JP7254012B2 - 自動車用外装部品及び自動車用外装部品の製造方法 - Google Patents
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Description
また、プラスチック製の自動車用部品は、デザイン、機能及び軽量化の観点から大型化されることもある。
したがって、低温での優れた耐衝撃性等を有する塗膜を含む、自動車用外装部品等の自動車用部品が要求されているが、依然として、充分な性能を導けていない。
[1]エラストマー変性ポリプロピレン樹脂を含むプラスチック基材と、複層塗膜とを有する自動車用外装部品であって、
前記複層塗膜は、
(a)単独膜の-20℃での引張伸度が5~35%であるプライマー塗膜、
(b)着色剤を含むベース塗膜、および
(c)クリヤー塗膜を有し、
前記クリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂として、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)と、ジオール樹脂(c-3)と、ポリイソシアネート化合物(c-4)とを含むクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜であり、
前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)は、水酸基価が80mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が4,000以上10,000以下であり、およびガラス転移温度が30℃以上60℃以下であり、
前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)はコアシェル構造を有し、前記コア部の水酸基価は100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、前記コア部のガラス転移温度は40℃以上80℃以下であり、
前記ジオール樹脂(c-3)は、水酸基価が80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、ならびに
前記プラスチック基材は、厚みが1.5~3.5mmである薄肉部を有し、
前記複層塗膜は、-20℃でのデュポン衝撃強度が4.9J以上である、
自動車用外装部品。
[2]前記ジオール樹脂(c-3)が、ポリエステルジオール樹脂である、[1]に記載の自動車用外装部品。
[3]前記イソシアネート化合物(c-4)に含まれるイソシアネート基と、前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)および非水分散型アクリル樹脂(c-2)に含まれる水酸基との当量比(NCO/OH)が、0.7以上2.0以下である、[1]又は[2]に記載の自動車用外装部品。
[4]前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)の質量比が、((c-1)/(c-2))=90/10~50/50である、上記[1]から[3]のいずれかに記載の自動車用外装部品。
[5]前記ジオール樹脂(c-3)の量は、前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)との樹脂固形分の合計100質量部に対して、1質量部以上25質量部以下である、[1]から[4]のいずれかに記載の自動車用外装部品。
[6]前記ベース塗膜は、溶剤系一液型ベース塗料組成物、溶剤系二液型ベース塗料組成物又は水性一液型ベース塗料組成物から形成された塗膜である、[1]から[5]のいずれかに記載の自動車用外装部品。
[7]エラストマー変性ポリプロピレン樹脂を含むプラスチック基材に、プライマー塗膜(a)と、ベース塗膜(b)と、クリヤー塗膜(c)とがこの順で積層された複層塗膜を形成することを含む、自動車用外装部品の製造方法であって、
前記方法は、下記工程:
前記プラスチック基材にプライマー塗料組成物を塗装し、未硬化のプライマー塗膜を形成する工程、
ベース塗料組成物を塗装し、未硬化のベース塗膜を形成する工程、
クリヤー塗料組成物を塗装し、未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程、
これらの未硬化の塗膜を加熱硬化させ、複層塗膜を形成する工程、
を含み、
前記プライマー塗膜(a)は、単独膜の-20℃での引張伸度が5~35%である膜であり、
前記ベース塗膜(b)は、着色剤を含み、および
前記クリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂として、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)と、ジオール樹脂(c-3)と、ポリイソシアネート化合物(c-4)とを含むクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜であり、
前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)は、水酸基価が80mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が4,000以上10,000以下であり、およびガラス転移温度が30℃以上60℃以下であり、
