JP2011032448A - 塗料用樹脂組成物、これを含む常温硬化型塗料および熱硬化型塗料 - Google Patents

塗料用樹脂組成物、これを含む常温硬化型塗料および熱硬化型塗料 Download PDF

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利明 柿沼
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Abstract

【課題】安定性を良好に維持し、計量等の工程が煩雑になりにくく、かつ、基材との密着性に優れ、意匠性、耐傷付き性、耐水性、耐薬品性、および耐衝撃性が良好なコーティング膜を形成できる常温硬化型塗料および熱硬化型塗料と、これら塗料を得ることができる塗料用樹脂組成物の提供。
【解決手段】3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(a)と、下記一般式(1)で表されるポリエステルポリオールおよびポリカプロラクトンジオールから選ばれる少なくとも1種のポリマーポリオール(b)との反応により生成されるウレタン樹脂(A)3〜80質量%、およびアクリル樹脂(B)20〜97質量%からなることを特徴とする塗料用樹脂組成物を用いる。
[化1]
Figure 2011032448

【選択図】なし

Description

本発明は、塗料用樹脂組成物、これを含む常温硬化型塗料および熱硬化型塗料に関する。
従来、鋼製家具、家電製品のシャーシー等の金属加工製品や、ノートパソコン等のプラスチック製筺体などの基材表面には、意匠性、基材表面の傷付き防止性(耐傷付き性)、耐水性、耐薬品性(耐有機溶媒性、耐酸性、耐アルカリ性、耐汚染性)を付与するために、アクリル樹脂やアルキド樹脂、ウレタン樹脂等からなる各種有機高分子樹脂製塗料より形成されたコーティング膜が設けられる場合が多い。これら有機高分子樹脂製塗料の中でも、特にアクリル樹脂は耐候性、耐薬品性に優れているという特徴を有し、種々開発されている。
近年、各市場におけるコストダウンの要求や、環境対応への関心の高まりから、リサイクル性に優れた非鉄合金、具体的にはアルミニウム合金、マグネシウム合金や、ナイロンに代表される各種プラスチック材料が増えたり、耐久年数が向上したりしている。そのため、既存の材料に加え、これら非鉄合金や各種プラスチック材料等のリサイクル性に優れた材料からなる基材に対しても密着性に優れ、かつ、さらなる耐候性や耐薬品性が良好で、濁りが少なく意匠性に優れたコーティング膜が望まれている。
例えば特許文献1には、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオールから選ばれる少なくとも1種以上のポリマーポリオールと有機ジイソシアネートを反応させて得られるウレタン変性樹脂を主成分とする、高加工性でありながら十分な塗膜硬度を保持した塗料用樹脂組成物が開示されている。
また、特許文献2には、異なる含有量のメチルメタクリレートを含む単量体成分を重合してなる2種類のアクリル樹脂と、ウレタン化付加物を含有する、ナイロン製品に対する付着性に優れた塗膜を形成できるプラスチック用塗料組成物が開示されている。
特開昭64−75571号公報 特開2003−253021号公報
しかしながら、特許文献1に記載の塗料用樹脂組成物のように、アクリルポリオール等の多官能性ポリオールを用いる場合、多官能性ポリオールと有機イソシアネートとの反応時に粘度上昇やゲル化を引き起こすことがあった。
また、特許文献2に記載のプラスチック用塗料組成物は、3成分と多成分であるため、計量等の工程が煩雑であった。また、2種類のアクリル樹脂を構成する(メタ)アクリルモノマーの組み合わせによっては、アクリル樹脂同士の相溶性が低下する場合があり、その結果、得られる塗膜が濁ったり、塗装後の塗膜と基材との密着性が低下したりする傾向があった。さらに、ウレタン化付加物は、構造上、水酸基を含有するポリマーと反応しやすく、一液安定性が低下したり、得られる塗膜の可撓性が乏しくなり耐衝撃性が低下したりする傾向があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、安定性を良好に維持し、計量等の工程が煩雑になりにくく、かつ、基材との密着性に優れ、意匠性、耐傷付き性、耐水性、耐薬品性、および耐衝撃性が良好なコーティング膜を形成できる常温硬化型塗料および熱硬化型塗料と、これら塗料を得ることができる塗料用樹脂組成物の提供を課題とする。
本発明の塗料用樹脂組成物は、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(a)と、下記一般式(1)で表されるポリエステルポリオールおよびポリカプロラクトンジオールから選ばれる少なくとも1種のポリマーポリオール(b)との反応により生成されるウレタン樹脂(A)3〜80質量%、およびアクリル樹脂(B)20〜97質量%からなることを特徴とする。
Figure 2011032448
式(1)中、Rは炭素数1〜12の炭化水素置換基を表し、mは1〜14の整数を表す。
また、本発明の常温硬化型塗料は、前記塗料用樹脂組成物を含むことを特徴とする。
また、本発明の熱硬化型塗料は、前記塗料用樹脂組成物を含むことを特徴とする。
