本発明は、液晶パネルがケースに収容されることで構成される液晶表示装置において、液晶表示装置を固定するためにケースに複数設けられる固定部のうち、冷却風の流れにおけるパネル表面の上流側に位置する固定部の形状や、ケースにおける固定部が存在する側の辺部の形状等を工夫することにより、パネル表面にダストを堆積させる原因となる冷却風による乱流の発生を抑制しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について説明する。
(プロジェクタの構成)
図1〜図3を用いて、本実施形態に係る液晶表示装置を備える投射型表示装置としてのプロジェクタの構成について説明する。本実施形態に係るプロジェクタ1は、液晶表示装置としての透過型の液晶表示ユニットを三枚用いることでカラー画像表示を行う、いわゆる三板方式のものである。つまり、プロジェクタ1は、光源からの光を赤色、緑色、青色の三原色に分離し、それぞれの色に対して液晶表示ユニットを一枚ずつ用いてカラー画像表示を行う。各色に対応する三枚の液晶表示ユニットは、略同じ構造を有する。
図1に示すように、プロジェクタ1は、光を発生させる光源2と、互いに対向配置される一対のレンズである第一フライアイレンズ3および第二フライアイレンズ4とを備える。第一フライアイレンズ3および第二フライアイレンズ4は、それぞれ二次元的に配列される複数のマイクロレンズ3a、4aを有する。第一フライアイレンズ3および第二フライアイレンズ4は、光の照度分布を均一化させるためのものであり、入射した光を複数の小光束に分割する機能を有する。また、プロジェクタ1においては、光源2と第一フライアイレンズ3との間に、UV(Ultraviolet)/IR(Infrared)カットフィルタ5が配置されている。
光源2は、カラー画像表示に必要とされる赤色光、緑色光、および青色光を含む白色光を発する。光源2は、白色光を発する発光体と、この発光体から発せられた光を反射・集光する凹面鏡(リフレクタ)とを有する。発光体としては、例えば、ハロゲンランプ、メタルハイドランプ、キセノンランプ等が使用される。凹面鏡としては、良好な集光効率を得る観点から、例えば、回転楕円面鏡や回転放物面鏡等の回転対称な面形状を有するものが用いられる。
光源2において発光体から発せられた光は、凹面鏡によって略平行光となり、UV/IRカットフィルタ5を介して第一フライアイレンズ3に入射され、第一フライアイレンズ3を透過した後、第二フライアイレンズ4に入射される。なお、光源2および第一フライアイレンズ3を含む構成は、光源2からUV/IRカットフィルタ5を介して第一フライアイレンズ3から出射される光がミラー等により略90°曲げられることで第二フライアイレンズ4に入射するように配置されてもよい。
また、プロジェクタ1は、第二フライアイレンズ4の光の出射側に、PS合成素子6と、コンデンサレンズ7と、ダイクロイックミラー8とを備える。PS合成素子6、コンデンサレンズ7、およびダイクロイックミラー8は、第二フライアイレンズ4からの光の出射方向に、第二フライアイレンズ4側から順に配置される。
PS合成素子6は、複数の位相差板6aを有する。複数の位相差板6aは、第二フライアイレンズ4における隣り合うマイクロレンズ4a間に対応する位置に配置される。位相差板6aは、例えば1/2波長板である。PS合成素子6は、入射した光をP偏光成分およびS偏光成分の二種類の偏光に分離する機能を有する。また、PS合成素子6は、分離させた二つの偏光のうち、一方の偏光(例えばP偏光)をその偏光方向を保ったまま出射させ、他方の偏光(この場合S偏光)を、位相差板6aの作用により、他の偏光成分(この場合P偏光成分)に変換して出射させる機能を有する。
PS合成素子6から出射した光は、コンデンサレンズ7によって集光されて、ダイクロイックミラー8に入射する。ダイクロイックミラー8は、例えば、入射した光のうち、赤色光LRを反射し、その他の色の光を透過させることにより、入射光を赤色光LRとその他の色の光とに分離する。
また、プロジェクタ1は、ダイクロイックミラー8によって分離された赤色光LRの光路に沿って、ミラー9と、フィールドレンズ10と、液晶表示ユニット30Rとを順に備える。ミラー9としては、全反射ミラーが好適に用いられる。ミラー9は、ダイクロイックミラー8によって分離された赤色光LRを、液晶表示ユニット30Rに向けて反射させる。
液晶表示ユニット30Rは、ミラー9からフィールドレンズ10を介して入射した赤色光LRによる映像信号を受けて、二次元に分布する各画素の光透過率を制御し、赤色の映像光を出力する。つまり、液晶表示ユニット30Rは、フィールドレンズ10を介して入射した赤色光LRを、入力される画像信号(画像データ)に応じて空間的に変調する機能を有する。このように、液晶表示ユニット30Rは、赤色光用の液晶表示装置として機能する。
ここで、赤色光LRの光路における液晶表示ユニット30Rの前後には、入射偏光板11と出射偏光板12とが配置される。入射偏光板11は、ミラー9により反射される赤色光LRのうち、ある偏光軸に一致する方向の光を通過させる。出射偏光板12は、液晶表示ユニット30Rにより変調されて出射される赤色光LRのうち、ある偏光軸に一致する方向の光を通過させる。入射偏光板11および出射偏光板12は、いずれも、偏光板11a、12aと、この偏光板11a、12aを重ねた状態で支持する透明基板である偏光板基材11b、12bとを有する(図2参照)。
また、プロジェクタ1は、ダイクロイックミラー8によって分離された他の色の光の光路上に、ダイクロイックミラー13を備える。ダイクロイックミラー13は、例えば、入射した光のうち、緑色光LGを反射し、青色光LBを透過させることにより、入射光を緑色光LGと青色光LBとに分離する。プロジェクタ1は、ダイクロイックミラー13によって分離された緑色光LGの光路に沿って、フィールドレンズ14と、液晶表示ユニット30Gとを順に備える。
液晶表示ユニット30Gは、ダイクロイックミラー13からフィールドレンズ14を介して入射した緑色光LGによる映像信号を受けて、二次元に分布する各画素の光透過率を制御し、緑色の映像光を出力する。つまり、液晶表示ユニット30Gは、フィールドレンズ14を介して入射した緑色光LGを、入力される画像信号(画像データ)に応じて空間的に変調する機能を有する。このように、液晶表示ユニット30Gは、緑色光用の液晶表示装置として機能する。なお、液晶表示ユニット30Gに対しては、赤色光用の液晶表示ユニット30Rと同様に、入射偏光板11と出射偏光板12とが配置される。