前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)はコアシェル構造を有し、前記コア部の水酸基価は100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、前記コア部のガラス転移温度は40℃以上80℃以下であり、
前記ジオール樹脂(c-3)は、水酸基価が80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、ならびに
前記複層塗膜は、-20℃でのデュポン衝撃強度が4.9J以上である、
自動車用外装部品の製造方法。
[8]前記加熱硬化の条件は、65℃以上85℃以下、10分以上15分以下である、[7]に記載の自動車用外装部品の製造方法。
また、本発明の自動車用外装部品であれば、プラスチック樹脂を含む基材の薄肉化による軽量化が可能であり、燃費改善を行うことができる。
さらに、本発明の自動車用外装部品の製造方法は、本発明に係る複層塗膜を用いて自動車用外装部品を製造することにより、塗膜形成組成物の硬化時間を大幅に短縮でき、自動車用外装部品の製造時間を従来と比べて大幅に短縮できる。その結果、自動車用外装部品の製造において、省エネルギー化、低コスト化を可能とする。また、大型の自動車用外装部品においても、本発明の製造方法を適用できる。
そこで、通常、自動車用部品は、基材上に複層塗膜を有しており、その複層塗膜についても、寒冷地において優れた耐衝撃性を有するなど、自動車用部品として要求される諸物性を満たす必要がある。その上、複層塗膜には、優れた外観を満たすことが求められている。
そこで、本発明者等は、プラスチック樹脂を含む基材に塗料組成物を塗装し、加熱硬化させる工程を含む自動車用部品の製造方法において、塗料組成物の加熱硬化に要する時間を短縮させることに着目した。
別の対策として、硬化触媒を選択し、塗料組成物の乾燥時間を短縮することは可能である。しかし、この場合、ポットライフが短くなり、自動車用部品の塗装効率が悪くなるといった問題が生じてしまう。
加えて、本発明の別の態様である自動車用外装部品の製造方法によると、特定の塗膜形成組成物から複層塗膜を形成することで、塗膜形成組成物の加熱硬化時間を大幅に短縮でき、自動車用外装部品の製造時間を大幅に短縮させることができる。その上、自動車用外装部品に要求される上記物性を備えることができる。その結果、自動車用外装部品の製造において、省エネルギー化、低コスト化を可能とする。
エラストマー変性ポリプロピレン樹脂を含むプラスチック基材と、複層塗膜とを有する自動車用外装部品であって、
前記複層塗膜は、
(a)単独膜の-20℃での引張伸度が5~35%であるプライマー塗膜、
(b)着色剤を含むベース塗膜、および
(c)クリヤー塗膜を有し、
前記クリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂として、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)と、ジオール樹脂(c-3)と、ポリイソシアネート化合物(c-4)とを含むクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜であり、
前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)は、水酸基価が80mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が4,000以上10,000以下であり、およびガラス転移温度が30℃以上60℃以下であり、
前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)はコアシェル構造を有し、前記コア部の水酸基価は100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、前記コア部のガラス転移温度は40℃以上80℃以下であり、
前記ジオール樹脂(c-3)は、水酸基価が80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、ならびに
前記プラスチック基材は、厚みが1.5~3.5mmである薄肉部を有し、
前記複層塗膜は、-20℃でのデュポン衝撃強度が4.9J以上である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の自動車用外装部品は、エラストマー変性ポリプロピレン樹脂を含むプラスチック基材と、複層塗膜とを有する。前記プラスチック基材は、厚みが1.5~3.5mmである薄肉部を有し、別の態様において、薄肉部の厚みは、例えば、1.5mm以上2.5mm以下である。薄肉部の厚みがこのような範囲であることにより、自動車用部品の軽量化に寄与できる。
また、上記薄肉部の厚みは、プラスチック部品のうち最も厚みが薄い部分が上記範囲内であるものを指す。
本発明の自動車用外装部品であれば、このような厚さのプラスチック基材と、本発明に係る複層塗膜とを有することにより、薄肉物品でありながらも、充分な低温耐衝撃性(例えば、-20℃でのデュポン衝撃強度)を付与できる。
