JP2011025177A - 塗布液の塗布方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】混合すると経時的にゲル化が進行する複数の液によって構成される塗布液を、給液配管16を介して塗布ヘッド14に給液して支持体24に塗布する塗布液の塗布において、給液配管16では塗布直前に、複数の液をスタティックミキサー22で混合して塗布液を形成し、形成された塗布液を金属製フィルタ40を通すことで、塗布液に対して剪断力を付与する。
【選択図】図1
Description
図1に示すように、原料タンク12内にて、無機微粒子及び水性バインダーを混合機12Aによって混合し、無機微粒子分散液を調製する。調製された無機微粒子分散液は、送液ポンプ15によって、原料タンク12と塗布ヘッド14とをつなぐ給液配管16に供給される。原料タンク12の出口には開閉バルブ18が設けられ、無機微粒子分散液を調製した後に開成される。
次に、図1に示すように、給液配管16の途中において、ステップ1で調製した無機微粒子分散液に、添加タンク20からカチオン性化合物を添加する。給液配管16の途中に添加タンク20と給液配管16とをつなぐ添加配管21が連結され、添加配管21に添加量調整バルブ23が設けられる。この添加量調整バルブ23によって、給液配管16中を流れる無機微粒子分散液に所定量のカチオン性化合物が添加される。
[Al2(OH)nCl6−n]m …式1
[Al(OH)3]nAlCl3 …式2
Aln(OH)mCl(3n−m)0<m<3n …式3
これらのものは多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って市販されており、各種グレードの物が容易に入手できる。本発明ではこれらの市販品をそのままでも使用できる。
次に、図1に示すように、ステップ2でポリ塩化アルミニウムが添加された無機微粒子分散液は、スタティックミキサー22によって均一に混合される。これにより、塗布ヘッド14から支持体24に塗布するインク吸収容層の塗布液が調製される。塗布液を塗布する支持体としては、上質紙、アート紙、コート紙、キャスト塗被紙、箔紙、クラフト紙、バライタ紙、含浸紙、蒸着紙などの紙類、樹脂フィルム、樹脂フィルムをコート紙や上質紙等と接着剤を介して貼り合わせたもの等を使用できる。
次に、図1に示すように、ステップ3で調製された塗布液に、スタティックミキサー22後段の給液配管16B途中に設けられた剪断装置38によって剪断力を付与した後、塗布ヘッド14に給液して支持体に塗布する。剪断装置38は、塗布ヘッド14の直前に設けることが好ましい。この場合、塗布液に剪断速度10000〜70000sec−1の範囲の大きさの剪断力を付与することが好ましい。
流速V=Q/A[m/s]
ここで、Q:給液配管を通る塗布液の体積流量[m3/sec]
A:金属製フィルタの断面積[m2]
h:金属製フィルタの目開き量[m]
これにより、送液ポンプ15によって給液配管16Bを流れる塗布液は、フィルタ面40Aを通過す際に、フィルタ面40Aにおいて塗布液の流れ方向(図3の矢印方向)とは逆向きの抵抗を受ける。この結果、塗布液には、フィルタ面40Aを通過する際に大きな剪断力が作用することになる。したがって、塗布液中にゲル状塊Sが存在する場合には、この剪断力によりゲル状塊Sがゾル化すると共に、ゲル状塊Sが裏ごしされる。これにより、ゲル状塊Sは確実にゾル化されて塗布液中に分散される。換言すると、塗布液中に存在するゲル状塊Sが、金属製フィルタ40において塗布液が流れる液圧によって裏ごしされた状態でフィルタ面40Aを通過する。実際に、ゲル状塊Sが存在する塗布液を金属製フィルタ40に通すと、フィルタ表面(入口側の面)にゲル状塊Sが付着堆積されることはなく、全てフィルタ面40Aを通過している。このことは、金属製フィルタ40がゲル状塊Sを濾過により除去するのではないことを示している。もし、無機微粒子が凝集してゲル化したゲル状塊Sを濾過により除去された場合には、インク受容層での無機微粒子の濃度が低減し、不具合が生じる。
下記組成から成る無機微粒子(シリカ粒子)含有の分散液を調製した。
(「AEROSIL300SF75」、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 47.3 部
(3)分散剤 0.78部
(含窒素有機カチオンポリマー「シャロールDC−902P」(51.5質量%水溶液)、第一工業製薬(株)製)
(4)酢酸ジルコニル 0.48部
(「ZA−30」(50質量%溶液)、第一稀元素化学工業(株)製)
(5)7.5質量%ホウ酸水溶液 4.38部
(6)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液 26.0 部
「ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)溶解液の組成」
・ポリビニルアルコール 1.8 部
(「JM33」、鹸化度95.5%、重合度3300、日本酢ビ・ポバール(株)製)
・水溶性セルロース(「HPC−SSL」、日本曹達(株)製) 0.1 部
・イオン交換水 23.0 部
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 0.55部