また、プロジェクタ1は、ダイクロイックミラー13によって分離された青色光LBの光路に沿って、リレーレンズ15と、ミラー16と、リレーレンズ17と、ミラー18と、フィールドレンズ19と、液晶表示ユニット30Bとを順に備える。ミラー16およびミラー18としては、全反射ミラーが好適に用いられる。青色光LBの光路においてダイクロイックミラー13側に位置するミラー16は、ダイクロイックミラー13によって分離されリレーレンズ15を介して入射した青色光LBを、ミラー18に向けて反射させる。ミラー18は、ミラー16によって反射されリレーレンズ17を介して入射した青色光LBを、液晶表示ユニット30Bに向けて反射させる。
液晶表示ユニット30Bは、ミラー18からフィールドレンズ19を介して入射した青色光LBによる映像信号を受けて、二次元に分布する各画素の光透過率を制御し、青色の映像光を出力する。つまり、液晶表示ユニット30Bは、フィールドレンズ19を介して入射した青色光LBを、入力される画像信号(画像データ)に応じて空間的に変調する機能を有する。このように、液晶表示ユニット30Bは、青色光用の液晶表示装置として機能する。なお、液晶表示ユニット30Bに対しては、赤色光用の液晶表示ユニット30R等と同様に、入射偏光板11と出射偏光板12とが配置される。
そして、プロジェクタ1は、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBの光路が交わる位置に、クロスプリズム20を備える。クロスプリズム20は、赤色光LR、緑色光LG、および青色光LBの三色の光を合成する機能を有する。クロスプリズム20は、各色の光に対応する三つの入射面20R、20G、20B、および一つの出射面20Tを有する(図2参照)。すなわち、入射面20Rには、液晶表示ユニット30Rから出射した赤色光LRが入射し、入射面20Gには、液晶表示ユニット30Gから出射した緑色光LGが入射し、入射面20Bには、液晶表示ユニット30Bから出射した青色光LBが入射する。そして、クロスプリズム20においては、各入射面20R、20G、20Bから入射した三色の光が、合成されて出射面20Tから出射する。
クロスプリズム20は、三つの入射面20R、20G、20B、および一つの出射面20Tのそれぞれを有する四つの直角プリズムが接合されることで構成される。したがって、クロスプリズム20においては、クロスプリズム20を構成する各直角プリズムの接合面にコートされるダイクロイック膜により、入射面20Rから入射する赤色光LRおよび入射面20Bから入射する青色光LBは、出射面20Tに向けて反射し、入射面20Gから入射する緑色光LGは、出射面20Tに向けて透過する。
また、プロジェクタ1は、クロスプリズム20から出射された合成光を、投射面を構成するスクリーン(図示略)に向けて拡大投射するための投射レンズ21を備える。投射レンズ21は、例えば複数のレンズにより構成され、スクリーンに投射する画像の大きさを調整するズーム機能やピント合わせ機能等を有する。
このように、プロジェクタ1においては、赤色光用の液晶表示ユニット30R、緑色光用の液晶表示ユニット30G、および青色光用の液晶表示ユニット30Bの三枚の液晶表示ユニットが、それぞれ対応する色の光によって照明される。そして、三枚の液晶表示ユニット30R、30G、30Bからの出力光が、クロスプリズム20で合成され、投射レンズ21によってスクリーンに拡大投射される。なお、以下の説明においては、赤色光用の液晶表示ユニット30R、緑色光用の液晶表示ユニット30G、および青色光用の液晶表示ユニット30Bの共通の称呼として、「液晶表示ユニット30」を用いる。
以上のように、本実施形態のプロジェクタ1は、光源2から出射された光を各液晶表示ユニット30に導く集光光学系を備える。すなわち、プロジェクタ1は、集光光学系として、第一フライアイレンズ3、第二フライアイレンズ4、PS合成素子6、コンデンサレンズ7、およびダイクロイックミラー8を含む構成に加え、赤色光用の液晶表示ユニット30Rについてはミラー9およびフィールドレンズ10、緑色光用の液晶表示ユニット30Gについてはダイクロイックミラー13およびフィールドレンズ14、青色光用の液晶表示ユニット30Bについてはさらにリレーレンズ15、ミラー16、リレーレンズ17、ミラー18、およびフィールドレンズ19を含む構成を備える。
また、本実施形態のプロジェクタ1は、液晶表示ユニット30で光変調した光を拡大して投射する投射光学系を備える。すなわち、プロジェクタ1は、投射光学系として、クロスプリズム20と投射レンズ21とを含む構成を備える。
また、プロジェクタ1は、液晶表示ユニット30を冷却するための構成を備える。液晶表示ユニット30は、冷却風を受けることにより冷却される。このため、プロジェクタ1は、冷却風を発生させる冷却ファン22を備える(図3参照)。冷却ファン22としては、例えば、シロッコファン(多翼ファン)等の遠心ファンや、軸流ファン等が用いられる。冷却ファン22から送り出される冷却風は、冷却風の経路を構成する冷却ダクト23によって液晶表示ユニット30に導かれる。
具体的には、冷却ファン22からの冷却風は、液晶表示ユニット30に対して、鉛直方向の下側(図3における下側)から上側(同図における上側)に向けて吹き付けられる。このため、図2および図3に示すように、冷却ダクト23の開口部23aは、液晶表示ユニット30の下側において、上側に向けて開口する。本実施形態では、冷却ダクト23は、鉛直方向に沿うクロスプリズム20の入射面に対して板面が略平行となるように配置される略板状の液晶表示ユニット30に対して、平面視(図2参照)で液晶表示ユニット30が略矩形板状の開口部23aの中間部を横切るような位置関係となるように設けられる。
このように、冷却ファン22から冷却ダクト23によって導かれる冷却風は、三枚の液晶表示ユニット30に対して同様にして吹き付けられる。つまり、図2に示すように、赤色光用の液晶表示ユニット30R、緑色光用の液晶表示ユニット30G、および青色光用の液晶表示ユニット30Bのそれぞれについて、開口部23aが同様の位置関係となるように、冷却ダクト23が各液晶表示ユニット30に対して設けられる。
