JP2011025833A - 索条牽引式輸送設備 - Google Patents

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【課題】二本の索条の張力が均等になるように補正することができるとともに、搬器を安定した走行状態で牽引することができ、また、線路中での索条の配置をコンパクトにすることができる索条牽引式輸送設備を提供することにある。
【解決手段】一端の停留場には索条を駆動する二枚の駆動滑車を備え、他端の停留場には、水平面からやや傾いて回転する二枚の折り返し滑車とを備える。駆動滑車は線路と平行する垂直平面で回転可能に軸支されて共に同一方向へ回転駆動されるように構成し、折り返し滑車は線路方向に対して互いに前後して配置されるとともに、各折り返し滑車は線路の左右方向において互いに逆の方向に傾いて軸支されるように構成する。このように構成した各駆動滑車および前記各折り返し滑車には、一条の前記索条を無端状にして巻き掛けるとともに、索条を線路中において左右二列且つ上下二段に張架した。
【選択図】図8

Description

本発明は、敷設された軌道上を索条により客車や台車を牽引して輸送を行う索条牽引式輸送設備に関する。
索条により客車や台車(以下、これらをまとめて搬器という)を牽引して輸送を行う索条牽引式輸送設備は、旅客設備として人員の輸送を行うケーブルカーや、産業用設備として物資の輸送を行うインクライン等として知られている。索条牽引式輸送設備の一般的な構成としては、敷設されたレール上に搬器を移動可能に設置し、この搬器に接続された索条をウインチや滑車によって巻き掛け駆動することにより、搬器がレールに沿って移動するように構成している。
このように、索条牽引式輸送設備における搬器は、索条に牽引されて移動するために、搬器自体には駆動装置を設けておらず、したがって、走行音が静かであるとともにレールの構造も比較的簡易なために低コストであるという利点があり、自然環境もあまり損なわない点で優れている。また、搬器の移動は車輪とレールとの摩擦抵抗によるものではないので、走行する傾斜が急であっても走行可能であり、傾斜地における輸送設備として多用されている。
索条牽引式輸送設備が傾斜地で利用される場合には、山頂側の停留場に索条駆動用の滑車を配設してこの滑車に索条を巻き掛けて索条の両端に搬器を連結するか、または一端に搬器を連結し他端にはカウンターウエイトを連結して、いわゆるつるべ式に運行を行う方式が多く採用されている(例えば、特許文献1参照)。また、このようなつるべ方式によらず、ウインチにより索条を巻き取りまたは繰り出して運行を行う方式もある(例えば、特許文献2参照)。
一方、平坦な地形において利用される場合には、索条に一定の張力を負荷する必要性があることから、一般的に以下のような構成が採用される。まず、索条は軌道に沿って無端のループ状に張り渡されており、この索条は停留場等に備えた複数の滑車に巻き掛けられている。これらの滑車のうちのいずれか一箇所の滑車は、索条を巻き掛けた状態で移動可能に構成されており、この滑車に一定の力を作用させることにより索条に張力を負荷するようにしている。また、これとは別の滑車には、電動機等の動力源が連結され、これによって滑車が回転駆動されて索条が移動する(例えば、特許文献3参照)。搬器は、ループ状になった索条の所定の位置に連結され、停留場間を往復移動する。
上記した各特許文献に記載されているように、搬器に連結される索条は一般的に一本であるが、荷重条件やその他の安全上の条件などにより、二本の索条で客車や台車を牽引する方式を採用する場合がある。この場合に、二本の索条の長さを厳密に同一とすることは困難であり、これを解消するために搬器に索長調整用のイコライザを備えてこれに索条を連結し、二本の索条の張力を平衡させることが従来提案されている(例えば、特許文献4参照)。また、搬器の底部に滑車を回転可能に備え、これに一本の索条を巻き掛けて、実質的に二本の索条で牽引するような構成も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開2002−87247号公報 特開2002−347609号公報 実開平5−89140号公報 特開平8−133068号公報 特開2007−190962号公報
