JP2011018594A - 電池用電極の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】合剤層へのバインダの染み込みを抑えて電極の性能を高めることができる電極製造方法を提供する。
【解決手段】活物質粒子24が溶媒28に分散されてなる合剤ペースト22を集電体10に付与して合剤ペースト層25を形成する工程;合剤ペースト層25が形成された集電体10を、該合剤ペースト層25が上側となる姿勢に保持し、合剤ペースト22の溶媒28と二相分離可能な溶媒38に絶縁性粒子34を分散させてなり合剤ペースト22よりも比重が小さい絶縁粒子層形成用ペースト32を合剤ペースト層25の表面(上面)25aに付与する工程;および合剤ペースト層25と絶縁粒子層形成用ペースト32とを共に乾燥させることによって、集電体10上に合剤層と絶縁粒子層とがこの順で積層された電極を得る工程;からなる電池用電極の製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、リチウム二次電池等の電池の構成要素として用いられる電池用電極の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、或いはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウム二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。この種の二次電池の一つの典型的な構成では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料(電極活物質)が導電性部材(電極集電体)に保持された構成の電極を備える。例えば、負極に用いられる電極活物質(負極活物質)の代表例としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料が例示される。また、負極に用いられる電極集電体(負極集電体)の代表例としては、銅または銅合金を主体とするシート状または箔状の部材が挙げられる。この種の電池に関する技術文献として、特許文献1,2が挙げられる。
かかる構成を有する負極を製造するにあたって負極集電体に負極活物質を保持させる代表的な方法の一つとして、負極活物質の粉末を適当な媒体に分散させた合剤ペーストを負極集電体(銅箔等)に塗布し、これを熱風乾燥機等に通過させて乾燥させることにより負極活物質を含む層(負極合剤層)を形成する方法が挙げられる。
ところで、この種のリチウム二次電池は、正極と負極間に絶縁樹脂製のセパレータが設けられている。このセパレータによって正極と負極間の電気的絶縁性が確保されている。かかる構成を有する電池において、電池ケース内に導電性異物が混入すると、該異物がセパレータを貫通して正極と負極との間を架橋することにより内部短絡を誘発することが想定される。そのような短絡時の不具合を解消するため、正極および負極の少なくとも一方に絶縁粒子層を形成する技術が検討されている。例えば特許文献1には、正極の正極合剤層表面および負極の負極合剤層表面の少なくとも一方に、絶縁性粒子とバインダ(結着剤)とを含む多孔質層(絶縁粒子層)を形成したリチウムイオン電池が開示されている。特許文献1では、多孔質層の形成は、絶縁性粒子とバインダとを溶媒に分散させた多孔質層形成用ペーストを調製し、これを正極の正極合剤層表面または負極の負極合剤層表面に塗布し、乾燥させることにより行われる。
特開2008−234879号公報 特開2004−55537号公報
しかしながら、特許文献1に記載の多孔質層形成方法では、活物質を含有する合剤ペーストを集電体上に塗布・乾燥させて合剤層を形成した後、さらに絶縁性粒子を含有する多孔質層形成用ペーストを合剤層の表面に塗布・乾燥させて多孔質層(絶縁粒子層)を形成する工程を行う必要があるので、製造プロセスが煩雑になりがちであった。また、合剤層の表面に多孔質層形成用ペーストを塗布した際、多孔質層形成用ペーストがバインダとともに合剤層に染み込み、該バインダが電極活物質に付着するため、電極の内部抵抗が上昇する要因にもなっていた。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、合剤層へのバインダの染み込みを抑えて電極の性能を高めることができる電極製造方法を提供することである。
本発明によると、集電体上に、活物質粒子を含む合剤層と、絶縁性粒子を含む絶縁粒子層とがこの順で積層された構成の電池用電極を製造する方法が提供される。この方法は、活物質粒子が溶媒に分散されてなる合剤ペーストを集電体に付与して合剤ペースト層を形成することを含む。また、上記合剤ペースト層が形成された集電体を、該合剤ペースト層が上側となる姿勢に保持し、上記合剤ペーストの溶媒と二相分離可能な溶媒に絶縁性粒子を分散させてなり上記合剤ペーストよりも比重が小さい絶縁粒子層形成用ペーストを上記合剤ペースト層の表面に付与することを含む。そして、上記合剤ペースト層と上記絶縁粒子層形成用ペーストとを共に乾燥させることによって、上記集電体の表面に合剤層と絶縁粒子層とがこの順で積層された電極を得ることを包含する。
本発明の方法では、活物質粒子が溶媒に分散されてなる合剤ペーストを集電体に付与して合剤ペースト層を形成し、この合剤ペースト層が濡れた状態(上記溶媒の少なくとも一部が残っている状態)にあるうちに合剤ペースト層の上面に絶縁粒子層形成用ペーストを付与し、その後、合剤ペースト層と絶縁粒子層形成用ペーストとを共に乾燥させる。この方法を用いれば、合剤ペースト層の乾燥と、絶縁粒子層形成用ペーストの乾燥とを同一工程で実施でき、絶縁粒子層を備えた電極を簡易なプロセスで製造できる。加えて、絶縁粒子層形成用ペーストが付与される際、合剤ペースト層はまだ濡れた(少なくとも湿った)状態にあり、かかる状態の合剤ペースト層には乾燥した合剤層に比べて絶縁粒子層形成用ペーストが染み込みにくい。また、合剤ペーストよりも比重が小さい絶縁粒子層形成用ペーストを使用し、集電体に付与された合剤ペースト層が鉛直方向の上側となる姿勢で上記絶縁粒子層形成用ペーストを該合剤ペースト層の表面(上面)に付与することにより、さらに絶縁粒子層形成用ペーストを染み込みにくくする効果が得られる。このように、上記方法によると、絶縁粒子層形成用ペーストの浸み込みの少ない合剤層が形成され、したがって性能のよい(例えば、内部抵抗の少ない電池を構築するのに適した)電極が得られる。
