JP2000158595A - 保護層を有する化粧材およびその製造方法 - Google Patents

保護層を有する化粧材およびその製造方法

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JP2000158595A
JP2000158595A JP10339852A JP33985298A JP2000158595A JP 2000158595 A JP2000158595 A JP 2000158595A JP 10339852 A JP10339852 A JP 10339852A JP 33985298 A JP33985298 A JP 33985298A JP 2000158595 A JP2000158595 A JP 2000158595A
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Toshitake Kobayashi
利武 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】保護層を形成した化粧材の(a)耐擦傷性、
(b)化粧材を別の基板に貼った後の接着強度、および
(c)耐候性を改善することを課題とする。 【解決手段】諸性能が向上した化粧材を提供するため、
基材4、模様5、および透明基材4’が積層された化粧
材1等に、2つ以上に分けた保護層2、3をロールコー
ティング、グラビアコーティング等を手段とし、条件を
調整して適用することにより、表面性を改善し、一様で
平滑な保護層を有する化粧材とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂を主体と
する積層体であり、雑貨の表面や家具の表面、もしくは
屋内外において使用される建材の表面等に適用され、表
面の装飾、下層の保護を目的として利用される人工的な
化粧材に関するものであり、その表面に有する保護層を
改良し、耐擦傷性、対象となるものに貼った状態での剥
離強度の向上を実現した保護層を有する化粧材と、その
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から化粧材としては、種々の物が使
用されており、基材としても様々なものが使用されてい
る。厚く固い素材を基材としたものも見受けられるもの
の、比較的薄く、柔軟性のある基材に化粧を施したもの
が相対的には多く、大抵の場合、他の物品に貼って使用
され、その物品の素材を被覆して外観意匠を形成してい
る。比較的薄く、柔軟性のある基材としては、紙、布、
プラスチックシート等があるが、汎用されるものはプラ
スチックシートであり、中でも、ポリ塩化ビニル樹脂シ
ートがよく使われ、化粧を施したものは、通称「塩ビ化
粧材」である。塩ビ化粧材の代表的なタイプの1つは、
透明なポリ塩化ビニル樹脂シートの裏面に印刷し、続い
て隠蔽層を設け、表側の面には必要に応じて塗装や凹凸
を形成するエンボス加工を行なって得られる「バックプ
リントシート」である。又、代表的なもう1つのタイプ
は、着色されたポリ塩化ビニル樹脂シートに印刷し、印
刷面を覆って透明なポリ塩化ビニル樹脂シートを熱融着
させ、同時にエンボス加工等を行なって得られる「ダブ
リングエンボスシート」あるいは単に「ダブリングシー
ト」と呼ばれるものである。
【0003】塩ビ化粧材に使用されているポリ塩化ビニ
ル樹脂シートは、通常、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合
体であり、接着性に寄与する酢酸ビニルの部分を有する
ために、接着に関する問題はあまりなく、印刷やラミネ
ートの際に接着力が不足する事はほとんどない。ポリ塩
化ビニル樹脂シートは、加熱により軟化するので、エン
ボス等の加工が容易である。又、ポリ塩化ビニル樹脂シ
ートは、火災の際にも燃えているものが傍にない限り、
自身では燃え出さない、即ち自燃性がない利点もある。
更に又、ポリ塩化ビニル樹脂シートは、可塑剤を添加す
る事により硬軟の度合いを自在に調整できる利点があ
り、用途に合わせた固さを選択できる。なお、ポリ塩化
ビニル樹脂シートは、汎用されていて価格的にも安定し
ている経済的な利点も持っている。
【0004】ただ、ポリ塩化ビニル樹脂シートには上記
の利点を有する反面、欠点もある。ポリ塩化ビニル樹脂
は、構造中に塩素を含んでいるため、経時的に変褪色す
ることが避けられない。燃焼時には有毒ガスが発生する
可能性があり、燃えれば煙も発生する。又、可塑剤を含
んでいることに起因する種々の問題もある。そこで、最
近、塩ビ化粧材ではなく、基材のポリ塩化ビニル樹脂シ
ートを、塩素を含まないポリオレフィン系樹脂シートで
代替した、ポリオレフィン系樹脂化粧材も検討されてい
る。しかし、ポリオレフィン系樹脂シートは、もともと
接着性が乏しく、印刷や貼り合わせ等において問題があ
り、又、太陽光等の光に対する耐久性、耐候性が充分と
は言えない等、改良の余地を残している。
【0005】一般的な化粧材の表面には、化粧材の耐汚
損性、耐摩耗性、および耐候性等の諸物性の向上の目的
で、透明な樹脂、好ましくは熱硬化性等の硬化性樹脂塗
料組成物が塗布され、硬化された保護層を有している事
が多い。特開平10−95078号公報や特開平10−
157025号公報には、艶調整と保護を兼ねた透明樹
脂層を熱硬化性のポリウレタンや紫外線照射または電子
線照射で硬化する樹脂を成分とした塗料組成物を塗布す
ることにより形成する事が記載されている。ここに記載
されている樹脂は定評のあるものであり、透明樹脂層を
設ける事により、化粧材の表面の諸物性の向上効果が見
られるものである。
【0006】しかし、化粧材の表面に形成できる保護層
の厚みには限度がある。塗装の技術からすれば、数10
μmや数100μm程度に厚く塗ることもできるが、
(1)化粧材であるからには、表面の意匠感や化粧材の
持つ質感が損なわれるほど厚塗りはできない、(2)柔
軟性のあるシートを基材とする場合には、加工の都度、
