JP2011034234A - 動作分析装置、動作分析方法及び動作分析プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基準被写体を撮像した基準映像における動作区切りタイミングを設定させ、基準映像内の少なくとも一つの連続する動作からなる連続動作を設定させ、動作の区切りタイミングを基に連続動作の区切りタイミングを設定し、基準被写体の動作にかかる基準軌跡情報を、各動作の区切りタイミング間で取得し、各動作の区切りタイミングにおける特徴的な特徴軌跡情報を抽出し、他の被写体を撮像した比較映像から他の被写体の動作に係る比較軌跡情報を取得し、比較軌跡情報から特徴軌跡情報を検索して基準被写体について設定したものと同じ動作を抽出し、さらにそれを連続動作の区切りタイミングに基づいて集約し、各連続動作の所要時間を計測して表示装置に表示する。
【選択図】図5
Description
例えば、一人の作業者が、一連の複数の作業をこなさなければならないセル式の生産現場では、一つの作業について割り当てられた標準時間を守れなかったり、あるいは作業手順通りに作業ができないといったさまざまな生産性阻害要因がある。
そこで、個々の作業者の生産性を向上させるために、作業者ごとの生産性の阻害要因がどこにあるのかを観察することが重要となる。従来から、ストップウォッチなどを使って、手動で、作業時間を計測したり、目視によって作業手順が前後していないかを確認したりということが行われていたが、時間と手間を要するため、より簡単で且つ効率的な手法が求められている。
有力な手法としては、作業者の動作を撮影したビデオ映像を解析して作業者の動作分析を行うということが考えられるが、従来は、ビデオ映像に基づいて作業時間を計測する場合でも、ビデオ映像を見ながらストップウォッチで作業時間を計測するといった方法であり、効率的にはさほどの向上は見られなかった。
それに対し、特許文献2には、熟練者と初心者の体にマーカーを取付け、同一の作業をさせた時の作業動作の特徴ベクトルを比較して、熟練度の違いや作業時間の違いを定量的に判断することが記載されている。これによれば、作業手順に精通した熟練者と比較することで、より正確に作業者の動作分析が可能となる。
また、特許文献2に開示されている従来技術は、熟練者と同じ作業動作となれば、決められた動作で作業をしていることが分かるが、本文献は、一連の複数の作業について作業動作を検出するものではなく、比較が出来るのは単一の作業についてのみであり、一連の作業の中で、各作業の手順は守られているか、作業ごとに熟練者(決められた作業手順)とどのくらい時間が違うのか、ということを知ることが出来ない、という問題がある。
また、仮に特許文献2の手法を、一連の複数の作業における動作の検出に適用したとしても、一つ一つの作業についての所要時間や作業の順序の正しさを判定することが出来ないし、一連の作業の動作ベクトルの情報の中で、そもそもどれがどの個別の作業にあたるのかも、容易に知ることが出来ない、という問題がある。
そこで本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、一連の作業を行う作業者を撮影したビデオ映像を用いて作業者の動作分析を行う手法であって、その一連の作業の映像中のどの部分がどの作業に対応し、かつ、個々の作業にどの程度の時間を要しており、かつ各作業を決められた手順で行っているかを容易に分析できる手法、およびその手法を適用した分析装置を提供することを目的とする。
かかる構成によれば、基準となる映像中の被写体の動作軌跡を一連の連続動作である作業毎に区切り、連続動作を構成する個々の動作毎の区切りタイミングでの軌跡の特徴情報を抽出・保存しておくことで、同じ一連の作業を行う他の作業者を撮影したビデオ映像から、特徴情報を使って各動作の区切りタイミングを抽出したうえで、基準映像における作業に含まれる動作の情報に基づいて作業に集約し、それぞれの作業毎にどの程度の時間を要しているかを分析できるため、より容易に作業毎の動作分析を行うことが可能となる。
かかる構成によれば、作業空間に道具や部品の置き場の座標を基準位置とすることで、一つの動作の区切りにおける特徴的な軌跡情報を容易に抽出することが出来る。
また、この情報は、一連の軌跡の中では他の部分と比べてより特徴的な情報であるため、比較対象映像を基準映像と比較して類似した軌跡を抽出するうえで特に好適な情報であり、これらの情報を用いることで、より正確に、比較対象映像から個々の動作に係る軌跡を抽出することが可能となる。
また、請求項3の発明は、前記特徴情報抽出部は、前記フレーム内における前記基準被写体の絶対位置又は/及び相対位置を、前記特徴軌跡情報とする請求項1に記載の動作分析装置を特徴とする。