ここに開示される好ましい一態様では、上記合剤ペーストの溶媒は、水を含んでいる。この場合、上記絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒は、n−ヘキサン,n−ペンタン,n−オクタンおよびシクロヘキサンのうちの少なくとも一種を含有することが好ましい。それらの化合物は、水と二相分離しやすく、かつ、水よりも比重が小さいため、本発明の目的に適した絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒として好ましく用いられる。
また、本発明によると、集電体上に、活物質粒子を含む合剤層と、絶縁性粒子を含む絶縁粒子層とがこの順で積層された構成の電池用電極を製造する方法が提供される。この方法は、上記活物質粒子を所定の溶媒に分散させた合剤ペーストを集電体に付与して合剤ペースト層を形成することを含む。また、上記合剤ペースト層が形成された集電体を、該合剤ペースト層が下側となる姿勢に保持し、上記合剤ペーストの溶媒と二相分離可能な溶媒に絶縁性粒子を分散させてなり上記合剤ペーストよりも比重が大きい絶縁粒子層形成用ペーストを上記合剤ペースト層の表面に付与することを含む。そして、上記合剤ペースト層と上記絶縁粒子層形成用ペーストとを共に乾燥させることによって、上記集電体の表面に合剤層と絶縁粒子層とがこの順で積層された電極を得ることを包含する。
本発明の方法では、活物質粒子が溶媒に分散されてなる合剤ペーストを集電体に付与して合剤ペースト層を形成し、この合剤ペースト層が濡れた状態(上記溶媒の少なくとも一部が残っている状態)にあるうちに合剤ペースト層の下面に絶縁粒子層形成用ペーストを付与し、その後、合剤ペースト層と絶縁粒子層形成用ペーストとを共に乾燥させる。この方法を用いれば、合剤ペースト層の乾燥と、絶縁粒子層形成用ペーストの乾燥とを同一工程で実施でき、絶縁粒子層を備えた電極を簡易なプロセスで製造できる。加えて、絶縁粒子層形成用ペーストの浸み込みの少ない合剤層が形成され、したがって性能のよい(例えば、内部抵抗の少ない電池を構築するのに適した)電極が得られる。
ここに開示される好ましい一態様では、上記合剤ペーストの溶媒は、水を含んでいる。この場合、上記絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒は、四塩化炭素,クロロホルム,トリクロロエタン,トリクロロエチレンおよびフッ素系液体のうちの少なくとも一種を含有することが好ましい。それらの化合物は、水と二相分離しやすく、かつ、水よりも比重が大きいため、本発明の目的に適した絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒として好ましく用いられる。
ここに開示される好ましい一態様では、上記絶縁粒子層形成用ペーストは、スプレー噴霧により上記合剤ペーストの表面に付与される。スプレー噴霧を用いれば、絶縁粒子層形成用ペーストを合剤ペースト層の表面に簡易に付与できる。また、絶縁粒子層形成用ペーストが合剤ペースト層の表面に静かに付着するので、絶縁粒子層形成用ペーストと合剤ペースト層とがさらに混じりにくくなり、絶縁粒子層形成用ペーストの浸み込みがより少ない合剤層が形成され得る。
ここに開示される好ましい一態様では、上記絶縁性粒子として、アルミナ粉末,マグネシア粉末,チタニア粉末およびシリカ粉末のうちの少なくとも一種を含有する。上記電極が正極の場合には、アルミナ粉末,チタニア粉末,マグネシア粉末およびシリカ粉末のうちの少なくとも一種を含有することが好ましい。また、上記電極が負極の場合には、アルミナ粉末マグネシア粉末のうちの少なくとも一種を含有することが好ましい。それらの金属酸化物粉末は、電気絶縁性を有し、かつ、電解液の非水溶媒に安定であるため、本発明の目的に適した絶縁性粒子として好ましく用いることができる。
本発明によると、また、ここに開示される上記何れかの方法により得られた電極を用いて構築された電池(例えばリチウム二次電池)が提供される。かかる電池は、本発明の方法を用いて製造された上記電極を少なくとも一方の電極に用いて構築されていることから、優れた電池性能を示すものである。例えば、上記電極を用いて電池を構築することにより、電極の内部抵抗が小さい、生産性が良好である、のうちの少なくとも一方(好ましくは両方)を満たす電池を提供することができる。
このような電池は、例えば自動車等の車両に搭載される電池として好適である。したがって本発明によると、ここに開示されるいずれかの電池(複数の電池が接続された組電池の形態であり得る。)を備える車両が提供される。特に、軽量で高出力が得られることから、上記電池がリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)であって、該リチウム二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両または電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が好適である。
