JP2011042175A - 加飾シートの製造方法、加飾成形品、及び射出成形同時加飾方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 射出成形同時加飾にて、ポリオレフィン系樹脂への密着性を良くし、また、表面の透明性、耐候性に加え、耐摩耗性、耐擦傷性、リサイクル性も良くする。
【解決手段】 加飾シートSを、ポリオレフィン系樹脂の基材シート1に、順次、塩素化ポリオレフィン樹脂の接着剤層2、ウレタン樹脂のプライマー層3、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とをバインダー樹脂とする絵柄インキ層4、アルミナ粒子を添加したアクリル樹脂の第1表面保護層5、また表面平滑性が必要な場合は更に第2表面保護層6を積層した構成とする。この加飾シートで射出成形同時加飾すれば所望の加飾成形品が得られる。
【選択図】 図1
【解決手段】 加飾シートSを、ポリオレフィン系樹脂の基材シート1に、順次、塩素化ポリオレフィン樹脂の接着剤層2、ウレタン樹脂のプライマー層3、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とをバインダー樹脂とする絵柄インキ層4、アルミナ粒子を添加したアクリル樹脂の第1表面保護層5、また表面平滑性が必要な場合は更に第2表面保護層6を積層した構成とする。この加飾シートで射出成形同時加飾すれば所望の加飾成形品が得られる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、樹脂成形物、好適には特にポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物に密着良く積層できる加飾シートと、該加飾シートを用いた加飾成形品及び射出成形同時加飾方法に関する。
従来から、樹脂成形物の表面を加飾した加飾成形品が各種用途で使用されている。例えば、特許文献1、特許文献2等に開示の射出成形同時加飾方法では、樹脂成形物の成形と同時にその表面に加飾シートを積層一体化する事で、表面が加飾された加飾成形品が得られる。この様な射出成形同時加飾方法によって、加飾成形品を得る場合、一般的に使用する射出成形樹脂は、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、或いはこれらのポリマーブレンド物が主な樹脂である。この為、加飾シートも、これら樹脂に接着が良い仕様のものが一般的であった。また、加飾シートによる加飾で得られる加飾成形品に、塗装感等の意匠性を付与すると共に、耐候性、耐摩耗性等の表面物性も付与する場合は、最表面層として、透明性、耐候性等に優れたアクリル樹脂シートを使うのが一般的であった。
一方、安価なポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物の表面を加飾する場合は、予め加飾されてい無い成形物を作製し、それに対して加飾部分に、プライマー処理等の下地処理を施した後、一般的な加飾方法である水圧転写法などによって、加飾して、所望の加飾成形品とする場合がほとんどであった。
ところが、上記射出成形樹脂として列記した、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリーカーボネート樹脂等の汎用樹脂は、加工性は良いが、コストが高いと言う欠点がある。これに対して、ポリオレフィン系樹脂から成る樹脂成形物に、水圧転写法で加飾する方法は、射出成形同時加飾方法に比較して、加飾するに当たり下地処理等の工程数が増え、結果的にコストアップに繋がる方法であった。また、ポリオレフィン系樹脂はその特性上、表面が柔らかく傷付き易いという問題もあった。かと言って、上記の如き汎用樹脂から成る射出成形樹脂を前提にした従来の加飾シートでは、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性が不足した。また、基材シートにアクリル樹脂シートを用いた加飾シートでは、アクリル樹脂が高価である為、製品のコストアップにつながり、射出成形樹脂の種類(例えばポリオレフィン系樹脂)によっては、基材シートの樹脂と異なる為にリサイクル性にも劣った。
すなわち、本発明の課題は、工程的に効率的な射出成形同時加飾方法による場合でも、樹脂成形物、中でも特にポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物に密着良く加飾シートを積層して加飾して加飾成形品とすると共に、表面の透明性、耐候性に加えて、耐摩耗性、耐擦傷性を良好にする事である。また、射出成形樹脂が安価なポリオレフィン系樹脂である場合には、リサイクル性も良くなる様にする事である。
そこで、上記課題を解決すべく、本発明の加飾シートは、射出成形同時加飾に用いる加飾シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂から成る基材シートの表面に、順次、塩素化ポリオレフィン樹脂から成る接着剤層、ウレタン樹脂から成るプライマー層、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とをバインダー樹脂とする絵柄インキ層、アルミナ粒子を添加したアクリル樹脂から成る第1表面保護層を積層して成る構成とした。更に本発明の加飾シートとしては、上記第1表面保護層の上に更に、アルミナ粒子を含まないアクリル樹脂から成る第2表面保護層を積層して成る構成とするのも良い。