(「ブチセノール20P」、協和発酵ケミカル(株)製、)
・界面活性剤(「エマルゲン109P」、花王(株)製) 0.6 部
(7)カチオン変性ポリウレタン 1.8 部
(「スーパーフレックス650−5」(25質量%液)、第一製薬工業(株)製)
[インク吸収層を備えた記録用シートの作製]
上記の分散液165g/m2に対して、下記の水溶性アルミニウム化合物を含有するインライン液をスタティックミキサーで11.4g/m2の速度でインライン混合した塗布液を、一方面にコロナ放電処理を行った水非浸透性支持体の処理側の面にエクストルージョン型塗布装置で塗布した。ちなみに、分散液に含まれる無機微粒子とインライン液に含まれるカチオン性化合物の混合比率を流量(Kg/分)に換算すると、無機微粒子10kg/分に対してカチオン性化合物0.5kg/分の混合比率になる。
(1)ポリ塩化アルミニウム水溶液 2.0 部
(「アルファイン83」(26質量%)、大明化学工業(株)製)
(2)イオン交換水 7.8 部
(3)ジメチルアミン・エピクロロヒドリン重縮合物 0.2 部
(「ハイマックスSC−507」(70質量%液)、ハイモ(株)製)
なお、インライン液の組成は、塗布液(分散液+インライン液)を100部としたときの割合である。
(1)ホウ酸 0.65部
(2)炭酸アンモニウム(1級、関東化学(株)製 5.0 部
(3)イオン交換水 88.35部
(4)10%界面活性剤水溶液 6.0 部
(「エマルゲン109P」(10質量%液)、花王(株)製)
[試験方法]
そして、上記の記録用シートの作製において、本発明の実施例1〜6では、分散液とインライン液とを混合した後の塗布液に対して給液経路の塗布直前位置において剪断装置により剪断力を付与した。一方、比較例1は給液経路に剪断装置を配設しない場合であり、比較例2は分散液とインライン液との混合前の給液経路に剪断装置を設けた場合である。そして、実施例1〜6と比較例1〜2とにおけるゲル状塊による塗布故障の発現を比較した。
評価方法は、金属フィルタの実施例1〜5及び比較例2の場合には、塗布開始してフィルタが破損しフィルタ交換が必要になるまでのフィルタ交換時間と、塗布開始してゲル状塊による塗布故障が発生するまでの連続塗布時間との2項目について評価した。
◎…フィルタ交換時間96時間(4日)以上の場合
○…フィルタ交換時間48〜96時間の範囲の場合
△…フィルタ交換時間48(2日)未満の場合
〈連続塗布時間〉
◎…連続塗布時間144(6日)以上の場合
○…連続塗布時間96(4日)〜144(6日)未満の範囲の場合
△…連続塗布時間48(2日)〜96(4日)未満の範囲の場合
×…連続塗布時間48(2日)未満の場合
また、オリフィスの実施例6の場合及び剪断装置を設けない比較例1の場合には、連続塗布時間の1項目で評価した。
図4の表から分かるように、塗布直前に金属フィルタ又はオリフィスを設けて分散液に剪断力を付与するようにした実施例1〜6は、フィルタ交換時間が40〜120時間で△〜◎、連続塗布時間が72〜168時間で△〜◎の評価であり、総合評価でも○〜◎の評価で合格であった。
Claims (8)
- 混合すると経時的にゲル化が進行してゲル状塊が生成される複数の液によって構成される塗布液を、給液経路を介して塗布ヘッドに給液して支持体に塗布する塗布液の塗布方法において、
前記給液経路には、
前記複数の液を混合して前記塗布液を形成する混合工程と、
前記形成された塗布液に剪断力を付与する剪断工程と、を備えたことを特徴とする塗布液の塗布方法。 - 前記剪断工程では、剪断速度10000〜70000sec−1の範囲の剪断力を付与することを特徴とする請求項1の塗布液の塗布方法。
- 前記塗布液は、インクジェット記録材料のインク吸収層を形成するための塗布液であって、無機微粒子と水溶性バインダーとカチオン性化合物とを少なくとも含有することを特徴とする請求項1又は2の塗布液の塗布方法。
- 前記剪断工程は、前記塗布液中に形成されたゲル状塊を裏ごしする工程であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1の塗布液の塗布方法。
- 混合すると経時的にゲル化が進行してゲル状塊が生成される複数の液によって構成される塗布液を、給液経路を介して塗布ヘッドに給液して支持体に塗布する塗布液の塗布装置において、
前記給液経路には、
前記複数の液を混合して前記塗布液を形成するスタティックミキサーと、
前記形成された塗布液に剪断力を付与する剪断装置と、が設けられていることを特徴とする塗布液の塗布装置。 - 前記剪断装置は、前記給液経路の径方向に設けられた直径30〜50mm、80〜200メッシュの金属製網目状部材であって、前記給液経路を流れる塗布液が前記金属製網目状部材によって剪断力を受けることを特徴とする請求項5の塗布液の塗布装置。
- 前記塗布液中に形成されたゲル状塊が前記金属製網目状部材によって裏ごしされることを特徴とする請求項6の塗布液の塗布装置。
- 前記剪断装置は、
前記給液経路の径方向に設けられた80〜400メッシュの金属性網目状部材と、
前記金属製網目状部材の網目表面を擦る擦り部材と、を備えたことを特徴とする請求項5の塗布液の塗布装置。
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