この情報は、一連の軌跡の中では他の部分と比べてより特徴的な情報であるため、比較対象映像を基準映像と比較して類似した軌跡を抽出するうえで特に好適な情報であり、これらの情報を用いることで、より正確に、比較対象映像から個々の動作に係る軌跡を抽出することが可能となる。
この情報は、一連の軌跡の中では他の部分と比べてより特徴的な情報であるため、比較対象映像を基準映像と比較して類似した軌跡を抽出するうえで特に好適な情報であり、これらの情報を用いることで、より正確に、比較対象映像から個々の動作に係る軌跡を抽出することが可能となる。
また、請求項5の発明は、前記特徴情報抽出部は、前記基準被写体の軌跡の一つまたは全部が、急激に方向を変えるときの当該方向を、前記特徴軌跡情報とする請求項1に記載の動作分析装置を特徴とする。
この情報は、一連の軌跡の中では他の部分と比べてより特徴的な情報であるため、比較対象映像を基準映像と比較して類似した軌跡を抽出するうえで特に好適な情報であり、これらの情報を用いることで、より正確に、比較対象映像から個々の動作に係る軌跡を抽出することが可能となる。
この情報は、一連の軌跡の中では他の部分と比べてより特徴的な情報であるため、比較対象映像を基準映像と比較して類似した軌跡を抽出するうえで特に好適な情報であり、これらの情報を用いることで、より正確に、比較対象映像から個々の動作に係る軌跡を抽出することが可能となる。
また、請求項7の発明は、前記特徴情報抽出部は、前記基準被写体間の距離及び角度の時系列変化を、前記特徴軌跡情報とする請求項1に記載の動作分析装置を特徴とする。
この情報は、一連の軌跡の中では他の部分と比べてより特徴的な情報であるため、比較対象映像を基準映像と比較して類似した軌跡を抽出するうえで特に好適な情報であり、これらの情報を用いることで、より正確に、比較対象映像から個々の動作に係る軌跡を抽出することが可能となる。
このように、連続動作に、その内容を定義できることで分析結果をわかりやすく提示することができる。
また、請求項9の発明は、前記時間計測部により計測された前記所要時間と、前記基準映像について設定した各連続動作の区切りタイミング間の時間と、を比較して提示する請求項1乃至8の何れか一項に記載の動作分析装置を特徴とする。
。
このように計測された所要時間と、基準映像における区切りタイミング間の時間を並べて示すことで、どの連続動作にどれだけ時間がかかっているかという最も基本的な情報を分かりやすく提示することが出来る。
かかる構成によれば、どの比較軌跡情報におけるどの連続動作において、基準映像と時間的にどの程度の差があるのかを視覚的に把握することが出来る。
また、請求項11の発明は、連続動作毎に、前記基準軌跡情報及び前記比較軌跡情報を、対応する映像に重ねて提示する請求項1乃至10の何れか一項に記載の動作分析装置を特徴とする。
このように、基準軌跡情報と比較軌跡情報を映像に重ねて表示することで、動作ごとの問題点をより具体的に知ることが出来る。
また、請求項13の発明は、請求項12の動作分析方法を、コンピュータに実現させるための動作分析プログラムを特徴とする。
図1は、本発明のシステム構成を示す概略図である。
図1に示すように、本発明の動作分析装置1は、パーソナルコンピュータや汎用のワークステーションである情報処理装置10、情報処理装置10に接続された1または複数のビデオカメラ(撮像装置)20、動作分析の結果を表示するための表示装置(モニタ)11、情報処理装置10を操作し、命令を入力するための入力装置であるマウス12、キーボード13がから構成されている。
また、動作分析装置1は、ネットワークNWを介して他のコンピュータ3と接続されて、動作分析の結果をコンピュータ3に送信し、表示させるようにしてもよい。
情報処理装置10は、図1で説明したマウス12、キーボード13に加え、装置全体を制御しかつ動作分析装置として機能させるための各種プログラムを実行するCPU30、各種プログラムやデータを格納するためのストレージとしてのハードディスク31、ネットワークNWに接続するためのインターフェイスであるネットワークインターフェイス32、外部機器を接続するための外部I/O33、及びハードディスク31に格納されるプログラムやデータをCPU30による実行及び処理のために展開するRAM(Random Access Memory)34を備えている。
さらに、情報処理装置10は、外部I/O33を介して、一つ以上のビデオカメラ(撮像装置)20と接続されている。ビデオカメラ20は、常時情報処理装置10に接続されている必要はなく、ビデオカメラ20に挿入したメモリカードやビデオカセットに映像を記録し、後から情報処理装置10に接続して、記録した映像を情報処理装置10に転送するようにしてもよい。