この様な構成とすることで、基材シートにはポリオレフィン系樹脂を使用している為に、基材シートを樹脂成形物に対する熱融着型の接着剤として使用できるので、樹脂成形物の樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合でも、密着良く積層できる。その上、加飾シート各層を特定樹脂の組合せとしてあるので、加飾シート自体の各層間の密着性、加飾シート全体としての成形性も良好となる。また、第1表面保護層の樹脂はアクリル樹脂として、なお且つ該層中にアルミナ粒子を添加してあるので、表面の透明性、耐候性に加えて、耐摩耗性及び耐擦傷性も良好にできる。また、樹脂成形物の樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、基材シートの樹脂と同類となり、異種樹脂の混入率が少なくなる為に、加飾シートで加飾した加飾成形品のリサイクル性も良くなる。そして、加飾シートを第1表面保護層の上に更に特定の第2表面保護層を更に積層して成る構成とすれば、上記の作用効果に加えて、更に表面の平滑性を付与し易くなる上、加飾シート表面へ接触した物品の摩耗を防ぐ効果も得られる。
また、本発明の加飾成形品は、ポリオレフィン系樹脂から成る樹脂成形物の表面に、前記いずれかの本発明の加飾シートが、その基材シートと樹脂成形物とが接する向きで積層一体化して成る構成とした。
この様な構成とすることで、前記した本発明の加飾シートによる効果が得られる。すなわち、加飾シートと樹脂成形物との密着性良好な上、表面の透明性、耐候性に加えて、耐摩耗性及び耐擦傷性も良好な加飾成形品となる。また、表面の平滑性や、表面へ接触する物品の摩耗を防げる加飾成形品とすることもできる。また、樹脂成形物と基材シートとが同類の樹脂となる為に、リサイクル性も良くなる。
また、本発明の射出成形同時加飾方法は、前記いずれかの本発明の加飾シートを、その基材シートと射出樹脂とが接する向きにして、雌雄両型間に挿入した後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を射出し、該樹脂を固化させた後、型開きして、樹脂成形物に前記加飾シートが積層一体化された加飾成形品を得る様にした。
この様な加飾方法とする事で、前記した加飾シートの効果が得られる。すなわち、加飾シートと樹脂成形物との密着性良好な上、表面の透明性、耐候性に加えて、耐摩耗性及び耐擦傷性も良好な加飾成形品が得られる。また、表面の平滑性や、表面へ接触する物品の摩耗を防げる加飾成形品を得ることもできる。
(1)本発明の加飾シートによれば、樹脂成形物等の被着体の樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合でも、密着良く積層できる。その上、加飾シート自体の各層間の密着性、加飾シート全体としての成形性も良好となる。しかも、表面の透明性、耐候性に加えて、耐摩耗性及び耐擦傷性も良好にできる。また、樹脂成形物の樹脂がポリオレフィン系樹脂である場合には、基材シートの樹脂と同類となる為に、加飾シートで加飾した加飾成形品のリサイクル性も良くなる。また、第1表面保護層上に更に第2表面保護層を積層した構成では、上記の作用効果に加えて、更に表面の平滑性を付与し易くなる上、加飾シート表面に接触する物品の摩耗を防げる。
(2)また、本発明の加飾成形品によれば、前記本発明の加飾シートによる効果が得られる。すなわち、加飾シートと樹脂成形物との密着性及び加飾シート内部の層間密着性が共に良好な上、表面の透明性、耐候性に加えて、耐摩耗性及び耐擦傷性も良好な加飾成形品となる。また、表面の平滑性や、表面へ接触する物品の摩耗を防げる加飾成形品とすることもできる。また、樹脂成形物と基材シートとが同類の樹脂となる為に、リサイクル性も良くなる。
(3)また、本発明の射出成形同時加飾方法によれば、上記本発明の加飾シートによる効果が得られる。すなわち、加飾シートと樹脂成形物との密着性及び加飾シート内部の層間密着性が共に良好な上、表面の透明性、耐候性に加えて、耐摩耗性及び耐擦傷性も良好な加飾成形品が得られる。また、表面の平滑性や、表面へ接触する物品の摩耗を防げる加飾成形品を得ることもできる。
(2)また、本発明の加飾成形品によれば、前記本発明の加飾シートによる効果が得られる。すなわち、加飾シートと樹脂成形物との密着性及び加飾シート内部の層間密着性が共に良好な上、表面の透明性、耐候性に加えて、耐摩耗性及び耐擦傷性も良好な加飾成形品となる。また、表面の平滑性や、表面へ接触する物品の摩耗を防げる加飾成形品とすることもできる。また、樹脂成形物と基材シートとが同類の樹脂となる為に、リサイクル性も良くなる。
(3)また、本発明の射出成形同時加飾方法によれば、上記本発明の加飾シートによる効果が得られる。すなわち、加飾シートと樹脂成形物との密着性及び加飾シート内部の層間密着性が共に良好な上、表面の透明性、耐候性に加えて、耐摩耗性及び耐擦傷性も良好な加飾成形品が得られる。また、表面の平滑性や、表面へ接触する物品の摩耗を防げる加飾成形品を得ることもできる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