本発明の一実施形態に係る負極を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る絶縁粒子層形成用ペーストと合剤ペーストとの比重の関係および両者が二相分離することを説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る負極の製造工程を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る負極の製造工程を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る負極の製造工程を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る負極の製造装置を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る負極を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る絶縁粒子層形成用ペーストと合剤ペーストとの比重の関係および両者が二相分離することを説明するための模式図である。 本発明の一実施形態に係る負極の製造工程を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る負極の製造工程を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る負極の製造工程を示す断面模式図である。 本発明の一実施形態に係る負極の製造装置を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る電池を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る電池を搭載した車両の側面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施の形態を説明する。以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。なお、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極および負極を備えた電極体の構成および製法、セパレータや電解質の構成および製法、電池その他の電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
なお、本明細書では、電極の製造工程において集電体を水平においた状態を基準状態とし、このときの鉛直上方向を上、鉛直下方向を下として説明する。
(第1の実施形態)
ここに開示される電極製造方法は、図1に示すように、集電体10上に、活物質粒子24を含む合剤層20と、絶縁性粒子34を含む絶縁粒子層30とがこの順で積層された構成の電池用電極40を製造する方法である。図示した例では、集電体10と、合剤層20と、絶縁粒子層30とが下側(集電体側)からこの順で積層されている。
この電極製造方法では、まず、図3に示すように、活物質粒子24とバインダ26を所定の溶媒(例えば水)28に分散させた合剤ペースト22を調製し、これを集電体10に付与して合剤ペースト層25を形成する。
次に、図4に示すように、合剤ペースト層25が形成された集電体10を、該合剤ペースト層25が鉛直方向の上側となる姿勢に保持する。そして、絶縁性粒子34とバインダ36とを溶媒38に分散させた絶縁粒子層形成用ペースト32を調製し、これを合剤ペースト層25の表面(上面)25aに付与する。
ここで、図2に模式的に示すように、絶縁粒子層形成用ペースト32は、合剤ペースト22の溶媒28と二相分離可能な溶媒38から構成されている。そのため、絶縁粒子層形成用ペースト32を合剤ペースト層25に付与する際、絶縁粒子層形成用ペースト32の溶媒38と合剤ペースト層25の溶媒28とが混ざりにくい。したがって、溶媒38およびバインダ36が溶媒28中(合剤ペースト層25中)に拡散することが起こり難く、濡れた(少なくとも湿った)状態の合剤ペースト層25に絶縁粒子層形成用ペースト32が染み込みにくくなる。
また、絶縁粒子層形成用ペースト32は、合剤ペースト22よりも比重が小さい。そのため、集電体10に付与された絶縁粒子層形成用ペースト32が鉛直方向の上側となる姿勢で絶縁粒子層形成用ペースト32を該合剤ペースト層25の表面(上面)25aに付与することにより、さらに絶縁粒子層形成用ペースト32が染み込みにくくなる(典型的には絶縁粒子層形成用ペースト32が合剤ペースト層25よりも上側に分離したwet on wet状態が形成され得る)。
その後、合剤ペースト層25と絶縁粒子層形成用ペースト32とを共に乾燥させ、合剤ペースト層の溶媒28と絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒38とを揮発させる。これにより、図5に示すように、集電体10上に合剤層20と絶縁粒子層30とがこの順で積層された電極40が得られる。
この電極製造方法では、活物質粒子24が溶媒28に分散されてなる合剤ペースト22を集電体10に付与して合剤ペースト層25を形成し、この合剤ペースト層25が濡れた状態(溶媒28の少なくとも一部が残っている状態)にあるうちに合剤ペースト層の上面25aに絶縁粒子層形成用ペースト32を付与し、その後、合剤ペースト層25と絶縁粒子層形成用ペースト32とを共に乾燥させる。この方法を用いれば、合剤ペースト層25の乾燥と、絶縁粒子層形成用ペースト32の乾燥とを同一工程で実施でき、絶縁粒子層30を備えた電極40を簡易なプロセスで製造できる。加えて、絶縁粒子層形成用ペースト32の染み込みの少ない合剤層20が形成され、したがって性能のよい(例えば、内部抵抗の少ない電池を構築するのに適した)電極40が得られる。
特に限定することを意図したものではないが、以下では主としてリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)用の負極を製造する場合を例として、図2〜図5を参照しながら本実施形態を詳細に説明する。
