの添加速度、添加時間、温度条件を適宜調整して苛性化反応をさせて得られる。
Na2CO3+CaO+H2O→CaCO3+2NaOH
本発明に用いられる毬栗炭酸カルシウムは、前記JIS K 5101−13−1に記載の方法に準拠した吸油量が150〜250ml/100g、BET比表面積が50〜150m2/g、及び体積平均粒子径(2次粒子径)が1.0〜10.0μmであることが好ましい。
毬栗炭酸カルシウムの吸油量が150ml/100g未満であると、例えばコールドセット型オフセット印刷での白紙不透明度の低下や滲みが大きくなる恐れがあり、一方250ml/100gを超えると、印刷インキ中のビヒクル成分が用紙内部に浸透し、優れた印刷濃度が得られ難くなる恐れがある。したがって、毬栗炭酸カルシウムの吸油量は、150ml/100g以上、さらには160ml/100g以上であることが好ましく、250ml/100g以下、さらには240ml/100g以下であることが好ましい。
また、毬栗炭酸カルシウムのBET比表面積が50m2/g未満であると、凝集構造における空隙が減少するため、インキ吸収性が低下する恐れがあり、一方150m2/gを超えると、填料分散液の希釈粘度が高くなって操業性が低下したり、例えば取り込んだコールドセット型オフセットインキの乾燥性が低下し、擦れ汚れや印刷の裏移りが生じる恐れがある。したがって、毬栗炭酸カルシウムのBET比表面積は、50m2/g以上、さらには70m2/g以上であることが好ましく、また150m2/g以下、さらには130m2/g以下であることが、例えば抄速1300m/分以上といった高速抄造が可能であり、かつ、例えば17〜20万部/時といった高速オフセット輪転印刷にも対応しながら、軽量であり、紙粉の発生もなく、不透明度、特に印刷不透明度に優れた新聞用紙を提供するにおいて好ましい。
なお、本明細書において、毬栗炭酸カルシウムのBET比表面積は、全自動BET比表面積測定装置(型番:フロソーブ2300、(株)島津製作所製)にて測定した値をいう。
また、前記毬栗炭酸カルシウムは、1次粒子が例えば100nm以下のものであるが、その体積平均粒子径(2次粒子径)が1.0μm未満であると、填料として添加した際に、用紙を構成するパルプ繊維間の空隙内部に入り込みやすくなり、かかる毬栗炭酸カルシウムが有する、用紙構成を嵩高にする効果が発揮され難くなり、結果として印刷適性が低下する恐れがあるほか、毬栗炭酸カルシウムの空隙量が低下してインキを保持し難くなり、インキが原紙内部や極端な場合裏面に浸透して印字濃度の低下や印刷裏抜けが発生する恐れがある。一方、毬栗炭酸カルシウムの体積平均粒子径(2次粒子径)が10.0μmを超えると、パルプ繊維との接触面積が少なくなり、その結果、抄紙段階や印刷段階で紙粉が発生したり、印刷適性の低下が生じる恐れがあるほか、毬栗炭酸カルシウムの脱落による紙紛や印刷不良の原因となる恐れがある。したがって、毬栗炭酸カルシウムの体積平均粒子径は、1.0μm以上、さらには1.8μm以上であることが好ましく、また10.0μm以下、さらには9.6μm以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、毬栗炭酸カルシウムの体積平均粒子径は、前記レーザー解析法にて測定した値をいう。
さらに、毬栗炭酸カルシウムのアスペクト比(粒子の長径と短径との比(長径/短径))は、新聞用紙の不透明度及び印刷適性のさらなる向上の点から、3.5以下、さらには3.4以下であることが好ましく、また新聞用紙の品質低下を充分に抑制する点から、1.5以上、さらには2.0以上であることが好ましい。
なお、特に毬栗炭酸カルシウムといった炭酸カルシウムを填料として用いる場合、紙に効率的に分散させるためには、該炭酸カルシウムをあらかじめ、7.5質量%以下、さらには7.0質量%以下の濃度に希釈したうえで、原料パルプ中に内添することが好ましい、また紙への歩留りという点から、炭酸カルシウムの濃度が5.5質量%以上、さらには6.0質量%以上となるように、あらかじめ希釈することが好ましい。
炭酸カルシウムの希釈濃度が7.5質量%を超えると、原料パルプ中への均一な分散が行われ難くなり、逆に5.5質量%未満では、原料パルプへの填料分散液量が多くなって操業性が悪くなるとともに、原料パルプとの接触頻度が減少し、歩留低下の要因となる。
また、添加される原料パルプスラリーの濃度によっては、原料パルプとの混和において、原料パルプ繊維により、ビーズミルが如く填料凝集体に対して過度の物理的分散力が付加されるため、原料パルプスラリーは低濃度であることが好ましく、かつ填料自体が自ずと分散し易い環境下にて添加することが好ましい。したがって、本発明においては、完成チェスト、種箱前のファンポンプサクション側、最も好適には種箱前のファンポンプサクションに、インラインで、原料パルプスラリーが0.5〜5.0質量%、好適には1.5〜3.0質量%の濃度で填料を添加することが望ましい。
本発明において、填料として水和珪酸と毬栗炭酸カルシウムと併用され、印刷適性、嵩高及び紙力をバランスよくさらに向上させ、低コスト化を図るためには、水和珪酸と毬栗炭酸カルシウムとの割合(水和珪酸:毬栗炭酸カルシウム(質量比))が20:80以上、好ましくは40:60以上であ、また95:5以下、好ましくは80:20以下である。
また、実際の紙の製造においては、古紙パルプの使用、マシン白水の循環使用等により、原料パルプ中に添加した填料以外の、例えば古紙由来の填料等が、必然的に紙中に抄き込まれる。紙中での填料の平均粒子径は、添加する前のスラリーにおける平均粒子径よりも小さくなる。その理由は、抄紙前の調成工程、抄紙工程、乾燥工程において、撹拌力や、乾燥による収縮の影響を受けることによる。したがって本発明では、後述するように、抄紙が完了した後の新聞用紙表面の粒子径及び粒度分布が一定の範囲に制御されている。
前記原料パルプに対する填料の添加量は、填料を用いたことによる、不透明度、特に印刷不透明度を維持しながら、印刷操業性や印刷適性を向上させる効果を充分に発現させるには、本発明においては、JIS P 8124に準拠した坪量が36〜50g/m2の新聞用紙において、JIS P 8251に準拠して測定した灰分が7〜17質量%となるように、古紙由来の灰分に加え、新たに填料を添加することが好ましい。
本発明の新聞用紙を構成する原紙を得るには、前記原料パルプに、水和珪酸を含む填料を、好ましくは、前記のごとき反応後乾燥段階を経ずに得られた水和珪酸をあらかじめ3質量%以下の濃度に希釈した希釈液を含む填料を添加し、例えば好適にはpH6.0〜10.0の中性〜アルカリ性となるようにpH等の条件を調整して、長網型抄紙機、ツインワイヤー型抄紙機等の通常の抄紙機にて抄紙する方法を採用することができる。
さらに前記抄紙の際には、例えば、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料等の通常の抄紙用薬品を、必要に応じて適宜添加することもできる。
本発明においては、新聞用紙の原紙を得る際、原料パルプの調製段階で凝結剤を添加し、さらに該原料パルプの調製段階に続く抄紙工程前段でパルプスラリーに凝集剤を添加することが、パルプ懸濁液中に混在する微細な無機粒子の凝集を推進し、さらに原料パルプに無機粒子を付着させて填料歩留りを向上させることができ、濾水性が向上してウェットエンドの安定性が得られるので好ましい。
特に、機械パルプや該機械パルプの割合が高い古紙パルプを原料パルプとして用いる場合には、パルプ表面が比較的高いアニオン性を呈するので、パルプの調製段階で凝結剤を添加し、さらに該パルプの調製段階に続く抄紙工程前段で凝集剤を添加することが、パルプ繊維間に、物理的、化学的に填料を付着させて填料歩留りを向上させたり、濾水性の向上によりウェットエンドの安定性を得ることができ、例えば抄速1300m/分以上といった高速抄造が可能である点から好適である。