また、作業者が作業空間の各所を移動しながら作業するような場合でも、その動作を撮影して動作の軌跡を取得、基準となる動作と比較分析するようにしてもよい。
さらに、個々の作業者の動作に限定されることもなく、複数人の作業者からなるチーム単位で、作業場の各員が移動しながら作業をするような場合、一人一人の作業者の移動軌跡を取得して、基準となるチームの動作と比較、分析することで、より効率的なチーム作業を追求することも可能となる。
また、ライン作業において、コンベア上を流れる部品を作業者がコンベアの流れに合わせて移動しながら組み付けるような場合、カメラをコンベアの流れに合わせて移動させるようにすれば、本発明は適用可能である。
図3(a)に示すように、ビデオカメラ20は、作業空間を、作業者の両手の動作を平面上にとれるように、作業者とともに上方から撮影する。例えば、工場や作業場の天井に設置するのが望ましい。
ただし、ビデオカメラは作業空間の真上であることに限定はされない。例えば、作業者が作業場の壁面に向かって作業をしている場合には、壁面に対しての軌跡が分かればよいため、斜めから撮影をしてもよい。撮影映像の中に、平面が定義できさえすれば、座標変換を行うことによって、両手の軌跡をとることが出来る。
ただし、基準となる作業者の動作を撮影する際も、分析対象となる一般の作業者の動作を撮影する際も、同じ位置関係、角度で撮影をするのが好ましいことは言うまでもない。
さらに、図1に示してあるが、作業者を撮影するビデオカメラは一つに限られず、非常に広い作業空間を複数のビデオカメラで撮影して、個々のビデオカメラの座標系を統合して、空間の全体座標系を取得することが出来る。
このように、複数のビデオカメラで同じ対象の複数の軌跡を撮ることで、分析の精度を高めることが出来る。
図3(b)は、天井から作業者を撮影したときに撮影された画像の例を示すものである。
図3(c)は、撮影された映像から、作業者の手の軌跡を特に抽出したもので、連続的に軌跡を抽出することで、作業者の手の動作を把握することが出来る。
図3(d)に示すように、道具や部品の場所のフレーム内での物理座標(a〜g)を予め定義しておく。これは、一つの動作が、部品や道具を取ったり、戻したりすることで行われる可能性が高いからである。
軌跡を取得する際、両手の座標を映像のフレーム毎に取得するが、この時、画像処理によってフレーム中で手の形状を識別し、識別した形状のフレーム中の座標を追跡することで、軌跡を取得する。また、両手の座標を取得する際には、映像のフレーム中の、手の肌色を識別することによって両手の座標を取得するようにしてもよい。
また、撮影角度や光の関係上、映像中のマーカーの色が変化することもあるため、その場合は、マーカーに模様をつけてそれを識別して軌跡を取得すればよい。複数のマーカーであれば、模様をマーカーごとに変えるようにすればよい。
また、作業者自身が左右に位置を移動しながら作業をするような場合は、頭にマーカーを付けて、頭の座標を中心とした相対座標を、左右の手首の座標として取得する。
また、上述したような、軌跡をとる対象が一人の作業者自身の動作、あるいは複数の作業の動作の場合でも、画像処理によって人間の形状をフレーム中に識別して、動作の軌跡をとる。
この場合も、座標の取得が困難な場合は、頭や体にマーカーをつけてその軌跡を取得し、複数人であれば、マーカーの色を各員で変えて、その色のフレーム中での座標を取得して、その動作の軌跡を取得すればよい。
なお、色つきのマーカーを使用する際には、基準軌跡取得部53、比較軌跡取得部55で軌跡を取得する前に、あらかじめ画面内でのマーカーの色を明示的に指定させることで、より正確に軌跡を取得できる。
本発明に係る動作分析装置は、基準となる被写体である熟練した作業者(ベストパフォーマー)を撮像した映像(基準映像)について、映像内の動作の区切りタイミングを設定させる動作タイミング設定部51と、基準映像内の少なくとも一つの連続する動作からなる連続動作を設定させ、含まれる動作の区切りタイミングを基に連続動作の区切りタイミングを設定する連続動作タイミング設定部52と、基準映像に基づいて基準となる被写体の動作にかかる基準軌跡情報を、各動作の区切りタイミング間で取得してハードディスク31に保存する基準軌跡取得部53と、連続動作タイミング設定部52で設定した各連続動作の区切りタイミングにおける基準軌跡情報に特徴的な特徴軌跡情報を抽出してハードディスク31に保存する特徴情報抽出部54と、他の被写体を撮像した比較映像に基づいて他の被写体の動作に係る比較軌跡情報を取得してハードディスク31に保存する比較軌跡取得部55と、比較軌跡情報から特徴軌跡情報を検索することにより、連続動作タイミング設定部52で設定したものと同じ連続動作を抽出する分析部56と、比較軌跡情報から抽出した各連続動作の所要時間を計測する時間計測部57と、を備えている。