このように、本実施形態のプロジェクタ1は、冷却風を発生させ、冷却風を液晶表示ユニット30に導く送風手段を備える。すなわち、プロジェクタ1は、送風手段として、冷却ファン22と冷却ダクト23とを含む構成を備える。
(液晶表示ユニットの構成)
図4〜図9を用いて、本実施形態の液晶表示ユニット30の構成について説明する。液晶表示ユニット30は、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)駆動によるアクティブマトリクス駆動方式の液晶表示素子を有するものであり、プロジェクタ1において、映像情報に応じて入射光を変調するライトバルブとして機能する。液晶表示ユニット30は、液晶表示素子としての液晶パネル31と、この液晶パネル31を収容するケース40とを備える。
液晶パネル31は、プロジェクタ1の光源2から照射される光の入射面および出射面を構成する有効表示領域を含む平面部、およびこれを囲む端面部とからなる略矩形板状の外形を有する。図8に示すように、液晶パネル31は、互いに対向配置される一対の絶縁基板であるTFT基板32と対向基板33とを有する。TFT基板32と対向基板33とは、所定の間隔を隔てて互いの間に液晶を挟み込んで封入した状態で、シール材によって貼り合わされる。TFT基板32と対向基板33との間に封入された液晶により、光変調層としての液晶層が形成される。この液晶層の周囲が、TFT基板32と対向基板33との間に介装されるシール材によって囲まれる。
TFT基板32は、石英、ガラス、プラスチック等の透光性材料により構成される。TFT基板32の内側面(対向側の面)は、面の中央部であって複数の画素電極が設けられる画素領域と、この画素領域の周囲において複数の周辺電極により形成される周辺領域とを有する。画素領域においては、透明導電膜により形成される矩形状の画素電極がマトリクス状に複数配列される。
対向基板33は、TFT基板32と同様に、石英、ガラス、プラスチック等の透光性材料により構成される。対向基板33の内側面(対向側の面)には、透明導電膜により形成される電極である共通電極が設けられる。この共通電極は、TFT基板32において画素領域と周辺領域とにより構成される電極部に対向する電極部を構成する。
液晶パネル31の入射面側および出射面側には、それぞれ防塵ガラス34、35が取り付けられている。本実施形態では、液晶パネル31において、対向基板33側(図8において上側)が入射面側となり、TFT基板32側(同図において下側)が出射面側となる。したがって、入射面側の防塵ガラス34は、対向基板33における外側面(対向側と反対側の面)に取り付けられ、出射面側の防塵ガラス35は、TFT基板32における外側面(対向側と反対側の面)に取り付けられる。これらの防塵ガラス34、35は、液晶パネル31による表示の妨げとなるゴミや埃がTFT基板32または対向基板33の表面(外側面)に付着することを防止する。
液晶パネル31には、フレキシブルケーブル36が接続される。フレキシブルケーブル36は、液晶パネル31の略矩形板状の外形における一側の辺部に接続される。具体的には、フレキシブルケーブル36は、液晶パネル31を構成するTFT基板32における内側面の一側の縁端部に設けられる外部接続用の端子部に接続される。このTFT基板32に設けられる端子部は、配線を介してTFT基板32上に形成される駆動回路等に対して接続される。
ケース40は、外枠41と見切り板42とを有し、液晶パネル31を収容した状態で略矩形板状の外形を有する。外枠41は、液晶パネル31を、端面部を囲む状態で出射面側から収納する。このため、外枠41は、液晶パネル31をTFT基板32側から支持する底部41aと、液晶パネル31を端面部側から支持する壁部としての側壁部41bおよび前壁部50とを有し、全体として略矩形の枠状に構成される。
側壁部41bは、外枠41において、液晶パネル31が収納された状態でのフレキシブルケーブル36が位置する側(図6において上側)の辺部を除く、互いに対向する辺部(同図において左右両側の辺部)に沿って設けられる一対の壁部である。前壁部50は、外枠41において、液晶パネル31が収納された状態でのフレキシブルケーブル36が位置する側と反対側(図6において下側)の辺部に沿って設けられる壁部である。
外枠41は、その底部41aに、開口部分である窓部41cを有する。外枠41が有する窓部41cは、液晶パネル31の有効表示領域に対応する位置に形成され、液晶パネル31の出射面側(TFT基板32側)において有効表示領域を外部に対して露出させる。
見切り板42は、液晶パネル31を収容した状態の外枠41に対して装着されることで、液晶パネル31の入射面側を覆う略矩形板状の部材である(図5参照)。つまり、見切り板42は、液晶パネル31の入射面側における周辺遮光用の部材である。見切り板42は、外枠41に対して装着されるための複数の係合部42aを有する。本実施形態では、係合部42aは、見切り板42の略矩形板状の外形における四隅に設けられる。係合部42aは、板状の見切り板42において板面に対して略垂直方向となるように外枠41に対して係合する側に折り曲げ形成される部分である。
係合部42aは、外枠41を互いに対向する側壁部41bの部分から(図6において左右両側から)挟み込む状態で、外枠41に装着される。このため、見切り板42において一方の辺部に設けられる二個の係合部42aが、外枠41の一方の側壁部41bに対して係合し、見切り板42において他方の辺部に設けられる二個の係合部42aが、外枠41の他方の側壁部41bに対して係合する。係合部42aは、係合孔42bを形成する部分である。係合部42aは、係合孔42bを、外枠41の側壁部41bの外側側面に形成される係合突起41dに対して、弾性変形をともなって係合させる。
見切り板42は、その本体部分に、開口部分である窓部42cを有する。見切り板42が有する窓部42cは、液晶パネル31の有効表示領域に対応する位置に形成され、液晶パネル31の入射面側(対向基板33側)において有効表示領域を外部に対して露出させる。