本発明において、自動車用外装部品は、プラスチック基材上に複層塗膜を有する。
複層塗膜は、
(a)単独膜の-20℃での引張伸度が5~35%であるプライマー塗膜、
(b)着色剤を含むベース塗膜、および
(c)クリヤー塗膜を有し、
前記クリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂として、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)と、ジオール樹脂(c-3)と、ポリイソシアネート化合物(c-4)とを含むクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜であり、
前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)は、水酸基価が80mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が4,000以上10,000以下であり、およびガラス転移温度が30℃以上60℃以下であり、
前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)はコアシェル構造を有し、前記コア部の水酸基価は100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、前記コア部のガラス転移温度は40℃以上80℃以下であり、
前記ジオール樹脂(c-3)は、水酸基価が80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、ならびに
前記複層塗膜は、-20℃でのデュポン衝撃強度が4.9J以上である。
例えば、複層塗膜は、プライマー塗膜(a)を形成するプライマー塗料組成物と、ベース塗膜(b)を形成するベース塗料組成物と、クリヤー塗膜(c)を形成するクリヤー塗料組成物をこの順で、プラスチック基材に塗装し、加熱硬化(焼付)させることにより得られる。
以下において、各塗膜(a)~(c)および複層塗膜について説明する。
本発明に係るプライマー塗膜(a)は、単独膜の-20℃での引張伸度が5~35%である。例えば、引張伸度は10~30%であってもよい。
本明細書において、引張伸度は、以下に示した方法によって測定した値である。
(i)塗膜がハクリ可能な塗板上に乾燥膜厚が30μmになるように塗装し、塗装後に80℃で25分間乾燥させて塗膜を形成する。
(ii)縦10mm×横50mmの大きさに試験片を作製し、両端にマスキングテープを貼りつけ、マスキングテープの残り半分を裏面へ折り返す。
(iii)島津オートグラフ(AG-IS)にてマイナス20℃の環境下、5mm/minの引張り速度で測定する。
(iv)5サンプル測定してその平均値を算出する。
プライマー塗膜(a)の引張伸度がこのような範囲内であることにより、例えば、低温時(例えば-20℃)の衝撃強度に優れる。また、良好な塗膜の追従性を有する。
本発明におけるベース塗膜は、着色剤を含む。このようなベース塗膜は特に限定されず、公知のベース塗膜形成組成物から形成できる。着色剤も公知の無機顔料、有機顔料等を含むものを使用できる。その配合量も特に限定されるものではない。塗料は水性であっても、溶剤系であってもよい。また、着色ベース層及びマイカベース層の2層からなるものであってもよい。ベース塗膜の厚みは、10~30μmであることが好ましい。10μm未満では隠蔽性が不足するという問題を生じるおそれがあり、30μmを超えるとタレ、ワキ等の不具合が発生するおそれがある。好ましくは15~20μmである。上記乾燥膜厚は、SANKO社製SDM-miniRを用いて測定することができる。
本発明に係るクリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂として、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)と、ジオール樹脂(c-3)と、ポリイソシアネート化合物(c-4)とを含むクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜である。
水酸基含有アクリル樹脂(c-1)は、水酸基価が80mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が4,000以上10,000以下であり、およびガラス転移温度が30℃以上60℃以下である。
なお、水酸基価は、JIS K 0070に記載されている水酸化カリウム水溶液を用いる中和滴定法により求めることができる。
水酸基含有アクリル樹脂(c-1)の重量平均分子量がこのような範囲内であることにより、例えば、クリヤー塗膜形成組成物をベース塗膜上又は未硬化のベース塗膜上に塗装したときに、クリヤー塗膜形成組成物とベース塗膜との混相の発生を抑制でき、良好なクリヤー塗膜の外観(仕上がり外観)を得ることができる。また、クリヤー塗膜形成組成物の速乾性を向上させることが出来る。
その上、クリヤー塗料組成物は適度な粘度を有することができ、クリヤー塗膜形成組成物の塗装時の粘度を低下させる溶剤の使用を低減でき、揮発性有機化合物(VOC)の増加を抑制できる。さらに、得られた塗膜は、優れた耐ガソホール性、耐候性および外観を有することができる。