また、後述するように、分析結果をわかりやすく表示するために、一連の動作について具体的な内容(意味)の入力を受け付ける内容入力部58を備える。
まず、動作タイミング設定部51が、基準映像における各動作の区切りとなるタイミングを設定する(ステップS101)。
次に、連続動作タイミング設定部52が、基準映像における一つ以上の連続する動作を結合した一連の連続動作のタイミングを設定する(ステップS102)。この場合、一つの一連の動作の区切りタイミングは、それらに含まれる最後の動作の区切りタイミングとなる。
基準軌跡取得部53が、基準映像から、特定の領域(本実施形態の場合は、基準となる作業者の両手)の移動軌跡を、動作タイミング設定部51により設定された動作の区切りタイミング間で取得する(ステップS103)。
そして、特徴情報抽出部54が、取得した軌跡情報における区切りタイミングに特徴的な軌跡情報を抽出する(ステップS104)。
次に、比較軌跡取得部55が、今度は分析対象となる作業者の映像から両手の軌跡を取得し(ステップS105)、分析部56が、その取得した軌跡から、特徴情報抽出部54で抽出した各動作の区切りタイミングに特徴的な軌跡情報を検索して、基準映像におけるものと同じ動作を抽出し、それらの動作を、連続動作タイミング設定部52で設定した区切りタイミングに基づいて連続動作に集約する(ステップS106)。
そして、時間計測部57が、抽出された分析対象となる被写体の映像における一連の動作について、その所要時間を計測し(ステップS107)、表示装置に提示するのである。
図6は、動作分析ツールを実行した時に表示装置11に表示されるメイン画面を説明する図である。
図6において、ツールの画面は、映像再生領域70、動作/作業一覧表示領域80、作業標準タイムライン表示領域90、比較分析対象一覧領域100、比較分析操作領域110から主に構成されている。
図7は、図6に示す映像再生領域70の詳細図、図8、9は、図6に示す動作/作業一覧表示領域80の詳細図である。
ビデオカメラ20で撮影したベストパフォーマーの映像を図2に示すハードディスク31に格納しておき、映像再生領域70の再生部71で再生する。
なお、再生に先立ち、画面内でのおおまかな縮尺を定義するのが望ましいため、例えば、画面内で絶対的な長さが分かっているような物体に併せてマウスをドラッグし、その場所の長さを入力させるダイアログを表示させるようにする。
ユーザは、再生部71で再生される映像を見ながら、動作を定義する。
すなわち、ユーザが動作の区切りと考えるタイミングで映像の再生を停止、マウス12によって「定義」ボタン72を選択(クリック)する。
「動作」タブ81、「動作名」の列83の1行目には、仮の動作名として「動作00:01:02」、「再生時刻」タブ84には、再生時刻として00:01:02と表示する。これは映像の再生開始から(動作の開始から、とほぼ同義である)1秒02が経過したことを示している。さらに、この動作が両手の動作によるものか、片手の動作によるものか、という情報を、「手の動作」列のドロップダウンリストをマウス12で選択させる。
「動作名」タブ83には仮の動作名が入っているが、図9に示すように、キーボード13を使って、実際の動作に対応した内容を入力させることが出来る。行っている作業がケーキ作りであれば、例えば、「スポンジケーキを取る」となる。
ユーザは、この作業を映像の最後まで繰り返し、映像中の全ての動作の区切りタイミング(作業開始からの経過時間)を「動作」タブ81に表示させていく。
「作業」とは、一連の複数の動作からなる、一つの意味のある動作の単位である。「動作」とは、手の動作の最小限の単位であり、これらを組み合わせることで、一つの作業が成立する、といえる。
例えば、個々の動作として、動作1「スポンジケーキを取る」、動作2「ケーキナイフを取る」、動作3「ケーキを切る」、動作4「ケーキナイフを戻す」、動作5「スポンジケーキ上半分を戻す」、動作6「クリームを取る」、と6つの動作があった場合、動作2から4の3つの動作を纏めることで、「ケーキナイフを取る」→「ケーキを切る」→「ケーキナイフを戻す」→「スポンジケーキ上半分を戻す」という一連の動作からなる「スポンジケーキを上半分に切る」という作業が成立するのである。
作業の定義について、図10、11を用いて説明する。
「動作」タブ81に、
1「スポンジケーキを取る」
2「ケーキナイフを取る」
3「ケーキを切る」
4「ケーキナイフを戻す」
5「スポンジケーキ上半分を戻す」
6「クリームを取る」