このように液晶パネル31とケース40とを有し全体として略矩形板状に構成される液晶表示ユニット30は、前記のとおりクロスプリズム20の入射面に対して板面が略平行となるように配置される。液晶表示ユニット30は、プロジェクタ1において、クロスプリズム20に対して取付板を介する等して固定される。つまり、液晶表示ユニット30の固定に取付板が用いられる場合、クロスプリズム20の入射面側に固定される取付板に対して、液晶表示ユニット30が固定される。
このため、液晶表示ユニット30は、取付板等に対する固定に用いられる部分である固定部を有する。液晶表示ユニット30の固定部は、ケース40を構成する外枠41に設けられる。液晶表示ユニット30は、三箇所の固定部が用いられるいわゆる三点留め方式により固定される。このため、ケース40の外枠41は、三箇所に固定部を有する。外枠41が有する固定部は、ケース40(の外枠41)を固定するためのネジを貫通させるネジ孔を形成する部分として設けられる。
具体的には、外枠41は、液晶表示ユニット30の固定部として、外枠41においてフレキシブルケーブル36が位置する側の辺部の両隅の部分に設けられる二箇所の固定部(以下「角固定部」という。)43と、フレキシブルケーブル36が位置する側と反対側の辺部の略中央部分に設けられる一箇所の固定部(以下「中央固定部」という。)53との、計三箇所の固定部を有する。
二箇所の角固定部43は、外枠41において、液晶パネル31に接続されるフレキシブルケーブル36との干渉を避ける位置に設けられる。そして、外枠41において三箇所に設けられる固定部は、平面視(図6参照)で、角固定部43側が底辺側、中央固定部53が頂点側となる略二等辺三角形の角頂点に対応するような配置で設けられる。また、角固定部43および中央固定部53は、それぞれ、ケース40(の外枠41)を固定するためのネジを貫通させる固定用の孔部であるネジ孔43a、53aを形成する部分である。このような三箇所の固定部が用いられる三点留め方式によれば、ネジによる締め付けにともなう外枠41および液晶パネル31へのストレスを緩和させる効果が得られる。
このように、プロジェクタ1において三点留め方式によって固定される液晶表示ユニット30においては、光源2から集光光学系を経た光が、ケース40を介して液晶パネル31を透過する。すなわち、液晶表示ユニット30に照射される光は、見切り板42の窓部42cを介して液晶パネル31の入射側(対向基板33側)における有効表示領域に入射し(図8、矢印C1参照)、液晶パネル31を透過した光が、外枠41の窓部41cを介して液晶パネル31の出射側(TFT基板32側)における有効表示領域から出射される(同図、矢印C2参照)。
したがって、本実施形態では、前記のとおりクロスプリズム20の入射面に対して板面が略平行となるように配置される液晶表示ユニット30は、液晶パネル31の出射側、つまりケース40における外枠41側の面が、クロスプリズム20の入射面に対向する状態で設けられる。ただし、液晶表示ユニット30においては、光の入射側と出射側とが反対であってもよい。つまり、液晶表示ユニット30は、プロジェクタ1において、ケース40における見切り板42側の面がクロスプリズム20の入射面に対向する状態で設けられてもよい。
このように、プロジェクタ1において三点留め方式によって固定された状態で光源2からの光を透過させる液晶表示ユニット30は、前述したように冷却ファン22から冷却ダクト23を介して吹き付けられる冷却風を、略矩形板状の外形におけるフレキシブルケーブル36側と反対側から受ける(図3参照)。
すなわち、液晶表示ユニット30は、プロジェクタ1において、鉛直方向の下側から上側に向けて送り出される冷却風に対して前壁部50を下側に向ける姿勢、つまり冷却ダクト23の開口部23aに対して前壁部50側を対向させる姿勢で設けられる。これにより、液晶表示ユニット30は、鉛直方向の下側から上側に向けて送り出される冷却風を前壁部50側から受ける(図4、矢印D1参照)。液晶表示ユニット30に対して吹き付けられる冷却風は、液晶パネル31の入射側の面および出射側の面の両面に沿って流れる(図8、矢印E1、E2参照)。なお、以下の説明においては、液晶表示ユニット30が冷却風を受ける側、つまり外枠41において前壁部50が設けられる側を「前側」とする。
以上のような構成を備える本実施形態の液晶表示ユニット30において、その構成要素である液晶パネル31は、略矩形板状の外形における板面を貫通する方向に外部から照射される光を受けるパネル表面37を有する。また、同じく液晶表示ユニット30の構成要素であるケース40は、液晶パネル31を収容し、液晶パネル31を収容した状態でパネル表面37に沿う平面部47を有するとともに、この平面部47にパネル表面37を外部に対して露出させる開口部としての窓部42cを形成する。
ここで、本実施形態の液晶表示ユニット30が有するパネル表面37は、液晶パネル31において外部から照射される光である光源2から集光光学系を経た光が入射する面である。つまり、本実施形態では、見切り板42の窓部42cから外部に対して露出する面となる、液晶パネル31の入射側の絶縁基板である対向基板33に対して設けられる防塵ガラス34の表面が、液晶表示ユニット30のパネル表面37に相当する。また、本実施形態におけるケース40が有する平面部47は、ケース40を構成する見切り板42の外側の面(表面)により形成される部分である。
そして、本実施形態の液晶表示ユニット30は、液晶パネル31を収容するケース40において、前側から受ける冷却風を整流するための構成を備える。以下、液晶表示ユニット30のケース40が冷却風を整流するために備える構成について説明する。
(ケースの構成の詳細)
前述したように液晶パネル31を冷却させるための冷却風を前側から受けるケース40は、パネル表面37に沿う所定の方向から、液晶パネル31を冷却するための冷却風を受ける。つまり、ケース40は、略矩形板状の外形における板面の一辺部の側(略矩形状を有する外枠41において前壁部50が設けられる辺部の側)から、パネル表面37に略平行に吹き付けられる冷却風を受ける。以下の説明では、ケース40が冷却風を受ける前側の端部となる、ケース40の略矩形板状の外形における板面の一辺部を「前側辺部」という。つまり、ケース40の前側辺部は、外枠41が有する前壁部50が設けられる側の端部である。
