JP2006263616A - 複層塗膜形成方法およびこれに用いる塗料 - Google Patents

複層塗膜形成方法およびこれに用いる塗料 Download PDF

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Abstract

【課題】 活性エネルギー線による硬化で作業効率良く耐候性および耐擦傷性に優れた塗膜を形成することができる複層塗膜形成方法と該方法に用いうる塗料を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる塗料は、活性エネルギー線により硬化するプラスチック基材用下塗り塗料であって、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とする。本発明にかかる複層塗膜形成方法は、プラスチック基材上に活性エネルギー線により硬化する下塗り塗料にて下地塗膜を形成し、該下地塗膜上に活性エネルギー線により硬化するクリヤー塗料にてクリヤー塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、前記下塗り塗料として、前記本発明にかかる塗料を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プラスチック基材に高い作業効率で耐候性や耐擦傷性を付与することができる複層塗膜形成方法と該方法に用いうる塗料に関する。
例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂等から製造された合成樹脂成形品は、軽量で耐衝撃性に優れているばかりでなく、透明性も良好で、例えば、自動車用プラスチック材料として、ヘッドランプ、サンルーフ、グレージング、計器類のカバー等に多く用いられるようになってきている。しかし、これら合成樹脂成形品は、一般に耐候性の点では充分な性能を有しているとは言えず、例えば自動車外装用のプラスチック材料等として屋外で使用する場合には、その耐候性を改良することが求められていた。また、これらの合成樹脂成形品はその表面の耐擦傷性についても充分ではないので、他の硬い物との接触や摩擦、引っかき等によって表面に損傷を受けやすく、表面に発生した損傷が商品価値を著しく低下させたり、短期間で商品を使用不能にしたりするという欠点もあった。そこで、合成樹脂成形品に耐候性や耐擦傷性を付与する手段として、通常、その表面に塗料を塗装して耐擦傷性や耐候性を向上させうる塗膜を形成することが行われている。
従来、塗膜の形成方法としては、大きく分けて、i)塗料を塗布したのち、高温で焼き付けすることにより硬化させる方法と、ii)塗料を塗布したのち、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化させる方法とが知られている。プラスチックを基材とする場合、i)の方法では、基材の種類によっては焼き付けの際に高温下に曝されることで基材が変形する恐れがあり、また、ii)の方法の方が経済性や作業効率の点でも有利であることから、ii)の方法が望ましく、重宝されている。
耐擦傷性や耐候性を向上させるべく、ii)の方法、すなわち紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化させる方法により塗膜を形成する技術としては、これまでに、分子内に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリレート、分子内に6個以上の(メタ)アクリロイル基を有するウレタンポリ(メタ)アクリレート、紫外線吸収剤、光安定剤および光重合開始剤を特定量含有してなる紫外線硬化型液状組成物により塗膜(1コート塗膜)を形成したのちに、活性エネルギー線の照射により硬化させる方法(特許文献1参照)が報告されている。
特開平9−286809号公報
近年、車両の軽量化が進むなか、ガラスをプラスチック材料で代替する試みがなされており、例えば、ドア、フロント、リヤ等のガラスやサンルーフなどにおいて代替が検討されている。このようなガラス代替プラスチック用途における塗膜には、従来の一般的な用途における塗膜よりもさらに高い耐侯性や耐擦傷性が要求される。具体的には、例えば、従来用途であるヘッドランプにおいては、耐侯性については、実施例で後述する耐侯性の評価に準じた耐侯性試験を行ったときに30サイクル程度まで塗膜異常(クラック、剥離、艶引け等)が認められないレベルであり、耐擦傷性については、実施例で後述する耐擦傷性の評価を行ったときにヘイズ値が20以下程度であればよく、このようなレベルの性能で問題なく使用することができていた。これに対し、ガラス代替プラスチック用途における塗膜としては、耐侯性については上記試験で50サイクル以上まで塗膜異常(クラック、剥離、艶引け等)が認められないレベルであり、耐擦傷性については上記ヘイズ値が10以下であることが必要となる。
しかしながら、従来知られた活性エネルギー線硬化型塗料による塗膜では、耐侯性および耐擦傷性に関して、前述したようなより高いレベルを達成することはできなかった。つまり、従来の活性エネルギー線硬化型塗料による1コート塗膜では、紫外線吸収剤を多く含有させることで、なんとか上記試験で50サイクル程度まで塗膜異常(クラック、剥離、艶引け等)を生じないレベルにまで耐侯性を向上させることができるが、このレベルが限界であり、しかも、この場合、紫外線吸収剤を多く含むことによって、逆に塗膜の架橋度が低下して、耐擦傷性が悪くなり、上記ヘイズ値は30以上になってしまうのである。他方、耐擦傷性に関しては、塗料中の樹脂を構成するモノマー組成等を適宜設定することにより前記塗膜のガラス転移温度や架橋密度を上げることで、従来技術においても上記ヘイズ値を10以下にすることもできるが、この場合、塗膜にクラック発生などの問題が生じやすくなり、耐侯性は低下することになる。
さらに詳しく説明すると、耐侯性については、従来、良好な耐候性を得るためには、塗料中に紫外線吸収剤を多量に含有させればよいことが知られており、特許文献1においても多量の紫外線吸収剤が配合されている。これにより、屋外での使用時にも、該紫外線吸収剤が太陽光に含まれる紫外線を吸収し、紫外線によって塗膜や基材自体が劣化を受けにくくなるという効果が得られるのであるが、塗料中に紫外線吸収剤が多量に含有されているということは、他方で、塗膜形成時においては、硬化のために照射した活性エネルギー線を吸収してしまい、その結果、硬化に作用する活性エネルギー量が減り、塗膜(特に、基材に接する側の塗膜)の硬化を阻害する要因となる。このように塗膜(特に、基材に接する側の塗膜)における硬化が阻害されて不充分になると、時間の経過とともに、凝集破壊が起き、基材との密着性が低下し、結果として塗膜として機能を果たさなくなり、耐候性は勿論のこと耐擦傷性を大きく損なうことになる。つまり、活性エネルギー線により硬化させる場合、従来のように紫外線吸収剤を増量することによって充分な耐候性を得ようとすることには無理があったのである。