本発明は、二本の索条で搬器を牽引する索条牽引式輸送設備において、二本の索条の張力が均等になるように補正することができるとともに、搬器を安定した走行状態で牽引することができ、また、線路中での索条の配置をコンパクトにすることができる索条牽引式輸送設備を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1の発明は、敷設されたレール上を二本の索条により搬器を牽引して運行を行う索条牽引式輸送設備において、一端の停留場において前記索条を駆動する二枚の駆動滑車と、他端の停留場において水平面からやや傾いて回転する二枚の折り返し滑車とを備え、前記駆動滑車は線路と平行する垂直平面で回転可能に軸支されて共に同一方向へ回転駆動され、前記折り返し滑車は線路方向に対して互いに前後して配置されるとともに、各折り返し滑車は線路の左右方向において互いに逆の方向に傾いて軸支されており、前記各駆動滑車および前記各折り返し滑車には一条の前記索条を無端状にして巻き掛け、該索条を線路中において左右二列且つ上下二段に張架した。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の索条牽引式輸送設備において、前記駆動滑車が線路前後方向に移動して前記索条に一定張力を負荷するようにした。
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の索条牽引式輸送設備において、前記折り返し滑車が線路前後方向に移動して前記索条に一定張力を負荷するようにした。
請求項1に記載の発明によれば、一条の索条を無端状にして各滑車に巻き掛けており、ある区間どうしの間で張力の不均衡が生じても、例えば駆動滑車を駆動源から切り離し、各駆動滑車が自由回転できるように操作をすることで、線路中の索条張力を一括して平衡させることができる。また、線路中の索条は左右二列且つ上下二段に整列して張架した配置となっており、線路の上下左右に大きなスペースを要せずコンパクトな線路構成とすることができる。
請求項2及び請求項3に記載の発明によれば、駆動滑車又は折り返し滑車が線路前後方向に移動して索条に一定張力を負荷するようにしており、これにより線路中での索条の張架状態が安定し、搬器の加減速等が安定して行える。
搬器の正面図 搬器の側面図 線路縦断面図 山麓停留場の側面図 山麓停留場の平面図 山頂停留場の側面図 山頂停留場の平面図 索条の張架形態を示す模式図
以下、本発明の具体的な実施の形態を図面を参照して説明する。図3は、索条牽引式輸送設備の線路の一例を示した線路縦断面である。図に示すように、索条牽引式輸送設備の線路は、標高の低い位置にある山麓停留場18と標高の高い位置にある山頂停留場19とを結んで形成されており、地形の傾斜に合わせてレール11が敷設され、また、索条12もレール11に沿って延線されており、搬器10はレール11上を索条12に牽引されて走行する。線路中には、索条12の位置を保持するために受索誘導ローラー16及び圧索誘導ローラー17を配置し、索条12を支承している。
図1及び図2は、索条牽引式輸送設備で運行する搬器10の正面図及び側面図である。搬器10は、台車30と、懸垂フレーム38と、懸垂機31と、客車32とからなっている。台車30の前後左右の下端部四箇所には、走行輪33、34及び浮き上がり防止輪35を回転可能に備えており、これらがレール11に沿って転動する。レール11は図に示されているように、鉄道等で用いられる普通レール37をH形鋼36の上部に固設した構成となっており、線路中にはこのように組み合わされたレール11を二列横方向に平行して敷設している。走行輪33、34のうち左右方向いずれかの列の走行輪33は、外周の中央部が凹状に形成されており、この凹状部が普通レール37の上部と係合し、搬器10の左右方向の移動を規制する。また、浮き上がり防止輪35は、H形鋼36の内面上部に当接し、搬器10が上方に浮き上がるのを防止する。
台車30には、前後方向の中央部付近において両側方に突出して握索機39を備え、この握索機39により索条12を握索して台車30と索条12が連結される。握索機39は、例えば索道等で採用されているバネ式の握索機39であって、握索機39に内蔵されたバネの変形力を握子に作用又は解除させることにより、握索機39と索条12とを連結又は脱離させることが可能になっている。このような構成により索条12に連結した台車30は、索条12が移動することにより台車30の両側方を牽引されて移動する。