巻き取る必要があるが、薄いシートを基材とする場合
に、厚い透明樹脂層を設けると巻いたときに嵩高とな
る、(3)連続式の塗布手段を利用することが多いの
で、厚塗りすると、乾燥または硬化の手段が有効に働か
ない、等の理由により、製造的な立場からは、10μm
以下の塗布が好ましく、通常は、連続したシートに塗布
するので、グラビア法で数μm程度の塗布を行なうこと
が多かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】実際に、上記の公報に
記載されたような保護層を形成した化粧材は、一応の性
能を有するものではあるが、(a)耐擦傷性、(b)化
粧材を別の基板に貼った後の接着強度、および(c)耐
候性の点で、特に長期間の使用を考えると、未だ不十分
である。従って、本発明においては、前記した(1)〜
(3)の制約を考慮しつつ、上記の(a)〜(b)の点
を改善することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、種々検討を
重ねた結果、保護層の厚みを極端に増やさなくても、層
を2つ以上に分ける事により、これらの点が改善される
ことが判明し、また、グラビア法のような塗布手段を2
度以上に分けて行なう事により、上記の諸点が改善され
ることが確かめられた。
【0009】請求項1の発明は、柔軟性のある基材を有
する化粧材表面に、保護層が積層された化粧材であっ
て、前記保護層が少なくとも2層以上の樹脂層からなっ
ている事を特徴とする保護層を有する化粧材に関するも
のである。
【0010】請求項2の発明は、請求項1において、2
層以上の保護層の厚みの合計が2〜10μmである化粧
材に関するものである。
【0011】請求項3の発明は、柔軟性のある基材を有
する化粧材表面に、グラビア法により保護層形成用組成
物を塗布して保護層を形成する際に、保護層を2層以上
に分けて形成することを特徴とする保護層を有する化粧
材の製造方法に関するものである。
【0012】請求項4の発明は、請求項3において、2
層以上に分けて形成される保護層のうち、最も化粧材側
に近い樹脂層の厚みが最も厚く、化粧材から離れるほど
樹脂層の厚みが薄いことを特徴とする化粧材の製造方法
に関するものである。
【0013】請求項5の発明は、請求項3において、各
樹脂層形成用の塗料組成物の少なくとも1つが艶消剤を
含有する化粧材の製造方法に関するものである。
【0014】本発明の保護層を有する化粧材は、図1に
断面図を示すように、基材に化粧を施した化粧材1上
に、第1保護層2および第2保護層3が順に積層された
ものである。化粧材1には既に、種々の化粧が施されて
いる。例えば、任意の模様が印刷等により形成されてい
る。化粧材1の基材の材質、および第1保護層2の形成
時に用いる塗料の材質を考慮して、適切なインキを選
び、グラビア印刷等の方式により形成する。印刷は表側
の面に施してもよいが、基材が透明性を有している場合
には、裏側の面に施してもよい。印刷は化粧の代表的な
ものであるが、単なる着色も化粧の一つである。この
他、化粧材1には、エンボス、エンボス凹部へのインキ
の充填、透明性のある基材に対して行われる裏面印刷に
伴なう隠蔽層印刷、表側の面に印刷した後に印刷面への
透明フィルムの貼合わせ、さらに、貼合わせて得られる
ものに対するエンボス等の各種の加工の中から、適宜に
選択した加工が、基材の材質や用途に応じて施してあっ
てよい。
【0015】図2は、図1の最下層の化粧材1の1つの
典型例で、バックプリントシートと呼ばれるものに保護
層を形成したものの断面図を示すもので、化粧材1は基
材4の裏側の面に模様5が積層され、更に隠蔽層6が積
層されたものである。化粧材1の表側の面には、第1保
護層2および第2保護層3が順に積層されている。ここ
には図示してないが、化粧材1には、更に表側の面に凹
凸が付与されてあってもよい。図3も、化粧材1の典型
例の1つで、基材4上に別の透明基材4’が、模様5を
介して積層されており、透明基材4’上に第1保護層2
および第2保護層3が順に積層されている。図3に示す
ものは、上側の面にエンボスが施されていれば、ダブリ
ングエンボスシート、施されていなければ、ダブリング
シートと呼ばれる事が多い。
【0016】基材4および4’としては、通常、化粧材
に用いられている素材であれば、いずれも使用可能であ
り、大別すれば、各種の紙類、プラスチックフィルム又
はプラスチックシート、金属箔、金属シート等である。
これらの素材は、単独で使用してもよいが、紙どうしや
プラスチック同志等の同種の素材の複合体、紙とプラチ
スチックフィルム等の異種の素材の複合体等、これら素
材の任意の組合わせによる積層体も利用できる。これら
の基材は、色彩を整える意味で塗装を施されていたり、
デザイン的な観点で通常の模様が予め形成されていても
よい。塗装や通常の模様形成に先立って表面が平滑化さ
れていたり、模様の密着度を上げるために下地処理が施
されていてもよい。塗装や通常の模様形成後には、後の
加工を容易にするための接着性改善処理を施すことも差
し支えない。
【0017】各種の紙類としては、以下のものが代表的
なものとして例示される。即ち、薄葉紙、クラフト紙、
チタン紙、予め紙間の強化の目的で樹脂を含侵してある
樹脂含浸紙も使用できる。これらの他、リンター紙、板
紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂
層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われること
の多い一群の原反が挙げられる。更には、事務分野や通
常の印刷、包装などに用いられる次の紙類も使用可能で
ある。即ち、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン
紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等であ