また、特許文献1に開示された塗料では、耐擦傷性を向上させるべく、(メタ)アクリロイル基を多く導入して架橋密度を高めるよう工夫されているが、一般に、光硬化性基が多いと、硬化時に急激な体積収縮が起こりやすく、塗膜にチジミやクラックが生じたり、基材との密着性が悪化したりする傾向があり、結果として耐侯性が低下してしまうという別の問題が生じることになる。さらに、前述したように、紫外線吸収剤の存在により硬化が不充分になり、多量に導入した(メタ)アクリロイル基が消費されずに残存することになると、該残存した(メタ)アクリロイル基が屋外での使用時に太陽光に含まれる紫外線により光劣化し、耐候性を損なう要因となることも懸念されていた。
このように、従来の技術では耐侯性と耐擦傷性の背反現象を解決することは難しく、耐候性と耐擦傷性とを両立させることは到底できないのが現状であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、活性エネルギー線による硬化で作業効率良く耐候性および耐擦傷性に優れた塗膜を形成することができる複層塗膜形成方法と該方法に用いうる塗料を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、活性エネルギー線により下地塗膜とクリヤー塗膜の2層を形成するようにし、下地塗膜で充分な耐候性を、クリヤー塗膜で耐擦傷性を発現しうるよう各塗膜に異なる役割を担わせることを着想した。つまり、下地塗膜を形成する下塗り塗料としては、プラスチック基材との密着性が優れ、形成された塗膜は屋外使用時に太陽光に曝されても良好な耐候性を発現するものであることを重視し、その硬化性については、少ない量の活性エネルギー線でも耐候性を損なうことのない程度に硬化すればよいと考え、他方、クリヤー塗膜を形成するクリヤー塗料としては、高い耐擦傷性が得られるべく、一般に知られている活性エネルギー線による硬化性のみを重視した塗料を選択すればよいと考えたのである。この考えに基づき、前述した特性を満足させうる下塗り塗料について、種々検討を重ねた結果、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とする塗料であれば、プラスチック基材との密着性に優れ、良好な耐候性を発揮しつつ活性エネルギー線により充分な硬化性を示しうることを見出した。そして、該塗料により形成された下地塗膜の上に一般に知られている活性エネルギー線硬化型のクリヤー塗料によりクリヤー塗膜を重ねて形成するようにすれば、前記課題を一挙に解決できることを確認し、本発明を完成した。
すなわち、本発明にかかる複層塗膜形成方法は、プラスチック基材上に活性エネルギー線により硬化する下塗り塗料にて下地塗膜を形成し、該下地塗膜上に活性エネルギー線により硬化するクリヤー塗料にてクリヤー塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、前記下塗り塗料として、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とする塗料を用いる、ことを特徴とする。
本発明にかかる塗料は、活性エネルギー線により硬化するプラスチック基材用下塗り塗料であって、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とする、ことを特徴とする。
本発明によれば、活性エネルギー線による硬化で作業効率良く耐候性および耐擦傷性に優れた塗膜を形成することができる複層塗膜形成方法と該方法に用いうる塗料を提供することができる。
以下、本発明にかかる複層塗膜形成方法と該方法に用いうる塗料について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
以下、まず、本発明にかかる複層塗膜形成方法に用いうる塗料(下塗り塗料)について説明し、その後、本発明にかかる複層塗膜形成方法について詳しく述べる。
〔塗料〕
本発明にかかる塗料は、活性エネルギー線により硬化するプラスチック基材用下塗り塗料であって、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とする。
側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)は、その製造方法が限定されるわけではないが、例えば、側鎖に二重結合基を有さない(メタ)アクリル樹脂(以下「(メタ)アクリル樹脂a1」と称することもある)に、二重結合基を有する有機物質(以下「有機物質a2」と称することもある)を付加させることにより得られるものである。なお、本明細書においては、アクリル酸および/またはメタクリル酸を総称して「(メタ)アクリル酸」と称するものとする。
前記(メタ)アクリル樹脂a1としては、特に制限はなく、一般に用いられる(メタ)アクリル系モノマーおよび必要に応じて他のエチレン不飽和モノマーからなる単量体成分を(共)重合させることにより得られる(共)重合体が挙げられる。
前記(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、およびこれらのエステル化物(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、n−ブチルエステル、i−ブチルエステル、t−ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、ラウリルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、イソボロニルエステル、2−ヒドロキシエチルエステル、2−ヒドロキシプロピルエステル、2−ヒドロキシブチルエステル、4−ヒドロキシブチルエステル、(β−メチル)グリシジルエステル、多価アルコールとのエステル等);アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジブチルメタクリルアミド等のアミド基含有アクリルモノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルのカプロラクトンの開環付加物;等が挙げられる。
前記他のエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、イタコン酸、マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル樹脂a1は、前述した任意の単量体成分を公知の方法で(共)重合させることにより得ることができるが、(メタ)アクリル樹脂a1に有機物質a2を付加させるためには、(メタ)アクリル樹脂a1に、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、グリシジル基、イソシアナート基等の官能基を持たせることが必要であり、これら官能基を有するモノマーを適宜単量体成分として選択することが重要である。例えば、(メタ)アクリル樹脂a1にヒドロキシル基を持たせる場合、(メタ)アクリル酸の2−ヒドロキシエチルエステルやこれらとカプロラクトンとの開環付加物等のヒドロキシル基含有モノマーを選択すればよく、(メタ)アクリル樹脂a1にカルボキシル基を持たせる場合、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基含有モノマーを選択すればよく、(メタ)アクリル樹脂a1にグリシジル基を持たせる場合、(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル等のグリシジル基含有モノマーを選択すればよい。