台車30の上部には、懸垂フレーム38が固設されている。この懸垂フレーム38は、左右両側方において門形部材38aを側面視で門形状に形成して立設し、この門形部材38aの下部間を連結部材38bで連結して枠状に形成したものであり、この懸垂フレーム38の内側には客車32を収容する空間を有している。懸垂フレーム38の前端部および後端部の連結部材38bには、両側端部から内側方向へ離れた位置に接続部材38cを下方に突出して形成しており、これを台車30の上部に固着して懸垂フレーム38と台車30が連結されている。
懸垂フレーム38の上部には、両門形状部材38aの間に懸垂機31を進行前後方向へ揺動可能に軸支しており、この懸垂機31にはゴム等の振動吸収材を介して客車32が吊下されている。この構成により、線路中で搬器10の走行傾斜角度が変化した場合には、懸垂機31ないし客車32が台車30ないし懸垂フレーム38に対して回動し、客車32の姿勢は常時水平に保たれる。
図4及び図5は、山麓停留場18における機器の配置を示した側面図及び側面図である。山麓停留場18には、索条12を駆動するために駆動装置40を設けている。駆動装置40は、駆動滑車41a、41bと減速機42と電動機43とから構成されている。減速機42の出力軸は、水平方向に配置されて両側方へ延出しており、この出力軸の両端部に駆動滑車41a、41bが線路方向と平行して垂直方向に回転するように連結され、両駆動滑車41a、41bには索条12が巻き掛けられている。索条12は、駆動滑車41a、41bの山頂方向側に備えた索受装置53、54により支承され、上下に平行して山頂方向へ延伸している。
減速機42の入力軸には、電動機43が連結されており、この電動機43を駆動制御することにより減速機42を介して駆動滑車41a、41bが同一の方向に回転駆動される。駆動装置40は、側方にローラー51を備えたフレーム50上に配置されて組み付けられており、このフレーム50の下方に敷設されたガイドレール52上を線路前後方向にスライドすることができる。フレーム50には、油圧シリンダー等のアクチュエータ55を連結し、山麓方向(矢印A)に向けて一定の力を作用させ、これにより、駆動滑車41a、41bを介して索条12に一定張力を負荷する。このようにして索条12に張力を負荷することにより、線路中での索条12の移動が安定し、したがって、搬器10の加減速及び走行がスムーズに行える。
図6及び図7は、山頂停留場19における機器の配置を示した側面図及び平面図である。山頂停留場19の搬器10停止位置から山頂側へ離れた位置には、床面から上方へ突出してコンクリート基礎60が形成されており、この突出部の山頂側側面及び山麓側側面には、側面視コ字状の滑車フレーム61、61が固設されている。各滑車フレーム61、61の開口部先端には、それぞれ折り返し滑車62a及び折り返し滑車62bを線路方向に対して左右方向に水平面からやや傾けて回転可能に軸支している。山麓側の折り返し滑車62aは、図6において図面手前側で高く、奥側で低くなるように傾いており、図面手前側で上方に位置する索条12は、折り返し滑車62aに誘導されて図面奥側では下方の位置となる。一方、山頂側の折り返し滑車62bは、これと逆の構成であって、図面手前側で低く、奥側で高くなるように傾いており、図面手前側で下方に位置する索条12は、折り返し滑車62bに誘導されて図面奥側では上方の位置となる。
以上の構成を分かり易くするために、索条12の張架形態を模式的に表した図8を用いて説明する。まず最初に説明の便宜上、図において、山麓停留場18の駆動滑車41aが索条12を張架する起点になるものとして説明する。山麓停留場18において索条12は、駆動滑車41aの上方位置B点から下方に折り返されてC点で駆動滑車41aから離れ、山頂停留場19側へ伸びて折り返し滑車62bに接するD点に達する。折り返し滑車62bに巻き掛けられた索条12は、D点からE点へと水平方向にに折り返されるとともに上方へと偏向させられ、この後、線路中を上側の位置で山麓方向へと伸びて駆動滑車41bに接するF点に達する。駆動滑車41bのF点からG点との間で索条12は垂直方向下方に折り返され、線路中を下側の位置で山頂方向に伸びて折り返し滑車62aに接するH点に達する。折り返し滑車62aに巻き掛けられた索条12は、H点からI点へと水平方向にに折り返されるとともに上方へと偏向させられ、この後、線路中を上方の位置で山麓方向へと伸びて、再び起点のB点に達する。