本発明の塗料用樹脂組成物によれば、安定性を良好に維持し、計量等の工程が煩雑になりにくく、かつ、基材との密着性に優れ、意匠性、耐傷付き性、耐水性、耐薬品性、および耐衝撃性が良好なコーティング膜を形成できる常温硬化型塗料および熱硬化型塗料を得ることができる。
また、本発明の常温硬化型塗料および熱硬化型塗料によれば、安定性を良好に維持し、計量等の工程が煩雑になりにくく、かつ、基材との密着性に優れ、意匠性、耐傷付き性、耐水性、耐薬品性、および耐衝撃性が良好なコーティング膜を形成できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を示し、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸の両方を示すものとする。
[塗料用樹脂組成物]
本発明の塗料用樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」という。)は、ウレタン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)からなる。
<ウレタン樹脂(A)>
ウレタン樹脂(A)は、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(a)(以下、「(a)成分」という。)と、ポリマーポリオール(b)(以下、「(b)成分」という。)との反応により生成される。
(a)成分としては市販品を用いてもよく、例えばBayer Material Science社製の「Desmodur I」;Evonik Degussa社製の「VESTANAT IPDI」などが好適である。
(b)成分は、上記一般式(1)で表されるポリエステルポリオール、およびポリカプロラクトンジオールから選ばれる少なくとも1種のポリマーポリオールである。
式(1)中、Rは炭素数1〜12の炭化水素置換基を表す。炭素数が12以下であれば、(a)成分との反応で得られるウレタン樹脂(A)の耐薬品性が良好になると共に、基材との密着性に優れるようになる。後述するアクリル樹脂(B)との相溶性の観点から、炭化水素置換基の炭素数は2〜10が好ましい。
炭化水素置換基は、直鎖状でも分岐鎖状でも環状でもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基等が挙げられる。
mは、1〜14の整数である。mが1以上であれば、得られる塗料組成物から形成されるコーティング膜の耐傷付き性および耐水性が良好となる。一方、mが14以下であれば、コーティング膜の耐薬品性および耐衝撃性が良好となる。コーティング膜の意匠性の観点から、mは2〜8の整数が好ましい。
上記一般式(1)で表されるポリエステルポリオールとしては、例えばポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(テレフタル酸)]、ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(アジピン酸)]、ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(セバシン酸)]などが挙げられる。また、市販品を用いてもよく、例えば株式会社クラレ製の「クラレポリオールシリーズ」などが好適である。
これらポリエステルポリオールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一方、ポリカプロラクトンジオールとしては、例えばポリ[(カプロラクトンジオール)−alt−(アジピン酸)]、ポリ[(カプロラクトンジオール)−alt−(セバシン酸)]などが挙げられる。また、市販品を用いてもよく、例えばダイセル化学工業株式会社製の「プラクセルLシリーズ」などが好適である。
これらポリカプロラクトンジオールは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、(b)成分は、平均分子量が5000以下のものが好ましい。平均分子量が5000以下であれば、(a)成分との反応において、粘度の上昇を抑制でき、取り扱い性が容易となる。平均分子量の下限値については特に制限されないが、1000以上が好ましい。
上述した(a)成分と(b)成分とを反応させることで、ウレタン樹脂(A)が得られる。
(a)成分と(b)成分との配合比は、(a)成分1モルに対し、(b)成分が1.8〜2.2モルであることが好ましい。(b)成分が1.8モル以上であれば、得られる樹脂組成物から形成されるコーティング膜の、各種基材に対する密着性がより良好となる。一方、(b)成分が2.2モル以下であれば、コーティング膜の耐水性がより良好となる。
(a)成分と(b)成分との反応には、必要に応じてジブチルチンラウリレート等の反応促進剤、エチレンジアミン等の鎖延長剤、エタノール等の反応停止剤を使用することができる。
なお、反応の終点は、イソシアネート基の含有率を測定したり、赤外線分光光度計によるイソシアネート基の吸収ピークを追跡したりすることで判別できる。