前記有機物質a2としては、(メタ)アクリル樹脂a1が有する官能基と反応しうる基および二重結合基の両方をもった二官能性の有機物であればよく、(メタ)アクリル樹脂a1が有する官能基に応じて適宜選択すればよい。例えば、(メタ)アクリル樹脂a1がヒドロキシル基を有する場合には、イソシアナート基と二重結合基とを持った有機物(例えば、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートやn個のイソシアナート基をもつ化合物に、分子内に少なくとも1個の二重結合基と1個以上の水酸基を持つ化合物を(n−1)当量付加させたアダクト体;具体的には、イソホロンジイソシアナートと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの当モル反応物や、ヘキサメチレンジイソシアナートと2−ヒドロキシプロピルアクリレートとの当モル反応物など)を選択すればよく、(メタ)アクリル樹脂a1がカルボキシル基を有する場合には、グリシジル基と二重結合基とを持った有機物(例えば、(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル等)を選択すればよく、(メタ)アクリル樹脂a1がグリシジル基を有する場合には、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等のいずれかと二重結合基とを持った有機物(例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酸無水物等に、ヒドロキシルプロピルアクリレートや2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を付加させた付加物等)を選択すればよい。
側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)は、重量平均分子量が5,000〜50,000の樹脂の側鎖に二重結合基を二重結合基当量600〜2400となるよう付加したものであることが好ましい。言い換えれば、前記(メタ)アクリル樹脂a1の重量平均分子量が5,000〜50,000であり、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)の二重結合基当量が600〜2400であることが好ましいのである。
(メタ)アクリル樹脂a1の重量平均分子量が5,000〜50,000であることが好ましく、より好ましくは7,000〜45,000である。(メタ)アクリル樹脂a1の重量平均分子量が5,000未満であると、架橋密度を少々高くしても塗膜の凝集力が低く密着性が不充分になる恐れがあり、一方、50,000を超えると、塗料粘度が高くなるため多量の希釈剤を用いて粘度を下げることが必要となり、その結果、塗装時の固形分が極端に低くなってタレが生じたり、分子量が高すぎて膜の平滑性が得られない恐れがある。
側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)は、その二重結合基当量が600〜2400であることが好ましく、より好ましくは800〜1800である。(メタ)アクリル樹脂(A)の二重結合基当量が600未満であると、二重結合基導入のための付加反応時にゲル化を起こす傾向があり、一方、2400を超えると、得られる塗膜の架橋密度が低下し、凝集力不足となり、基材との密着性が低下する恐れがある。
多官能(メタ)アクリレート(B)としては、2官能以上のアクリレートであれば、特に制限はない。具体的には、2官能アクリレートとしては、例えば、二重結合基とイソシアナート基を持ったジオール化合物(例えば、ジオール化合物と2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートとの当モル反応物など)、二重結合基とグリシジル基を持ったジカルボン酸化合物(例えば、マレイン酸やアジピン酸のような脂肪族2塩基、フタール酸やテレフタール酸のような芳香族2塩基酸等とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応物など)等が挙げられる。3官能以上のアクリレートとしては、例えば、分子内に3個以上の水酸基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのエステル化物(例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ジトリメチロールエタン等と(メタ)アクリル酸との反応物など)、ウレタンアクリレート類(分子内に3個以上の水酸基を有する化合物と2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートとの当量反応物など)等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の固形分割合は、(A)/(B)=10/90〜50/50(質量比)であることが好ましい。(メタ)アクリル樹脂(A)が前記範囲よりも多すぎると(多官能(メタ)アクリレート(B)が前記範囲よりも少なすぎると)、得られる塗膜の架橋密度が低下し、凝集力不足となり、基材との密着性が低下する恐れがある。一方、(メタ)アクリル樹脂(A)が前記範囲よりも少なすぎると(多官能(メタ)アクリレート(B)が前記範囲よりも多すぎると)、多官能(メタ)アクリレート(B)同士の架橋度は高まるものの、(メタ)アクリル樹脂(A)が少ないため結果として凝集力不足となり、基材との密着性が低下する恐れがある。より好ましくは、(メタ)アクリル樹脂(A)は、(A)と(B)の合計固形分に対して20〜40質量%であるのがよく、多官能(メタ)アクリレート(B)は、(A)と(B)の合計固形分に対して60〜85質量%であるのがよい。
