JP2011032520A - ホウ化ランタンターゲットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホウ化ランタンにより高密度のターゲットを製造する。
【解決手段】ホウ化ランタン粉と、不活性ガス中の熱重量分析によって、500℃に到達した時点における重量減少率が95重量%未満であるバインダと、有機溶媒とを混合して、ホウ化ランタン濃度が30〜75重量%のスラリーを調整し、このスラリーを噴霧乾燥した後、その乾燥粉を45〜250μmに分級することにより混合造粒粉とし、その混合造粒粉を真空中でホットプレスすることにより焼結体を得る。
【選択図】 なし
【解決手段】ホウ化ランタン粉と、不活性ガス中の熱重量分析によって、500℃に到達した時点における重量減少率が95重量%未満であるバインダと、有機溶媒とを混合して、ホウ化ランタン濃度が30〜75重量%のスラリーを調整し、このスラリーを噴霧乾燥した後、その乾燥粉を45〜250μmに分級することにより混合造粒粉とし、その混合造粒粉を真空中でホットプレスすることにより焼結体を得る。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ホウ化ランタンからなる高密度のスパッタリング用ターゲットの製造方法に関する。
ホウ化ランタン(LaB6)は、化学的に安定で、水、酸、アルカリ等に侵され難いことから、様々な用途開発が期待されている材料である。例えば、特許文献1では、光学的情報記録用媒体の誘電体層にホウ化ランタンが用いられている。
このホウ化ランタンは、特許文献1記載のように薄膜として用いられることが多く、その薄膜の形成は通常、スパッタリング法によって行われる。このため、ホウ化ランタンをスパッタリング用ターゲットとして成形して使用している。
このホウ化ランタンは、特許文献1記載のように薄膜として用いられることが多く、その薄膜の形成は通常、スパッタリング法によって行われる。このため、ホウ化ランタンをスパッタリング用ターゲットとして成形して使用している。
従来、このようなホウ化ランタンによるターゲットの製造方法として特許文献2記載の方法がある。この製造方法は、ホウ化ランタン粉として、平均粒径が0.1〜100μmの範囲で粒径が重なり合わない複数の粉体群で、これらの粉体群の少なくとも2つの粉体群の混合粉体からなる粉を用い、これをホットプレスによって成形、焼結することにより、焼結体密度比が80%以上で、結晶粒径が50μm以下とされたターゲットを製造する方法である。
一般にホウ化物は焼結性が悪く、ホウ化ランタン粉をホットプレスによって高温、高圧で成形、焼結しても高密度のものが得られず、その密度が低いと、ターゲットとしてスパッタリングしたときに、異常放電が生じてパーティクルが発生するという不具合がある。
特許文献2記載の方法は、粒径の異なる複数の粉体群を混合して成形、焼結することにより、高密度化したものであるが、この方法であっても90%程度までの密度のものしか得られず、さらに高い密度のターゲットが望まれている。
特許文献2記載の方法は、粒径の異なる複数の粉体群を混合して成形、焼結することにより、高密度化したものであるが、この方法であっても90%程度までの密度のものしか得られず、さらに高い密度のターゲットが望まれている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ホウ化ランタンにより高密度のターゲットを製造することを目的とする。
本発明のホウ化ランタンターゲットの製造方法は、ホウ化ランタン粉と、不活性ガス中の熱重量分析によって、500℃に到達した時点における重量減少率が95%未満であるバインダと、有機溶媒とを混合して、ホウ化ランタン濃度が30〜75重量%のスラリーを調整し、このスラリーを噴霧乾燥した混合造粒粉を真空中でホットプレスすることにより焼結体を得ることを特徴とする。
ホウ化ランタン粉をバインダと有機溶媒により混合して得たスラリーから造粒することにより、球状粒の混合造粒粉となることから流動性を良くし、最密充填を可能にして均一な密度の成形体を得ることができる。この場合、スラリー中のホウ化ランタン濃度を上記範囲とすることにより、安定した造粒を可能にし、均一な組織の焼結体とすることができる。