カラム TSgel Super Multipore HZ-M 3本
展開溶媒 テトラヒドロフラン
カラム注入口オーブン 40℃
流量 0.35ml
検出器 RI
標準ポリスチレン 東ソー株式会社製PSオリゴマーキット
非水分散型アクリル樹脂(c-2)は、コアシェル構造を有し、前記コア部の水酸基価は100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、前記コア部のガラス転移温度は40℃以上80℃以下である。
また、アクリル樹脂(c-2)は、非水分散体(Non Aqueous Dispersion)である。
コア部の水酸基価が上記範囲内であることにより、クリヤー塗膜に含まれる塗膜形成樹脂の架橋が充分になされ、クリヤー塗料組成物をベース塗膜または未硬化のベース塗膜上に塗装し、加熱硬化(焼き付け)してなる塗膜に対して、優れた耐ガソホール性および耐候性を付与できる。また、塗膜が親水化することを抑制でき、耐水性が低下することを防ぐことができる。更に、上記構成の非水分散体を用いることにより、加熱硬化(焼付け)直後の乾燥性を向上でき、および塗料組成物のポットライフを向上できる。
コア部に含まれる水酸基含有アクリル酸エステルモノマー(以下、長鎖水酸基含有モノマーと記載する場合がある)は、水酸基を含み、エステル部位の炭素数が4以上、12以下のアクリル酸エステルモノマーであり得る。例えば、アクリル酸4-ヒドロキシブチル、CH2=C(R)COO(CH2)2O[CO(CH2)mO]nH(式中、Rは水素または炭素数が6以下の低級アルキル基、m,nは「(CH2)2O[CO(CH2)mO]n」部位の炭素数が4以上、12以下となる自然数)等が挙げられる。
コア部に含まれるカルボキシル基を有するα,β-エチレン性不飽和モノマーとしては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
非水分散型アクリル樹脂(c-2)におけるシェル部(分散樹脂)は、水酸基含有アクリル樹脂で形成されていることが好ましく、水酸基価が50mgKOH/g以上、160mgKOH/g以下、ガラス転移温度が0℃以上、80℃以下、酸価が30mgKOH/g以下(下限値は0mgKOH/g)であるという条件を満たしていることがより好ましい。
溶剤の種類、重合時のモノマー組成物の濃度、或いは重合開始剤の種類、量、重合温度、重合時間等の重合条件は、シェル部に求められる各種物性に応じて適宜調節できる。従って、シェル部の製造方法は特に限定されるものではなく、市販のものを用いてもよい。
上記シェル部と、上記コア部を形成する水酸基含有アクリル酸エステルモノマーおよび/またはα,β-エチレン性不飽和モノマー等のモノマーとを、コア部を形成するモノマーは溶解するが、ポリマーは溶解しない溶剤中で重合することにより、非水分散型アクリル樹脂(c-2)を製造できる。
本発明に係る水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、本発明に係る非水分散型アクリル樹脂(c-2)の質量比がこのような範囲内であることにより、焼付後の塗膜硬度と良好な外観を維持できる。また、短時間の焼付で、自動車用外装部品に要求される塗膜硬度と外観性能を確保できるので、環境に対する負荷を低減できる。
本発明に係るクリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂としてジオール樹脂(c-3)を含み、ジオール樹脂(c-3)は、水酸基価が80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下である。別の態様においては、ジオール樹脂(c-3)の水酸基価は80mgKOH/g以上180mgKOH/g以下である。
ジオール樹脂(c-3)の水酸基価がこのような範囲内であることにより、焼付後の硬化塗膜は、優れた塗膜性能とデュポン衝撃強度とを確保できる。例えば、優れた、低温でのデュポン衝撃強度を備えることができる。
さらに、本発明に係るジオール樹脂(c-3)を上記範囲内で含むことにより、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)との組み合わせに対して、さらに短時間で焼付けを行うことができる。
本発明に係るクリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂として、ポリイソシアネート化合物(c-4)を含む。例えば、非水分散型アクリル樹脂(c-2)のコア部が水酸基含有アクリル酸エステルモノマーを含む場合、ポリイソシアネート化合物(c-4)を用いることが好ましい。ポリイソシアネート化合物(c-4)を用いることにより、クリヤー塗料組成物の硬化反応速度を向上させることができる。
クリヤー塗膜を形成するクリヤー塗料組成物は、上述した成分以外に、塗料分野において一般的に配合される添加剤を配合するものであってもよい。例えば、透明性を阻害しない範囲において、ベースカラー顔料、メタリック顔料を含有させることができる。さらに、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、架橋樹脂粒子、表面調整剤等を配合することもできる。
