JP5346262B2 - 積層フィルム及びそれを用いた成型物 - Google Patents
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Description
そこで、複数の塗膜が積層してなる積層フィルムを用いて成型品の加飾を行う方法が提案されている。成型品に積層フィルムを接着することで、成型品に複数の塗膜を形成することができるため、設備がコンパクトになり工程も非常に簡素化される。このような加飾用の積層フィルムの従来技術としては、特許文献1、2があるが、加飾する成型体基材として、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系基材には接着できないという問題があった。
[1]フィルム層(A)の上に、接着剤層(B)、中間層(C)、UV硬化層(D)、フィルム層(E)が順次積層されたフィルムに於いて、接着剤層(B)が、オレフィン樹脂(B−1)に不飽和二重結合基を含有する極性化合物(B−2)でグラフト変性されたオレフィン樹脂(B−3)を含有することを特徴とする積層フィルム。
[2]変性オレフィン樹脂(B−3)が、プロピレンを55〜90モル%含有するオレフィン共重合体に、無水カルボン酸を0.1〜20重量%グラフトしたものであることを特徴とする[1]記載の積層フィルム。
[3]UV硬化層(D)が、水酸基価1〜200mgKOH/gの水酸基を含有し重量分子量が1000以上で10万以下のアクリル系重合体(D−1)を10〜90重量部、ラジカル重合性化合物(D−2)を10〜90重量部、光開始剤(D−3)を0.1〜15重量部含むことを特徴とした[1]又は[2]記載の積層フィルム。
[4]中間層(C)が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂の少なくとも1種を含有することを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の積層フィルム。
[5][1]〜[4]の何れかに記載の積層フィルムのフィルム層(A)を剥がした後、成型基材に接着し、紫外線を照射し、フィルム層(E)を剥がして、接着剤層(B)、中間層(C)、UV硬化層(D)を成型基材に載せた成型物。
本発明におけるフィルム層(A)、及び(E)は、接着剤層(B)又はUV硬化層(D)から容易に剥がすことができるフィルムであれば何れも使用することが可能できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)系フィルム、ポリカーボネート(PC)系フィルム、ポリオレフィン系フィルム、塩ビ(PVC)系フィルム、アクリル系フィルム等、さらには、これらにシリコン等の離型成分が塗布された離型フィルム等が挙げられる。具体的には、商品名、ノバクリア(三菱化学社製)、ディアクレール(三菱樹脂社製)、オピュランTPX(三井化学社製)、トレファン(東レ合成フィルム社製)、アクリプレン(三菱レイヨン社製)、セパレーター(東セロ株式会社)等が挙げられる。
本発明における接着剤層(B)は、オレフィン樹脂(B−1)を不飽和二重結合基を含有する極性化合物(B−2)でグラフト変性したオレフィン樹脂(B−3)を含有するものである。
オレフィン樹脂(B−1)
本発明におけるオレフィン樹脂(B−1)は各種基材に対する接着性と、中間層(C)との密着性を優れたものにするため、プロピレンを55〜90モル%、好ましくは55〜85モル%含有するオレフィン共重合体である。共重合させるモノマーとしては、エチレンや、炭素数4から6のα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを挙げることができる。さらに本発明の効果を阻害しない範囲で、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類や、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エトリデン−2ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、2,5−ノルボナジエンなどの非共役ジエン類が挙げられる。より好ましくはプロピレンとエチレン、プロピレンと1-ブテンの共重合体である。
変性する原料である不飽和二重結合基を含有する極性化合物(B−2)は、カルボン酸基や無水カルボン酸基、水酸基、エステル基、フェニル基を有し、さらに、ビニル基やアクリレート基を有する化合物である。例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、α−メチルスチレンなどが挙げられる。変性の容易さや接着性に優れたものとするためには、カルボン酸基や無水カルボン酸基を有する、無水マレイン酸、マレイン酸や、水酸基を有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは、カルボン酸基や無水カルボン酸基を有する、無水マレイン酸、マレイン酸である。