ところが、ホウ化ランタンは、酸化し易いため表面に酸化膜が形成され、これが焼結の阻害となっている。このため、焼結開始前に酸化膜を除去することにより、ホウ化ランタンの焼結性を高める必要がある。この場合、バインダは炭素を含む有機物であるから還元作用が期待でき、その還元作用によってホウ化ランタンの酸化膜を除去できると考えられる。
ところが、ホウ化ランタンは、酸化し易いため表面に酸化膜が形成され、これが焼結の阻害となっている。このため、焼結開始前に酸化膜を除去することにより、ホウ化ランタンの焼結性を高める必要がある。この場合、バインダは炭素を含む有機物であるから還元作用が期待でき、その還元作用によってホウ化ランタンの酸化膜を除去できると考えられる。
しかしながら、バインダは、一般には、成形後、焼結開始前の比較的低温で気化して除去しないと焼結体中の気孔の原因となると言われており、焼結前に脱脂するのが普通であるが、バインダが低温で気化して成形体から除去されてしまうと、ホウ化ランタンの酸化膜を除去できず、焼結性の向上が期待できない。
そこで、バインダとして分解温度が高いものを用いて、焼結前の高温までバインダを残留させ、真空中での焼結時にバインダの還元作用によってバインダとホウ化ランタンの酸化物とを反応させてガス化する。これにより、焼結しにくいホウ化ランタンの焼結性を向上させ、高密度の焼結体を製造することができる。また、真空中での焼結であるから、バインダと酸化物との反応により生じたガスは成形体から離脱することが可能であり、気孔の発生もない。
そこで、バインダとして分解温度が高いものを用いて、焼結前の高温までバインダを残留させ、真空中での焼結時にバインダの還元作用によってバインダとホウ化ランタンの酸化物とを反応させてガス化する。これにより、焼結しにくいホウ化ランタンの焼結性を向上させ、高密度の焼結体を製造することができる。また、真空中での焼結であるから、バインダと酸化物との反応により生じたガスは成形体から離脱することが可能であり、気孔の発生もない。
本発明のホウ化ランタンターゲットの製造方法において、前記スラリーを噴霧乾燥した後、その乾燥粉を45〜250μmに分級することにより前記混合造粒粉とするとよい。
この粒径範囲に分級することにより、混合造粒粉の充填密度が向上し、高い焼結密度の焼結体を得ることができる。
この粒径範囲に分級することにより、混合造粒粉の充填密度が向上し、高い焼結密度の焼結体を得ることができる。
本発明のホウ化ランタンターゲットの製造方法において、前記スラリーを噴霧乾燥した後、その乾燥粉を破砕することにより前記混合造粒粉とするとよい。
破砕により比表面積が増えるので、バインダとホウ化ランタンとの接触面積が増大して、ホットプレス中に脱酸素され易くなり、焼結性がさらに向上する。
破砕により比表面積が増えるので、バインダとホウ化ランタンとの接触面積が増大して、ホットプレス中に脱酸素され易くなり、焼結性がさらに向上する。
本発明のホウ化ランタンターゲットの製造方法によれば、ホウ化ランタンをバインダ等とともに造粒することにより、球状粒の混合造粒粉となることから流動性を向上させ、これにより最密充填を可能にし、また、その成形、焼結時には、分解温度の高いバインダを高温まで残留させることにより、このバインダの還元作用によってホウ化ランタン表面の酸化膜を除去して、ホウ化ランタンを焼結し易い状態にし、もって、高密度の焼結体を製造することができ、スパッタリング用ターゲットとして用いることにより、密度が高いので、異常放電を低減させることができる。
以下、本発明のホウ化ランタンターゲットの製造方法の一実施形態を説明する。
このホウ化ランタンターゲットの製造方法は、ホウ化ランタン、バインダ、有機溶媒を混合して噴霧乾燥することにより混合造粒粉を形成し、その混合造粒粉を成形型に入れて成形、焼結することにより、ターゲットとして製造するものである。以下、混合造粒粉を形成するための造粒工程と、その混合造粒粉によりターゲットを成形、焼結する成形・焼結工程とに分けて説明する。
このホウ化ランタンターゲットの製造方法は、ホウ化ランタン、バインダ、有機溶媒を混合して噴霧乾燥することにより混合造粒粉を形成し、その混合造粒粉を成形型に入れて成形、焼結することにより、ターゲットとして製造するものである。以下、混合造粒粉を形成するための造粒工程と、その混合造粒粉によりターゲットを成形、焼結する成形・焼結工程とに分けて説明する。