前記のごとく原料パルプの調製段階で添加することが好ましい凝結剤としては、例えばポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(ポリダドマック、PDADMAC)、ポリアミン(PAm)、ポリエチレンイミン(PEI)等の有機高分子系凝結剤や、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム等の無機系凝結剤があげられる。これらの中でも、PAM、PDADMAC、PAm及びPEIの少なくとも1種を用いることが好ましい。
前記有機高分子系凝結剤は、例えば水和珪酸と超微粒子(粒子径が100nm未満)2次粒子の集合体の炭酸カルシウムとを併用した場合、該水和珪酸をパルプ中に留め、濾水性を向上させることができるという点から、その電荷密度が3meq/g以上、さらには10meq/g以上であることが好ましい。かかる電荷密度が3meq/g未満の場合、パルプのカチオン要求量を所定値まで上昇させるには有機高分子系凝結剤の添加量を多くしなければならず、コストが高くなり、新聞用紙の地合(シートフォーメーション)が低下する恐れがある。また有機高分子系凝結剤の平均分子量は70万〜130万、さらには80万〜120万であることが好ましい。かかる平均分子量が70万未満では、凝集力が弱く、例えば水和珪酸や毬栗炭酸カルシウムの湿紙への定着が不充分となり、その結果、目的とする効果の向上が望めない恐れがあり、一方130万を超えると、凝集力が強すぎるため、新聞用紙の紙合が低下し、紙合を良好に維持するためには添加量を少なくしなければならず、やはり目的とする効果の向上が望めない恐れがある。
有機高分子系凝結剤の添加量は、カチオン要求量低減率と、有機高分子系凝結剤添加後の紙料濾液のカチオン要求量とが満足されるように調整することが好ましい。したがって、有機高分子系凝結剤の添加量は、後述する無機系凝結剤の添加量にも左右されるが、パルプに対して固形分で1000〜4000ppm、さらには1200〜3800ppmであることが好ましい。かかる有機高分子系凝結剤の添加量が1000ppm未満では、その効果が不充分となる恐れがあり、一方4000ppmを超えると、紙の地合が低下し、コストも上昇する恐れがある。
また無機系凝結剤の添加量は、パルプに対して固形分で0.1〜5.0質量%、さらには0.1〜3.0質量%であることが好ましい。
なお、前記凝結剤の中でも特にカチオン性凝結剤を用いる場合には、その添加量は、パルプに対して純分で50〜400ppm、さらには100〜300ppmであることが好ましい。かかるカチオン性凝結剤としては、後述する凝集剤と同様の高分子化合物、すなわちカチオン性水溶性重合体又は共重合体を使用することができるが、その分子量が小さいものを用いることが好ましい。すなわち、カチオン性凝結剤としては、平均分子量が100万〜120万であり、かつカチオン性単量体の割合が5〜100モル%、さらには10〜100モル%のカチオン性水溶性重合体又は共重合体を使用することができる。かかるカチオン性凝結剤の代表例としては、例えばPAm、PEI等があげられる。カチオン性凝結剤の平均分子量が100万未満であると、該カチオン性凝結剤を用いた効果が充分に発現されない恐れがあり、一方120万よりも大きくても、所望の効果の向上があまり望めず、コスト高となる恐れがある。
本発明においては、前記したように、原料パルプの調製段階で凝結剤を添加することが好ましいが、例えば、前記パルプ及び填料、並びに必要に応じて填料処理剤、内添サイズ剤、定着剤、歩留り向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤、消泡剤等の各種製紙助剤等は、配合チェストで混合されて完成原料となる。したがって、配合チェストからマシンチェストの間で凝結剤が添加されることが好ましく、該凝結剤を完成原料に充分に混合するには、配合チェストへ添加することがより好ましい。
次に、凝集剤として、特に後述するカチオン性凝集剤を用いる場合には、原料パルプ調製の初期段階、すなわちパルプスラリーに対して早い段階で前記凝結剤を添加することが好ましい。そしてその後、凝集剤を抄紙工程前段、すなわち抄紙網前のヘッドボックスにおいてパルプスラリーに添加することが最適である。かかる添加手順を採用すると、抄紙原料が抄紙網にのる前のスラリー溶液状態において、凝結剤の凝集効果により、パルプ繊維と水和珪酸や好適に併用される毬栗炭酸カルシウムとの付着性が高まるとともに、抄紙網では凝集剤の凝集効果により、パルプ繊維と水和珪酸や毬栗炭酸カルシウムとの付着性がより強固となる。その結果、これら水和珪酸や毬栗炭酸カルシウムの紙中への歩留りがさらに向上する。そして、このような添加手順を採用した場合には、水和珪酸や好適に併用される毬栗炭酸カルシウムの歩留りのさらなる向上とともに、スムーズな抄紙作業が進行するといった効果も発現される。
前記凝集剤としては、アニオン性を呈するパルプや填料に対してカチオン性凝集剤が特に好適である。かかるカチオン性凝集剤としては、例えば平均分子量が800万〜1200万、さらには850万〜1100万であり、かつカチオン性単量体の割合が5〜100モル%、さらには10〜100モル%のカチオン性水溶性重合体又は共重合体を使用することができる。かかるカチオン性凝集剤の代表例としては、例えばPAM等があげられる。カチオン性凝集剤の平均分子量が800万未満であると、該カチオン性凝集剤を用いた効果が充分に発現されない恐れがあり、一方1200万よりも大きくても、所望の効果の向上があまり望めず、コスト高となる恐れがある。
凝集剤の添加は、前記したように、抄紙工程前段、すなわち抄紙網前のヘッドボックスにおいて行われることが特に好ましい。これにより、抄紙網において欠損する水和珪酸や毬栗炭酸カルシウムの量を格段に低減させることができる。
また凝集剤の添加量は、パルプに対して純分で100〜150ppm、さらには120〜140ppmであることが好ましい。凝集剤の添加量が100ppm未満であると、水和珪酸や毬栗炭酸カルシウムの歩留り向上効果が充分に得られない恐れがあり、一方150ppmを超えると、新聞用紙の地合が低下する恐れがある。
さらに本発明の新聞用紙を製造する際には、複数の紙料を調製して種箱に供給する前に、各紙料のスラリーをオンラインのカチオンデマンド測定装置に供して測定したカチオンデマンド測定値に基づき、調製段階にて添加する凝結剤の添加量を制御することもできる。
このように、オンラインで凝結剤の添加量を制御することで、最適なカチオンデマンドによる電位制御が可能である。特に、迅速なカチオンデマンド測定値をフィードバックし、これを制御することが可能であり、抄紙機のワイヤーパートでの濾水性の安定化を図ることができるとともに、ウェットパートでの断紙の低減のみならず、得られる新聞用紙の地合を良好に維持することができる。
なお、前記カチオンデマンドとは、アニオン物質が有する総電荷のことである。また、アニオン物質(アニオントラッシュ)とは、負(マイナス)に帯電した物質であり、パルプ(微細繊維を含む)、填料(水和珪酸や好適に使用される毬栗炭酸カルシウム等)、各種ウェットエンド製紙助剤(その他の填料、填料処理剤、内添サイズ剤、消泡剤等)、樹脂ピッチ、溶出リグニン等のことである。
アニオン物質にカチオン性凝結剤を添加し、凝結させたものに、アニオン性(もしくはカチオン性)凝集剤を添加することで、凝結したアニオン物質が凝集し、フロックを形成する。かかるメカニズムの下で、主に、ピッチをパルプに吸着させて極小な状態で紙料とともに工程を通過させるか、系外に排出させ、ピッチ濃度の低減を図ることができる。これにより、汚れ、欠陥、断紙等を減少させることができ、生産性のさらなる向上が可能となる。またアニオン物質での中和により、歩留りのさらなる向上が可能となり、アニオン物質が凝集し、フロックを形成すると、濾水状態が良好になる。かかる理由により、濾水状態に関しては、カチオンデマンド(又はその量)が低いことが好ましい。