ここに開示されるリチウム二次電池用電極製造方法では、まず、活物質粒子24とバインダ26を所定の溶媒(例えば水)28に分散させた合剤ペースト22を調製し、これを集電体10に付与して合剤ペースト層25を形成する(図3参照)。
合剤ペースト22は、負極活物質(典型的には粉末状)24と、必要に応じて使用される他の負極合剤層形成成分(例えばバインダ26)とを適当な溶媒28に混合することにより調製され得る。上記負極活物質(典型的には粉末状)24としては、典型的なリチウムイオン二次電池に用いられるものと同じであればよく特に限定されない。負極に用いられる負極活物質粒子24の代表例としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属複合酸化物(リチウムチタン複合酸化物等)、リチウム遷移金属複合窒化物等が例示される。
合剤ペースト22に用いられる溶媒28の好適例としては、水または水を主体とする混合溶媒(水系溶媒)が挙げられる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。溶媒28は水系溶媒に限定されず、非水系溶媒であってもよい。非水系溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。この実施形態では溶媒28が水である。
上記合剤ペースト22は、負極活物質粉末24の他に、一般的な負極の製造において負極合剤層形成用の合剤ペーストに用いられる材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の代表例として導電材およびバインダ26が挙げられる。上記導電材としては、カーボンブラック(アセチレンブラック等)のような炭素粉末、ニッケル粉末等の導電性金属粉末等を用いることができる。バインダ26は、負極構成材料の結着剤として機能し得る各種のポリマー材料が挙げられる。この実施形態ではバインダ26としてスチレンブタジエンゴム(SBR)が用いられる。
このような合剤ペースト22を集電体10に付与(典型的には塗布)する操作は、従来の一般的なリチウム二次電池用負極の作製と同様にして行うことができる。例えば、適当な塗布装置(ダイコーター等)を使用して、集電体10に所定量の合剤ペースト40を塗布することにより形成され得る。
集電体10としては、導電性の良好な金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄等の金属または該金属を主成分とする合金)からなるものを好ましく使用することができる。例えばリチウム二次電池用負極を製造する場合には、銅製(銅または銅を主成分とする合金(銅合金)から構成されることをいう。)の集電体の使用が好ましい。
このようにして合剤ペースト22を集電体10に付与して合剤ペースト層25を形成したら、次に、図4に示すように、合剤ペースト層25が形成された集電体10を、該合剤ペースト層25が鉛直方向の上側となる姿勢に保持する。そして、合剤ペースト層25の上面25aに絶縁粒子層形成用ペースト32を付与する。
絶縁粒子層形成用ペースト32は、上述したように、合剤ペースト22の溶媒28と二相分離可能な溶媒38に、絶縁性粒子34をバインダ36とともに分散させてなる絶縁粒子層形成用ペースト32であって、合剤ペースト22よりも比重が小さい絶縁粒子層形成用ペースト32である(図2参照)。
絶縁粒子層形成用ペーストに用いられる絶縁性粒子34としては、電気絶縁性を有しており、電解液の非水溶媒に安定である粒子であればよい。このような絶縁性粒子の具体例としては、例えば、アルミナ粉末(Al)およびマグネシア粉末(MgO)などの金属酸化物粉末が例示される。あるいは、ポリエチレン樹脂などの高分子樹脂粉末であってもよい。これらの一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。これらの絶縁性粒子の中でも、アルミナ粉末が特に好ましい。この実施形態では、絶縁性粒子としてアルミナ粉末が用いられる。なお、電極が正極の場合には、アルミナ粉末およびマグネシア粉末に加えて、チタニア粉末(TiO),シリカ粉末(SiO)等を用いることができる。
絶縁粒子層形成用ペーストに用いられる溶媒38としては、合剤ペーストの溶媒よりも比重が小さく、かつ、合剤ペーストの溶媒と二相分離できるものであればよい。例えば、絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒としては、合剤ペーストの溶媒との溶解パラメータ(Solubility Parameter)の差が2以上(例えば2〜25程度)のものを好ましく用いることができる。また、絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒は、バインダを均一に分散または溶解できるものであることが好ましい。具体的には、合剤ペーストの溶媒が水の場合に好ましく使用し得る絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒としては、n−ヘキサン,n−ペンタン,n−オクタン、およびシクロヘキサンが例示される。これらの一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。また、合剤ペーストの溶媒がN−メチルピロリドン(NMP)の場合に好ましく使用し得る絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒としてはn−ヘキサン,n−ペンタン,n−オクタンおよびシクロヘキサンが例示される。これらの一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。この実施形態では、絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒としてn−ヘキサンが用いられる。