る。又、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と
性状を持つ次のような各種繊維の織布や不織布も基体1
として利用できる。各種繊維とは即ち、ガラス繊維、石
綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ
繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエス
テル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成繊維であ
る。
【0018】プラスチックフィルム又はプラスチックシ
ートとしては、次に例示するような各種の合成樹脂から
なるものが挙げられる。各種の合成樹脂とは、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチレン樹脂、ポ
リメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化
ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重
合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレ
ート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート
共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタク
リル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロ
ン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、
三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又は
ポリイミド樹脂等である。
【0019】金属箔、又は金属シートとしては、アルミ
ニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等の素材からなるも
のが使用される。しばしば、めっき等を施して使用する
ことがある。
【0020】基材4、4’としては、上記したような種
々のものを使用できるが、従来からよく使われるのは、
ポリ塩化ビニル樹脂のフィルム又はシートである。ポリ
塩化ビニル樹脂のフィルム又はシートには先に述べたよ
うに利点が多く、そのために多用されているが、反面、
欠点もあり、最大の欠点は燃焼時に塩素ガス、塩化水素
ガスを放出することである。そこで、近年、化粧材に使
用するポリ塩化ビニル樹脂のフィルムまたはシートをポ
リオレフィン樹脂のフィルムまたはシートで代替しよう
とする動きがある。本発明はポリオレフィン樹脂のフィ
ルムまたはシートを基材とした化粧材にも適用できる。
【0021】このような化粧材用途に向く、ポリオレフ
ィン樹脂としては、種々のものがあるが、大別すると、
非エラストマーであるポリオレフィン系樹脂と、ポリオ
レフィン系熱可塑性エラストマーがある。
【0022】ポリオレフィン系樹脂シートを構成するポ
リオレフィン系樹脂の1つのタイプは非エラストマーで
あるが、具体的にはポリエチレン(低密度、又は高密
度)、ポリプロピレン(イソタクチック型、シンジオタ
クチック型、又はこれらの混合型)、ポリメチルペンテ
ン、ポリブテン、エチレン/プロピレン共重合体、プロ
ピレン/ブテン共重合体等の高結晶質のものである。ポ
リオレフィン系樹脂シートを構成するポリオレフィン系
樹脂のもう1つのタイプは、ポリオレフィン系熱可塑性
エラストマーであって、次の(1)〜(8)のようなも
のである。
【0023】(1)主原料がハードセグメントである高
密度ポリエチレン、又はアイソタクチックポリプロピレ
ン等からなり、更に、ソフトセグメントとしてのエラス
トマー及び、必要に応じて無機充填剤を添加したもの。
【0024】ここで、エラストマーとしては、ジエン系
ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー
等が用いられる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴ
ム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン/ブタジ
エンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、アクリ
ロニトリル/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエンゴ
ム等がある。水素添加ジエンゴムは、上記のジエン系ゴ
ム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加
させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂(本発明にお
いては、高密度ポリエチレン又はポリプロピレン)の結
晶化を抑え、柔軟性を向上させたものである。オレフィ
ンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレ
フィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種加えた
弾性共重合体であり、オレフィンとしてはエチレン、プ
ロピレン、α−オレフィン等が使用され、ポリエンとし
ては、1,4−ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネ
ン等が使用される。好ましいオレフィン系共重合体ゴム
としては、例えばエチレン/プロピレン共重合体ゴム等
のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられ
る。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機
過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、適量架橋させても
よい。
【0025】(2)ハードセグメントがアイソタクチッ
クポリプロピレン、ソフトセグメントがアタクチックポ
リプロピレンであるもので、好ましくは、後者の割合が
5重量%未満のもの(特公平6−23278号公報記
載)。
【0026】(3)エチレン/プロピレン/ブテンの共
重合体で、ブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、ま
たはイソブチレンの3種の構造異性体の1種を含むも
の。次の(3a)〜(3c)が代表的である。 (3a)エチレン/プロピレン/ブテンの3元のランダ
ム共重合体であり、モノマー中のプロピレンが、好まし
くは90重量%であるもの(特開平9−111055号
公報記載)。 (3b)プロピレン成分含有率が50重量%以上であ
る、エチレン/プロピレン/ブテンの3元の共重合体か
らなる非晶質と、結晶質ポリプロピレンからなるもの
(特開平5−77371号公報記載)。 (3c)プロピレン及び/又は1−ブテンの含有量が5
0重量%以上の低結晶質と、アイソタクチックポリプロ
ピレン等の結晶性ポリオレフィンを含むものに、更に、
油ゲル化剤を0.5重量%添加したもの(特開平7−3
16358号公報記載)。
【0027】(4)ハードセグメントがポリエチレン、
ポリプロピレン又はポリメチルペンテン等の結晶質であ
り、ソフトセグメントが部分架橋したエチレン/プロピ
レン非共役ジエン3元共重合体ゴム等のモノオレフィン
共重合体ゴムであるもの(特公昭53−21021号公
報記載)。
【0028】(5)ハードセグメントとしてのオレフィ
ン系共重合体(結晶質)とソフトセグメントとしての未
架橋モノオレフィン共重合体ゴムとを加熱しつつ剪断応
力を加え、部分架橋させてあるもの(特公昭53−34
210号公報記載)。
【0029】(6)過酸化物と混合・加熱すると分子量
が減って流動性が増す過酸化物分解型オレフィン重合
体、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、プロピ
レン/エチレン共重合体、又はプロピレン/ブテン−1
共重合体をハードセグメントとし、同様な操作で流動性
が減る過酸化物架橋型モノオレフィン重合体、例えば、
エチレン/プロピレン共重合体ゴム、エチレン/プロピ
レン/非共役ジエン3元共重合体ゴム等をソフトセグメ
ントとし、更には、同様な操作で架橋せず、流動性も変
わらない過酸化物非架橋型炭化水素ゴム、等を過酸化物
の存在下で混合・加熱して得られるもの(特公昭56−
15741号公報記載)。
【0030】(7)エチレン/スチレン/ブタジエン共
重合体(特開平2−139232号公報記載)。
【0031】(8)水酸基又はカルボキシル基を持たせ
た上記(1)〜(7)のオレフィン系エラストマー。
【0032】ポリオレフィン系樹脂シートとしては、延
伸シート、未延伸シートのいずれも使用可能である。ポ
リオレフィン系樹脂シートには、又、必要に応じて、充
填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、光安定剤等野各種の添加剤を添加する。このような
ポリオレフィン系樹脂シートの厚みは20〜300μm
程度である。また、ポリオレフィン系樹脂シートは、既
にフィルム又はシートとしたものを使用してもよいが、
下側の基材に印刷した上に、ポリオレフィン系樹脂を溶
融して押し出しながらラミネートする方法によって形成
してもよい。この場合、樹脂組成の異なる2層を一体と
して押し出し、例えば、上層にのみ滑剤を添加し、下層
には滑剤を添加しないで2層を共押し出しして、ラミネ
ートする対象との接着性を向上させ、かつ表面の滑性を
維持するようなこともできる。ダブリングシートないし
ダブリングエンボスシートの場合には、基材シート4も
ポリオレフィン系樹脂シートで構成する場合があり、そ
の場合には、染料又は顔料の着色剤を添加して適宜な色
彩になるよう調整する。また、ポリオレフィン系樹脂シ
ートは、そのままでは接着性が乏しいため、印刷又は接
着に関与する面にコロナ放電処理を行なって、接着性を
改善しておくとよい。
【0033】模様5は、化粧材に外観意匠的な価値を与
えるためのものであり、通常、印刷により施す。印刷の
方式としては、接着性を考慮したバインダーの選択範囲
が広いグラビア印刷法が適しているが、これ以外の手法
によってもよい。印刷方式としては、グラビア印刷法の
ほか、凸版印刷、平版印刷(通常はオフセット印刷と同
じ)、凹版印刷、およびスクリーン印刷がある。これら
の従来からの印刷方式以外の電子写真、ジェットプリン
ト等、同一の模様を複写できる方式によってもよい。模
様5のデザインは任意のものでよく、用途に合わせて選
択する。バックプリントシートの場合、模様5を設けた
反対側から眺めるので、左右のある模様の場合には、左
右を逆に作成した、いわゆる逆版を用いて印刷する。ダ
ブリングエンボスシートの場合には、下側の基材4の表
側に印刷するのであれば、絵柄模様層5の左右の向きを
考慮しなくてよいが、上側の透明樹脂シート4’の裏側
の面に印刷する場合には、パックプリントシートの場合
と同様、逆版を用いて印刷するとよい。
【0034】バックプリントシートの場合、模様5の濃
度の低い部分や、印刷の網点の間では、下層が透けて見
えるので、隠蔽層6を形成する方がよい。隠蔽層6は模
様のハイライトの部分に相当し、デザインの一部をなす
ものである。
【0035】模様を印刷により形成する際にはインキを
使用し、電子写真の場合にはトナーを使用し、ジェット
プリントの場合には、専用のインキを使用する。いずれ
の場合にも、印刷対象となる基材との十分な接着が必要
であり、基材の素材と合わせたインキを選択する。イン
キの成分中、接着に関与するのは樹脂成分である。グラ