これらの化合物を用いて、オレフィン樹脂(B−1)をグラフト変性することができる。
本発明のグラフト変性されたオレフィン樹脂(B−3)は、不飽和二重結合基を含有する極性化合物(B−2)により変性されたものである。その変性量は、基材への接着性と中間層(C)との密着性を優れたものとするために、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%、さらに好ましくは0.3〜10重量%である。
変性量が0.1〜20重量%であれば、オレフィン樹脂(B−3)の結晶化度は、オレフィン樹脂(B−1)のそれと大きな変化はなく、2〜20%である。また、デカリン中135℃における固有粘度[η]は、一般的に変性により小さくなるが、接着性を優れたものにするためには、オレフィン樹脂(B−3)の[η]は0.3〜20であることが好ましい。
グラフト変性方法としては、変性するオレフィン樹脂(B−1)を有機溶剤に溶解し、不飽和二重結合基を含有する極性化合物(B−2)、及びラジカル発生剤を添加して、攪拌下で加熱する方法や、各成分を押出機に供給してグラフト変性し、得られた変性オレフィン樹脂を溶剤に溶解させる方法がある。これら変性の際には、不飽和二重結合基を含有する極性化合物(B−2)、及びラジカル発生剤の添加は、逐次添加が好ましく、逐次添加により、共重合体の析出やゲル化を防ぎ、共重合体に均質にグラフト変性することができる。また、グラフト変性の反応温度は、変性するオレフィン樹脂(B−1)の融点以上、例えば、100℃以上、好ましくは120℃から160℃の範囲が好適であり、反応時間は2〜10時間が通常である。以上のような方法でグラフト変性を行うと、不飽和二重結合基を含有する極性化合物(B−2)のホモポリマーの生成が抑制され、変性終了後に残留する未反応物や副反応物の生成も抑制することができる。
また、接着層(B)には、接着性を阻害しない範囲で、アミノ樹脂やエポキシ樹脂、イソシアネート樹脂等の硬化剤や、カーボンブラックや酸化チタン等の顔料を併用することもできる。
[UV硬化層(D)]
本発明におけるUV硬化層(D)は、アクリル系重合体(D−1)を10〜90重量部、ラジカル重合性化合物(D−2)を10〜90重量部、光開始剤(D−3)を0.1〜15重量部からなるものである。また、硬度や耐磨耗性、密着性に優れた硬化塗膜が得られるため、好ましくはアクリル系重合体(D−1)を15〜90重量部、ラジカル重合性化合物(D−2)を10〜85重量部、及び光開始剤(D−3)を1〜10であり、さらに好ましくは、アクリル系重合体(D−1)を20〜90重量部、ラジカル重合性化合物(D−2)を10〜80重量部、及び光開始剤(D−3)を1〜8重量部である。
本発明のアクリル系重合体(D−1)は、耐摩耗性、耐薬品性、密着性を優れたものとするために、水酸基価1〜200mgKOH/gの水酸基を含有し、GPC(Gel Permeation Chromatography System)による重量分子量が1000以上で10万以下のアクリル系重合体(D−1)である。
さらに、アクリル系重合体(D−1)の水酸基価は、好ましくは10〜180mgKOH/g、さらに好ましくは、20〜160mgKOH/gである。
また、アクリル系重合体(D−1)の分子量は、硬度、耐擦傷性を発現するために、好ましくは3000以上、20万以下、更に好ましくは5000以上、10万以下である。
このアクリル系重合体(D−1)は水酸基を含有する単量体(a)とその他の単量体(b)を共重合することによって得ることができる。水酸基を含有する単量体(a)の例を以下に挙げる。尚、メチル(メタ)アクリレートのような記載は、メチルアクリレート及び/又はメチルメタアクリレートを示し、以下(メタ)とは同様の意味である。
本発明におけるラジカル重合性化合物(D−2)はアクリレート基を有する化合物であり、ラジカル重合性化合物(D−2)としては、例えば、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)ビスフェノールA、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート、その他活性二重結合を持つアクリロイルモルホリン、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルジビニルエーテル、スチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
本発明の光開始剤(D−3)とは、紫外線、電子線、放射線等でラジカルを発生することが可能な化合物であり、具体例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物;2−エチルアントラキノン等のアントラキノン類;ベンゾイルパーオキシド、ジターシャリーブチルパーオキシド等のパーオキシド化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物を挙げることができる。