図4〜図8に示すように、ケース40は、冷却風を整流するための構成として、テーパ部51と、外枠隙間52と、中央固定部53とを有する。テーパ部51は、前側辺部に設けられ、平面部47に対して前側端部の縁端にかけて下る斜面51aを形成する部分である。すなわち、テーパ部51において形成される斜面51aは、前側辺部の辺に沿う方向(図7における左右方向、以下「幅方向」とする。)に対して垂直にかつ前側辺部の外縁にかけてケース40の略矩形板状の外形についての板厚方向(図8における上下方向、以下単に「板厚方向」という。)のパネル表面37側(図8における上側)と反対側(同図における下側)に向けて下る面である。
本実施形態では、テーパ部51において形成される斜面51aは、板厚方向におけるパネル表面37側と反対側、つまり板厚方向における光の出射側(図8において下側、以下「板厚方向下側」という。)に向けて下るように傾斜する。したがって、前壁部50に設けられるテーパ部51は、前壁部50を、前側辺部の端部(図8における左側端部)にかけて板厚方向におけるパネル表面37側、つまり光の入射側(同図における上側、以下「板厚方向上側」という。)から徐々に細く(薄く)させる。テーパ部51は、斜面51aにより、液晶表示ユニット30の前側から吹き付けられる冷却風をケース40のパネル表面37側に導くための部分である。
また、前壁部50において、テーパ部51の幅方向の両端部には、斜面51aに対して略垂直な面である内側面54aを形成する一対の肩部54が設けられている。両方の肩部54が有する内側面54a同士は、幅方向に対向する。肩部54は、外枠41における前側の角部分を形成する。つまり、前壁部50の肩部54以外の部分が、テーパ部51として形成される。
肩部54は、前壁部50において、前記のとおり前側辺部の端部(外縁)にかけて入射側から徐々に細く(薄く)なるテーパ部51に対して、外枠41としての板厚を保持する部分である。したがって、肩部54により形成される内側面54aは、テーパ部51の斜面51aとの境界側を底辺側とする略二等辺三角形状を有する。
また、テーパ部51においては、板厚方向上側の端部に、平坦面51bが形成される。平坦面51bは、板厚方向に対して略垂直方向の面として形成され、パネル表面37に略平行な平面である。平坦面51bは、テーパ部51において幅方向の略全体にわたって形成される。平坦面51bは、テーパ部51の斜面51aがその上端部(板厚方向上側の端部)からパネル表面37に沿う方向に折り曲げられたような面として形成される。
また、テーパ部51においては、前側の端部(先端部)に、先端面51cが形成される。先端面51cは、板厚方向に略平行な面である。したがって、先端面51cは、液晶表示ユニット30に対して冷却風が吹き付けられる方向に対向する面となる。先端面51cは、テーパ部51の斜面51aがその下端部(板厚方向下側の端部)から板厚方向に沿う方向に折り曲げられたような面として形成される。
外枠隙間52は、見切り板42の窓部42cに対して平面部47の内側、つまり板厚方向下側から連通する幅方向のスリット状の隙間である。外枠隙間52は、テーパ部51の板厚方向上側の部分において、冷却風が吹き付けられる方向に対向する方向に開口する。外枠隙間52は、テーパ部51の斜面51aの終端部分(板厚方向の上側に登り切った部分)において、外枠41と見切り板42との間に設けられる。
具体的には、外枠隙間52は、テーパ部51に形成される平坦面51bと、見切り板42の内側(板厚方向下側)の面である見切り板内面42dとにより形成される。平坦面51bは、ケース40の略矩形板状の外形についての板面方向に沿う面である。このように、本実施形態では、外枠隙間52を形成する面として、板厚方向下側の面となる平坦面51bと、板厚方向上側の面となる見切り板内面42dとが用いられる。ここで、見切り板内面42dについては、平坦面51bに対向する部分、つまり見切り板42が外枠41に装着された状態における前側の端部の部分が、外枠隙間52を形成する部分として用いられる。
外枠隙間52は、板厚方向上側の面として見切り板内面42dを有することで、見切り板42の窓部42cに対して板厚方向下側から連通する。すなわち、外枠隙間52は、前記のとおり冷却風が吹き付けられる方向に対向する方向に開口するとともに、ケース40の内部空間(液晶パネル31が収容される空間)と連通する。このケース40の内部空間は、見切り板42の窓部42cによって板厚方向上側から外部に対して開口する。これにより、外枠隙間52は、ケース40の内部空間を介して見切り板42の窓部42cに連通する。言い換えると、外枠隙間52は、見切り板42の窓部42cによって板厚方向上側が開口するケース40の内部空間を、冷却風を受ける側に開口させる。
また、外枠隙間52を形成する平坦面51bは、板厚方向の位置について、ケース40に収容された状態の液晶パネル31のパネル表面37よりも板厚方向下側に位置する。このため、見切り板内面42dとの間の間隔について、平坦面51bと見切り板内面42dとの間隔(図9、寸法F1参照)の方が、パネル表面37と見切り板内面42dとの間隔(同図、寸法F2参照)よりも大きい。つまり、本実施形態では、外枠隙間52は、その隙間の大きさが見切り板内面42dとパネル表面37との間の隙間よりも大きくなるように形成されている。ただし、外枠隙間52は、その隙間の大きさが見切り板内面42dとパネル表面37との間の隙間よりも小さくなるように形成されてもよい。
以上のように、本実施形態の液晶表示ユニット30においては、外枠隙間52を形成する面としての平坦面51bが、テーパ部51の斜面51aに対して平面部47側の端部(板厚方向上側の端部)から連続するとともにパネル表面37に沿う方向の面である第一の隙間形成面として機能する。そして、見切り板内面42dが、平坦面51bに対して平面部47側(板厚方向上側)に位置するとともに平坦面51bに対向する面であり、平坦面51bとともに外枠隙間52を形成する面である第二の隙間形成面として機能する。