ビア印刷用インキを例に、樹脂成分の例を挙げると、セ
ラック、ロジン、ロジン変成マレイン酸樹脂、ニトロセ
ルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セルロース、エチル
セルロース、ポリアミド樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、ポ
リアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸
ビニル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、
塩素化ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリウレタン樹
脂等であり、水性グラビアインキであれば、一部は重複
するが、ロジン変成マレイン酸樹脂、スチレンマレイン
樹脂、アクリル系樹脂、シェラック、カゼイン等の樹脂
か又はアクリル系、ウレタン系のエマルジョンである。
必要に応じて架橋剤を添加してもよい。
【0036】保護層2、3は、適切なバインダー樹脂を
含む塗料組成物を塗布、乾燥又は固化させて得られるも
のである。バインダー樹脂としては、熱可塑性のものも
使用できるが、熱硬化性樹脂を使用する熱硬化性樹脂塗
料組成物、あるいは紫外線又は電子線の照射により硬化
する電離放射線硬化性樹脂塗料組成物等の硬化性樹脂塗
料組成物を用い、塗布後に加熱したり、電離放射線を照
射して架橋硬化させると、更に物理的、化学的な諸性能
を向上させることができ、より好ましい。例えば、アク
リルポリオールとイソシアネート化合物からなるアクリ
ルウレタン系等のポリウレタン系樹脂塗料組成物を使用
するとよい。このような硬化性樹脂塗料組成物が塗布さ
れ、硬化して形成された保護層は、化粧材本体にくら
べ、剛直度が高く、引っ張りや圧縮の外力がかかったと
きに、変形しにくい性質を持つ。
【0037】保護層2、3の厚みは、(a)耐擦傷性、
(b)化粧材を別の基板に貼った後の接着強度、および
(c)耐候性のいずれにも影響があり、このうち、
(a)耐擦傷性、およびに(c)耐候性については、一
般に厚い方が効果がある。残る(b)の化粧材を別の基
板に貼った後の接着強度については、化粧材1の剥離強
度で捉えると、ある程度の厚みまでは、保護層2、3の
合計の厚みが増すに伴ない、剥離強度が上がる。しかし
ながら、保護層の厚みがある限度を越えると、向上効果
がないだけでなく、剥がそうとすると化粧材そのものが
破壊する事が確かめられた。特に、硬化性樹脂組成物が
塗布され、硬化して形成された保護層において、その傾
向が顕著であり、下層の各層よりも剛性の高い保護層を
形成したときに、その傾向が強い。
【0038】図4、および図5は、そうした様子を説明
するためのもので、いずれも合板等の基板1上に保護層
2、3を有する化粧材1が貼ってあり、一端を180°
方向に引っ張った状態を示している。図4に示すもの
は、保護層2、3の合計厚みが比較的薄い場合を示し、
基材の柔軟性により、屈曲部8が小さい半径の円の一部
を形成し、この場合、屈曲部8にごく近い部分の化粧シ
ート1に、引っ張りの力が集中してかかる。図5では、
図では明らかではないが、保護層2、3の合計厚みが厚
いために、屈曲部8が図4におけるよりも、大きい半径
の円の一部を形成し、例えば、化粧材の厚みの数10倍
以上の半径を有して引っ張られるため、屈曲部8の全体
に引っ張りの力が分散され、全体としてはかなり大きな
力に耐える。
【0039】しかし、屈曲部8の半径が大きくなる事
は、化粧材1が保護層2、3の厚みの増加に伴ない、次
第に剛直度を増す事であり、保護層2、3の厚みが増加
して剛直度が高まると、化粧材は結局、破断してしま
う。これとは別に、保護層2、3の厚みが厚い化粧材を
基板に貼ってから、基板側を角度90°のV字状の溝を
化粧材のみ残して形成し、溝に沿って溝を内側にして折
り曲げる、いわゆるVカットを試みても、保護層が厚く
なると、化粧材が割れてしまう現象が起きる。これらの
観点から、保護層2、3の合計の厚みが保護層を形成し
ていない剥き出しの状態の化粧材の厚みの10%を越え
ない事が望ましく、化粧材の剥離強度を維持するために
は、5%を越えない事がより望ましい。ただし、保護層
を形成していない剥き出しの状態の化粧材の厚みが50
μm〜200μmと比較的薄い、実用的な範囲では、化
粧材自体も柔軟性があるので、保護層2、3の合計の厚
みの範囲は、絶対値で10μm未満、好ましくは、7μ
m未満とすればよく、剥き出しの化粧材の厚みを基準と
した上記の上限値を越えても支障はない。
【0040】他方、保護層2、3の合計の厚みの下限
は、主に、耐擦傷性の観点から決めることができる。保
護層2、3の厚みがあまりに薄いと、擦られることによ
り保護層の消失も速いためであり、厚みをある程度厚く
することにより、少々の擦れには耐えることができる。
印刷や塗布により保護層を形成するときは、その厚みが
2μm以上になると、耐擦傷性が現実的に満足できるよ
うになり、好ましくは4μm以上とする。従って、保護
層2、3の合計の厚みは、剥き出しの化粧材の厚みが5
0μm〜200μm程度のときは、2μm〜10μm、
好ましくは4μm〜7μmとするのがよい。
【0041】図2、および図3では登場しない他の層に
ついて説明する。ダブリングシートの場合には、下側の
基材4と上側の基材4’とは、両方がポリ塩化ビニル樹
脂シートがあるときは、熱融着により積層するが、ほか
の樹脂どうしの場合や異種の樹脂どうしの接着の場合に
は、接着剤層を介して積層する。特に、ポリオレフィン
樹脂どうしの場合には、接着剤層を介して積層する。下
側の基材4の上側、または上側の基材4’の下側には、
プライマー層を介するか介さないで形成した模様5が既
に積層されており、両接着面の片方または両方に接着剤
を塗布し、両者を合わせて圧着する。両接着面に接着剤
の浸透性が無い場合、接着剤を被着面の一方あるいは両