(メタ)アクリロイル基含有紫外線吸収剤(C)としては、(メタ)アクリロイル基を持った紫外線吸収能を有する化合物であれば、特に制限はない。例えば、公知の紫外線吸収剤のなかで(メタ)アクリロイル基を有するものや、公知の紫外線吸収剤と(メタ)アクリロイル基含有化合物とを反応させて得られるもの等が挙げられる。具体的には、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノキシ)エチルメタクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基含有紫外線吸収剤(C)の含有量は、前記アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の合計固形分100質量部に対して、固形分として5〜15質量部であることが好ましい。より好ましくは、7〜13質量部である。5質量部未満であると、耐候性が不充分となる恐れがあり、一方、15質量部を超えると、活性エネルギー線による硬化が著しく阻害され、耐侯性や基材への密着性が低下する恐れがある。
光重合開始剤(D)としては、特に制限はなく、光重合開始剤として一般に用いられているものが挙げられる。例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチルベンゾイン、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、ベンゾフェノン、p−クロルベンゾフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンゾフェノンメチルエーテル、メチルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ジフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−(2−アクリロキシ)オキシエトキシ−フェニル−2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、4−(2−ヒドロキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリロイル基含有紫外線吸収剤(C)の存在下での硬化性の点から、350nm以上の長波長領域に最大吸収波長を有する化合物である2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビスアシルホスフィンオキサイド等の光重合開始剤と、ベンゾフェノン等の水素引き抜き型光重合開始剤とを併用することが好ましい。
光重合開始剤(D)の含有量は、前記アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の合計固形分100質量部に対して、固形分として3〜10質量部であることが好ましい。より好ましくは、4〜8質量部である。3質量部未満であると、活性エネルギー線による硬化が不充分となり、耐侯性や基材への密着性が低下する恐れがあり、一方、10質量部を超えると、過剰な光重合開始剤(D)が残存して、耐侯性が低下したり塗膜を変色させる要因となる恐れがある。
本発明にかかる塗料には、必須成分である前記(A)〜(D)のほかに、必要に応じて、有機溶剤、光安定剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、帯電防止剤、防曇剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
本発明にかかる塗料は、プラスチック基材用の下塗り塗料である。本発明にかかる塗料を適用しうるプラスチック基材としては、特に限定されないが、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンフタレート樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂等を成形してなる基材が挙げられ、なかでも、ポリカーボネート樹脂を成形してなる基材が、優れた密着性を発揮させうる点で好ましい。
〔複層塗膜形成方法〕
本発明にかかる複層塗膜形成方法は、プラスチック基材上に活性エネルギー線により硬化する下塗り塗料にて下地塗膜を形成し、該下地塗膜上に活性エネルギー線により硬化するクリヤー塗料にてクリヤー塗膜を形成するものである。
本発明にかかる複層塗膜形成方法においては、下塗り塗料として、前述した本発明にかかる塗料を用いることが重要である。
本発明にかかる複層塗膜形成方法において、クリヤー塗料としては、活性エネルギー線により硬化しうるものであれば、特に制限はなく、従来公知の活性エネルギー線硬化型クリヤー塗料を用いることができるのであるが、好ましくは、ウレタンアクリレート、(メタ)アクリレート変性コロイダルシリカ、紫外線吸収剤、光安定剤および光重合開始剤を必須成分とするクリヤー塗料(以下、該クリヤー塗料を「好ましいクリヤー塗料」と称する)がよい。
好ましいクリヤー塗料において用いることのできるウレタンアクリレートとしては、例えば、i)分子内に2個以上のイソシアナート基を持つ化合物に、分子内に1個以上の水酸基と1個以上の二重結合基を持つ化合物とを当量反応させて得られる化合物、ii)多価アルコールと1塩基酸および/または多塩基酸との縮合物に、分子内に2個以上のイソシアナート基を持つ化合物を反応させたのち、さらに分子内に1個以上の水酸基と1個以上の二重結合基を持つ化合物を反応させて得られる化合物、iii)多価アルコールに、分子内に2個以上のイソシアナート基を持つ化合物を反応させたのち、さらに分子内に1個以上の水酸基と1個以上の二重結合基を持つ化合物を反応させて得られる化合物、等が挙げられる。
前記i)〜iii)において、分子内に2個以上のイソシアナート基を持つ化合物としては、芳香族イソシアナート化合物以外のものが望ましい。また、前記i)〜iii)において、分子内に1個以上の水酸基と1個以上の二重結合基を持つ化合物としては、例えば、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等や、市販品では、プラクセルF(M)Aシリーズ(ダイセル化学社製)等が挙げられる。また、前記ii)〜iii)において、多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリカーボネートジオール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン等や、市販品では、プラクセルジオールシリーズ(ダイセル化学社製)、プラクセルトリオールシリーズ(ダイセル化学社製)等が挙げられる。
好ましいクリヤー塗料において用いることのできる(メタ)アクリレート変性コロイダルシリカとしては、例えば、コロイダルシリカと(メタ)アクリル酸との加水分解縮合反応によって得られる生成物等が挙げられる。