(1)造粒工程
ホウ素(B)を31.0〜33.0重量%含有するホウ化ランタン粉末と、バインダと、有機溶媒とを混合して、ホウ化ランタン濃度が30〜75重量%のスラリーを調製する。
ホウ化ランタン粉末のFisher SuB Sieve Sizer(FSSS)による平均粒径は、粒径が大きいと、後の焼結が進みにくいため、11μm以下であることが好ましい。このホウ化ランタン粉末としては、例えば、日本新金属株式会社のホウ化ランタン粉であるLaB6−F、LaB6−O等を用いることができる。LaB6−Fは、粒度が1.0〜2.0μmであり、その成分としてBが31.0〜33.0重量%、Cが0.50重量%以下、Oが2.00重量%以下、Nが0.50重量%以下含有する。LaB6−Oは、粒度が7.0〜11.0μmであり、その成分としてBが31.0〜33.0重量%、Cが0.50重量%以下、Oが2.00重量%以下、Nが0.50重量%以下含有する。
ホウ素(B)を31.0〜33.0重量%含有するホウ化ランタン粉末と、バインダと、有機溶媒とを混合して、ホウ化ランタン濃度が30〜75重量%のスラリーを調製する。
ホウ化ランタン粉末のFisher SuB Sieve Sizer(FSSS)による平均粒径は、粒径が大きいと、後の焼結が進みにくいため、11μm以下であることが好ましい。このホウ化ランタン粉末としては、例えば、日本新金属株式会社のホウ化ランタン粉であるLaB6−F、LaB6−O等を用いることができる。LaB6−Fは、粒度が1.0〜2.0μmであり、その成分としてBが31.0〜33.0重量%、Cが0.50重量%以下、Oが2.00重量%以下、Nが0.50重量%以下含有する。LaB6−Oは、粒度が7.0〜11.0μmであり、その成分としてBが31.0〜33.0重量%、Cが0.50重量%以下、Oが2.00重量%以下、Nが0.50重量%以下含有する。
バインダとしては、不活性ガス中の熱重量分析によって、500℃に到達した時点における重量減少率が95%未満であり、ポリビニールブチラール(PVB)が好適である。このポリビニールブチラールは、不活性ガス中の熱重量分析によって、500℃に到達した時点における重量減少率が90%とされる。アクリル系バインダやセルロース系バインダは400℃から500℃程度で完全に分解し重量減少率100%であるが、ポリビニールブチラールは、これらのバインダより熱分解温度が高温であり、ホウ化ランタンの焼結時に高温まで残留することができる。分解温度がポリビニールブチラールより高温であるなら他のバインダを用いてもかまわない。このバインダは、0.2〜5.0重量%の比率で添加される。
一方、有機溶媒としてはエタノールやプロパノール等を用いることが好ましい。
このスラリー中のホウ化ランタン濃度を30〜75重量%としたのは、75重量%を超えると上記スラリーが非水系であるため、安定した混合造粒が難しい問題点があり、30重量%未満では均一な組織を有する緻密な焼結体が得られないからである。
一方、有機溶媒としてはエタノールやプロパノール等を用いることが好ましい。
このスラリー中のホウ化ランタン濃度を30〜75重量%としたのは、75重量%を超えると上記スラリーが非水系であるため、安定した混合造粒が難しい問題点があり、30重量%未満では均一な組織を有する緻密な焼結体が得られないからである。
これらホウ化ランタン粉末、バインダ及び溶媒の混合は、湿式ボールミル又は撹拌ミルにより行われる。湿式ボールミルでは、ジルコニアボールを用いる場合には、直径5〜10mmのジルコニアボールを用いて8〜24時間、好ましくは20〜24時間湿式混合される。ジルコニアボールを用いる場合、混合を十分に行い、かつ不純物が増えないようにするために5〜10mmの直径のジルコニアボールとするのが好ましい。また、混合時間を最長24時間とするのは、連続して混合しても不純物の発生が少ないからである。撹拌ミルでは、直径1〜3mmのジルコニアボールを用いて0.5〜1時間湿式混合される。この場合も、ジルコニアボールは、1〜3mmの直径とすると、十分に混合されかつ不純物が増えないので好ましい。また混合時間は1時間もあれば十分に混合できる。
そして、この湿式ボールミル又は撹拌ミルにより得られたスラリーを噴霧乾燥して、粒径が45〜250μm、好ましくは45〜200μmに分級した混合造粒粉を得る。