方に塗布した後、一旦乾燥させ、再び重ねて加圧し、圧
着するドライラミネーションが適している。接着剤とし
ては、アクリルポリオールとイソシアネートからなるア
クリルウレタン系等のポリウレタン系のものを使用する
事が好ましい。
【0042】本発明の化粧材においては、剥離の起きや
すい箇所に隣接した上層に、紫外線吸収剤と光安定剤と
からなる添加剤を含ませておくとよい。バックプリント
シートの場合、保護層2、基材4のいずれか、又は両方
に、添加剤を添加しておき、ダブリングシートないしダ
ブリングエンボスシートの場合には、保護層2、透明基
材4’、又は接着剤層があるときは接着剤層の3つの層
のうちの1つ又はそれ以上に、上記の添加剤を添加して
おく。いずれの層に添加するかであるが、1つの層にの
み添加する場合、2つの層に添加する場合があり、ダブ
リングシートないしダブリングエンボスシートの場合に
は、3つの層にも添加し得る。1つの層に添加剤を添加
するよりも2つの層に添加した方が、化粧材全体として
の添加効果があり、ダブリングシートにおいては、3つ
の層に添加すると最も良い結果を生む。
【0043】保護層2、3または接着剤層に紫外線吸収
剤と光安定剤とからなる添加剤を適用するには、これら
の層を形成するための塗料組成物又はインキ組成物中に
適量を混練又は分散させた後、それらを用いて塗布又は
印刷する。又、基材4または4’の樹脂シートに紫外線
吸収剤と光安定剤とからなる添加剤を適用するには、シ
ートを製造する際に、樹脂のペレットと共に添加剤を加
熱溶融して混合するか、あるいは、少量の樹脂ペレット
に予め、添加剤を溶融混合しておいたものを必要な量の
樹脂ペレットと溶融混合する方法等にによって行なう。
【0044】紫外線吸収剤としては、次の(1)〜
(5)のようなものが使用できる。 (1)ベンゾフェノン系;2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン
−5−スルホン酸。 (2)ベンゾトリアゾール系;2−(2’−ヒドロキシ
−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル
フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−
(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェ
ニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)フェニル
ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−
ドデシル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−
テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)フェノール]。 (3)アクリレート系;エチル−2−シアノ−3,3’
−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−
シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート。 (4)サリシレート系;フェニルサリシレート、4−t
−ブチルフェニルサリシレート。 (5)オキザニリド系;2−エトキシ−2’−エチルオ
キザリックアシドビスアニリド、2−エトキシン−5−
t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシドビスアニ
リド。 これらの紫外線吸収剤を添加する割合は、添加する対象
の層の樹脂分に対し、好ましくは、0.1〜2重量%の
範囲である。0.1重量%未満では添加効果が乏しく、
2重量%を超えても、効果の向上が見られない。
【0045】光安定材としては、ヒンダードアミン系で
ある、次のような化合物が使用できる。ビス−(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケ
ート、ビス−(N−メチル、2,2,6,6,−テトラ
メチル−4−ピペリジニル)セバケート、[コハク酸ジ
メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキ
シ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン]縮合
物、ポリ{[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチ
ル)イミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイ
ル[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)イミノール]}。これらの
光安定剤を添加する割合は、添加する対象の層の樹脂分
に対し、好ましくは、0.1〜2重量%の範囲である。
0.1重量%未満では添加効果が乏しく、2重量%を超
えても、効果の向上が見られない。なお、紫外線吸収剤
と光安定剤は、それぞれを単独で使用した場合でも効果
はあるが、併用した方が、理由は定かではないが、相乗
的に効果が向上するため、併用する事が望ましい。
【0046】以上の本発明の保護層を有する化粧材は、
雑貨の表面や家具の表面、もしくは屋内外において使用
される建材の表面等に適用され、表面の装飾、下層の保
護を目的として利用される人工的な化粧材として利用さ
れ、対象物に対して手貼りしたり、板状の対象へのラミ
ネータによる機械貼りで貼ったり、真空及び/又は圧空
による成形を利用して貼るか、あるいは、搬送されるサ
ッシ等の異形断面の被貼着対象に、その搬送に伴って、
シートを少しずつ折り曲げて沿わせて貼る「ラッピング
加工」方法等により、貼り付けられるものである。
【0047】本発明の化粧材において、平滑で一様な保
護層を形成する好ましい方法について次に述べる。保護