好ましいクリヤー塗料において用いることのできる紫外線吸収剤としては、特に制限はなく、一般に用いられている紫外線吸収剤が挙げられる。具体的には、例えば、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシルベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート等のサリシレート系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2′−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾリトアゾール系紫外線吸収剤;等や、市販品では、ベンゾフェノン系のシーソーブ103(シプロ化成社製)、ベンゾトリアゾール系のチヌビン1130(チバスペシャリティケイカルズ社製)等が挙げられる。これらの中でも特に、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−アミル)ベンゾトリアゾールが好ましい。また、好ましいクリヤー塗料において、本発明にかかる塗料(下塗り塗料)における必須成分として前述した(メタ)アクリロイル基含有紫外線吸収剤(C)を用いることもできる。
好ましいクリヤー塗料において用いることのできる光安定剤としては、特に制限はなく、例えば、フェニル−4−ピペリジニルカーボネート、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート等のヒンダードアミン系光安定剤;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、ブチル2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート系光安定剤等を挙げることができる。これらの中でも、少量でより大きな効果が期待できるヒンダードアミン系光安定剤が好ましい。
好ましいクリヤー塗料において用いることのできる光重合開始剤としては、特に制限はなく、一般に用いられている光重合開始剤が挙げられる。具体的には、例えば、本発明にかかる塗料(下塗り塗料)における必須成分として前述した光重合開始剤(D)と同様のものが挙げられる。
好ましいクリヤー塗料における各必須成分の含有割合は、特に制限されるものではなく、従来公知の技術に従って適宜設定すればよい。また、好ましいクリヤー塗料には、必要に応じて、有機溶剤、酸化防止剤、黄変防止剤、ブルーイング剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、帯電防止剤、防曇剤等を適宜含有させることもできる。
本発明にかかる複層塗膜形成方法において、プラスチック基材としては、本発明にかかる塗料を適用しうるプラスチック基材として前述したものと同様である。なお、プラスチック基材は、本発明にかかる複層塗膜形成方法に供する前に(すなわち、下塗り塗料を塗布する前に)、基材成形時のひずみを除去することを目的として、あらかじめ熱処理(アニール)しておくことが好ましい。
本発明にかかる複層塗膜形成方法は、具体的には、例えば、プラスチック基材上に下塗り塗料を塗装し、活性エネルギー線を照射することにより下地塗膜を形成したのち、該下地塗膜上にクリヤー塗料を塗装し、活性エネルギー線を照射することによりクリヤー塗膜を形成する。
下塗り塗料およびクリヤー塗料を塗装する方法としては、特に制限はなく、例えば、スプレー塗装、浸漬塗装、シャワーコート塗装、ロールコーター塗装、回転ベル塗装等の公知の塗装方法を採用すればよい。なお、スプレー塗装や回転ベル塗装の場合は、静電塗装であってもよい。
下塗り塗料および/またはクリヤー塗料が溶剤を含む場合には、各塗料を塗装後、活性エネルギー線を照射する前に、溶剤を除去しておくことが望ましい。溶剤が残存している状態で活性エネルギー線を照射して硬化させると、形成される下地塗膜もしくは複層塗膜にチヂミが発生したり、耐温水性や耐候性が低下して塗膜が白化し易くなる恐れがあるからである。
下塗り塗料塗装後および/またはクリヤー塗料塗装後に溶媒を除去する方法としては、特に制限はないが、例えば、プレヒート等によればよい。プレヒートは、IR炉、電気炉、ガス炉等により行うことができる。プレヒートを行う際の条件としては、基材(成形品)の温度を60〜140℃で1〜15分間保持することが好ましい。なお、溶媒を除去した場合には、活性エネルギー線を照射する前に、基材(成形品)の温度が50℃以下になるまで冷却しておくことが好ましい。基材(成形品)の温度が50℃を超えた状態のままで活性エネルギー線の照射を行うと、活性エネルギー線の照射によってさらに熱が加えられる結果、基材(成形品)が変形してしまう恐れがあるからである。
本発明にかかる複層塗膜形成方法において、活性エネルギー線を照射する方法は、特に制限されず、通常の方法によればよい。例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を光源として用い紫外線を照射する方法が挙げられる。なお、本発明において、活性エネルギー線とは、紫外線に限定されるものではなく、例えば、可視光線、電子線等であってもよい。活性エネルギー線として紫外線を照射する場合の積算光量は、下地塗膜の硬化のためには500〜2000mJ/cm2 とすることが好ましく、より好ましくは1000〜1500mJ/cm2 であり、クリヤー塗膜の硬化のためには500〜5000mJ/cm2 とすることが好ましい。
本発明にかかる複層塗膜形成方法において、下地塗膜の膜厚(硬化後の厚み)は、3〜15μmとすることが好ましく、4〜10μmとすることがより好ましい。下地塗膜の膜厚が3μm未満であると、酸素による硬化阻害の影響を受けやすくなり、基材への密着性および耐侯性が不充分になる恐れがあり、一方、15μmを超えると、活性エネルギー線が基材に接する側まで充分に届きにくくなり、基材への密着性が低下したり、クラックが生じやすくなる恐れがある。
本発明にかかる複層塗膜形成方法において、クリヤー塗膜の膜厚(硬化後の膜厚)は、3〜15μmとすることが好ましく、5〜10μmとすることがより好ましい。クリヤー塗膜の膜厚が3μm未満であると、酸素による硬化阻害の影響を受けやすくなり、耐擦傷性が不充分になる恐れがあり、一方、15μmを超えると、活性エネルギー線が下地塗膜に接する側まで充分に届きにくくなるため、下地塗膜に接する部分の架橋密度が低くなり、耐侯性や下地塗膜との層間密着性が低下する恐れがある。
本発明にかかる複層塗膜形成方法は、例えば、以下のように行うことができる。基材(成形後の合成樹脂成形品を必要に応じて一般的な方法でアニールし、室温になるまで放置したもの)に対して硬化後の膜厚が3〜15μmとなるように下塗り塗料を塗装する。次に、塗装された基材にプレヒートを施して溶剤を除去したのち、50℃以下になるまで冷却する。次いで、高圧水銀灯やメタルハライドランプ等のランプを用いて、塗装塗膜からランプまでの高さを15〜40cmに設定し、空気中もしくは窒素雰囲気下で紫外線光量500〜2000mJ/cm2 の紫外線を照射することにより塗装塗膜を硬化させて下地塗膜を形成する。下地塗膜の形成後、基材を室温まで冷却したのちに、硬化後の膜厚が3〜15μmとなるようにクリヤー塗料を塗装する。次に、下地塗膜の場合と同様にプレヒートを施して溶剤を除去したのち、50℃以下になるまで冷却し、その後、下地塗膜の場合と同様に紫外線光量500〜5000mJ/cm2 の紫外線を照射することにより塗装塗膜を硬化させて下地塗膜とクリヤー塗膜からなる複層塗膜を形成する。