加飾シート:先ず、加飾シートから説明する。
〔概要〕図1の断面図で、本発明の加飾シートの形態例を例示する。図1(A)の加飾シートSは、射出成形同時加飾に用いる加飾シートとして、ポリオレフィン系樹脂から成る基材シート1の表面側に、順次、塩素化ポリオレフィン樹脂から成る接着剤層2、ウレタン樹脂から成るプライマー層3、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とをバインダー樹脂とする絵柄インキ層4、アルミナ粒子を添加したアクリル樹脂から成る第1表面保護層5を積層して成る構成の加飾シートである。なお、第1表面保護層5の表面が粗面となって、それが意匠上好ましく無く表面の平滑性が要求される場合、或いは、加飾シート表面に接触した物品が摩耗されるのを防ぐ必要がある場合等では、図1(B)の加飾シートSの如く、図1(A)の構成に対して、更に、その第1表面保護層5上に、アルミナ粒子を含まないアクリル樹脂から成る第2表面保護層6を積層した構成とするのが好ましい。
〔基材シート〕基材シート1としては、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物に対する密着性の点で、好ましくはポリオレフィン系樹脂を用いる。但し該密着性の点で難はあるが要求物性が許せば、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いる事も可能である。
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等が使用できる。樹脂成形物と接する基材シートとして、ポリオレフィン系樹脂を使用することで、加飾シートを、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物に密着良く積層一体化できる様になる。上記各種ポリオレフィン系樹脂のなかで、どの樹脂を使用するかは、加飾シートを積層する樹脂によって適宜選択すれば良い。例えば積層対象となる樹脂が、ポリプロピレン系の場合はポリプロピレンを使用し、ポリエチレン系の場合はポリエチレンを使用するのが好ましい形態である。また、ポリオレフィン系樹脂のなかでも特にポリプロピレン又はポリエチレンは、入手容易性、汎用性、低コスト等の利点も得られる。
また、基材シートに用いるポリオレフィン系樹脂は、成形性等を適度なものとする為に、必要に応じ適宜、ゴム成分、体質顔料、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を添加したものでもよい。例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンの場合等では、ゴム成分としては、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、或いはアタクチックポリプロピレン等である。また、エチレン、プロピレンのモノマー以外に、他のポリオレフィンモノマーを共重合させたものでも良い。他のポリオレフィンモノマーとしては、例えば、α−オレフィンとしてブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン等がある。
また、ポリオレフィン系樹脂中に添加する体質顔料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ、カオリナイト等の粒径0.1〜10μm程度の粒子が用いられる。難燃剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が用いられる。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等が用いられる。また、光安定剤としては、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤等が用いられる。
また、ポリオレフィン系樹脂中には、必要に応じ適宜、着色剤を添加しても良い。着色剤を添加して着色隠蔽性を付与することで、加飾シートを積層する樹脂の色を隠蔽し且つ装飾層の下地色を整える事ができる。着色剤には、後述絵柄インキ層で列記する様な公知の着色剤を使用すれば良い。
また、基材シートは、延伸シート、未延伸シートのいずれでも良いが、射出成形同時加飾時に加飾シートが伸ばされる様に積層され、成形性が望まれる場合には、未延伸シートの方が好ましい。また、基材シートは、Tダイ押出法等の公知の成膜法によってポリオレフィン系樹脂を成膜して得ることができる。なお、基材シートの厚さは、通常20〜500μm程度である。
なお、基材シートは、ポリオレフィン系樹脂の単層又は2層以上の積層体を用いることができる。積層は、基材シートを2層構成とする場合で言えば、Tダイによる共押出法等によって直接2層を熱融着で積層しても良いが、層間に接着層を介して積層しても良い。2層構成の基材シートの例としては、例えば、接着剤層2と接する側に高価ではあるが化学的な密着性に優れる、分子中に極性官能基を有するポリオレフィン系樹脂層を配置して該接着剤層との密着を確保し、一方、樹脂成形物と接する側(こちら側は成形樹脂と熱融着する為、化学的な密着性は不必須)に廉価ではあるが化学的密着力に劣る、分子中に極性官能基の無いポリオレフィン系樹脂層を配置して射出成形同時加飾に必要な基材シートの総厚を確保しつつ価格の上昇も最低限に抑えてなる構成である。