中央固定部53は、前側辺部にてテーパ部51の斜面51aを含む部分に凹部として設けられ、平面部47に対して略垂直方向(板厚方向)に貫通する固定用の孔部であるネジ孔53aを形成する部分である。本実施形態では、中央固定部53は、前壁部50において、幅方向における略中央位置に設けられる。中央固定部53が有するネジ孔53aは、斜面51aおよび平坦面51bを含む部分において、板厚方向に沿って形成される。
前壁部50において凹部として設けられる中央固定部53は、テーパ部51の斜面51aおよび平坦面51bから少なくとも上方向に突出することのないように形成される。好ましくは、中央固定部53は、テーパ部51の斜面51aおよび平坦面51bに対していずれの方向からも突出することのないように形成される。言い換えると、中央固定部53は、テーパ部51の斜面51aおよび平坦面51bにより規定される仮想外形から突出することなく形成されることが好ましい。
以上のように、冷却風を整流するための構成として、ケース40においてテーパ部51と外枠隙間52と中央固定部53とを有する液晶表示ユニット30においては、前側から吹き付けられる冷却風について、次のような流れが得られる。液晶表示ユニット30における冷却風の流れについて、図4および図9を用いて説明する。
液晶表示ユニット30に対して前側から吹き付けられる冷却風(図4、矢印D1参照)は、前述したように液晶パネル31の入射側の面および出射側の面の両面に沿って流れる。これらの冷却風のうち、液晶パネル31の入射側の面に沿って流れる冷却風は、ケース40の前側辺部において、テーパ部51の斜面51aに沿って板厚方向上側に向かう流れを形成する(図9、矢印G1参照)。
テーパ部51の斜面51aに沿って流れる冷却風は、その一部が外枠隙間52からケース40の内部に流入し(図9、矢印G2参照)、他の一部が平面部47に沿って流れる(同図、矢印G3参照)。つまり、テーパ部51の斜面51aに沿って流れる冷却風により、外枠隙間52を介してケース40の内部に導かれる流れ(図9、矢印G2参照)と、ケース40の外部となる平面部47に沿う流れ(同図、矢印G3)とが形成される。
このように、ケース40において見切り板内面42dによって形成される外枠隙間52が前側辺部に存在することから、テーパ部51の斜面51aに沿って流れる冷却風が、外枠隙間52を形成する部分となる見切り板42の先端部によって板厚方向上側および板厚方向下側の両側に分離される。これにより、外枠隙間52が形成される部分、およびその冷却風の流れにおける下流側の部分においては、見切り板42の両面側(板厚方向上側および板厚方向下側)に、冷却風の流れが形成される(図9、矢印G2、G3参照)。
テーパ部51の斜面51aに沿って流れる冷却風が横切る方向となる幅方向において中央固定部53が存在する部分においては、冷却風は中央固定部53上を通過する。ここで、中央固定部53上を通過する冷却風の流れについては、中央固定部53が凹部として形成される部分であることから、中央固定部53が存在することによる影響は小さい。
そして、図4に示すように、テーパ部51の斜面51aから見切り板42の両面側を流れる冷却風(矢印H1、H2参照)は、見切り板42の内側および外側においてパネル表面37に沿う方向に流れ、見切り板42のフレキシブルケーブル36側の部分において再び見切り板42の両面側に流れを形成しながらフレキシブルケーブル36側に吹き抜ける(矢印H3、H4参照)。なお、図4に示す矢印H2および矢印H4における破線部分は、冷却風の流れについて見切り板42の内側(板厚方向下側)に形成される流れを示す。
以上のように、本実施形態の液晶表示ユニット30によれば、冷却風が整流化されることから、冷却風を受ける液晶パネル31におけるパネル表面37へのダストの吹き溜まりや堆積を抑制することができるとともに、冷却風による冷却性能が向上し、長期的な画質信頼性を向上させることができる。
すなわち、液晶表示ユニット30においては、前述したように前側から吹き付けられる冷却風は、斜面51aに沿って流れるとともに外枠隙間52によって見切り板42の両面側に流れを形成する。このため、見切り板42の両面側における冷却風の流速差および圧力差が緩和される。これにより、パネル表面37上における冷却風の逆流および乱流が抑制される。結果として、例えば、液晶パネル31の長寿命化を図るために冷却風の風量が増加させられたり、プロジェクタ1の使用期間が長期間にわたったりしても、パネル表面37上のダストの吹き溜まりや堆積が抑制される。
また、液晶表示ユニット30においては、液晶表示ユニット30に吹き付けられる冷却風の一部が外枠隙間52を介してケース40内に流入することから、液晶パネル31のパネル表面37が均一に冷却され、冷却風によるより高い冷却効果が得られる。このように、パネル表面37へのダストの吹き溜まり等の抑制や冷却風による冷却性能の向上が図られることで、液晶表示ユニット30による長期的な画質信頼性が向上する。
また、本実施形態の液晶表示ユニット30を構成するケース40は、液晶パネル31の外形に沿う枠状の部分を有し液晶パネル31を保持する外枠41と、この外枠41に保持される液晶パネル31のパネル表面37を覆うとともにパネル表面37を外部に対して露出させる開口部である窓部42cを形成する板状の部材である見切り板42とにより構成される。ここで、外枠41は、液晶パネル31の外形に沿う枠状の部分として、側壁部41bおよび前壁部50を有する。
そして、外枠41および見切り板42により構成されるケース40においては、外枠41により、テーパ部51、外枠隙間52を形成する板厚方向下側の面である平坦面51b、および中央固定部53が構成され、見切り板42により、平坦面51bとともに外枠隙間52を形成する板厚方向上側の面である見切り板内面42dが構成される。
このように、液晶表示ユニット30において液晶パネル31を収容するケース40が、外枠41と見切り板42とを有する構成であることにより、既存の構成を利用することで、外枠隙間52を含む冷却風を整流するための構成を容易に実現することができる。
(ケースの変形例)
また、図10および図11に示すように、液晶表示ユニット30のケース40において外枠隙間52を形成する部分である見切り板42は、前側に突出する延設部44を有する構成であってもよい。延設部44は、見切り板42を、外枠隙間52を形成する板厚方向下側の面である平坦面51bよりも前側に突出させる。本実施形態では、延設部44は、見切り板42の前側の辺部の一部を、見切り板42の前側の端部が外枠41の前側の端部と略同じ位置となるように延設させる。