層の形成には、種々の方法があり得るが、高速で形成で
き、連続したシートの加工に適しており、かつ、バイン
ダー樹脂の選択の自由度が高いのは、ロールコーティン
グによる形成である。ロールコーティングにおいては、
バインダーの選定の自由度以外に、適用できる粘度範囲
が広く、塗布厚みの調整も容易だからである。
【0048】ロールコーティングには、大別すると、表
面が平滑なコーティングロールを使用するロールコーテ
ィングと、広義のロールコーティングの範囲には入る
が、別物として扱われる事も多いグラビアロールを用い
たグラビアロールコーティングとがある。ロールコーテ
ィング(広義)においては、転移量(=塗布量)が多い
ときか、又は粘度が低い塗料を使用するときには、ロー
ル目と称する、ほぼシートの進行方向を向いて蛇行した
線が並んだ杉苔状の模様が現れる。グラビアロールコー
ティングでは、塗布量の規制が厳密にできるので、一
見、塗布面の平滑性が得られ層だが、高塗布量、低粘度
の場合には、平滑なロールを使用するロールコーティン
グと変わりなく、やはり、ロール目が発生する。この杉
苔状の模様上に、再度のロールコーティング(広義)を
行なうと、杉苔状の模様は、解消の方向に向かう。この
理由は明らかではないが、1回目に生じた杉苔状の凹凸
を2回目以降のロールコーティング(広義)で埋めるた
めと考えられる。なお、2回目以降のロールコーティン
グ(広義)による杉苔状の模様の解消は、使用する塗料
の粘度を1回目のコーティング時よりも上げ、塗布量も
1回目より少なくした方が、より顕著である。
【0049】グラビアロールコーティングは、その機械
的な特徴から、塗布量がよく規制されるので、40μm
程度かそれ以下の比較的浅い版深では、通常の粘度か多
少高めの粘度の塗料を使用すれば、1回の塗布では塗布
面に再現されたグラビアセルが目立つが、その他の点で
はムラ無く塗布されているので、2回の塗布を行なうと
ほぼ解消し、3回の塗布では、グラビアセルはほとんど
分からない程度の一様平滑な面が得られる。しかし、3
回の塗布を同一のグラビア輪転機上で一度に行なうとし
ても、コーティングのための版を3つ使用する必要があ
り、経済性を考慮すれば、2回の塗布で済ませたい。こ
のため、1回目のコーティングを、版深が60μm〜1
00μm程度と版いグラビア版を使用して行ない、2回
目の塗布を20μm〜40μmの版深の比較的浅いグラ
ビア版を使用して行なえば、実用的に十分な程度の一様
で平滑な塗布面が得られる。なお、通常のグラビア印刷
においては40μm程度が最高版深であるので、上記の
ような杉苔状のロール目は生じにくく、このような現象
は、グラビア版をコーティングに使用するときに固有な
問題である。
【0050】ロールコーティング(広義)においては、
上記のような方法にもよるが、保護層2、3のうち、下
側の保護層2の厚みが厚く、上側の保護層3の厚みか保
護層2よりも薄い方が最表面の状態が一様で平滑にな
る。保護層を3層で構成したときも同様で、表側の層ほ
ど薄くするとよい。
【0051】保護層を有する化粧材の表面は、要望に応
じて、しばしば艶の調整を行なう。身の回りの製品で艶
がかなりある例としては、ピアノ等の楽器、乗用車等の
自動車、塗装された家具の表面、漆工芸品、あるいは大
理石製品等があり、これらを模したものや近似した分野
では、艶のある、即ち、光の反射率の高い製品が望まれ
る。これに対し、大半の製品では、光の反射率を適度に
抑制したものが多く、半艶(はんつや)や全艶消し等の
製品がある。艶のある製品にくらべて、傷や凹凸があっ
たり、表面の平滑性が多少劣っていても、艶のない方が
欠点が目立ちにくくなるからである。艶を消すには、艶
消剤と言われる無機質または有機質の粒子を、保護層形
成用塗料組成別中に添加して塗布し、艶を調整した保護
層を形成する事により、行なう。
【0052】艶消剤としては、光を散乱する性質のある
タイプのものを使用するか、あるいは、自身は塗膜中で
は、透明だが、保護層表面に凹凸を形成して、表面の光
の反射率を換えるタイプの粒子を使用する。後者のタイ
プの方が、透明性が維持される上、光の入射角度や観測
角度を変えても、光の反射の変化が少ないので、表面が
擦れて変形したときにもその部分の艶の変化が少なく、
擦れた跡が残りにくい利点がある。具体的な艶消の方法
としては、マイカ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウ
ム、ケイソウ土、ケイ砂、シラスバルーン等の無機質中
空体粒子や、ポリスチレン樹脂やアクリル樹脂等の合成
樹脂の粒子を艶消剤として用い、必要な艶の程度に応じ
て保護層形成用塗料組成物中に添加し、使用する。この
とき、艶消剤には、耐擦傷性を低下させるものもあるの
で、2層の保護層のうち、下層に艶消剤を多く添加し、
上層には添加しないかまたは添加量を少なくして適用す
ると、耐擦傷性を維持して艶消しとすることができ、好
ましい。
【0053】
【実施例】(実施例1)厚み60μmの着色ポリプロピ
レン樹脂シート(三菱化学MKV(株)製)の表面に模
様を印刷したものの上に、厚み80μmの透明ポリプロ
ピレン樹脂シート(三菱化学MKV(株)製)の片面に
ポリエステル樹脂系接着剤(大日精化(株)製、E−2
95)を塗布量が15g/m2 になるよう塗布し、乾燥
させた後、接着剤塗布面が内面になるようにして重ねて
加熱加圧し、両シートを貼り合わせた。貼り合わせ後、
透明ポリオレフィン樹脂シート側からエンボス加工を施
した。
【0054】上記で得られたものの、透明ポリオレフィ
ン樹脂シート側にコロナ放電処理を施して接着性を向上
させた後、アクリル系樹脂をバインダーとする上塗り用
塗料組成物(ザ・インクテック(株)製、AR−4)を
40線/インチのグラビア版を2版、同一印刷機の2つ
の印刷ユニットに設置したものを使用する事により2回
塗布を行ない、表面が一様平滑な保護層を有する化粧材
を得た。塗膜の厚みは乾燥時で:4.6〜5.0μmで