と、さらに明記はしないが動作10まで表示されている状態で、「作業」タブ82に移ると、「作業名」列86の一行目には、仮の名前として「作業1」が入力されている。そして、「開始動作」列88、「終了動作」列89の一列目には、作業の開始動作として最初の動作1、終了動作として動作10から予め入力されている。
「作業名」列のセルには、任意の作業名がキーボード13を利用して任意に入力可能である。さらに、「表示色」列87には、個々の作業毎にユニークな表示色を、ドロップダウンリストによって選択するようになっている。
この状態では、映像中の全ての動作が、一つの作業に組み込まれている状態であるため、ユーザは、この一つの作業を、複数の作業に切り分けていく。
これはどのような仕組みとしても良いが、図11に示すように、例えば、「作業」タブ82の末尾の行に、次の「作業」を追加する際に、「開始動作」列のセルにおいて、次の作業の開始動作としたい動作のドロップダウンリストによって選ばせ、その前の行の「終了動作」列のセルに、その選択した開始動作を、終了動作として入力する。さらに、その行についても、「表示色」列のセルで表示色を選ばせていく。
これを繰り返させることで、簡単に全ての動作を複数の「作業」に定義付けていくことが可能となる。
作業の定義付けが終わると、連続動作タイミング設定部52は、図12に示すように、個々の「作業」を、それに対応した開始時間、終了時間を基に、作業標準タイムライン表示領域90に、タイムラインとして表示する。この際、個々の作業は、動作/作業一覧表示領域80の「表示色」列87で選択された色を用いる。
次に、基準軌跡取得部53は、動作毎に両手の軌跡を取得して、ハードディスク31の所定位置に作成したファイルに保存していく。その際は、再生部71に、取得した軌跡と映像を重ねて再生するようにしてもよい。
軌跡の取得が終わると、特徴情報抽出部54が、ベストパフォーマーの映像から取得した軌跡から、動作タイミング設定部51で区切りタイミングを定義した動作ごとに特徴的な軌跡を抽出する。すなわち、動作の区切りタイミングでの軌跡、及び動作中に特徴的な軌跡を抽出する。
この場合、図3(d)に示したように作業空間に道具や部品の置き場の座標を定義しておくことで、動作の区切りで特徴的な軌跡を容易に抽出することが出来る。
すなわち、ある道具や部品を道具や部品の置き場からとった時に「動作」を定義しておけば、その道具や部品について定義した座標を両手、あるいは片手の動作軌跡を通過した時に、この軌跡をその「動作」に特徴的な軌跡とすることが出来る。
さらに、特徴的な軌跡情報として、
・フレーム内における両手の絶対位置又は/及び相対位置
・ビデオカメラ20の撮像範囲を分割した各セルと、撮像時間を分割した各時点での両手各々存在確率
・両手の軌跡の一方または両方が、急激に方向を変えるときの方向
・両手の一方又は両方が所定の半径内に停滞するときに、その半径
・両手間の距離及び角度の時系列変化
を利用することが出来る。
これらの情報は、画像分析によって容易に得ることが出来る情報であり、一連の軌跡の中では他の部分と比べてより特徴的な情報であるため、比較対象映像を基準映像と比較して類似した軌跡を抽出するうえで特に好適な情報であり、これらの情報を用いることで、より正確に、比較対象映像から個々の動作に係る軌跡を抽出することが可能となる。
これで、ベストパフォーマーの作業映像を基準とした各作業の定義は終了である。
ビデオカメラ20で撮影された分析対象となる作業者個々の作業映像のファイルを図2に示すハードディスク31に格納し、分析ツールから呼び出して分析する。
図13は、図6の比較分析対象一覧領域100の詳細を示す図である。
分析ツールにロードされた作業映像のファイルは、作業者名、作業を行った日付、分析をすでに行ったか否か、ファイルのフルパスなどのファイル情報が比較分析対象一覧領域100に登録・列挙される。
ファイル情報において、作業者名や作業を行った日付は、ファイル名にあらかじめそれらの情報を含ませておき、それを呼び出し・登録時に取得するようにすればよい。列挙されたファイル情報の隣には、列102に表示したチェックボックスによって選択・解除が可能となっており、複数のファイル情報を選択して同時に比較を行うことが出来る。
比較分析対象一覧領域100で一つ以上の映像ファイルが選択された状態で、実行ボタン101が、マウスを用いてクリックされると、分析部56は、ハードディスク31から、選択された映像ファイルを呼び出し、動作分析を開始する。
まず、分析部56は、分析対象の映像ファイルから、個々の動作を検出する。
RAM34に標準動作座標管理vectorと呼ぶ領域を確保し、ベストパフォーマーの標準作業映像から基準軌跡取得部53により取得した動作毎の手の座標をすべて標準動作座標管理vectorに入れる。また、検知した動作の番号及びフレーム数を格納するフレーム管理番号map(図14に示す)をRAM34上に確保する。なお、動作の番号は、動作タイミング設定部51で設定した各動作の順番である。