本発明にかかる複層塗膜形成方法によれば、基材に対する密着性に優れ、耐侯性と耐擦傷性とを兼ね備えた複層塗膜を得ることができる。
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、特に断りのない限り、「質量部」を単に「部」と、「質量%」を単に「%」と記すものとする。
実施例において得られた複層塗膜および比較例で得られた1コート塗膜は、以下の方法により評価した。
<耐擦傷性>
得られた複層塗膜付き基材から10cm角の試験片を作製し、該試験片の塗膜部分の透過光の量を濁度計(日本電色工業社製「NDH2000」)を用いて測定し(この値をY0とする)、次いで、同部分にJIS−K−5600−5−9に基づくテーパー磨耗試験(荷重500g、500回転)を施したのち、磨耗部分の透過光を上記と同様にして測定し(この値をYmとする)、Ym−Y0で求められる値をヘイズ値として、下記の基準で評価した。
○:ヘイズ値が10以下である
△:ヘイズ値が10を超え20未満である
×:ヘイズ値が20以上である
<初期密着性>
得られた複層塗膜に2mm間隔で碁盤目状に基材に達するまでの切り込みを入れて100個の桝目を作成し、その上にセロハンテープを貼り付けたのち該テープを一気に剥がし、塗膜の剥離状態をルーペ(10倍率)にて観察して、下記の基準で評価した。詳しくは、層間密着性については下地塗膜とクリヤー塗膜間の剥離状態を観察することにより、対基材密着性については基材と下地塗膜間の剥離状態を観察することにより、評価した。
○:全く剥離が認められない
△:碁盤目状の切り込みに沿って僅かに剥離が認められる
×:桝目1個以上の剥離が認められる
<耐温水密着性>
得られた複層塗膜を40℃の恒温水槽に500時間浸漬したのち、引き上げて1時間室温で放置して乾燥させ、その後、初期密着性の評価方法と同様にして、切り込みを入れた塗膜に貼り付けたセロハンテープを一気に剥がし、塗膜の剥離状態を目視にて観察して、下記の基準で評価した。
○:全く剥離が認められない
△:碁盤目状の切り込みに沿って僅かに剥離が認められる
×:桝目1個以上の剥離が認められる
<耐侯性>
得られた複層塗膜をダイプラメタルウェザオ(ダイプラウィンテス社製)を用いた次の耐侯性試験に供したのち、塗膜の外観(クラック、剥離、艶引けの有無)を目視にて観察して、下記の基準で評価した。耐侯性試験は、Lモード(90mW/cm照射、ブラックパネル温度63.5℃)4時間、Rモード(90%RH、ブラックパネル温度70℃)4時間、およびDモード(95%RH、ブラックパネル温度30℃)4時間の計12時間を1サイクルとし、50サイクル行った。なお、各サイクルにおいて、DモードおよびLモード開始時には、塗膜表面に15秒間の水スプレーを施した。
○:クラックや剥離は認められず、艶引けも極僅かである
△:クラックや剥離は認められないが、艶引けが顕著である
×:クラックや剥離が認められ、艶引けも顕著である
<耐熱性>
得られた複層塗膜を80℃の恒温器内で720時間放置したのち、取り出して、初期密着性の評価方法と同様にして、切り込みを入れた塗膜に貼り付けたセロハンテープを一気に剥がし、塗膜の剥離状態を目視にて観察して、下記の基準で評価した。
○:全く剥離が認められない
△:碁盤目状の切り込みに沿って僅かに剥離が認められる
×:桝目1個以上の剥離が認められる
〔製造例1〕
(アクリル樹脂重合)
攪拌機、窒素導入管、冷却管、滴下装置、サーモスタット付き加熱装置を備えた1リットルの反応容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル(以下「PGM」と称する)200gを入れ、窒素雰囲気下で140℃まで加温した。次いで、イソボロニルメタクリレート118g、メチルメタクリレート60g、2−エチルヘキシルアクリレート10g、メタクリル酸12gおよびPGM160gからなるモノマー混合液と、重合開始剤としてのt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート6gおよびPGM93gからなる開始剤液Aとを、同時にそれぞれ3時間かけて等速で滴下したのち、140℃で1時間保持した。その後、さらに、重合開始剤としてのt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.4gおよびPGM16.8gからなる開始剤液Bを1時間かけて等速で滴下して、カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)を得た。該カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)の重量平均分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて測定したところ、ポリスチレン換算で20,000であった。
(二重結合導入)
次いで、得られたカルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)に、テトラブチルアンモニウムブロマイド1.5g、ハイドロキノン0.2gおよびPGM3.3gからなる溶液Cを加え、樹脂液中に空気をバブリングしながら樹脂液温を110℃にし、さらに、4−ヒドロキシ−ブチルグリシジルエーテルアクリレート14gおよびPGM35gからなる溶液Dを1時間かけて等速で滴下したのち、5時間同温度で熟成し、側鎖に二重結合基を有するアクリル樹脂溶液(A1)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A1)の固形分および二重結合当量は表1に示す。
〔製造例2、製造例3〕
製造例1において使用した各原料の使用量を表1に示すように変更したこと(表1中に示す各成分の値は「g」である)以外は、製造例1のアクリル樹脂重合と同様の手法でカルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)、(a2)を得、さらに製造例1の二重結合導入と同様の手法で側鎖に二重結合基を有するアクリル樹脂の溶液(A2)、(A3)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A2)、(A3)の固形分および二重結合当量は表1に示す。また、製造例1と同様にして、カルボキシル基含有アクリル樹脂溶液(a1)、(a2)の重量平均分子量を測定した結果も表1に併せて示す。
Figure 2006263616
〔製造例4〕
(アクリル樹脂重合)