上記絶縁粒子層形成用ペーストに用いられるバインダ36としては、絶縁粒子層構成材料の結着剤として機能し得るものであればよく特に制限されない。例えば、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(PE)、ポリアクリル酸(PAA)、等の水溶性または水分散性のポリマーを用いることができる。あるいは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、等の有機溶剤系のポリマーを用いることができる。このバインダ36は、合剤ペーストに含まれるバインダ26と同じ材料であってもよく、異なる材料であってもよい。この実施形態ではバインダとしてPVDFが用いられる。
上記絶縁粒子層形成用ペーストは、上述のような絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒に絶縁性粒子34とバインダ36とを混合することにより調製され得る。これにより、絶縁粒子層形成用ペースト溶媒中に絶縁性粒子34とバインダ36とが溶解または分散した絶縁粒子層形成用ペースト32が得られる。
上記絶縁粒子層形成用ペーストにおける固形分濃度は特に限定されないが、固形分濃度が高すぎると、絶縁粒子層形成用ペーストの塗工性が悪くなり、固形分濃度が低すぎると、乾燥速度が遅くなって生産性が低下する場合がある。したがって、固形分濃度は、凡そ30質量%〜50質量%にすることが好ましく、凡そ35質量%〜40質量%にすることがより好ましい。
このような絶縁粒子層形成用ペースト32を合剤ペースト層の上面25aに付与(典型的には塗布)する操作は、特に限定されるものではなく、一般的な流体の塗布技術を好ましく用いることができる。ここに開示される技術において合剤ペースト層に絶縁粒子層形成用ペーストを塗布する方法として、該絶縁粒子層形成用ペーストを合剤ペースト層の上面にスプレー噴霧する方法を好ましく採用することができる。スプレー噴霧を用いれば、絶縁粒子層形成用ペーストを合剤ペースト層に簡易に付与できる。また、絶縁粒子層形成用ペーストが合剤ペースト層の表面に静かに付着するので、絶縁粒子層形成用ペーストと合剤ペースト層とがさらに混じりにくくなり、絶縁粒子層形成用ペーストの浸み込みがより少ない合剤層が形成され得る。
絶縁粒子層形成用ペーストの塗布量(単位面積当たりの塗布量)は、乾燥後に得られた絶縁粒子層30が所望の厚み(膜厚)となるように適宜調整すればよい。絶縁粒子層30の厚みが小さすぎると、絶縁粒子層30を設けたことによる効果が十分に得られない場合があり、一方、絶縁粒子層30の厚みが大きすぎると、電極体の内部抵抗が大きくなる場合がある。したがって、絶縁粒子層30の厚みは、500nm〜6000nm程度にすることが好ましく、1500nm〜2500nm程度にすることがより好ましい。この範囲内になるように、絶縁粒子層形成用ペースト32の塗布量(単位面積当たりの塗布量)を適宜調整するとよい。
このようにして絶縁粒子層形成用ペースト32を合剤ペースト層の上面25aに付与したら、次に、合剤ペースト層25と絶縁粒子層形成用ペースト32とを共に乾燥させ、合剤ペースト層の溶媒と絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒とを揮発させる。これにより、集電体10の上面に合剤層20と絶縁粒子層30とが積層された負極40が得られる。
合剤ペースト層と絶縁粒子層形成用ペーストとを乾燥させる温度は、合剤ペーストの溶媒と絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒とを同時に揮発し得る温度域であればよく特に限定されない。例えば、絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒がn−ヘキサンで、合剤ペーストの溶媒が水の場合、乾燥温度は凡そ70℃〜160℃程度にすることが好ましく、80℃〜120℃の温度域であることがより好ましい。乾燥温度を80℃以上にすることで、合剤ペースト中の水を短時間で除去でき、生産効率を高めることができる。
このようにして、本実施形態に係る負極40の製造が完了する。なお、上記合剤ペースト22の乾燥後、必要に応じて適当なプレス処理(例えばロールプレス処理)を施すことによって、負極合剤層20の厚みや密度を調整することができる。
本実施形態の方法では、活物質粒子24が溶媒28に分散されてなる合剤ペースト22を集電体10に付与して合剤ペースト層25を形成し、この合剤ペースト層25が濡れた状態(溶媒28の少なくとも一部が残っている状態)にあるうちに合剤ペースト層25の上面25aに絶縁粒子層形成用ペースト32を付与し、その後、合剤ペースト層25と絶縁粒子層形成用ペースト32とを共に乾燥させる。この方法を用いれば、合剤ペースト層25の乾燥と、絶縁粒子層形成用ペースト32の乾燥とを同一工程で実施でき、絶縁粒子層30を備えた電極40を簡易なプロセスで製造できる。加えて、絶縁粒子層形成用ペースト32が付与される際、合剤ペースト層25はまだ濡れた(少なくとも湿った)状態にあり、かかる状態の合剤ペースト層25には乾燥した合剤層20に比べて絶縁粒子層形成用ペースト32が染み込みにくい。また、合剤ペースト22よりも比重が小さい絶縁粒子層形成用ペースト32を使用し、集電体10に付与された合剤ペースト層25が鉛直方向の上側となる姿勢で上記絶縁粒子層形成用ペーストを該合剤ペースト層25の表面(上面)25aに付与することにより、さらに絶縁粒子層形成用ペースト32を染み込みにくくする効果が得られる。このように、上記方法によると、絶縁粒子層形成用ペースト32の浸み込みの少ない合剤層20が形成され、したがって性能のよい(例えば、内部抵抗の少ない電池を構築するのに適した)電極40が得られる。
次に、図6を加えて、本実施形態の電極を製造する製造装置90について説明する。この製造装置90は、ローラ91、92と、ダイコータ96と、ダイコータ96よりも集電体の搬送方向の下流側に配置されたスプレー噴霧装置94と、乾燥炉98と、乾燥炉98内を通過した集電体10を巻き取る巻取部99とを備えている。