フレームのカウント値A、動作のカウント値BをRAM34にセットし、A値が分析(比較)対象映像のフレーム数、ベストパフォーマーの標準作業映像(基準映像)で定義された動作数を超えない限り、分析対象映像の各フレームの手の座標と標準作業映像の手の座標を比較する。
そして、フレームのカウント値Aの値を一つ増やし、動作のカウント値Bを0に戻し、最初に戻って比較を繰り返す。
分析対象映像の各フレームの手の座標と標準作業映像の手の座標を比較してほぼ一致する軌跡があった時に、その座標に対応する動作の番号Bが、すでにフレーム管理番号mapに格納されている場合は、動作カウント値Bの値を一つ増やして比較を続ける。
かかる処理によれば、分析対象映像中に、標準作業映像において設定した同じ動作を、フレーム数とともに検出することが出来る。
この場合、同じ動作カウント値番号Bが複数見つかった場合は、2回目については無視するようになっている。
まず、RAM34に確保した標準動作座標管理vectorに、標準作業映像から検出される手の動作にかかるすべての座標(軌跡)を入れる(ステップS201)。
次に、分析対象映像のフレーム数と、分析対象映像中の動作の数を0からカウントを始める(ステップS202)。フレーム数を表すカウント値Aに0をセットし、動作の数を表す変数Bにも0をセットする。
フレーム数のカウント値Aが、分析対象映像の全フレーム数に達せず(ステップS203でYes)、動作のカウント値Bが、全動作定義数に達せず(ステップS204でYes)、さらにA番目のフレーム内に検出した手の座標が標準動作座標管理Vectorとほぼ同じであり(ステップS205)、フレーム番号管理mapに動作番号Bが登録されておらず(ステップS206でYes)、さらにA−(動作番号B−1)がフレーム数の閾値よりも大きい場合(ステップS207でYes)の場合、フレーム番号管理mapに(B、A)の値を入れ(ステップS208)、Aに1を加えるとともに、Bを0に戻して(ステップS209)、S203に戻る。S205、S206、S207の何れかを満たさない場合は、Bに1を加えてS204に戻る。また、S204のNoの場合は、S203に戻る。
S203でNoの場合は(全フレーム数に到達したとき)、終了する。
まず、連続動作タイミング設定部52により設定した作業と、作業を定義する動作を対応づけた作業定義動作管理vector(図16)を用意する。
作業定義動作管理vectorにおける動作番号1から順番に対応する動作番号をフレーム番号管理map中に探し、見つかれば、図17に示す作業管理vectorに新たに作業区切り管理クラス200を作成して、作業番号と開始フレーム番号を格納する。そして、その前の作業番号の終了フレームに同じフレーム番号を格納する。これをフレーム番号管理map内のすべての動作番号について繰り返すことにより、分析対象映像から、標準作業映像における作業に対応する連続動作を抽出することが出来る。
RAM34に確保した作業定義動作管理vectorに、開始動作番号を入れる(S301)。
カウント値C(作業定義動作管理vectorカウント)に0をセットする(S302)。
カウント値Cが、作業定義動作管理vectorのサイズに達していない場合(S302でYes)、変数Dに、作業定義動作vectorのC番目の値(最初は0)を代入する(ステップS303)。そして、フレーム番号管理mapからDの値をキーにして取得したフレーム番号をEに代入する(ステップS304)。次に、フレーム番号管理mapからDの値をキーにして取得したフレーム番号を変数Eに代入する(S305)。Eが見つかると(S306でYes)、作業区切り管理クラスをnewし、作業番号と開始フレーム(C、E)を入れる(ステップS307)。ここで、作業番号のカウント値Cが>1であれば、(ステップS308でYes)作業管理vectorのC−1番目の終了フレームにEの値をセットする(ステップS309)。
ステップS306で、Eが見つからない場合(S306でNo)、Dに1をインクリメントし(ステップS313)、Dの値が、図15のフローチャートで算出された全動作数
よりも少なければ(ステップS314でYes)、Dが作業定義動作管理vectorのC+1番目の値よりも小さいかどうかを判断し(ステップS315)、Yesであれば、変数Fにフレーム番号管理mapからDの値をキーにして取得したフレーム番号を代入し(ステップS316)、Fが見つかれば(ステップS317でYes)、ステップS308に進む。
Fが見つからなければ(ステップS317でNo)、ステップS312に進む。