本発明における中間層(C)は、顔料や染料等を混合して着色を行う層であり、ウレタン樹脂やアクリル樹脂が好ましい。
次に、積層フィルムの製造方法について説明する。
本発明の接着剤層(B)、中間層(C)、UV硬化層(D)は、適当な溶剤に樹脂を溶解したものをフィルム上に塗工することによって得られる。
塗布方法としては、特に限定されないが、例えば、スプレーによる吹付け塗布、アプリケータやバーコータ、ダイコーター、コンマコーター、ローラブラシ等を用いた塗布が挙げられ、各層は都度、加熱乾燥させることによって層を形成させる。そして、必要に応じて、フィルム層をゴムロール等によってラミネートすることで、本発明の積層フィルムを得ることができる。
さらに本発明の接着剤層(B)、中間層(C)、UV硬化層(D)を塗工して構成させる場合に、有機溶剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、黄変防止剤、染料、顔料、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、帯電防止剤、防曇剤、はじき防止剤、湿潤剤、分散剤、だれ防止剤、カップリング剤等の各種添加剤を含有していても良い。
本発明のフィルム層(A)と(E)の膜厚は5μから600μで、接着剤層(B)は0.5μから100μ、中間層(C)は5μから200μ、UV硬化層(D)は5μから300μが好ましく、より好ましくは、フィルム層(A)と(E)の膜圧は5μから400μで、接着剤層(B)は0.5μから50μ、中間層(C)は5μから100μ、UV硬化層(D)は5μから200μ、更に好ましくは、フィルム層(A)と(E)の膜圧は5μから300μで、接着剤層(B)は0.5μから30μ、中間層(C)は5μから70μ、UV硬化層(D)は5μから100μである。
本発明の積層フィルムで成型体を加飾する場合には、従来公知の手法と同様に行えばよく、特に限定されるものではない。積層フィルムからフィルム層(A)を剥離し、接着剤層を成型品表面に向けて積層フィルムを圧着させて加飾する。その後、フィルム層(E)を通して紫外線を照射し、UV硬化層(D)を硬化させ、フィルム層(E)を剥離する。なお、積層フィルムを成型品に美麗に密着させたい場合には、真空条件下にて行うことが好ましい。これにより、成型体表面に、順番に、接着剤層(B)、中間層(C)、UV硬化層(D)が転写され、成型体が加飾、保護された成型物が得られる。
紫外線を照射する際には、紫外線、電子線、放射線等の活性エネルギー線を照射する公知の方法を用いることができ、紫外線発生源としては実用的、経済性の面から紫外線ランプが一般に用いられている。具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光等の紫外線などが挙げられる。
本発明は、各種基材に接着性を有する接着剤層(B)を有するため、基材となる成型体としては、各種の合成樹脂や金属系成型品に適用でき、合成樹脂としては、具体例には、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂はもちろんのこと、ポリメチルメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩ビ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリアミド樹脂が挙げられる。また、金属系としては鋼板、アルミ、SUS等の合金が挙げられる。
[実施例1]
「接着剤層(B)用樹脂の合成」
プロピレン−エチレン共重合体として、プロピレン含有量67モル%、デカリン中135℃における固有粘度[η]2.1、X線回折による結晶化度が12%である共重合体3kgを10Lのトルエンに加え、窒素雰囲気下で145℃に昇温し、該共重合体をトルエンに溶解させた。さらに、攪拌下で無水マレイン酸382g、ジ−tert−ブチルパーオキシド175gを4時間かけて系に供給し、続けて145℃で2時間攪拌を行った。冷却後、多量のアセトンを投入し変性された共重合体を沈殿させ、ろ過し、アセトンで洗浄した後、真空乾燥することで、変性共重合体を得た。さらにこれをトルエンに溶解させ不揮発分8%の、無水マレイン酸変性プロピレン−エチレン共重合体の溶液を得た。
メチルメタクリレート(MMA)85g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)14g、メタクリル酸(MAA)1g、アゾビスイソブチロニトリル1gの混合溶液を、トルエン85g、n−ブタノール37gを仕込んだ反応容器に、空気気流下で100℃で4時間かけて滴下した。さらに100℃を維持し、重合を完結させるためにアゾビスイソブチロニトリル0.2gを1時間ごとに2回添加した。滴下終了から3時間後に冷却し、不揮発分45%、重量平均分子量25000の重合体溶液を得た。