ウレタン樹脂(A)の生成方法としては、(a)成分と(b)成分のみで反応を行う方法、(a)成分と(b)成分の反応を後述するアクリル樹脂(B)内で行う方法が挙げられる。また、後述するアクリル樹脂(B)を製造する際に用いる有機溶媒存在下で、(a)成分と(b)成分の反応を行い、引き続き同じ反応系においてアクリル樹脂(B)を製造してもよく、この方法であれば、ウレタン樹脂(A)の反応を制御しやすく、かつ複雑な反応工程を経ずに、本発明の樹脂組成物を製造できる。
このようにして得られるウレタン樹脂(A)は、(a)成分と(b)成分より得られるので、特異な構造を有している。従って、本発明の樹脂組成物より形成されるコーティング膜は、耐水性、耐薬品を良好に維持しつつ、適度な柔軟性を有し、割れや密着性不良を抑制できる。また、濁り等がなく、光沢を有し、意匠性にも優れる。
ウレタン樹脂(A)の含有量は、樹脂組成物100質量%中、3〜80質量%である。ウレタン樹脂(A)の含有量が3質量%以上であれば、コーティング膜の各種基材に対する密着性が良好となる。一方、ウレタン樹脂(A)の含有量が80質量%以下であれば、塗装性に優れるようになると共に、コーティング膜の耐薬品性(特に、耐汚染性)や表面硬度(すなわち、耐傷付き性)が良好となる。ウレタン樹脂(A)の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
<アクリル樹脂(B)>
アクリル樹脂(B)は、共重合可能なα、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物を、少なくとも1種のラジカル重合開始剤と有機溶媒の存在下、所定の条件にてラジカル重合させることにより製造できる。
重合方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法等が挙げられる。これらの中でも、ハンドリングの容易さから有機溶媒存在下での溶液重合法が好ましい。
溶液重合法としては、ラジカル重合開始剤と共にα、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物を加熱した有機溶媒中に滴下する方法や、製造釜内にα、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物と有機溶媒を仕込み、少量のラジカル重合開始剤を投入後、加熱する方法などが挙げられる。
α、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物としては、α、β−モノエチレン性不飽和基含有カルボキシエステル;α、β−モノエチレン性不飽和基含有ヒドロキシアルキルエステルなどが挙げられる。
α、β−モノエチレン性不飽和基含有カルボキシエステルとしては、例えばフマール酸、フマール酸モノメチルエステル、フマール酸モノブチルエステル、マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−カルボキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチルアシッドサクシネート、2−(メタ)アクリロキシエチルアシッドマレエート、2−(メタ)アクリロキシエチルアシッドフタレート、2−(メタ)アクリロキシエチルアシッドヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロキシエチルアシッドメチルヘキサヒドロフタレート、3−(メタ)アクリロキシプロピルアシッドサクシネート、長鎖カルボキシル基含有不飽和単量体などが挙げられる。
前記長鎖カルボキシル基含有不飽和単量体としては、ポリアリキレングリコール変性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、またはカプロラクトン変性水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルと、酸無水物との半エステル化反応生成物が挙げられる。該半エステル化反応生成物としては、水酸基末端ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(日本油脂株式会社製の「ブレンマーPEシリーズ」、「ブレンマーPPシリーズ」)、または2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトン(ダイセル化学工業株式会社製の「プラクセルF単量体」;UCC社製の「トーンM単量体」)の開環付加物の末端水酸基を、無水コハク酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸でエステル化したコハク酸モノエステル、フタル酸モノエステル、ヘキサヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。