なお、前記のごときオンラインのカチオンデマンドを測定する装置の代表例としては、カチオンデマンド測定装置(型番:PCT15又はPCT20、mutek社製)があげられる。該カチオンデマンド測定装置では、紙料を試験機のセル中に導入すると、上下ピストンの稼動にてセルシリンダーとピストンとの間にサンプル液の流れが生じ、コロイド粒子の表面電荷の歪みによって電気が生じる。パルプ懸濁液中のコロイド状溶解物質粒子は、イオンにより電気を帯びており、これを利用することでチャージ要求量を高分子電解質測定によって測定する。
かくして抄紙工程を経て本発明の新聞用紙が得られるが、本発明においては、さらに新聞用紙の表裏面に、例えば水溶性高分子化合物からなる表面処理剤が塗布されることが好ましい。
このように、表面処理剤が用紙表裏面に塗布されることにより、例えばコールドセット型オフセットインキのビヒクル分が素早く吸収され、輪転機の高速化や両面カラー用タワープレス機の使用によって印刷インキ量が増加しても、充分な吸収乾燥性が発現され、優れた印刷不透明度、印刷適性等を確保することができる。
本発明において填料として用いられる水和珪酸や毬栗炭酸カルシウムと水溶性高分子化合物との組合せが好適であるのは、水溶性高分子化合物、例えば澱粉及び/又はポリビニルアルコール(以下、PVAという)が、例えばゲートロール塗工適性に優れ、耐老化性が高く、フィルム形成能に優れるからである。
さらに、本発明で好適に利用可能な水和珪酸や毬栗炭酸カルシウムは、元来比表面積が大きく、高い吸油性を示すことから、コールドセット型オフセットインキを用いた場合、用紙表面にインキが留まり易くなり、吸収乾燥性のコールドセット型オフセットインキにより、重ね合わせ時に対向する用紙面にインキが裏写りする問題が生じる場合があり、水溶性高分子化合物との併用により、コールドセット型オフセットインキの乾燥性と裏移りの問題を改善する効果も発現する。
本発明に好適な水溶性高分子化合物としては、例えば澱粉、PVA等があげられ、これらは単独で又は同時に用いることができる。
前記澱粉の種類には特に限定がないが、例えば変性澱粉は、紙中に浸透しながら、引張り強度や表面強度を向上させる効果を有するものの、中性又はアニオン性を示すため、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が低く、被膜性が低い。したがって、本発明では、アニオン性を呈するパルプ繊維表面への定着性が高いカチオン性の澱粉を用いることが好ましい。カチオン性の澱粉の場合には、パルプ繊維に対する定着性が高く、被膜性に優れ、また表面強度も向上する。
さらに前記澱粉としては、エステル化澱粉がより好ましい。エステル化澱粉を用いた場合には、インキ濃度及びインキセット性が飛躍的に向上する。かかるエステル化澱粉を得る際の原料澱粉としては、例えば未処理澱粉、処理澱粉のほか、各種澱粉含有物があげられる。このような原料澱粉の代表例としては、例えば小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、甘薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、モチトウモロコシ粉、高アミロース含量トウモロコシ澱粉等の未処理澱粉;小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンフラワー、米粉等の澱粉含有物に、酸化、酸処理化等を行った処理澱粉等があげられる。これらの中でも、タピオカ澱粉は、エステル変性物が、粘性、被膜性、弾力性、伸展性の面でほかの穀物澱粉類よりも優れる点で好ましい。
前記エステル化澱粉において、そのエステル化度には特に限定がないが、導入されるエステル結合の平均数で、グルコース単位あたり1〜3、さらには1〜2であることが好ましい。中でも、エステル変性された澱粉の末端基に疎水性基を導入した、疎水性基含有エステル変性タピオカ澱粉を使用することが最適である。
さらに本発明で好適に使用することができるエステル化澱粉としては、末端基にカルボン酸「−COOH」構造を有し、中性領域において「−COO−」のようにイオン化することで、水素結合による繋がりを確保することができずに反発性を示すことに基づく、チキソトロピカルな挙動を示すエステル変性澱粉が、新聞用紙表面への塗布時は流動性を示しながら、塗布後は用紙中に浸透し難く、用紙表面に高い被膜性を呈する点から好ましい。特に後述する被膜性の高いPVA等と併用することによって、原料パルプに添加する填料である水和珪酸が多量に用いられるとしても、インキ濃度やインキセット性のさらなる向上が図られる。このようなエステル化澱粉としては、タピオカ澱粉を主原料にエステル変性させた1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉が特に好ましい。1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉は、粘性、被膜弾力性、被覆性の点で特に優れており、例えば後述するPVAと併用することにより、印刷操業性及び被覆性と、インキ濃度及びインキセット性とのさらなる向上を図ることができる。
なお、本発明に用いられる澱粉としては、平均分子量が60万〜300万、さらには80万〜280万のものが、用紙表面の被覆性とインキ成分を用紙表面に留めながら、溶媒成分を紙中に取り込み吸収乾燥性を向上させるという点から好ましい。
また前記澱粉としては、粘度(10%)が30×10-3Pa・s以下、さらには15×10-3〜25×10-3Pa・sのものが、用紙表面において、粘度が高いことから紙中に浸透せず、紙表面に留まることができるという点から好ましい。
前記したように、水溶性高分子化合物としては、澱粉のほかにも例えばPVAがあげられる。一般にPVAを単独で新聞用紙の表裏面に塗布した場合には、澱粉を単独で塗布した場合と比べて、略3倍の表面強度を示し、被膜性に優れる反面、かかる被膜性が高いために、コールドセット型インキのように、用紙中に溶媒が浸透して乾燥する印刷インキを用いると、印刷インキの溶媒の吸収性が低く、充分なインキセット性が得られない恐れがある。またPVAを単独で一定量塗布しようとすると、該PVAを含む処理液の粘性が高く、例えばフィルムトランスファー方式では、断紙、抄紙設備の汚れ、粕、紙面の汚れ等が生じる場合がある。ところが、このようなPVAを澱粉と併用することで、印刷インキの溶媒の用紙中への浸透を適度に促しながら、インキ填料成分を用紙表面に留める被膜性が向上するとともに、インキセット性の低下も充分に抑制される。
PVAの種類には特に限定がなく、本発明で用いることができるPVAには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAのほかに、末端をカチオン変性したPVAやアニオン性基を有するアニオン変性PVA等の変性PVAも含まれる。
ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のPVAとしては、平均重合度が300〜3000、さらには1000〜2400、特に1700〜2000のものが、澱粉との相溶性に優れ、均質な被膜が得られやすいという点から好ましい。
また通常のPVAとしては、ケン化度が80〜100のものが好ましく、ケン化度が90〜100の完全ケン化PVAがより好ましい。完全ケン化PVAを用いた場合には、部分ケン化PVAを用いた場合よりも、新聞用紙表面に、耐水性や耐熱性を有する被膜がより得られやすい。
このようなPVAを用いると、澱粉との親和性がよく、短時間で澱粉とPVAとのブレンドが可能であり、操業性をさらに向上させることができるとともに、塗布設備においてミストの発生を低減させることができる。
以上の特性を有するPVAを用いることにより、高いインキ濃度を得ながら、オフセットインキの高いインキセット性を実現することができる。また、印刷後に新聞用紙を積層した際に、裏面へのインキ転写を充分に防止することもできる。