なお、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂の分子中に極性官能基を付与する為には、オレフィン単量体とアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸とを共重合して重合体分子中にカルボキシル基を付与したり、或いは一旦、酢酸ビニルと共重合した後、鹸化して重合体分子中にヒドロキシル基を付与したりすれば良い。これら共重合成分は通常5〜25mol%程度とする。また、共重合の形態としては通常グラフト共重合であるが、その他の共重合形態でも良い。
また、基材シートを2層構成とする別の例としては、例えば、樹脂成形物側とする層は着色隠蔽層として専ら着色隠蔽付与、成形性、及び射出成形同時加飾の為に必要な厚さを確保した層として使用し、接着剤層側(表側)の層は、着色剤等を添加せず、専ら接着剤層との密着を確保した層として使用する事が出来、コストを最小限にして且つ複数の要求物性を満たすことができる。そして、上記隠蔽性によって、射出成形樹脂の色に左右されずに、加飾による色調表現を安定化できる。
また、基材シートの面は、接着剤層、樹脂成形物等の他層との密着性向上の為に必要に応じ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理を施しても良い。
〔接着剤層〕接着剤層2としては、フェノール樹脂、ブロックイソシアネート硬化型ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂も使用可能であるが、本発明では密着性、塗工適性等の点で、特に塩素化ポリオレフィン樹脂を用いて該樹脂からなる層として形成する。該塩素化ポリオレフィン樹脂としては、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を単体又は2種以上混合して使用する。特に、印刷・塗工適性が良く、且つポリオレフィン系樹脂の基材シートに対する密着性も良い点で、塩素化ポリプロピレンは塩素化ポリエチレンに比較してより優れた特性を示し、好ましい。
また、接着剤層は、更に副成分の樹脂として、石油系樹脂及びエポキシ樹脂を含有し、更に疎水性シリカを添加剤として含有した層とするのも好ましい。
上記石油系樹脂は、接着剤のタックを調整してグラビア塗工時のバックトラップを防止し、また、接着剤の加熱軟化特性を調整する。該石油系樹脂としては、公知の樹脂を使用すれば良い。例えば、クマロン・インデン樹脂、石油樹脂等である。石油樹脂としては、石油類の分解により生成する分解油留分を混合物のまま、カチオン的に重合して得られる熱可塑性樹脂を使用する。石油系樹脂の混合量は副成分樹脂としの範囲で適宜調整する。
上記エポキシ樹脂は、接着剤の耐熱性を向上させる樹脂成分であり、加熱された時に、塩素化ポリオレフィン樹脂から遊離塩素或いは塩化水素によって、加飾シートが膨れたりするのを防止する安定剤として作用する。該エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、エポキシ化大豆油等を使用する。混合量は副成分樹脂としの範囲で適宜調整する。
上記疎水性シリカは、接着剤の塗工適性を調整する。該疎水性シリカとしては、公知の物を使用すれば良い。通常、粒径は0.1〜1μm程度、より好ましくは0.2〜0.3μmであり、その添加量は塩素化ポリオレフィン樹脂100重量部に対して1〜10重量部程度であるが、必要に応じて適宜調整する。
なお、接着剤層の厚みは使用法等に応じて適宜厚さとすれば良いが、通常1〜20μm程度である。また、接着剤層の形成方法は特に限定は無いが、通常は、上記樹脂を希釈溶剤で希釈した樹脂液からなるインキ又は塗液として、グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工法により形成する。また、接着剤層中には、更に、インキ(又は塗液)の印刷(又は塗工)適性等の諸物性を調整、向上させる為に、必要に応じて、その他の副材料、例えば、体質顔料、保存安定剤等の各種添加剤を添加しても良い。
〔プライマー層〕プライマー層3は、ウレタン樹脂から成る層として形成する。プライマー層は、接着剤層と絵柄インキ層との間に介在して、これら両層間の密着性をより向上させる易接着層として作用する。すなわち、塩素化ポリオレフィン樹脂を主成分とする接着剤層2と、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合物をバインダー樹脂とする絵柄インキ層4との密着性向上には、ウレタン樹脂が好ましい。ウレタン樹脂としては、2液硬化型ウレタン樹脂、或いは熱可塑性ウレタン樹脂等を使用すれば良い。また、プライマー層は、この様な樹脂からなるインキ又は塗液で、グラビア印刷、ロールコート等の公知の印刷法又は塗工法で形成すれば良い。