製造例1のアクリル樹脂重合において使用した各原料の使用量を表2に示すように変更したこと(表2中に示す各成分の値は「g」である)以外は、製造例1のアクリル樹脂重合と同様の手法で、固形分50%のヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a4−1)を得た。なお、製造例4においては、製造例1におけるメタクリル酸の代わりに2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いた。製造例1と同様にして、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a4−1)の重量平均分子量を測定した結果を表2に示す。
(二重結合導入)
まず、攪拌機、空気導入管、冷却管、滴下装置、サーモスタット付き加熱装置を備えた反応容器内に、イソホロンジイソシアナート222g(1モル)、ジブチルスズラウレート0.2gおよび酢酸ブチル222gを仕込み、空気を吹き込みながら、内部温度を60℃にし、同温度を保持しながら、さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート116g(1モル)、ハイドロキノン0.3gおよび酢酸ブチル116gからなる混合液を2時間かけて滴下した。その後、1時間同温度で熟成して、アクリロイル基とイソシアナート基を含有する付加物を50%濃度で含む溶液(a4−2)を得た。
次に、攪拌機、空気導入管、冷却管、滴下装置、サーモスタット付き加熱装置を備えた反応容器内に、上記溶液(a4−1)400gおよび重合禁止剤としてのハイドロキノン0.2gを仕込み、内部温度を80℃にしたのちに、空気を吹き込みながら、上記溶液(a4−2)318gを1時間かけて滴下し、その後、IR測定でイソシアナート基の吸収が認められなくなるまで攪拌を続けて、アクリル樹脂溶液(A4)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A4)の固形分および二重結合当量は表2に示す。
〔製造例5〕
(アクリル樹脂重合)
製造例1のアクリル樹脂重合において使用した各原料の使用量を表2に示すように変更したこと(表2中に示す各成分の値は「g」である)以外は、製造例1のアクリル樹脂重合と同様の手法で、固形分50%のヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a5)を得た。なお、製造例5においては、製造例1におけるメタクリル酸の代わりに2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いた。製造例1と同様にして、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a5)の重量平均分子量を測定した結果を表2に示す。
(二重結合導入)
次に、攪拌機、空気導入管、冷却管、滴下装置、サーモスタット付き加熱装置を備えた反応容器内に、上記溶液(a5)400g、ジブチルスズラウレート0.2gおよび重合禁止剤としてのハイドロキノン0.2gを仕込み、内部温度を80℃にしたのちに、同温度を維持し、空気を吹き込みながら、アクリロイル基含有イソシアナート(昭和電工社製「カレンズAOI」)17gおよび酢酸ブチル17gの混合液を1時間かけて滴下し、その後、IR測定でイソシアナート基の吸収が認められなくなるまで攪拌を続けて、アクリル樹脂溶液(A5)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A5)の固形分および二重結合当量は表2に示す。
〔製造例6、製造例7〕
製造例4において使用した各原料の使用量を表2に示すように変更したこと(表2中に示す各成分の値は「g」である)以外は、製造例4と同様にして(すなわち製造例1のアクリル樹脂重合と同様の手法で)、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a6)、(a7)を得、さらに製造例4の二重結合導入と同様の手法で、側鎖に二重結合基を有するアクリル樹脂の溶液(A6)、(A7)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A6)、(a7)の固形分および二重結合当量は表2に示す。また、製造例1と同様にして、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂溶液(a6)、(a7)の重量平均分子量を測定した結果も表2に併せて示す。
Figure 2006263616
〔実施例1〜19〕
(下塗り塗料の製造)
表3〜5に示す各成分を各表にそれぞれ示す配合割合(表3〜5中に示す各成分の値は「部」である)で混合して充分に攪拌して、下塗り塗料を得た。用いた各成分の詳細は、以下の通りである。
(メタ)アクリル樹脂(A):製造例1〜7で得られたアクリル樹脂溶液(A1)〜(A7)のいずれか1種
多官能(メタ)アクリレート(B):ダイセルユーシービー社製「エベクリル1290」、固形分100%
(メタ)アクリロイル基含有紫外線吸収剤(C):大塚化学社製「RUVA−93」
光重合開始剤(D):ベンゾフェノン/チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガキュア819」=1/3(質量比)からなる混合物、固形分100%
光安定剤:チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビン123」、固形分100%
PGM
(クリヤー塗料の製造)
以下のようにしてウレタンアクリレートを製造した。まず、多価アルコールとしてペンタエリスリトール136g(1モル)、多価カルボン酸としてヘキサヒドロ無水フタール酸(新日本理化社製「リカシッドHH」)603g(3.92モル)、およびキシレン80mLを2L4つ口フラスコに入れ、窒素パージしたのち、120℃で、IR分析にて無水物由来の吸収がなくなるまで(約6時間)反応させた。次いで、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコール(三菱ガス化学社製)816g(4モル)を投入し、窒素雰囲気下で200℃以上で維持し(最終的な温度は240℃であった)、酸価が10mgKOH以下になるまで(約15時間)脱水反応を行った。その後、減圧下でキシレンを除去し、ポリエステルポリオールを得た。次に、得られたポリエステルポリオール1302g、イソホロンジイソシアナート746g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学社製「NKエステルA−TMM−3Lnew」)2127g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル2.087g、ジt−ブチル−4−メチルフェノール2.087g、ジラウリン酸ジn−ブチルスズ2.087gを混合し、85〜90℃で、赤外分光分析にてNCO基の吸収がなくなるまで(約5時間)反応させた。反応後、酢酸n−ブチル1289gを加え、固形分80%のウレタンアクリレートを得た。