長尺シート状の集電体10は、図示しない巻出部から繰り出され、ローラ91,92の回転によって装置内を搬送される。集電体10は、ダイコータ96とローラ91の隙間を搬送され、ダイコータ96の吐出口から集電体10の表面(集電体10を水平においたときに鉛直方向の上側に相当する面)に合剤ペースト22が付与される。これにより、集電体10の表面に合剤ペースト層が形成される。次いで、合剤ペースト層が形成された集電体10は、該合剤ペースト層が上側となる姿勢に保持され、スプレー噴霧装置94まで搬送される。スプレー噴霧装置94は、搬送されている集電体10の上側に配置され、集電体10の合剤ペースト層の表面(上面)に絶縁粒子層形成用ペースト32を噴霧する。その後、集電体10は、合剤ペースト層が上側となる姿勢に保持されたまま乾燥炉98に送られ、合剤ペースト層と絶縁粒子層形成用ペースト32とが共に乾燥される。これにより、集電体10上に合剤層20と絶縁粒子層30とがこの順で積層された負極シート40が得られる。得られた負極シート40は、巻取部99で巻き取った後、次工程に送られる。
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。この実施形態では、合剤ペーストよりも比重が大きい絶縁粒子層形成用ペーストを使用し、集電体に付与された合剤ペースト層が鉛直方向の下側となる姿勢で上記絶縁粒子層形成用ペーストを該合剤ペースト層の表面(下面)に付与する点において第1の実施形態とは相違する。すなわち、ここに開示される電極製造方法は、図7に示すように、集電体110上に、活物質124を含む合剤層120と、絶縁性粒子134を含む絶縁粒子層130とがこの順で積層された構成の電池用電極(例えば負極)140を製造する方法である。図示した例では、集電体110と、合剤層120と、絶縁粒子層130とが上側からこの順で積層されている。
この電極製造方法では、まず、図9に示すように、活物質124とバインダ126を所定の溶媒(例えば水)128に分散させた合剤ペースト122を調製し、これを集電体110に付与して合剤ペースト層125を形成する。次に、図10に示すように、合剤ペースト層125が形成された集電体110を、該合剤ペースト層125が鉛直方向の下側となる姿勢に保持する。そして、絶縁性粒子134とバインダ136とを溶媒138に分散させた絶縁粒子層形成用ペースト132を調製し、これを合剤ペースト層125の表面(下面)125bに付与する。
ここで、図8に模式的に示すように、絶縁粒子層形成用ペースト132は、合剤ペースト122の溶媒128と二相分離可能な溶媒138から構成されている。そのため、絶縁粒子層形成用ペースト132を合剤ペースト層125に付与する際、合剤ペースト層125がまだ濡れた(少なくとも湿った)状態であっても、その合剤ペースト層125に溶媒138およびバインダ136が混ざりにくいことから、絶縁粒子層形成用ペースト132が染み込みにくくなる。
また、絶縁粒子層形成用ペースト132は、合剤ペースト122よりも比重が大きい。そのため、集電体110に付与された絶縁粒子層形成用ペースト132が鉛直方向の下側となる姿勢で絶縁粒子層形成用ペースト132を該合剤ペースト層125の表面(下面)125bに付与することにより、さらに絶縁粒子層形成用ペースト132が染み込みにくくなる(典型的には絶縁粒子層形成用ペースト132が合剤ペースト層125よりも下側に分離したwet on wet状態が形成され得る)。
上記絶縁粒子層形成用ペーストに用いられる溶媒138としては、合剤ペーストの溶媒よりも比重が大きく、かつ、合剤ペーストの溶媒と二相分離できるものであればよい。具体的には、合剤ペーストの溶媒が水の場合に好ましく使用し得る絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒としては、四塩化炭素,クロロホルム,トリクロロエタン,トリクロロエチレンが例示される。また、水と二相分離可能であって且つ水よりも比重が大きいフッ素系液体を用いてもよい。これらの一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。なお、ここでフッ素系液体とは、構成元素としてフッ素(F)を含む溶剤(典型的には有機溶剤)を指す。ここに開示される技術に好ましく使用し得るフッ素系液体の市販品として、3M社製の「フロリナート(商標)」シリーズが例示される。また、合剤ペーストの溶媒がN−メチルピロリドン(NMP)の場合に好ましく使用し得る絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒としては四塩化炭素が例示される。この実施形態では、絶縁粒子層形成用ペースト溶媒として四塩化炭素が用いられる。絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒以外の各構成材料については、上述した第1の実施形態と同様のものを使用することができる。
その後、合剤ペースト層125と絶縁粒子層形成用ペースト132とを共に乾燥させ、合剤ペースト層の溶媒128と絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒138とを揮発させる。これにより、図11に示すように、集電体110上に合剤層120と絶縁粒子層130とがこの順で積層された電極(例えば負極)140が得られる。