α、β−モノエチレン性不飽和基含有ヒドロキシアルキルエステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート;ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)と(メタ)アクリル酸との反応生成物;ε−カプロラクトンまたはγ−ブチロラクトンと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの開環付加物;アルキルモノグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物;グリシジル(メタ)アクリレートと琥珀酸、フタル酸またはヘキサヒドロフタル酸との反応生成物;グリセリンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、α、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物としては、上述した以外の他のα、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物を用いてもよい。
他のα、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の低級または高級アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の環状(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸のような不飽和基含有カルボン酸;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド等の含窒素単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、環状エポキシ基含有不飽和単量体(ダイセル化学工業株式会社製の「サイクロマーM−100」)等の構造中にエポキシ基を持つ(メタ)アクリレート;片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサン化合物;片末端に(メタ)アクリロイル基を有するトリアルコキシアルキルシラン化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の重合性不飽和ニトリル類;ベンジル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸ソーダ、アリル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、ビニルアルコール;片末端にビニル基を有するポリオルガノシロキサン化合物;片末端にビニル基を有するトリアルコキシアルキルシラン化合物;構造中に紫外線吸収能、または酸化防止能を持つ基を有する不飽和単量体(大塚化学株式会社製の「RUVA−93」、日立化成株式会社製の「ファンクリルFA−711MM」、「FA−712HM」);TBAS−Q(MRCユニテック株式会社製);スピノマー(東ソー株式会社製)等の構造中にスルホン酸基を持つ強酸系不飽和単量体;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等の酸性燐酸エステル不飽和単量体が挙げられる。
これらα、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物類;過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート等の過酸化物類等が挙げられる。
有機溶媒としては、例えばn−ヘキサン、シクロヘキサン等炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、3−メトキシメチルブタノール(クラレ株式会社製の「ソルフィット」)等のアルコール類;エチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール系有機溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸アミル、乳酸n−ブチル、3−メトキシメチルブタノールと酢酸とのエステル化物(クラレ株式会社製の「ソルフィットAC」)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル類;スーパーゾール#1500(新日本石油株式会社製)、スワゾール#1800(丸善石油化学株式会社製)、ソルベッソ#150(エクソン化学株式会社製)等の石油留分など、通常用いられる有機溶媒が使用できる。
なお、ラジカル重合の際には、必要に応じて2−メルカプトエタノール、n−オクチルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤を用いてもよい。
アクリル樹脂(B)の含有量は、塗料用樹脂100質量%中、20〜97質量%である。アクリル樹脂(B)の含有量が20質量%以上であれば、塗装性に優れるようになると共に、コーティング膜の耐薬品性(特に、耐汚染性)や表面硬度(すなわち、耐傷付き性)が良好となる。一方、アクリル樹脂(B)の含有量が97質量%以下であれば、コーティング膜の各種基材に対する密着性が良好となる。アクリル樹脂(B)の含有量は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。また、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、ウレタン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)を異なる反応系にてそれぞれ重合し、ウレタン樹脂(A)およびアクリル樹脂(B)の含有量が所定量になるように、ウレタン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)を混合することで製造できる。