例えば、2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。ポリオールとしては、分子中に2個以上のヒドロキシル基を有するもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が用いられる。また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート、或いはまた、上記各種イソシアネートの付加体、又は多量体を用いる事もできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等がある。また、熱可塑性ウレタン樹脂は、2価のポリオールと2価のイソシアネートとをウレタン結合させて得られる線状高分子からなる。
なお、プライマー層は、密着性向上の為に必要に応じて、絵柄インキ層と第1表面保護層との間等の他の層間に設けても良い。この場合は、目的とする層材料に応じて、上記ウレタン樹脂、或いはその他の樹脂を使用する。
〔絵柄インキ層〕絵柄インキ層4は、バインダー樹脂にアクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とを用いて形成する。絵柄インキ層としては、バインダー樹脂を上記特定樹脂から構成する他は、基本的には特に制限は無い。絵柄インキ層は、バインダー樹脂が上記特定樹脂からなるインキを用いて、グラビア印刷等の各種印刷法等の公知の形成法により形成する。全面に形成する場合は(全面ベタ柄)、上記インキ(塗工時はこれを塗液とも呼ぶ)を用いてロールコート等の公知の塗工法で形成することもできる。
上記アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂、或いは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとを共重合させて得られるアクリルポリオール等のアクリル樹脂を、単体又は2種以上混合して使用する。なお、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートの意味である。
また、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体としては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20重量%程度、平均重合度350〜900程度のものが用いられる。アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との混合比は、アクリル樹脂/塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体=1/9〜9/1(質量比)程度である。
この他、副成分樹脂として、必要に応じて、適宜その他の樹脂、例えば、熱可塑性ポリエステル樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン等の樹脂を併用しても良い。
絵柄インキ層は、上記特定樹脂をバインダー樹脂とするビヒクル中に、通常は着色剤を添加し、更に必要に応じその他添加剤を添加したインキを用いて形成できる。上記着色剤は公知の顔料や染料で良く、例えばチタン白、亜鉛華、カーボンブラック、鉄黒、弁柄、クロムバーミリオン、黄鉛、チタンイエロー、群青、コバルトブルー等の無機顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、イソインドリノンイエロー、ベンジジンイエロー、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料も含む)、或いは、アルミニウム、真鍮、等の鱗片状箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料等を使用できる。
また、絵柄インキ層の絵柄は、例えば、木目、石目、布目、砂目、皮絞模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、幾何学模様、文字、記号、全面ベタを1種又は2種以上を組合わせた模様等が用いられる。
なお、絵柄インキ層は装飾層の1種であるが、本発明の加飾シートとしては、この様な絵柄インキ層以外の装飾層を併用しても良い。例えば、金属薄膜、或いは、蛍光体層、防曇塗膜、磁性体層、導電性層等の機能性層等である。
〔第1表面保護層〕第1表面保護層5は、アルミナ粒子を添加したアクリル樹脂からなる層として形成する。アルミナ粒子は減摩剤として作用し、加飾シート表面の耐摩耗性を向上させる。なお、減摩剤としては、シリカ、アルミノシリケート、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ダイヤモンド、ガラス等の粒子を用いることもできるが、本発明ではアルミナ粒子を用いる。アルミナ粒子は、各種減摩剤のなかでも、耐摩耗性向上効果及びコストの点で優れている。アルミナ粒子としては、α−アルミナ等を用いる。なお、アルミナ粒子の平均粒径は、3〜30μm程度、粒子形状は、球、多面体、鱗片形等である。添加量は、樹脂分に対して5〜30質量%程度である。
上記アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂〔但し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味〕を単体又は2種以上の混合物として用いる。