ステップS314またはステップS315でNoであれば、ステップS308に進む。
分析対象映像から全ての作業の抽出が終わると、時間計測部57は、各作業について、所要時間を計測する。これは、作業に含まれるフレーム数が分かっているので、時間あたりのフレーム数に基づいて容易に算出することが出来る。
分析を行った分析対象映像については、比較分析対象一覧領域100の列103の表示を「済」に変更することで、どの映像について、分析を行ったか容易に知ることが出来る。
また、分析対象映像について作業の区切りを検出する際に、全ての動作を検出してから、それらを作業に集約するようにしたので、一つの作業の中で、動作がどの順番で行われているかをも知ることが出来るため、決められた手順で作業を行っているかどうかも判断出来る。
図19は、図6に示す比較分析操作領域110の詳細を示す図である。
比較分析対象一覧領域100の列103が「済」となっている分析対象映像について、所望の映像についてのチェックボックスにチェックをいれて比較分析操作領域110の各ボタン(「作業者別作業積み上げグラフ作成」ボタン111、「作業熟練度グラフ作成ボタン」112、「作業時間ヒストグラム作成」ボタン113)を選択することで、提示部59は、様々なかたちで分析結果をグラフ表示する。
図20は、作業者ごとの各作業時間の積み上げグラフを示す図である。
比較分析操作領域110の「作業者別作業積み上げグラフ作成」ボタン111を選択することで表示される。
複数の作業者について各作業時間を積み上げて表示したグラフを示す図であり、ベストパフォーマーの作業時間も併せて表示すれば、誰が、どの作業について作業標準により近いのか、あるいは離れているのかを視覚的に把握することが出来る。
比較分析対象一覧領域100で、日付を変えて比較を行った同じ作業者の映像を選択して、比較分析操作領域110の「作業熟練度グラフ作成」ボタン112を選択することで表示される。この表示によれば、作業効率の改善の経過(どの作業がどの程度改善し、あるいはどの作業の改善が遅れているのか)を視覚的に把握することが出来る。
図22は、は、一人の作業者の作業時間をヒストグラム化したグラフを示す図である。
「作業時間ヒストグラム作成」ボタン113を選択することで表示される。
その他にも、分析によって得たデータにより図19乃至図21に示すような様々なグラフ、表を作成することが出来る。
図23は、作業者間の作業時間ランキングをグラフで示す図である。
図24は、作業名と作業時間、累積時間を示した表を示す図である。
各作業時間を作業名とともに並べて示すことで、どの作業にどれだけ時間がかかっているかという最も基本的な情報を分かりやすく提示することが出来る。
図25の表では、作業標準であるベストパフォーマーの作業時間と両手の移動距離、分析対象となる作業者の作業時間と両手の移動距離を作業毎に並べて表示している。
このように表示することで、どの作業が、標準時間に比べて余計に時間がかかっているのか、両手がどの程度余計な動作をして作業の効率が落ちているのかを簡単に知ることができる。
なお、以上述べたグラフの作成は、Microsoft Excel(登録商標)のグラフ作成機能を用いれば、容易に実現可能である。
図26は、ベストパフォーマーと、分析対象となる作業者の動作映像を並べて再生する例を示す図である。
作業毎の映像を軌跡とともに、ベストパフォーマーと並べて表示することにより、作業者は自らの作業動作の欠点、問題点を視覚的に認識、把握することが出来、改善に役立てることが出来る。
さらに、映像とともに、軌跡も重ねて表示することでより具体的に問題点を把握することが出来る。
以上、本発明の実施の形態を工場や作業場における作業者の作業動作分析を例にして説明してきたが、本発明の動作分析方法は、こういった作業者の作業効率改善にのみ使用可能なものではない。例えば、他の適用例としてはスポーツの現場が考えられる。
水泳の泳法など一連の動作パターンからなる動きの中で、どの動作に無駄な時間がかかっているか、どこに無駄が動き(軌跡))があるかを、一流選手の動きを撮影した映像から取得した、手や足、頭の動作にかかる軌跡に基づいて分析することにも利用できる。
Claims (13)
- 分析の基準となる少なくとも一つの基準被写体を撮像した基準映像について、当該基準映像における前記基準被写体の動作の区切りタイミングを設定させる動作タイミング設定部と、
前記基準映像内の少なくとも一つの連続する動作からなる連続動作を設定させ、当該連続動作に含まれる動作の区切りタイミングを基に各連続動作の区切りタイミングを設定する連続動作タイミング設定部と、
前記基準映像に基づいて前記基準被写体の動作にかかる基準軌跡情報を、各動作の区切りタイミング間で取得する基準軌跡取得部と、