このように索条12は、一条の索条12を山麓停留場18と山頂停留場19との間で二重に循環させて無端状に張架したものであり、線路中で左右に延設された索条12は、上方に位置する索条12どうし、及び下方に位置する索条12どうしが駆動滑車41a、41bの回転により同一の方向へ移動する。そして、このように張架された索条12は、上下いずれかの同一の高さ位置にある索条12が搬器10の両側方に連結され、搬器10を山麓停留場18と山頂停留場19との間で往復して運行する。
次に、以上の構成において、線路中で上下左右に張架された各索条12の張力を平衡させるためには、以下のように操作する。まず、搬器10の左右のおける索条12との連結を解除した後、索条12に張力を負荷しているアクチュエータ55を停止し索条12の張力を緩める。次いで、減速機42の出力軸と駆動滑車41a、41bとの連結を解除し、駆動滑車41a、41bがそれぞれ独立して回転できるようにする。この後、再びアクチュエータを動作させて索条12に張力を負荷する。このようにすることで、配置された全ての滑車は独立して回転可能になり、前記したように各滑車に掛け回された索条12は、一本が無端状に繋がれたものであることから、適宜滑車が回転して線路中を延伸する四本の索条12の張力が平衡する。次いで、再び減速機42の出力軸と駆動滑車41a、41bとを連結し、搬器10と索条12を連結すれば、搬器10に連結された左右の索条12は同一の張力状態であるので、安定した運行が可能である。
以上の実施形態においては、山麓停留場18の駆動装置40を線路方向に沿って前後へ移動可能に構成し、これにより索条12に張力を負荷するように構成したが、山頂停留場19の折り返し滑車62a、62bにより索条12に張力を負荷するようにしてもよい。すなわち、この場合には、山麓停留場18の駆動装置40を定位置に固設し、一方、山頂停留場19の折り返し滑車62a、62bは、線路と平行して移動可能に構成した一のフレーム上に軸支し、このフレームを線路前後方向にスライドさせて索条12に張力を負荷する。このように、一端の停留場側を索条12を駆動する側とし、他端の停留場で索条12に張力を負荷する構成とすることもできる。
10 搬器
11 レール
12 索条
16 受索誘導ローラー
17 圧索誘導ローラー
18 山麓停留場
19 山頂停留場
30 台車
31 懸垂機
32 客車
33 走行輪
34 走行輪
35 浮き上がり防止輪
36 H形鋼
37 普通レール
38 懸垂フレーム
38a 門形部材
38b 連結部材
38c 接続部材
39 握索機
40 駆動装置
41a、41b 駆動滑車
42 減速機
43 電動機
50 フレーム
51 ローラー
52 ガイドレール
53、54 索受装置
55 アクチュエータ
60 コンクリート基礎
61 滑車フレーム
62a、62b 折り返し滑車
A 矢印
B、C、D、E、F、G、H、I 点

Claims (3)

  1. 敷設されたレール上を二本の索条により搬器を牽引して運行を行う索条牽引式輸送設備において、一端の停留場において前記索条を駆動する二枚の駆動滑車と、他端の停留場において水平面からやや傾いて回転する二枚の折り返し滑車とを備え、前記駆動滑車は線路と平行する垂直平面で回転可能に軸支されて共に同一方向へ回転駆動され、前記折り返し滑車は線路方向に対して互いに前後して配置されるとともに、各折り返し滑車は線路の左右方向において互いに逆の方向に傾いて軸支されており、前記各駆動滑車および前記各折り返し滑車には一条の前記索条を無端状にして巻き掛け、該索条を線路中において左右二列且つ上下二段に張架したことを特徴とする索条牽引式輸送設備。
  2. 前記駆動滑車が線路前後方向に移動して前記索条に一定張力を負荷するようにしたことを特徴とする請求項1記載の索条牽引式輸送設備。
  3. 前記折り返し滑車が線路前後方向に移動して前記索条に一定張力を負荷するようにしたことを特徴とする請求項1記載の索条牽引式輸送設備。
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