第1表面保護層の形成は、アクリル樹脂を溶剤希釈し、これにアルミナ粒子を添加した塗液をロールコート等の公知の塗工法して形成したり、或いはアルミナ粒子を添加したアクリル樹脂組成物から公知の成膜法で予め成膜した樹脂シートを熱融着して積層するラミネート法等で形成したりすれば、形成できる。第1表面保護層の厚みは、通常3〜30μm程度である。
〔第2表面保護層〕第2表面保護層6は、アルミナ粒子を含まないアクリル樹脂から成る層として形成する。この第2表面保護層は、必須では無いが、この層を第1表面保護層の上に更に形成することで、加飾シート表面の平滑性が不足する場合に平滑性、更には鏡面光沢を付与したり、加飾シート表面に接触した物品が摩耗するのを防ぐ事ができる。なお、第2表面保護層の厚みは、通常3〜10μm程度である。第2表面保護層の形成は、上記第1表面保護層の形成に於いて、アルミナ粒子は無添加としたアクリル樹脂で形成すれば良い。従って、更なる説明はここでは省略する。
〔加飾シートの被着体への積層方法〕なお、本発明の加飾シートを被着体に積層する方法としては、基本的には特に制限は無く従来公知の各種積層方法を、用途に応じて採用すれば良い。例えば、例えば、(1)射出成形同時加飾方法、(2)真空成形積層方法〔特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等参照〕、(3)弾性体ローラを用いた積層方法〔ラッピング加工法(特公昭61−5895号公報、特公昭56−23771号公報等参照)も含む〕等が挙げられる。このうち(1)は、本発明の加飾方法として採用する方法であり、後で詳述する。
加飾成形品:本発明の加飾成形品は、ポリオレフィン系樹脂から成る樹脂成形物に、前述した本発明の加飾シートを、その基材シートが前記樹脂成形物に接する様にして積層一体化することで加飾された成形品である。
図2の断面図は、本発明の加飾成形品の一形態として、前述した様な構成の加飾シートとして図1(B)の構成の加飾シートSが、ポリオレフィン系樹脂から成る樹脂成形物7に積層された構成の加飾成形品Pである。なお、図2では、加飾シートSは第2表面保護層6も有するが、この層は省略することもできる。樹脂成形物を構成するポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等である。本発明の加飾成形品では、用いる加飾シートが特にポリオレフィン系樹脂に対して密着性が良くなる構成のシートであるので、樹脂成形物の樹脂は上記如きポリオレフィン系樹脂の構成が良好なる加飾シートの密着性が得られる。また、前述した加飾シートによる各種効果が得られる。
なお、加飾成形品は、通常、加飾シートの積層面が凹凸面等と非平面の立体物である。しかし、本発明の加飾成形品としては、該積層面は平面だが他の面が非平面の立体物、積層面が平面となる板状物を排除するものではない。
本発明の加飾成形品を得るには、前述本発明の加飾シートを樹脂成形物に積層する方法が好ましく、またその積層方法としては、後述する射出成形同時加飾方法が好適であるが、当該方法に必ずしも限定されるものでは無い。例えば、加飾シートの被着体である樹脂成形物(に於ける加飾シートの被着面の形状)、用意できる製造設備等に応じて、その他の適宜方法を採用しても良い。例えば、特公昭56−45768号公報(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報(真空プレス法)等に記載の所謂真空成形積層方法等でも良い。もちろん、後述本発明の射出成形同時加飾方法を採用する事が、ポリオレフィン系樹脂に対して密着良く積層して、加飾が出来、なお且つ成形と加飾とを同時に1工程で出来、生産効率も良い等の点で好ましい。
射出成形同時加飾方法:本発明の射出成形同時加飾方法は、前述した本発明の加飾シートを用いて、所謂射出成形同時加飾方法によって、樹脂成形物の表面に加飾シートを成形して積層する事で、該加飾シートが、その基材シートを樹脂成形物に接する様に、樹脂成形物の表面に積層一体化した加飾成形品を得る方法である。
なお、射出成形同時加飾方法とは、特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、加飾シートを雌雄両型間に挿入した後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を射出し固化させて、樹脂成形物の成形と同時にその表面に加飾シートを積層一体化して加飾成形品を得る方法である。
本発明の射出成形同時加飾方法は、用いる加飾シートとして前述した本発明の加飾シートを用いる事以外は、従来公知の射出成形同時加飾方法に於ける各種形態をとり得るものである。例えば、基本的には、加飾シートの予備成形を行う形態でも行わない形態でも、いずれでも良い。また、加飾シートの予熱を行っても良く、行わなくても良い。なお、予備成形時には通常は加飾シートは予熱する。
なお、もちろんの事だが、加飾シートの絞りが大きい場合は、予備成形を行うのが好ましい。一方、加飾シートの絞りが少ない場合は、射出される流動状態の樹脂の樹脂圧で加飾シートを成形しても良い。この際、絞りが浅ければ、予備成形無しで樹脂射出と同時に型内に充填される流動状態の樹脂の樹脂圧のみで加飾シートを成形しても良い。また、樹脂圧で加飾シートを成形する場合でも、加飾シートは予熱せずに射出樹脂の熱を利用する事もある。また、加飾シートの予備成形は、通常は、射出成形型を真空成形型と兼用して行うが、型間に加飾シートを供給する前に、型外部で別の真空成形型で加飾シートを真空成形する様な予備成形(オフライン予備成形)でも良い。但し、予備成形は、射出成形型と真空成形型とを兼用して行う形態が効率的且つ精度良く加飾シートを積層できる点で好ましい。しかし、予備成形済みの加飾シートを予め別の場所で纏めて製造しておく場合等では、予備成形はオフライン予備成形の形態が好ましい。なお、本発明の説明に於いて真空成形とは真空圧空成形も包含する。