クリヤー塗膜を形成するクリヤー塗料組成物は、例えば、その製造時に使用し得る酢酸ブチル等の溶剤を含んでもよい。クリヤー塗料組成物の濃度は、取り扱い性に優れた濃度であればよく、必要に応じて、酢酸ブチル等の溶剤を用いて希釈すればよい。
本発明に係るクリヤー塗膜は、塗膜形成樹脂として、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)と、ジオール樹脂(c-3)と、ポリイソシアネート化合物(c-4)とを含むクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜である。
本発明の自動車用外装部品は、上述したプライマー塗膜、ベース塗膜およびクリヤー塗膜を有する複層塗膜を有する。本発明の一態様においては、エラストマー変性ポリプロピレン樹脂を含むプラスチック基材に、プライマー塗膜(a)と、ベース塗膜(b)と、クリヤー塗膜(c)とがこの順で積層された複層塗膜を形成することを含む、自動車用外装部品の製造方法が提供され、
前記方法は、下記工程:
前記プラスチック基材にプライマー塗料組成物を塗装し、未硬化のプライマー塗膜を形成する工程、
ベース塗料組成物を塗装し、未硬化のベース塗膜を形成する工程、
クリヤー塗料組成物を塗装し、未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程、
これらの未硬化の塗膜を加熱硬化させ、複層塗膜を形成する工程、
を含み、
前記プライマー塗膜(a)は、単独膜の-20℃での引張伸度が5~35%である膜であり、
前記ベース塗膜(b)は、着色剤を含み、および
前記クリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂として、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)と、ジオール樹脂(c-3)と、ポリイソシアネート化合物(c-4)とを含むクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜であり、
前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)は、水酸基価が80mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が4,000以上10,000以下であり、およびガラス転移温度が30℃以上60℃以下であり、
前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)はコアシェル構造を有し、前記コア部の水酸基価は100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、前記コア部のガラス転移温度は40℃以上80℃以下であり、
前記ジオール樹脂(c-3)は、水酸基価が80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、ならびに
前記複層塗膜は、-20℃でのデュポン衝撃強度が4.9J以上である、
自動車用外装部品の製造方法が提供される。
別の態様においては、自動車用外装部品の製造方法は、プラスチック基材にプライマー塗料組成物を塗装し硬化させ、塗膜を形成する工程と、
ベース塗料組成物を塗装し硬化させ、ベース塗膜を形成する工程と、
クリヤー塗料組成物を塗装し加熱硬化させ、クリヤー塗膜を形成する工程とを含んでもよい。
このような態様においても上述した各成分を使用できる。何れの態様においても、塗膜形成組成物の硬化時間を大幅に短縮でき、自動車用外装部品の製造時間を大幅に短縮できる。
ある態様において、加熱硬化の条件は、65℃以上85℃以下、10分以上15分以下である。このような条件であると、迅速な塗膜硬化とプラスチック成型品の変形防止を両立できる。さらに、耐湿性、低温耐衝撃性(例えば、-20℃でのデュポン衝撃強度)において優れる塗膜を形成できる。
ここで、本発明の製造方法によると、例えば、従来は20分程度必要であった焼き付け時間を、同じ焼き付け温度であっても、約半分程度にまで短縮できる。さらに、大型の基材(バンパーなど)に対しても、複層塗膜を、従来と比べて短時間で形成でき、自動車用外装部品の製造時間を大幅に短縮出来る。これは、本発明の方法に係る、特定のパラメータを有する特定の樹脂の組合せを含むクリヤー塗料組成物が、大きく貢献していると考えられる。
なお、この加熱硬化(焼付け)時間は、基材表面が実際に目的の焼き付け温度を保持しつづけている時間を意味し、より具体的には、目的の焼き付け温度に達するまでの時間は考慮せず、目的の温度に達してから該温度を保持しつづけているときの時間を意味する。
また、本発明の自動車用外装部品であれば、複層塗膜の低温衝撃性が上記範囲内であることにより、薄肉部を有する基材に対しても、良好な低温衝撃性を付与できる。
ここで、本発明に係る、塗膜形成樹脂は、所定のパラメータを有する所定の樹脂の組合せ、特に、本発明に係るジオール樹脂(c-3)を含むので、短時間の焼付けであっても、塗膜硬化を可能にする。更に、得られた塗膜は、短時間で焼付け硬化した場合でも、優れた塗膜硬度を有し、低温で優れた耐衝撃性を有する。