あった。得られた化粧材は、表面をコインや真鍮の棒で
擦っても傷が目立たず、また、この化粧材を合板に貼っ
て180°剥離強度を測定したところ、4Kg/25m
mであり、十分な剥離強度を有していた。
【0055】(実施例2)着色ポリエチレン樹脂シート
として、厚み100μmのもの(タツノ化学(株)製、
F−21)を使用し、透明ポリプロピレン樹脂シートと
して、厚み80μmのもの(エクセル東海(株)製、E
−2905)を使用したほかは、実施例と同様にして化
粧材を製造し、実施例1と同様な結果を得た。
【0056】(実施例3)厚み60μmの着色ポリプロ
ピレン樹脂シート(三菱化学MKV(株)製)の表面に
模様を印刷したものの上に、ポリウレタン樹脂系接着剤
(大日精化(株)製、E−295)を塗布量が10g/
2 になるよう塗布し、乾燥させた後、接着剤塗布面
に、Tダイより押し出された透明ポリプロピレン樹脂シ
ートを押し出し直後にラミネートした。なお、ラミネー
トに先立って、接着力を向上させるため、Tダイとラミ
ネートロール間において、ポリプロピレン樹脂シートの
接着面にオゾン処理を施した。ラミネート後、実施例1
におけるのと同様なエンボス加工、および保護層の形成
を行ない、実施例1と同様な結果を得た。
【0057】(実施例4)着色ポリエチレン樹脂シート
として、厚み100μmのもの(タツノ化学(株)製、
F−21)を使用し、以下は実施例3と同様に行ない、
実施例と同様な結果を得た。
【0058】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、保護層が2層
以上に形成されているために、耐擦傷性があり、化粧板
基板に貼った際の剥離強度がある。
【0059】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
の効果に加え、2層の保護層が形成されているために、
耐擦傷性が向上しており、また、化粧板基板に貼った際
の剥離強度が適性で、化粧材が破断する事がない。
【0060】請求項3の発明によれば、グラビア法を2
層以上に分けて行なうために、一様で平滑性のある化粧
材を製造できる。
【0061】請求項4の発明によれば、請求項3の発明
の効果に加え、塗布量を厚くした化粧材を製造すること
ができる。
【0062】請求項5の発明によれば、請求項3の発明
の効果に加え、艶を調整した化粧材を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化粧材の構造を示す断面図である。
【図2】化粧材の構造を示す断面図である。
【図3】化粧材の構造を示す断面図である。
【図4】化粧材を基板に貼り、剥離する様子を示す図で
ある。
【図5】化粧材を基板に貼り、剥離する様子を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 化粧材 2 第1の保護層 3 第2の保護層 4 基材 5 模様 6 隠蔽層 7 化粧板基板 8 屈曲部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B AK07B AK07C AK25A AK41G AR00C BA03 BA07 BA10A BA10C BA25 CA13A CA13B CA13H CC00A CC00B GB08 GB81 HB00C HB31C JK06 JK13C JK14 JL09 JN01B JN26A JN26B JN26H YY00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 柔軟性のある基材を有する化粧材表面
    に、保護層が積層された化粧材であって、前記保護層が
    少なくとも2層以上の樹脂層からなっている事を特徴と
    する保護層を有する化粧材。
  2. 【請求項2】 2層以上の保護層の厚みの合計が2〜1
    0μmである請求項1記載の化粧材。
  3. 【請求項3】 柔軟性のある基材を有する化粧材表面
    に、グラビア法により保護層形成用組成物を塗布して保
    護層を形成する際に、保護層を2層以上に分けて形成す
    ることを特徴とする保護層を有する化粧材の製造方法。
  4. 【請求項4】 2層以上に分けて形成される保護層のう
    ち、最も化粧材側に近い樹脂層の厚みが最も厚く、化粧
    材から離れるほど樹脂層の厚みが薄いことを特徴とする
    請求項3記載の化粧材の製造方法。
  5. 【請求項5】 各樹脂層形成用の塗料組成物の少なくと
    も1つが艶消剤を含有する請求項3の化粧材の製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002210877A (ja) * 2001-01-19 2002-07-31 Dainippon Printing Co Ltd 加飾シート、加飾成形品、及び射出成形同時加飾方法
JP2011042175A (ja) * 2010-10-28 2011-03-03 Dainippon Printing Co Ltd 加飾シートの製造方法、加飾成形品、及び射出成形同時加飾方法

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JP2002210877A (ja) * 2001-01-19 2002-07-31 Dainippon Printing Co Ltd 加飾シート、加飾成形品、及び射出成形同時加飾方法
JP4662399B2 (ja) * 2001-01-19 2011-03-30 大日本印刷株式会社 加飾シート、加飾成形品、及び射出成形同時加飾方法
JP2011042175A (ja) * 2010-10-28 2011-03-03 Dainippon Printing Co Ltd 加飾シートの製造方法、加飾成形品、及び射出成形同時加飾方法

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