また、本発明の樹脂組成物は、ウレタン樹脂(A)の含有量が所定量になるように、アクリル樹脂(B)中でウレタン樹脂(A)を重合する方法でも製造できる。
さらに、まず、有機溶媒存在下でウレタン樹脂(A)を生成し、引き続き同じ反応系内にα、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物とラジカル重合開始剤を加え、前記重合方法によりラジカル重合を行う方法によりアクリル樹脂(B)を重合して、樹脂組成物を製造してもよい。この方法によれば、ウレタン樹脂(A)の反応を制御しやすく、かつ複雑な反応工程を経ずに樹脂組成物を製造できる。
このようにして得られる樹脂組成物は、質量平均分子量が3000〜150000であることが好ましい。質量平均分子量が3000以上であれば、本発明の樹脂組成物から形成されるコーティング膜の耐薬品性(特に耐汚染性)、表面硬度(すなわち、耐傷付き性)がより良好となる。一方、質量平均分子量が150000以下であれば、ウレタン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)との相溶性が良好になると共に、コーティング膜を形成する際の塗装性や、コーティング膜の各種基材に対する密着性がより優れるようになる。樹脂組成物の質量平均分子量は5000〜100000がより好ましく、10000〜60000が特に好ましい。
樹脂組成物の質量平均分子量は、樹脂組成物を溶剤(テトラヒドロフラン等)に溶解し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィを用いて測定した分子量をポリスチレン換算した値である。
本発明の樹脂組成物は、有機溶媒に溶解した状態で用いるのが好ましい。従って、上述した重合方法によりにより得られた反応液中に水が存在する場合は、脱水した後、得られた固体状の樹脂組成物を有機溶媒に溶解させることが好ましい。
なお、本発明の樹脂組成物は、単独で後述する硬化型塗料として用いることができ、基材上に塗布した後、常温硬化または熱硬化することでコーティング膜を形成できる。
[常温硬化型塗料、熱硬化型塗料]
本発明の常温硬化型塗料および熱硬化型塗料(以下、これらを総称して「硬化型塗料」という。)は、本発明の樹脂組成物を含む塗料である。
本発明の硬化型塗料は、樹脂組成物のみから構成されていてもよいが、形成されるコーティング膜の耐汚染性や表面硬度をさらに向上するためにイソシアネート樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の架橋剤を含有することが好ましい。
イソシアネート樹脂としては、ヘキサメチレンジイソシアネートを基本骨格としたビューレット体、イソシアヌレート体、多価アルコールとのアダクト体等が挙げられる。これらイソシアネート樹脂は、硬化型塗料の安定性を向上するために、イソシアネート基がブロック化されていてもよい。
メラミン樹脂としては、メチル化メラミン(三井化学株式会社製の「サイメル」)、ブチル化メラミン(三井化学株式会社製の「ユーバン」)等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、エピコート(ジャパンエポキシレジン株式会社製)等が挙げられる。
また、本発明の硬化型塗料は、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、染料、石英、タルク等の充填剤、各種レベリング剤、消泡剤等の各種添加剤を、1種単独または2種以上を併用して含有してもよい。
さらに、本発明の硬化型塗料は、必要に応じて、上述したアクリル樹脂(B)以外のアクリル樹脂やその他の樹脂を含有してもよい。
その他の樹脂としては、ウレタン系樹脂(ただし、上述したウレタン樹脂(A)を除く)、シリコーン系樹脂、アクリル−ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、不飽和アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、不飽和基含有アクリル樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、各樹脂成分の親和性に優れる点で、アクリル樹脂(B)以外のアクリル樹脂が好ましい。
本発明の硬化型塗料は、粘度を調整して基材への塗装をより容易にする目的で、有機溶媒を希釈シンナーとして含有してもよい。