攪拌機を備えた反応容器に、酢酸ブチル45g、プロピレングリコールモノメチルエーテル77g、ジアセトンアルコール96gを仕込み、攪拌しながら、上記で得たウレタンアクリレート(固形分80%)87.5g、特殊アクリレート(東亜合成社製「アロニックスM408」)30g、光重合開始剤としてベンゾフェノン3g、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド2g、光安定剤(チバスペシャリティケミカルズ社製「チヌビン123」)1g、紫外線吸収剤(新中村化学社製「UVA−1050T」、固形分50%)10g、およびメタクリレート変性コロイダルシリカ(大韓ビー・ケミカル社製「FCS−016」、固形分50%)20gを、記載した順序で投入し、充分に攪拌して、クリヤー塗料を得た。
(複層塗膜の形成)
透明ポリカーボネート板(三菱エンジニアリングプラスチック社製、厚み3mm)に対して120℃で1時間アニールを施したのち、室温になるまで放置したものを基材とし、該基材に、表3〜5に示す配合で得た下塗り塗料を硬化後の膜厚が表3〜5に示す値となるようにエアースプレー塗装にて塗装した。その後、60℃で10分間プレヒートすることにより溶剤を揮散させたのち、120W/cmのメタルハライドランプ1灯を用いて、平行光型のランプハウスにて25cmの高さから紫外線を照射して下地塗膜を形成した。このときの紫外線積算光量は、UV−350(オーク社製)を用いて測定したところ、1000mJ/cm2 であった。
次に、上記下地塗膜上に、クリヤー塗料を硬化後の膜厚が5μmとなるようにエアースプレー塗装にて塗装した。その後、60℃で10分間プレヒートすることにより溶剤を揮散させたのち、120W/cmの高圧水銀ランプ1灯を用いて、平行光型のランプハウスにて25cmの高さから紫外線を照射して下地塗膜とクリヤー塗膜からなる複層塗膜を形成した。このときの紫外線積算光量は、UV−350(オーク社製)を用いて測定したところ、2000mJ/cm2 であった。
Figure 2006263616
Figure 2006263616
Figure 2006263616
〔比較例1〕
(塗料の製造)
表6に示す各成分を表6にそれぞれ示す配合割合(表6中に示す各成分の値は「部」である)で混合して充分に攪拌して、塗料を得た。用いた各成分の詳細は、表3〜5の場合と同様である。
(塗膜の形成)
透明ポリカーボネート板(三菱エンジニアリングプラスチック社製、厚み3mm)に対して120℃で1時間アニールを施したのち、室温になるまで放置したものを基材とし、該基材に、上記塗料を硬化後の膜厚が表6に示す値となるようにエアースプレー塗装にて塗装した。その後、60℃で10分間プレヒートすることにより溶剤を揮散させたのち、120W/cmのメタルハライドランプ1灯を用いて、平行光型のランプハウスにて25cmの高さから紫外線を照射して1コート塗膜を形成した。このときの紫外線積算光量は、UV−350(オーク社製)を用いて測定したところ、1000mJ/cm2 であった。
〔比較例2〕
(塗膜の形成)
透明ポリカーボネート板(三菱エンジニアリングプラスチック社製、厚み3mm)に対して120℃で1時間アニールを施したのち、室温になるまで放置したものを基材とし、該基材に、市販の1コートレンズ用ハードコート塗料(日本ビーケミカル社製「K2052」)を硬化後の膜厚が表6に示す値となるようにエアースプレー塗装にて塗装した。その後、60℃で10分間プレヒートすることにより溶剤を揮散させたのち、120W/cmのメタルハライドランプ1灯を用いて、平行光型のランプハウスにて25cmの高さから紫外線を照射して1コート塗膜を形成した。このときの紫外線積算光量は、UV−350(オーク社製)を用いて測定したところ、1000mJ/cm2 であった。
Figure 2006263616
本発明にかかる複層塗膜形成方法は、プラスチック基材に高い作業効率で耐候性や耐擦傷性を付与することができる方法であり、例えば、自動車外装用のプラスチック材料や、サンルーフ、窓ガラス、ヘッドランプ等として用いられるガラス代替プラスチック材料など、屋外で太陽光に曝される状態で使用され、かつ表面に損傷を受けやすい成形品に好適に適用することができる。本発明にかかる塗料は、該本発明の複層塗膜形成方法に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. プラスチック基材上に活性エネルギー線により硬化する下塗り塗料にて下地塗膜を形成し、該下地塗膜上に活性エネルギー線により硬化するクリヤー塗料にてクリヤー塗膜を形成する複層塗膜形成方法において、
    前記下塗り塗料として、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とする塗料を用いる、
    ことを特徴とする、複層塗膜形成方法。
  2. 前記(メタ)アクリル樹脂(A)は重量平均分子量が5,000〜50,000の樹脂の側鎖に二重結合基を二重結合基当量600〜2400となるよう付加したものであり、かつ、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の固形分割合が(A)/(B)=10/90〜50/50(質量比)であり、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能(メタ)アクリレート(B)の合計固形分100質量部に対して、固形分割合で、前記紫外線吸収剤(C)が5〜15質量部、前記光重合開始剤(D)が3〜10質量部である、請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 前記クリヤー塗料として、ウレタンアクリレート、(メタ)アクリレート変性コロイダルシリカ、紫外線吸収剤、光安定剤および光重合開始剤を必須成分とする塗料を用いる、請求項1または2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 活性エネルギー線により硬化するプラスチック基材用下塗り塗料であって、側鎖に二重結合基を有する(メタ)アクリル樹脂(A)、多官能(メタ)アクリレート(B)、(メタ)アクリロイル基を有する紫外線吸収剤(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とする、ことを特徴とする、塗料。
  5. 前記(メタ)アクリル樹脂(A)は重量平均分子量が5,000〜50,000の樹脂の側鎖に二重結合基を二重結合基当量600〜2400となるよう付加したものであり、かつ、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能アクリレート(B)の固形分割合が(A)/(B)=10/90〜50/50(質量比)であり、前記(メタ)アクリル樹脂(A)と前記多官能アクリレート(B)の合計固形分100質量部に対して、固形分割合で、前記紫外線吸収剤(C)が5〜15質量部、前記光重合開始剤(D)が3〜10質量部である、請求項4に記載の塗料。
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