水酸基含有アクリル樹脂Ac(1)の製造
温度調節器、攪拌翼、還流管、窒素導入口を備えた2Lのセパラブルフラスコに、酢酸ブチル444.27gを仕込み、フラスコ内部を窒素雰囲気下にした後、温度を130℃に昇温して一定に保った。一方、スチレン(ST)255g、メタクリル酸(MAA)8.5g、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)394.4g、アクリル酸2-エチルヘキシル(EHA)117.47g、メタクリル酸イソブチル(iBMA)74.72g、およびカヤエステルO 102gの混合液を滴下ロートに入れて、3時間かけて滴下した。
次いで、1時間反応を継続した後、後開始剤として、酢酸ブチル204g、カヤエステルO 20.4gの混合液を30分間かけて滴下し、更に1時間反応を継続して固形分60%の水酸基含有アクリル樹脂Ac(1)を得た。水酸基含有アクリル樹脂Ac(1)の配合量および物性を表1に示す。
水酸基含有アクリル樹脂Ac(2)~Ac(9)の合成
合成例(C-1-1)で用いた設備と同様の設備を用いて、表1に記載の配合量となるように溶剤、モノマー、開始剤、重合温度に変更した以外は合成例(C-1-1)の合成手順、操作と同様の合成手順、操作を行い、表1に記載の水酸基含有アクリル樹脂Ac(2)~Ac(9)を得た。物性も合わせて表1に示す。
水酸基価は、JIS K 0070に記載されている水酸化カリウム水溶液を用いる中和滴定法により求めた。
水酸基含有アクリル樹脂Ac(1)~Ac(9)のガラス転移温度(Tg)は、下記方法で測定した。即ち、重合によって得られた水酸基含有アクリル樹脂から溶剤を減圧蒸留して除去した後、示差走査熱量計(DSC)(セイコー電子工業株式会社製;熱分析装置SSC/5200H)を用いて下記工程1~3
第1工程:20℃→100℃(昇温速度10℃/min)
第2工程:100℃→-50℃(降温速度10℃/min)
第3工程:-50℃→100℃(昇温速度10℃/min)
を行い、第3工程の昇温時から水酸基含有アクリル樹脂のガラス転移温度を、特開2015-168693号公報に記載の方法により測定した。
水酸基含有アクリル樹脂Ac(1)~Ac(9)の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定した値であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
酸価の測定は、JIS. K. 5601-2-1に則して測定した。
非水分散型アクリル樹脂(NAD(1))の製造
非水分散型アクリル樹脂のシェル部(非水分散型樹脂シェルAc(1))の合成
温度調節器、攪拌翼、還流管、窒素導入口を備えた1Lのセパラブルフラスコに、酢酸ブチル376.8gを仕込み、フラスコ内部を窒素雰囲気下にした後、温度を110℃に昇温して一定に保った。一方、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル9.36g、アクリル酸2-ヒドロキシエチル91g、メタクリル酸ラウリル100g、メタクリル酸メチル55g、メタクリル酸4g、メタクリル酸イソボロニル140.64g、およびカヤエステルO 12gの混合液を滴下ロートに入れて、3時間かけて滴下した。
次いで、1時間反応を継続した後、後開始剤として、酢酸ブチル40g、カヤエステルO 4.8gの混合液を30分間かけて滴下し、更に1時間反応を継続して固形分50%の非分散樹脂シェルAc(1)を得た。得られた樹脂の重量平均分子量は20,000であった。
温度調節器、攪拌翼、還流管、窒素導入口を備えた500mLのセパラブルフラスコに、上記で調製した非水分散型樹脂シェルAc(1)133.33g、酢酸ブチル174.98gを仕込み、フラスコ内部を窒素雰囲気下にした後、温度を110℃に昇温して一定に保った。
一方、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)39.44g、スチレン(ST)2.83g、メタクリル酸メチル(MMA)52.5g、アクリル酸-2-エチルヘキシル(EHA)4.59g、アクリル酸(AA)0.64g、およびカヤエステルO 1.0gの混合液を滴下ロートに入れて、3時間かけて滴下した。
次いで、1時間反応を継続した後、後開始剤として、酢酸ブチル10g、カヤエステルO 0.1gの混合液を30分間かけて滴下し、更に1時間反応を継続して固形分50%の非水分散型アクリル樹脂NAD(1)を得た。得られた非水分散型アクリル樹脂NAD(1)に凝集物は見られなかった。非水分散型アクリル樹脂NAD(1)の配合量および物性を表2に示す。
合成例(C-2-1)で用いた設備と同様の設備を用いて、表2に記載の配合量となるように分散樹脂、溶剤、モノマー、開始剤、重合温度を変更する以外は合成例(C-2-1)の合成手順、操作と同様の合成手順、操作を行い、表2に記載の非水分散型アクリル樹脂NAD(2)~非水分散型アクリル樹脂NAD(7)を得た。また、非水分散型アクリル樹脂NAD(2)~非水分散型アクリル樹脂NAD(7)の物性を表2に示す。
なお、非水分散型アクリル樹脂NAD(1)~非水分散型アクリル樹脂NAD(7)のガラス転移温度、水酸基価、および酸価は、水酸基含有アクリル樹脂と同様にして測定した。