ここで、射出成形同時加飾方法を、例えば、射出成形型を真空成形型と兼用して加飾シートを予備成形する形態に於ける或る一例として、工程毎に分けて述べれば、次の様な工程からなる射出成形同時加飾方法がある。すなわち、雌雄一対からなる型が型開き状態の時に雌型のパーティング面上に加飾シートを供給するシート供給工程と、前記加飾シートを雌型のパーティング面上に固定保持するクランプ工程と、前記加飾シートを延伸させて雌型のキャビティ面に沿わせる延伸工程(予備成形工程)と、雌型と雄型とを型締めする型締め工程と、雌型と雄型とで形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を注入充填し固化させて、樹脂成形物と前記加飾シートとを積層一体化させる射出工程と、雌型と雄型とを離間させる型開き工程と、樹脂成形物が加飾シートで加飾された加飾成形品を取り出す取出し工程、をこの順に行う射出成形同時加飾方法がある。
ところで、図3は射出成形同時加飾方法を或る一形態で説明する概念図である。図3に示す形態では、型締めする前に、加飾シートを型間で加熱し軟化させて射出成形型で真空成形により予備成形した後に、型締めして樹脂を射出する形態である。そこで次に、図3を用いて、射出成形同時加飾方法をより具体的に説明する。また、この形態は、前記した加飾シートの予備成形、予熱の各種組合わせ形態の中で、加飾シートの絞りが深い場合に、より好ましい形態である。なお、本発明の射出成形同時加飾方法で用いる加飾シートは、枚葉、連続帯状のどちらでも良い事はもちろんである。
先ず、図3(A)の如く、射出成形型としては、射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口(ゲート)を有する型Maと、キャビティ面に吸引孔41を有しシートの予備成形型を兼用する型Mbの一対の成形型を用いる。これらの型は鉄等の金属、或いはセラミックスからなる。型開き状態に於いて両型Ma、Mb間に加飾シートSを供給し、型Mbに加飾シートSを平面視枠状のシートクランプ42で押圧する等して固定する。この際、加飾シートの基材シート側は、図面右側の射出樹脂側を向く様にする事はもちろんである。次いで、適宜、両型間に挿入したヒータ(図示略)で加飾シートを加熱軟化させる。加熱は例えば非接触の輻射加熱とするが、接触による伝導加熱でも良い。そして、吸引孔から吸引して真空成形して、加飾シートを型Mbのキャビティ面に沿わせ予備成形する。次いで、ヒータを両型間から退避させ、図3(B)の如く両型を型締めし、両型で形成されるキャビティに加熱熔融状態等の流動状態の樹脂を充填する。そして、樹脂が冷却等によって固化した後、型開きして成形物を取り出す。そして、加飾シートの不要部分がある場合は適宜トリミングすれば、図2に例示する様な、樹脂成形物7に加飾シートSが積層された如き構成の加飾成形品Pが得られる。
〔射出樹脂〕本発明の射出成形同時加飾方法に於いて、射出成形する樹脂としては、基本的には特に制限はなく公知の樹脂で良い。製品の要求物性やコスト等に応じて選定すれば良い。例えば、熱可塑性樹脂であれば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系樹脂、或いは、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂等である。また、硬化性樹脂であれば、2液硬化型の樹脂、例えば、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の未硬化樹脂液等である。熱可塑性樹脂は加熱熔融して流動状態で射出し、また硬化性樹脂は(その未硬化物を)室温又は適宜加熱して流動状態で射出する。但し、本発明の射出成形同時加飾方法では、前述した本発明の加飾シートを使用する方法であり、該本発明の加飾シートの特徴を活かして最も効果を奏するのは、ポリプロピレン等の上記各種のポリオレフィン系樹脂である。
なお、射出樹脂は、用途に応じて適宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。着色剤には、前述絵柄インキ層で述べた如き公知の着色剤を使用すれば良い。また、射出樹脂には、必要に応じ適宜、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機物粉末、ガラス繊維等の充填剤、安定剤、滑剤等の公知の各種添加剤を含有させる。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に詳述する。
〔実施例1〕図1(A)の如き構成の加飾シートSを次の様にして作製した。基材シート1として、エチレン−プロピレンランダム共重合体に着色剤としてチタン白、弁柄、黄鉛、及びカーボンブラックを添加したポリオレフィン系樹脂からなる厚さ60μmの樹脂シートを用意した。