混合造粒粉の粒径が45μm未満の場合は、粉の流動性が低いため充填密度が上がりにくく、また、ホウ化ランタンの表面酸化が進み易くなる傾向にある。一方、混合造粒粉の粒径が250μmを越えると、造粒した粉の間にできる隙間が広くなり、焼結密度が上がりにくくなるので、粒径を45〜250μmとするのが好ましい。この噴霧乾燥はスプレードライヤを用いて行われることが好ましい。このスプレードライヤは、スラリーを噴霧して微粒化し、乾燥室中で高温気流と接触させることにより、瞬間的に球状の粉粒体に造粒して乾燥する装置である。
また、スプレードライヤで噴霧乾燥した造粒粉を上記の粒径範囲に分級して、そのまま使用してもよいが、ホウ化ランタン粉末表面の酸化物除去を促進するためには、造粒粉の比表面積が大きい方が好ましい。そこで、スプレードライヤで製造した顆粒状の造粒乾燥粉末をボールミル等で破砕し、45〜250μmに分級して得られた混合造粒粉として用いるとなおよい。
混合造粒粉の粒径が45μm未満の場合は、粉の流動性が低いため充填密度が上がりにくく、また、ホウ化ランタンの表面酸化が進み易くなる傾向にある。一方、混合造粒粉の粒径が250μmを越えると、造粒した粉の間にできる隙間が広くなり、焼結密度が上がりにくくなるので、粒径を45〜250μmとするのが好ましい。この噴霧乾燥はスプレードライヤを用いて行われることが好ましい。このスプレードライヤは、スラリーを噴霧して微粒化し、乾燥室中で高温気流と接触させることにより、瞬間的に球状の粉粒体に造粒して乾燥する装置である。
また、スプレードライヤで噴霧乾燥した造粒粉を上記の粒径範囲に分級して、そのまま使用してもよいが、ホウ化ランタン粉末表面の酸化物除去を促進するためには、造粒粉の比表面積が大きい方が好ましい。そこで、スプレードライヤで製造した顆粒状の造粒乾燥粉末をボールミル等で破砕し、45〜250μmに分級して得られた混合造粒粉として用いるとなおよい。
(2)成形・焼結工程
上記のようにして得られた混合造粒粉を高純度グラファイトからなる成形型に入れて、ホットプレスにより所定の圧力、温度で加圧成形して焼結する。この場合、混合造粒粉は球状粒を含んでいるため、流動性がよく、充填むらを生じることなく成形型内に緊密に充填される。
また、このホットプレスでは、成形型に入れた混合造粒粉を真空雰囲気中で加圧、加熱する。その圧力としては、5〜40MPa、加熱温度としては1500℃以上、例えば2000℃で1〜10時間維持する。なお、ピーク温度に達する前に、一部のバインダの分解ガスを放出するため例えば500℃で1時間保持される。
上記のようにして得られた混合造粒粉を高純度グラファイトからなる成形型に入れて、ホットプレスにより所定の圧力、温度で加圧成形して焼結する。この場合、混合造粒粉は球状粒を含んでいるため、流動性がよく、充填むらを生じることなく成形型内に緊密に充填される。
また、このホットプレスでは、成形型に入れた混合造粒粉を真空雰囲気中で加圧、加熱する。その圧力としては、5〜40MPa、加熱温度としては1500℃以上、例えば2000℃で1〜10時間維持する。なお、ピーク温度に達する前に、一部のバインダの分解ガスを放出するため例えば500℃で1時間保持される。
この焼結時に、混合造粒粉内のバインダは最終的には消失するのであるが、このバインダとして用いたポリビニールブチラールは、不活性ガス中の熱重量分析によって、500℃に到達した時点における重量減少率が90重量%であるため、500℃以上の高温まで混合造粒粉内に残留する。また、真空雰囲気であることから、ポリビニールブチラールがホウ化ランタン粉の表面の酸化物を還元し、そのときに生じた反応ガスは真空雰囲気で成形体中から離脱される。これにより、ホウ化ランタンの表面の酸化物が除去され、その焼結性が改善されることから、焼結体の高密度化が促進される。したがって、混合造粒粉の流動性向上による成形型への緊密充填の効果と相俟って、緻密な焼結体を製造することができる。
このようにして形成されたターゲットは、ホウ化ランタンが31.0〜33.0重量%、酸素が0.5重量%以下、炭素が0.5重量%含有し、密度は93〜99%、平均粒径は電子後方散乱回析(EBSD)による測定で35μm以下(標準偏差15μm以下)とされる。