また、本実施形態では、延設部44は、外枠41が有する両方の肩部54の間において、テーパ部51(斜面51a)の略全体を板厚方向上側から覆うように形成される。つまり、延設部44は、見切り板42の前側の端部からテーパ部51に対して庇状に突出する部分である。
見切り板42が延設部44を有することにより、外枠隙間52を形成する板厚方向上側の面である見切り板内面42dが、延設部44の内側の面に相当する延長部42eを有することとなる。すなわち、見切り板42が延設部44を有する構成においては、外枠隙間52を形成する見切り板内面42dは、パネル表面37に沿う方向について外枠隙間52を形成する平坦面51bよりも前側辺部の縁端側(図11における左側)に延長する部分である延長部42eを有する。なお、見切り板42の延設部44においては、中央固定部53のネジ孔53aに対するネジの挿入を許容するための切り欠き部42gが形成される。
このように、外枠隙間52を形成する見切り板内面42dが延長部42eを有する構成においても、前述したような実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、見切り板内面42dが延長部42eを有する構成においては、液晶表示ユニット30に対して前側から吹き付けられる冷却風は、冷却風の流れにおける外枠隙間52の上流側において、見切り板42の(延設部44の)先端部によって板厚方向上側および板厚方向下側の両側に分離される。これにより、見切り板42の両面側において、冷却風の流れが形成され、冷却風の整流化が図られる。
(比較例の検討)
以下では、本実施形態に係る液晶表示ユニット30による効果について、二種類の比較例を用いて説明する。なお、以下に説明する効果は、所定のモデル空間内に存在する液晶表示ユニットに対して、モデル空間内を流れる所定の流量の冷却風が前側から吹き付けられる場合における流体シミュレーションの結果に基づくものである。また、比較例としての液晶表示ユニットの説明においては、前述した実施形態の液晶表示ユニット30と共通する部分については、便宜上同一の符号を付して説明を省略する。
まず、第一の比較例としての液晶表示ユニット130は、図12に示すように、三点留め方式を採用するために外枠41において前側辺部の略中央位置に設けられる固定部(中央固定部)として、突起状の固定部153を有する。固定部153は、ネジ孔153aを形成するとともに、筒軸方向を板厚方向とする略円筒形状を有する突起部分である。つまり、固定部153は、テーパ部51の斜面51aから板厚方向上側に向けて突出する略円筒形状の突出部分である。固定部153の上端面153bは、テーパ部51の斜面51aに対して板厚方向上側の端部からパネル表面37に沿う方向に形成される平面部154と共通の面として形成される。
また、第一の比較例としての液晶表示ユニット130は、前述した実施形態の液晶表示ユニット30との比較において、外枠41と見切り板42との間に設けられる外枠隙間52を有しない。つまり、本比較例の液晶表示ユニット130においては、固定部153の上端面153bと同一面を形成する平面部154と、平面部47とは、いずれもパネル表面37と略平行な面であって、板厚方向について略同じ位置に存在する。第一の比較例としての液晶表示ユニット130においては、前述した実施形態の液晶表示ユニット30との比較において、テーパ部51の斜面51aの傾斜が急である。
次に、第二の比較例として液晶表示ユニット230は、図13に示すように、外枠41と見切り板42との間に設けられる外枠隙間52を有しない点で、前述した実施形態の液晶表示ユニット30と異なる。すなわち、第二の比較例として液晶表示ユニット230は、前壁部50において斜面51aを形成するテーパ部51を有するとともに、液晶表示ユニット30の中央固定部53と同様に、凹部として設けられ固定用のネジ孔253aを形成する固定部253を有する。そして、テーパ部51の斜面51aに対して板厚方向上側の端部からパネル表面37に沿う方向に形成される平面部254と、平面部47とが、いずれもパネル表面37と略平行な面であって、板厚方向について略同じ位置に存在する。
図14(a)に示すように、第一の比較例としての液晶表示ユニット130においては、前側から吹き付けられる冷却風の流れについて、固定部153がテーパ部51の斜面51aから突出する部分として存在するため、この固定部153の部分を起点に固定部153の両側(図14(a)において左右両側)で渦巻き状の流れが発生する(矢印J1参照)。つまり、突出部分としての固定部153によって冷却風の流れが固定部153の両側に分断され、その両側から、固定部153の下流側において内側(中心側)に冷却風が流れ込む。これにより、パネル表面37における固定部153の下流側の中央部分(破線部分J2参照)の冷却風の風量が減少する。
こうした冷却風についての渦巻き状の流れは、固定部153の下流側の部分(破線部分J2参照)と上流側の部分(破線部分J3参照)とで、冷却風による圧力の差を発生させる。つまり、固定部153の部分を起点として、その下流側の部分(破線部分J2参照)の圧力が、上流側の部分(破線部分J3参照)の圧力よりも低くなる。
また、図14(b)に示すように、側面視での冷却風の流れを見た場合、第一の比較例としての液晶表示ユニット130においては、前側から吹き付けられる冷却風の流れについて、見切り板42よりも板厚方向上側の部分における流速の差が比較的大きくなる。具体的には、斜面51aに沿って平面部47に対して板厚方向上側に導かれるように形成される流れの部分(破線部分K1参照)と、その部分に対して板厚方向下側における平面部47の近傍部分(破線部分K2参照)とで、流速の差が大きくなる。こうした板厚方向における流速の差は、テーパ部51の斜面51aの傾斜が比較的急であることに起因する。