上記基材シートの片面をコロナ放電処理を予め施した後、該処理面上に順次、塩素化ポリプロピレンからなる厚さ4μmの接着剤層2、アクリルポリオール100質量部とヘキサメチレンジイソシアネート8質量部とによる2液硬化型ウレタン樹脂から成る厚さ4μmのプライマー層3、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体との5対5質量比の混合物がバインダー樹脂で、弁柄とカーボンブラックを着色剤として添加した着色インキによる木目柄の絵柄インキ層4を、グラビア印刷で形成した。更に、絵柄インキ層の上に、メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体からなるアクリル樹脂に対して平均粒径3μmのα−アルミナ粒子が30質量%添加され、更にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.4質量%、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤0.8質量%、及び脂肪族アルコール系滑剤0.2質量%を添加してなる、厚さ4μmの第1表面保護層5を、ロールコートにより形成して、加飾シートとした。
そして、図3の概念図に示した様な本発明の射出成形同時加飾方法によって、上記加飾シートをポリプロピレン樹脂から成る樹脂成形物の成形と同時にその表面に積層一体化して、樹脂成形物の表面に加飾シートが積層された構成の加飾成形品を得た。なお、加飾成形品は略長方形箱型形状でその立体面を加飾した。また、その一部分の断面図は図2の如く(但し、第2表面保護層6は未形成)である。また、射出成形同時加飾方法は、射出成形の雌型を真空成形型として、加飾シートを、その基材シートが雄型側を向く様にして、雌雄両型間に挿入後、赤外線輻射加熱方式のヒータで加飾シートを加熱軟化させた後、雌型の溝状吸引孔により真空吸引して、雌型キャビティ形状に沿わせ予備成形する形態で行った。
得られた加飾成形品は、加飾シートと樹脂成形物との密着性が良好であった。また、スチールウール(#0000)で成形品表面を10往復擦る耐性試験を行ったところ、表面の艶変化、絵柄インキ層の取られ、及び、絵柄インキ層が傷により見えなくなる事は無く、耐摩耗性、耐擦傷性は良好であった。
[比較例1]基材シートとして、ポリメチルメタクリレート系でアルミナ粒子無添加の厚さ125μmの透明アクリル樹脂シートを用い、この基材シートの裏側とする面に、順次、実施例1と同じ、絵柄インキ層、2液硬化型ウレタン樹脂からなるプライマー層、及び、塩素化ポリプロピレンによる接着剤層を、グラビア印刷で形成して、(表刷り仕様である実施例1とは逆の裏刷り仕様の)加飾シートを作製した。そして、実施例1と同様にして加飾成形品を作製した。得られた加飾成形品は、加飾シートと樹脂成形物との密着性こそ良好であったものの、実施例1同様の耐性試験にて、表面に傷が発生し、この傷によって表面が白化し、絵柄インキ層の絵柄の認識が困難となり、耐摩耗性及び耐擦傷性が不良となった。
1 基材シート
2 接着剤層
3 プライマー層
4 絵柄インキ層
5 第1表面保護層
6 第2表面保護層
7 樹脂成形物
41 吸引孔
42 シートクランプ
Ma 射出成形型(雄型)
Mb 射出成形型(雌型)
P 加飾成形品
S 加飾シート
2 接着剤層
3 プライマー層
4 絵柄インキ層
5 第1表面保護層
6 第2表面保護層
7 樹脂成形物
41 吸引孔
42 シートクランプ
Ma 射出成形型(雄型)
Mb 射出成形型(雌型)
P 加飾成形品
S 加飾シート
Claims (4)
- 射出成形同時加飾に用いる加飾シートにおいて、
ポリオレフィン系樹脂から成る基材シートの表面に、順次、塩素化ポリオレフィン樹脂から成る接着剤層、ウレタン樹脂から成るプライマー層、アクリル樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とをバインダー樹脂とする絵柄インキ層、アルミナ粒子を添加したアクリル樹脂から成る第1表面保護層を積層して成る加飾シート。 - 請求項1記載の加飾シートの、第1表面保護層上に、更に、アルミナ粒子を含まないアクリル樹脂から成る第2表面保護層を積層して成る加飾シート。
- ポリオレフィン系樹脂から成る樹脂成形物の表面に、請求項1又は請求項2記載の加飾シートが、その基材シートと樹脂成形物とが接する向きで積層一体化して成る、加飾成形品。
- 請求項1又は請求項2記載の加飾シートを、その基材シートと射出樹脂とが接する向きにして、雌雄両型間に挿入した後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を射出し、該樹脂を固化させた後、型開きして、樹脂成形物に前記加飾シートが積層一体化された加飾成形品を得る、射出成形同時加飾方法。
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JP2001001368A (ja) * | 1999-06-24 | 2001-01-09 | Dainippon Printing Co Ltd | 射出成形同時絵付用シート |
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