前記動作タイミング設定部で設定した各動作の区切りタイミングにおける前記基準軌跡情報に含まれる特徴的な特徴軌跡情報を抽出する特徴情報抽出部と、
前記基準被写体と同数の分析対象となる他の被写体を撮像した比較映像に基づいて、前記他の被写体の動作に係る比較軌跡情報を取得する比較軌跡取得部と、
前記比較軌跡情報から前記特徴軌跡情報を検索することにより、前記基準映像におけるものと同じ動作を抽出し、抽出した該同じ動作を、前記連続動作タイミング設定部で設定した区切りタイミングに基づいて前記連続動作に集約する分析部と、
前記比較軌跡情報から抽出した各連続動作の所要時間を計測する時間計測部と、を備えたことを特徴とする動作分析装置。 - 前記特徴情報抽出部は、映像のフレーム内に設定された基準位置を前記特徴軌跡情報とすることを特徴とする請求項1に記載の動作分析装置。
- 前記特徴情報抽出部は、前記フレーム内における前記基準被写体の絶対位置、又は/及び、相対位置を、前記特徴軌跡情報とすることを特徴とする請求項1に記載の動作分析装置。
- 前記特徴情報抽出部は、前記撮像装置の撮像範囲を分割した各セルと、撮像時間を分割した各時点での各基準被写体の存在確率を、前記特徴軌跡情報とすることを特徴とする請求項1に記載の動作分析装置。
- 前記特徴情報抽出部は、前記基準被写体の軌跡の一つまたは全部が、急激に方向を変えるときの当該方向を、前記特徴軌跡情報とすることを特徴とする請求項1に記載の動作分析装置。
- 前記特徴情報抽出部は、前記基準被写体のうちの一つまたは全部が、所定の半径内に停滞するときに、当該半径を前記特徴軌跡情報とすることを特徴とする請求項1に記載の動作分析装置。
- 前記特徴情報抽出部は、前記基準被写体間の距離及び角度の時系列変化を、前記特徴軌跡情報とすることを特徴とする請求項1に記載の動作分析装置。
- 前記連続動作タイミング設定部により設定された各連続動作の内容を入力させる内容入力部を備え、前記比較軌跡情報から抽出された連続動作に対応する連続動作について前記内容入力部から入力された内容と、前記時間計測部により計測された前記所要時間と、を組み合わせて提示することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の動作分析装置。
- 前記時間計測部により計測された前記所要時間と、前記基準映像について設定した各連続動作の区切りタイミング間の時間と、を比較して提示することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の動作分析装置。
- 前記比較軌跡情報から抽出された連続動作に対応する連続動作について入力された内容と、前記時間計測部により計測された前記所要時間と、を複数の前記比較軌跡情報について比較して提示することを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の動作分析装置。
- 連続動作毎に、前記基準軌跡情報及び前記比較軌跡情報を、対応する映像に重ねて提示することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載の動作分析装置。
- 動作タイミング設定部と、連続動作タイミング設定部と、基準軌跡取得部と、特徴情報抽出部と、分析部と、時間計測部と、を備えた動作分析装置の動作分析方法において、
前記連続動作タイミング設定部が、前記基準映像内の少なくとも一つの連続する動作からなる連続動作を設定させ、当該連続動作に含まれる動作の区切りタイミングを基に各連続動作の区切りタイミングを設定するステップと、
前記基準軌跡取得部は、前記基準映像に基づいて前記基準被写体の動作にかかる基準軌跡情報を、各動作の区切りタイミング間で取得するステップと、
前記特徴情報抽出部が、前記動作タイミング設定部で設定した各動作の区切りタイミングにおける前記基準軌跡情報に特徴的な特徴軌跡情報を抽出するステップと、
前記比較軌跡取得部が、前記基準被写体と同数の分析対象となる他の被写体を撮像した比較映像に基づいて、前記他の被写体の動作に係る比較軌跡情報を取得するステップと、
前記分析部が、前記比較軌跡情報から前記特徴軌跡情報を検索することにより、前記基準映像におけるものと同じ動作を抽出し、抽出した動作を、前記連続動作タイミング設定部で設定した区切りタイミングに基づいて前記連続動作に集約するステップと、
前記時間計測部が、前記比較軌跡情報から抽出した各連続動作の所要時間を計測するステップと、を有することを特徴とする動作分析方法。 - 請求項12の動作分析方法を、コンピュータに実現させるための動作分析プログラム。
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