このようにして形成されたターゲットは、ホウ化ランタンが31.0〜33.0重量%、酸素が0.5重量%以下、炭素が0.5重量%含有し、密度は93〜99%、平均粒径は電子後方散乱回析(EBSD)による測定で35μm以下(標準偏差15μm以下)とされる。
次に、本発明のホウ化ランタンターゲットの製造方法の効果を確認するために行った実施例について説明する。
ホウ化ランタン粉としては、日本新金属株式会社のホウ化ランタン粉のLaB6−Oを用いた。バインダとしては、ポリビニールブチラール(PVB)として、電気化学工業株式会社のデンカブチラール#6000−EPを用いた。また、比較例として、アクリル系バインダ(中央理科工業株式会社製SA−200)、セルロース系バインダ(日新化成株式会社製EC−100FTR)を用いた。溶媒はエタノールとした。
これらをホウ化ランタンの濃度が50重量%、バインダの濃度が1重量%となるように調整して、湿式ボールミルで混合することによりスラリーとした。このスラリーをスプレードライヤで噴霧乾燥することにより噴霧乾燥粉を得た。そして、これを分級して45〜250μmの粒径の混合造粒粉とした。また、スプレードライヤで得た噴霧乾燥粉を直径が10mmのジルコニアボールにて、30分間、さらに破砕した後に再度分級して、45〜250μmの粒径としたものも併せて使用した。
ホウ化ランタン粉としては、日本新金属株式会社のホウ化ランタン粉のLaB6−Oを用いた。バインダとしては、ポリビニールブチラール(PVB)として、電気化学工業株式会社のデンカブチラール#6000−EPを用いた。また、比較例として、アクリル系バインダ(中央理科工業株式会社製SA−200)、セルロース系バインダ(日新化成株式会社製EC−100FTR)を用いた。溶媒はエタノールとした。
これらをホウ化ランタンの濃度が50重量%、バインダの濃度が1重量%となるように調整して、湿式ボールミルで混合することによりスラリーとした。このスラリーをスプレードライヤで噴霧乾燥することにより噴霧乾燥粉を得た。そして、これを分級して45〜250μmの粒径の混合造粒粉とした。また、スプレードライヤで得た噴霧乾燥粉を直径が10mmのジルコニアボールにて、30分間、さらに破砕した後に再度分級して、45〜250μmの粒径としたものも併せて使用した。
成形型はグラファイトにより形成し、混合造粒粉を充填し、到達圧力:1Paまで真空排気し、加圧力5MPaにて加圧した後、8℃/分の昇温速度で加熱し、500℃にて1時間保持した。その後、加圧力を34MPaとしてから昇温し、温度が2000℃にて2時間保持し焼結した。この焼結により得られた焼結体を直径152.4mm、厚さ6mmの円板に機械加工し、電子天秤にて重量測定し、密度を測定した。その後、バッキングプレートとなる銅製の水冷板にはんだ付けしてターゲットとした。なお、表1にはホウ化ランタンの理論密度を4.71g/cm3とした時の相対密度を示している。
次に、スパッタリング装置のチャンバ内に、被処理基板との間に70mmの間隔を開けてターゲットを取り付け、チャンバ内を5×10−5Paまで真空引きした後、Arを導入し、0.5PaのAr雰囲気として、ターゲットと被処理基板との間に1kwの直流電圧を印加した。この状態で30分間スパッタリングし、その間に生じた異常放電の回数を測定した。この異常放電回数は、スパッタリング装置に用いた直流電源(MKSインスツルメンツ社製パルスDC電源RPG−50)に付属するアーキングカウンタにて計測した。
スパッタ条件としては、下記の通りである。
スパッタ装置:通常のマグネトロンスパッタ装置
ターゲット:直径152.4mm、厚さ6mm
到達真空度:5×10−5Pa以下
Arガス圧:0.5Pa
投入電力:150W(パルスなし)
ターゲット基板間距離:70mm
なお、熱重量分析としては、混合造粒粉を5℃/分で室温から窒素雰囲気中で昇温し、500℃における重量減少率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
次に、スパッタリング装置のチャンバ内に、被処理基板との間に70mmの間隔を開けてターゲットを取り付け、チャンバ内を5×10−5Paまで真空引きした後、Arを導入し、0.5PaのAr雰囲気として、ターゲットと被処理基板との間に1kwの直流電圧を印加した。この状態で30分間スパッタリングし、その間に生じた異常放電の回数を測定した。この異常放電回数は、スパッタリング装置に用いた直流電源(MKSインスツルメンツ社製パルスDC電源RPG−50)に付属するアーキングカウンタにて計測した。