次いで、着色剤を含むベース塗料組成物として日本ペイント・オートモーティブコーティングス社製R-301S シルバーを、スプレーガン(アネスト岩田株式会社製;W-101-134G)を用いて乾燥膜厚が15μmになるように塗装した。上記塗装環境下で更に1分間放置した。なお、1分間放置した状態では、塗膜は未硬化であった。
更に、以下の表3に記載した配合であり、予め希釈しておいたクリヤー塗料組成物を、上記スプレーガンを用いて乾燥膜厚が何れも35μmになるように、上記未硬化のベース塗膜上に塗装し、上記塗装環境下で10分間放置した。
なお、実施例1で用いたジオール樹脂は、WHF348(DIC社製、ポリエステルジオール樹脂)であり、水酸基価110mg KOH/gであった。
また、ポリイソシアネート化合物として、N3300(コベストロ社製、NCO%=22)を用いた。
次いで、乾燥機を用いて素材が80℃まで昇温後、80℃下で、10分間乾燥及び加熱硬化させて、プラスチック基材と複層塗膜とを有する試験片(自動車用部品)を得た。
得られた自動車用部品に含まれる複層塗膜に関する配合、各種物性、評価結果を表3に示す。
(塗装物品の物性評価)
実施例1~6の複層塗膜を含む試験片および比較例1~11の複層塗膜を含む試験片の各種物性を評価した。各種物性の評価方法を以下に示す。また、評価結果を表3および表4に示す。
複層塗膜を有する試験片の60°光沢度を、鏡面光沢度計を用い、JIS K-5600-4-7に準拠して測定して、下記基準によって評価した。
「○」:60°光沢度が85以上、かつ、フクレ、割れ、ピンホール、ゆず肌等の塗膜表面異常が認められない。
「×」:60°光沢度が85未満、若しくは、フクレ、割れ、ピンホール、ゆず肌等の塗膜表面異常が少なくとも1つ認められる。
複層塗膜試験片の硬度を、JIS K-5600-5-4に基づいて測定した。その測定値が「B」以上であるものを「○」と評価し、5回以上試験し、「B」と「2B」で優位差がないものを「△」と評価し、「2B」以下であるものを「×」と評価した。
複層塗膜を有する試験片の塗面上に、JIS K-5600-5-6にて規定される単一刃切り込み工具を垂直に当て、素地(ポリプロピレン樹脂基材)にまで達する切込みを入れた平行線1を平行に11本引いた。その平行線1に垂直に交わり、平行線1と同一間隔で、素地にまで達する切込みを入れた平行線2を11本引き、4本の直線に囲まれた正方形100個の碁盤目部を作った。平行線1,2の間隔は2mmとした。上記碁盤目部にJIS K-5600-5-6にて規定される透明感圧着テープを、塗面との間に気泡が含まれないように密着させた。その後、当該テープを、0.5~1.0秒の間に一気に剥がし、碁盤目部の剥離状態を目視にて評価した(碁盤目密着性試験)。そして、剥離が全く認められない場合を「○」と評価し、剥離が認められる場合を「×」と評価した。
JIS K-5600-7-2に準拠して評価した。具体的には、複層塗膜を有する試験片を温度50±2℃、湿度98±2%の雰囲気下に240時間放置した後、1時間以内に塗膜表面の観察および碁盤目密着性試験を行った。碁盤目密着性試験は上記「初期付着性」に記載の碁盤目密着性試験と同様にして行った。そして、塗膜表面に異常が認められず、かつ、剥離が全く認められない場合を「○」と評価し、塗膜表面に異常が認められるか、若しくは剥離が認められる場合を「×」と評価した。
サンシャインウエザーメーター(スガ試験機株式会社製)を用いて複層塗膜を有する試験片の耐候性試験を行い、1200時間経過後の密着性および外観を評価した。密着性は、上記「初期付着性」に記載の碁盤目密着性試験と同様の碁盤目密着性試験を行って評価した。外観は、目視、色差、および光沢値で評価した。そして、剥離が全く認められず、目視による著しい異状が認められず、初期状態(耐候性試験前)との色差(ΔE)が3.0以下であり、かつ、光沢が80以上の場合を「○」と評価し、これら4つの項目のうち1つを満足しない場合を「△」と評価し、これら4つの項目のうち2つ以上を満足しない場合を「×」と評価した。
JIS K 5600-5-3をベースに撃ち型半径6.35±0.03、受け台直径4.8cm、板厚2mmの円筒で、塗膜の温度を-20℃に保ち評価した。
落下おもりは500gのものを用い、素材が破壊されない限界値を測定し、以下の基準で評価を行った。
〇:4.9J以上
×:4.9J未満
複層塗膜を形成したポリプロピレン樹脂基材片(3cm×3cm)を、レギュラーガソリンにエタノールを10容量%添加して得られるガソホール(20℃)に浸漬した後、30分でハガレのないものを「○」、それ未満を「×」とした。
例えば、実施例1における複層塗膜について、タック性、ポリッシュ性、研ぎ性の適否について検討したところ、いずれの物性も良好であった。
また、比較例5~10は、水酸基含有アクリル樹脂が本発明の範囲外である。このため、比較例5は、硬度、初期付着性、耐湿性及び耐候性が悪く、比較例6は、耐湿性、耐候性及び耐ガソホール性が悪く、比較例7は、外観、デュポン衝撃強度が悪く、比較例8及び9は、硬度、耐湿性、耐候性及び耐ガソホール性が悪く、比較例10は、外観、デュポン衝撃強度が悪い。
比較例11は、本発明に係るジオール樹脂を含まない。このため、デュポン衝撃強度が悪い。
Claims (8)
- エラストマー変性ポリプロピレン樹脂を含むプラスチック基材と、複層塗膜とを有する自動車用外装部品であって、