澱粉とPVAとを併用する場合、両者の割合(澱粉:PVA(固形分質量比))は、10:0.8〜10:2.0、さらには10:0.9〜10:1.2であることが好ましい。澱粉に対するPVAの割合が10:2.0を上回ると、両者を含んだ表面処理剤の粘性が急激に上昇するため、塗布ムラやミストが発生し、塗布品質の低下や設備周辺の汚損が生じる恐れがあり、一方10:0.8を下回ると、澱粉とPVAとの相溶性には問題がないものの、新聞用紙表面に塗付した際に、澱粉とPVAとの相乗効果が得られず、用紙中への浸透や塗布ムラが生じる恐れがある。したがって、両者の割合をこの範囲に設定することで、澱粉とPVAとの相乗効果を確保することができ、インキ中の填料成分を新聞用紙表面に留めることによって高いインキ濃度を発現させると同時に、インキ中の溶媒を素早く新聞用紙内部に吸収させ、早いインキセット性を発現させることができる。
新聞用紙の表裏面に塗布する表面処理剤として、前記澱粉とPVAとを併用する場合、これら澱粉及びPVAは、新聞用紙の表裏面に片面あたり0.2〜2.0g/m2、さらには0.5〜1.5g/m2の量で塗布されている(偏在している)ことが好ましい。澱粉及びPVAの量が0.2g/m2を下回ると、これら澱粉及びPVAによる充分な被膜性を得ることが困難となり、インキ中の填料成分が新聞用紙表面で留まり難く、充分に高いインキ濃度が得られない恐れがあり、一方2.0g/m2を上回ると、塗布設備周辺に澱粉及びPVAを含んだ表面処理剤のミストが多量に発生し、周辺機器を汚損するとともに、汚れに起因する断紙、用紙の欠陥が生じる恐れがある。
本発明では、パルプとして脱墨古紙パルプを多量に使用した場合であっても、填料として前記水和珪酸を用いるとともに、表裏面に澱粉、PVAといった水溶性高分子化合物からなる表面処理剤を塗布すると、多量の脱墨古紙パルプに基づく短所がカバーされ、同時にインキ濃度及び印刷適性がさらに向上するという相乗効果が発現される。
澱粉、PVAといった水溶性高分子化合物からなる表面処理剤を新聞用紙の表裏面に塗布する際には、例えばゲートロールコータ、ブレード等のフィルムトランスファー方式を採用することが好ましい。中でも、特にゲートロールコータによる塗布は、他の塗布方法と異なり、低塗布量にて新聞用紙表面に被覆性の高い輪郭塗布を施す際に最適であり、表面処理剤に急激なせん断力がかからないので、循環使用する表面処理剤の安定性に優れ、高速で均質な被膜を得ることができる。特に、チキソトロピカルなエステル変性澱粉を用いた場合には、新聞用紙表面への塗布時は流動性を示しながら、塗布後は流動性が抑制され、表面処理剤が用紙中に浸透し難く、用紙表面に留まって新聞用紙に高い被膜性が付与される。
なお、新聞用紙表裏面に、水溶性高分子化合物として澱粉及びPVAを主成分とする表面処理剤を塗布する際には、前記フィルムトランスファー方式を採用しなくとも、例えばサイズプレスやロッドメタリングサイズプレス等、従来公知の塗布手段を採用することも可能ではある。しかしながら、新聞用紙表面の凹凸に沿った輪郭塗布を施さなければ、澱粉及びPVAによる被覆性が不充分となり、例えばコールドセット型インキを使用して多色オフセット輪転印刷する場合に、インキ濃度、インキセット性、インキ着肉性等の印刷適性に充分に優れた新聞用紙が得られ難くなる恐れがある。したがって、低濃度、低塗布量にて澱粉及びPVAを主成分とする表面処理剤を新聞用紙表裏面に塗布するには、フィルムトランスファ−方式を採用することが最適である。
また本発明においては、抄紙後の新聞用紙又は表面処理剤を塗布した後の新聞用紙を、必要に応じてカレンダー装置に通紙し、加圧、平滑化処理を施して仕上げることもできる。該カレンダー装置としては、通常の金属ロールと金属ロールとの組合せによるマシンカレンダーを使用してもよいが、金属ロールと樹脂ロールとの組合せによるソフトカレンダーを使用する方が、紙層を強く加圧せずに平滑化することができ、さらに紙層強度の低下を充分に抑制することができるのでより好ましい。
なおソフトカレンダーの使用においては、新聞用紙の粗面側にあたる裏面側がソフトカレンダーの金属ロール面に先に接触するように通紙することで、平坦性及び嵩高性の向上をさらに図ることができ、例えば1300m/分以上の高速抄紙において、高い平坦性を有し、表裏差の少ない新聞用紙を得ることができる。さらに、表面処理剤の塗布量に関して、表面側よりも裏面側を多くすることにより、より良好な平坦性と嵩高性とが得られ、腰のある新聞用紙を得ることができる。
かくして得られる本発明の新聞用紙は、JIS P 8124に記載の「坪量測定方法」に準拠して測定した坪量が、36g/m2以上、好ましくは37g/m2以上であり、また50g/m2以下、好ましくは46g/m2以下の軽量なものである。かかる坪量が36g/m2未満では、不透明度や紙質強度が不充分となり、17〜20万部/時にも及ぶ近年の高速オフセット輪転印刷においては、断紙が生じやすくなるといった問題が発生する。一方、坪量が50g/m2を超えると、充分な不透明度を確保しやすくなるものの、軽量な新聞用紙として扱い難くなる。このような坪量を有する本発明の新聞用紙は、17〜20万部/時間にも及ぶ高速印刷における、断紙、白抜けや、表面強度の低下による紙粉の発生、印刷操業性、色ずれ等の印刷適性の低下、印刷不透明度の低下といった問題が解決されたものである。
また、新聞用紙中の灰分は、JIS P 8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定して、7質量%以上、好ましくは8質量%以上であり、また17質量%以下、好ましくは15質量%以下である。なおかつ、本発明の新聞用紙において、該灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)は、7.5質量%以下、好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
新聞用紙における灰分の含有量及び該灰分の構成は、高速抄造を可能にし、白抜けや、表面強度の低下による紙粉の発生、印刷操業性、色ずれ等の印刷適性の低下、印刷不透明度の低下といった従来の問題を解決するうえで重要なファクターであり、このように、灰分の含有量を7〜17質量%に、かつ、該灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)を7.5質量%以下に調整することにより、前記従来の課題が解決された本発明の新聞用紙を実現することができる。
新聞用紙中の灰分が7質量%未満では、充分な不透明度が得られ難く、裏抜けの原因となる恐れがあり、特に高白色度の場合、灰分が少なすぎると裏抜けが目立つ傾向がある。一方、灰分が17質量%を超えると、前記したように、紙質強度が低下しやすく、抄紙工程における断紙トラブルが生じ、生産性が低下するとともに、系内の汚れが生じるほか、高速オフセット輪転印刷における断紙トラブルも生じやすく、印刷操業性が低下する。
なお、新聞用紙中の灰分は、所望される新聞用紙の光学特性、必要とされる表面強度等により適宜調整することが好ましく、原料パルプに含有される灰分も考慮して、前記水和珪酸を含む填料の量を適宜調整し、内添する。該水和珪酸を含む填料の添加率があまりにも少ない場合には、填料を用いる効果が充分に発現されず、逆にあまりにも多い場合には、紙力が低下する恐れがあるので、該填料は、紙中に紙灰分として7〜17質量%、さらには8〜15質量%含まれるようにすることが好ましい。
灰分中のマグネシウム(酸化物換算によるマグネシウム)は、通常、そのほとんどがいわゆるタルク(Mg2SiO3の含水物)由来の無機物質又はタルクであり、例えば古紙パルプを原料として使用する際に、市中回収古紙に紛れて処理されるチラシや上質紙に含まれるものである。該マグネシウムは、オフセット輪転印刷において、オフセットインキの乾燥性を阻害し、部分的なインキの転写や裏移りを生じさせたり、その混入物を滑りやすくする性質から、高速輪転印刷機内で搬送トラブルや重送を起こしたり、紙粉を発生させる原因物質であると考えられている。