有機溶媒としては特に限定されないが、樹脂組成物を十分に溶解または均一分散できるものが好ましい。具体的には、n−ヘキサン、シクロヘキサン等炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族類;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、3−メトキシメチルブタノール(株式会社クラレ製の「ソルフィット」)等のアルコール類;エチレングリコール、グリセリン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール系有機溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸アミル、乳酸n−ブチル、3−メトキシメチルブタノールと酢酸とのエステル化物(株式会社クラレ製の「ソルフィットAC」)、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル類;スーパーゾール#1500(新日本石油株式会社製)、スワゾール#1800(丸善石油化学株式会社製)、ソルベッソ#150(エクソン化学株式会社製)等の石油留分などが挙げられる。これら有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化型塗料は、基材上に塗装され、自然乾燥または硬化されてコーティング膜を形成する。
基材としては、フィルム、シート、板、任意の形状の成形品等が挙げられる。
基材の材質としては、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、ステンレス、ジュラルミン等の金属または合金製鋼鈑;スチレン樹脂、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(以下、「ABS樹脂」と記す。)、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、脂肪族ポリエステル(ポリ乳酸(三井化学株式会社製の「LACEA」)、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等)を主体とした生分解性樹脂、スーパーエンジニアリングプラスチック(ポリフェニルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリマレイミド等)を含む有機系樹脂、これらのアロイまたはガラス繊維を含有させた強化ガラス繊維プラスチックなどが挙げられる。
塗装法としては、ナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、エアーナイフコーター、スプレー、流し塗り、浸漬、刷毛塗り等が挙げられる。
乾燥方法としては、常温で放置する方法、加熱する方法が挙げられる。
硬化方法としては、加熱する方法、活性エネルギー線(赤外線、可視光、紫外線等)を照射する方法が挙げられる。
コーティング膜の厚さは、0.1〜50μmが好ましい。
本発明の硬化型塗料は、ウレタン樹脂(A)とアクリル樹脂(B)からなる本発明の樹脂組成物を含むので、必須の構成成分を軽減でき、計量等の工程が煩雑になりにくく、かつ樹脂組成物の製造の際の安定性を良好に維持できる。
また、本発明の硬化型塗料は、本発明の樹脂組成物を含むので、基材との密着性に優れ、意匠性、耐傷付き性、耐水性、耐薬品性、および耐衝撃性が良好なコーティング膜を形成できる。
従って、本発明の樹脂組成物を含むコーティング膜を有する塗装物は、基材とコーティング膜との密着性、意匠性、耐傷付き性、耐水性、耐薬品性、および耐衝撃性が良好である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。
各種測定方法、評価方法は以下の通りである。
<固形分の測定>
サンプリングした樹脂組成物溶液を正確に秤量した。該樹脂組成物溶液を105±5℃で2時間乾燥させた後、残分を正確に秤量した。乾燥前の樹脂組成物溶液の質量と残分の質量とから固形分を計算した。
<ガードナー粘度の測定>
サンプリングした樹脂組成物溶液を空のガードナー泡粘度管に入れ、25±1℃で2時間放置した後、基準のガードナー泡粘度管との比較からガードナー粘度を判定した。
<ワニス酸価の測定>
樹脂組成物1gを中和するのに必要な水酸化カリウムの量を公知の方法にて求め、これをワニス酸価とした。
<質量平均分子量の測定>
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィによって、樹脂組成物の質量平均分子量をポリスチレン換算で求めた。
<密着性の評価>
各樹脂製シート(アクリル樹脂、ABS樹脂)に、それぞれコーティング膜を形成した。各コーティング膜について、JIS K 5600−5−6:1999に準じて密着性試験を行い、各樹脂製シート表面の状態を目視により観察し、密着性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:コーティング膜は全く剥がれない。
○:コーティング膜がごくわずかに剥がれる。
□:コーティング膜が若干剥がれているが、実用上問題はない。
△:セロハンテープを貼った面積の半分以上の面積において、コーティング膜が剥がれている。
×:セロハンテープを貼った面積全てにおいて、コーティング膜が剥がれている。
<引っかき硬度の測定>
アルミニウム製シート上にコーティング膜を形成した後、該コーティング膜の硬度を、JIS K 5600−5−4:1999に準じて引っかき硬度を測定し、耐傷付き性を評価した。
<耐水性の評価>