スパッタ条件としては、下記の通りである。
スパッタ装置:通常のマグネトロンスパッタ装置
ターゲット:直径152.4mm、厚さ6mm
到達真空度:5×10−5Pa以下
Arガス圧:0.5Pa
投入電力:150W(パルスなし)
ターゲット基板間距離:70mm
なお、熱重量分析としては、混合造粒粉を5℃/分で室温から窒素雰囲気中で昇温し、500℃における重量減少率を測定した。
これらの結果を表1に示す。
この表1から明らかなように、実施例のものは、比較例に比べて相対密度が高く、また、異常放電回数が少ない。実施例の中でも、混合造粒粉の粒径を45〜250μmに分級したもの(実施例1〜5)の方が、そのように分級しなかったもの(実施例5〜7)よりも、密度が高く、異常放電回数も少なかった。
この実施例のターゲットについて、電子後方散乱回析(EBSD)からの結晶方位マップをもとに、粒子の面積と同等円の直径に換算してホウ化ランタン粉の平均粒径を求めたところ、平均粒径27μm、標準偏差8μmであった。また、含有不純物について分析した結果、酸素が0.09〜0.19重量%、炭素が0.14〜0.17重量%であった。
このターゲットを用いてスパッタリングすることにより、高密度であることから、異常放電によるパーティクルの発生もなく、高品質のスパッタリング膜を得ることができる。
この実施例のターゲットについて、電子後方散乱回析(EBSD)からの結晶方位マップをもとに、粒子の面積と同等円の直径に換算してホウ化ランタン粉の平均粒径を求めたところ、平均粒径27μm、標準偏差8μmであった。また、含有不純物について分析した結果、酸素が0.09〜0.19重量%、炭素が0.14〜0.17重量%であった。
このターゲットを用いてスパッタリングすることにより、高密度であることから、異常放電によるパーティクルの発生もなく、高品質のスパッタリング膜を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
Claims (3)
- ホウ化ランタン粉と、不活性ガスの熱重量分析によって、500℃に到達した時点における重量減少率が95重量%未満であるバインダと、有機溶媒とを混合して、ホウ化ランタン濃度が30〜75重量%のスラリーを調整し、このスラリーを噴霧乾燥した混合造粒粉を形成し、この混合造粒粉を真空中でホットプレスすることにより焼結体を得ることを特徴とするホウ化ランタンターゲットの製造方法。
- 前記スラリーを噴霧乾燥した後、その乾燥粉を45〜250μmに分級することにより前記混合造粒粉とすることを特徴とする請求項1記載のホウ化ランタンターゲットの製造方法。
- 前記スラリーを噴霧乾燥した後、その乾燥粉を破砕することにより前記混合造粒粉とすることを特徴とする請求項1又は2記載のホウ化ランタンターゲットの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012214374A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-11-08 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 六ホウ化ランタン微粒子の製造方法、六ホウ化ランタン微粒子、六ホウ化ランタン焼結体、六ホウ化ランタン膜及び有機半導体デバイス |
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2009
- 2009-07-31 JP JP2009178833A patent/JP2011032520A/ja not_active Withdrawn
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JP2012214374A (ja) * | 2011-03-29 | 2012-11-08 | Sumitomo Osaka Cement Co Ltd | 六ホウ化ランタン微粒子の製造方法、六ホウ化ランタン微粒子、六ホウ化ランタン焼結体、六ホウ化ランタン膜及び有機半導体デバイス |
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