すなわち、例えば脱墨古紙由来の微細な無機微粒子の中でも、タルク(滑石)由来と考えられるマグネシウムの存在が、脱墨古紙由来の微細な粒子という状況ながらも、その性状である板状結晶構造により、繊維同士の絡み合いを阻害し、抄紙段階でパルプ繊維の結合力を低下させる。これと同時に、マグネシウムは屈折率が低く、親油性が高いため、不透明度、特に印刷不透明度を低下させ、コールドセット型インキによる印刷適性を低下させる要因となっている。
したがって、灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)が、7.5質量%以下、好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下となるように調整することで、得られる新聞用紙に、さらに優れたオフセット輪転印刷適性を付与することができる。
灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)は0質量%に近いほど好ましく、該マグネシウムは、フローテーション処理等の脱墨処理での脱墨フロスの抜き出し量の加減や、比較的粒度が大きいことを利用した比重差による精選処理等で除去する方法が提案されているが、実際のところ実用的ではない。マグネシウムが、多くは市中回収古紙に含まれるチラシや上質紙から混入されることを考慮すると、原料パルプとして例えば脱墨古紙パルプを用いる場合、脱墨古紙の選別が、好適なマグネシウムの含有量の調整に最も効率的かつ効果的である。
また、含有されるマグネシウムは、タルク由来によるものが主であると考えられ、タルクは他の填料と比べて親水性に劣り、親油性を有することから、脱墨工程におけるフローテーションにおいて、発泡性の高い脱墨剤を用いることでより、効率的に系外に除去することが可能である。
前記発泡性の高い脱墨剤としては、アニオン性界面活性剤が古くから使用されているが、アニオン性界面活性剤は発泡が主であり脱墨性に劣るため、疎水基の種類を取捨選択することが好ましい。選択可能な疎水基として、硫酸エステル塩型としては、例えば高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン等が、スルホン酸塩型としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、コハク酸ジエステルスルホン酸塩等が、リン酸エステル塩型としては、例えば高級アルコールリン酸エステル塩等が例示される。
また、前記アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを併用してタルクの効率的な除去と、脱墨性を維持させる方法も採用することができる。
なお本明細書において、灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)は、前記JIS P 8251に準拠して測定した灰分について、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて元素分析を行い、酸化物換算の成分分析によって求めた値をいう。
このように、用紙中の灰分量及び該灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)が、それぞれ特定範囲内に調整されているので、たとえ脱墨古紙パルプを多量に配合した場合であっても、本発明の新聞用紙では、インキセット性やインキ着肉性の低下、表面強度の低下による紙粉の発生のほか、これらに起因するインキ濃度の低下を招くといった従来の問題が解決され、しかも高い印刷不透明度が維持される。
さらに、本発明の新聞用紙では、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX、(株)日立製作所製)を用いた、X線の加速電圧が8kVで拡散領域が1μmの条件での用紙表面の面分析で、水和珪酸の凝集体粒子と分析されるケイ素の検出域の大きさにおいて、検出域に応じた粒子径が6〜20μmの凝集体粒子の所定領域における面積割合が80%以上であることが好ましい。
本発明の特徴の1つである水和珪酸の凝集体粒子と分析されるケイ素の検出域の大きさにおいて、検出域に応じた粒子径が6〜20μmの凝集体粒子の所定領域における面積割合を80%以上とする手段としては、前記した反応後乾燥段階を経ずに得られた水和珪酸を用いる手段、原料パルプに添加する前に好ましくは所定の濃度に希釈して物理的剪断力を加え、分散性を向上させた水和珪酸を原料パルプに添加する手段のほか、填料処理剤にてあらかじめ填料処理を施した水和珪酸を原料パルプに添加する手段があげられる。
本発明で好適に用いられる填料処理剤としては、アルキル基又はアルケニル基(以下、このアルキル基又はアルケニル基を単に疎水性基と称することがある)と親水性基とが、アミド結合、エステル結合及びエーテル結合よりなる群から選択される少なくとも1種により結合した化合物があげられ、例えば、いずれも星光PMC(株)製の、薬品名FM8170及び薬品名FM8171(いずれもアクリルアミド系重合物)、薬品名FM8173(スチレンアクリレート系ポリマー)があげられ、これらの中でも薬品名FM8173が、水和珪酸や炭酸カルシウムの分散性と原料パルプへの定着性とが良好であり、好適に用いることができる。
従来より、X線マイクロアナライザーを用いた用紙表面の元素分析から、存在する無機物質のマップ分析が行われているが、X線マイクロアナライザーによる一般的な元素分析では、各元素を網羅的に検出するために、X線の加速電圧を15kV以上、しいては20kV以上に設定している。ところが、このような高い加速電圧では、以下の式による拡散領域が1μmを超え、用紙の厚み方向における無機粒子の存在までもが検出されてしまうため、用紙表面のみの分析を正確に行うことができない。
ρR=0.0276E0 1.67A/Z8/9
(ただし、RはX線の拡散領域、ρは平均密度、E0は加速電圧、Aは分析部位の平均分子量、Zは平均原子番号を示す)
したがって、本発明では、前記X線の加速電圧と拡散領域との関係を鑑み、X線マイクロアナライザーを用いた、X線の加速電圧が8kVで拡散領域が1μmの条件での用紙表面の面分析で、水和珪酸の凝集体粒子と分析されるケイ素の検出域の大きさにおいて、検出域に応じた粒子径が6〜20μmの凝集体粒子の所定領域における面積割合が好ましくは80%以上となるように調整することで、目的とする新聞用紙をより容易に実現することができる。
前記6〜20μmの凝集体粒子の所定領域における面積割合が80%を下回ると、例えば抄速1300m/分以上といった高速で抄造する際に、また得られる新聞用紙を、例えば17〜20万部/時といった高速オフセット輪転印刷に供する際に、抄紙設備の磨耗や紙粉が発生するとともに、特に印刷不透明度が低下する恐れがある。したがって、該面積割合は80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。なお、6〜20μmの凝集体粒子の所定領域における面積割合はできる限り大きいことが望ましい。
また本発明の新聞用紙の紙面pHは、6.0以上、さらには6.5以上であることが好ましく、また10.0以下、さらには9.5以下であることが好ましい。例えば17〜20万部/時といった高速オフセット輪転印刷において、印刷前に紙面に塗布される湿し水が、新聞社によって変動するものの、ほぼ中性であることから、湿し水との相性を考慮し、印刷不良発現のリスクを低減させるために、かかる紙面pH範囲に調整することが好ましい。このような紙面pHを有する新聞用紙を得るには、例えば抄造pH等の条件を適宜調整すればよい。
なお本明細書において、紙面pHは、紙面用pH測定キット(共立理化学研究所製)にて、試薬(MPC−BCP:pH4.8〜6.8、MPC−CR:pH6.8〜8.8)を使用し、変色標準計で目視にて測定した値をいう。