アルミニウム製シート上にコーティング膜を形成した後、JIS K 5600−6−1:1999に準じて蒸留水をコーティング膜上に塗布し、25℃で8時間放置した。その後、コーティング膜表面の外観変化を目視により観察し、耐水性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:コーティング膜は全く変化がない。
○:コーティング膜がごくわずかに腐食している。
□:コーティング膜が若干腐食しているが、実用上問題はない。
△:蒸留水を垂らした面の半分以上(ただし、全面は除く)で、コーティング膜が腐食している。
×:蒸留水を垂らした全面で、コーティング膜が腐食している。
<耐酸性の評価>
アルミニウム製シート上にコーティング膜を形成した後、JIS K 5600−6−1:1999に準じて3%塩酸水溶液をコーティング膜上に塗布し、25℃で8時間放置した。脱イオン水で水洗した後、コーティング膜表面の外観変化を目視により観察し、耐酸性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:コーティング膜は全く変化がない。
○:コーティング膜がごくわずかに腐食している。
□:コーティング膜が若干腐食しているが、実用上問題はない。
△:3%塩酸水溶液を垂らした面の半分以上(ただし、全面は除く)で、コーティング膜が腐食している。
×:3%塩酸水溶液を垂らした全面で、コーティング膜が腐食している。
<耐アルカリ性の評価>
アルミニウム製シート上にコーティング膜を形成した後、JIS K 5600−6−1:1999に準じて3%水酸化ナトリウム水溶液をコーティング膜上に塗布し、25℃で8時間放置した。脱イオン水で水洗した後、コーティング膜表面の外観変化を目視により観察し、耐アルカリ性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:コーティング膜は全く変化がない。
○:コーティング膜がごくわずかに腐食している。
□:コーティング膜が若干腐食しているが、実用上問題はない。
△:3%水酸化ナトリウム水溶液を垂らした面の半分以上(ただし、全面は除く)で、コーティング膜が腐食している。
×:3%水酸化ナトリウム水溶液を垂らした全面で、コーティング膜が腐食している。
<耐汚染性の評価>
ABS樹脂製シート上にコーティング膜を形成した後、該コーティング膜上に赤または黒のマジックインキで線(幅:2cm、長さ:2cm)を引き、25℃で10分間放置した。その後、n−ブタノールを湿した滅菌ガーゼでマジックインキを拭き取り、マジックインキの痕跡を目視により観察し、耐汚染性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:コーティング膜に全く痕跡なし。
○:コーティング膜にごくわずかに痕跡があるが、外観に問題はない。
□:コーティング膜に若干痕跡があるが、実用上問題はない。
△:コーティング膜に痕跡が半分以上残っている。
×:マジックインキが全く拭き取れていなく、コーティング膜に痕跡が残っており、実用に供しない。
<耐衝撃性の評価>
ナイロン樹脂製シート上にコーティング膜を形成した後、JIS K 5600−5−3:1999に準じてデュポン式衝撃試験機を用い、撃心棒1/2インチ、錘300g、高さ30cmの条件で、コーティング膜の割れ具合を目視により観察し、耐衝撃性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
◎:コーティング膜は全く割れていない。
○:コーティング膜がごくわずかに割れているが、外観に問題はない。
□:コーティング膜が若干割れているが、実用上問題はない。
△:コーティング膜が割れている。
×:コーティング膜がかなり割れており、全く実用に供しない。
[製造例1:樹脂組成物溶液P1の製造]
温度計、ウォーターバス、還流冷却器、温度調節器、撹拌機、窒素導入菅を備えたガラスコルベンを用意した。該ガラスコルベンに、トルエン30部、酢酸イソブチル30部、(b)成分としてポリマーポリオール(株式会社クラレ製、「クラレポリオールP−1050」)18部、(a)成分(Bayer Material Science社製、「Desmodur I」)2部を仕込み、ガラスコルベン内の温度を90℃に保持するように調節した。保持温度到達後、5時間反応させ、JIS K7301−1995に基づく試験方法によりイソシアネート基の含有率を測定し、該含有率が0になったことを確認した。その後、α、β−モノエチレン性不飽和基含有化合物としてメチルメタクリレート21部、n−ブチルメタクリレート55部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4部と、ラジカル重合開始剤としてターシャリーブチルパーオクトエート0.5部とを、ガラスコルベン中に3時間かけて滴下した。30分経過した後、トルエン20部、ターシャリーブチルパーオクトエート0.5部をガラスコルベン中に1.5時間かけて滴下した。さらに1.5時間同温度で熟成させた後、トルエン23.2部、酢酸イソブチル13.8部、プロピレングリコールモノメチルエーテル5部を追加し、室温まで冷却させた後に樹脂組成物溶液P1を取り出した。得られた樹脂組成物溶液P1について、各物性を測定した。結果を表1に示す。
[製造例2〜14:樹脂組成物溶液P2〜P14の製造]