この電極製造方法では、活物質粒子124が溶媒128に分散されてなる合剤ペースト122を集電体110に付与して合剤ペースト層125を形成し、この合剤ペースト層125が濡れた状態(溶媒128の少なくとも一部が残っている状態)にあるうちに合剤ペースト層の下面125bに絶縁粒子層形成用ペースト132を付与し、その後、合剤ペースト層125と絶縁粒子層形成用ペースト132とを共に乾燥させる。この方法を用いれば、合剤ペースト層125の乾燥と、絶縁粒子層形成用ペースト132の乾燥とを同一工程で実施でき、絶縁粒子層130を備えた電極140を簡易なプロセスで製造できる。加えて、絶縁粒子層形成用ペースト132の浸み込みの少ない合剤層120が形成され、したがって性能のよい(例えば、内部抵抗の少ない電池を構築するのに適した)電極140が得られる。
次に、図12を加えて、第2の実施形態の電極(例えば負極)140を製造する製造装置190について説明する。この製造装置190は、ローラ191、192と、ダイコータ196と、ダイコータ196よりも集電体の搬送方向の下流側に配置されたスプレー噴霧装置194と、乾燥炉198と、乾燥炉198内を通過した集電体110を巻き取る巻取部199とを備えている。
長尺シート状の集電体110は、図示しない巻出部から繰り出され、ローラ191,192の回転によって装置内を搬送される。集電体110は、ダイコータ196とローラ191の隙間を搬送され、ダイコータ196の吐出口から集電体110の表面(集電体110を水平においたときに鉛直方向の下側に相当する面)に合剤ペースト122が付与される。これにより、集電体110の表面に合剤ペースト層が形成される。次いで、合剤ペースト層が形成された集電体110は、該合剤ペースト層が下側となる姿勢に保持され、スプレー噴霧装置194まで搬送される。スプレー噴霧装置194は、搬送されている集電体110の下側に配置され、集電体110の合剤ペースト層の表面(下面)に絶縁粒子層形成用ペースト132を噴霧する。その後、集電体110は、合剤ペースト層が下側となる姿勢に保持されたまま乾燥炉198に送られ、合剤ペースト層と絶縁粒子層形成用ペースト132とが共に乾燥される。これにより、集電体110上に合剤層120と絶縁粒子層130とがこの順で積層された負極シート140が得られる。得られた負極シート140は、巻取部199で巻き取った後、次工程に供される。
以下、上述した方法を適用して製造された負極(負極シート)40を用いて構築されるリチウム二次電池の一実施形態につき、図13に示す模式図を参照しつつ説明する。このリチウム二次電池100は、負極(負極シート)40として、負極合剤層20の表面に絶縁粒子層30が形成された負極40が用いられている。この負極40は、本実施形態の製造方法を適用して得られたものである。
図示するように、本実施形態に係るリチウム二次電池100は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)のケース52を備える。このケース(外容器)52は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体54と、その開口部を塞ぐ蓋体56とを備える。ケース52の上面(すなわち蓋体56)には、電極体80の正極70と電気的に接続する正極端子82および該電極体の負極40と電気的に接続する負極端子84が設けられている。ケース52の内部には、例えば長尺シート状の正極(正極シート)70および長尺シート状の負極(負極シート)40を計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータシート)60とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体80が収容される。
負極シート40は、上述したように、長尺シート状の負極集電体10の表面に負極活物質粒子24を主成分とする負極合剤層20と、絶縁性粒子34を含む絶縁粒子層30とが設けられた構成を有する(図1参照)。負極シート40を構成する各材料については前に述べたとおりである。正極シート70は、長尺シート状の正極集電体の両面に正極活物質を主成分とする正極合剤層が設けられた構成を有する。正極集電体にはアルミニウム箔(本実施形態)その他の正極に適する金属箔が好適に使用される。正極活物質は従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、LiMn、LiCoO、LiNiO等が挙げられる。これらの電極シート40、70の幅方向の一端には、いずれの面にも上記電極合剤層が設けられていない電極合剤層非形成部分が形成されている。正負極シート70、30間に使用されるセパレータシート60の好適例としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。
上記積層の際には、正極シート70の正極合剤層非形成部分と負極シート40の負極合剤層非形成部分とがセパレータシート60の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように、正極シート70と負極シート40とを幅方向にややずらして重ね合わせる。その結果、捲回電極体80の捲回方向に対する横方向において、正極シート70および負極シート40の電極合剤層非形成部分がそれぞれ捲回コア部分(すなわち正極シート70の正極合剤層形成部分と負極シート40の負極活物質層形成部分と二枚のセパレータシート60とが密に捲回された部分)から外方にはみ出ている。かかる正極側はみ出し部分(すなわち正極合剤層の非形成部分)70Aおよび負極側はみ出し部分(すなわち負極活物質層の非形成部分)40Aには、正極リード端子88および負極リード端子86がそれぞれ付設されており、上述の正極端子82および負極端子84とそれぞれ電気的に接続される。
そして、ケース本体54の上端開口部から該本体54内に捲回電極体80を収容するとともに適当な電解質を含む電解液をケース本体54内に配置(注液)する。電解質は例えばLiPF等のリチウム塩である。例えば、適当量(例えば濃度1M)のLiPF等のリチウム塩をジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)に溶解してなる非水電解液を使用することができる。