また本発明の新聞用紙は、シートフォーメーションテスターによる地合指数が5%以上、さらには6%以上であることが好ましく、また10%以下、さらには9.5%以下であることが好ましい。本発明の新聞用紙は、主に輪転機で印刷される関係で、所定の引張り強度が必要となる。したがって、所定の縦方向の引張り強度を得るためには、地合指数が5%程度の地合いムラが生じていることが経験則から好ましい。一方、地合指数が10%を超える場合は、充分な縦方向の引張り強度が得難いとともに、例えばオフセット印刷において、特にカラー印刷において、地合いムラに沿ったインキの吸収ムラが生じ、印刷適性、特に印刷不透明度の低下に繋がる恐れがある。
なお、本明細書において、新聞用紙の地合指数とは、シートフォーメーションテスター((株)東洋精機製作所製)にて測定した値をいう。地合指数とは、光透過型の地合計であるシートフォーメーションテスターを使用して得た値である。この測定器の測定原理は原紙を透過した光をCCDカメラで各画素に分解し、各画素の吸光度のバラツキである標準偏差を平均吸光度で除したもので、「単位坪量当たりのムラの大きさ」を表わしたものである。すなわち、地合指数が大きいものほど、地合が悪いことを意味する。
本発明の新聞用紙において、水分含有量が5〜15質量%に調整された用紙表裏面に、例えば前記水溶性高分子化合物からなる表面処理剤が塗布され、該表面処理剤を塗布した後の水分含有量が8〜10質量%に調整されていることが好ましい。すなわち、例えば表面処理剤を用紙表裏面に塗布する場合、塗布前の水分含有量を5〜15質量%に調整し、ドライヤーパートを通過した後(塗布後)の最終的な水分含有量が8〜10質量%となるように抄紙することが好ましく、ドライヤーパートを出た新聞用紙はカレンダーパートを通り、カレンダー後は抄紙機の出口(リール)で巻き取られ、巻き取られた新聞用紙はワインダーで仕上げに供される。
塗布前の水分含有量を、好ましくは5〜15質量%、さらに好ましくは7〜12質量%に調整するには、例えば、プレスパートで機械的に搾水し、水分量が50〜58質量%程度となった湿紙をプレドライヤーパートに導き、プレドライヤーパートを構成しているシリンダーの内部の蒸気量、蒸気温度等を適宜設定して行う方法を採用することができる。
抄紙後の最終的な水分含有量が、好ましくは8〜10質量%、さらに好ましくは8.5〜9.5質量%となるように抄紙するには、例えば、アフタードライヤーパートでの条件を、プレドライヤーパートと同様に適宜変更する方法を採用することができる。
なお、抄紙機から排出された紙の水分及びアフタードライヤーから排出された紙の水分を管理する方法としては、例えば、オンラインBM計にて測定する方法や、抄紙機からの水分及びアフタードライヤーからの水分を実測する方法等を採用することができる。
本発明においては、例えば抄速1300m/分以上といった高速抄造が可能であり、かつ、例えば17〜20万部/時といった高速オフセット輪転印刷にも対応しながら、軽量であり、紙粉の発生もなく、不透明度、特に印刷不透明度に優れた新聞用紙を提供することを目的とするが、本来の新聞用紙に要求される基本品質を満足することはいうまでもなく、新聞用紙の印刷後の、マクベス濃度計にて測定した印刷部位のインキ濃度は、1.25以上、さらには1.27以上であることが好ましく、また1.36以下、さらには1.34以下であることが好ましい。該インキ濃度が1.25未満では、例えば新聞社における実際のオフセット輪転印刷機での印刷において、所望のインキ濃度を得難い場合があり、逆に1.36を超えると、インキ濃度は充分なものの、印刷不透明度の低下と、裏移りの問題が生じる可能性がある。
前記インキ濃度の調節は、例えば、表面処理剤として用いられる、前記澱粉、PVAといった水溶性高分子化合物のケン化度や重合度、これらの使用量を適宜調整することにより行うことができる。
なお、本明細書において、印刷後の印刷部位のインキ濃度とは、以下のインキ濃度試験にて求めた値をいう。
(インキ濃度試験)
RI印刷適性試験機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)を使用し、金属ロールとゴムロールとの間隙に、オフセット印刷インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製、インキ使用量:0.85ml)を塗布した後、30rpmの速度で印刷し(試験片:CD方向50mm、MD方向100mm)、恒室状態(JIS P 8111に記載の「紙、板紙及びパルプ−調湿及び試験のための標準状態」に準拠)で24時間乾燥する。この印刷サンプルについて、無作為に選択した印刷部位25箇所のインキ濃度をマクベス濃度計にて測定し、これらの平均値を求める。
また新聞用紙の白色度は、JIS P 8212に記載の「パルプ−拡散青色光反射率(ISO白色度)の測定方法」に準拠して測定して、55%以上、さらには55.5〜58%であることが好ましい。かかる白色度が55%未満であると、印刷前の白紙外観が低下するだけでなく、オフセット印刷後、特にカラー印刷後の印刷物の見映えも低下する恐れがある。
新聞用紙の白紙不透明度は、JIS P 8149に記載の「紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)」に準拠して測定して、88%以上、さらには90〜94%であることが好ましい。かかる白紙不透明度が88%未満であると、印刷前の白紙外観が低下するだけでなく、オフセット印刷後の印刷物の見映えも低下する恐れがある。
なお、本発明の新聞用紙に印刷を施した後の印刷不透明度は、前記白紙不透明度よりも0.5%以上、さらには0.8〜2.0%高いことが好ましい。
さらに、本発明の新聞用紙は、JIS P 8118に記載の「厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した密度が0.63〜0.90g/cm3程度であり、JIS P 8119に記載の「紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して測定したベック平滑度が41〜65秒程度であることが、高速オフセット輪転印刷における印刷適性、印刷操業性をさらに向上させることができる点で好ましい。
次に、本発明の新聞用紙を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
調製例1〜及び比較調製例1〜4(水和珪酸の調製)
二酸化ケイ素(シリカ)換算における濃度を195g/Lに調整した珪酸ナトリウム水溶液2500L、清水4800L及び無水硫酸ナトリウム130kgを、容積10m3の反応槽へ投入した。
反応槽内の溶液温度を50℃とした後、攪拌しながら、珪酸ナトリウムを中和するのに必要な全硫酸量の32.5質量%に相当する硫酸(濃度:20質量%)410Lを12分間かけて連続添加した。硫酸添加後、反応溶液を攪拌しながら35分間かけて90℃まで昇温し、その後90℃のままで10時間熟成した。
次いで残りの硫酸(濃度:20質量%)850Lを、25分間かけて連続的に添加した。さらに温度を維持しながら20分間熟成を行った。その後硫酸を連続的に添加し、スラリーのpHを5.2に調整した。このpHを調整したスラリーをろ過洗浄後、湿式粉砕及び分級処理を順に行い、水和珪酸(2次凝集体)を得た。
なお、以上の製造手段を踏襲しながら、初期珪酸ナトリウム水溶液の濃度、珪酸ナトリウムと硫酸とのモル比、反応温度、添加する薬品の添加速度や量を適宜変更、調整し、表1に示す番号1〜及び比1〜比4の水和珪酸を得た。比較調製例1〜4では、さらにスプレードライ方式の乾燥機にて乾燥処理を行い、乾燥処理を施した水和珪酸(2次凝集体)を得た。
得られた2次凝集体からなる水和珪酸を前記レーザー解析法にて解析し、体積平均粒子径及び粒子径が1〜30μmの水和珪酸粒子の割合(表1中、粒子割合と示す)を測定した。その結果を表1に示す。
また、JIS K 5101−13−1に準拠して、得られた水和珪酸の吸油量を測定した。その結果を表1に示す。
さらに、得られた水和珪酸を清水にて希釈し、表1に示す濃度の希釈水を調製した。
実施例1〜及び比較例1〜4(新聞用紙の製造)