さらに、この重合体溶液111g(固形分50g)にペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)50g、イルガキュア184(チバスペシャリティ社製の光開始剤)3gを混合し、UV硬化層(D)用樹脂の溶液を得た。
フィルム層(A)としてシリコン塗工した膜厚200μのPETフィルムを用い、これに接着剤層(B)用樹脂を塗工し、60℃で20分乾燥した。得られた接着剤層(B)は膜厚が10μであった。さらに、この上に、アルマテックスL1053(三井化学株式会社品、アクリル樹脂)を塗工し、60℃で20分乾燥した。得られた中間層(C)は膜厚30μであった。さらに加えて、この上にUV硬化層(D)用樹脂を塗工し、60℃で10分乾燥した。得られたUV硬化層(D)の膜厚は30μであった。この上にフィルム層(E)として膜厚200μのPETフィルムを、ゴムロールでラミネートし、積層フィルムを作成した。
フィルム層(A)を剥離して、接着剤層(B)を所定の成型体基材に向けて、80℃で1kg/cm2圧、1分の条件で接着した。さらに、フィルム層(E)側から、100w/cmの高圧水銀灯を3灯有する紫外線照射装置で、照射距離10cm、ライン速度10m/minで紫外線を照射し、UV硬化層(D)を硬化させた。さらに、フィルム層(E)を剥離して、加飾された成型物を得て、これを以下の試験に供した。
実施例1の「接着剤層(B)用樹脂の合成」において、プロピレン−エチレン共重合体の代わりに、プロピレン−ブテン共重合体を使用した以外は、実施例1と同様な操作で、実施例2の加飾された成型体を得て、これを以下の試験に供した。
実施例1の「UV硬化層(D)用樹脂の合成」において、重合体溶液の固形分とペンタエリスリトールトリアクリレートの混合比率を10/90に代えたい以外は、実施例1と同様な操作で、実施例3の加飾された成型体を得て、これを以下の試験に供した。
実施例1の「接着剤層(B)用樹脂の合成」において、無水マレイン酸の変性をしないプロピレン−エチレン共重合体を使用した以外は、実施例1と同様な操作で、比較例1の加飾された成型体を得て、これを以下の試験に供した。
[比較例2]
実施例1の、接着剤層(B)用の樹脂として、東洋紡社製のポリエステルウレタン樹脂(バイロンUR−3200)を使用した以外は実施例1と同様な操作で、比較例1の加飾された成型体を得て、これを以下の試験に供した。
上記で得られた加飾された成型体に対し、以下に示す方法で試験を行った。その結果を表1、表2に示す。
密着性を碁盤目試験(JIS K5600−5−6)によって評価した。碁盤目による100個の升目のうち、剥がれていない升目を以下のように標記した。
50個の升目が剥離 50/100
<耐水後密着性>
加飾した成型体を、40℃温水に24時間浸漬し、その後の密着性を碁盤目試験(JIS K5600−5−6)によって評価し、碁盤目による100個の升目のうち、剥がれていない升目を以下のように標記した。
50個の升目が剥離 50/100
<耐薬品性>
加飾した成型体の加飾面上にエタノールを滴下し、蒸発しないようにカバーをかけて常温で1週間後の加飾面の外観変化を目視で確認し、以下のようにランク付けした。
痕跡がわずかにある △
明らかに痕跡がある ×
<耐磨耗性>
テーバー磨耗試験法(JIS K5600−5−9)によりCS−10F磨耗輪で荷重250g、50回転で外観の変化を目視で確認し、以下のようにランク付けした。
塗膜に傷が入り白くなったものを△
塗膜に傷が入り完全に基材成型体の表面が見えなくなったものを×
[評価結果]
Claims (4)
- フィルム層(A)の上に、接着剤層(B)、中間層(C)、UV硬化層(D)、フィルム層(E)が順次積層されたフィルムに於いて、接着剤層(B)が、オレフィン樹脂(B−1)に不飽和二重結合基を含有する極性化合物(B−2)でグラフト変性されたオレフィン樹脂(B−3)を含有し、かつ該(B−3)が、プロピレンを55〜85モル%含有し、かつX線回折による結晶化度が2〜20%である、プロピレン・エチレン共重合体またはプロピレン・1−ブテン共重合体に、無水カルボン酸を0.1〜20重量%グラフトしたものであることを特徴とする積層フィルム。
- UV硬化層(D)が、水酸基価1〜200mgKOH/gの水酸基を含有し重量分子量が1000以上で10万以下のアクリル系重合体(D−1)を10〜90重量部、ラジカル重合性化合物(D−2)を10〜90重量部、光開始剤(D−3)を0.1〜15重量部含むことを特徴とした請求項1記載の積層フィルム。
- 中間層(C)が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 請求項1〜3の何れかに記載の積層フィルムのフィルム層(A)を剥がした後、成型基材に接着し、紫外線を照射し、フィルム層(E)を剥がして、接着剤層(B)、中間層(C)、UV硬化層(D)を成型基材に載せた成型物。
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