各成分を表1、2に示す種類および配合量に変更した以外は、製造例1と同様にして樹脂組成物溶液P2〜P14を得た。得られた樹脂組成物溶液P2〜P14について、各物性を測定した。結果を表1、2に示す。
なお、製造例11で製造した樹脂組成物溶液P11は、重合反応中にゲル化したので、各物性の測定は行わなかった。
Figure 2011032448
Figure 2011032448
表1、2中の各成分は以下の通りである。
・Desmodur I(商品名):3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(Bayer Material Science社製)。
・クラレポリオールP−1050(商品名):ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(セバシン酸)](株式会社クラレ製、数平均分子量1000、上記一般式(1)中、R=オクタメチレン基、m=4)。
・クラレポリオールP−2050(商品名):ポリ[(3−メチル−1,5−ペンタンジオール)−alt−(テセバシン酸)](株式会社クラレ製、数平均分子量2000、上記一般式(1)中、R=オクタメチレン基、m=8)。
・プラクセルL220(商品名):ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業株式会社製、数平均分子量2200)。
・プラセルL240(商品名):ポリカプロラクトンジオール(ダイセル化学工業株式会社製、数平均分子量4000)。
[実施例1〜9、比較例1〜4]
製造例1〜10、12〜14で得られた樹脂組成物溶液P1〜P10、P12〜P14と表3に示す種類の各試薬とを、表3に示す組成で混合し、熱硬化型塗料を調製した。なお、製造例11で製造した樹脂組成物溶液P11は、重合反応中にゲル化したので、熱硬化型塗料の調製には用いなかった。
得られた熱硬化型塗料を、150mm×100mm×3mmの各樹脂製シート(アクリル樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂)、および厚さが1mmのアルミニウム製シートの片面に、コーティング膜の厚さが8〜10μmとなるように、バーコーターにて塗装した。80℃で30分間乾燥して基材上にコーティング膜を形成し、各評価を行った。結果を3に示す。
Figure 2011032448
表3中の各成分は以下の通りである。
・ソルベッソ♯150(商品名):石油系の有機溶媒(エクソン化学株式会社製)。
・デュラネート24A−100(商品名):無黄変型ポリイソシアネート系の架橋剤(旭化成ケミカルズ株式会社製)。
表3から明らかなように、実施例1〜9で得られた熱硬化型塗料は、各樹脂製シートに対する密着性に優れており、耐傷付き性、耐水性、耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性、耐汚染性)、耐衝撃性が良好なコーティング膜を形成できた。また、コーティング膜の外観は濁り等がなく良好であり、意匠性に優れていた。
さらに、実施例1〜9では、塗料用樹脂溶液を製造する際にゲル化の発生や粘度上昇が見られず、熱硬化型塗料の安定性を良好に維持できた。
一方、比較例1は、(a)成分の代わりにヘキサメチレンジイソシアネートを用いた例であり、比較例1の熱硬化型塗料より形成されたコーティング膜は、引っかき硬度が柔らかく、耐傷付き性に劣っていた。また、耐衝撃性にも劣っていた。
比較例2は、ウレタン樹脂(A)を含有しない例であり、比較例2の熱硬化型塗料より形成されたコーティング膜は、耐薬品性(耐酸性および耐アルカリ性を除く)、耐衝撃性に劣っていた。
比較例3は、ウレタン樹脂(A)の含有量が90質量%と多い例であり、比較例3の熱硬化型塗料より形成されたコーティング膜は、引っかき硬度が柔らかく、耐傷付き性に劣っていた。また、耐薬品性(耐酸性を除く)にも劣っていた。
比較例4は、(b)成分の代わりにポリエチレングリコールを用いた例であり、比較例4の熱硬化型塗料より形成されたコーティング膜は、耐薬品性(耐酸性を除く)、耐衝撃性に劣っていた。
本発明の樹脂組成物を含む硬化型塗料は、基材(特に、プラスチック製基材)に対する密着性に優れ、意匠性、耐傷付き性、耐水性、耐薬品性、および耐衝撃性が良好なコーティング膜を形成でき、産業上極めて有用である。

Claims (3)

  1. 3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(a)と、下記一般式(1)で表されるポリエステルポリオールおよびポリカプロラクトンジオールから選ばれる少なくとも1種のポリマーポリオール(b)との反応により生成されるウレタン樹脂(A)3〜80質量%、およびアクリル樹脂(B)20〜97質量%からなることを特徴とする塗料用樹脂組成物。
    Figure 2011032448
    (式(1)中、Rは炭素数1〜12の炭化水素置換基を表し、mは1〜14の整数を表す。)
  2. 請求項1に記載の塗料用樹脂組成物を含む、常温硬化型塗料。
  3. 請求項1に記載の塗料用樹脂組成物を含む、熱硬化型塗料。
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