表2に示す割合で脱墨古紙パルプ(離解・脱墨古紙パルプ)及び機械パルプ(TMP)を配合し、これに表3に示す填料(品種A及び品種B)を、パルプ1トンあたり表3に示す量で添加した。さらに表4に示す凝結剤(品種a及び品種b)を添加してパルプスラリーを得た。なお、実施例1〜で用いた脱墨古紙パルプは、脱墨剤により灰分中のマグネシウムの含有量を調整したものである。
次いで、得られたパルプスラリーに、表4に示す凝集剤を添加し、長網型抄紙機にて抄速1300m/分で抄紙して用紙を製造した。この用紙の表裏面に、表5に示す水溶性高分子化合物を、表5に示す塗工方式で、表5に示す片面塗布量(水溶性高分子化合物全量)となるように塗布し、新聞用紙を得た。
なお、表3に示す填料の割合(品種A:品種B(質量比))は、JIS P 8251に準拠して得られた灰分を試料として、電子線ブローブマイクロアナリシス法により、500倍画像で無作為に選択した10箇所について、酸化物換算におけるシリカとカルシウムとの割合を測定し、これら10箇所の測定結果を平均して求めた。測定は、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX、(株)日立製作所製)及び電子顕微鏡((株)島津製作所製)を用い、加速電圧8kVの条件にて行った。
また、表3に示す填料、表4に示す凝結剤及び凝集剤、並びに表5に示す水溶性高分子化合物は、それぞれ以下のとおりである。
(填料)
毬栗:毬栗炭酸カルシウム
重質:重質炭酸カルシウム
紡錘型:紡錘型炭酸カルシウム
(凝結剤)
PEI:ポリエチレンイミン
PVAm:ポリビニルアミン
PDADMAC:ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド
PAm:ポリアミン
(凝集剤)
PAM:ポリアクリルアミド
(水溶性高分子化合物)
エステル化澱粉:1−オクテニルコハク酸エステル化澱粉
Figure 0004448544
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Figure 0004448544
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得られた新聞用紙について、以下の方法にて各物性を測定した。これらの結果を表6に示す。
また、市販の新聞用紙A〜Cを比較例5〜7とし、同様に各物性を測定した。これらの結果も併せて表6に示す。なお、これら市販の新聞用紙A〜Cに配合されている填料の種類は、以下に示すとおりである。
填料の種類
新聞用紙A:水和珪酸
新聞用紙B:紡錘型炭酸カルシウム
新聞用紙C:水和珪酸
(a)坪量
JIS P 8124に準拠して測定した。
(b)紙面pH
紙面用pH測定キット(共立理化学研究所製)にて、試薬(MPC−BCP:pH4.8〜6.8、MPC−CR:pH6.8〜8.8)を使用し、変色標準計で目視にて測定した。
(c)灰分
JIS P 8251に準拠して測定した。
(d)灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)
前記JIS P 8251に準拠して測定した灰分について、X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX・S−2150、(株)日立製作所/(株)堀場製作所製)にて元素分析を行い、酸化物換算の成分分析によって求めた。
(e)地合指数
シートフォーメーションテスター((株)東洋精機製作所製)にて測定した。
(f)白色度
JIS P 8212に準拠して測定した。
(g)印刷不透明度
JAPAN TAPPI 紙パルプ試験方法No.45(2000)に記載の「新聞用紙−印刷後不透明度試験方法」に準拠し、オフセット輪転印刷機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)で、オフセット輪転印刷用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)のインキ量を変えて、18万部/時の速度で印刷し、印刷面反射率が10%のときの、印刷前の裏面反射率に対する印刷後の裏面反射率の比率:
(印刷後の裏面反射率/印刷前の裏面反射率)×100(%)
を求めた。なお、これら反射率の測定には、分光白色度測色機(スガ試験機(株)製)を用いた。
(h)インキ濃度
RI印刷適性試験機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)を使用し、金属ロールとゴムロールとの間隙に、オフセット印刷インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製、インキ使用量:0.85ml)を塗布した後、30rpmの速度で印刷し(試験片:CD方向50mm、MD方向100mm)、恒室状態(JIS P 8111に準拠)で24時間乾燥した。この印刷サンプルについて、無作為に選択した印刷部位25箇所のインキ濃度をマクベス濃度計にて測定し、これらの平均値を求めた。なお、このインキ濃度が1.25未満では、例えば新聞社におけるオフセット輪転印刷において、所望のインキ濃度が出ない問題が生じる可能性があり、逆に1.36を越えると、インキ濃度は充分なものの、印刷不透明度の低下と、裏移りの問題が生じる可能性がある。
(i)粒子径が6〜20μmの凝集体粒子の面積割合
X線マイクロアナライザー(型番:E−MAX、(株)日立製作所製)及び電子顕微鏡((株)島津製作所製)を用い、X線の加速電圧が8kV、拡散領域が1μmの条件で用紙表面の面分析を行い、水和珪酸の凝集体粒子と分析されるケイ素の検出域の大きさにおいて、検出域に応じた粒子径が6〜20μmの凝集体粒子の所定領域における面積割合(500倍で撮影した用紙表面の元素分析マッピング写真を組み合わせた、1cm2の分析領域における面積割合)を求めた。
(j)水分含有量
水溶性高分子化合物を塗布する前の用紙の水分含有量及び塗布した後の新聞用紙の最終的な水分含有量を、JIS P 8127に記載の「紙及び板紙−水分試験方法(乾燥機による方法)」に準拠して測定した。なお、塗布前の水分含有量を表5に、塗布後の水分含有量を表6に示す(表6中、製品水分含有量と示す)。
次に、実施例1〜及び比較例1〜7の新聞用紙について、以下の試験例1〜5に基づいて各特性を調べた。その結果を表7に示す。
試験例1(インキセット性)
RI印刷適性試験機(型番:RI−2型、石川島産業機械(株)製)を使用し、新聞用インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)にてベタ印刷した後、コート紙を印刷面に重ねて一定圧力で圧着した。コート紙へのインキの転移状況を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:コート紙表面全体に全く汚れが生じていない。
○:コート紙表面の一部に僅かに汚れが生じているが、実用上問題がない。
△:コート紙表面全体に汚れが認められる。
×:コート紙表面全体の汚れが著しい。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例2(インキ着肉性)
オフセット印刷機(型番:小森SYSTEMC−20、(株)小森コーポレーション製)を使用し、新聞インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)にて、18万部/時の速度で連続10000部の印刷を行った。得られた印刷物について、画像の鮮明さ及び濃淡ムラを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:画像が鮮明で濃淡ムラが全くなく、インキ着肉性に優れる。
○:画像が鮮明で濃淡ムラが殆どなく、インキ着肉性が良好である。
△:一部に、画像が不鮮明な箇所及び濃淡ムラがあり、インキ着肉性が良好でない。
×:全体的に、画像が不鮮明で濃淡ムラが著しく、インキ着肉性に劣る。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例3(表面強度)