その後、上記開口部を蓋体56との溶接等により封止し、本実施形態に係るリチウム二次電池100の組み立てが完成する。ケース52の封止プロセスや電解質の配置(注液)プロセスは、従来のリチウム二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。このようにして本実施形態に係るリチウム二次電池100の構築が完成する。
このようにして構築されたリチウム二次電池100は、本実施形態の方法を用いて製造された電極を少なくとも一方の電極に用いて構築されていることから、優れた電池性能を示すものである。例えば、上記電極を用いて電池を構築することにより、電極の内部抵抗が小さい、生産性が良好である、のうちの少なくとも一方(好ましくは両方)を満たすリチウム二次電池100を提供することができる。
本発明に係る電池(例えばリチウム二次電池)は、上記のとおり電池性能に優れることから、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図14に模式的に示すように、かかる電池(組電池の形態であり得る。)100を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)1を提供する。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。例えば、絶縁粒子層は負極に限らず、正極に設けることもできる。この場合、ここに開示される電極製造方法は、正極および負極のいずれの製造にも適用することができる。また、電池の種類は上述したリチウム二次電池に限られず、電極体構成材料や電解質が異なる種々の内容の電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、或いは電気二重層キャパシタであってもよい。
1 車両
10,110 集電体
20,120 合剤層
22,122 合剤ペースト
24,124 活物質粒子
25,125 合剤ペースト層
25a 合剤ペースト層の上面
26,126 合剤層用バインダ
28,128 合剤ペーストの溶媒
30,130 絶縁粒子層
32,132 絶縁粒子層形成用ペースト
34,134 絶縁性粒子
36,136 絶縁粒子層用バインダ
38,138 絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒
40,140 負極
52 ケース
54 ケース本体
56 蓋体
60 セパレータ
70 正極
80 電極体
82 正極端子
84 負極端子
86 負極リード端子
88 正極リード端子
90,190 製造装置
91,92,191,192 ローラ
94,194 スプレー噴霧装置
96,196 ダイコータ
98,198 乾燥炉
99,199 巻取部
100 リチウム二次電池

Claims (8)

  1. 集電体上に、活物質粒子を含む合剤層と、絶縁性粒子を含む絶縁粒子層とがこの順で積層された構成の電池用電極を製造する方法であって、
    前記活物質粒子が溶媒に分散されてなる合剤ペーストを集電体に付与して合剤ペースト層を形成する工程;
    前記合剤ペースト層が形成された集電体を、該合剤ペースト層が上側となる姿勢に保持し、前記合剤ペーストの溶媒と二相分離可能な溶媒に絶縁性粒子を分散させてなり前記合剤ペーストよりも比重が小さい絶縁粒子層形成用ペーストを前記合剤ペースト層の表面に付与する工程;および
    前記合剤ペースト層と前記絶縁粒子層形成用ペーストとを共に乾燥させることによって、前記集電体上に合剤層と絶縁粒子層とがこの順で積層された電極を得る工程;
    を包含する、電池用電極の製造方法。
  2. 前記合剤ペーストの溶媒は、水を含んでおり、
    前記絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒は、n−ヘキサン,n−ペンタン,n−オクタンおよびシクロヘキサンのうちの少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 集電体上に、活物質を含む合剤層と、絶縁性粒子を含む絶縁粒子層とがこの順で積層された構成の電池用電極を製造する方法であって、
    前記活物質粒子が溶媒に分散されてなる合剤ペーストを集電体に付与して合剤ペースト層を形成する工程;
    前記合剤ペースト層が形成された集電体を、該合剤ペースト層が下側となる姿勢に保持し、前記合剤ペーストの溶媒と二相分離可能な溶媒に絶縁性粒子を分散させてなり前記合剤ペーストよりも比重が大きい絶縁粒子層形成用ペーストを前記合剤ペースト層の表面に付与する工程;および
    前記合剤ペースト層と前記絶縁粒子層形成用ペーストとを共に乾燥させることによって、前記集電体上に合剤層と絶縁粒子層とがこの順で積層された電極を得る工程;
    を包含する、電池用電極の製造方法。
  4. 前記合剤ペーストの溶媒は、水を含んでおり、
    前記絶縁粒子層形成用ペーストの溶媒は、四塩化炭素,クロロホルム,トリクロロエタン,トリクロロエチレンおよびフッ素系液体のうちの少なくとも一種を含有する、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記絶縁粒子層形成用ペーストは、スプレー噴霧により前記合剤ペースト層の表面に付与される、請求項1から4の何れか一つに記載の製造方法。
  6. 前記絶縁性粒子として、アルミナ粉末,マグネシア粉末,チタニア粉末およびシリカ粉末のうちの少なくとも一種を含有する、請求項1から5の何れか一つに記載の製造方法。
  7. 請求項1から6のいずれか一つに記載の方法により製造された電極を備える電池。
  8. 請求項7に記載の電池を搭載した車両。
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