前記複層塗膜は、
(a)単独膜の-20℃での引張伸度が5~35%であるプライマー塗膜、
(b)着色剤を含むベース塗膜、および
(c)クリヤー塗膜を有し、
前記クリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂として、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)と、ジオール樹脂(c-3)と、ポリイソシアネート化合物(c-4)とを含むクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜であり、
前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)は、水酸基価が80mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が4,000以上10,000以下であり、およびガラス転移温度が30℃以上60℃以下であり、
前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)はコアシェル構造を有し、前記コア部の水酸基価は100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、前記コア部のガラス転移温度は40℃以上80℃以下であり、
前記ジオール樹脂(c-3)は、水酸基価が80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、ならびに
前記プラスチック基材は、厚みが1.5~3.5mmである薄肉部を有し、
前記複層塗膜は、-20℃でのデュポン衝撃強度が4.9J以上である、
自動車用外装部品。 - 前記ジオール樹脂(c-3)が、ポリエステルジオール樹脂である、請求項1に記載の自動車用外装部品。
- 前記イソシアネート化合物(c-4)に含まれるイソシアネート基と、前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)および非水分散型アクリル樹脂(c-2)に含まれる水酸基との当量比(NCO/OH)が、0.7以上2.0以下である、請求項1又は2に記載の自動車用外装部品。
- 前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)の質量比が、((c-1)/(c-2))=90/10~50/50である、請求項1から3のいずれかに記載の自動車用外装部品。
- 前記ジオール樹脂(c-3)の量は、前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)との樹脂固形分の合計100質量部に対して、1質量部以上25質量部以下である、請求項1から4のいずれかに記載の自動車用外装部品。
- 前記ベース塗膜は、溶剤系一液型ベース塗料組成物、溶剤系二液型ベース塗料組成物又は水性一液型ベース塗料組成物から形成された塗膜である、請求項1から5のいずれかに記載の自動車用外装部品。
- エラストマー変性ポリプロピレン樹脂を含むプラスチック基材に、プライマー塗膜(a)と、ベース塗膜(b)と、クリヤー塗膜(c)とがこの順で積層された複層塗膜を形成することを含む、自動車用外装部品の製造方法であって、
前記方法は、下記工程:
前記プラスチック基材にプライマー塗料組成物を塗装し、未硬化のプライマー塗膜を形成する工程、
ベース塗料組成物を塗装し、未硬化のベース塗膜を形成する工程、
クリヤー塗料組成物を塗装し、未硬化のクリヤー塗膜を形成する工程、
これらの未硬化の塗膜を加熱硬化させ、複層塗膜を形成する工程、
を含み、
前記プライマー塗膜(a)は、単独膜の-20℃での引張伸度が5~35%である膜であり、
前記ベース塗膜(b)は、着色剤を含み、および
前記クリヤー塗膜(c)は、塗膜形成樹脂として、水酸基含有アクリル樹脂(c-1)と、非水分散型アクリル樹脂(c-2)と、ジオール樹脂(c-3)と、ポリイソシアネート化合物(c-4)とを含むクリヤー塗料組成物の乾燥塗膜であり、
前記水酸基含有アクリル樹脂(c-1)は、水酸基価が80mgKOH/g以上220mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が4,000以上10,000以下であり、およびガラス転移温度が30℃以上60℃以下であり、
前記非水分散型アクリル樹脂(c-2)はコアシェル構造を有し、前記コア部の水酸基価は100mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、前記コア部のガラス転移温度は40℃以上80℃以下であり、
前記ジオール樹脂(c-3)は、水酸基価が80mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であり、ならびに
前記複層塗膜は、-20℃でのデュポン衝撃強度が4.9J以上である、
自動車用外装部品の製造方法。 - 前記加熱硬化の条件は、65℃以上85℃以下、10分以上15分以下である、請求項7に記載の自動車用外装部品の製造方法。
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