また、同じく図14(b)に示すように、側面視での冷却風の流れを見た場合、前述したような板厚方向の上下における流速の差等に起因して、平面部47の近傍部分において冷却風の逆流が生じる(矢印K3参照)。この冷却風の逆流により、見切り板42とパネル表面37を形成する防塵ガラス34との間に対して冷却風の下流側(図14(b)における右側)から、ケース40内に冷却風が流れ込むという現象が生じる(矢印K4参照)。このような現象は、第一の比較例としての液晶表示ユニット130においては、ケース40の内部において冷却風の風向(吹き付けられる向き)に沿う流れが形成されることがなく、見切り板42の両面側で冷却風についての流速差および圧力差が生じることに起因する。
なお、図14(a)、(b)における矢印群は、冷却風の流れを表す。また、図14(b)に示す断面図は、図8に示す断面図と同じ方向からの断面図であって、液晶表示ユニット130の幅方向について固定部153を含まない固定部153の近傍部分の位置に対応する断面図である。
このように、第一の比較例としての液晶表示ユニット130によれば、冷却風の流れについて固定部153の下流側の部分において流速のバラツキが比較的大きく、渦巻き状の流れや逆流のような乱流が生じる。このような冷却風による乱流は、パネル表面37に冷却風によって運ばれるダストの吹き溜まりや堆積を発生させる原因となる。
具体的には、図15に示すように、固定部153の下流側において、見切り板42の見切り板内面42dと防塵ガラス34により形成されるパネル表面37との間に逆流して流れ込む冷却風(矢印L1)により、ダスト160が巻き込まれて運ばれる。逆流する冷却風によって運ばれるダスト160は、パネル表面37上において見切り板42の窓部42cを形成する端部付近に吹き溜まり、堆積することになる。
また、図16(a)に示すように、第二の比較例としての液晶表示ユニット230においては、前壁部50に設けられる固定部253が凹部として設けられる部分であることから、第一の比較例としての液晶表示ユニット130において生じる渦巻き状の流れ(図14(a)、矢印J1参照)は生じないものの、固定部253の下流側近傍において幅方向(図16(a)における左右方向)における内側と外側とで流速の差が見られる。具体的には、幅方向における内側の部分(破線部分M1参照)の流速が、同じく幅方向における外側の部分(破線部分M2参照)の流速よりも遅くなる。こうした流速の差は、凹部としての固定部253においてその内周面が冷却風を受ける壁面として存在するためその壁面の部分を起点として流速が変化することに起因する。
また、図16(b)に示すように、第二の比較例としての液晶表示ユニット230においては、前側から吹き付けられる冷却風の流れについて、見切り板42よりも板厚方向上側の部分における流速の差が比較的大きくなる。具体的には、斜面51aに沿って平面部47に対して板厚方向上側に導かれるように形成される流れの部分(破線部分N1参照)と、その部分に対して板厚方向下側における平面部47の近傍部分(破線部分N2参照)とで、流速の差が大きくなる。ただし、第二の比較例としての液晶表示ユニット230における板厚方向における流速の差は、テーパ部51の斜面51aの傾斜の関係から、第一の比較例としての液晶表示ユニット130における流速の差よりも小さい。また、第二の比較例としての液晶表示ユニット230においては、第一の比較例としての液晶表示ユニット130と同様に、ケース40の内部において冷却風の風向に沿う流れが形成されることがないため、見切り板42の両面側で冷却風についての流速差および圧力差が生じる。
なお、図16(a)、(b)における矢印群は、図14と同様に冷却風の流れを表す。また、図16(b)に示す断面図は、図8に示す断面図と同じ方向からの断面図であって、液晶表示ユニット230の幅方向について固定部253を含まない固定部253の近傍部分の位置に対応する断面図である。
以上のような比較例の液晶表示ユニットにおける冷却風の流れに対して、本実施形態の液晶表示ユニット30においては、中央固定部53の下流側における流速の差が低減されるとともに、渦巻き状の流れや逆流のような乱流が防止される。すなわち、液晶表示ユニット30が有する中央固定部53が凹部として設けられる部分であることから、第一の比較例としての液晶表示ユニット130において固定部153の下流側で生じるような固定部153を起点とする渦巻状の流れが防止される。
また、本実施形態の液晶表示ユニット30においては、外枠隙間52が存在することから、テーパ部51の斜面51aに沿って流れる冷却風の一部が外枠隙間52を介してケース40内に流入し、見切り板42と防塵ガラス34との間に冷却風の風向に沿う流れが形成される(図9、矢印G2参照)。つまり、見切り板42に対して、板厚方向上側および板厚方向下側のそれぞれにおいて冷却風の風向に沿う流れが形成される。これにより、見切り板42の両面側での冷却風についての流速差および圧力差が緩和され、冷却風の逆流が防止される。
したがって、本実施形態の液晶表示ユニット30においては、図17に示すように、冷却風の流れについて、中央固定部53の下流側において渦巻き状の流れや逆流のような乱流が生じることなく、パネル表面37上においてほぼ均一な流速の整流化された流れが得られる。なお、図17における矢印群は、図14等と同様に冷却風の流れを表す。
以上のように、本実施形態の液晶表示ユニット30は、冷却風を受ける前壁部50において斜面51aを形成するテーパ形状を有するとともに、第一の比較例としての液晶表示ユニット130が有するような突出部分としての固定部153が削られることで得られる凹部としての中央固定部53を有する。そしてさらに、本実施形態の液晶表示ユニット30は、斜面51aに対する板方向上側の部分において見切り板42と外枠41との間に外枠隙間52を有する。これにより、液晶表示ユニット30が前側から受ける冷却風について、乱流が解消され、整流化が図られる。結果として、パネル表面37上におけるダストの吹き溜まりや堆積が抑制されるという効果が得られる。
以上説明した本発明の実施の形態では、液晶表示ユニット30におけるパネル表面37が、見切り板42側、つまり液晶パネル31において対向基板33側の防塵ガラス34の表面であるが、反対側であってもよい。つまり、外部から照射される光を受けるパネル表面としては、本実施形態の液晶表示ユニット30の場合、外枠41の窓部41cから外部に対して露出するTFT基板32側の防塵ガラス35の表面であってもよい。また、本発明は、本実施形態に係る液晶パネル31のような透過型の液晶表示素子に限らず、反射型の液晶表示素子にも適用可能である。