JIS K 5701−1に記載の「平版インキ−第1部:試験方法」に準拠し、転色試験機(型番:RI−1型、石川島産業機械(株)製)を使用し、インキタック18の1回刷りの条件で印刷した。新聞用紙表面の取られを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:新聞用紙表面全体に全く取られがない。
○:新聞用紙表面の一部に僅かに取られが生じているが、実用上問題がない。
△:新聞用紙表面全体に取られが認められる。
×:新聞用紙表面全体に取られが著しい。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例4(インキ吸収ムラ)
オフセット印刷機(型番:小森SYSTEMC−20、(株)小森コーポレーション製)を使用し、新聞インキ(商品名:ニューズゼットナチュラリス(墨)、大日本インキ化学工業(株)製)にて、18万部/時の速度で印刷を行った。得られた印刷物について、インキ濃度ムラを目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:インキ濃度ムラが全くなく、均一で鮮明な画像である。
○:インキ濃度ムラが殆どなく、均一な画像である。
△:一部に、インキ濃度ムラが認められ、画像が不鮮明な箇所がある。
×:全体的に、インキ濃度ムラが著しく、不鮮明な画像である。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
試験例5(印刷操業性)
(1)剣先詰まり
オフセット輪転印刷機(型番:LITHOPIA BTO−N4、三菱重工業(株)製)を使用し、50連巻きの新聞用紙にて、18万部/時の速度で印刷を行った。剣先詰まり発生の有無を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:剣先詰まりが全く発生しなかった。
○:巻き取り1本で剣先詰まりが1回しか発生しなかった。
△:巻き取り1本で剣先詰まりが2〜3回発生した。
×:巻き取り1本で剣先詰まりが4回以上発生した。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
(2)ブランケット紙粉パイリング
オフセット印刷機(型番:小森SYSTEMC−20、(株)小森コーポレーション製)を使用し、18万部/時の速度で連続5000部のカラー4色印刷を行った。ブランケット非画像部における紙粉発生・堆積の有無を目視にて観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:紙粉の発生が全く認められない。
○:紙粉の発生が僅かに認められるが、ブランケット上での堆積は全く認められない。
△:紙粉の発生が認められ、ブランケット上に堆積している。
×:ブランケット上での紙粉の堆積が著しい。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
(3)ネッパリ性(ブランケット粘着性))
新聞用紙を幅約4cm×長さ約6cmの大きさに切断したサンプル2枚を用意し、水に10秒間浸漬した後、これらサンプル2枚を素早く密着させた。これをカレンダーに線圧100kg/cmで通紙し、24時間室温乾燥した後、手作業にてサンプル2枚の剥離(Tピール剥離試験模倣官能試験)を行い、剥離の度合いを以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
◎:剥離するまでもなく、全く接着していなかった。
○:一部僅かに接着していたが、容易に剥離することができた。
△:接着しており、剥離し難い箇所があった。
×:全体的に接着しており、剥離時に接着面からの繊維の毛羽立ちが認められた。
なお、前記評価基準のうち、◎及び○の場合を実使用可能と判断する。
Figure 0004448544
Figure 0004448544
実施例1〜の新聞用紙はいずれも、特定範囲の平均粒子径及び粒子割合を有する水和珪酸が低濃度の希釈液の状態で原料パルプに内添され、また特定範囲の平均粒子径を有する毬栗炭酸カルシウムも同時に内添されており、しかも両者の割合が特定範囲内であり、灰分量が特定範囲内に調整され、かつ、該灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)が7.5質量%以下と少なく調整されている。
したがって、実施例1〜の新聞用紙はいずれも、表6及び表7に示されるように、軽量であるのは勿論のこと、白色度が高く、高い印刷不透明度が維持されていることがわかる。しかも実施例1〜の新聞用紙はいずれも、高いインキ濃度を有しながら、インキセット性及びインキ着肉性も良好で印刷適性に優れるだけでなく、表面強度が高く、紙粉の発生も全く乃至殆どなく、さらに印刷操業性にも優れ、特に高速オフセット輪転印刷に好適な優れた特性を具備したものであることがわかる。
これに対して比較例1〜4の新聞用紙はいずれも、灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)が7.5質量%よりも多いものである。したがって、比較例1〜4の新聞用紙はいずれも、白色度が不充分で、印刷不透明度も低いことがわかる。また比較例1〜4の新聞用紙はいずれも、インキセット性やインキ着肉性に劣ったり、インキ着色ムラが生じたり、表面強度が低かったり、印刷操業性に劣る等、高速オフセット輪転印刷に必要な特性を具備していないことがわかる。
また比較例5〜7の新聞用紙も、灰分量が7質量%未満と少なく、しかも該灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)が7.5質量%よりも多いため、やはりインキセット性やインキ着肉性に劣ったり、インキ着色ムラが生じたり、表面強度が低かったり、印刷操業性に劣る等、高速オフセット輪転印刷に必要な特性を具備していないことがわかる。
本発明の新聞用紙は、コールドセット型インキを使用した、例えば17〜20万部/時といった高速オフセット輪転印刷等のオフセット輪転印刷に好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. JIS P 8124に準拠した坪量が36〜50g/m2の新聞用紙であって、
    原料パルプとして、脱墨古紙パルプが全パルプ成分を基準として30〜100質量%含有され、
    原料パルプ中に、填料として、体積平均粒子径が3〜7.6μmで、かつ、粒子径が1〜30μmの粒子の割合が80質量%以上の水和珪酸と体積平均粒子径が1.0〜10.0μmの毬栗炭酸カルシウムとが内添され、該水和珪酸と毬栗炭酸カルシウムとの割合(水和珪酸:毬栗炭酸カルシウム(質量比))が20:80〜95:5であり、
    JIS P 8251に準拠して測定した灰分が7〜17質量%であり、該灰分中のマグネシウムの含有量(酸化物換算によるマグネシウム含有量)が、硫酸エステル塩型、スルホン酸塩型又はリン酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤からなる脱墨剤或いは該アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを併用してなる脱墨剤により7.5質量%以下に調整されたことを特徴とする、新聞用紙。
  2. 毬栗炭酸カルシウムのJIS K 5101−13−1に準拠した吸油量が150〜250ml/100gである、請求項1に記載の新聞用紙。
  3. 原料パルプの調製段階で原料パルプに凝結剤が添加され、該原料パルプの調製段階に続く抄紙工程前段でパルプスラリーに凝集剤が添加されてなる、請求項1又は2に記載の新聞用紙。
  4. その表裏面に、澱粉及び/又はポリビニルアルコールからなる表面処理剤が塗布されてなる、請求項1、2又は3に記載の新聞用紙。
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